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明細書 :遺伝子型の判定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3005668号 (P3005668)
公開番号 特開平10-136985 (P1998-136985A)
登録日 平成11年11月26日(1999.11.26)
発行日 平成12年1月31日(2000.1.31)
公開日 平成10年5月26日(1998.5.26)
発明の名称または考案の名称 遺伝子型の判定方法
国際特許分類 C12N 15/09      
C07H 21/04      
C12Q  1/68      
FI C12N 15/00 ZNAA
C07H 21/04
C12Q 1/68
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願平08-312654 (P1996-312654)
出願日 平成8年11月11日(1996.11.11)
審査請求日 平成8年11月11日(1996.11.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390026169
【氏名又は名称】農林水産省畜産試験場長
発明者または考案者 【氏名】千國 幸一
【氏名】田邉 亮一
【氏名】室谷 進
個別代理人の代理人 【識別番号】100074077、【弁理士】、【氏名又は名称】久保田 藤郎
審査官 【審査官】引地 進
参考文献・文献 J.Lipid Res.32[1](1991)p.183-187
実験医学 (1990)第8巻 第4号 p.371-374
特許請求の範囲 【請求項1】
変異部位を含むDNA領域を、全遺伝子型から増幅できる1組のプライマーと該プライマーによって挟まれた位置に遺伝子型を決定する変異部位の配列を3’末端にもつプライマーを共存させたポリメラーゼ連鎖反応により増幅させ、得られた反応産物を電気泳動法によって分析し、当該反応産物の長さから遺伝子型を判定することを特徴とする遺伝子型の判定方法。

【請求項2】
牛の成長ホルモン遺伝子のエキソン5に存在する2ヵ所の塩基置換を含む領域について、請求項1記載の方法により遺伝子型を判定するにあたり、全遺伝子型を増幅できる1組のプライマーとして配列番号1記載のGH4Fと配列番号2記載のGH5Rを用い、変異特異的プライマーとして配列番号3記載のGHAR及び/又は配列番号4記載のGHABRを用いることにより、遺伝子型を判定する方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【01】

【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子型の判定方法に関し、詳しくは変異部位を含むDNA領域を、全遺伝子型から増幅できる1組のプライマーと遺伝子型を決定する変異部位の配列を3’末端にもつプライマーを共存させたポリメラーゼ連鎖反応により増幅させ、得られた反応産物を電気泳動法によって分析することによって生物の遺伝子型を判定する方法に関する。

【02】

【従来の技術】遺伝子型の違いは、DNAの塩基配列に生じる塩基の置換,挿入または欠失によって引き起こされる。ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase chain reaction、以下PCRと言う。)法を利用した遺伝子型の判定には、変異に特異的なプライマーで増幅する方法、PCR産物を制限酵素で切断する方法(PCR-RFLP)、PCR産物をハイブリダイゼイションで判定する方法、PCR産物の1本鎖高次構造多型解析法(PCR-SSCP)等がある。

【03】
このうち、変異に特異的なプライマーで増幅する方法は、遺伝子型をPCR産物の有無で判定するため、ヘテロ型をホモ型から識別することが不可能であり、変異塩基の種類によっては、非特異的な増幅が起こる。また、その他の方法についても、PCRの後に複雑な操作の手順が必要とされ、いずれも簡易な分析方法ではない。

【04】

【発明が解決しようとする課題】そこで、ヘテロ型及びホモ型の遺伝子型を判定でき、しかも微小な塩基の変異に起因する生物の遺伝子型の違いを簡易に同定する方法の開発が望まれている。本発明は、微少な塩基変異に起因する生物の遺伝子型の違いを簡便に同定する方法の提供を目的とする。本発明者らは、上記の課題について鋭意研究を重ねた結果、変異部位を含むDNA領域を増幅する1組のプライマーと3’末端が変異部位に相当するプライマーを共存させてPCRを行うと、遺伝子型によって反応産物の長さが異なることを見出した。この知見に基づいて、PCRを行い、その反応産物の長さを分析することによって、塩基の変異に起因する生物のすべての遺伝子型の違いを簡易に判定する本発明の方法に到達した。

【05】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、変異部位を含むDNA領域を、全遺伝子型から増幅できる1組のプライマーと該プライマーによって挟まれた位置に遺伝子型を決定する変異部位の配列を3’末端にもつプライマーを共存させたPCRにより増幅させ、得られた反応産物を電気泳動法によって分析し、当該反応産物の長さから遺伝子型を判定することを特徴とする遺伝子型の判定方法である。

【06】

【発明の実施の形態】本発明では、変異部位を含むDNA領域を、全遺伝子型から増幅できる1組のプライマーと該プライマーによって挟まれた位置に遺伝子型を決定する変異部位の配列を3’末端にもつプライマーの2種を共存させてPCRを行い、得られた反応産物の長さを電気泳動法により分析し、その遺伝子型の判定を行うものである。

【07】
変異特異的なプライマーの位置は、共通プライマーで増幅される領域の中に含まれているようになっているため、変異特異的なプライマーから増幅される遺伝子型は短い産物を生産し、該当しない遺伝子型は長い産物を生産する。すなわち、3’末端を変異部位とするプライマーからは、その配列に該当する遺伝子型のDNAの反応産物、つまりその変異部位から増幅が開始されるため、遺伝子型共通プライマーからの産物よりも短い産物ができる。しかし、遺伝子型共通プライマーからの産物は、この変異特異的プライマーからの産物に妨害されるため、ほとんど増幅されない。したがって、3’末端に変異部位を有するプライマーに該当する遺伝子型からは、その変異部位から増幅される短い産物が主にできる。一方、変異特異的プライマーに該当しない遺伝子型からは、共通プライマーからの産物だけが生産される。

【08】
遺伝子型がヘテロ型の場合は、両遺伝子型のDNAが存在するため、2種類の産物ができることから、ヘテロ型であると判定することができる。なお、複数の変異部位が領域内に存在する場合も、それらの変異部位を含めて増幅する1組のプライマーと複数の変異特異的なプライマーを共存させてPCRにより増幅させ、以下前記と同様に行うことにより、遺伝子型を判定することが可能である。

【09】
本発明の方法に用いるDNAやプライマーは、通常のPCRに用いられるグレードのもので良い。また、プライマーは、PCRの常法に用いられるものと同様に、DNA合成機により合成することができ、20~30mer程度のもの、好ましくは25~30merのものを用いる。本発明では、このDNAを鋳型とし、得られたプライマーを用いてPCRによりDNAの増幅を行う。すなわち、200μl容プラスチック試験管に鋳型DNA,耐熱性DNAポリメラーゼ,dNTPs,プライマー,反応液および蒸留水を混合し、必要に応じて鉱物油で試験管を覆い、PCR機(例えばPERKIN ELMER社製)にかける。反応工程は、熱変性93~98℃10~60秒、アニーリング50~65℃10~60秒、伸長反応65~76℃10~240秒、好ましくは熱変性94℃30秒、アニーリング60℃45秒、伸長反応72℃45秒を1サイクルとし、これを30~40回、好ましくは35~40回行う。次に、このPCRによって得られた産物を電気泳動分析する。ここで、電気泳動分析は常法によって行えばよく、例えば4%アガロースを含むTAE緩衝液ゲル中で、100Vの電圧をかけて電気泳動し、分離したDNAバンドパターンを分析する。これにより、遺伝子型を判定することができる。

【10】
本発明を利用した遺伝子型判定キットを作成することにより、遺伝子型の違いに起因する生物の生理的な相違を予測することが可能となり、各種疾病の遺伝子治療や植物等の品種改良などを行うことができる。

【11】

【実施例】以下に、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
牛の成長ホルモン遺伝子のエキソン4および5において、エキソン5のコドン127および172に存在する2ヵ所の塩基置換を含む領域について、以下の手順で、遺伝子型の判定を行った。なお、コドン127,172の塩基の変異については、第1表に示す。

【12】

【表1】
JP0003005668B2_000002t.gif【0013】1)プライマーの合成
プライマーの合成は、試薬会社に依頼した。合成したプライマーはGH4F,GH5R,GHARおよびGHABRであり、これらは配列表の配列番号1~4に記載した塩基配列を有する。

【14】
合成した牛の成長ホルモン遺伝子のエキソン4および5に対するプライマーのうち、全遺伝子型を増幅できる1組のプライマーをGH4F(配列番号:1),GH5R(配列番号:2)とした。このプライマーを用いたPCRによって、656bpの増幅産物が得られる。また、変異特異的なプライマーとして、エキソン5におけるコドン127の変異部位を3’末端にもつプライマーをGHAR(配列番号:3)とした。このプライマーによって、347bpの増幅産物が得られる。

【15】
2)PCR
DNA100ngを鋳型として、200μM dNTPs,0.4μM プライマー(GH4F,GH5R)および0.1μM プライマー(GHAR)に、0.5ユニットのTaqポリメラーゼ(PERKIN ELMER社製)を加えて20μlの反応液とした。PCR機(PERKIN ELMER社製)を用い、熱変性94℃30秒、アニーリング60℃45秒、伸長反応72℃45秒を1サイクルとし、これを40回行った。

【16】
3)電気泳動分析
次に、上記のPCRによって得られた産物を、電気泳動分析する。電気泳動装置としては、コスモ・バイオ社製のミューピッドを用いた。ゲルトレーに泳動ゲル(組成は、4%アガロース,TAE緩衝液)を作成し、PCRによって増幅したDNAを添加した。次いで、100Vの電圧をかけて電気泳動し、分離したDNAバンドパターンを常法により染色し、分析した。DNA分子量マーカーとして、φ×174DNA/HincII digestを用いた。分子量マーカーの大きさは、大きい方から順に1057,770,612,495,392,345bpである。この電気泳動の泳動像を図1に示す。

【17】
実施例2
変異特異的なプライマーとして、GHARの代わりに、エキソン5のコドン172の変異部位を3’末端にもつプライマーであるGHABR(配列番号:4)を用いたこと以外は、すべて実施例1と同様に行った。このプライマーによって、483bpの増幅産物が得られた。この電気泳動の泳動像を図2に示す。

【18】
実施例3
変異特異的なプライマーとして、エキソン5のコドン127の変異部位を3’末端にもつプライマーのGHAR(配列番号:3)、コドン172の変異部位を3’末端にもつプライマーのGHABR(配列番号:4)を用いたこと以外は、すべて実施例1と同様に行った。この電気泳動の泳動像を図3に示す。ヘテロ型のものには、大きさの異なる2本の増幅産物が見られ、ホモ型のものと異なる泳動像が得られた。

【19】

【発明の効果】本発明の方法によれば、PCR産物は遺伝子型に特異的な長さを示すので、PCR産物を通常の電気泳動法で分離するだけで、ヘテロ型およびホモ型の遺伝子型を簡便、かつ正確に判定することができる。

【20】

【配列表】

【21】
配列番号:1
配列の長さ:29
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
起源:
生物名:ウシ
配列の特徴
特徴を表す記号:exon
特徴を決定した方法:E
配列:
TCTATGAGAA GCTGAAGGAC CTGGAGGAA 29

【22】
配列番号:2
配列の長さ:30
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
起源:
生物名:ウシ
配列の特徴
特徴を表す記号:exon
特徴を決定した方法:E
配列:
CCAGAATAGA ATGACACCTA CTCAGACAAT 30

【23】
配列番号:3
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
起源:
生物名:ウシ
配列の特徴
特徴を表す記号:exon
特徴を決定した方法:E
配列:
CGGGGGGTGC CATCTTCCAG 20

【24】
配列番号:4
配列の長さ:22
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
起源:
生物名:ウシ
配列の特徴
特徴を表す記号:exon
特徴を決定した方法:E
配列:
ATGACCCTCA GGTACGTCTC CG 22
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2