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明細書 :ビニルシランの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4296006号 (P4296006)
公開番号 特開2004-256494 (P2004-256494A)
登録日 平成21年4月17日(2009.4.17)
発行日 平成21年7月15日(2009.7.15)
公開日 平成16年9月16日(2004.9.16)
発明の名称または考案の名称 ビニルシランの製造方法
国際特許分類 C07F   7/08        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07F 7/08 C
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 5
全頁数 15
出願番号 特願2003-051745 (P2003-051745)
出願日 平成15年2月27日(2003.2.27)
審査請求日 平成17年1月12日(2005.1.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】高橋 保
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
審査官 【審査官】関 美祝
参考文献・文献 特開平01-287090(JP,A)
特開平04-090855(JP,A)
特開昭51-036425(JP,A)
調査した分野 C07F 7/08
C07B 61/00
CASREACT(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で示されるビニルシランの製造方法であって、
【化1】
JP0004296006B2_000022t.gif
[式中、R1及びR2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基、又は水酸基であり、
1、A2及びA3は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいピリジニル基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基、又は水酸基であり、但し、A1、A2及びA3のうち少なくとも一つは水素原子以外の基である。]
下記式(2)で示されるアセチレン化合物と、
【化2】
JP0004296006B2_000023t.gif
[式中、R1及びR2は、上記の意味を有する。]
下記式(3)で示されるシラン化合物と
【化3】
JP0004296006B2_000024t.gif
[式中、A1、A2及びA3は、上記の意味を有する。]
を、下記式(4)で示されるチタン化合物存在下、反応させることを特徴とするビニルシランの製造方法。
【化4】
JP0004296006B2_000025t.gif
[式中、L1及びL2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、非局在化環状η5-配位系配位子を示す。但し、L1及びL2は、架橋されていてもよい。
1及びX2は、1~C20炭化水素基である。]
【請求項2】
前記チタン化合物を触媒量用いる、請求項1に記載のビニルシランの製造方法。
【請求項3】
前記非局在化環状η5-配位系配位子が、置換されていてもよいシクロペンタジエニル基、置換されていてもよいインデニル基、置換されていてもよいフルオレニル基又は置換されていてもよいアズレニル基である、請求項1又は2に記載のビニルシランの製造方法。
【請求項4】
1が置換基を有していてもよいシリル基であり、かつ、R2が、水素原子又は置換基を有していてもよいC1~C6炭化水素基である、あるいは、R1が置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基であり、かつ、R2が、水素原子である、請求項1~3のいずれかに記載のビニルシランの製造方法。
【請求項5】
1、A2及びA3は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C10炭化水素基;置換基を有していてもよいピリジニル基又は置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基である、請求項1~4のいずれかに記載のビニルシランの製造方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニルシランの製造方法に関し、より詳しくは位置及び立体選択性を制御することができるビニルシランの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ビニルシランは、有機合成の中間体あるいは高分子材料の前駆体として有用である。ビニルシランを合成する方法として、例えば、後周期遷移金属を含む触媒を用いたアルキン類のヒドロシリル化が知られていた。しかしながら、ほとんどの場合、異性体との混合物として得られるため、分離が難しく、利用価値が低いといった問題があった。
【0003】
従って、位置選択的に、また、立体選択的にビニルシランを提供する製造方法が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明では、下記式(1)で示されるビニルシランの製造方法であって、
【化5】
JP0004296006B2_000002t.gif[式中、R1及びR2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基、又は水酸基であり、A1、A2及びA3は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいピリジニル基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基、又は水酸基である。]下記式(2)で示されるアセチレン化合物と、
【化6】
JP0004296006B2_000003t.gif[式中、R1及びR2は、上記の意味を有する。]下記式(3)で示されるシラン化合物と
【化7】
JP0004296006B2_000004t.gif[式中、A1、A2及びA3は、上記の意味を有する。]を、下記式(4)で示されるチタン化合物存在下、反応させることを特徴とするビニルシランの製造方法が提供される。
【化8】
JP0004296006B2_000005t.gif[式中、L1及びL2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、アニオン性配位子を示す。但し、L1及びL2は、架橋されていてもよい。X1及びX2は、脱離基である。]
【0005】
本発明において、前記チタン化合物を触媒量用いることが好ましい。
【0006】
また、本発明において、前記アニオン性配位子が、非局在化環状η5-配位系配位子であって、置換されていてもよいシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基又はアズレニル基であることが好ましい。
【0007】
また、本発明において、R1が置換基を有していてもよいシリル基であり、かつ、R2が、水素原子又は置換基を有していてもよいC1~C6炭化水素基であってもよいし、あるいは、R1が置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基であり、かつ、R2が、水素原子であってもよい。
【0008】
また、本発明において、A1、A2及びA3は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C10炭化水素基;置換基を有していてもよいピリジニル基又は置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、下記式(2)で示されるアセチレン化合物と、下記式(3)で示されるシラン化合物とを、下記式(4)で示されるチタン化合物存在下、反応させることを特徴とする下記式(1)で示されるビニルシランの製造方法が提供される。
【0010】
【化9】
JP0004296006B2_000006t.gif[式中、R1、R2、A1、A2、A3、X1、X2、L1およびL2は、上記の意味を有する。]
【0011】
上記式中、R1及びR2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基、又は水酸基である。
【0012】
本明細書において、「C1~C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1~C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C1~C20炭化水素基」には、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C4~C20アルキルジエニル基、C6~C18アリール基、C6~C20アルキルアリール基、C6~C20アリールアルキル基、C4~C20シクロアルキル基、C4~C20シクロアルケニル基、(C3~C10シクロアルキル)C1~C10アルキル基などが含まれる。
【0013】
本明細書において、「C1~C20アルキル基」は、C1~C10アルキル基であることが好ましく、C1~C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0014】
本明細書において、「C2~C20アルケニル基」は、C2~C10アルケニル基であることが好ましく、C2~C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチルアリル、2-ブテニル等を挙げることができる。
【0015】
本明細書において、「C2~C20アルキニル基」は、C2~C10アルキニル基であることが好ましく、C2~C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
【0016】
本明細書において、「C4~C20アルキルジエニル基」は、C4~C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4~C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3-ブタジエニル等を挙げることができる。
【0017】
本明細書において、「C6~C18アリール基」は、C6~C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0018】
本明細書において、「C6~C20アルキルアリール基」は、C6~C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0019】
本明細書において、「C6~C20アリールアルキル基」は、C6~C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0020】
本明細書において、「C4~C20シクロアルキル基」は、C4~C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0021】
本明細書において、「C4~C20シクロアルケニル基」は、C4~C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0022】
本明細書において、「C1~C20アルコキシ基」は、C1~C10アルコキシ基であることが好ましく、C1~C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0023】
本明細書において、「C6~C20アリールオキシ基」は、C6~C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0024】
1及びR2で示される「C1~C20炭化水素基」、「C1~C20アルコキシ基」、「C6~C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0025】
本明細書において、「置換基を有していてもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0026】
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0027】
本発明は、位置選択的に立体選択的に上記式(1)で示されるビニルシランを得る、一般性が高く、様々な置換基を、R1、R2として用いることができる。
たとえば、R1が置換基を有していてもよいシリル基であり、かつ、R2が、水素原子又は置換基を有していてもよいC1~C6炭化水素基であってもよく、この場合、R1が、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル又はトリエチルシリルであり、かつ、R2が、水素原子又はメチルであってもよい。
また、R1が置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基であり、かつ、R2が、水素原子であってもよく、この場合、R1が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル又はフェニルであり、かつ、R2が、水素原子であってもよい。このような場合でも選択的に反応は進行する。
【0028】
上記式中、A1、A2及びA3は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいピリジニル基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基、又は水酸基である。
【0029】
1、A2及びA3で示される「C1~C20炭化水素基」、「ピリジニル基」、「C1~C20アルコキシ基」、「C6~C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0030】
本発明において、A1、A2及びA3は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいC1~C10炭化水素基;置換基を有していてもよいピリジニル基又は置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基であることが好ましく、メチル;エチル;プロピル;イソプロピル;n-、sec-又はtert-ブチル;フェニル;エチニル;1-又は2-プロピニル;1-、2-又は3-ブチニル;1-、2-、3-又は4-ペンチニル;1-、2-、3-、4-又は5-ヘキシニル;1-、2-、3-、4-、5-又は6-ヘプチニル;1-、2-、3-、4-、5-、6-又は7-オクチニル;1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-又は8-ノニイル;1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-又は9-デシニル;ピリジニル;メトキシ;エトキシ;プロポキシ;ブトキシ;ペンチルオキシ等であることがより好ましい。
【0031】
本発明において、上記式(1)で示されるビニルシランが、
1-(1-オクチニルフェニルシリル)-1-デセン、
4-フェニルシリル-4-オクテン、
1-トリメチルシリル-2-フェニルシリル-1-プロペン、
1-(メチルフェニルシリル)-1-デセン、
1-(メチルフェニルシリル)-1-オクテン、
4-(メチルフェニルシリル)-4-オクテン、
1-トリメチルシリル-2-(メチルフェニルシリル)-1-プロペン、
1-ジフェニルシリル-1-ヘキセン、
1-ジフェニルシリル-1-ヘプテン、
3-ジフェニルシリル-3-ヘキセン、
5-ジフェニルシリル-5-デセン
であることが好ましい。
【0032】
本発明のビニルシランの製造方法では、下記式(2)で示されるアセチレン化合物が用いられる。
【化10】
JP0004296006B2_000007t.gif[式中、R1及びR2は、上記の意味を有する。]
【0033】
また、本発明のビニルシランの製造方法では、下記式(3)で示されるシラン化合物が用いられる。
【化11】
JP0004296006B2_000008t.gif[式中、A1、A2及びA3は、上記の意味を有する。]
【0034】
上記式(3)で示されるシラン化合物の量は、アルキン(2)1モルに対し、0.1モル~100モルであり、好ましくは0.5モル~3モルであり、更に好ましくは0.8モル~2.0モルである。
【0035】
また、本発明のビニルシランの製造方法では、下記式(4)で示されるチタン化合物が用いられる。
【0036】
【化12】
JP0004296006B2_000009t.gif【0037】
1及びL2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、アニオン性配位子を示す。ただし、L1及びL2は、架橋されていてもよい。前記アニオン性配位子は、非局在化環状η5-配位系配位子、C1~C20アルコキシ基、C6~C20アリールオキシ基又はジアルキルアミド基であることが好ましく、非局在化環状η5-配位系配位子であることが更に好ましい。非局在化環状η5-配位系配位子としては、置換されていてもよいシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基又はアズレニル基を挙げることができ、無置換のシクロペンタジエニル基、及び置換されたシクロペンタジエニル基であることが好ましい。
【0038】
この置換シクロペンタジエニル基は、例えば、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、イソプロピルシクロペンタジエニル、n-ブチルシクロペンタジエニル、t-ブチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、ジエチルシクロペンタジエニル、ジイソプロピルシクロペンタジエニル、ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、インデニル基、2-メチルインデニル基、2-メチル-4-フェニルインデニル基、テトラヒドロインデニル基、ベンゾインデニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基である。
【0039】
非局在化環状η5-配位系配位子は、非局在化環状π系の1個以上の原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。水素の他に、周期表第14族の元素及び/又は周期表第15、16及び17族の元素のような1個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0040】
非局在化環状η5-配位系配位子、例えば、シクロペンタジエニル基は、中心金属と、環状であってもよい、一つの又は複数の架橋配位子により架橋されていてもよい。架橋配位子としては、例えば、CH2、CH2CH2、CH(CH3)CH2、CH(C49)C(CH32、C(CH32、(CH32Si、(CH32Ge、(CH32Sn、(C652Si、(C65)(CH3)Si、(C652Ge、(C652Sn、(CH24Si、CH2Si(CH32、o-C64又は2、2'-(C642が挙げられる。
【0041】
1及びX2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、脱離基を示す。脱離基としては、C1~C20炭化水素基であることが好ましく、C1~C10アルキル基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基、C3~C10アリル基、C4~C10アルキルジエニル基、C4~C10ポリエニル基、C6~C10アリール基、C6~C12アルキルアリール基、C6~C12アリールアルキル基、C4~C10シクロアルキル基、又は、C4~C10シクロアルケニル基が好ましい。脱離基としては、C1~C6アルキル基であることが更に好ましく、ブチル基であることが特に好ましい。
【0042】
上記式(4)で示されるチタン化合物は、二つ以上のメタロセン部分 (moiety)を有する化合物も含む。このような化合物は多核メタロセンとして知られている。前記多核メタロセンは、いかなる置換様式及びいかなる架橋形態を有していてもよい。前記多核メタロセンの独立したメタロセン部分は、各々が同一種でも、異種でもよい。前記多核メタロセンの例は、例えばEP-A-632063、特開平4-80214号、特開平4-85310、EP-A-654476に記載されている。
【0043】
本発明のビニルシランの製造方法において、上記式(4)で示されるチタン化合物は、触媒として反応に関わる。
【0044】
本発明において、チタン化合物の量は、アルキン(2)1モルに対して、0.0001モル~0.5モルであることが好ましく、0.001モル~0.3モルであることが更に好ましく、0.01モル~0.2モルであることがより好ましい。
【0045】
本発明において、ビニルシランは、典型的には、チタン化合物(4)の溶液に、上記式(2)で示されるアルキンとシラン化合物(3)を添加し、攪拌して製造する。チタン化合物(4)は単離されたものを用いる必要はなく、溶液中で調製されたチタン化合物をそのまま用いても良い。
【0046】
反応は、好ましくは-100℃~300℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは-80℃~200℃の温度範囲、更に好ましくは-80℃~60℃の温度範囲で行われる。圧力は、例えば、0.1バール~2500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール~10バールの範囲内である。
【0047】
溶媒としては、上記式(4)で示されるチタン化合物を溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0048】
上記式(4)で示されるチタン化合物としては、例えば、下記のチタノセンを用いることができる。
【0049】
ビス(シクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
ビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
ビス(ジイソプロピルシクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
ビス(ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル)ジブチルチタン;
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジブチルチタン。
【0050】
なお、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(ジイソプロピルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロチタン;
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジクロロチタンなどのジクロロ体については、ナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属のような強塩基で還元するか、又は、ジアルキル体に変換する。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
【0052】
すべての反応は、特に言及しない限り、乾燥した窒素雰囲気下のもとで行われた。溶媒として用いたテトラヒドロフラン(THF)は窒素気流下、ナトリウム金属、ベンゾフェノンで蒸留して無水とした。試薬は市販品を購入し、そのまま用いた。
【0053】
実施例1
5-ジフェニルシリル-5-デセン
【化13】
JP0004296006B2_000010t.gif【0054】
Cp2TiCl2 (0,20 mmol, 50 mg) 及びTHF (5 ml)の溶液に、2当量のn-BuLi (1.60 mol/l, 0.25 ml, 0.4 mmol)を-78℃で加えた。溶液を1時間、-78℃にて攪拌し、ジフェニルシラン (1.1 mmol, 203 mg) 及び5-デシン(1.0 mmol)を加えた。反応混合物を室温まで昇温させ、1時間攪拌した。加水分解後の反応混合物のアリコットをGC分析した結果、表題化合物を74 %の収率で得た。
実施例1において、他の位置異性体、立体異性体は全く生成しておらず、生成物は1種類のみであった。以下の実施例でも同様であった。
【0055】
実施例2
1-(1-デセニルフェニルシリル)-1-デセン
【化14】
JP0004296006B2_000011t.gif【0056】
実施例1と同様の手順で行った。ただし、ジフェニルシランの代わりに、1-デセニルフェニルシランを、5-デシンの代わりに、1-デシンを用いた。また、反応混合物を室温まで昇温させ、1時間攪拌する代わりに、50℃まで昇温させ、1時間攪拌した。GC収率52%、単離収率31%。
【0057】
実施例3
4-フェニルシリル-4-オクテン
【化15】
JP0004296006B2_000012t.gif【0058】
実施例1と同様の手順で行った。ただし、ジフェニルシランの代わりに、フェニルシランを、5-デシンの代わりに、4-オクチンを用いた。GC収率95%、単離収率63%。
【0059】
実施例4
1-トリメチルシリル-2-フェニルシリル-1-プロペン
【化16】
JP0004296006B2_000013t.gif【0060】
実施例1と同様の手順で行った。ただし、ジフェニルシランの代わりに、フェニルシランを、5-デシンの代わりに、1-トリメチルシリル-1-プロピンを用いた。GC収率68%、単離収率44%。
【0061】
実施例5
1-メチルフェニルシリル-1-デセン
【化17】
JP0004296006B2_000014t.gif【0062】
実施例1と同様の手順で行った。ただし、ジフェニルシランの代わりに、メチルフェニルシランを、5-デシンの代わりに、1-デシンを用いた。GC収率92%、単離収率67%。
【0063】
実施例6
1-(メチルフェニルシリル)-1-オクテン
【化18】
JP0004296006B2_000015t.gif【0064】
実施例1と同様の手順で行った。ただし、ジフェニルシランの代わりに、メチルフェニルシランを、5-デシンの代わりに、1-オクチンを用いた。GC収率82%、単離収率63%。
【0065】
実施例7
4-メチルフェニルシリル-4-オクテン
【化19】
JP0004296006B2_000016t.gif【0066】
実施例1と同様の手順で行った。ただし、ジフェニルシランの代わりに、メチルフェニルシランを、5-デシンの代わりに、4-オクチンを用いた。GC収率97%、単離収率66%。
【0067】
実施例8
1-トリメチルシリル-2-メチルフェニルシリル-1-プロペン
【化20】
JP0004296006B2_000017t.gif【0068】
実施例1と同様の手順で行った。ただし、ジフェニルシランの代わりに、メチルフェニルシランを、5-デシンの代わりに、1-トリメチルシリル-1-プロピンを用いた。GC収率82%、単離収率54%。
【0069】
実施例9
1-ジフェニルシリル-1-ヘキセン
【化21】
JP0004296006B2_000018t.gif【0070】
実施例1と同様の手順で行った。ただし、5-デシンの代わりに、1-ヘキシンを用いた。GC収率78%、単離収率59%。
【0071】
実施例10
1-ジフェニルシリル-1-ヘプテン
【化22】
JP0004296006B2_000019t.gif【0072】
実施例1と同様の手順で行った。ただし、5-デシンの代わりに、1-ヘプチンを用いた。GC収率72%、単離収率58%。
【0073】
実施例11
3-ジフェニルシリル-3-ヘキセン
【化23】
JP0004296006B2_000020t.gif【0074】
実施例1と同様の手順で行った。ただし、5-デシンの代わりに、3-ヘキシンを用いた。GC収率96%、単離収率67%。
【0075】
実施例1~11の反応機構を下記に示す。
【化24】
JP0004296006B2_000021t.gif【0076】
【発明の効果】
本発明の方法により、位置選択的に、また、立体選択的にビニルシランを提供することができる。