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明細書 :PCR法による植物遺伝子の検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3131633号 (P3131633)
登録日 平成12年11月24日(2000.11.24)
発行日 平成13年2月5日(2001.2.5)
発明の名称または考案の名称 PCR法による植物遺伝子の検出方法
国際特許分類 C12N 15/09      
C12Q  1/68      
G01N 33/53      
G01N 33/566     
FI C12N 15/00 ZNAA
C12Q 1/68
G01N 33/53
G01N 33/566
請求項の数または発明の数 2
全頁数 14
出願番号 特願平11-336142 (P1999-336142)
出願日 平成11年11月26日(1999.11.26)
審査請求日 平成11年11月26日(1999.11.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591031360
【氏名又は名称】農林水産省食品総合研究所長
発明者または考案者 【氏名】荒平 正緒美
【氏名】深澤 親房
個別代理人の代理人 【識別番号】100074077、【弁理士】、【氏名又は名称】久保田 藤郎 (外1名)
審査官 【審査官】本間 夏子
参考文献・文献 社団法人 日本生化学会編、「核酸▲I▼-分離精製-」、第1版、株式会社 東京化学同人、1991年、p.13-35、80-113
田村隆明編、「遺伝子工学実験ノート 下巻」、第1版、株式会社 洋土社、1997年、p.64-76、140-145
調査した分野 C12N 15/00 - 15/90
C12Q 1/68
G01N 33/53
G01N 33/566
要約 【課題】 ダイズを始めとする植物種子を素材とする植物性加工食品のうち、タンパク質の変性処理を受けたものから、PCR用の鋳型として使用できる純度の高いDNAを調製する方法の提供、及び、植物性加工食品から当該植物の遺伝子をPCR法を用いて検出するに当たり、当該鋳型DNAを用いて検出する方法を提供すること。
【解決手段】 高温処理、高温磨砕処理、高圧処理または発酵処理のいずれかの処理を受けた植物性加工食品を、必要に応じて脱脂した後、該植物性加工食品からDNA粗画分を抽出し、次いでポリエチレングリコール沈澱法および/またはポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるDNA分画処理を行うことを特徴とする植物性加工食品から鋳型DNAを調製する方法。
特許請求の範囲 【請求項1】
タンパク質変性処理を受けた植物性加工食品から、当該植物の遺伝子をPCR法を用いて検出するに当たり、該食品を脱脂した後、常法によりDNA粗画分を抽出し、次いでポリエチレングリコール沈澱法および/またはポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるDNA分画処理を行うことにより得られる鋳型DNAを用いることを特徴とする植物遺伝子の検出方法。

【請求項2】
タンパク質変性処理を受けた植物性加工食品が油糧種子である請求項に記載の方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【01】

【発明の属する技術分野】本発明は、ダイズなどの植物種子を素材とした加工食品から、当該植物の遺伝子並びに組み換え遺伝子をPCR法を用いて検出するに当たり、抽出されたDNA粗画分を分画処理することによって得られた鋳型DNAを使用する植物遺伝子の検出方法に関する。植物種子を素材とした加工食品は、その製造過程において、タンパク質変性処理、例えば高温処理、高温磨砕処理、高圧処理あるいは機械的磨砕処理などを受けることにより、DNA分子の細断化が起こる。また、味噌や納豆などの発酵食品の場合は、微生物由来のヌクレアーゼにより更なるDNAの細断化が起こる。本発明は、植物性加工食品から当該植物の遺伝子をPCR法を用いて検出するに当たり、抽出されたDNA粗画分を分画処理して、得られた純度の高い鋳型DNAを使用する方法を提供するものである

【02】

【従来の技術】ダイズを始めとして植物DNAの抽出には、CTAB法(Marray, M. G. andThompson, W. F. (1980); Rapid isolation of high molecular weight plant DNA. Nucleic Acids Res., 8. 4321-4325) 、SDS-フェノール法 (David, R.W., Thomas, M., Cameron, J., St.John, T. P., Scherer, S. and Padgett, R.A.; (1980) "Methods in Enzymology", ed. by Grossman, L. and Moldav, K.,Vol. 65, p404, Academic Press, New York) 、プロテアーゼK法 (Jofuku, K.D., Goldberg, R. B.; (1988) Plant molecular biology-a practical approach, ed. by Show, C. H., p37, IRL Press, Oxford-Washington DC)などの基本的手法が既に開発され、食品からのDNA抽出にも用いることができる。

【03】
しかし、植物種子などを素材とした加工食品を製造する場合、一般に高温、高圧、機械的磨砕処理あるいは微生物による発酵操作などの様々な加工工程を経ることが多い。このため、上記基本手法を直接的に適用しても、PCR増幅の鋳型DNAに使用できる純度を持つDNAの調製は困難な場合が多かった。

【04】
例えば、日本の伝統的植物由来食品の素材であるダイズの場合、種子およびモヤシは、上記基本法だけでもNativeの状態で純度の高いDNAを抽出できる。しかし、豆腐(凍豆腐も含む)および油揚げ(がんもどきを含む)等は、その製造過程においてタンパク質変性処理を受け、DNAの細断化が起こっているため、前処理なしに、あるいはDNAの精製操作なしに、上記基本法を用いてPCR用の鋳型DNAを調製することが可能ではあるけれども、収率が低いという問題がある。また、きな粉(高温磨砕)および蒸煮ダイズ(煮豆、オートクレーブ処理)、またはそれらの発酵食品(納豆および味噌など)等の場合には、DNAが各処理により切断されていることから、低分子のDNAが混合せず純度の高いDNAを調製することは極めて困難であった。

【05】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、ダイズを始めとする植物種子を素材とする植物性加工食品のうち、タンパク質の変性処理を受けたものから当該植物の遺伝子をPCR法を用いて検出するに当たり、抽出されたDNA粗画分をさらに分画処理することにより得られる高純度の鋳型DNAを用いて検出する方法を提供することである。高度に加工された食品中に含まれる素材の素性を知ることは、世界的な消費者意識の流れの一つになりつつある。しかし、加工過程での操作の多くは、タンパク質の著しい変性を伴う場合が多いため、従来の方法により、タンパク質の解析により植物素材を同定するには限界があった。

【06】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、DNA抽出のための基本的な方法に先だって、タンパク質変性処理を受けた植物性加工食品について脱脂処理を行い、さらに抽出後には特定の精製、分離法を適用することにより、タンパク質変性処理がなされた植物性加工食品からでも純度の高いDNAの調製が可能であることを見出した。

【07】
このようにして、熱処理などに耐性を示す、すなわちタンパク質の変性処理により切断されずに加工食品中に残っているDNAを純度の高い状態で調製できれば、これを用いるPCR法により遺伝子を検出して植物素材名を高い感度で明らかにすることも可能である。最終的には、植物性加工食品の原料である植物が遺伝子組み換え操作を受けたものであるか否かの判定を実現できる可能性がある。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。

【08】
請求項記載の本発明は、タンパク質変性処理を受けた植物性加工食品から、当該植物の遺伝子をPCR法を用いて検出するに当たり、該食品を脱脂した後、常法によりDNA粗画分を抽出し、次いでポリエチレングリコール沈澱法および/またはポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるDNA分画処理を行うことにより得られる鋳型DNAを用いることを特徴とする植物遺伝子の検出方法である。

【09】
請求項記載の本発明は、タンパク質変性処理を受けた植物性加工食品が油糧種子である請求項に記載の方法である。

【10】

【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳しく説明する。本発明は、ダイズなどを始めとする植物種子を素材とした加工食品から該植物の遺伝子をPCR法を用いて検出するに当たり、抽出されたDNA粗画分をさらに分画処理することにより得られる高純度の鋳型DNAを使用する方法に関する。

【11】
本発明の方法が適用される対象は、高温処理、高温磨砕処理、高圧処理または発酵処理といったタンパク質の変性処理を受けた植物性加工食品である。タンパク質の変性処理は、例えば原料がダイズの場合、高温磨砕処理、オートクレーブ(高圧)処理、発酵処理等が挙げられる。このような処理を受けた加工食品の具体的な例を挙げると、高温磨砕処理を受けたものとしては、豆腐・油揚げ、きな粉などがあり、オートクレーブ処理を受けたものとしては蒸煮ダイズ(煮豆)があり、それらの処理にさらに発酵処理を加えたものとして、納豆や味噌などがある。このようなタンパク質の変性処理を受けた植物性加工食品は、通常の方法によりDNAを抽出しても、PCR法に使用できるような純度の高いものは得られないことから、本発明の意義がある。

【12】
なお、上記の説明においてはダイズを原料とする加工食品のみを例示したが、本発明の方法が適用されるものは、ダイズ加工食品に限定されるものではなく、例えばポテトチップス、ポップコーンなどの各種植物を原料として調製した加工食品や、米、麦類等の加工食品などを挙げることができる。また、本発明においては、遺伝子組み換え植物を一部または全部に使用している可能性のある植物性加工食品を対象とすると、得られるDNAを用いて、組み換え遺伝子の検出を行うことができる。

【13】
本発明の方法においては、まず上記のようなタンパク質の変性処理を受けた植物性加工食品からDNA粗画分を抽出、調製するものであるが、前処理として、該食品を脱脂処理した後、前記の基本的手法の中から適切なものを選択して抽出する。とりわけ、植物種子をそのまま微粉化したものや油等で被覆されたものは、脱脂処理が必須である。

【14】
種子などの植物組織が高圧蒸煮処理を受けても、DNA領域のうちヒストンコアに巻きついた部分は、保護されているため、細断化されることなく残る。これに対し、ヌクレオソーム間のDNA鎖は数十塩基まで細断される。また、納豆や味噌などは、発酵微生物由来のタンパク質分解酵素やヌクレアーゼによって、ヌクレオソーム単位のDNAがさらに分解される。このような低分子のDNAが存在すると、PCR法を行ったときに阻害されるという問題があった。とりわけ、納豆の場合、DNA断片の酵素的分解の他に、枯草菌(納豆菌)の生産する多量の多糖類(フラクタン)がDNA標品に混入し、PCR増幅を著しく阻害する。また、トウモロコシなどの澱粉性種子の場合は、蒸煮の過程で細胞内アミラーゼによる澱粉の部分分解が起こり、オリゴ糖が生成し、この物質もPCR法の阻害物質となる。

【15】
本発明においては、タンパク質の変性処理を受けた植物性加工食品の脱脂処理を行うことにより、PCRの際に問題となる低分子DNAを除去することができ、後の処理で調製されるDNAの純度低下を防いで、PCR増幅に供し得る十分な純度をもったDNAを得ることができる。

【16】
脱脂処理は、既知の手法により行うことができ、例えばジエチルエーテル等を溶媒として用いるソックスレー法やエーテルによる脱脂処理などを挙げることができる。脱脂処理の条件については、加工食品の種類などを考慮して適宜決定すればよいが、例えばエーテル層の温度を65℃にして、14時間抽出を行う。ダイズなどの植物油糧種子を原料とする加工食品の場合、例えば種子そのものを高温磨砕処理により微粉末化した「きな粉」等の場合や、油等で覆われた植物性加工食品、例えばポップコーン等からDNAを抽出する場合、脱脂処理は必須の前処理である。なお、本発明においては、前処理工程としての脱脂処理の他に、原料である加工食品を凍結乾燥したり、オートクレーブ等の高圧処理をすることにより、目的とするDNAの調製を効果的に行うことができる。凍結乾燥や高圧処理の条件は特に限定されず、通常の条件で行えばよい。

【17】
また、納豆や味噌のように発酵微生物由来のタンパク質分解酵素やヌクレアーゼによりDNAが分解されたもの、とりわけ納豆は、枯草菌(納豆菌)の生産する多量の多糖類(フラクタン)がDNAに混入して、PCRを阻害するおそれがあるため、オートクレーブ処理を行って殺菌処理をし、さらに凍結乾燥を行った後に脱脂処理を行うことが好ましい。

【18】
次に、植物性加工食品からのDNA抽出について説明する。抽出方法としては、前述のCTAB法、SDS-フェノール法あるいはプロテアーゼK法などの基本的なDNA抽出法が挙げられる。これらの抽出方法の中から所望の方法を選択すればよく、抽出条件についても、前記文献に記載されている条件を適用すればよい。これらの抽出方法における条件として特筆すべき条件はないが、それぞれの方法におけるフェノール処理は、変性タンパク質を除くために、前記文献に記載されている回数よりも多く行うことが望ましい。

【19】
本発明が対象とするタンパク質変性処理を受けた植物性加工食品の場合、上記の方法で抽出して得たDNA画分のままでは、PCR阻害物質が含まれており、PCR法の利用に供することができない場合がある。例えば、味噌の場合には、発酵過程で用いられる微生物に由来するヌクレアーゼによってDNAが低分子化するが、この段階では低分子DNAが残っており、PCR法を阻害する原因となる。蒸煮ダイズの場合には、高温高圧処理を受けていることから、DNAの細断化が起こっており、低分子のDNAを除く必要がある。

【20】
また、きな粉の場合は、ダイズ種子に含まれるレクチン、トリプシンインヒビター等を失活させるとともに香り付けを行うための、高温下での焙煎並びにこれに続く機械的磨砕処理による微粉末化により製造される。このような処理を経るために、きな粉に含まれるDNAの2本鎖は、ヌクレオソーム単位まで低分子化され、ヌクレオソーム間を繋いでいるDNAは、数十塩基対まで分断されてしまう。その上、試料は微粉末化の過程で核酸、タンパク質などが細胞片に包み込まれたまま油でコーティングされた状態となるため、PCRにそのまま用いると、緩衝液等の作用を受け付けない。このため、極低分子DNAの除去および油分除去をする必要がある。

【21】
さらに、原料として用いる植物性食品が納豆の場合には、前記した如く、枯草菌(納豆菌)由来のDNAや多糖類の混入によって粘性が高い状態になっていると共に、枯草菌(納豆菌)のDNAや低分子化したDNAが混在しており、PCR増幅は著しく阻害される。

【22】
そこで、本発明では、上記の方法により抽出したDNA粗画分について、ポリエチレングリコール沈澱法による処理および/またはポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるDNA分画処理を行うことにより、さらに純度の高いDNAを調製する。ポリエチレングリコール沈澱法による処理は、DNA抽出液に常法に従って、適当な溶媒に溶解したポリエチレングリコールを加えて静置した後、遠心分離などの固-液分離を行って分離した沈澱を洗浄し、乾燥、溶媒除去等の操作を行う一連の操作からなり、この処理によって精製されたDNAを得ることができる。また、ポリアクリルアミドゲルによる処理は、常法により行うことができる。例えば、実施例において示したように、2mm厚の6.5%アクリルアミドゲルに粗抽出のDNAをアプライして100Vで電気泳動を行い、0.001%エチジウムブロマイドで10分間染色した後、UV(320nm)下で目的領域のゲルを切り出し、当該ゲルからDNAを抽出する。これらの処理により、低分子(約200塩基対程度)のDNAのみが残るようにすることができる。

【23】
ポリエチレングリコール沈澱法による抽出処理および/またはポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるDNA分画処理は、上述の理由より、味噌、蒸煮ダイズ、きな粉、納豆等の低分子化したDNAが残っている植物性食品を対象とする場合には採用する。中でも、きな粉のように非常に低分子化が進んだDNAを含み、かつ油分を多く含むものを原料とする場合には、これらの方法による分画が必要である。蒸煮ダイズの場合は、ポリエチレングリコール沈澱法の操作を行った後に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いた抽出精製を行って低分子のDNAを除くことが必要である。

【24】
また、原料として用いる植物性食品が納豆の場合には、阻害物質の簡便、かつ確実な除去のため、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるDNA分画処理を行うことが望ましい。ポリエチレングリコール沈澱のみでは、枯草菌(納豆菌)が産出する多糖類により粘性が高い状態となっていると共に、枯草菌(納豆菌)のDNAや低分子化したDNAが混在しているため、PCR増幅が著しく阻害される場合があるからである。この場合、例えばアクリルアミドを用いた半調製用のゲル電気泳動によることができる。なお、この方法は、納豆の他、すべての加工食品に適用することができる。勿論、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるDNA分画処理を行う前に、ポリエチレングリコール沈澱法による抽出処理操作を行ってもよい。後述の実施例に示すとおり、原料が納豆である場合には、このアクリルアミドゲルからのDNA分画操作を行うことにより、300bp以下の断片を選択し、精製して目的とするDNAを得ることができる。なお、納豆以外の原料であっても本処理を行うことにより阻害物質を簡便、かつ確実に除去することができる。

【25】
本発明の方法においては、上記ポリエチレングリコール沈澱法による処理および/またはポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるDNA分画処理に引き続いて、さらにゲルについてマキサム・ギルバート法(Maxam, A. M. and Gilbert,W. (1977); A new method for sequencing DNA. Proc. Natl. Acad. Sci., 74,p560) や、電気溶出法などにより、アクリルアミドゲルから目的のサイズのDNA画分を抽出することによって、DNAをさらに精製して、目的とするDNAを得ることができる。抽出の条件については、例えば0.001%エチジウムブロマイドに10分間浸し、UV(320nm)下で目的の領域のゲルを切り出した後、マキサム・ギルバート法を用いる場合は、上記文献記載の条件下で行う。一方、電気溶出法の場合には、切り出したゲルとTE緩衝液とを透析チューブに入れて100V、1時間通電し、チューブ内の緩衝液に溶出したDNAを回収することができる。原料が納豆の場合には、この抽出処理を行うことが望ましい。本処理を行うことにより、極低分子DNAやフラクタンはほとんど除去され、PCRの鋳型として用いるのに十分なDNAを得ることができる。

【26】
以上に説明したような抽出処理、精製処理を行うことによって調製されたDNAが、実際にPCR法に用いる鋳型として使用可能か否かは、下記のように、該DNAを実際にPCR法の鋳型として用いた試験を行うことにより確認することができる。本発明者らは、この試験を実施するにあたり、データベース上のダイズのβ-アクチン(actin)の遺伝子配列を基にして、5つのプライマー、すなわちAct5’、Act5’-2、Act5’-3、Act3’、Act3’-2を作製した。これらプライマーのそれぞれの塩基配列は、配列表の配列番号1~5に示すとおりである。

【27】
これらのプライマーを用いて、上記の方法により調製されたDNAを鋳型としたPCRを実際に行った結果、後記の実施例に示すように、PCR産物のアクリルアミドゲル電気泳動像は単一であった(図2)。この産物をpTAベクター(Invitrogen社製)にサブクローニングして塩基配列を決定したところ、完全にβ-アクチンの配列と一致した。この結果は、上記の方法により調製されたDNAが、PCR反応の鋳型DNAとして適合することを示すものである。

【28】
また、本発明の方法は、植物性食品に含まれる組み換え遺伝子の判定に用いることができる。以下に、実用化された組み換え植物の代表例である除草剤耐性組み換えダイズに組み込まれている除草剤耐性遺伝子の本体であるアグロバクテリウム由来の5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素 (5-enolpyruvylshikimate-3-phosphate synthase) [EPSPS] (Padgett, S. R. et al. (1995); Development, identification, and characterization of a glyphosate-tolerant soybean line, Crop Sci., 1451-1461)を例にとって、組み換え遺伝子の検出を行う方法について説明する。

【29】
まず、組み換えダイズに組み込まれている組み換え遺伝子をクローニングするために、カリフラワーモザイクウイルスの35SプロモーターとNOS(ノパリン合成酵素)のターミネーターに対するプライマーをそれぞれ作成する。次に、組み換えダイズから調製したDNAを鋳型として、これらのプライマーを用いたPCR法により得られる産物を、pTAベクター(Invitrogen社製)にサブクローニングし、シークエンシングを行う。

【30】
クローニングした組み換え遺伝子の核酸配列を基にして、ダイズ種子検出用のプライマーを構築する。本発明者らは、クローニングした組み換え遺伝子のうち、除草剤耐性遺伝子の本体である前記EPSPSに対する4つのプライマー、EPSPS5’-1、EPSPS5’-2、EPSPS3’-1、EPSPS3’-2を作製した。これらプライマーのそれぞれの塩基配列は、配列表の配列番号6~9に示す通りである。

【31】
上述のプライマーのうち、組み換え遺伝子の検出用のプライマーとしてEPSPS5’-1、EPSPS3’-1を、PCR増幅自体が良好に行われているか否かを判定するためのプライマーとしてダイズβ-アクチンのプライマーであるAct5’、Act3’を用いて、本発明の方法により組み換えダイズの種子から調製したDNAを鋳型として通常のPCR法(1段階)を行うと、組み換えダイズの率が0.1%(1/1000)であっても検出が可能である。なお、PCRの条件は、96℃-48秒、66℃-48秒、72℃-1分を1サイクルの後に、94℃-48秒、66℃-48秒、72℃-1分を32サイクル、その後72℃-8分の条件で行うことができる。また、プライマーEPSPS5’-1、EPSPS3’-1の組み合わせとプライマーEPSPS5’-2、EPSPS3’-2の組み合わせを用いた2段階のPCR(各段階のPCRの条件は、上記1段階の場合と同様)を行うと、さらに0.0001%(1/1000000)という高い感度で、組み換え遺伝子の検出が可能である。なお、これらの結果については、後記試験例2に詳細に示されている。

【32】
一方、ダイズ等の種子を原料とした加工食品中の組み換え遺伝子の判定は、以下のようにして行うことができる。この判定には、EPSPS遺伝子の3’側とその下流に組み込まれているNOS(ノパリン合成酵素)のターミネーターの遺伝子との間で本発明者らが構築したプライマーであるNOS5’-1、NOS3’-1を用いることができる。これらプライマーのそれぞれの塩基配列を配列表の配列番号10、11に示す。

【33】
抽出・分画処理したDNAを鋳型とし、これらNOS5’-1、NOS3’-1をプライマーとしたPCRを行うことにより、ダイズを原料とした加工食品から、組み換え遺伝子を検出することが可能である。PCRの条件としては、通常の条件、例えば96℃-48秒、66℃-48秒、72℃-1分を1サイクルの後に、94℃-48秒、66℃-48秒、72℃-1分を40サイクル、その後72℃-8分が有効である。上記プライマーを用いることの理由は、特に納豆からの組み換え遺伝子の検出の際に枯草菌(納豆菌)由来のEPSPS遺伝子に基づくと考えられるPCR産物が、上述のプライマーおよび他の部位のプライマーを使用したときに検出されるためである。このように、植物性食品から調製し、分画処理を行ったDNAを鋳型として用いることにより、組み換え遺伝子の有無を正確に判定することができる。

【34】

【実施例】次に、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1
試料用のもやし、蒸煮ダイズ、豆腐、油揚げおよび納豆の作製
組み換えダイズ種子のみ、あるいは非組み換えダイズ種子を10%混合したものを用いて、もやし、蒸煮ダイズ、豆腐、油揚げおよび納豆を、以下の方法で作製した。

【35】
もやしについて
大型のステンレス製バットにガーゼを3枚重ねにして敷き、これに水を含ませた。ダイズ種子をこの湿ったガーゼ上に蒔き、アルミホイルで遮光して、暗所で毎日水を換えながら室温で7日間育成し、生じた幼芽を集めて試料とした。

【36】
蒸煮ダイズについ
ダイズ種子を一晩室温で吸水させた後に、オートクレーブ処理(121℃、60分間)を行い、蒸煮ダイズを作製した。

【37】
豆腐、油揚げについて
ダイズ種子を一晩低温(約18℃)で吸水させた後に、ミキサーで砕き、さらに水を加えて磨砕した。これを約95℃に加温した後に、晒しを敷いた漏斗で濾過を行い、豆乳を得た。晒しの上に残ったおからを絞り、さらに豆乳を得た。得られた豆乳を合一し、攪拌しながら、流水中で冷却した。その後、凝固剤を加えて加熱し、凝固させ、流水中で再び冷却して豆腐を作製した。油揚げは、このようにして作製した豆腐を油で揚げて作製した。

【38】
納豆について
ダイズ種子を1日室温で吸水させた後に、オートクレーブ処理(121℃、60分間)を行って蒸煮した。この蒸煮ダイズに枯草菌(納豆菌)を噴霧し、42℃で約1日発酵させて、納豆を作製した。
きな粉、味噌について
いずれも市販品を使用した。

【39】
実施例1
ダイズ種子、もやし、蒸煮ダイズ、豆腐、油揚げ、きな粉、味噌からのDNA抽出(SDS-フェノール法による)
ダイズ種子、きな粉および味噌は市販品を試料とし、もやし、蒸煮ダイズ、豆腐および油揚げについては、上記製造例1で得た試料を用いた。各試料(ダイズ種子およびもやしを除く)を液体窒素で凍結後、凍結乾燥機を用いて乾燥させた。その後、乳鉢で試料を粉砕し、細かい粉末状にした。この試料をジエチルエーテルを用いてソックスレー抽出機で、温度65℃にて脱脂処理を行った。次に、脱脂した試料を用いてDNAの抽出を行った。

【40】
脱脂した試料20gを25mLの抽出用緩衝液(50mM EDTA、500mM 塩化ナトリウム、10mM β-メルカプトエタノールを含む100mMトリス-塩酸緩衝液、pH8.8)を加えてホモジナイズし、これに2.5mLの10%SDSを加えて65℃で15分間保温した。次に、終濃度が1Mとなるように酢酸カリウムを加えて氷上に30分間静置した。その後、10000×g、10分間、4℃の条件で遠心して上清を得た。この上清に対して等量のTE(1mM EDTA、pH8.0を含む10mM トリス-塩酸緩衝液、pH8.0)で飽和させたフェノールを加え、混合し、上記と同じ条件で遠心して水層を得た。このフェノールの抽出の操作を3回繰り返した。

【41】
その後、フェノールをジエチルエーテルに代えて同様の操作を行い、水層に溶解しているフェノールをエーテル抽出した。エーテル抽出後の水層に0.6倍量のイソプロピルアルコールを加え、室温で20分間静置した後、10000×g、10分間、4℃の条件で遠心し、沈澱を得た。この沈澱を70%(v/v)エタノールで洗い、乾燥させ、エタノールを除去した後に、5mLのTEに溶解した。

【42】
この溶液に対して、終濃度0.05mg/mLとなるように、RNaseAを加えて37℃で1時間保温し、試料中のRNAを分解した。この後、上述と同様にフェノール抽出、エーテル抽出の操作を行った。ダイズ種子、もやし、豆腐および油揚げの場合は、このDNA画分の試料をPCRに用いた。蒸煮ダイズ、きな粉および味噌の試料については、上記の方法で得た水層に対して0.6倍量の2.5Mの塩化ナトリウム溶液に溶解した20%(w/v)ポリエチレングリコール-6000(PEG-6000)を加え、氷上で1時間以上静置した後、10000×g、10分間、4℃の条件で遠心して沈澱を得た。この沈澱を70%(v/v)エタノールで洗い、乾燥させ、エタノールを除去した後に、1mLの滅菌水に溶解し、DNA溶液を得た。なお、蒸煮ダイズについては、アクリルアミドゲル電気泳動法によるDNAの長さの分画も行った。

【43】
実施例2
納豆からのDNA抽出
枯草菌(納豆菌)を殺菌するために、121℃、60分間の条件で加熱滅菌処理を実施した。その後、実施例1と同様の方法を用いてDNAの抽出を試みた。しかしながら、得られたDNA溶液は、粘度が高い上に、枯草菌(納豆菌)が分泌する多糖類などが多く含まれており、PCR反応に適したDNAは得られなかった。

【44】
そこで、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて上記DNA溶液から多糖類等を除去することを試みた。ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を実施した結果、枯草菌(納豆菌)由来の高分子DNAと、分解を受けたと思われるダイズ由来の低分子のDNAがかすかであるが認められたので(図1のレーン9参照)、ポリアクリルアミドゲルを用いたDNAの長さによる分画を行った。なお、納豆のDNAの分画は、600bp以上(納豆I)、300bpから600bp(納豆II) 、300bp以下(納豆III)の3つの画分に分けて行った。

【45】
すなわち、実施例1と同様にしてポリエチレングリコール沈澱を行って得た試料DNA450μg相当を2mm厚の6.5%ポリアクリルアミドゲルに供し、100Vで電気泳動を行った。泳動後、エチジウムブロマイドで染色して600bp以上(納豆I)、300bpから600bp(納豆II) 、300bp以下(納豆III)の3つの画分に分画し、アクリルアミドゲルから切り出した。

【46】
切り出したゲルからDNAを回収するために、マキサム-ギルバート法に基づくDNAの抽出を行った。すなわち、切り出したゲルを滅菌したガラス棒でペースト状になるまで砕いた。次に、0.2mLの抽出用緩衝液(0.5M 酢酸アンモニウム、10mM 酢酸マグネシウム、2.5mM EDTA、0.1%SDS)を加えてボルテックスミキサーを用いて約30秒間激しく混合した。その後、15000×g、10分間、4℃の条件で遠心し、上清を得た。この抽出操作をさらに2回繰り返し、ゲルからDNAを抽出した。

【47】
抽出操作の終了後、抽出液を合わせ、実施例1と同様にしてフェノール抽出を行った後に、エーテル抽出を行った。抽出後の水層に対して2倍量のエタノールを加えて-20℃で30分間冷却した後、15000×g、15分間、4℃の条件で遠心し、沈澱を得た。この沈澱を70%(v/v)エタノールで洗った後に、乾燥させて30mLの滅菌水に溶解し、精製したDNAを得た。なお、別法として、マキサム-ギルバート法の代わりに前述の電気溶出法等を実施した後に、上述のフェノール抽出以降の操作を行ってもよい。300bp以下(納豆III)の画分から抽出したDNAについて電気泳動試験した結果、かすかなバンドが観察された(図1のレーン8参照)。

【48】
試験例1
ダイズの種子、もやし、蒸煮ダイズ、豆腐、油揚げ、きな粉および味噌から抽出したDNAを鋳型として用いたPCR法が可能か否かを検討した。ダイズのβ-アクチンのプライマー(Act5’-2(配列表の配列番号2参照)およびAct3’(配列表の配列番号4参照);0.05μM)を用いてPCRを行った。その条件は、96℃-48秒、66℃-48秒、72℃-1分を1サイクル行った後に、94℃-48秒、66℃-48秒、72℃-1分を1サイクルとする操作を32サイクル行い、その後72℃-8分で行った。その結果、図2に示したように、すべてのDNA試料でバンドが確認された。

【49】
さらに、2段階のPCR(最初のPCR:プライマーAct5’-2(配列表の配列番号2参照)、Act3’(配列表の配列番号4参照);0.05μM、PCRの条件は上記と同じ、2回目のPCR:プライマーAct5’-3(配列表の配列番号3参照)、Act3’-2(配列表の配列番号5参照);0.05μM、PCRの条件は上記と同じ)を実施したときにも、すべてのDNA試料でバンドが確認された。なお、納豆の場合は、300bp以下(納豆III)の画分から得られたDNAでのみPCR法が可能であった。

【50】
このことより、製造例1の一連の操作により蒸煮ダイズ、納豆、きな粉および味噌から抽出、調製したDNAを用いることにより、ダイズの種子やもやし等のようにタンパク質の変性処理を受けていない原料から抽出したDNAと同様にPCR法が可能であることが明らかとなった。特に、高温処理、機械的破砕処理がなされているきな粉や発酵過程を経ている納豆、味噌等から、PCR法の検出に用いることのできるDNAを調製できたことは非常に興味深いことである。

【51】
試験例2
組み換え遺伝子の検出
遺伝子組み換えダイズの種子から抽出したDNA100ngを用いてPCR法による検出限界の検討を行った。5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(EPSPS)に対するプライマー(EPSPS5’-1(配列表の配列番号6参照)、EPSPS3’-1(配列表の配列番号8参照);0.1μM)を作製した。また、PCR反応がスムーズに行われるか否かを判定するために用いるダイズのβ-アクチン遺伝子に対するプライマーとして、1対のプライマー(Act5’(配列表の配列番号1参照)、Act3’(配列表の配列番号4参照);0.05μM)を使用した。

【52】
これら4種類のプライマーを用いて、前記の試験例1において調製した組み換えダイズ種子を鋳型として、PCRを行い、組み換え遺伝子の検出を行った。PCRの条件は、試験例1と同様(96℃-48秒、66℃-48秒、72℃-1分を1サイクル実施した後に、94℃-48秒、66℃-48秒、72℃-1分を1サイクルとする32サイクルを行い、その後72℃、8分)とした。その結果、組み換えダイズの割合が0.1%(1/1000)の試料においても、検出が可能であった。

【53】
また、2段階のPCR(最初のPCR:プライマーEPSPS5’-1(配列表の配列番号6参照)、EPSPS3’-1(配列表の配列番号8参照);0.1μM、PCRの条件は上記と同じ、2回目のPCR:プライマーEPSPS5’-2(配列表の配列番号7参照)、EPSPS3’-2(配列表の配列番号9参照);0.1μM、PCRの条件は上記と同じ)を行った。その結果、組み換えダイズの割合が0.0001%(1/1000000)においても検出が可能であり、高感度検出を行うことができた。この結果から、DNA粗画分を抽出後、DNA分画処理を行って得た鋳DNAは、PCR法による組み換え遺伝子の検出のために非常に有用であることが明らかである。

【54】
試験例3
次に、組み換えダイズを用いて作製したもやし、蒸煮ダイズ、豆腐、油揚げおよび納豆から抽出、調製したDNAを使用して組み換え遺伝子の検出を行った。なお、きな粉と味噌については、市販品を用いたために、ネガティブコントロールおよびポジティブコントロールとなるものがないので、組み換え遺伝子の検出は行わなかった。プライマーとして、EPSPS遺伝子の3’側とその下流に組み込まれているNOS(ノパリン合成酵素)のターミネーターの遺伝子との間でプライマーNOS5’-1(配列表の配列番号10参照)、NOS3’-1(配列表の配列番号11参照)を構築した。

【55】
これらのプライマーをそれぞれ0.1μM用いて、上記食品から抽出したDNAを鋳型としてPCR法を行った。PCRの条件は、96℃-48秒、66℃-48秒、72℃-1分を1サイクルの後に、94℃-48秒、66℃-48秒、その後72℃-1分のサイクルを50サイクル、その後72℃-8分とした。また、PCR反応がスムーズに行われるか否かを判定するために用いるダイズのβ-アクチン遺伝子に対するプライマーとして、1対のプライマー(Act5’(配列表の配列番号1参照)、Act3’(配列表の配列番号4参照);0.05μM)を使用した。その結果、図3の右側に示したように、組み換えダイズを原料とした蒸煮ダイズ、豆腐、油揚げおよび納豆から抽出、調製した後にDNA分画処理を行った鋳型DNAから、組み換えダイズ種子およびもやしの場合と同等のレベルで、組み換え遺伝子を検出することができた。このうち、特に納豆からの組み換え遺伝子の検出は、今までに報告されたことがない。

【56】

【発明の効果】本発明の方法によれば、タンパク質の変性処理を受けた植物性加工食品に由来する植物遺伝子をPCR法を用いて検出するに当たり、該加工食品からDNA粗画分を抽出し、さらにポリエチレングリコール沈澱法による処理および/またはポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるDNA分画処理を行うことにより得られた純度の高く、PCR法に適した鋳型DNAを用いる方法が提供される。

【57】
本発明の方法は、上記の如く、タンパク質変性処理を受けたきな粉、蒸煮ダイズ、味噌や納豆などに対しても適用することが可能である。特に、納豆から得られた純度の高いDNAを用いてPCR法を行うことは、これまでに達成されておらず、本発明により初めて開発されたものである。

【58】
本発明の方法の対象を、組み換え作物由来の食品とすることにより、得られる純度の高いDNAから組み換え遺伝子の検出を行うことが可能である。組み換え遺伝子の検出感度においても、従来の0.1%組み換えダイズ混入における感度を確保している。しかも、2段階のPCRを行うことにより、さらに感度を1000倍に向上させることができる。

【59】
前記したように、納豆を原料とする場合は、DNA粗画分の抽出後、さらにポリアクリルアミドゲルからのDNAの分画およびそれに続くマキサム-ギルバート法または電気溶出法によるDNAの抽出を行うことによって、PCR増幅に供することのできるDNAの調製が可能であり、実用的価値は非常に大きい。また、組み換え遺伝子の検出において、非特異的なバンドの現れない組み合わせのプライマーを構築できたことも本発明の特色の一つで、その効果は大きい。

【60】
本発明により、油糧種子を素材とした加工食品から抽出したDNAについても、ポリエチレングリコール沈澱法による処理および/またはポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるDNA分画処理を行うことによって、PCR法の鋳型DNAとして使用できるDNA分画処理を行うことによって、ポテトチップスなどの種子以外の植物可食部を利用した加工食品から抽出したDNAについても、PCR法が可能である。さらには、本発明の方法は、今後研究を重ねて改良を加えることにより、高温、高圧処理を受けて加工される家畜など動物由来の動物性食品から抽出したDNAについても、PCR法に用いることによって動物遺伝子の検出に利用することができる。
【配列表】
SEQUENCE LISTING
<110> Director of National Food Research Institute, Ministry of Agricult
ure, Forestry and Fisheries
<120> PCR法による植物遺伝子の検出方法
<130> P111050K
<160> 11
<210> 1
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial sequence
<220>
<223> Designed nucleotide based on soybean actin genomic DNA sequence
<400> 1
ttgtgttgga ttctggggat ggtgtcagcc 30
<210> 2
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial sequence
<220>
<223> Designed nucleotide based on soybean actin genomic DNA sequence
<400> 2
ttcctagcat cgctgataga atgagcaagg 30
<210> 3
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial sequence
<220>
<223> Designed nucleotide based on soybean actin genomic DNA sequence
<400> 3
atttctgctt tagccccaag tagcatgaag 30
<210> 4
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Designed nucleotide based on soybean actin genomic DNA sequence
<400> 4
aactgctgga aggtgcttag agatgcaagg 30
<210> 5
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Designed nucleotide based on soybean actin genomic DNA sequence
<400> 5
gatcctccaa tccaaacacc gaactttctc 30
<210> 6
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Designed nucleotide based on 5-enol-pyruvoylshikimic acid 3-phosph
ate synthase (EPSPS) DNA sequence
<400> 6
caaatcctct ggcctttccg gaaccgtccg 30
<210> 7
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Designed nucleotide based on 5-enol-pyruvoylshikimic acid 3-phosph
ate synthase (EPSPS) DNA sequence
<400> 7
gacaagtcga tctcccaccg gtccttcatg 30
<210> 8
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Designed nucleotide based on 5-enol-pyruvoylshikimic acid 3-phosph
ate synthase (EPSPS) DNA sequence
<400> 8
cgcggagttc ttccagaccg ttcatcacgg 30
<210> 9
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Designed nucleotide based on 5-enol-pyruvoylshikimic acid 3-phosph
ate synthase (EPSPS) DNA sequence
<400> 9
gcgacagcga gaatcggata ttcgtcgatc 30
<210> 10
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Designed nucleotide based on 5-enol-pyruvoylshikimic acid 3-phosph
ate synthase (EPSPS)/noparin synthase (NOS) DNA sequence
<400> 10
cgagcttccc ggagttcatg gacctgatgg 30
<210> 11
<211> 32
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Designed nucleotide based on 5-enol-pyruvoylshikimic acid 3-phosph
ate synthase (EPSPS)/noparin synthase (NOS) DNA sequence
<400> 11
catgcttaac gtaattcaac agaaattata tg 32
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2