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明細書 :土壌サンプラー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3229966号 (P3229966)
公開番号 特開2000-227388 (P2000-227388A)
登録日 平成13年9月14日(2001.9.14)
発行日 平成13年11月19日(2001.11.19)
公開日 平成12年8月15日(2000.8.15)
発明の名称または考案の名称 土壌サンプラー
国際特許分類 G01N  1/08      
E02D  1/04      
G01N 33/24      
A01G  7/00      
FI G01N 1/08 D
G01N 1/08
E02D 1/04
G01N 33/24
A01G 7/00
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願平11-027036 (P1999-027036)
出願日 平成11年2月4日(1999.2.4)
審査請求日 平成11年2月4日(1999.2.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591224478
【氏名又は名称】農林水産省北陸農業試験場長
発明者または考案者 【氏名】小林 恭
【氏名】帖佐 直
【氏名】鳥山 和伸
【氏名】柴田 洋一
【氏名】佐々木 良治
【氏名】浅野 修
【氏名】廣川 誠
個別代理人の代理人 【識別番号】100063565、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 信淳
審査官 【審査官】本郷 徹
参考文献・文献 特開 昭60-175695(JP,A)
特開 平7-90831(JP,A)
特開 平11-14513(JP,A)
特許2733460(JP,B2)
実公 平7-48747(JP,Y2)
調査した分野 G01N 1/00 - 1/44
E02D 1/00 - 1/08
G01N 33/24
A01G 7/00 - 7/06
特許請求の範囲 【請求項1】
地表から数十cm程度の土壌の理化学性分析用試料を得るための土壌サンプラー(1)において、
農用車両(2)等に装備されている油圧制御昇降装置(3)に、透明で弾性を有し、底部から途中まで縦方向に1本の切れ目(15)を入れた合成樹脂製の採土用円筒(9)を装着し、この採土用円筒(9)を油圧制御により地中にほぼ垂直に所定の深さ挿入した後引き抜き、円筒(9)内に填入された土壌を採取し、採取された試料を円筒(9)から取り出すことなく、試料採取の成否が判断でき、かつ、試料の全長及び土層の厚さを外側から測定できるようにしたことを特徴とする土壌サンプラー。

【請求項2】
上記採土用円筒(9)に形成された切れ目(15)の途中に切欠き部(16)を設け、採取された試料を円筒(9)から取り出すときに、該切欠き部(16)に付属の開溝具(18)を用いて切れ目(15)を広げることにより、少ない力で円筒(9)から土壌を取り出せるようにしたことを特徴とする請求項1記載の土壌サンプラー。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【01】

【発明の属する技術分野】本発明は、地表から数十cm程度の土壌に省力的に、しかも、土壌構造を破壊することなく採取するための土壌サンプラーに関する。

【02】

【従来の技術】従来、人力(操作)式の土壌サンプラーが知られている。この人力式土壌サンプラーは、上端部に柄と左右方向に延びるハンドルのついた金属製の円筒を、人力で捻る(水平方向に往復回動させる)ようにして地中に押し込み、押し込みが困難な深さに達すると、ハンドル中央部をハンマーで叩き土中に打ち込むようにしている。そして、人力によって引き抜いている。引き抜かれた金属製円筒は2つに分かれ、円筒内に填入された土壌を静かに持ち上げて取り出すようにしている。金属製円筒を2つに分ける理由は、円筒内に填入した土壌のコンパクションが強く、プランジャ一等で押し出すことは著しく困難であり、押し出せたとしても土壌が崩壊したり、土壌構造が破壊される恐れが大きいためである。しかし、2つに分ける場合は、再度、土壌採取を行うために分離した円筒を組立て直す手間がかかるという問題がある。

【03】

【発明が解決しようとする課題】土壌の理化学性を精密に調査するためには、できる限り多くの試料を採取する必要があり、しかも、土壌の組織構造を壊すことがあってはならない。全てを人力で行う従来の場合は、重労働であり、しかも、一点の試料採取ごとに金属円筒の分解・組立てを繰り返す必要があるため能率が悪く、多くの採取点数は望めない。また、採土用円筒を地中に挿入したり引き抜く際の捻り作用、ハンマーによる叩打によって生じる衝撃、及び金属の採土用円筒から土壌を取り出す際の外力により、土壌が崩壊し試料の全長や土層厚さが測定不能となるなど試料価値が損なわれる場合も少なくない。土壌採取装置としては、地下深部を対象とするボーリング装置などがあるが、重作業機を必要とするうえ、地表面下数十cm程度の浅い土壌を多数採取する目的にはそぐわない。

【04】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、油圧装置により土壌サンプルを迅速に採取することで、重労働を解消し、これまでは困難であった多量の試料採取が短時間のうちに行え、かつ、試料の基礎情報である全長及び土層厚さが確実に測定でき、土壌構造を破壊することなく容易に試料が取り出せるような土壌採取技術、土壌サンプラーを提供することを目的とする。

【05】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を有している。
A.地表から数十cm程度の土壌の理化学性分析用試料を得るための土壌サンプラー1において、

【06】
B.農用車両2等に装備されている油圧制御昇降装置3に、透明で弾性を有し、底部から途中まで縦方向に1本の切れ目15を入れた合成樹脂製の採土用円筒9を装着し、この採土用円筒9を油圧制御により地中にほぼ垂直に所定の深さ挿入した後引き抜き、円筒9内に填入された土壌を採取し、採取された試料を円筒9から取り出すことなく、試料採取の成否が判断でき、かつ、試料の全長及び土層の厚さを外側から測定できるようにしたことを特徴としている。

【07】
C.上記採土用円筒9に形成された切れ目15の途中に切欠き部16を設け、採取された試料を円筒9から取り出すときに、該切欠き部16に付属の開溝具18を用いて切れ目15を広げることにより、少ない力で円筒9から土壌を取り出せるようにしたことを特徴としている。

【08】

【作用】上記の構成により本発明の土壌サンプラーは、以下の作用を行う。
.農用車両等に装備されている油圧制御昇降装置及び土壌サンプラーに設けた油圧シリンダにより、合成樹脂製の採土用円筒を地中にほぼ垂直に所定の深さ挿入した後引き抜き、円筒内に填入された土壌を採取することで、人力による土壌採取の重労働が解消され、これまでは困難であった多量の試料採取が短時間のうちに行える。また、採土用円筒を合成樹脂としたため、安価となり、多数の採土用円筒を用意し、土中から引き抜いた後は、直ちに新たな採士用円筒を装着して次の採取を行う,高能率な作業が可能となる。

【09】
.採土用円筒の材質を弾性のある合成樹脂とし、この円筒の縦方向に1本の切れ目を円筒の先端から途中まで入れると共に該切れ目の途中に切欠き部を設け、この切欠き部を付属の開溝具により広げて切れ目を広げ、少ない力で円筒から土壌を取り出せるから、土壌構造を破壊することなく容易に試料が取り出せる。また、採土用円筒が弾性を有しているので、何度も同じ状態で使用できる。

【10】
.採土用円筒は透明な合成樹脂製であり、採取された試料を円筒から取り出さない状態で試料採取の成否を判断でき、かつ、試料の全長及び土層の厚さを外側から測定できるから、試料の基礎情報である全長及び土層厚さが迅速、かつ確実に測定される。

【11】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。図1及び図2において、符号1は本発明に係る土壌サンプラーで、図5に示すクローラタイプの農用トラクタ(農用車両)2に装備されている周知の3点リンク(油圧制御昇降装置)3に装着されて使用される。この土壌サンプラー1は、取付け枠4に地面に対し鉛直下向きに固定された油圧シリンダ5のピストンロッド6の先端に、連結ピン7により円筒取付け継手8を取付け、この円筒取付け継手8に対して合成樹脂製の採土用円筒9を取付け用ピン穴10及び図示しないピンを介して着脱自在に装着するようにしたものである。

【12】
土壌サンプラー1を農用トラクタ2の3点リンク3に装着するには、図5及び図6に示すように、土壌サンプラー1の上端部、即ち、取付け枠4の頂部に設けたトップリンク継手11、及び取付け枠4の下端部に設けたロアリンク継手12を、3点リンク3のトップリンク13及びロアリンク14に連結する。そして、農用トラクタ2による圃場の移動、及び停止状態での3点リンク3による土壌サンプラー1全体の昇降、油圧シリンダ5の作動により採土用円筒9の地中への挿入、所定深さで停止して引き抜く動作を、農用トラクタ2の操縦席の近傍に設けた油圧操作レバー2aのl度の操作により自動的に行い、円筒9内に填入された土壌を採取する。

【13】
油圧シリンダ5への圧油供給、及びピストンロッド6の伸縮による採土用円筒9の昇降制御は、農用トラクタ2本体の油圧回路と連繋することにより容易に行える。農用トラクタ2は、この実施例では30馬力のクローラタイプであるが、車輪タイプであってもよいことはもちろん、小型土木用車輌、フォークリフトのような油圧昇降装置を備えた車輌でもよいものである。採土用円筒9の地中への挿入速度は、この実施例ではlcm/s程度の早さにしているが、土壌の状態によっては、これより早く、あるいは遅くしてもよい。

【14】
採土用円筒9は、弾性のある透明な合成樹脂により、中空円筒に形成されており、図3に示すように、その底部から上部にかけて全長の2/3程度の長さの切れ目15が1筋入れられている。この切れ目15の途中には、長方形をした切欠き16が形成してある。また、採土用円筒9の先端部にはテーパー17が形成されており、土壌への貫入抵抗を少なくするようにしている。図4に示す採土用円筒9に付属の開溝具18は、開溝部19と開溝ハンドル20とからなり、開溝部19を切欠き16に挿入して開溝ハンドル20により捻ると、切れ目15が広がり、その結果、僅かな力で採土用円筒9から土壌柱を図示しない円柱状のプラスチック製プランジャーにより押し出すことができ、土壌構造を破壊することはない。

【15】
土壌を取出した後の採土用円筒9は、その弾性により再び元の形状に戻るので何度でも元のかたちのままで用いることができる。円筒9の先端部にはテーパー17が形成されているため、土中への挿入抵抗は少なく、また、切れ目15は側面の1個所のみであり、しかも、円筒9の途中までしか入っていないため、土中挿入中の変形は少なく、通常の硬さの土壌であれば問題なく使用できる。土中から引き抜いた採土用円筒9は、円筒取付け継手8から外されて、採取された試料を取出して分析する。本発明では、円筒9が透明であるため、円筒9から試料を押し出す前に採取した試料の全長、異なる土層ごとの厚さ等を精度よく測定することができる。なお、図示しないが、円筒9自体に長さ計測用の目盛りを刻設してもよい。

【16】
この実施例における採土用円筒9は、全長4O0mm、直径7Omm、肉厚5mm、切れ目15の幅2mm、切れ目15の長さ25Omm、材質は塩化ビニールであるが、土壌の状態や採取目的に応じて、その形状、寸法、材質を変更することは容易である。また、実施例では、採土用円筒9の円筒取付け継手8への着脱はピンの抜き差しにより行っているが、この方法も、バネ等を用いたワンタッチの自動固定式にするなどの変更は容易である。

【17】
採土用円筒9は合成樹脂製で安価なので、上記従来例の人力ようの土壌サンプラーのように、一回の採取ごとに土壌を円筒から取出すのではなく、多数の採土用円筒9、9…を用意し、試料採取後に土中から引き抜いた後は、直ちに新たな採土用円筒9を装着して次の採取を行う高能率な作業が可能である。このような作業を行えば、1回の土壌採取はおよそ1分で完了し、従来の約1/3となる。採取作業終了後は採土用円筒9内に試料を入れたまま運搬・保存し、必要に応じて円筒9から取出し分析に供するという効率的なシステムが構築できる。

【18】

【発明の効果】以上説明したように本発明の土壌サンプラーによれば、以下の効果を奏することができる。

【19】
.油圧により土壌を迅速に採取することで、従来のような人力による土壌採取の重労働が解消され、これまでは困難であった多量の試料採取が短時間のうちに行うことができる。また、採土用円筒を合成樹脂としたため、安価となり、多数の採土用円筒を用意し、土中から引き抜いた後は、直ちに新たな採士用円筒を装着して次の採取を行う,高能率な作業が可能となった。その結果、採取時問は従来の約1/3となった。試料採取作業終了後は円筒内に試料を入れたまま運搬・保存し、必要に応じて円筒から取り出し分析に供する効率的なシステムが構築できる。このような場合に、試料採取位置、採取時間、その他調査に必要な情報をバーコード化し、採土用円筒に添付することは容易である。

【20】
.採土用円筒から土壌構造を破壊することなく容易に試料が取出すことができる。また、採土用円筒が弾性を有しているので、何度も同じ状態で使用することができる。

【21】
.採土用円筒に採取された試料の基礎情報である全長及び土層厚さを迅速、かつ確実に測定することができる。
図面
【図1】
0
【図4】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図5】
4
【図6】
5