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明細書 :管水路の空気排除装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第2979144号 (P2979144)
登録日 平成11年9月17日(1999.9.17)
発行日 平成11年11月15日(1999.11.15)
発明の名称または考案の名称 管水路の空気排除装置
国際特許分類 E03C  1/122     
E03B  7/07      
FI E03C 1/122 Z
E03B 7/07
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願平10-270196 (P1998-270196)
出願日 平成10年9月24日(1998.9.24)
審査請求日 平成10年9月24日(1998.9.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391027136
【氏名又は名称】農林水産省農業工学研究所長
発明者または考案者 【氏名】中 達雄
【氏名】相川 泰夫
【氏名】小林 宏康
【氏名】島崎 昌彦
【氏名】臼杵 宣春
個別代理人の代理人 、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
審査官 【審査官】宮崎 恭
調査した分野 E03C 1/122
E03B 7/07
要約 【課題】 流入水槽から連行される空気を効率よく排除するとともに、通気装置のコンパクト化、流入水槽との一体構造化を図る。
【解決手段】 上部が開放し管水路の本管13に接続される空気集積槽12と、流入水槽10と空気集積槽12とを接続する接続管11とを備える。空気集積槽12及び接続管11は本管13の1.9~2.1倍の直径を有し、流入水槽10と接続管11との接続部から空気集積槽12の下流壁までの距離は本管13の直径の4倍以上とする。
特許請求の範囲 【請求項1】
自由水面を持つ流入水槽から管水路内に混入・連行された空気を排除する管水路の空気排除装置において、管水路の本管に接続される上部が開放した空気集積槽と、前記流入水槽と前記空気集積槽とを接続する接続管とを備え、前記空気集積槽及び前記接続管は前記本管の1.9~2.1倍の直径を有し、前記流入水槽と前記接続管との接続部から前記空気集積槽の下流壁までの距離は前記本管の直径の4倍以上であることを特徴とする管水路の空気排除装置。

【請求項2】
前記空気集積槽及び前記接続管は既製のT字管を加工して製作されていることを特徴とする請求項1記載の管水路の空気排除装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【01】

【発明の属する技術分野】本発明は、農業用水、上下水道、工業用水等の管水路に混入・連行される空気を排除する装置に関する。

【02】

【従来の技術】パイプラインでは、管路内に混入・連行された空気の滞留量が多くなると、流れを阻害するだけではなく、サージングやエアハンマーを生じさせて送配水施設に悪影響を及ぼすおそれがある。一般に、取水施設やスタンド形分水工、調整施設等の自由水面を持つパイプライン系では、落下水脈によって空気が連行され、気泡となって管水路内に混入するため、空気除去用の通気装置が設けられている。

【03】
農林水産省構造改善局監修の土地改良事業計画設計基準・設計「パイプライン」基準書・技術書(1998)(以下、設計基準という)では、配水槽あるいはスタンドから管水路へ流入する流入口の下流側では、空気混入及び流れの収縮によって局部的な圧力低下を生じやすいので、空気を排除する装置を設ける必要があり、通気孔が一般に使用されるとしている。

【04】
図3は、設計基準に記載されている通気孔の設置例を示すものである。流入水槽30への流水によって気泡が発生する。流入水槽30から流れに混入・連行された空気を排除するために、直径Dの管水路31の途中に通気孔32が設置される。設計基準によると、通気孔32の口径は通常、直径50~200mmの範囲であり、縮流部の射流水深hは通常h=0.61Hで求め、流入水槽30と管水路31との接続部から通気孔32までの距離Lを7~10D離す必要があるとしている。

【05】
また、設計基準では、通気スタンドは、水撃圧緩和の役割を兼用させるため大容量の吸排気能力をもたせる必要がある場合に、減圧調整、監査孔等の役割を兼用させることが多いとしている。通気スタンドには、管路と同径のT字管を使用して立上り管に遠心力鉄筋コンクリート等を用いた「ストレートベント型スタンド」や、内寸法が管路の通水断面と同等以上の鉄筋コンクリートのボックススタンドを設けた「ボックスベント型スタンド」などがあるとしている。

【06】

【発明が解決しようとする課題】図3に示した通気孔装置に関し、管水路31の直径をD=100mm、流入水槽30と管水路31との接続部(管水路呑口)から通気孔32までの距離LをL=900mm(9D)とした装置で実験を行った。その結果、管水路31の呑口部から流入した空気混入水は縮流し、管水路呑口に空間33ができている。流入水槽30で流れの中に混入した空気の一部は、通気孔32の下流に混入することがあった。また、管水路31内の流れが変動して脈動状態となっており、通気孔32から水が噴出されることがあった。

【07】
また、通気スタンドの応用装置として、図4のように、流入水槽40と接続管41で接続される通気スタンド42の直径を管水路43の直径より大きくし、大気に接する面積を増やして、流れに混入した空気を浮上しやすくさせた改良型の通気スタンドを試作した。管水路43の直径をD=100mm、流入水槽40と接続管41との接続部から通気スタンド42下流壁までの距離をL=800mm(8D)、通気スタンド42の開口部を流入水槽40と同一の直径300mm(3D)とした。その結果、流入水槽40と接続管41との接続部付近に発生する縮流は、通気孔装置の場合より規模が小さくなったものの、流れに混入した空気の一部が通気スタンド42を通過して、さらに下流へ混入することがあることが判明した。

【08】
このように、従来の通気装置では、通気装置から下流へとさらに空気が混入することがある。更に、通気孔を用いる場合には通気孔は管水路呑口から7D以上離して設置され、また、通気スタンドを用いる場合には管水路呑口から通気スタンド下流壁まで8D程度の距離があり、通気装置が大型になるという問題があった。本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、流入水槽から連行される空気を効率よく排除するとともに、通気装置の設置位置をできる限り水槽に近づけて、通気装置のコンパクト化、流入水槽との一体構造化を図り、工期短縮等による経費削減を図ることのできる空気排除装置を提供することを目的とする。

【09】

【課題を解決するための手段】図4に示す通気スタンドを改良した装置では、通気スタンドを素通りして下流へ混入する空気があった。そこで、図5に示す連行空気排除装置を試作した。この連行空気排除装置は、空気を集積して排除する空気集積槽52を設置するとともに、流入水槽50と空気集積槽52を接続する接続管51の直径を管水路53の直径の2倍に大きくして流速を遅くし、空気の浮上速度を速めることを狙ったものである。管水路53の直径をD=100mmとし、接続管の直径を2D(200mm)、流入水槽50と接続管51との接続部から空気集積槽52下流壁までの距離LをL=800mm(8D)、空気集積槽52の開放部を流入水槽50と同一の直径300mm(3D)とした。

【10】
その結果、流入水槽50で流れの中に混入して連行された空気は、そのほぼ全量を空気集積槽52において効率よく排除することができ、縮流による空隙の発生はなかった。しかし、流入水槽50と接続管51との接続部から空気集積槽下流壁まで8D程度の距離があり、通気装置のコンパクト化の点では不満足なものであった。

【11】
次に、図6に示すように、流入水槽60と空気集積槽62を接続する接続管61の直径を管水路63の本管の1.5倍とした連行空気排除装置を試作した。管水路63の直径をD=100mmとし、接続管61の直径は1.5D(150mm)、流入水槽60と接続管61との接続部から空気集積槽62下流壁までの距離LはL=500mm(5D)、空気集積槽62の開放部は流入水槽60と同一の直径200mm(2D)とした。

【12】
その結果、縮流による空隙は発生しないものの、流入水槽60内の水深が浅いと、空気集積槽62で排除されなかった一部の空気が、さらに下流の管水路63に混入することがあった。このように、接続管61の直径を管水路63の1.5倍にしても、流入水槽60と接続管61との接続部から空気集積槽62下流壁までL=5D程度の距離が必要である。

【13】
本発明は、このような実験の積み重ねの上に完成されたものであり、流入水槽から管水路内に連行される空気を排除する管水路の連行空気排除装置において、管水路の本管に接続される上部が開放した空気集積槽と、流入水槽と空気集積槽とを接続する接続管とを備え、空気集積槽及び接続管は本管の1.9~2.1倍の直径を有し、流入水槽と接続管との接続部から空気集積槽の下流壁までの距離は本管の直径の4倍以上であることを特徴とする。空気集積槽及び接続管は既製のT字管を加工して製作することができる。

【14】
本発明によると、流入水槽と空気集積槽を接続する接続管の直径を管水路本管の約2倍に太くして流速を遅くし、空気を浮上しやすくして流れに混入した空気を効率よく排除することができる。同時に、空気集積槽の開口部と接続管の直径を同一とし、しかも従来より短くすることで、既製のT字管を用いて流入水槽、接続管、空気集積槽の一体化、構造の簡略化を図ることができる。

【15】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明による管水路の連行空気排除装置の一例を示す概略図である。流入水槽10と空気集積槽12とは接続管11で接続されている。管水路13の直径をDとするとき、空気集積槽12と接続管11は同じ直径2Dを有する。空気集積槽12と接続管11の直径2Dは、管水路13の直径Dにのみ依存し、流入水槽10の直径には依存しない。流れが流入水槽10に入るとき気泡が発生するが、空気を混入・連行する流れは管水路13の2倍の直径を有する接続管11中で流速が遅くなり、連行された空気は浮上しやすくなる。こうして浮上した空気は空気集積槽12で排除され、空気集積槽に接続された管水路13には空気を含まない流れが流入する。

【16】
図2は、既製のT字管を用いて本発明の空気排除装置を製作する方法を説明する図である。図示するように、直径2Dの既製T字管20の背面に直径Dの管水路22を接続するための開口21を加工し、底面に蓋23をして立上がり管24を接続するだけで、空気排除装置を製作することができるため、従来の空気排除装置に比較して加工・据付けが極めて簡単である。

【17】
図1において、管水路13の直径をD=100mm、空気集積槽12の開口部と接続管11の直径を管水路13の直径Dの2倍(200mm)とした空気排除装置を製作し、接続管11の長さを変えて実験を行った。その結果、流入水槽10と接続管11との接続部から空気集積槽12の下流壁までの距離がL=500mm(5D)以上であると、混入空気のほぼ全量を効率よく排除することができた。また、流入水槽10と接続管11との接続部から空気集積槽12の下流壁までの距離がL=400mm(4D)であると、ときおり管水路13に気泡粒が混入することがあったが、管水路13内の流水に影響を及ぼすものではなかった。L=400mm(4D)以上の時、管水路13の水頭高は安定しており、流れに大きな変動は見受けられなかった。なお、ここでは空気集積槽12と接続管11の直径を管水路13の直径Dの2倍(2D)として説明したが、空気集積槽12と接続管11の直径は正確に2Dである必要はなく、1.9D~2.1Dの範囲内にあれば同様の効果が得られる。

【18】
このように、本発明の連行空気排除装置によると、流れの中に縮流による空隙が発生せず、混入した空気のほぼ全量を空気集積槽12で効率よく排除することができる。流入水槽10と接続管11との接続部から空気集積槽12の下流壁までの距離Lは、本管直径の4倍以上であればよい。また、図2にて説明したように、本発明によると、空気集積槽開口部と接続管の直径が同一であるため、既製のT字管を利用して空気集積槽と接続管を一体に製作できる。そして、空気集積槽が分水工に隣接しているため、分水工施設と一体構造物としてコンパクトな設計・施工ができる。

【19】

【発明の効果】本発明によると、流入水槽と空気集積槽を接続する接続管の管内において、流れの中に混入・連行した気泡は管頂上に浮上しながら大きな空気のかたまりとなり、空気集積槽においてほぼ全量を効率よく排除することができる。装置製作上の観点からは、空気集積槽を流入水槽に隣接して設置できるためコンパクトになり、水槽と一体構造として設計・施工ができる。また、空気集積槽と接続管の直径が同一のため、既製のT字管を加工することで空気排除装置の製作が可能であり、工期も短縮されて経費削減が期待される。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5