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明細書 :接ぎ木用刃物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3227476号 (P3227476)
公開番号 特開2000-342060 (P2000-342060A)
登録日 平成13年9月7日(2001.9.7)
発行日 平成13年11月12日(2001.11.12)
公開日 平成12年12月12日(2000.12.12)
発明の名称または考案の名称 接ぎ木用刃物
国際特許分類 A01G  1/06      
A01G  3/00      
FI A01G 1/06 A
A01G 3/00
請求項の数または発明の数 3
全頁数 4
出願番号 特願平11-156256 (P1999-156256)
出願日 平成11年6月3日(1999.6.3)
審査請求日 平成11年6月3日(1999.6.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人 農業技術研究機構
発明者または考案者 【氏名】飯泉 斗志雄
【氏名】萩原 利喜一
【氏名】横田 武
【氏名】潮田 伸雄
【氏名】稲葉 伸一
【氏名】小松崎 昭男
【氏名】岩瀬 茂夫
【氏名】土居 克人
【氏名】宮本 和美
【氏名】飯島 正博
【氏名】石井 健一
【氏名】青葉 裕二
【氏名】寺田 恒夫
【氏名】鈴木 勝征
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
審査官 【審査官】坂田 誠
参考文献・文献 実公 昭32-7018(JP,Y1)
調査した分野 A01G 1/06
A01G 3/00
特許請求の範囲 【請求項1】
円弧状の刃が形成された半円状刃部と、この半円状刃部の前記刃が形成されている側とは反対側に突設された、直線状の刃が形成されている凸状刃部とからなる刃体が、握り用柄部の先端に取付固定されてなる接ぎ木用刃物。

【請求項2】
前記半円状刃部は、前記握り用柄部に対して片側に偏心傾斜せしめられていることを特徴とする請求項1に記載の接ぎ木用刃物。

【請求項3】
前記凸状刃部は、前記半円状刃部から斜め下に向けて突設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の接ぎ木用刃物。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【01】

【発明の属する技術分野】本発明は、根を持つ台木に枝や芽等からなる穂木(接ぎ穂)をつぎ合わせて増殖する接ぎ木操作に使用する接ぎ木用刃物に係り、特に、剥ぎ接ぎ法で使用するのに好適な接ぎ木用刃物に関する。

【02】

【従来の技術】果樹栽培において接ぎ木技術は必須である。その栽培現場では、数多くの品種更新や苗木生産に関わる場面があり、経営的にも、また試験研究の場面でも優良供試樹を多量に増殖する必要がある。かかる優良品種の増殖にあたっては、果樹の場合には栄養繁殖法により増殖する必要がある。この栄養繁殖法には、接ぎ木法や挿し木法があるが、果樹の場合、ブドウなどの一部の樹種を除けば、挿し木繁殖が難しく、それが容易なブドウですらフィロキセラ抵抗性の見地からもっぱらその増殖は接ぎ木法に頼っているのが現状である。

【03】
この接ぎ木法としては、切り接ぎ法が最も多く使用されるが、樹種や時期等によっては、割り接ぎ法、剥ぎ接ぎ法、腹接ぎ法なども用いられる。ここで、前記した幾つかの接ぎ木法のうちの剥ぎ接ぎ法は、比較的大径木の台木の皮を剥がして、その皮下に、皮層部及び木質部を適宜に切削した穂木(接ぎ穂)を差し込む方法であり、この方法は、接ぎ木操作が比較的容易で、活着率の比較でも切り接ぎ法とさほど差がないことから、高接ぎ更新や一部の苗木生産に利用されている。

【04】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、剥ぎ接ぎ法による接ぎ木を行う場合に使用する接ぎ木用刃物としては、直線状の刃を持つ汎用の切り出しナイフしかなく、高接ぎ更新等において接ぎ木を行う部位如何によっては、汎用ナイフでは、特に、未熟練者では、切れ目入れ操作や剥皮操作が難しい場合がある。なお、従来、剥皮操作に利用可能な「のみ」状の刃物が存在するが、このものは、剥ぎ接ぎ法による接ぎ木操作を考慮したものではなく、使いづらいものであった。

【05】
本発明は、上述の如くの問題を解消すべくなされたもので、その目的とするところは、剥ぎ接ぎ法による接ぎ木を行う部位が何処であっても、また、未熟練者であっても、切れ目入れ操作や剥皮操作等を容易に行うことのできる接ぎ木用刃物を提供することにある。

【06】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成すべく、本発明に係る接ぎ木用刃物は、円弧状の刃が形成された半円状刃部と、この半円状刃部の前記刃が形成されている側とは反対側に突設された、直線状の刃が形成されている凸状刃部とからなる刃体が、握り用柄部の先端に取付固定されてなる。前記半円状刃部は、好ましくは、前記握り用柄部に対して片側に偏心傾斜せしめられ、また、前記凸状刃部は、好ましくは、前記半円状刃部から斜め下に向けて突設される。

【07】
このような構成とされた本発明に係る接ぎ木用刃物は、剥ぎ接ぎ法による接ぎ木を行う場合に、前記半円状刃部の円弧状の刃のうちの、握り用柄部に近い部分は、穂木の切削に使用する。このときは、丁度ナイフで鉛筆を削るときのように穂木を削り取る。このため、穂木の切削を、未熟練者でも容易にかつ正確に行える。

【08】
前記円弧状の刃のうちの他の部分(握り用柄部から離れて偏心傾斜している部分)は、台木の切れ目入れ等に使用する。このときは、刃部分を台木の所要部位に押し付けて上下動ないし回動させればよい。この場合、刃部分が円弧状でありまた、半円状刃部が柄部に対して偏心傾斜せしめられていることから、台木に対する当該刃物の姿勢、位置の自由度が高くなるとともに、刃部分を台木に押し付けやすくなり、その結果、従来の切り出しナイフでは困難であった部位でも、また、未熟練者であっても、切れ目入れ操作等を容易にかつ確実に行うことができる。

【09】
また、前記凸状刃部は、剥皮操作に使用する。このときは、例えば、剥ぎ取りたい皮部分の上方から押し込んで引き下げるか、ねじるようにして皮を剥ぐようにする。ここで、凸状刃部は、握り用柄部(の中心線上)からは外れた位置に斜め下に向けて突設されているので、台木上面(切断箇所)に凸状刃部を容易に押し付けることができるとともに、てこの原理から小さな力で皮剥ぎ操作を行え、その結果、未熟練者であっても、剥皮操作を容易にかつ確実に行うことができる。

【10】
このように本発明の接ぎ木用刃物は、穂木の切削用、台木の切れ目入れ用、及び、剥皮用の三種類の刃物を合体させた構造となっており、しかも、前記説明から理解されるように、各刃部が用途に応じた合理的な構成となっているので、これを使用することにより、剥ぎ接ぎ法による接ぎ木を、誰もが習熟、熟練を要することなく、極めて容易にかつ迅速に効率良く行える。

【11】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る接ぎ木用刃物の一実施形態を示している。図示実施形態の接ぎ木用刃物1は、主として剥ぎ接ぎ法に使用されるもので、円弧状の刃4が形成された半円状刃部3Aと、この半円状刃部3Aの前記刃4が形成されている側とは反対側に突設された、直線状の刃6が形成されている凸状刃部5とからなる刃体3が、握り用柄部2の先端に取付固定されている。

【12】
前記半円状刃部3Aは、前記握り用柄部2に対して片側(図では右側)に偏心傾斜せしめられ、また、前記凸状刃部5は、前記半円状刃部3Aに直交するように斜め下に向けて突設されている。このような構成とされた本実施形態の接ぎ木用刃物1は、剥ぎ接ぎ法による接ぎ木を行う場合に、前記半円状刃部3Aの円弧状の刃4のうちの、握り用柄部2に近い部分4Bは、穂木の切削に使用する。このときは、丁度ナイフで鉛筆を削るときのように穂木を削り取る。このため、穂木の切削を、未熟練者でも容易にかつ正確に行える。

【13】
前記円弧状の刃4のうちの他の部分4A(握り用柄部2から離れて偏心傾斜している部分)は、台木の切れ目入れ等に使用する。このときは、刃部分4Aを台木の所要部位に押し付けて上下動ないし回動させればよい。この場合、刃部分が円弧状でありまた、半円状刃部3Aが柄部2に対して偏心傾斜せしめられていることから、台木に対する当該刃物1の姿勢、位置の自由度が高くなるとともに、刃部分4Aを台木に押し付けやすくなり、その結果、従来の切り出しナイフでは困難であった部位でも、また、未熟練者であっても、切れ目入れ操作等を容易にかつ確実に行うことができる。

【14】
また、前記凸状刃部5は、剥皮操作に使用する。このときは、例えば、剥ぎ取りたい皮部分の上方から押し込んで引き下げるか、ねじるようにして皮を剥ぐようにする。ここで、凸状刃部5は、握り用柄部(の中心線上)2からは外れた位置に斜め下に向けて突設されているので、台木上面(切断箇所)に凸状刃部5を容易に押し付けることができるとともに、てこの原理から小さな力で皮剥ぎ操作を行え、その結果、未熟練者であっても、剥皮操作を容易にかつ確実に行うことができる。

【15】
このように本発明の接ぎ木用刃物1は、穂木の切削用、台木の切れ目入れ用、及び、剥皮用の三種類の刃物を合体させた構造となっており、しかも、前記説明から理解されるように、各刃部が用途に応じた合理的な構成となっているので、これを使用することにより、剥ぎ接ぎ法による接ぎ木を、誰もが習熟、熟練を要することなく、極めて容易にかつ迅速に効率良く行える。なお、本発明に係る接ぎ木用刃物は、上記使用例の他、例えば、図2に例示される如くに、ナシの木7等の剪定時あるいはその後に行われる1~2年枝の誘引・捻枝のための傷入れ等にも、利用することができる。

【16】

【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発明によれば、剥ぎ接ぎ法による接ぎ木を行う部位が何処であっても、また、未熟練者であっても、切れ目入れ操作や剥皮操作等を容易に行うことのできる接ぎ木用刃物を提供し得る。
図面
【図1】
0
【図2】
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