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明細書 :抗菌性繭糸の製造法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3289144号 (P3289144)
公開番号 特開2001-355184 (P2001-355184A)
登録日 平成14年3月22日(2002.3.22)
発行日 平成14年6月4日(2002.6.4)
公開日 平成13年12月26日(2001.12.26)
発明の名称または考案の名称 抗菌性繭糸の製造法
国際特許分類 D06M 15/03      
D01B  7/00      
D06M 13/184     
D06M101:12      
FI D06M 15/03
D01B 7/00
D06M 13/184
D06M 101:12
請求項の数または発明の数 4
全頁数 3
出願番号 特願2000-177985 (P2000-177985)
出願日 平成12年6月14日(2000.6.14)
審査請求日 平成12年6月14日(2000.6.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501167644
【氏名又は名称】独立行政法人農業生物資源研究所
発明者または考案者 【氏名】中島 健一
【氏名】高林 千幸
【氏名】田村 泰盛
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
審査官 【審査官】中島 庸子
参考文献・文献 特開 平7-258972(JP,A)
特開 昭63-159581(JP,A)
特開 平9-95865(JP,A)
登録実用新案3011842(JP,U)
調査した分野 D06M 15/03
D06M 13/184
D01B 7/00 302
特許請求の範囲 【請求項1】
煮熟繭をキトサン水溶液中に投入し、繭糸が解離する際に繭糸の周りにキトサン水溶液を付着させることを特徴とする抗菌性繭糸の製造方法。

【請求項2】
繭糸を繰糸する際に、カバーリングローラによりキトサン水溶液を付着させることを特徴とする抗菌性繭糸の製造方法。

【請求項3】
キトサンを付着させた後、乾燥することを特徴とする請求項1または2記載の抗菌性繭糸の製造方法。

【請求項4】
木酢液を付着させることを特徴とする請求項1、2または3のいずれかに記載の抗菌性繭糸の製造方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、繭糸に抗菌性をもたすことにより、衣料用のみならず寝具用中綿や抗菌性が求められる生活用品等への利用拡大を図ることに関する。

【0002】

【従来の技術】絹は保温性、吸放湿性が良く、保健衛生的機能に優れているが、その用途が限定されているのが実情である。近年、絹新素材の開発により洋装分野への展開が図られているが、更に新しい分野への用途拡大が求められており、例えば高齢化社会の到来とともに、介護・医療用の被服あるいは寝具として、抗菌性の高い被服の要望が増加しつつある。

【0003】
絹に抗菌性を持たせる方法として、従来は絹の布地に抗菌剤を塗布することにより行われていたが、この方法では絹布糸の内側まで抗菌剤が浸透せず、十分に抗菌性をもたすことができないという欠点があった。従って、絹に十分な抗菌性をもたす効率的な手法の開発が求められている。

【0004】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、効果的に繭糸に抗菌性をもたす方法の開発を課題とする。

【0005】

【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を解決するために鋭意努力した結果、キトサン水溶液を直接煮熟繭に付着させることにより解決できることを見出した。すなわち、本発明は(1)煮熟繭をキトサン水溶液中に投入し、繭糸が解離する際に、繭糸の周りにキトサン水溶液を付着させることを特徴とする抗菌性繭糸の製造方法、(2)繭糸を繰糸する際に、カバーリングローラによりキトサン水溶液を付着させることを特徴とする(1)記載の抗菌性繭糸の製造方法、(3)キトサンを付着させた後、乾燥することを特徴とする(1)または(2)記載の抗菌性繭糸の製造方法、(4)木酢液を付着させることを特徴とする(1)、(2)または(3)のいずれかに記載の抗菌性繭糸の製造方法に関する。

【0006】
現在、我が国で生糸の大部分は自動繰糸機によって作られている。自動繰糸機は、煮繭機から送られてきた煮繭(にまゆ)を待機させておき、必要量の繭を索緒部に送り込む新繭補充槽、新繭と繰解部などから送り返されてきた繭とから糸口を探し出し、それをすぐって正しい糸口にする索緒装置と抄緒装置、正緒の出た繭を貯えておき、必要に応じて給繭機に補給する正緒繭待機部と正緒繭補充装置、生糸を繰る繰解部とその周りを常時巡回していて、繊度が細くなった緒に繭を補給する給繭機によって構成されている。

【0007】
本発明の特徴は、キトサンの抗菌性を繭糸に付着せしめるには、繰糸時が最も適していることを見出したことにある。通常、布帛を加工処理する場合、布帛そのものに薬品処理したり、染料処理することが行われているが、特に絹の場合は絹の特性を維持するために、染色以外はできるだけ処理しないで加工していた。

【0008】
一方、近年の高齢化社会において医療・福祉関連業界から、抗菌性のある布帛が要望されており、絹についても布帛に抗菌処理を施す試みがなされている。しかしながら、絹の場合布帛に抗菌処理を施しても十分に内部まで浸透しないという欠点があった。

【0009】
本発明者は、1996年に繭糸を切断することなく、長繊維状のまま、布団や衣類の中綿とするシルクウェーブ(嵩高無抱合長繊維繭糸束)を開発した。このシルクウェーブを用いて絹にキトサンの抗菌性を持たせることを、研究してきたところ、繰糸時にキトサンの抗菌性を付着させることがベストであることを見出した。

【0010】
本発明はまた、キトサンを付着させた後、乾燥させることにより繭糸あるいは生糸はキトサンでコーティングされた状態を保つことができることも見出した。なお、キトサンの添加量としては、0.1~0.5%位が好ましい。キトサンが多すぎると出来上がった製品がごわごわした肌触りとなり、好ましくない。0.1%以下であると、抗菌性が劣り効果が出てこない。

【0011】
さらに、木酢液を付着させることによって、抗菌性のみならず防虫、防かび等の機能性を付与することができることも見出した。一方、繰糸にキトサンを付着させる時点としては、繭糸が解離する際が好ましいが、糸道の途中でカバーリングローラにより付着させる方法もある。

【0012】
本発明により、絹製品に抗菌効果を付与でき、更にドライクリーニング処理によっても抗菌効果が消失しないことから、洋装品の他、布団等に利用でき、介護・医療分野で役に立つばかりでなく、靴裏材としても用いることができる。以下に実施例により本発明をより具体的に説明する。

【0013】

【発明の実施の形態】〔実施例〕煮熟繭をキトサン水溶液中に投入し、繭糸が解離する際に、繭糸の周りにキトサン水溶液を付着させた。キトサン水溶液は、粉末キトサン10g及び50gをイオン交換水1リットルに懸濁したのち、0.5N塩酸100mlを加え、室温で30分間攪拌して溶解させたものを用いた。

【0014】
この繭糸にStaphylococcus aureus IFO 12732 を接種後、37±1℃で18時間培養し回収した菌数を測定した。特にドライクリーニングによる抗菌性の変化も検討し、その結果を表1にまとめた。

【0015】

【表1】
JP0003289144B2_000002t.gif【0016】表1に記載の結果からみて、キトサン0.1%又は0.5%を付着させることによって、ドライクリーニング処理前でもドライクリーニング処理後でも、接種した菌数が、無処理では増加するが、キトサン0.1%又は0.5%を付着させることによって、大幅に減少することがわかる。

【0017】

【発明の効果】本発明では、繰糸時にキトサンを付着させることが可能なため、できあがった繭糸あるいは生糸に加工処理を施す必要がなく、絹製品に効果的に抗菌性を保有させることができる。そして、抗菌性を利用して介護・医療分野等での使用を可能にせしめる。
図面
【図1】
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【図2】
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