TOP > 国内特許検索 > 作物個体別追肥方法及び装置 > 明細書

明細書 :作物個体別追肥方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3225269号 (P3225269)
公開番号 特開2000-279030 (P2000-279030A)
登録日 平成13年8月31日(2001.8.31)
発行日 平成13年11月5日(2001.11.5)
公開日 平成12年10月10日(2000.10.10)
発明の名称または考案の名称 作物個体別追肥方法及び装置
国際特許分類 A01C 21/00      
A01G  7/00      
FI A01C 21/00 Z
A01G 7/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 5
出願番号 特願平11-058843 (P1999-058843)
出願日 平成11年3月5日(1999.3.5)
審査請求日 平成11年3月5日(1999.3.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591075364
【氏名又は名称】農林水産省北海道農業試験場長
発明者または考案者 【氏名】石田 茂樹
【氏名】豊田 政一
【氏名】増田 欣也
個別代理人の代理人 【識別番号】100063565、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 信淳
審査官 【審査官】坂田 誠
参考文献・文献 特開 平3-43022(JP,A)
特開 平7-170830(JP,A)
特開 平6-424(JP,A)
特開 平11-32536(JP,A)
特開 平11-178445(JP,A)
特開 平9-23747(JP,A)
調査した分野 A01C 21/00
A01G 7/00 603
特許請求の範囲 【請求項1】
圃場に栽培されている作物の生育状態をカメラにより撮影し、この撮影した映像を画像処理して作物の位置情報と葉面積情報を得て個体作物の生育状況を把握し、それぞれの個体作物の生育状況に応じて追肥機構を作動させて個体作物毎に施肥量を制御して追肥を行うことを特徴とする作物個体別追肥方法。

【請求項2】
列状に栽培されている作物の各個体の生育状態をカメラにより撮影し、この撮影した映像を画像処理して作物の位置情報と葉面積情報を得て各個体作物の生育状況を把握し、それぞれの個体作物の生育状況に応じて追肥機構に指令を発して追肥量を制御し、以後の作物の生育コントロールを行って作物全体の生育をほぼ平均化させ、一斉収穫を可能にすることを特徴とする請求項1記載の作物個体別追肥方法。

【請求項3】
移動車体に、追肥機構と、作物列を上方から撮影するビデオカメラと、ビデオカメラからの映像を画像処理して個体作物別の位置及び葉面積を計測する画像処理用コンピュータと、個体作物別の位置及び葉面積情報に基づいて追肥機構に制御信号を発して個体作物別に施肥量を制御して施肥する追肥機構制御用コンピュータと、施肥位置センサーを備えたことを特徴とする作物個体別追肥装置。

【請求項4】
上記追肥機構に、ノズル駆動制御用電動クラッチを有する液肥注入ノズル及びノズル駆動兼位置センサーを設けたことを特徴とする請求項3記載の作物個体別追肥装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【01】

【発明の属する技術分野】本発明は、列状に栽培されている作物の個体の大きさを計測し、それぞれの個体に応じて追肥を行って作物全体の生育をほぼ平均化させるようにした作物個体別追肥方法及び装置に関する。

【02】

【従来の技術】北海道のような大規模畑作地帯において一斉機械収穫を前提とした直播野菜栽培体系を確立するには、移植栽培より大きな発芽及び初期生育の不揃いを解消する技術が必要とされる。これらの解決には、品種開発、栽培技術、機械開発など種々な側面からのアプローチが考えられる。しかし、従来の技術では、圃場全体にほぼ均等な量の施肥をすることで作物の管理をしていたため、その時点で生育に差がある個体間の不揃いを解消できない。

【03】

【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは、圃場での作物生育情報を基に、局所的あるいは作物個体毎に生育を調節する作業技術を開発することを目的として本発明を完成させた。

【04】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、以下の手段、構成を有している。

【05】
A.圃場に栽培されている作物の生育状態をカメラにより撮影し、この撮影した映像を画像処理して作物の位置情報と葉面積情報を得て個体作物の生育状況を把握し、それぞれの個体作物の生育状況に応じて追肥機構を作動させて個体作物毎に施肥量を制御して追肥を行う、また、列状に栽培されている作物の各個体の生育状態をカメラにより撮影し、この撮影した映像を画像処理して作物の位置情報と葉面積情報を得て各個体作物の生育状況を把握し、それぞれの個体作物の生育状況に応じて追肥機構に指令を発して追肥量を制御し、以後の作物の生育コントロールを行って作物全体の生育をほぼ平均化させ、一斉収穫を可能にすることを特徴としている。

【06】
B.移動車体に、追肥機構と、作物列を上方から撮影するビデオカメラと、ビデオカメラからの映像を画像処理して個体作物別の位置及び葉面積を計測する画像処理用コンピュータと、個体作物別の位置及び葉面積情報に基づいて追肥機構に制御信号を発して個体作物別に施肥量を制御して施肥する追肥機構制御用コンピュータと、施肥位置センサーを備えた、また、上記追肥機構に、ノズル駆動制御用電動クラッチを有する液肥注入ノズル及びノズル駆動兼位置センサーを設けたことを特徴としている。

【07】

【作用】上記の手段及び構成により本発明の作物個体別追肥方法及び装置は、列状に栽培されている作物の各個体の生育初期における生育状況が把握され、それぞれの個体作物の生育状況に応じて追肥機構からの追肥量を変えて追肥が行われて以後の作物全体の生育がほぼ平均化される。その結果、収穫期に一斉機械収穫が可能となり、畑作物における播種から収穫までの機械化一貫作業体系が確立される。

【08】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して具体的に説明する。図1において、符号1は作物個体別追肥装置(機械)で、移動車体としてのトラクタ2を基幹として、これに各種の装置、機構を装着している。トラクタ2の前側に、トラクタ2の走行と共に作物列を上方から撮影するカラービデオカメラ3を取付けている。また、トラクタ2には、ビデオカメラ3からのカラー映像を画像処理して、個体作物別の葉面積を計測する画像処理用コンピュータ(ノート型)4と、個体作物別の葉面積情報に基づいて後述する追肥機構6に制御信号を発して個体作物別に施肥を行うる追肥機構制御用コンピュータ(ボード型)5とを設けている。

【09】
追肥機構6は、トラクタ2の後部に、三点リンク機構7を介して昇降可能に装着されている。この追肥機構6には、図示省略した液肥タンク及び液肥を後述する液肥注入ノズル10に送る液肥ポンプと、後述するノズル駆動輪兼位置センサー11からの動力を受ける縦長形状のノズル駆動ケース8と、このノズル駆動ケース8に上下一対のクランクアーム9を介して上下回動可能に支持され、圃場に対して地上位置と地中挿入位置とに移動可能の液肥注入ノズル10と、追肥機構6の後方に設けられ、接地車輪及びロータリーエンコーダーからなるノズル駆動輪兼位置センサー11とを備えている。

【10】
また、追肥機構6には、ノズル駆動輪兼位置センサー11からの動力をノズル駆動ケース8に伝達する過程で、追肥機構制御用コンピュータ5から発せられるノズルの駆動信号5aによりオン・オフして液肥注入ノズル10の回転駆動を制御するノズル駆動制御用電動クラッチ12と、追肥機構制御用コンピュータ5から発せられる流量制御バルブの駆動信号5bによって、液肥ポンプにより液肥注入ノズル10に供給される液肥流量を制御する液肥流量制御電磁バルブ13とを設けている。

【11】
トラクタ2の走行によりビデオカメラ3により撮影された作物(例えばキャベツ)の映像は、画像処理用コンピュータ4に入力されて図2及び図3に示すような行程を経て画像処理される。画像処理用コンピュータ4では、図3のようにビデオカメラ3の撮影範囲で撮影された原画像14の1コマをデジタイズし、画像間演算(G-R)を行い、2値化(しきい値=1)し、ノイズ除去してラベリング処理を行う。ラベリング後15の画像は図2の通りである。その後近傍定義・グループ化を行うと図2のグループ化後16の画像になり、この画像から撮影領域周縁部除去を行ってから作物葉面積情報として位置情報と共に追肥機構制御用コンピュータ5に送り、デジタイズに戻る。

【12】
一方、ノズル駆動輪兼位置センサー11においては、接地輪の回転により得られた動力を追肥機構制御用コンピュータ5からの指令によりによりノズル駆動ケース8に伝達して液肥注入ノズル10を回転駆動させる。また、位置センサーとしてのロータリーエンコーダーから得られた位置情報は、追肥機構制御用コンピュータ5に入力される。この位置情報は、追肥機構制御用コンピュータ5から画像処理用コンピュータ4にも送られる。

【13】
追肥機構制御用コンピュータ5では、画像処理用コンピュータ4から送られた個体作物別の葉面積情報に基づいて、ノズルの駆動信号5aと流量制御バルブの駆動信号5bを発し、追肥機構6を作動させる。ノズルの駆動信号5aが発せられると、ノズル駆動制御用電動クラッチ12がオンとなってノズル駆動輪兼位置センサー11からの動力がノズル駆動ケース8に伝達され、クランクアーム9,9を介して液肥注入ノズル10を図1の反時計方向に1回転させる。そして、液肥注入ノズル10は、地上(待機)位置から作物の側方の土中に挿入されて再び地上位置に戻るまで1回転する。流量制御バルブの駆動信号5bは、液肥注入ノズル10が土中に挿入されているときに、液肥流量制御電磁バルブ13を作物の葉面積情報に応じた時間だけ開いて、液肥ポンプにより液肥注入ノズル10に送られる液肥量を調節する。そして、作物の葉面積が狭い(作物の生育が小さい)ものには施肥量を多くし、作物の葉面積が広い(作物の生育が大きい)ものには施肥量を少なくして、以後の作物の生育がほぼ揃うようにする。

【14】
ビデオカメラ3では、トラクタ2の走行中に作物列(畝)を直上約80cmから連続して撮影するが、その映像は毎秒30コマで、画像処理用コンピュータ4の画面入力ボードに送られる。ノズル駆動輪兼位置センサー11からの位置情報は、追肥機構制御用コンピュータ5で計測されて、5マイクロ秒毎に画像処理用コンピュータ4に対して出力される。画像処理用コンピュータ4は、作物個体認識を経て個体の葉面積を計測する。葉面積の値から計算した施肥量の値に、画像取り込み時の作物位置情報を付加して、追肥機構制御用コンピュータ5にオンライン転送する。

【15】
作物の位置情報は、位置センサーの値とビデオ画像内の作物中心位置とから補正されるので、同一個体がカメラのファインダ内で移動して再度計測されても、その作物個体の位置情報は変化しない。追肥機構制御用コンピュータ5は、作物位置情報及び、ビデオカメラ3と液肥注入ノズル10の距離とから液肥注入ノズル10を駆動させる位置を計算し、その位置と施肥量をメモリに記憶する。現在位置とメモリ内の位置情報を比較して、液肥注入ノズル10を回転させるべき位置に到達したときに、ノズル駆動制御用電動クラッチ12を接続させ、液肥注入ノズル10の回転を開始させる。

【16】
これらの各作業における制御をさらに詳細に示したのが、図4及び図5のフローチャートである。図4では画像処理と施肥機構制御の連動関係全体を、図5では施肥機構の制御をさらに詳しく説明している。

【17】

【発明の効果】以上説明したように本発明による作物個体別追肥方法及び装置によれば、以下の作用効果を奏することができる。

【18】
.圃場に栽培されている作物の生育状態をカメラにより撮影し、この撮影した映像を画像処理して作物の位置情報と葉面積情報を得て個体作物の生育状況を把握し、それぞれの個体作物の生育状況に応じて追肥機構を作動させて個体作物毎に施肥量を制御して追肥を行う、また、列状に栽培されている作物の各個体の生育状態をカメラにより撮影し、この撮影した映像を画像処理して作物の位置情報と葉面積情報を得て各個体作物の生育状況を把握し、それぞれの個体作物の生育状況に応じて追肥機構に指令を発して追肥量を制御し、以後の作物の生育コントロールを行って作物全体の生育をほぼ平均化させ、一斉収穫を可能にする作物個体別追肥方法であるので、列状に栽培されている作物の各個体の生育初期における生育状況を把握し、それぞれの個体作物の生育状況に応じて追肥機構からの追肥量を変えて追肥を行うことができる。その結果、以後の作物全体の生育がほぼ平均化され、収穫時に一斉機械収穫を行うことができ、畑作物における播種から収穫までの機械化一貫作業体系を確立することができる。

【19】
.移動車体に、追肥機構と、作物列を上方から撮影するビデオカメラと、ビデオカメラからの映像を画像処理して個体作物別の位置及び葉面積を計測する画像処理用コンピュータと、個体作物別の位置及び葉面積情報に基づいて追肥機構に制御信号を発して個体作物別に施肥量を制御して施肥する追肥機構制御用コンピュータと、施肥位置センサーを備えた、また、上記追肥機構に、ノズル駆動制御用電動クラッチを有する液肥注入ノズル及びノズル駆動兼位置センサーを設けた作物個体別追肥装置であるので、移動車体の移動と共にビデオカメラにより撮影された映像を画像処理用コンピュータにより画像処理して個体作物別の位置及び葉面積を計測し、この個体作物別の位置及び葉面積情報に基づいて追肥機構制御用コンピュータから追肥機構に制御信号を発して、位置情報と共に各個体作物別に施肥量を変えた追肥作業を実施することができる。そして、以後の作物全体の生育をほぼ平均化させることができ、収穫時に一斉機械収穫を可能にする。
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図2】
2
【図4】
3
【図5】
4