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明細書 :フラーレン誘導体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4004976号 (P4004976)
公開番号 特開2004-262867 (P2004-262867A)
登録日 平成19年8月31日(2007.8.31)
発行日 平成19年11月7日(2007.11.7)
公開日 平成16年9月24日(2004.9.24)
発明の名称または考案の名称 フラーレン誘導体
国際特許分類 C07C 235/84        (2006.01)
C07C 237/10        (2006.01)
C07F  11/00        (2006.01)
FI C07C 235/84
C07C 237/10
C07F 11/00 Z
請求項の数または発明の数 11
全頁数 19
出願番号 特願2003-056084 (P2003-056084)
出願日 平成15年3月3日(2003.3.3)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 第16回基礎有機化学連合討論会講演予稿集(平成14年10月3日)第16回基礎有機化学連合討論会組織委員会発行第331ページに発表
審査請求日 平成16年12月10日(2004.12.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】高口 豊
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
【識別番号】100080034、【弁理士】、【氏名又は名称】原 謙三
【識別番号】100113701、【弁理士】、【氏名又は名称】木島 隆一
【識別番号】100116241、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 一郎
審査官 【審査官】櫛引 智子
参考文献・文献 社団法人 日本化学会,日本化学会第81春季年会,講演予稿集 II,2002年 3月11日,p.1318
Yutaka T. et al,Reversible Binding of C60 to an Anthracene Bearing a Dendritic Poly(amidoamine) Substituent to give a Water-Soluble Fullerodendrimer,Angewandte Chemie, International Edition,ドイツ,2002年,41(5),p.817-819
調査した分野 C07C 235/84
C07C 237/10
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
フラーレンに少なくとも1つの修飾アントラセンが付加しているフラーレン誘導体において、
上記修飾アントラセンは、2、3、6、および7位の少なくとも一箇所に電子吸引基を有し、該電子吸引基の少なくとも1つにスペーサを介して機能性官能基が結合しており、
フラーレンに対して複数の修飾アントラセンが結合していることを特徴とするフラーレン誘導体。
【請求項2】
上記電子吸引基は、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基、およびスルホン酸エステル基から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のフラーレン誘導体。
【請求項3】
上記スペーサは、アルキル基、デンドリマーおよびポリエチレンオキシドから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のフラーレン誘導体。
【請求項4】
上記デンドリマーは、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリフェニルエーテルデンドリマー、ポリフェニルエステルデンドリマーおよびポリアミドデンドリマーから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載のフラーレン誘導体。
【請求項5】
上記デンドリマーは、1.0世代以上であることを特徴とする請求項4に記載のフラーレン誘導体。
【請求項6】
上記機能性官能基は、親水性官能基、疎水性官能基、酸化還元性官能基、分子認識官能基、重合性官能基、金属配位性官能基、および液晶性官能基から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のフラーレン誘導体。
【請求項7】
上記機能性官能基は、カルボン酸誘導体、リン酸誘導体、ジフェニルセレニド誘導体、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルコール基、アミン基、デンドリマー、ビピリジン誘導体、フェナントレン誘導体、スチレン誘導体、アクリル酸誘導体、シアノビフェニル基、メトキシフェニル安息香酸エステル基、コレステリル基、糖、DNA、ルテニウムビピリジン錯体、およびポルフィリンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のフラーレン誘導体。
【請求項8】
上記機能性官能基は、メチルエステル基、ポリエチレンオキシド基、ジフェニルセレニド基、フルオロオクチル基および糖から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項7に記載のフラーレン誘導体。
【請求項9】
各修飾アントラセンにおける機能性官能基が、異なっていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のフラーレン誘導体。
【請求項10】
上記機能性官能基は、親水性官能基および疎水性官能基であることを特徴とする請求項9に記載のフラーレン誘導体。
【請求項11】
上記フラーレンは、C60であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のフラーレン誘導体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、光線力学療法剤、抗エイズ薬、およびドラッグデリバリーシステム等の医薬品、ならびに太陽電池電極、フォトリフラクティグポリマー、およびエレクトロルミネセンス(EL)材料等の複合材料におけるフラーレン源として利用されるフラーレン誘導体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フラーレンを複合材料系へと導入すると、その高い電子受容能力に由来する機能の向上が見られることが報告されている(非特許文献1)。ただし、フラーレンの溶解性の低さ、様々な材料との親和力の低さ、分散のしにくさが妨げとなり、フラーレンをドープできる量がごく微量に留まっていた。また、上記非特許文献1では、例えば、ある種のフラーレン誘導体が、強力なHIVプロテアーゼの阻害活性を持っていることが報告されている。しかしながら、そのフラーレン誘導体の合成の困難さが実用化への妨げになっていた。
【0003】
また、例えば、非特許文献2では、フラーレンとデンドリマーとからなるフラーレン誘導体(いわゆる、フラロデンドリマー)を、Hirsch-Bingel反応により合成できることが開示されている。この非特許文献2におけるフラーレン誘導体は、合成する際に原料以外に多数の反応試薬が必要である。したがって、工業化する上で制約が大きく、さらに、そのフラーレン誘導体の精製も困難なものであった。また、上記のフラーレン誘導体では、フラーレンを自由に着脱することができなかった。
【0004】
また、フラーレンを自由に着脱することができるフラーレン誘導体としては、フラーレンとアントラセンとを付加反応させたものがある。このような、フラーレンとアントラセンとの付加反応は数多く報告されている(例えば、非特許文献3~7)。しかしながら、収率が低く機能性の高いフラーレン誘導体の合成へと応用することができなかった。
【0005】
なお、本発明者らも、フラーレンとアントラセンとの付加反応により合成した、フラーレン誘導体を報告している(非特許文献8~13)。特に、本発明者らは、非特許文献13において、2位にデンドリマー型置換基を持つアントラセンを用いたフラーレン誘導体の合成を報告している。
【0006】
【非特許文献1】
大澤映二ほか編著、“炭素第三の同素体フラーレンの化学”季刊化学総説,43、学会出版センター(1999)
【0007】
【非特許文献2】
A. Hirsch et al., Topics in Current Chemistry, 217, 51 (2001)
【0008】
【非特許文献3】
Y. Murata et al., J. Org. Chem., 64, 3483 (1999)
【0009】
【非特許文献4】
Kraeuteer B. et al., Chem Eur J.7,3223-3235(2001)
【0010】
【非特許文献5】
Duarte-Ruiz A. et al., Helv Chim Acta 84,2167-2177(2002)
【0011】
【非特許文献6】
Klemt R. et al., Acta. Chem. Scand. 50,1050-1059(1996)
【0012】
【非特許文献7】
Schlueter J.A. et al., J. Chem. Soc, Chem. Commun. II,972-974(1993)
【0013】
【非特許文献8】
高口, 現代化学(東京化学同人)12, 54-60 (2002)
【0014】
【非特許文献9】
高口ら, 高分子学会予稿集 51,183(2002)
【0015】
【非特許文献10】
高口ら, 高分子加工 51,501-506(2002)
【0016】
【非特許文献11】
高口ら, 日本化学会講演予稿集 79,707(2001)
【0017】
【非特許文献12】
Takaguchi Y. et al., Angewandte Chemie. International Edition 41,817-819(2002)
【0018】
【非特許文献13】
高口ら, 日本化学会講演予稿集 81,1318(2002)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記各非特許文献では、所望の機能を有するフラーレン誘導体を簡便に合成するには至っていない。
【0020】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、種々の機能性を付与することができるフラーレン誘導体の製造方法およびそのフラーレン誘導体を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明のフラーレン誘導体の製造方法は、上記課題を解決するために、フラーレンに少なくとも1つの修飾アントラセンが付加しているフラーレン誘導体の製造方法において、フラーレンと、2、3、6、および7位の少なくとも一箇所に電子吸引基を有し、かつ該電子吸引基の少なくとも1つにスペーサを介して機能性官能基が結合している修飾アントラセンとを溶媒中にて混合することを特徴としている。
【0022】
上記の方法によれば、フラーレンに少なくとも1つの修飾アントラセンが付加しているフラーレン誘導体において、上記修飾アントラセンが、2、3、6、および7位の少なくとも一箇所に電子吸引基を有し、該電子吸引基の少なくとも1つにスペーサを介して機能性官能基が結合しているフラーレン誘導体を製造することができる。なお、上記フラーレンは、C60であることが好ましい。
【0023】
上記の方法によれば、上記修飾アントラセンが2位、3位、6位、および7位の少なくとも1箇所に電子吸引基を有しているので、アントラセンの9位および10位における反応性を活性化させることができる。さらに、アントラセンの2位、3位、6位および7位であれば、修飾アントラセンの9位および10位に対する立体障害となりにくい。そのため、フラーレン誘導体の収率を向上させることができる。上記電子吸引基としては、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルホキシド基、およびスルホン酸エステル基から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】
また、上記スペーサとしては、アルキル基およびデンドリマーが挙げられる。アルキル基としては、特に炭素数3以上のアルキル基が好ましい。また、デンドリマーの世代は特に限定されるものではないが、世代が上がるにつれ、その末端に結合することができる機能性官能基の数を増やすことができる。また、上記デンドリマーは、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリフェニルエーテルデンドリマーまたはポリフェニルエステルデンドリマー等が挙げられる。
【0025】
特に、スペーサとしてデンドリマーを用いた場合には、デンドリマーの中心核を電子吸引基に結合させることにより、中心核から枝分かれするというデンドリマーの構造上、修飾アントラセンにおける9位および10位において、該デンドリマーが立体障害になりにくい。したがって、デンドリマーを用いることにより、機能性官能基の数を増やすことができるとともに、修飾アントラセンのフラーレンとの反応性の低下を抑制することができる。さらに、4級炭素を骨格に有するデンドリマーは、末端の数が増え、該末端に結合させることができる機能性官能基の数をより増やすことができる。さらに、上記スペーサにより、機能性官能基とアントラセンとの距離を確保することがきるため、機能性官能基としてかさ高い基を導入することができる。
【0026】
また、上記機能性官能基としては、例えば、親水性官能基、疎水性官能基、酸化還元性官能基、分子認識能を有する官能基、重合性官能基、金属配位性官能基等、液晶性官能基等が挙げられ、官能基の種類に応じてフラーレン誘導体に種々の機能を持たせることができる。また、上記機能性官能基としては、カルボン酸誘導体、リン酸誘導体、ジフェニルセレニド誘導体、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルコール基、アミン基、デンドリマー、および糖から選択される少なくとも1種であることが好ましく、メチルエステル基、ポリエチレンオキシド基、ジフェニルセレニド基、およびフルオロオクチル基が挙げられる。
【0027】
また、製造時にフラーレンに対する修飾アントラセンの比を変えることにより、フラーレンに対して複数の修飾アントラセンが結合したフラーレン誘導体を得ることができる。さらに、フラーレンに機能性官能基が異なる修飾アントラセンを結合させることもできる。例えば、1つのフラーレンに対して親水性官能基を有する修飾アントラセンおよび疎水性官能基を有する修飾アントラセンとを結合させた場合には、両親媒性のフラーレン誘導体を得ることができる。
【0028】
さらに、上記方法によれば、使用する試薬は、原料物質のフラーレン、修飾アントラセンおよび溶媒だけであるので、精製が容易である。また、温度条件は、45℃程度でよく、フラーレン誘導体を容易に製造することができる。従って、上記方法は、工業的に利用価値が高いものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるフラーレン誘導体について説明すれば以下のとおりである。
【0030】
本発明のフラーレン誘導体は、フラーレンC60と修飾アントラセンにおける9位および10位とが結合した構造を有し、以下の式(1)
【0031】
【化1】
JP0004004976B2_000002t.gif
【0032】
で表される化合物である。上記修飾アントラセンは、アントラセンの2位に電子吸引基Xを有し、この電子吸引基XにスペーサYが結合し、さらに、スペーサYの末端に種々の官能基Zが結合している化合物である。
【0033】
上記フラーレン誘導体は、例えば45℃程度の温和な条件の溶液中にて、原料物質であるフラーレンと修飾アントラセンとを混合させ、ディールス-アルダー反応により、簡便に製造することができる。また、フラーレンと修飾アントラセンとの比率を変化させることにより、フラーレンに対して、1個ないし6個の修飾アントラセンを導入することができる。つまり、本発明のフラーレン誘導体には、上記修飾アントラセンが、フラーレンに対して1個ないし6個結合したものも含まれる。また、電子吸引基X、スペーサYおよび/または官能基Zが異なる修飾アントラセンを、順次混合することにより、異なる種類の修飾アントラセンを導入したフラーレン誘導体を製造することができる。上記ディールズアルダー反応により製造されたフラーレン誘導体は、熱による逆反応を生じさせることができ、フラーレンと、修飾アントラセンとの着脱が可能であるという機能を有している。つまり、上記フラーレン誘導体は、フラーレンの分子コンテナとして応用することができる。
【0034】
上記のフラーレン誘導体の製造方法によれば、使用する試薬は、原料物質のフラーレン、修飾アントラセンおよび溶媒だけであるので、精製が容易である。また、温度条件は、45℃程度でよく、フラーレン誘導体を容易に製造することができる。
【0035】
また、上記修飾アントラセンは、2位に電子吸引基Xを有しているので、修飾アントラセンにおける9位および10位における反応性が活性化し、フラーレンとの反応性が向上する。したがって、上記の製造方法によれば、フラーレン誘導体の収率を向上させることができる。なお、電子吸引基Xとしては、例えば、カルボニル基、エステル基、スルホキシド基、スルホン酸エステル基、アミド基等が挙げられる。中でも、アミド基が好ましい。
【0036】
さらに、上記修飾アントラセンでは、電子吸引基Xに対してスペーサYが結合している。しかしながら、電子吸引基Xは、修飾アントラセンの2位に結合しているため、スペーサYが立体的にかさ高い場合でも、修飾アントラセンと、フラーレンとが結合するアントラセンの9位および10位に対する立体障害となりにくい。したがって、フラーレン誘導体の収率を向上させることができる。
【0037】
また、上記の修飾アントラセンではアントラセンの2位に電子吸引基Xが結合しているが、2位、3位、6位、および7位のうち少なくとも1箇所に電子吸引基Xを有していれば、同様にアントラセンの9位および10位における反応性を活性化させることができる。さらに、アントラセンの2位、3位、6位および7位であれば、修飾アントラセンの9位および10位に対する立体障害となりにくい。そのため、フラーレン誘導体の収率を向上させることができる。
【0038】
また、スペーサYとしては、例えば、アルキル基、デンドリマー、ポリエチレンオキシド(ポリエチレングリコール)等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数3以上のものが好ましく、分岐しているものであってもよい。また、スペーサYとしては、中でもデンドリマーが好ましく、デンドリマーの中心核を電子吸引基Xに結合させればよい。ここで、スペーサYがデンドリマーであるフラーレン誘導体をフラロデンドリマーと呼ぶ。上記デンドリマーとしては、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリフェニルエーテルデンドリマー、ポリフェニルエステルデンドリマー、ポリアミドデンドリマー等が挙げられる。また、デンドリマーの世代は特に限定されるものではないが、世代が上がるにつれ、その末端に結合することができる官能基Zの数を増やすことができる。また、デンドリマーの中心核を電子吸引基Xに結合させることにより、中心核から枝分かれするというデンドリマーの構造上、修飾アントラセンにおける9位および10位において、該デンドリマーが立体障害になりにくい。したがって、デンドリマーを用いることにより、官能基の数を増やす効果および修飾アントラセンのフラーレンとの反応性の低下を抑制する効果の両方の効果が得られる。さらに、4級炭素を骨格に有するデンドリマーは、末端の数が増え、該末端に結合することができる官能基Zの数をより増やすことができる。
【0039】
また、上記スペーサYにより、官能基Zとアントラセンとの距離を確保することがきるため、官能基Zとしてかさ高い分子を導入することができる。
【0040】
また、上記官能基Zとしては、例えば、親水性官能基、疎水性官能基、酸化還元性官能基、分子認識官能基、重合性官能基、金属配位性官能基、液晶性官能基等の機能性官能基が挙げられる。上記官能基Zとして、より具体的には、上記官能基Zとしては、例えば、カルボン酸誘導体、リン酸誘導体、アルキル基、フッ素化アルキル基、セレニド誘導体、ポリエチレンオキシド(ポリエチレングリコール)基等のアルコール基、アミン基、ビピリジン誘導体、フェナントレン誘導体、スチレン誘導体、アクリル酸誘導体、シアノビフェニル基、メトキシフェニル安息香酸エステル基、およびコレステリル基等の官能基;および、糖、DNA、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリフェニルエーテルデンドリマー、ポリフェニルエステルデンドリマー、ルテニウムビピリジン錯体、およびポルフィリン等の機能性分子が挙げられる。
【0041】
特に、本発明のフラーレン誘導体は、官能基Zとしてカルボン酸、リン酸またはそれらの誘導体を導入することにより、無機材料との複合材料を作りやすくすることができる。無機材料との複合化によって、フラーレンの耐久性が高くなることが期待される。
【0042】
また、本発明のフラーレン誘導体は、官能基Zとして糖を導入することにより、細胞の膜タンパクを認識することにより、細胞へのターゲティングが可能になる。さらに、官能基Zとして、DNAを導入することにより、同様に遺伝子へのターゲティングが可能になる。これらは、例えば、フラーレンの薬理活性を利用する場合に非常に重要となる。
【0043】
さらに、本発明のフラーレン誘導体は、官能基Zとしてポリフェニルエーテルデンドリマーを導入することにより、該ポリフェニルエーテルデンドリマーに由来する光捕集機能が付与され、該ポリフェニルエーテルデンドリマーが光エネルギーを効率よく集めてフラーレンに伝えることによりフラーレンの光科学的な機能が高められる可能性がある。
【0044】
さらに、本発明のフラーレン誘導体は、官能基Zとして重合性官能基(スチレン誘導体、アクリル酸誘導体等)を導入することにより、フラーレンを導入したモノマーとすることができる。このモノマーを高分子化することにより、耐久性の高い材料になるほか、ブロックポリマーやポリマーブレンドなどに使うことによって、ポリマーにフラーレンの機能を付与することも期待できる。
【0045】
さらに、本発明のフラーレン誘導体は、官能基Zとして金属配位性官能基(ビピリジン錯体、フェナントレン誘導体、ルテニウムビピリジン錯体、ポルフィリン等)を導入することにより、金属錯体からフラーレンへの光電子移動を利用して、例えば太陽電池への応用が可能と考えられる。
【0046】
さらに、本発明のフラーレン誘導体は、官能基Zとして液晶性官能基(シアノビフェニル基、メトキシフェニル安息香酸エステル基、コレステリル基等)を導入することにより、フラーレンの配列を作ることができ、光電気伝導を実現できる。
【0047】
さらに、1個~6個など、複数の修飾アントラセンをフラーレン1分子に結合させることもできる。例えば、各修飾アントラセンにおける官能基を同じ官能基にすることによりフラーレン誘導体の機能性をより一層高めることができる。また、各修飾アントラセンにおける官能基の種類を選択することにより、複数の機能を有するフラーレン誘導体を得ることができる。例えば、親水性基を有する修飾アントラセンと、疎水性基を有する修飾アントラセンとをフラーレン1分子に結合させることにより、両親媒性のフラーレン誘導体となる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例では、1H NMR、13C NMR、19F NMR 、MALDI-TOF-MSなどで化合物の同定を行った。
【0049】
〔実施例1〕
【0050】
【化2】
JP0004004976B2_000003t.gif
【0051】
〔実験〕
C60(44 mg, 6.15×10-2 mmol)のo-C6H4Cl2溶液(3.4 ml)に1.5世代ポリアミドアミンデンドロン(G1.5(COOMe)4OFF)(2)(0.103 g, 0.12 mmol)を加え、N2雰囲気下45℃で4日間加熱撹拌した後、反応液をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、eluent: CHCl3 : MeOH = 40 : 1)にかけ精製したところ、1.5世代フラロデンドリマー([G1.5-C60]adduct)(3)(65 mg, 4.17×10-2 mmol, 収率 70 %)が褐色油状物質として得られた。
【0052】
〔スペクトルデータ〕
1H NMR (CDCl3) 2.24 - 2.35 (m, 16H), 2.55 (t, J = 6 Hz, 8H), 2.63 - 2.82 (m, 6H), 3.12 (q, J = 5 Hz , 4H), 3.54 -3.65 (m, 14H), 5.78 (s, 1H), 5.82 (s, 1H), 6.79 (t, J = 4 Hz, 2H), 7.38 - 7.43 (m, 2H), 7.67 - 7.71 (m, 2H), 7.74 (d, J = 8Hz, 1H), 7.79 - 7.93 (m, 1H), 8.04 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.39 (s, 1H) ;
13C NMR (CDCl3) 32.7, 33.8, 37.1, 37.7, 49.1, 51.6, 52.4, 52.8, 52.8, 71.5, 71.5, 125.2, 125.5, 125.7, 125.9, 126.0, 126.2, 126.4, 126.6, 127.2, 127.4, 127.5, 128.3, 133.5, 133.7, 136.1, 139.4, 141.1, 141.3, 141.4, 141.7, 141.8, 142.0, 142.1, 142.3, 142.4, 142.4, 142.7, 142.8, 142.8, 143.5, 143.6, 143.8, 143.9, 144.0, 144.0, 144.1, 144.7, 144.8, 144.9, 145.1, 145.2, 145.3, 145.4, 145.5, 145.7, 145.7, 145.8, 146.1, 146.2, 147.1, 147.1, 147.2, 147.8, 147.8, 148.1, 148.2, 148.3, 148.5, 148.6, 149.1, 155.0 ;
MALDI-TOF-MS for C103H60N6O11: m/z calcd 1557.61, [M-]; found, 1556.84.
〔実施例2〕
【0053】
【化3】
JP0004004976B2_000004t.gif
【0054】
〔実験〕
C60(30 mg, 3.84×10-2 mmol)のo-C6H4Cl2溶液(2.4 ml)に2.5世代ポリアミドアミンデンドロン(G2.5(COOMe)8OFF)(0.126 g, 7.67×10-2 mmol)を加え、N2雰囲気下、45℃で4日間加熱撹拌した後、反応液をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、eluent: CHCl3 : MeOH = 10 : 1)にかけ精製したところ、2.5世代フラロデンドリマー([G2.5-C60]adduct)(4)(32 mg, 1.36×10-2 mmol, 収率 40%)が褐色油状物質として得られた。
【0055】
〔スペクトルデータ〕
1H NMR (CDCl3) 2.25 (t, J = 6 Hz, 8H), 2.32 - 2.36 (m, 27H), 2.46 (t, J = 6 Hz, 10H), 2.60 - 2.68 (m, 28H), 2.72 - 2.79 (m, 6H), 3.12 - 3.21 (m, 12H), 3.59 (s, 24H), 5.79 (s, 1H), 5.83 (s, 1H), 6.95 - 6.97 (m, 2H), 7.38 - 7.43 (m, 2H), 7.69 - 7.72 (m, 2H), 7.75 - 7.77 (m, 1H), 8.04 - 8.06 (m, 2H), 8.40 (s,1H) ;
13C NMR (CDCl3) 14.1, 22.6, 29.3, 30.1, 30.3, 31.9, 32.6, 37.2, 49.2, 50.0, 51.7, 52.8, 58.0, 58.1, 72.3, 72.4, 125.5, 125.5, 125.9, 126.0, 126.1, 126.7, 127.5, 127.5, 129.6, 129.7, 130.0, 133.2, 136.8, 136.9, 136.9, 137.0, 139.8, 139.9, 141.3, 141.3, 141.6, 141.6, 141.7, 142.0, 142.0, 142.0, 142.2, 142.2, 142.3, 142.3, 142.5, 142.9, 142.9, 143.1, 143.1, 144.6, 144.6, 144.6, 144.7, 145.1, 145.2, 145.3, 145.3, 145.4, 145.4, 146.1, 146.2, 146.4, 146.4, 147.5, 147.5, 147.6, 147.6, 155.2, 155.3, 167.5, 170.8, 172.3, 173.0 ;
MALDI-TOF-MS for C139H124N14O23 : m/z calcd 2358.55, [M-]; found, 2356.73.
〔実施例3〕
【0056】
【化4】
JP0004004976B2_000005t.gif
【0057】
〔実験〕
1.0世代末端オリゴエチレンオキシドデンドロン(G1.0(oligoethylenoxide)2) (0.042g, 0.0520 mmol)とC60-0.5世代ポリアミドアミンデンドロンモノ付加体(C60-G0.5(COOMe)2)(0.040g, 0.0346 mmol)のクロロホルム溶液(1.5 ml)を窒素雰囲気下、45℃で一週間加熱攪拌した後、反応液を分取用HPLCで精製したところC60-0.5世代ポリアミドアミンデンドロン-1.0世代末端オリゴエチレンオキシドデンドロン付加体(C60-G0.5(COOMe)2 -G1.0(oligoethylenoxide)2)(5)(0.028g, 収率41 %)が褐色油状物質として得られた。
【0058】
〔スペクトルデータ〕
1H - NMR (CDCl3) 1.77 - 2.14 (m, 8H), 2.33 - 2.55 (m, 4H), 2.57 - 2.92 (m, 8H), 3.07 - 3.33 (m, 16H), 3.34 - 3.70 (m, 26H), 3.84 - 3.96 (m, 4H), 5.60 - 6.13 (m, 4H), 7.21 - 8.61 (m, 16H).
〔実施例4〕
【0059】
【化5】
JP0004004976B2_000006t.gif
【0060】
〔実験〕
2.0世代末端オリゴエチレンオキシドデンドロン(G2.0(oligoethylenoxide)4) (0.082g, 0.0519 mmol)とC60-0.5世代ポリアミドアミンデンドロンモノ付加体(C60-G0.5(COOMe)2)(0.040g, 0.0346 mmol)のクロロホルム溶液(1.5 ml)を窒素雰囲気下、45℃で一週間加熱攪拌した。反応液を分取用HPLCで精製したところC60-0.5世代ポリアミドアミンデンドロン-2.0世代末端オリゴエチレンオキシドデンドロン付加体(C60-G0.5(COOMe)2- G2.0(oligoethylenoxide)4)付加体(6)(0.024g, 収率25 %)が褐色油状物質として得られた。
【0061】
〔スペクトルデータ〕
1H-NMR (CDCl3) 2.14 - 2.32 (m, 8H), 2.33 - 2.46 (m, 8H), 2.49 - 2.66 (m, 12H), 2.66 - 2.91 (m, 12H), 3.05 - 3.22 (m, 4H), 3.29 - 3.44 (m, 28H), 3.45 - 3.79 (m, 42H), 3.92 - 4.07 (m, 8H), 5.67 - 6.20 (m, 4H), 7.33 - 8.73 (m, 26H).
〔実施例5〕
【0062】
【化6】
JP0004004976B2_000007t.gif
【0063】
〔実験〕
2.0世代末端オリゴエチレンオキシドデンドロン(G2.0(oligoethylenoxide)4) (0.061g, 0.0385 mmol)とC60-1.5世代ポリアミドアミンデンドロンモノ付加体(C60-G1.5(COOMe)4) (0.040g, 0.0257 mmol)のクロロホルム溶液(0.75 ml)を、窒素雰囲気下、45℃で一週間加熱攪拌した。反応液を分取用HPLCで精製したところC60-1.5世代ポリアミドアミンデンドロン-2.0世代末端オリゴエチレンオキシドデンドロン付加体(C60-G1.5(COOMe)4-G2.0(oligoethylenoxide)4)(7)(0.019g, 収率23 %)が褐色油状物質として得られた。
【0064】
〔スペクトルデータ〕
1H-NMR (CDCl3) 2.16 - 2.46 (m, 32H), 2.48 - 2.65 (m, 16H), 2.65 - 2.91 (m, 12H), 3.05 - 3.26 (m, 8H), 3.29 - 3.44 (m, 28H), 3.52 - 3.78 (m, 48H), 3.95 - 4.01 (m, 8H), 5.68 - 6.19 (m, 4H), 6.77 - 6.92 (m, 2H), 7.28 - 8.69 (m, 26H).
また、C60-1.5世代ポリアミドアミンデンドロン-2.0世代末端オリゴエチレンオキシドデンドロン付加体(7)を水(H2O)とクロロホルム(CHCl3)との2相の溶液に投入したところ、水相およびクロロホルム相のともに溶解し、両親媒性を有していることが確認された。
【0065】
〔実施例6〕
【0066】
【化7】
JP0004004976B2_000008t.gif
【0067】
〔実験〕
1.0世代末端ジフェニルセレニドポリアミドアミンデンドロン (G1.0(Diphenylselenide)2) (50 mg, 0.049 mol) とフラーレン (C60) (31 mg, 0.043 mol)をo -ジクロロベンゼン/クロロホルム/メタノール (3 ml, 1 ml, 0.5 ml) 混合溶媒に溶かし、窒素雰囲気下、45℃で7日間反応させた。その後、反応溶液を精製したところ、目的の1.0世代末端ジフェニルセレニドポリアミドアミンデンドロンC60付加体 (G1.0(Diphenylselenide)2-C60)(8)(22 mg, 0.013 mmol, 収率 44 %) が黒色油状物質として得られた。
【0068】
〔スペクトル〕
1H NMR (CDCl3) 2.29 (brs, 4H), 2.55 - 2.71 (m, 6H), 3.19 - 3.51 (m, 10H), 5.80 (s, 1H), 5.85 (s, 1H), 7.26 - 7.34 (m, 10H), 7.42 - 7.46 (m, 2H), 7.47 - 7.56 (m, 4H), 7.58 - 7.64 (m, 4H), 7.69 - 7.80 (m, 3H), 7.93 (brs, 1H), 8.05 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.38 (s,1H);
13C NMR (CDCl3) 33.8, 38.0, 39.1, 40.8, 50.2, 52.4, 58.1, 58.2, 72.3, 125.0, 125.9, 126.0, 126.4, 127.6, 127.8, 128.3, 128.4, 129.0, 129.7, 130.9, 132.0, 133.1, 134.6, 136.7, 136.8, 136.9, 137.6, 139.9, 141.0, 141.1, 141.2, 141.3, 141.5, 141.6, 141.7, 142.0, 142.1, 142.2, 142.3, 142.5, 142.9, 144.5, 144.6, 145.1, 145.2, 145.3, 145.4, 146.1, 146.2, 146.4, 147.5, 155.1, 155.2, 167.4, 167.8, 173.8;
MALDI-TOF-MS for C113H52N6O5Se2: m/z calcd, 1730.57 [M-]; found, 1730.17.
〔実施例7〕
【0069】
【化8】
JP0004004976B2_000009t.gif
【0070】
〔実験〕
1.0世代デンドリマー (G1.0 (Diphenylselenides)3) (48 mg, 0.0354 mmol) をo-ジクロロベンゼン (3 ml)、クロロホルム (2 ml)、メタノール (1 mml) の混合溶媒に溶かし、C60 (26 mg, 0.0361 mmol) を加え、窒素雰囲気下、45℃にて一週間加熱攪拌した。得られた反応溶液を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム : メタノール = 20 : 1) により精製したところG1.0末端ジフェニルセレニドフラロデンドロン(9)(28 mg, 0.0135 mmol, 収率38 %) を黒色油状物質として得た。
【0071】
〔スペクトル〕
1H NMR (CDCl3) 2.04 (brs, 6H), 2.17(brs, 6H), 3.34 (brs, 6H), 5.82 (s, 1H), 5.78(s, 1H), 7.26 - 7.33 (m, 17H), 7.59 (d, J = 8.0 Hz, 12H), 7.68 - 7.73 (m, 3H), 7.82 (d, J = 7.7, 1H), 8.26 (s, 1H);
MALDI-TOF-MASS for C130H67N7O7Se3: m/z calcd, 2074.85 [M-]; found, 2074.13.
〔実施例8〕
【0072】
【化9】
JP0004004976B2_000010t.gif
【0073】
〔実験〕
1.0世代デンドリマー (G1.0 (Metoxy-Diphenylselenides)3) (4 mg, 0.00314 mmol) のo-ジクロロベンゼン溶液 (5 ml) にC60 (5 mg, 0.00628 mmol) を加え、窒素雰囲気下、45℃のオイルバスで一週間加熱攪拌した。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム : メタノール = 10 : 1) により精製したところ末端メトキシジフェニルセレニドフラロデンドロン(10)(0.5 mg, 0.000251 mmol 収率8 %) を黒色油状物質として得た。
【0074】
〔スペクトル〕
1H NMR (CDCl3) 2.36 - 2.41 (brs, 12H), 3.80 (s, 9H), 4.27 - 4.30 (m, 6H), 5.83 (s, 1H), 5.84 (s, 1H), 6.80 - 6.84 (m, 6H),7.03 - 7.09 (m, 6H), 7.25 -7.21 (m, 6H), 7.43 -7.46 (m, 6H), 7.88 (s, 1H) 7.94 (brs, 1H), 7,96 - 8,04 (m, 3H), 8.28 (s, 1H).
〔実施例9〕
【0075】
【化10】
JP0004004976B2_000011t.gif
【0076】
〔実験〕
2.0世代ポリアミドアミンデンドロン(2-G2.0(2-(fluorooctyl)ethyl ester)4)(11)(20 mg, 0.00779 mmol) のo-ジクロロベンゼン(5 ml)およびクロロホルム(2.5 ml)の混合溶液にC60 (56 mg, 0.0777 mmol)を加え窒素雰囲気下45℃で12日間加熱攪拌した。生成物をHPLC(eluent: CHCl3) により精製したところフラロポリアミドアミンデンドロン(mono[2-G2.0(2-(fluorooctyl)ethyl ester)4] C60 adduct)(12)(63 mole%, 0.00397 mmol, 13 mg, 収率 69 %)が褐色油状物質として得られた。
【0077】
〔スペクトル〕
1H NMR (CD3Cl) 2.24 - 2.55 (m, 24H), 2.55 - 2.63 (m, 8H), 2.63 - 2.75 (m, 2H), 2.75 - 2.86 (m, 4H), 3.20 - 3.72 (m, 4H), 3.60 - 3.72 (m, 2H), 4.36 (t, J = 6.4 Hz, 8H), 5.84 (s, 1H), 5.89 (s, 1H), 7.45 - 7.48 (m, 2H), 7.75 - 7.78 (m, 2H), 7.94 (brs, 1H), 8.12 (s, 1H), 8.46 (s, 1H);19F NMR (CDCl3) -126.7, -124.0, -123.3, -122.5, -122.5, -122.2, -114.2, -81.3;
MALDI-TOF-MASS for C139H64F68N6O11 m/z calcd, 3286.92 [M-]; found, 3285.88.
また、上記フラロポリアミドアミンデンドロン(12)は、フルオラス溶媒に溶解することが確認された。
【0078】
〔実施例10〕
【0079】
【化11】
JP0004004976B2_000012t.gif
【0080】
〔実験〕
C60-0.5世代ポリアミドアミンデンドロンモノ付加体(C60-G0.5(COOMe)2)(14)(0.040g, 0.0346 mmol)のクロロホルム溶液(1.5 ml)に0.5世代ポリアミドアミンデンドロン(13)(0.061g, 0.14 mmol)を加え窒素雰囲気下、45℃で一週間加熱攪拌した後、反応液を分取用HPLCで精製したところC60-0.5世代ポリアミドアミンデンドロントリ付加体(C60-(G0.5(COOMe)2)3(15)を褐色油状物質として29%の収率で得た。
【0081】
〔スペクトルデータ〕
1H NMR (CDCl3) δ 2.29 - 2.47 (m, 12H), 2.60 - 2.88 (m, 16H), 3.25 - 3.73 (m, 24H), 5.15 - 5.84 (m, 6H), 7.22 - 8.33 (m, 21H).
〔実施例11〕
【0082】
【化12】
JP0004004976B2_000013t.gif
【0083】
〔実験〕
上記実施例と同様に、C60のo-C6H4Cl2溶液に0.5世代ポリアミドアミンデンドロン糖付加体(16)を加え、N2雰囲気下45℃で4日間加熱撹拌した後、反応液をカラムクロマトグラフィーにかけ精製したところ、0.5世代フラロデンドリマー(17)(収率 8 %)が得られた。
【0084】
〔スペクトル〕
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.20 - 2.28 (m, 6H), 2.44 - 2.51 (m, 6H), 3.35 (s, 9H), 3.50 - 3.57 (m, 6H), 3.61 - 3.69 (m, 24H), 4.17 - 4.22 (m, 6H), 5.84 (s, 1H), 5.87 (s, 1H), 6.81 (m, 1H), 7.48 (t, J = 4.4 Hz, 2H), 7.76 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 7.83 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.23 (s, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 29.1, 30.4, 58.3, 58.6, 58.7, 64.3, 69.4, 70.97, 71.01, 72.3, 72.7, 125.1, 126.3, 126.4, 127.9, 128.0, 129.2, 131.2, 134.2, 137.3, 137.4, 137.5, 140.3, 140.4, 141.4, 141.8, 142.0, 142.4, 142.6, 142.7, 142.8, 143.0, 143.4, 145.0, 145.62, 145.69, 145.69, 145.8, 145.9, 146.6, 146.9, 148.0, 155.6, 155.7, 166.9, 173.9;
UV-vis (CH2Cl2): λmax (ε) = 433.2 (2384), 703.6 (195) nm;
MALDI-TOF-MS for C106H67NO16: m/z calcd, 1609.68 [M-]; found, 1609.30.
〔実施例12〕
【0085】
【化13】
JP0004004976B2_000014t.gif
【0086】
〔実験〕
上記実施例と同様に、C60のo-C6H4Cl2溶液に1.5世代ポリフェニルエーテルデンドロン(18)を加え、N2雰囲気下45℃で4日間加熱撹拌した後、反応液をカラムクロマトグラフィーにかけ精製したところ、1.5世代フラロデンドリマー(19)(収率 18 %)が得られた。
【0087】
〔スペクトル〕
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.13 - 2.28 (m, 6H), 2.30 - 2.43 (m, 6H), 3.69 (s, 36H), 3.62 (d, J = 5.6 Hz, 6H), 4.39 (s, 12H), 5.70 (s, 1H), 5.71 (s, 1H), 6.33 (s, 6H), 6.38 (s, 3 H), 6.43 (s, 6H), 6.47 (s, 12 H), 6.67 (t, J = 5.6 Hz, 3H), 7.34 - 7.42 (m, 2H), 7.63 - 7.68 (m, 3H), 7.85 - 7.99 (m, 1H), 8.10 (brs, 1H), 8.28 (s, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 30.9, 31.6, 43.5, 55.2, 58.0, 58.6, 60.3, 68.6, 69.8, 72.1, 99.7, 101.0, 105.3, 106.6, 124.6, 125.5, 125.8, 127.31, 127.37, 127.99, 133.8, 136.0, 136.5, 136.6, 136.7, 139.20, 139.23, 139.28, 139.59, 139.65, 140.63, 140.67, 140.9, 141.0, 141.4, 141.8, 141.9, 142.0, 142.2, 142,29, 142.34, 142.5, 142.7, 144.2, 144.3, 144.4, 144.9, 144.97, 145.07, 145.12, 145.18, 145.91, 145.95, 145.98, 146.0, 146,1, 146.21, 146.25, 147.3, 147.4, 155.0, 158.3, 158.4, 158.6, 159.9, 160.8, 167.0, 173.1;
UV-vis (CH2Cl2): λmax (ε) = 434.0 (5537), 704.8 (482) nm;
MALDI-TOF-MS for C160H106N4O22: m/z calcd, 2435.59 [M-]; found, 2434.68.
〔実施例13〕
【0088】
【化14】
JP0004004976B2_000015t.gif
【0089】
〔実験〕
C60-0.5世代ポリアミドアミンデンドロンモノ付加体(C60-G0.5(COOMe)3)(20)をベンゼン中トリフルオロエタン酸(トリフルオロ酢酸)TFEとともに室温で攪拌したところ、0.5世代フラロデンドロンモノ付加体(C60-G0.5(COOH)3)(21)(収率64%)が得られた。
【0090】
〔スペクトル〕
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 2.08 - 2.10 (m, 6H), 2.12 - 2.32 (m, 6H), 6.27 (s, 2H), 7.47 (t, J = 3.2 Hz, 1H), 7.50 (t, J = 3.2 Hz, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.86 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.93 (d, J= 7.6 Hz, 2H), 8.27 (s, 1H), 12.05 (s, 3H);
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 28.2, 29.1, 56.1, 56.2, 57.3, 63.1, 72.1, 124.8, 125.4, 125.89, 125.92, 126.5, 127.2, 134.4, 135.93, 135.96, 136.01, 136.05, 139.12, 139.16, 139.19, 141.0, 141.3, 141.4, 141.6, 141.72, 141.75, 142.0, 142.2, 142.3, 144.0, 144.6, 144.71, 144.76, 144.83, 144.9, 145.3, 145.41, 145.43, 145.6, 145.8, 146.9, 155.8, 155.9, 166.6, 174.3;
UV-vis (DMSO): λmax (ε) = 436.4 (2686), 707.2 (258) nm;
MALDI-TOF-MS for C85H25NO7: m/z calcd, 1171.13 [M-]; found, 1170.98.
〔実施例14〕
【0091】
【化15】
JP0004004976B2_000016t.gif
【0092】
〔実験〕
上記実施例と同様に、C60のo-C6H4Cl2溶液に0.5世代ポリアミドアミンデンドロン(22)を加え、N2雰囲気下45℃で3日間加熱撹拌した後、反応液をカラムクロマトグラフィーにかけ精製したところ、0.5世代フラロデンドリマー(23)(収率 41 %)が得られた。
【0093】
〔スペクトル〕
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.43 (s, 27H), 2.14 - 2.21 (m, 6H), 2.32 - 2.38 (m, 6H), 5.83 (s, 1H), 5.84 (s, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.47 (t, J = 2.8 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 2.8 Hz, 1H), 7.76 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.81 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.25
(s, 1H);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 28.1, 30.0, 30.9, 58.0, 58.2, 58.4, 68.1, 72.3, 80.8, 124.7, 125.8, 126.0, 127.51, 127.54, 128.3, 128.8, 130.8, 134.1, 136.9, 137.0, 137.1, 139.9, 140.0, 141.1, 141.6, 141.7, 142.0, 142.1, 142.2, 142.32, 142.35, 142.4, 142.5, 142.9, 144.58, 144.40, 144.41, 145.1, 145.2, 145.3, 145.32, 145.4, 146.2, 146.4, 146.5, 147.6, 155.1, 155.2, 155.30, 155.31, 166.5, 173.1;
UV-vis (CH2Cl2): λmax (ε) = 433.6 (499), 702.0 (46) nm;
MALDI-TOF-MS for C97H49NO7: m/z calcd, 1339.45 [M-]; found, 1340.06.
【0094】
【発明の効果】
上記のように、本発明のフラーレン誘導体は、温和な温度の溶媒中にて原料物質であるフラーレンと、修飾アントラセンとを混合するという簡単な方法にて、容易に合成することができる。
【0095】
さらに、合成されたフラーレン誘導体には、例えば、修飾アントラセンにより機能性官能基を導入することができる。これにより、フラーレン誘導体に、親水性、疎水性、両親媒性等の種々の機能を付与することができる。特に、修飾アントラセンとして、2、3、6、および7位の少なくとも一箇所に電子吸引基を有し、かつ該電子吸引基の少なくとも1つにスペーサが結合している修飾アントラセンを用いることより、高収率でフラーレン誘導体を合成することができる。
【0096】
本発明では、使用する試薬は、原料物質のフラーレン、修飾アントラセンおよび溶媒だけであるので、精製が容易である。また、温度条件は、45℃程度でよく、フラーレン誘導体を容易に製造することができる。従って、工業的に利用価値が高いものである。