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明細書 :5-アルキリデン-2-オキサゾリジノン類の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4307106号 (P4307106)
公開番号 特開2004-262830 (P2004-262830A)
登録日 平成21年5月15日(2009.5.15)
発行日 平成21年8月5日(2009.8.5)
公開日 平成16年9月24日(2004.9.24)
発明の名称または考案の名称 5-アルキリデン-2-オキサゾリジノン類の製造方法
国際特許分類 C07D 263/38        (2006.01)
FI C07D 263/38
請求項の数または発明の数 1
全頁数 8
出願番号 特願2003-054723 (P2003-054723)
出願日 平成15年2月28日(2003.2.28)
審査請求日 平成17年4月22日(2005.4.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】榧木 啓人
【氏名】碇屋 隆雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】早乙女 智美
参考文献・文献 中国特許出願公開第1323790(CN,A)
特開昭64-090162(JP,A)
特開平10-324670(JP,A)
SHI, M., et al.,Transition-Metal-Catalyzed Reactions of Propargylamine with Carbon Dioxide and Carbon Disulfide,Journal of Organic Chemistry,2002年,67(1),p. 16-21
COSTA, M., et al.,Superbase catalysis of oxazolidin-2-one ring formation from carbon dioxide and prop-2-yn-1-amines under homogeneous or heterogeneous conditions,Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1,1998年,(9),p. 1541-1546
COSTA, M., et al.,Base-catalysed direct introduction of carbon dioxide into acetylenic amines,Chemical Communications,1996年,(14),p. 1699-1700
MITSUDO, T., et al.,Ruthenium catalyzed selective synthesis of enol carbamates by fixation of carbon dioxide,Tetrahedron Letters,1987年,28(38),p. 4417-4418
森尚子ら,高密度二酸化炭素中におけるアジリジンからの環状ウレタン合成,日本化学会第81春季年会-講演予稿集 I,2002年 3月11日,p. 367
調査した分野 C07D 263/38
REGISTRY(STN)
CAplus(STN)
JSTPlus(JDreamII)
JMEDPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
次式
【化1】
JP0004307106B2_000009t.gif
(式中のR、RおよびRは、各々、同一または別異に、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表わされるプロパギルアミン類を金属触媒および塩基触媒の不存在下で超臨界状態の二酸化炭素と反応させて次式
【化2】
JP0004307106B2_000010t.gif
(式中のR、RおよびRは前記のものを示す)
で表わされる5-アルキリデン-2-オキサゾリジノン類を製造することを特徴とする5-アルキリデン-2-オキサゾリジノン類の製造方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、5-アルキリデン-2-オキサゾリジノン類の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、キラル補助剤をはじめとする有機合成反応用の試薬や、医薬、農薬、化粧料等の合成原料、中間体等として有用5-アルキリデン-2-オキサゾリジノン類の製造を、炭素資源の利用効率が高い、副生物、廃棄物が少い環境負荷低減プロセスとして実現することのできる新しい製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、2-オキサゾリジノン類は、キラル補助剤をはじめとして合成化学的に汎用されている化合物群である。その合成法は毒性の高い反応剤の使用や高い温度条件を必要とすることが多い。特に、オキサゾリジノンのカルボニル基は、一酸化炭素やホスゲンに由来する場合がほとんどである。このため、無毒で入手容易な二酸化炭素を炭素資源として効率良く活用することができれば、2-オキサゾリジノン類の環境調和型合成法として重要となる。
【0003】
しかしながら、二酸化炭素を用いての2-オキサゾリジノン類の合成反応については、二酸化炭素とアミンとの反応によるカルバミン酸類の生成を経由して環化させることが可能ではないかと想定されるが、これまでのところ実際的なものとしては実現されていない。
【0004】
このような状況において、この出願の発明者らは、アルキン類とカルバミン酸との付加反応について検討してきた。だが、この付加反応については、従来では、RuやPdのような金属触媒や塩基触媒の存在下での反応が知られている(文献1~3)だけであって、これらの触媒や有機溶媒を使用することなしに、アルキン類とカルバミン酸類との付加反応によって、効率的で、しかも環境負荷を少なくして、2-オキサゾリジノン類を合成することは実現されていない。また、従来では、内部アルキン類に対してカルバミン酸類の付加反応はほとんど適用できず、このため、各種の修飾誘導体の合成を可能とすることもできないでいた。
【0005】
【文献】
1:T.Mitsudo,et al.,Tetrahedron Lett.,28,4417-4418(1987).
2:M.Costa,et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commum..,1699-1700,(1996).
3:M.Shi,Y.Shen,J.Org.Chem.,2002,67,16-21
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この出願の発明は、アルキン類に対するカルバミン酸類の付加反応という反応機序に着目し、しかも二酸化炭素を反応剤とすることによって、触媒や有機溶媒を使用することなく、高効率で、しかも環境への負荷が少なく、内部アルキン類を用いる場合にも各種の誘導体の合成を可能ともする、2-オキサゾリジノン類の新しい製造方法を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、次式
【0008】
【化3】
JP0004307106B2_000002t.gif【0009】
(式中のR、RおよびRは、各々、同一または別異に、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表わされるプロパギルアミン類を金属触媒および塩基触媒の不存在下で超臨界状態の二酸化炭素と反応させて次式
【0010】
【化4】
JP0004307106B2_000003t.gif【0011】
(式中のR1、R2およびR3は前記のものを示す)
で表わされる5-アルキリデン-2-オキサゾリジノン類を製造することを特徴とする5-アルキリデン-2-オキサゾリジノン類の製造方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0013】
この出願の発明の5-アルキリデン-2-オキサゾリジノン類の製造方法における出発物質の一つは、前記の式(1)で表わされるようにプロパギルアミン類である。この化合物では、前記の符号R1、R2、R3のいずれもが、同一また別異に、水素原子または置換基を有してもよい炭化水素基を示している。この場合の炭化水素基は、鎖状または環状で、飽和もしくは不飽和の各種のものであってよく、アルキル基、アルケニル基等の脂肪族基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基等の脂環式基、フェニル基、トリル基等のアリール基、シリル基、あるいは異種原子を含む複素環基等の各種のものであってよい。
【0014】
また、これらの炭化水素基は、この出願の発明に毀誉する限り、各種の置換基、たとえばアルコキシ基、エステル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等を有していてもよい。
【0015】
反応基質としての前記式(1)で表わされるプロパギルアミン類については、この出願の発明によれば、アルキン部位が末端アセチレン(R=H)に限らず、アリール基、アルケニル基(CH=CH-、(CCH=CH-)、アルキニル基(HC≡C-)などの置換基を有する内部アルキンでも同様に反応が進行する。また、たとえば、N-メチルプロパルギルアミンのアセチレン末端に各種置換基を有するアレーン環(C,4-(CH)CII,4-(CHCO)C,4-(CN)C,4-(NO)C,4-(CF)C,3,5-(CF)を導入したアミン化合物は、超臨界状態の二酸化炭素と反応し、2-オキサゾリジノン誘導体を与える。特に4-CF基を持つ場合、反応は速やかに進行し、6時間後の収率は99%に達することが確認されている。その他の置換基の場合も41-89%の収率で、カルバミン酸を経由してアルキンに対して選択的にanti付加した結果、Z体の5-アルキリデン-2-オキサゾリジノンが単一生成物として合成される。
【0016】
超臨界状態の二酸化炭素の反応は、耐圧容器中で行うことができ、触媒成分の添加が必要とされないばかりか、有機溶媒を使用する必要もない。
【0017】
この出願の発明においては、アルキン類に対するカルバミン酸の付加反応が無触媒で進行し、また従来法では内部アルキンを反応に適用できないが、この出願の発明ではそれを可能にしている。反応は二酸化炭素のみで進行し、反応に伴う廃棄物や副生成物がない環境負荷低減プロセスとして大変に魅力がある。
【0018】
さらに、この出願の発明は、ファインケミカルズをはじめとする各種合成中間体の2-オキサゾリジノン類の製造法として重要である。生成物の5位のオレフィンをさらに修飾、変換することができることは化学合成法として有用性が高い。
【0019】
そこで以下に実施例を示しさらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
【0020】
【実施例】
オートクレープ中に、N-メチルプロパギルアミン(2mmol)を導入し、二酸化炭素を圧入(10.0MPa)したのち、室温100℃まで昇温しつつ攪拌する。所定の反応時間(18時間)後、反応容器を冷却し、二酸化炭素を放出した。通常の分離操作により、3-メチル-5-メチリデン-2-オキサゾリジノンが収率88%(150.1mg、1.33mmol)で得られた。
【0021】
同様の条件下で、前記一般式の炭化水素基について、R1=Hであって、R2およびR3が各種のものである場合の反応を行った。その結果を表1に示した。
【0022】
【表1】
JP0004307106B2_000004t.gif【0023】
次に、R1=H、R2=H,Hの場合について、前記R3について変更するとともに、反応時間を変化させて合成を行った。その結果を表2に示した。
【0024】
【表2】
JP0004307106B2_000005t.gif【0025】
さらに、前記一般式において、R2=H,H、R3=CH3で、R1としてアリール基をもつプロパギルアミンの場合について反応を行った。その結果を表3に示した。
【0026】
【表3】
JP0004307106B2_000006t.gif【0027】
さらにまた別の炭化水素基:R1を有するプロパギルアミンについても反応を行った。その結果を表4および表5に示した。
【0028】
【表4】
JP0004307106B2_000007t.gif【0029】
【表5】
JP0004307106B2_000008t.gif【0030】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、触媒や有機溶媒を使用することなく、高効率で、しかも環境への負荷が少なく、内部アルキン類を用いる場合にも各種の誘導体の合成を可能ともする、2-オキサゾリジノン類の新しい製造方法が提供される。