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明細書 :畑地排水に含まれる硝酸性窒素の除去方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3981719号 (P3981719)
公開番号 特開2003-245688 (P2003-245688A)
登録日 平成19年7月13日(2007.7.13)
発行日 平成19年9月26日(2007.9.26)
公開日 平成15年9月2日(2003.9.2)
発明の名称または考案の名称 畑地排水に含まれる硝酸性窒素の除去方法
国際特許分類 C02F   3/34        (2006.01)
C02F   1/00        (2006.01)
FI C02F 3/34 101A
C02F 1/00 L
請求項の数または発明の数 6
全頁数 9
出願番号 特願2002-049595 (P2002-049595)
出願日 平成14年2月26日(2002.2.26)
審査請求日 平成14年2月26日(2002.2.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】山岡 賢
【氏名】凌 祥之
【氏名】齋藤 孝則
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
審査官 【審査官】櫛引 明佳
参考文献・文献 特開昭58-040197(JP,A)
特開2001-347276(JP,A)
特開平11-128902(JP,A)
特開昭55-034186(JP,A)
特開2000-254687(JP,A)
特開昭57-194090(JP,A)
調査した分野 C02F 3/00-3/34
C02F 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
止水部材で囲われた空間に少なくとも汚泥及び側面に開口孔を有するパイプ状の空隙材を充填してなる汚泥層と、
上記止水部材に配設され、上記汚泥層に汚泥を供給できる汚泥供給部と
上記止水部材の上部に位置し、硝酸性窒素を含む畑地排水を上記汚泥層に導入する導入部と、
上記止水部材の下部に位置し、上記汚泥層に浸透した畑地排水を排出する排水部と
を備え、畑地土壌内部及び/又は畑地土壌底部に埋設されたことを特徴とする畑地排水処理システム。
【請求項2】
上記排水部は畑地排水を排出する排出端部を備え、
上記畑地排水を排出端部からフィルター材に対して排出することを特徴とする請求項1記載の畑地排水処理システム。
【請求項3】
上記汚泥層は、脱窒菌及びその他の微生物を含み、貧酸素状態であることを特徴とする請求項1記載の畑地排水処理システム。
【請求項4】
上記汚泥層は、汚水処理施設で発生した汚泥を含むことを特徴とする請求項1記載の畑地排水処理システム。
【請求項5】
請求項1~4いずれか一項記載の畑地排水処理システムを備える畑地。
【請求項6】
上記排水処理システムは、排水部の先端をフィルター材に埋め込み、当該フィルター材内に排水できることを特徴とする請求項5記載の畑地。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、畑地排水に含まれる硝酸性窒素を、畑地排水から除去する除去方法、及び、畑地排水から除去する畑地排水処理システム、当該畑地排水処理システムを備える畑地に関する。
【0002】
【従来の技術】
畑地排水の浄化対策としては、稲わら、古紙、おがくず等の有機質資材を土壌に埋設し、有機物を畑地土壌に供給することによって、土壌中の微生物による生物学的脱窒反応を促進するものや、畑地底部に植物油を注入し、バイオバリア、浸透バリアを形成し、土壌の生物学的脱窒反応を促進するものである。
【0003】
しかし、生物学的脱窒反応を効果的に行わせるには、有機物の供給と共に、脱窒に働く活性の高い微生物の菌(脱窒菌)数が多く、無酸素条件下とする必要がある。もともと、ほとんど酸化状態である畑地土壌では、活性の高い脱窒菌の存在は乏しく、無酸素条件の形成も困難であり、有機質資材の投入のみによる安定的かつ効率的な生物学的脱窒の実現は困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上述したような従来の実状に鑑み、畑地排水に含まれる硝酸性窒素を生物学的に効率よく脱膣できる、畑地排水に含まれる硝酸性窒素の除去方法、畑地排水処理システム、及び畑地を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した目的を達成するために鋭意検討した結果、汚水処理施設等で生ずる汚泥を用いることによって、畑地排水に含まれる硝酸性窒素を生物学的に効率よく除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下を包含する。
(1)以下の工程を含む畑地排水に含まれる硝酸性窒素の除去方法。
(a)硝酸性窒素を含む畑地排水を汚泥層に浸透させる工程
(b)上記汚泥層から畑地排水を排水する工程
(2)上記(b)工程では、畑地排水をフィルター材に排出することを特徴とする(1)記載の畑地排水に含まれる硝酸性窒素の除去方法。
(3)上記汚泥層は、脱窒菌及びその他の微生物を含み、貧酸素状態であることを特徴とする(1)記載の畑地排水に含まれる硝酸性窒素の除去方法。
(4)上記汚泥層は、汚水処理施設で発生した汚泥を含むことを特徴とする(1)記載の畑地排水に含まれる硝酸性窒素の除去方法。
(5)汚泥を含む汚泥層と、硝酸性窒素を含む畑地排水を上記汚泥層に導入する導入部と、上記汚泥層に浸透した畑地排水を排出する排水部とを備える畑地排水処理システム。
(6)上記排水部は畑地排水を排出する排出端部を備え、上記畑地排水を排出端部からフィルター材に対して排出することを特徴とする(5)記載の畑地排水処理システム。
【0007】
(7)上記汚泥層は、脱窒菌及びその他の微生物を含み、貧酸素状態であることを特徴とする(5)記載の畑地排水処理システム。
(8)上記汚泥層は、止水部材で囲われた空間に、少なくとも汚泥及び空隙材を充填してなることを特徴とする(5)記載の畑地排水処理システム。
(9)上記汚泥層は、汚泥を供給できる汚泥供給部を配設してなることを特徴とする請求項5記載の畑地排水処理システム。
(10)(5)~(9)いずれか一項記載の畑地排水処理システムを備える畑地。
(11)上記排水処理システムは、畑地土壌内部及び/又は畑地土壌底部に埋設されたことを特徴とする(10)記載の畑地。
(12)上記排水処理システムは、排水部の先端をフィルター材に埋め込み、当該フィルター材内に排水できることを特徴とする(10)記載の畑地。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る畑地排水に含まれる硝酸性窒素の除去方法、畑地排水処理システム及び畑地を、図面を参照して詳細に説明する。
本発明は、例えば、図1に示すような畑地排水処理システム1に適用することができる。畑地排水処理システム1は、上端部以外を閉塞した止水シートからなる止水部2と、止水部2内に形成された空間部に充填された汚泥層3と、止水部2の一部に穿設され、止水部2内に充填された汚泥層3と外部とを連通する汚泥投入管4と、止水部2の下端部近傍に穿設され、止水部2内に形成された空間部と外部とを連通するドレーン管5とから構成されている。畑地排水処理システム1は、図2に示すように、畑地土壌6の下部に配設することができる。なお、図示しないが、畑地排水処理システム1は、畑地土壌6の内部に配設することもできる。
【0009】
止水部2は、上端部が開放された略箱型を呈し、上端部近傍が上端部に向かって内径が大となる形状とされている。止水部2は、内部に形成された空間部と外部との間で水分の移動を防止できる材質であれば如何なる材質、材料でもよい。本例は、止水部2を止水シートを用いて作製しているが、例えば、コンクリート壁や合成樹脂製の板等を用いても止水部2を作製することができる。
【0010】
汚泥層3は、少なくとも、汚泥を含むものである。ここで、汚泥としては、例えば、生活排水からの窒素除去運転を行っている下水処理場、集落排水処理施設、浄化槽等の汚水処理施設で発生するものを使用することができる。すなわち、汚泥層3に含まれる汚泥は、汚水処理施設で廃棄物として発生した汚泥を使用することができる。
【0011】
特に、畑地排水処理システム1を畑地土壌6中或いは畑地土壌6下部(例えば、図2に示す位置)に埋設する場合には、汚泥層3は、空隙材7を更に備えていることが好ましい。空隙材7は、側壁に単数又は複数の開口孔8が形成された筒状を呈するパイプから構成される。複数の空隙材7を止水部2内に形成された空間部に充填することによって、止水部2の空間部に汚泥を充填する前に畑地排水処理システム1を畑地土壌6下部に埋設する場合、止水部2の空間部に畑地土壌6が流入することを防止できる。すなわち、複数の空隙材7により、畑地土壌6中においても止水部2の空間部を維持することができる。
空隙材7としては、上述したようなパイプに限定されず、止水部2の空間部に畑地土壌6が流入することを防止できるものであれば如何なる形状、材質であっても良い。空隙材7としては、例えば、暗渠管、砕石及び砂利を使用できる。
【0012】
汚泥投入管4の一方端部は、例えば、汚泥を止水部2の空間部に供給できる汚泥供給装置(図示せず)と連結されている。また、汚泥投入管4の他方端部は、止水部2の空間部に汚泥を供給できる位置に配設されている。汚泥投入管4は、例えば、止水部2の空間部に汚泥を充填する前に畑地排水処理システム1を畑地土壌6下部等に埋設する場合、一方端部を畑地土壌6の上方に位置させるように配置する。この場合、図示しない汚泥供給装置は、汚泥投入管4を介して止水部2の空間部内へ汚泥を供給することができる。なお、この場合、止水部2の空間部には、複数の空隙材7により畑地土壌の流入が防止されているため、汚泥投入管4を介して汚泥を供給することができる。
【0013】
ドレーン管5の一方端部は、止水部2の空間部に充填された汚泥層3の底面よりも下方に位置している。ドレーン管5の他方端部は、止水部2の外部に位置している。畑地排水処理システム1を畑地土壌中等に埋設する場合、ドレーン管5の他方端部は、フィルター材9内に位置することが好ましい。フィルター材9は、ドレーン管5を介して外部に流出する汚泥等をトラップするものであり、例えば、細砂、土壌等を用いることができる。また、フィルター材9は、畑地排水処理システム1全体を覆うように配されても良い。
【0014】
以上のように構成された畑地排水処理システム1は、硝酸性窒素を含む畑地排水を生物学的に処理し、当該畑地排水から硝酸性窒素を除去することができる。ここで、畑地排水とは、畑地から流出する排水を意味し、施肥された肥料に含まれる窒素が酸化されてなる硝酸性窒素を含んだものを意味する。なお、畑地排水中の硝酸性窒素の濃度は、本発明において限定されないが、0mg/l~50mg/l程度である。また、畑地排水処理システム1は、例えば、畑地土壌内部及び/又は畑地土壌底部に埋設し、畑地土壌から発生した畑地排水に含まれる硝酸性窒素を除去することができる。特に、畑地排水処理システム1によれば、10mg/lを超える濃度で硝酸性窒素を含む畑地排水を処理することができ、その結果、畑地排水に含まれる硝酸性窒素濃度を10mg/l以下に浄化することができる。
【0015】
畑地排水処理システム1を畑地土壌底部等に埋設する際には、止水部2の空間部に汚泥を充填した状態で埋設しても良し、止水部2の空間部に空隙材を充填し、汚泥を充填しない状態で埋設しても良い。また、畑地排水処理システム1を畑地土壌底部等に埋設する際には、汚泥投入管4の一方端部を畑地土壌の上方に位置するように突出させる。さらに、畑地排水処理システム1を畑地土壌底部等に埋設する際には、ドレーン管5の他方端部の周囲にフィルター材9を配しておくことが好ましい。
【0016】
硝酸性窒素を含む畑地排水から硝酸性窒素を除去するには、先ず、畑地排水を汚泥層3に浸透させ、その後、汚泥層3に浸透した畑地排水をドレーン管5から排出させる。汚泥層3において畑地排水中の硝酸性窒素を生物学的脱窒して窒素ガスとすることができる。したがって、ドレーン管5から排出した畑地排水は、硝酸性窒素が除去され浄化されたものとなる。
【0017】
汚泥層3には、▲1▼脱窒に働く微生物(従属栄養細菌等)が多数存在し、▲2▼多種類の微生物が存在するため、微生物における呼吸が畑地排水中の溶存酸素を消費し容易に無酸素(貧酸素)状態にでき、▲3▼微生物自身が有機物であり、脱窒に働く微生物による脱窒反応に資する有機物が多量に存在する。また、汚泥層3は、透水性が低いため、畑地排水を長時間に亘って保持することができる。したがって、汚泥層3は、畑地排水に含まれる硝酸性窒素を脱窒反応により効率よく窒素ガス化することができる。
【0018】
また、図2に示したように、畑地排水処理システム1を畑地土壌6の下部に埋設した場合には、降雨等により畑地土壌から下方に流出した畑地排水を、止水部2上方から収集でき、畑地排水に含まれる硝酸性窒素を除去することができる。このとき、畑地排水処理システム1では、止水部2の上端部近傍が上端部に向かって大となる内径を呈するため、広範囲の畑地土壌から畑地排水を収集でき、広範囲の畑地土壌から排出される畑地排水に含まれる硝酸性窒素を除去することができる。
【0019】
さらに、畑地排水処理システム1では、止水部2の空間部に空隙材7を充填しているため、止水部2の空間部内に畑地土壌が流入することを防止できる。したがって、畑地排水処理システム1を畑地土壌の下部に埋設した場合であっても、止水部2の空間部に畑地土壌が流入しないため、畑地の陥没等を防止することができる。
【0020】
さらにまた、畑地排水処理システム1では、止水部2の空間部と外部とを汚泥投入管4を介して連通している。したがって、止水部2の空間部に汚泥を注入する工程は、畑地排水処理システム1を埋設する前及び後のいずれであってもよく、さらに、畑地排水処理システム1を埋設した状態で止水部2の空間部に汚泥を補充することができる。
【0021】
特に、側壁に開口孔8を有するパイプ状の空隙材7を使用する場合、開口孔8を介して空隙材7内に汚泥を流入させることができる。側壁に開口孔8を有するパイプ状の空隙材7を使用することによって、止水部2の空間部に占める空隙材7の容積を小とし、換言すれば、当該空間部に充填する汚泥の容積を大とでき、且つ、止水部2の空間部に汚泥を容易に注入することができる。
【0022】
さらにまた、畑地排水処理システム1では、ドレーン管5の他方端部をフィルター材9内に位置させることによって、畑地排水をフィルター材9中に排出することができる。畑地排水をフィルター材9内に排出することによって、畑地排水に含まれる汚染物質や汚泥が広範囲に拡散することを防止できる。
【0023】
さらに、畑地排出処理システム1では、汚水処理施設で廃棄物として発生した汚泥を用いても、畑地排水に含まれる硝酸性窒素を除去することができる。この汚水処理施設で廃棄物として発生した汚泥は、従来、廃棄物として処分されていたものである。したがって、畑地排水処理システム1において、汚水処理施設で廃棄物として発生した汚泥を使用することによって、地域資源を有効に利用できる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
本例では、先ず、図3に示す畑地排水処理システム(以下、実施例装置20と呼ぶ。)を作製した。具体的には、以下のように実施例装置20を作製した。先ず、内径100mmの透明アクリルパイプ21の一端部にアクリル性の平板22を固着するとともに、透明アクリルパイプ21側壁にドレーン管23を配設した。ドレーン管23は、透明アクリルパイプ21側壁における平板22を固着した一端部近傍に配設した。
【0025】
次に、透明アクリルパイプ21と平板22とから構成される空間部に、ドレーン管23の配設部分及び平板22を覆うように網戸用網24と敷き、網戸用網24上に順に下部砂利層25、細砂層26を充填した。そして、直径3cm長さ5cmのパイプ側面に開口孔27を穿設してなる空隙材28を、8個程度充填した。
【0026】
次に、回分式活性汚泥方式で窒素除去運転を行っている農業集落排水施設の回分槽から採取した汚泥溶液5.3lを、透明アクリルパイプ21と平板22とから構成される空間部に注入した。汚泥溶液に含まれる水分がドレーン管23より排出され、その結果、汚泥溶液は空間部内で固液分離し、空隙材28を覆う高さまで汚泥が蓄積された。これにより、細砂層26の上部に汚泥層29を形成した。次に、網に詰め込んだ砂利30を、畑地土壌に見立てて汚泥層29上に載置した。
【0027】
以上のように作製した実施例装置20を用いて、人工畑地排水に含まれる硝酸性窒素の除去効率を検討した。人工畑地排水は、硝酸性窒素濃度が20mg/lとなるように、硝酸ナトリウムを蒸留水に溶解して調整した。調整した人工畑地排水に含まれる硝酸性窒素濃度を、測定したところ22mg/lであった。
【0028】
畑地土壌に見立てた砂利30上方から920mlの人工畑地排水を注入したところ、人工畑地排水は汚泥層29に浸透し、約24時間後、注入した人工畑地排水の全量がドレーン管23から排出された。ドレーン管23から排出された人工畑地排水の全量を回収した。回収した人工畑地排水に含まれる硝酸性窒素濃度を測定したところ、図4に示すように、1.4mg/lとなっていた。
以上、本実施例で説明したように、硝酸性窒素を含む畑地排水を汚泥層29に浸透させ、その後、汚泥層29から畑地排水を排出させることによって、畑地排水から硝酸性窒素を効率よく簡易に除去できることが明らかとなった。
【0029】
実施例2
実施例2では、回分式活性汚泥方式で窒素除去運転を実施している農業集落排水施設の回分槽から採取した汚泥或いは貯留槽から採取した汚泥(それぞれ以下、「回分汚泥」及び「貯留汚泥」)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例装置20を作製した。
【0030】
回分汚泥と貯留汚泥を用いて、畑地排水に含まれる硝酸性窒素の除去効率を比較することによって、畑地排水処理システム1を用いて処理開始直後の状況と処理開始から所定期間経過後の状況とを比較検討することができる。なお、回分汚泥及び貯留汚泥の汚泥濃度(MLSS)は、それぞれ2,170mg/l及び18,620mg/lであった。回分漕から採取した汚泥溶液5.3lを用いることによって含水率94%、高さ7.5cmの汚泥層が形成された。貯留槽から採取した汚泥溶液2.0lを用いることによって含水率96%、高さ14cmの汚泥層が形成された。
【0031】
以上のように作製した、回分汚泥を含む汚泥層を備える実施例装置(以下、「回分汚泥装置」)及び貯留汚泥を含む汚泥層を備える実施例装置(以下、「貯留汚泥装置」)を用いて、実施例1で調製した人工畑地排水約900mlをそれぞれ3回ずつ注入し、各装置について排出された人工畑地排水を各回毎に回収した。なお、2回目の注入は、1回目に注入した人工畑地排水の回収直後に行った。3回目の注入は、2回目に注入した人工畑地排水の回収終了4日後に行った。
【0032】
回分汚泥装置及び貯留汚泥装置について、各回で回収された人工畑地排水に含まれる硝酸性窒素の濃度を測定した結果を、それぞれ図5及び図6に示す。図5及び図6に示すように、回分汚泥装置で回収された1回目及び2回目の人工畑地排水及び貯留汚泥装置で回収された1~3回目の人工畑地排水に含まれる平均硝酸性窒素濃度は、注入前の人工畑地排水に含まれる平均硝酸性窒素濃度比較して大幅に低減していることが判る。このことから、回収汚泥及び貯留汚泥のいずれを用いた場合であっても、畑地排水に含まれる硝酸性窒素を効率よく除去できることが判った。したがって、畑地排水処理システム1を用いれば、処理開始から所定期間経過後であっても、畑地排水から硝酸性窒素を効率よく除去できることが判った。
【0033】
なお、回分汚泥装置において、3回目に注入した人工畑地排水は、汚泥層に浸透するまで約3時間を要した。これに対して、回分汚泥装置における1及び2回目に注入した人工畑地排水と貯留汚泥装置における1~3回目に注入した人工畑地排水は、汚泥層に浸透するまで約24時間を要した。回分汚泥を含む汚泥層は、2回目の注入と3回目の注入との間、すなわち4日間で回分汚泥に亀裂が生じ、人工畑地排水が浸透しやすくなったためである。したがって、回分汚泥装置に注入した3回目の人工畑地排水が汚泥層に滞留する時間が比較的に短時間となり、その結果、硝酸性窒素の除去効率が低かったと考えられる。このことから、畑地排水処理システム1では、汚泥層の乾燥による亀裂の発生を防止することによって、畑地排水を汚泥層に確実に浸透させることができ、畑地排水に含まれる硝酸性窒素の分解能力を維持することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る畑地排水に含まれる硝酸性窒素の除去方法及び畑地排水処理システムによれば、畑地排水に含まれる硝酸性窒素を生物学的に効率よく脱膣できる。また、本発明に係る畑地は、畑地排水処理システムによって、畑地排水に含まれる硝酸性窒素を生物学的に効率よく脱膣できるため、浄化された畑地排水を排出するができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した畑地排水処理システムの一例を示す要部断面図である。
【図2】畑地排水処理システムを備える畑の要部断面図である。
【図3】実施例で作製した畑地排水処理システムの断面図である。
【図4】図3に示した畑地排水処理システムに注入する前の人工畑地排水に含まれる硝酸性窒素濃度と、当該畑地排水処理システムから回収した人工畑地排水に含まれる硝酸性窒素濃度とを示す特性図である。
【図5】回分汚泥を備える畑地排水処理システムに注入する前の人工畑地排水に含まれる硝酸性窒素濃度と、当該畑地排水処理システムから回収した人工畑地排水に含まれる硝酸性窒素濃度とを示す特性図である。
【図6】貯留汚泥を備える畑地排水処理システムに注入する前の人工畑地排水に含まれる硝酸性窒素濃度と、当該畑地排水処理システムから回収した人工畑地排水に含まれる硝酸性窒素濃度とを示す特性図である。
【符号の説明】
1 畑地排水処理システム、2 止水部、3 汚泥層、4 投入管、5 ドレーン管、6 畑地土壌、7 空隙材
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5