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明細書 :太陽電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4757433号 (P4757433)
公開番号 特開2004-288985 (P2004-288985A)
登録日 平成23年6月10日(2011.6.10)
発行日 平成23年8月24日(2011.8.24)
公開日 平成16年10月14日(2004.10.14)
発明の名称または考案の名称 太陽電池
国際特許分類 H01L  31/04        (2006.01)
H01M  14/00        (2006.01)
H01M  16/00        (2006.01)
FI H01L 31/04 Z
H01M 14/00 P
H01M 16/00
請求項の数または発明の数 6
全頁数 13
出願番号 特願2003-080919 (P2003-080919)
出願日 平成15年3月24日(2003.3.24)
審査請求日 平成17年5月13日(2005.5.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】瀬川 浩司
【氏名】永井 裕喜
個別代理人の代理人 【識別番号】100113516、【弁理士】、【氏名又は名称】磯山 弘信
審査官 【審査官】植前 充司
参考文献・文献 特開平04-171681(JP,A)
特開平09-063657(JP,A)
特開平03-108279(JP,A)
特開昭58-127389(JP,A)
特開昭60-170173(JP,A)
特開2001-160426(JP,A)
特開2001-357897(JP,A)
特開平07-130407(JP,A)
特開平09-259942(JP,A)
特表2003-500815(JP,A)
特開平07-245125(JP,A)
特開平09-306553(JP,A)
特開平01-248482(JP,A)
国際公開第2004/006381(WO,A1)
調査した分野 H01L 31/04
H01M 14/00
H01M 16/00
特許請求の範囲 【請求項1】
充電ができる太陽電池であって、
カチオン交換膜を介して、第1の電解質溶液と第2の電解質溶液が存在し、
上記第1の電解質溶液と上記第2の電解質溶液は、外気から遮断されており、
上記第1の電解質溶液はヨウ素とヨウ素化合物を含み、上記第2の電解質溶液は非ヨウ素化合物を含み、
上記第1の電解質溶液の構成成分は、上記第2の電解質溶液の構成成分と異なり、
上記第1の電解質溶液の中には、光アノードと対極が存在し、
上記第2の電解質溶液の中には、電荷蓄積電極が存在し、
上記光アノードと上記電荷蓄積電極は、上記カチオン交換膜により分離されている
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
電荷蓄積電極が導電性ポリマーを有する
ことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
【請求項3】
電荷蓄積電極がポリピロールを有する
ことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
【請求項4】
電荷蓄積電極がヨウ化銀を有する
ことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
【請求項5】
電荷蓄積電極が、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビオロゲン、ポリポルフィリン、ポリフタロシアニン、ポリフェロセン、またはポリアミンを有する
ことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
【請求項6】
電荷蓄積電極が、硫化銀、シアン化銀、ヨウ化銀、臭化銀、塩化銀、酸化タングステン、ビオロゲン、テトラシアノエチレン、ポルフィリン、フタロシアニン、フラーレン、またはカーボンナノチューブを有する
ことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腕時計用電池、携帯電話用電池、携帯ラジオ用電池、電卓用電池、携帯端末用電池、カメラ用電池、非常用予備電池などに利用できる太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油などの化石燃料は地球上の蓄積分をただ消耗するのみである。そこで、この地球上に無尽蔵にあり、かつ、地球上に平均的に存在する自然エネルギーが優位である。特に太陽エネルギーでは、地球上に降り注ぐ、太陽の放射エネルギーは巨大であり、注目に値する。
【0003】
この太陽エネルギーの利用方法としては、太陽電池が考えられ、近年急速に発達している。特に、低コストの太陽電池として色素増感太陽電池が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、充電ができる二次電池が開発されている。特に、電気的化学的に安定した導電性ポリマーを正極材料に利用した二次電池が注目されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5-504023号
【特許文献2】
特開平10-261418号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の太陽電池では、光強度に依存した出力変動があり、日中の日が差し込んでいる時間しか利用することができず、電源としての用途は必ずしも広くない。つまり、暗時においても、光強度による出力変動を抑制し、安定した電力を供給するような太陽電池の開発は重要な解決すべき課題である。
【0007】
太陽電池と二次電池を回路で電気的に接続することにより、太陽電池で発生した電気エネルギーを二次電池に充電することもできるが、構造が複雑になりスペースをとることや、重量が増えること、また、コストの面からも実現性が困難である。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な太陽電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の太陽電池は、充電ができる太陽電池であって、カチオン交換膜を介して、第1の電解質溶液と第2の電解質溶液が存在し、第1の電解質溶液と第2の電解質溶液は、外気から遮断されており、第1の電解質溶液はヨウ素とヨウ素化合物を含み、第2の電解質溶液は非ヨウ素化合物を含み、第1の電解質溶液の構成成分は第2の電解質溶液の構成成分と異なり、第1の電解質溶液の中には光アノードと対極が存在し、第2の電解質溶液の中には電荷蓄積電極が存在し、光アノードと電荷蓄積電極は、カチオン交換膜により分離されている。
【0010】
ここで、電荷蓄積電極が導電性ポリマーを有することが好ましい。また、電荷蓄積電極がポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビオロゲン、ポリポルフィリン、ポリフタロシアニン、ポリフェロセン、またはポリアミンを有することが好ましい。また、電荷蓄積電極が、硫化銀、シアン化銀、ヨウ化銀、臭化銀、塩化銀、酸化タングステン、ビオロゲン、テトラシアノエチレン、ポルフィリン、フタロシアニン、フラーレン、またはカーボンナノチューブを有することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、太陽電池にかかる発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の太陽電池の原理を示すものである。太陽電池は、カチオン交換膜4を介して、光アノード側電解質溶液5と電荷蓄積電極側電解質溶液6が存在し、光アノード側電解質溶液5の中には、光アノード1と対極2が存在し、電荷蓄積電極側電解質溶液6の中には、電荷蓄積電極3が存在している。
【0012】
光アノード1の基板は、表面積の大きな多孔性の電極である。具体的には、多孔性酸化チタン電極(FTO上に酸化チタンを焼結させたもの)が使用できる。光アノード1は、この多孔性酸化チタン電極に限定されない。このほか、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、あるいはこれらの混合物などを採用することができる。
【0013】
光アノード1は、増感色素を有する電極である。具体的には、多孔性酸化チタン電極(FTO上に酸化チタンを焼結させたもの)に、N3Dyeを吸着させたものが使用できる。光アノード1は、この多孔性酸化チタン電極に、N3Dyeを吸着させたものに限定されない。このほか、ルテニウム系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ローダミン系色素、キサンテン系色素、クロロフィル系色素、トリフェニルメタン系色素、アクリジン系色素、クマリン系色素、オキサジン系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ロダシアニン系色素、エオシン系色素、マーキュロクロム系色素などを採用することができる。
【0014】
対極2としては、白金メッシュ電極を使用することができる。対極2は、この白金メッシュ電極に限定されない。このほか、金メッシュ電極、銀メッシュ電極、カーボンメッシュ電極、パラジウムメッシュ電極、多孔性ダイヤモンド電極などを採用することができる。
【0015】
光アノード側電解質溶液5は、ヨウ化リチウム、ヨウ素を含むプロピレンカーボネート溶液、または、ヨウ化リチウム、ヨウ素を含むアセトニトリル溶液、または、テトラ-n-ブチルアンモニウムヨージド、ヨウ化リチウム、ヨウ素を含むアセトニトリル溶液などを使用できる。光アノード側電解質溶液5は、これらの溶液に限定されない。このほか、メトキシプロピオニトリル、N-メチルオキサゾリジノン、N-メチルホルムアミド、スルホラン、メトキシアセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ニトロメタンなどの溶媒に、テトラ-n-ブチルアンモニウムヨージドやヨウ化リチウムとヨウ素を含む電解質溶液などを採用することができる。また、これらの電解質溶液を適当な割合で混合したものなどを採用することが出来る。また、イミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム、スルホニウムなどのカチオンと四塩化アルミニウムアニオン、四フッ化ホウ素アニオン、六フッ化リンアニオン、などを組み合わせた常温溶融塩にテトラ-n-ブチルアンモニウムヨージドやヨウ化リチウムとヨウ素を加えた溶液などを採用することが出来る。
【0016】
カチオン交換膜4は、セレミオンなどを使用することができる。カチオン交換膜4は、このセレミオンに限定されない。このほか、フレミオン、ナフィオン、ゴアテックスなどを採用することができる。
【0017】
カチオン交換膜4は、光アノード側電解質溶液5にカチオン性酸化還元対を用いた場合にはアニオン交換膜などを採用することができる。
【0018】
電荷蓄積電極3は、導電性ポリマーを有している。電荷蓄積電極3は、具体的には、ピロールの電解酸化重合によりITO上にポリピロール膜を析出させたものなどを使用することができる。電荷蓄積電極3は、この電極に限定されない。このほか、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリビオロゲン、ポリポルフィリン、ポリフタロシアニン、ポリフェロセン、ポリアミンなどを採用することができる。
【0019】
また、電荷蓄積電極3は、FTO上にヨウ化銀を電析させたものなどを使用することができる。電荷蓄積電極3は、この電極に限定されない。このほか、無機化合物では硫化銀、シアン化銀、 臭化銀、塩化銀、酸化タングステンなどを採用することができる。また、有機化合物ではビオロゲン、テトラシアノエチレン、ポルフィリン、フタロシアニン、フラーレン、カーボンナノチューブなどを採用することができる。
【0020】
電荷蓄積電極側電解質溶液6は、過塩素酸リチウムを含むプロピレンカーボネート溶液、または、過塩素酸リチウムを含むアセトニトリル溶液、または、テトラフルオロホウ酸テトラ-n-ブチルアンモニウムを含むアセトニトリル溶液、または、過塩素酸テトラ-n-ブチルアンモニウムを含むアセトニトリル溶液などを使用することができる。電荷蓄積電極側電解質溶液6は、これらの溶液に限定されない。このほか、メトキシプロピオニトリル、N-メチルオキサゾリジノン、N-メチルホルムアミド、スルホラン、メトキシアセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ニトロメタンなどの溶媒に、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、過塩素酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートなどを含む電解質溶液などを採用することができる。また、これらの電解質溶液を適当な割合で混合したものなどを採用することが出来る。また、イミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム、スルホニウムなどのカチオンと四塩化アルミニウムアニオン、四フッ化ホウ素アニオン、六フッ化リンアニオン、などを組み合わせた常温溶融塩などを採用することができる。
【0021】
光照射により、光アノードで生じた電子は酸化チタンを通って電荷蓄積電極に存在する酸化還元種を還元する必要がある。これを達成するためには、電荷蓄積電極の酸化還元電位が半導体のフラットバンド電位より高い(正側である)ことが必要な条件となる。この条件が満たされれば、光エネルギーを使って電荷蓄積電極の還元が行われ化学エネルギーの変換貯蔵が達成できる。
【0022】
一方、蓄えた化学エネルギーを電気として取り出すには、対極側に存在する酸化還元対の酸化還元電位より電荷蓄積電極の酸化還元電位が低い(負側である)ことが必要である。この条件が満たされれば電荷蓄積電極上に存在する酸化還元種は、対極側に存在する酸化還元種を還元することができ、化学エネルギーを電気に変換し、使用することができる。
【0023】
以上のことから、電荷蓄積電極の酸化還元電位は、半導体のフラットバンド電位より高く対極側の酸化還元電位より低いことが必要である。これによって、光照射時には光エネルギーを電荷蓄積電極において化学エネルギーとして蓄積し、暗時には電荷蓄積電極と対極間において貯蔵された化学エネルギーを電気へと変換し使用できる。
【0024】
以上のことから、本実施の形態では、色素増感太陽電池が湿式太陽電池の一つであり、その主要な過程が光エネルギーの化学エネルギーへの変換反応であるという湿式太陽電池の特徴を活かし、光強度による出力変動が小さく、充放電が可能で暗所でも使用できるエネルギー貯蔵型色素増感太陽電池の開発を目的として、色素増感太陽電池の光アノードとカソードの他に電荷蓄積電極を加えた三極式太陽電池を作製し、この太陽電池で実際に光エネルギー貯蔵が行えることを明らかにした。
【0025】
本発明の太陽電池は、カチオン交換膜を介して、第1の電解質溶液と第2の電解質溶液が存在し、第1の電解質溶液の中には光アノードと対極が存在し、第2の電解質溶液の中には電荷蓄積電極が存在するので、充電ができる新規な太陽電池を提供することができる。
本発明の太陽電池は、従来のシリコン系太陽電池やリチウム二次電池に比べ、作製プロセスは極めて簡単である。このため、コスト的にも安価に作製できる。
【0026】
なお、本発明は上述の実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0027】
【実施例】
つぎに、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0028】
[実施例1]
最初に、図2を参照しながら、太陽電池の作製方法について説明する。
光アノードには、多孔性酸化チタン電極(FTO上に酸化チタンを焼結させたもの)(西野田電工製、他の実施例でも同様)に、N3Dye(岸本産業製、他の実施例でも同様)を吸着させたものを作製し使用した。色素の吸着は、多孔性酸化チタン電極をホットプレートで450℃にて30分熱し、常温になるまで冷まし、これを0.3mM N3Dyeを含むエタノール溶液中に浸し、1日静置することにより行った。
【0029】
電荷蓄積電極には、ピロールの電解酸化重合により、ITO上にポリピロール膜を析出させたものを用いた。作製条件は、0.1M過塩素酸リチウム、0.1Mピロールのプロピレンカーボネート溶液中にITOを浸漬し、対極にはPt電極、参照電極をSCEに用いた3極法で作用極の電流を50μA/cm2に保ち、50mCの電気量での定電流電解重合とし、ともに電位経時変化を観察した。
【0030】
光アノード部分での電解質溶液には0.5Mヨウ化リチウム、0.05Mヨウ素を含むプロピレンカーボネート溶液を用い、電荷蓄積電極部分での電解質溶液には0.5M過塩素酸リチウムを含むプロピレンカーボネート溶液を用いた。
【0031】
太陽電池は、上で作製した酸化チタン電極を幅3mmのシリコンゴムにて有効電極面積が1cm2になるように覆い、またこれをセパレーターとして用い、白金メッシュ電極を挿入し、カチオン交換膜(セレミオン、株式会社旭硝子製)を介し、同じように3mm幅シリコンゴムで有効電極面積が1cm2になるようにポリピロール膜電極を覆い、これらをコックで挟みこみセルを作製した。
【0032】
つぎに、上記のように作製した太陽電池の特性について説明する。
光アノードから供給されうる電子数が対極での酸化還元反応速度を越え電流値が対極で制限される場合や、電流出力をせずに光照射を行った場合には、電荷蓄積電極に電子が流れ光充電が行われる。電荷蓄積電極にホールドープした導電性ポリマーを用いた場合には、電子は脱ドープによって蓄積される。一方、こうした状況を除けば、本実施例の三極式の太陽電池であってもBC間(図1参照)に負荷をかけた場合には通常の太陽電池と同様の光電流電圧曲線が得られるはずである。本実施例の太陽電池のAM1.5の光照射下の光電流電圧曲線を図3に示す。本実施例の太陽電池では、短絡電流と起電力のわずかな減少があるものの、基本的な特性は通常の二極式の色素増感太陽電池(グレッツェルセル)とほぼ同等の性質を示すことがわかる。
【0033】
光照射を所定時間行うと、一部の電子は貯蔵部分に流れ、ここでエネルギーが蓄えられる。光照射後のセルの開回路電圧の経時変化(図4)から、光照射時間が増加するにつれてセルの開回路電圧とその保持時間はより大きくなることが確認された。
【0034】
図5は、色素増感太陽電池部分の光アノードと電荷蓄積電極とをつないで光照射し、いろいろな時間(1分から30分)の光照射終了後光アノードと電荷蓄積電極を遮断し、同時にポテンショスタット(北斗電工製)により対極と電荷蓄積電極の電位差が0Vになるようにし、電流値(閉回路電流値)の経時変化を測定したものである。1分の光照射においても電流が得られ、また光照射時間が長くなるとともに電流値が大きくなることから、光エネルギーが電荷蓄積電極において化学エネルギーに変換され、エネルギー貯蔵が行われていることが確認された。この結果から、太陽電池として、光照射により、エネルギー貯蔵を行うことができ、夜間などでも利用することができる利点が明らかになった。
【0035】
図6は、図5の結果から、各測定データをもとに電流値が0.3μA・cm-2になる時間まで電流値を積分した電気量を縦軸にとり、光照射時間によって充電電気量がどのように増加するかを示している。この結果から、光照射により充電された電気量は、光照射時間に従い増大し、光エネルギーが電荷蓄積電極において化学エネルギーに変換され、エネルギー貯蔵が行われていることが、定量的に確認された。
【0036】
本実施例の太陽電池は、電流を出力せずに光照射を行った場合には光充電が行われる。図7に示すように、光充電時間を1分から30分まで変化させた場合の放電特性から、光照射時間に従って受電電気量が増大していることが明らかになった。この測定では、色素増感太陽電池部分の光アノードと電荷蓄積電極とをつないで所定の時間光照射を行い、光照射終了後に光アノードと電荷蓄積電極を遮断し、同時に、対極と電荷蓄積電極間に10kΩの抵抗を挟み込みポテンショスタット(北斗電工製)により、対極と電荷蓄積電極の二極間の電圧を測定したものである。この結果から、本太陽電池が光照射充電によってエネルギー貯蔵を行うことができ、光が遮断された後も電池として利用することができる利点がわかる。
【0037】
光照射30分後のポリピロール膜電極の吸収スペクトル(図8)からポリピロール膜は光照射により還元され脱ドープされていることが確認された。この実験では、色素増感太陽電池部分の光アノードと電荷蓄積電極とをつなぎ、光照射を30分間行い、その後セルから電荷蓄積電極であるポリピロール膜電極を取り出し、アセトンで洗浄後乾燥させ、即座にUV-Visにおいて吸収スペクトルを測定したものを、光照射前の同様に処理したポリピロール膜電極と比較したものである。光照射後のポリピロール膜電極の吸収スペクトルから、ポリピロール膜電極は、電荷の蓄積によってほとんど脱ドープされてエネルギー貯蔵が行われることが確認された。この結果から、充電はポリピロールに対して定量的に進行し、充電電気量はポリピロール膜の量に依存するためポリピロールの重量を増やせば容量を増大できることがわかる。
【0038】
以上の結果から、本実施例の太陽電池の充放電の機構について、図2を参照しながら説明する。
光が照射されているときは、図2に示すように、色素増感太陽電池部分の光アノード上の色素が励起されることにより生じた電子の一部が電荷蓄積電極へ流れ、電荷蓄積電極である導電性高分子膜電極は脱ドープされ、光エネルギーを化学エネルギーとして変換貯蔵し、光充電が行われる。残りの電子は、対極と電荷蓄積電極との間にある外部抵抗(抵抗間の電圧値と電荷蓄積電極の酸化還元電位との兼ね合いにより、太陽電池の電流電圧特性から計算された抵抗値)を通り対極へと流れる。すなわち、図2のような、太陽電池を組立てることで、光照射時においては、光により充電を行い、それと同時に電気も取り出すことができる。
【0039】
光照射が遮断されたときは、電荷蓄積電極の酸化還元電位は、対極側の酸化還元電位より低いことことから、光照射時とは逆に、電荷蓄積電極の導電性高分子膜電極でドープが起こり、対極に電子が流れ外部抵抗を経由して電流が流れる。
【0040】
[実施例2]
光アノードには、多孔性酸化チタン電極(FTO上に酸化チタンを焼結させたもの)に、N3Dyeを吸着させたものを作製し使用した。色素の吸着は、多孔性酸化チタン電極をホットプレートで450℃にて30分熱し、常温になるまで冷まし、これを0.3mM N3Dyeを含むエタノール溶液中に浸し、1日静置することにより行った。
【0041】
電荷蓄積電極には、ピロールの電解酸化重合により、ITO上にポリピロール膜を析出させたものを用いた。作製条件は、0.1M過塩素酸リチウム、0.1Mピロールのプロピレンカーボネート溶液中にITOを浸漬し、対極にはPt電極、参照電極をSCEに用いた3極法で作用極の電流を100μA/cm2に保ち、50mCの電気量での定電流電解重合とし、ともに電位経時変化を観察した。
【0042】
光アノード部分での電解質溶液には0.5Mヨウ化リチウム、0.05Mヨウ素を含むプロピレンカーボネート溶液を用い、電荷蓄積電極部分での電解質溶液には0.5M過塩素酸リチウムを含むプロピレンカーボネート溶液を用いた。
【0043】
太陽電池は、上で作製した酸化チタン電極を幅3mmのシリコンゴムにて有効電極面積が1cm2になるように覆い、またこれをセパレーターとして用い、白金メッシュ電極を挿入し、カチオン交換膜(セレミオン)を介し、同じように3mm幅シリコンゴムで有効電極面積が1cm2になるようにポリピロール膜電極を覆い、これらをコックで挟みこみセルを作製した。
【0044】
これに光照射を15分、30分、1時間行い、セル電圧の経時変化を観察した結果、電圧安定化効果、電圧の光照射時間依存性が認められた。
【0045】
[実施例3]
光アノードには、多孔性酸化チタン電極(FTO上に酸化チタンを焼結させたもの)に、N3Dyeを吸着させたものを作製し使用した。色素の吸着は、購入した多孔性酸化チタン電極をホットプレートで450℃にて30分熱し、常温になるまで冷まし、これを0.3mM N3Dyeを含むエタノール溶液中に浸し、1日静置することにより行った。
【0046】
電荷蓄積電極には、ピロールの電解酸化重合により、ITO上にポリピロール膜を析出させたものを用いた。作製条件は、0.1Mテトラフルオロホウ酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、0.1Mピロールのアセトニトリル溶液中にITOを浸漬し、対極にはPt電極、参照電極をSCEに用いた3極法で作用極の電位を1V/SCEに保ち、500mCの電気量での定電位電解重合とした。
【0047】
光アノード部分での電解質溶液には0.5Mテトラ-n-ブチルアンモニウムヨージド、0.02Mヨウ化リチウム、0.04Mヨウ素を含むアセトニトリル溶液を用い、電荷蓄積電極部分での電解質溶液には0.5Mテトラフルオロホウ酸テトラ-n-ブチルアンモニウムを含むアセトニトリル溶液を用いた。
【0048】
太陽電池は、上で作製した酸化チタン電極を幅3mmのシリコンゴムにて有効電極面積が1cm2になるように覆い、またこれをセパレーターとして用い、白金メッシュ電極を挿入し、カチオン交換膜(セレミオン)を介し、同じように3mm幅シリコンゴムで有効電極面積が1cm2になるようにポリピロール膜電極を覆い、これらをコックで挟みこみセルを作製した。
【0049】
これに光照射を1時間行い、セル電圧の経時変化を観察した結果、電圧安定化効果が認められた。
【0050】
[実施例4]
光アノードには、多孔性酸化チタン電極(FTO上に酸化チタンを焼結させたもの)に、N3Dyeを吸着させたものを作製し使用した。色素の吸着は、多孔性酸化チタン電極をホットプレートで450℃にて30分熱し、常温になるまで冷まし、これを0.3mM N3Dyeを含むエタノール溶液中に浸し、1日静置することにより行った。
【0051】
電荷蓄積電極には、ピロールの電解酸化重合により、ITO上にポリピロール膜を析出させたものを用いた。作製条件は、0.1M過塩素酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、0.1Mピロールのアセトニトリル溶液中にITOを浸漬し、対極にはPt電極、参照電極をSCEに用いた3極法で作用極の電位を1V/SCEに保ち、500mCの電気量での定電位電解重合とした。
【0052】
光アノード部分での電解質溶液には0.5Mテトラ-n-ブチルアンモニウムヨージド、0.02Mヨウ化リチウム、0.04Mヨウ素を含むアセトニトリル溶液を用い、電荷蓄積電極部分での電解質溶液には0.5M過塩素酸テトラ-n-ブチルアンモニウムを含むアセトニトリル溶液を用いた。
【0053】
太陽電池は、上で作製した酸化チタン電極を幅3mmのシリコンゴムにて有効電極面積が1cm2になるように覆い、またこれをセパレーターとして用い、白金メッシュ電極を挿入し、カチオン交換膜(セレミオン)を介し、同じように3mm幅シリコンゴムで有効電極面積が1cm2になるようにポリピロール膜電極を覆い、これらをコックで挟みこみセルを作製した。
【0054】
これに光照射を1時間行い、セル電圧の経時変化を観察した結果、電圧安定化効果が認められた。
【0055】
[実施例5]
光アノードには、多孔性酸化チタン電極(FTO上に酸化チタンを焼結させたもの)に、N3Dyeを吸着させたものを作製し使用した。色素の吸着は、多孔性酸化チタン電極をホットプレートで450℃にて30分熱し、常温になるまで冷まし、これを0.3mM N3Dyeを含むエタノール溶液中に浸し、1日静置することにより行った。
【0056】
電荷蓄積電極には、ピロールの電解酸化重合により、ITO上にポリピロール膜を析出させたものを用いた。作製条件は、0.1M過塩素酸リチウム、0.1Mピロールのアセトニトリル溶液中にITOを浸漬し、対極にはPt電極、参照電極をSCEに用いた3極法で作用極の電流を100μA/cm2に保ち、50mCの電気量での定電流電解重合とし、ともに電位経時変化を観察した。
【0057】
光アノード部分での電解質溶液には0.5Mヨウ化リチウム、0.05Mヨウ素を含むアセトニトリル溶液を用い、電荷蓄積電極部分での電解質溶液には0.5M過塩素酸リチウムを含むアセトニトリル溶液を用いた。
【0058】
太陽電池は、上で作製した酸化チタン電極を幅3mmのシリコンゴムにて有効電極面積が1cm2になるように覆い、またこれをセパレーターとして用い、白金メッシュ電極を挿入し、カチオン交換膜(セレミオン)を介し、同じように3mm幅シリコンゴムで有効電極面積が1cm2になるようにポリピロール膜電極を覆い、これらをコックで挟みこみセルを作製した。
【0059】
これに光照射を15分、30分、1時間行い、セル電圧の経時変化を観察した結果、電圧安定化効果、電圧の光照射時間依存性が認められた。
【0060】
[実施例6]
光アノードには、多孔性酸化チタン電極(FTO上に酸化チタンを焼結させたもの)に、N3Dyeを吸着させたものを作製し使用した。色素の吸着は、多孔性酸化チタン電極をホットプレートで450℃にて30分熱し、常温になるまで冷まし、これを、0.3mM N3Dyeを含むエタノール溶液中に浸し、1日静置することにより行った。
【0061】
電荷蓄積電極には、ピロールの電解酸化重合により、ITO上にポリピロール膜を析出させたものを用いた。作製条件は、0.1M過塩素酸リチウム、0.1Mピロールのプロピレンカーボネート溶液中にITOを浸漬し、対極にはPt電極、参照電極をSCEに用いた3極法で作用極の電流を100μA/cm2に保ち、50mCの電気量での定電流電解重合とし、ともに電位経時変化を観察した。
【0062】
光アノード部分での電解質溶液には0.5Mヨウ化リチウム、0.05Mヨウ素を含むプロピレンカーボネート溶液を用い、電荷蓄積電極部分での電解質溶液には0.5M過塩素酸リチウムを含むプロピレンカーボネート溶液を用いた。
【0063】
太陽電池は、上で作製した酸化チタン電極を幅3mmのシリコンゴムにて有効電極面積が1cm2になるように覆い、またこれをセパレーターとして用い、白金メッシュ電極を挿入し、カチオン交換膜(セレミオン)を介し、同じように3mm幅シリコンゴムで有効電極面積が1cm2になるようにポリピロール電極を覆い、これらをコックで挟みこみセルを作製した。
【0064】
これに光照射を15分、30分、1時間行い、セル電圧の経時変化を観察した結果、電圧安定化効果、電圧の光照射時間依存性が認められた。
【0065】
[実施例7]
光アノードには、多孔質酸化チタン(FTO上に酸化チタン粒子を焼結させたもの)に、N3Dyeを吸着させたものを作製し使用した。色素の吸着には、多孔製酸化チタン電極をホットプレートで450℃にて30分熱し、常温になるまで冷まし、これを0.3mM N3Dyeを含むエタノール溶液中に浸し、1日静置することにより行った。
【0066】
電荷蓄積電極にはFTO上にヨウ化銀を電析させた電極を作製し、対極には白金メッシュ電極を用いた。太陽電池は、上で作製した光アノードを幅3mmのシリコンゴムにて有効電極面積を1cm2に規定するように覆い、またこれをセパレーターとして用いた、ここに上で作製したヨウ化銀電極で挟み込み、この2つの電極の間に白金メッシュ電極を入れた。セルの電解質溶液には、0.5Mテトラ-n-ブチルアンモニウムヨージド、0.02Mヨウ化カリウム、0.04Mヨウ素を含むプロピレンカーボネートとアセトニトリルを4対1で混合した溶液を作製し、用いた。セル作製後光照射を適当時間行った。
セル電圧安定性が示された。
【0067】
【発明の効果】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
充電ができる太陽電池であって、カチオン交換膜を介して、第1の電解質溶液と第2の電解質溶液が存在し、第1の電解質溶液と第2の電解質溶液は、外気から遮断されており、第1の電解質溶液はヨウ素とヨウ素化合物を含み、第2の電解質溶液は非ヨウ素化合物を含み、第1の電解質溶液の構成成分は第2の電解質溶液の構成成分と異なり、第1の電解質溶液の中には、光アノードと対極が存在し、第2の電解質溶液の中には、電荷蓄積電極が存在し、光アノードと電荷蓄積電極は、カチオン交換膜により分離されているので、新規な太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池の原理を示す図である。
【図2】本発明の太陽電池の一例を示す図である。
【図3】 AM1.5光照射下でのDSSCとES-DSSCの光電流電圧特性を示す図である。
【図4】セル電圧の光照射時間依存性を示す図である。
【図5】開回路電流密度値と光照射時間依存性を示す図である。
【図6】充電電気量と光照射時間の関係を示す図である。
【図7】 ES-DSSCの放電特性の光充電時間依存性(外部抵抗に10kΩを用いた)を示す図である。
【図8】光照射前、光照射30分後のポリピロール膜電極の吸収スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1‥‥光アノード、2‥‥対極、3‥‥電荷蓄積電極、4‥‥カチオン交換膜、5‥‥光アノード側電解質溶液、6‥‥電荷蓄積電極側電解質溶液
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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