TOP > 国内特許検索 > 繭糸による立体形状構造物の製造方法並びに装置 > 明細書

明細書 :繭糸による立体形状構造物の製造方法並びに装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第2939528号 (P2939528)
公開番号 特開平10-144120 (P1998-144120A)
登録日 平成11年6月18日(1999.6.18)
発行日 平成11年8月25日(1999.8.25)
公開日 平成10年5月29日(1998.5.29)
発明の名称または考案の名称 繭糸による立体形状構造物の製造方法並びに装置
国際特許分類 B65H 81/00      
B44C  5/00      
F21V  1/26      
FI B65H 81/00 Z
B44C 5/00
F21V 1/26
請求項の数または発明の数 5
全頁数 4
出願番号 特願平08-303062 (P1996-303062)
出願日 平成8年11月14日(1996.11.14)
審査請求日 平成8年11月14日(1996.11.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391030284
【氏名又は名称】農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】高林 千幸
【氏名】中島 健一
【氏名】田村 泰盛
個別代理人の代理人 、【弁理士】、【氏名又は名称】北村 欣一 (外2名)
審査官 【審査官】杉野 裕幸
参考文献・文献 特開 昭48-24586(JP,A)
特開 昭56-13601(JP,A)
実開 昭57-58211(JP,U)
調査した分野 B65H 81/00
F21V 1/26
B44C 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
煮熟繭から解離された繭糸を濡れた状態のまま、立体形状の繰枠に巻き取って、繭糸が保持している粘着性のセリシンにより繭糸相互を膠着させ、その後該繭糸を繰枠に巻かれた状態で乾燥して形態を固定させることを特徴とする繭糸による立体形状構造物の製造方法。

【請求項2】
煮熟繭から解離された繭糸を濡れた状態のまま巻取る立体形状の繰枠と該繰枠に巻取られる繭糸を絡交させる絡交手段とを備えた繰製手段と、該繭糸を繰枠に巻かれた状態で乾燥させる乾燥手段とから成る繭糸による立体形状構造物の製造装置。

【請求項3】
請求項2において、絡交手段の絡交速度を変化させるようにしたことを特徴とする立体形状構造物の製造装置。

【請求項4】
請求項2において、繰枠の繭糸の巻付面を球状またはこれに近い形状とし、該繰枠の繭糸の巻付面の形状を変化させることを可能としたことを特徴とする立体形状構造物の製造装置。

【請求項5】
請求項2において、繰枠に繭糸を巻取る際に他の繊維を混繊することを特徴とする立体形状構造物の製造装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【01】

【発明の属する技術分野】本発明は、繭から繭糸を引き出す過程で、照明器具などの室内装飾品を製造する方法並びに装置に関する。

【02】

【従来の技術】従来、繭加工技術として煮熟繭を数粒合わせて1本の生糸として繊維用素材とすることや、繭糸によって絹糸を作ることが行われている。しかし、これでは、繭糸の利用分野が限られる。

【03】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、繭糸を室内装飾品として利用することを目論み、室内装飾品として利用出来る繭糸による立体形状構造物を簡単に製造できる方法並びに装置を提供することを課題とする。

【04】

【課題を解決するための手段】請求項1に記載の立体形状構造物の製造方法は、煮熟繭から解離された繭糸を濡れた状態のまま、立体形状の繰枠に巻き、繭糸が保持している粘着性のセリシンにより繭糸相互を膠着させ、該繭糸を繰枠に巻かれた状態で乾燥して形態を固定させることを特徴とし、かかる方法を用いることで、繭糸特有の光沢を備えた装飾価値の高い照明器具等の室内装飾品として利用できる立体形状構造物を簡単に得ることができる。

【05】
請求項2に記載の立体形状構造物の製造装置は、煮熟繭から解離された繭糸を濡れた状態のまま巻取る立体形状の繰枠と該繰枠に巻取られる繭糸を絡交させる絡交機とを備えた繰糸手段と、該繭糸を繰枠に巻かれた状態で乾燥させる乾燥手段とから成ることを特徴とし、かかる構成を備えることで、簡単に照明器具等の室内装飾品として利用できる立体形状構造物を製造出来る。

【06】
請求項3に記載の立体形状構造物の製造装置は、請求項2に記載の立体形状構造物の製造装置において、絡交手段の絡交速度を変化させるようにしたことを特徴とし、かかる構成を備えることで、絡交変化に伴う種々の異なった模様パターンを備える立体形状構造物を得ることができる。

【07】
請求項4に記載の立体形状構造物の製造装置は、請求項2に記載の立体形状構造物の製造装置において、繰枠の繭糸の巻付面を球状またはこれに近い形状とし、該繰枠の繭糸の巻付面の形状を変化させることを可能としたことを特徴とし、かかる構成を備えることで、一つの繰枠で外形形状の異なった立体形状構造物を得ることができる。

【08】
請求項5に記載の立体形状構造物の製造装置は、請求項2に記載の立体形状構造物の製造装置において、繰枠に繭糸を巻取る際に他の繊維を混繊することを特徴とし、かかる構成を備えることで、繭糸と他の糸との質感の違うものの組み合わせにより、更に装飾価値の高い立体形状構造物を得ることができる。

【09】

【発明の実施の形態】本発明実施の形態を図に付き説明する。図1は本装置の工程図を示し、1は繰糸手段、3は繰枠、8は乾燥器を示す。図2は繰解手段を示し、該繰解手段1は、給繭器(図示しない)から供給される煮熟繭aを受入れる繰解槽2と、該煮熟繭aから解離された繭糸bを巻き取る繰枠3と、該繰枠3に巻取られる繭糸bを絡交させる絡交手段4並びに繰解槽2に補給される煮熟繭aの繭糸を繰解中の繭糸bに接緒させる接緒器5を備え、前記繭糸bは接緒器5に設けた糸道5aを通り、絡交手段4によって絡交しつつ繰枠3に巻きとられる。この際繭糸bは、図2に示すごとく、複数の煮熟繭aから繰解される繭糸bを合わせた状態で繰枠3に巻取られる。なお、糸道5aのパイプ径を太くするとにより、繭糸bをある程度分繊させながら繰枠3に巻取ることも可能である。繰枠3は電動機その他の原動機6に連動して駆動回転し、その速度は制御器7によって調節することができる。

【10】
また、絡交手段4は、図2に示すごとく、ガイド棒4aに摺動自在に支持させた台4bと、該台4bをガイド棒4aに沿って往復動させる駆動機構4cを備え、該駆動機構4cは、正逆転する電動機4fによって駆動される源動のプーリ4dと被動側のプーリ4dとの間に掛渡した無端状のワイヤー4eで構成し、該ワイヤー4eに前記台4bを連結し、台4bに首振自在に設けた糸ガイド4hに繭糸bを挿通させることで絡交動作を行わせる。

【11】
なお図2で、4gはガイド棒4aの両側部に設けた電動機4fの回転方向を切替えるための指令信号を出すためのリミットスイッチを示し、該リミットスイッチ4gはガイド棒4aに対し、調節自在に取付けることで、絡交幅を調節することができるようにした。なお図1に示す乾燥器8は、該繰解手段1で繰枠3に巻とられた繭糸bを繰枠3に巻付けられた状態の繭繭糸bを温風で乾燥する温風乾燥器とした。なお乾燥は乾燥器8を用いることなく自然乾燥であっても良い。

【12】
次に本装置の作動を説明する。繰解手段1を用いて繭糸bを、繰枠3に巻取るときは、繭糸bは絡交手段4によって繭糸bが交差する状態で繰枠3に巻かれる。そして繭糸bは濡れた状態にあるため、繭糸表面のセリシンによって交差部分で膠着し、これを繰枠3に巻かれた状態で乾燥器8で乾燥させ、繭糸bを繰枠3から取外せば、繭糸bは繰枠3に巻取られたられた立体形状を保った状態に固定され、所定の形状を備えた立体形状構造物A(図5乃至図8)が得られる。この装置によって得られた立体形状構造物Aは絹糸特有の光沢があり、しかも天然繊維としての自然さもあって、置物としても価値もあり、特に照明器具としてしようすると、照明の光によって益々輝きを増す。なお、図2に示す実施の形態では、繰枠3を円錐台としたが、これは円筒型,断面正方形その他の角筒型,球型とする等、求める立体形状構造物Aの形状に応じた形状とすることが必要である。

【13】
また、絡交手段4の設けた前記電動機4fを、始動・停止と速度が簡単にできる例えばステッピングモータを用い、該ステッピングモータの加速・減速、停止の組合わせにより、絡交角度を調節することで立体形状構造物Aに絡交により形成される模様パターンを変えることができる。これを説明すると例えば、図5では円筒型の繰枠3に巻いた立体形状構造物Aの一部を切開いたパターンを示すが、同じ円筒型の繰枠3を用いた場合でも、煮熟繭aの数を増やし、且つ絡交速度を増せば図6に示すようになる。

【14】
また、同じ円筒型の繰枠3を用い、繰枠3の両端と中間位置で絡交を一時停止させれば、図7に示す部分的に横縞模様の入ったパターンを備えた立体形状構造物Aが得られる。図4に示すものは、球状またはこれに近い立体形状構造物Aを得るための繰枠3を示し、この繰枠3は、その回転軸3aの一端部に定位置で回転できるように取付けた鍔板3bと、回転軸3aの他端部に刻成したねじ部3cに螺合する鍔板3dとの間に、ピアノ線その他からなる多数の線材3eを、その各端で支持させて構成した。このものでは、該鍔板3dをこれに設けた把手3fで回転させることで、鍔板3dをねじ部3cに対し螺進させ鍔板3bと鍔板3dとの間隔を変えることで、該繰枠3の形状を変化させることが出来る。

【15】
更に、図9に示すごとく、繰枠3に繭糸bを巻取る際に、他の繊維、例えば化学繊維や、麻、木綿等の繭糸以外の天然繊維を混繊することもでき、かくすることで、繭糸と他の糸との組み合わせにより、風合の変わった装飾価値の高い照明器具等の室内装飾品として利用できる立体形状構造物を得ることができる。なお、図9において、9は他の繊維のパーン、10は該パーンから引出される糸の張力調節装置、11は該パーンから引出される糸を通すパイプを示す。

【16】
また、予め染色した繭や黄繭などの天然色素を有する繭を用いて繰製することや天蚕等野蚕繭と混繰しても、更に風合の変わった装飾価値の高い照明器具等の室内装飾品として利用できる立体形状構造物Aを得ることができる。

【17】

【発明の効果】請求項1に記載の立体形状構造物の製造方法によるときは、立体形状の繰枠に巻かれた繭糸は、繭糸が保持している粘着性のセリシンにより膠着し、その後該繭糸を繰枠に巻かれた状態で乾燥することで、天然繊維としての自然さがあり、しかも繭糸特有の光沢を備えた繭糸が組み合わされて、装飾価値の高い照明器具等の室内装飾品として利用できる立体形状構造物を得ることができる。

【18】
請求項2に記載の立体形状構造物の製造装置によるときは、繭糸がその交差する部分で、繭糸が保持している粘着性のセリシンにより膠着するため、乾燥させると所定の形態を備えた立体形状に固定でき、しかも天然繊維としての自然さがあり、しかも繭糸特有の光沢を備えた繭糸が交差することにより織成す美的効果によって、装飾価値の高い照明器具等の室内装飾品として利用できる立体形状構造物を簡単に製造出来る。

【19】
請求項3に記載の立体形状構造物の製造装置は、絡交変化に伴い繭糸が交差する角度の変化で、種々の異なった模様パターンを備えた立体形状構造物が得られ、更に装飾価値の高い照明器具等の室内装飾品となる。

【20】
請求項4に記載の立体形状構造物の製造装置は、一つの繰枠で、外形の異なった照明器具等の室内装飾品として利用できる立体形状構造物を得ることができる。

【21】
請求項5に記載の立体形状構造物の製造装置は、繭糸に質感の異なる他の糸との組み合わせにより、繭糸単独のものとは異なる飾価値の高い照明器具等の室内装飾品として利用できる立体形状構造物を得ることができる。
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図5】
2
【図2】
3
【図4】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8