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明細書 :ニジマスガレクチン遺伝子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3243526号 (P3243526)
公開番号 特開2001-069976 (P2001-069976A)
登録日 平成13年10月26日(2001.10.26)
発行日 平成14年1月7日(2002.1.7)
公開日 平成13年3月21日(2001.3.21)
発明の名称または考案の名称 ニジマスガレクチン遺伝子
国際特許分類 C12N 15/09      
C07K 14/435     
C12N  1/15      
C12N  1/19      
C12N  1/21      
C12N  5/10      
C12P 21/02      
C12Q  1/68      
G01N 33/53      
G01N 33/566     
FI C07K 14/435
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12P 21/02
C12Q 1/68
G01N 33/53
G01N 33/566
C12N 15/00
請求項の数または発明の数 8
全頁数 16
出願番号 特願平11-247204 (P1999-247204)
出願日 平成11年9月1日(1999.9.1)
審査請求日 平成11年9月1日(1999.9.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593059887
【氏名又は名称】農林水産省水産庁養殖研究所長
発明者または考案者 【氏名】中西 照幸
【氏名】乙竹 充
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
審査官 【審査官】光本 美奈子
参考文献・文献 The Journal of Biological Chemistry,1997,Vol.272,No.9,p.6078-6086
調査した分野 C12N 15/00 - 15/90
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)又は(b)の組換えタンパク質。
(a) 配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつガレクチン活性を有するタンパク質

【請求項2】
以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子。
(a) 配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号2で表わされるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつガレクチン活性を有するタンパク質

【請求項3】
以下の(c)又は(d)のDNAからなる遺伝子。
(c) 配列番号1で表わされる塩基配列からなるDNA
(d) 配列番号1で表わされる塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつガレクチン活性を有するタンパク質をコードするDNA

【請求項4】
以下の(e)又は(f)のRNAからなる遺伝子。
(e) 配列番号3で表わされる塩基配列からなるRNA
(f) 配列番号3で表わされる塩基配列からなるRNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつガレクチン活性を有するタンパク質をコードするRNA

【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載の遺伝子を含有する組換えベクター。

【請求項6】
請求項5記載の組換えベクターを含む形質転換体。

【請求項7】
請求項6記載の形質転換体を培養し、得られる培養物からガレクチンを採取することを特徴とするガレクチンの製造方法。

【請求項8】
配列番号6及び7で表される塩基配列を有するプライマーを用いて増幅される断片であって、配列番号1に記載のニジマスガレクチンcDNAのうち該ニジマスガレクチンのN末端側をコードする299bpの断片を含む、ニジマスガレクチンの検出用試薬。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、ニジマスガレクチン、該ガレクチンをコードする遺伝子に関する。

【0002】

【従来の技術】ガレクチンはS-typeレクチンと呼ばれている糖タンパク質であり、βガラクトースに結合する機能を有する。現在、哺乳類においてはガレクチン1から9まで9種類存在し、ファミリーを構成することが知られている。いずれのガレクチンにおいても、そのアミノ酸領域のうち、βガラクトースと結合する領域が存在する。

【0003】
βガラクトースと結合するレクチンの存在については、海綿動物、線虫等の無脊椎動物から、カエル、ニワトリ及びヒトを含む広範囲の脊椎動物に至るまで各種動物において報告されている。哺乳類においては多くの動物種から遺伝子として単離されているが、哺乳類以外ではニワトリのみであり、他の動物においてはβガラクトースと結合するレクチンの存在が報告されているのみである。ガレクチンは構造によって4つに分類され、ガレクチン1、2及び7は同型2量体、ガレクチン5は単量体、ガレクチン4、6、8及び9はリンカーペプチドにより繋がった2つの結合領域を有する一本鎖のポリペプチド、ガレクチン3は単一の結合領域を有し短いN末端を持つタンパク質である。

【0004】
ガレクチンの種類によって、組織における発現や分布は異なる。即ち、ヒトにおいては、ガレクチン1は骨格筋、神経細胞、腎臓、胎盤及び胸腺、ガレクチン2は腫瘍の肝臓、ガレクチン3は活性化マクロファージ、好酸球、好中球、肥満細胞、小腸、呼吸器官の上皮及び感覚神経細胞、ガレクチン4は腸や口腔の上皮、ガレクチン5は赤血球や細網細胞、ガレクチン6は腸管上皮、ガレクチン7はケラチノサイト、ガレクチン8は肺、肝臓、腎臓、心臓及び脳、ガレクチン9は肝臓、小腸、腎臓、リンパ組織、肺、心筋及び骨格筋において発現している。

【0005】
ガレクチンの機能についてもその種類によって異なり、ガレクチン1は細胞接着の促進又は抑制に関与し、ガレクチン3は細胞接着の抑制や炎症並びに腫瘍細胞の転移に係わっており、また、ガレクチン3及び9はマウスT細胞の移動やアポトーシスにも関与していることが報告されている。ガレクチン9は、ヒトのホジキン病患者の脾臓やリンパ節では正常患者の10倍も発現していることが報告されている。さらに、発生の初期に広範囲な組織に発現することから、発生初期の形態形成に関与していることが示唆されている。このように、ガレクチンは数多くの機能を有していると推察される。しかしながら、ガレクチンの機能については、ほ乳類においてもまだ充分明らかにされていない。

【0006】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、ニジマスガレクチン、該ガレクチンをコードする遺伝子を提供することを目的とする。

【0007】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、ニジマス頭腎cDNAライブラリーから、ガレクチン遺伝子を単離することに成功し、本発明を完成するに至った。

【0008】
すなわち、本発明は、以下の(a)又は(b)の組換えタンパク質である。
(a) 配列番号2で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b) 配列番号2で表わされるアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつガレクチン活性を有するタンパク質

【0009】
さらに、本発明は、以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子である。
(a) 配列番号2で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質
(b) 配列番号2で表わされるアミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつガレクチン活性を有するタンパク質

【0010】
さらに、本発明は、以下の(c)又は(d)のDNAを含む遺伝子である。
(c) 配列番号1で表される塩基配列を含むDNA
(d) 配列番号1の塩基配列を含むDNAとストリンジェントな条件下でハイブリイダズし、かつガレクチン活性を有するタンパク質をコードするDNA

【0011】
さらに、本発明は、以下の(e)又は(f)のRNAを含む遺伝子である。
(c) 配列番号3で表される塩基配列を含むRNA
(d) 配列番号3で表される塩基配列を含むRNAとストリンジェントな条件下でハイブリイダズし、かつガレクチン活性を有するタンパク質をコードするRNA

【0012】
さらに、本発明は、上記遺伝子を含有する組換えベクターである。さらに、本発明は、上記組換えベクターを含む形質転換体である。さらに、本発明は、上記形質転換体を培養し、得られる培養物からガレクチンを採取することを特徴とするガレクチンの製造方法である。さらに、本発明は、配列番号6及び7で表される塩基配列を有するプライマーを用いて増幅される断片であって配列番号1に記載のニジマスガレクチンcDNAのN末端側をコードする299bpの断片を含む、ニジマスガレクチンの検出用試薬である。以下、本発明を詳細に説明する。

【0013】

【発明の実施の形態】本発明は、哺乳類において細胞接着の抑制や炎症、腫瘍細胞の転移、T細胞の移動やアポトーシス等に関与していることが知られ、魚類免疫機構の解明並びに魚病の診断及び制御において有用かつ新規なニジマスガレクチンをコードする遺伝子に関するものである。

【0014】
本発明者らは、リポ多糖(LPS)をニジマスの腹腔内に投与した後、頭腎を採取し、RNAを抽出・精製し、cDNAライブラリーを調製した。このライブラリーから得られたDNAについてPCRを行い、PCR産物の大きさからcDNAのサイズを調べた。本発明の遺伝子は、上記cDNAのサイズが1kbp以上の単離クローンについて塩基配列を決定し、クローニングしたものである。

【0015】
1.本発明の遺伝子のクローニング
(1) cDNAライブラリーの作製及びスクリーニング
mRNAの供給源としては、ニジマス頭腎、脾臓、胸腺などの組織が挙げられる。mRNAの調製は、通常行われる手法により行うことができる。例えば、上記組織又は細胞から、グアニジウムチオシアネート-トリフルオロ酢酸セシウム法などにより全RNAを抽出した後、オリゴdT-セルロースやポリU-セファロース等を用いたアフィニティーカラム法、あるいはバッチ法によりポリ(A)+RNA(mRNA)を得ることができる。さらに、ショ糖密度勾配遠心法等によりポリ(A)+RNAをさらに分画してもよい。

【0016】
このようにして得られたmRNAを鋳型として、オリゴdTプライマー及び逆転写酵素を用いて一本鎖cDNAを合成した後、該一本鎖cDNAから二本鎖cDNAを合成する。次いで得られた二本鎖cDNAを適当なクローニングベクターに組み込んで組換えベクターを作製する。そしてこの組換えベクターを用いて大腸菌等を形質転換し、テトラサイクリン耐性、アンピシリン耐性等を指標として形質転換体を選択することにより、cDNAのライブラリーを得ることができる。

【0017】
ここで、大腸菌の形質転換は、Hanahanの方法[Hanahan,D.: J. Mol. Biol. 166:557-580(1983)]、すなわち塩化カルシウム、塩化マグネシウム又は塩化ルビジウムを共存させて調製したコンピテント細胞に、組換えベクターを加える方法等により行うことができる。なお、ベクターとしてプラスミドを用いる場合はテトラサイクリン、アンピシリン等の薬剤耐性遺伝子を含有することが必要である。また、プラスミド以外のクローニングベクター、例えばλファージ(λgt11等)を用いることもできる。

【0018】
上記のようにして得られる形質転換体から目的のDNAを有する株を選択するには、例えば、ガレクチンタンパク質ファミリーのアミノ酸配列に対応する縮重センスプライマー及び縮重アンチセンスプライマーを合成し、これを用いてPCRを行い、得られた断片をプローブとして、cDNAライブラリーからスクリーニングする方法、あるいはλファージ(λgt11等)を用いた場合は、λgt11 インサート増幅用のプライマーを用いてPCRを行う方法を採用することができる。但し、本発明においてはこれらのプライマーに限定されるものではない。

【0019】
このようにして得られたDNA増幅断片を、32P、35S又はビオチン等で標識してプローブとし、これを形質転換体のDNAを変性固定したニトロセルロースフィルターとハイブリダイズさせ、得られたポジティブ株を検索することによりスクリーニングすることができる。

【0020】
(2) 塩基配列の決定
本発明においては、上記スクリーニングにおいて得られたcDNAのサイズが1kbp以上の単離クローンについて、PCR産物をテンプレートにしてcDNAの塩基配列を決定する。塩基配列の決定はマキサム-ギルバートの化学修飾法、又はM13ファージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法等の公知手法により行うことができるが、通常は自動塩基配列決定機(例えばApplied Biosystems社製Model 310蛍光シークエンサー等)を用いて配列決定が行われる。

【0021】
配列番号1に本発明のガレクチン遺伝子の塩基配列を、配列番号2に本発明のガレクチンのアミノ酸配列を例示するが、このアミノ酸配列からなるタンパク質がガレクチン活性を有する限り、当該アミノ酸配列において少なくとも1個、好ましくは1若しくは数個のアミノ酸に欠失、置換、付加等の変異が生じてもよい。

【0022】
例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列の少なくとも1個、好ましくは1~10個、さらに好ましくは1~5個のアミノ酸が欠失してもよく、配列番号2で表わされるアミノ酸配列に少なくとも1個、好ましくは1~10個、さらに好ましくは1~5個のアミノ酸が付加してもよく、あるいは、配列番号2で表されるアミノ酸配列の少なくとも1個、好ましくは1~10個、さらに好ましくは1~5個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換してもよい。

【0023】
ここで、ガレクチン活性とは、βガラクトシドと結合する活性を意味する。なお、本発明のタンパク質の上記活性は、ラクトース等のβガラクトシドをカラムに固定したアフィニティクロマトグラフィを行い、本発明のタンパク質がカラムに吸着されることを確認することでその有無を判断することができる。

【0024】
また、上記遺伝子と下記の条件下でハイブリダイズすることができるDNAであってガレクチン活性を有するタンパク質をコードするDNAも本発明の遺伝子に含まれる。すなわち、DNAを固定したフィルターを用いて、0.7~1.0MのNaCl存在下、68℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1~2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSCとは150mM NaCl、15mM クエン酸ナトリウムからなる)を用い、68℃で洗浄することにより同定することができる条件をいう。

【0025】
さらに、上記DNAに対するRNA(配列番号3)、又は該RNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができるRNAであってガレクチン活性を有するタンパク質をコードするRNAも本発明に含まれる。ガレクチン活性及びストリンジェントな条件の意味は前記と同様である。

【0026】
なお、遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法や Gapped duplex法等の公知の手法又はこれに準ずる方法により、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて行うことができる。

【0027】
本発明の遺伝子は、N末端領域にβガラクトースと結合する特徴的なアミノ酸の連続配列(配列番号1の82位から88位)、及びC末端領域に同様なアミノ酸の連続配列(配列番号1の275位から281位)を有することを特徴とする、ニジマスガレクチンのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有している。

【0028】
一旦本発明の遺伝子の塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、又はcDNAを鋳型としたPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることにより、本発明の遺伝子を得ることができる。

【0029】
2.組換えベクター及び形質転換体の作製
(1) 組換えベクターの作製
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明の遺伝子を連結(挿入)することにより得ることができる。本発明の遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミド DNA、ファージ DNA等が挙げられる。

【0030】
プラスミド DNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322, pBR325,pUC118, pUC119, pUC18, pUC19等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110,pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13, YEp24, YCp50等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。

【0031】
ベクターに本発明の遺伝子を挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクター DNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。

【0032】
本発明の遺伝子は、その遺伝子の機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、本発明のベクターには、プロモーター、本発明の遺伝子のほか、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)などを含有するものを連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。

【0033】
(2) 形質転換体の作製
本発明の形質転換体は、本発明の組換えベクターを、目的遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。ここで、宿主としては、本発明のDNAを発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)等のリゾビウム属に属する細菌が挙げられ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomycescerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等の酵母が挙げられ、COS細胞、CHO細胞等の動物細胞が挙げられ、あるいはS121等の昆虫細胞が挙げられる。

【0034】
大腸菌等の細菌を宿主とする場合は、本発明の組換えベクターが該細菌中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、本発明の遺伝子、転写終結配列により構成されていることが好ましい。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。

【0035】
大腸菌としては、例えばエッシェリヒア・コリ(Escherichia coli) DH1などが挙げられ、枯草菌としては、例えばバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

【0036】
プロモーターは、大腸菌等の宿主中で発現できるものであればいずれを用いてもよい。例えばtrpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーターなどの、大腸菌やファージに由来するプロモーターが用いられる。tacプロモーターなどのように、人為的に設計改変されたプロモーターを用いてもよい。

【0037】
細菌への組換えベクターの導入方法は、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法[Cohen, S.N.et al.:Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69:2110(1972)]、エレクトロポレーション法等が挙げられる。

【0038】
酵母を宿主とする場合は、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomycescerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)などが用いられる。この場合、プロモーターは酵母中で発現できるものであれば特に限定されず、例えばgal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーター等を用いることができる。

【0039】
酵母への組換えベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法[Becker, D.M. et al.:Methods. Enzymol., 194: 182(1990)]、スフェロプラスト法[Hinnen, A. et al.:Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 75: 1929(1978)]、酢酸リチウム法[Itoh, H.:J.Bacteriol., 153:163(1983)]等が挙げられる。

【0040】
動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞COS-7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞などが用いられる。プロモーターとしてSRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター等が用いられ、また、ヒトサイトメガロウイルスの初期遺伝子プロモーター等を用いてもよい。動物細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。

【0041】
昆虫細胞を宿主とする場合は、S121細胞などが用いられる。昆虫細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。

【0042】
(3) 本発明のタンパク質の生産
本発明のタンパク質は、本発明のガレクチン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列を有するもの、または該アミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸に前記変異が導入されたアミノ酸配列を有し、かつガレクチン活性を有するものである。なお、本発明のタンパク質をガレクチンタンパク質ともいう。

【0043】
本発明のガレクチンタンパク質は、前記形質転換体を培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。「培養物」とは、培養上清、あるいは培養細胞若しくは培養菌体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本発明の形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。

【0044】
大腸菌や酵母菌等の微生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。

【0045】
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等が挙げられる。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。

【0046】
培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、37℃で行う。なお、培地のpHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。

【0047】
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドール酢酸(IAA)等を培地に添加してもよい。

【0048】
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地として、一般に使用されているRPMI1640培地、DMEM培地又はこれらの培地に牛胎児血清等を添加した培地等が用いられる。培養は、通常、5%CO2存在下、37℃で1~30日行う。培養中は必要に応じてカナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。

【0049】
培養後、本発明のタンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は細胞を破砕することによりガレクチンタンパク質を抽出する。また、本発明のタンパク質が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から本発明のタンパク質を単離精製することができる。

【0050】
3.本発明の遺伝子を用いたニジマスガレクチンの検出方法及び検出用試薬
(1)本発明の遺伝子又はその断片のプローブとしての利用
本発明においては、上記のDNA又はRNAとハイブリダイズし、該DNA又はRNAを特異的に検出するプローブもニジマスガレクチンの検出用試薬として提供される。該プローブは、通常使用される放射性同位元素(例えば、32P、35S)、酵素(例えば、ディゴキシゲニン、フルオロレッセイン)、などにより標識され、通常のプロッティング分析、In situハイブリダイゼーションなどにより該DNA又はRNAと特異的にハイブリダイズし、検出させる。

【0051】
本発明においてプローブとして使用するDNA又はRNAは、配列番号1又は3に記載したDNA又はRNAの塩基配列のうち少なくとも一部を有するものである。プローブの長さは200~300塩基であるが、配列の全部を有するものであってもよく、特に限定されるものではない。本発明においては、配列番号1又は3の配列のうち、例えば第196~218番目の配列、第474~494番目の配列を好適に用いることができる。

【0052】

【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
〔実施例1〕ガレクチン遺伝子の単離
(a)cDNAライブラリーの構築
ニジマス頭腎組織から総RNAをグアニジウムチオシアネート-トリフルオロ酢酸セシウム法(Pharmacia RNA extraction Kit (Pharmacia))により抽出した後、総RNAから、ポリ(A)+RNAをオリゴ(dT)-セルロースカラム を使用して精製した。精製したポリ(A)+RNAをテンプレートとし、Cap Finder cDNA Synthesis Kit (Clontech)を用い、スピンカラムにて精製し、脱リン酸化することにより両末端にEcoRIサイトを有するcDNAを構築した。

【0053】
このcDNAをλgt11のEcoRIサイトにT4DNAリガーゼを用い連結させた。次にこのcDNAをインビトロパッケージングキット(Gigapack III Gold Pakaging Extraction Kit (Stratagene))を使用し、インビトロパッケージングを行い、cDNAライブラリーを構築した。

【0054】
(b)cDNAライブラリーからの新規ガレクチン遺伝子のスクリーニング
(a)に記載したλgtll中に構築したニジマス頭腎cDNAライブラリーを宿主菌大腸菌Y1088に感染させ、プラークを形成させた。すなわち、Y1088株を0.2%マルトース及び10mM MgCl2を含むL培地で6-8時間培養後、集菌し、10mM MgSO4に吸光度0.5OD(600nm)となるように懸濁した。この細胞懸濁液とファージ液とを混合し、37℃で15分間インキュベートすることによりファージを宿主菌に吸着させた。これに0.7%軟寒天を加え、Lプレート上に広げた(上記の操作を以後「プレーティング」と称す)。単一プラークが形成されるように希釈してプレーティングし、単離した組換え体ファージを得た。プラークを少量分取し、SM溶液に分散させ、この一部をテンプレートに用いた。

【0055】
(c)PCRによるλgt11に組み込んだ遺伝子の増幅と塩基配列の決定
ニジマス頭腎由来のcDNAを組み込んだλgt11のcDNA領域をλgt11用プライマー(Takara)でPCRを行い増幅させた。PCRは、以下の組成を有する反応液を用い、はじめに1回だけ94℃5分反応させた後、94℃で1分、55℃で1分及び72℃で1分のサイクルを1サイクルとしてこれを35サイクル行った。

【0056】
反応液の組成:PCR産物はエチジウムブロマイド存在下アガロースゲル電気泳動を行い、産物のサイズを調べた。また、PCR産物は遠心式の限外濾過器(ウルトラフリーC3TK(Millipore))を用いて精製後、DNAシークエンシングキット(Applied Biosystems)を使用し蛍光シークエンサModel310(Applied Biosystem)を用いて塩基配列を決定した。

【0057】
(d)挿入断片の塩基配列決定
前項(c)で調製したλgt11のcDNA領域のPCR産物をEcoRIとSau3AIで分解し、この分解産物をアガロース電気泳動により分離精製を行った。この精製物をベクターpUC18のマルチクローニングサイトのEcoRI-BamHIまたはBamHIサイトに挿入し、これらの組み換え体pUC18を大腸菌JM109に形質転換させた。形質転換した大腸菌の各クローンの挿入部分をPCR反応により増幅した。このPCR産物を遠心式の限外濾過器(ウルトラフリーC3TK(Millipore))を用いて精製後、DNAシークエンシングキット(Applied Biosystems)を使用し、蛍光シークエンサModel310(Applied Biosystem)を用いて塩基配列を決定した。

【0058】
決定した塩基配列の全長は1565塩基対であり、その配列は配列番号1に記載した。GENBANK/EMBL DNAData Baseを使用し、配列番号1に記載した塩基配列を検索したが、同一の配列は存在しなかった。従って、この塩基配列を有するDNAは全く新規なものであることが認められた。

【0059】
配列番号1に記載した上記のクローンのcDNAの塩基配列は、3’非翻訳配列と共に推定355アミノ酸残基のオープンリーディングフレームを有していた。開始コドンは塩基番号69-71に位置し、停止コドンは塩基番号1092-1094に存在する。このオープンリーディングフレームは、配列番号2に記載した341アミノ酸からなる配列をコードしており、N末端領域の82番目から88番目の領域のアミノ酸配列(WGTEERK;配列番号4)、及びC末端領域の275番目から281番目の領域のアミノ酸配列(WGKEERS:配列番号5)など、βガラクトースに結合すると考えられる領域が存在することが認められた。

【0060】
図1に示すようにニジマスガレクチンのアミノ酸配列(Fish)と公知のガレクチンファミリーのアミノ酸配列(Rat)との相同性を調査した結果、ニジマスガレクチンは公知のガレクチンファミリーと高い相同性を示した。アミノ酸レベルではマウスのガレクチン9に最も高い相同性(46%)を示し、核酸レベルではラットのガレクチン9に最も高い相同性(64%)を示した。特に、上述したように、βガラクトースに結合すると考えられる部位の配列が良く保存されている。なお、図1において、アミノ酸配列は1文字で表記しており、また、下線部はガラクトース結合部位を表す。

【0061】
〔実施例2〕遺伝子発現
(1) プローブの作製
実施例1(c)項に記載したPCR産物をpGEM-T EASY ベクター(Promega)に組み込み、これを利用して大腸菌を形質転換させた。菌を増殖後プラスミドを精製し、プローブを作製する際のテンプレートとした。遺伝子解析ソフト(GENETYXMACv9.0)を用いて以下の配列を有するプライマーを設計した。
5'-TCCATGTGAA TTTGCAGTGT GGT-3'(配列番号6)
5'-CAACTCCACT TTCCCATCGG C-3'(配列番号7)
上記プライマー及びPCR DIG Probe Synthesis Kit(BOEHRINGER MANNHEIM)を用いて、配列番号1に記載したニジマスガレクチンcDNAのN末端側をコードする299bp断片を増幅するとともにDIG(ディゴキシゲニン)標識し、これをプローブとして用いた。

【0062】
(2) 組織での発現
ニジマス各組織(頭腎、脾臓、胸腺、肝臓、心臓、脳、眼、腸、表皮、筋肉、卵巣、血液、鰓、鰭及び浮袋)由来のtotal RNAをプロットしてあるナイロンメンブレン(BOEHRINGER MANNHEIM)に対し、DIG標識した、(a)項に記載のPCR産物をプローブとして用いてハイブリダイゼーションを行った。2XSSC(0.30M NaCl、0.030M trisodiumcitrate-2H2O、pH7.0)で洗浄したナイロンメンブレンフィルターをDIG Easy Hyb溶液(BOEHRINGER MANNHEIM)中で穏やかに攪拌しながら、3時間プレハイブリダイズした。次に新たにDIG EasyHyb溶液に熱変性したプローブを加えたハイブリダイジング溶液と交換し、37℃で1晩ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション完了後、0.1%SDS含有2×SSC溶液を用いて、室温で5分間の条件で2回洗浄した。次にフィルターを同溶液中に68℃、15分間の条件で2回洗浄した。このフィルターを0.3% tween-20を含有した緩衝液(0.15M NaCl, 0.1M マレイン酸, pH7.5)で室温、5分間洗浄後、アルカリフォスファターゼ標識抗DIG抗体とCSPD (Disodium 3-(4-methoxyspiro (1,2-dioxetane-3,2'-(5'-chloro)tricyclo(3.3.1.13,7)decan)-4-yl)phenyl phosphate)を用いた化学発光検出キット(BOEHRINGER MANNHEIM)により、フィルター上におけるDIG標識されたプローブの検出を行った。その結果、ガレクチン遺伝子の転写産物のサイズは、何れの組織でも約1.7kbであり、調べた組織中、頭腎、脾臓、胸腺で高い発現を認めた(図2)。

【0063】
〔実施例3〕ガレクチンタンパク質の生産
(a) 発現ベクターの作製
大腸菌と原核細胞発現用ベクターであるpRSET Cベクター(Invitrogen)を用いてニジマスガレクチンの発現を試みた。先ず、ベクターへの挿入断片の作製のために、ニジマスガレクチン遺伝子のコーディング領域を含み、またベクターのフレームに合う増幅断片を得るために以下のプライマーを設計した。
センスプライマー: 5' CGGGATCCAAATGGCATTTTACAACCAGGAAC 3'(配列番号8)
BamHI
アンチセンスプライマー: 5' CCCAAGCTTCTAAACCATCACAGAGGTCAAACT 3'(配列
Hind III 番号9)

【0064】
ベクターへのライゲーションを簡便にするため上記センスプライマーとアンチセンスプライマーの上流側にそれぞれBamHI及びHind IIIの制限酵素消化サイトを付加した(下線部)。ラムダgt11ファージから上記一組のプライマーとExtaqポリメラーゼ(TaKaRa)を用いてPCRを行った。PCRの条件は、プライマーを変えたことを除いて実施例1、(c)に記載の条件(ラムダgt11ファージからガレクチン遺伝子を増幅させたときの条件)と同じ条件で行った。

【0065】
PCR反応終了後、PCR産物とpRSET CベクターのBamH Iサイト及びHind IIIサイトを各制限酵素で消化した。QIAEX IIkit (QIAGEN)を用いてそれぞれの消化産物をゲル抽出した後、T4リガーゼによりライゲーションした。

【0066】
(b) 挿入断片(ガレクチン遺伝子)の塩基配列の確認
上記ガレクチン遺伝子を挿入したpRSET Cベクターを用いて、サブクローニング用宿主大腸菌XL1-Blue株(STRATAGENE)を形質転換した。宿主大腸菌からプラスミドを調製し、挿入断片の塩基配列解析を行った結果、正しいガレクチン遺伝子の塩基配列がフレームに合致して挿入されていることを確認した。

【0067】
(c) 形質転換体の作製及びニジマスガレクチンのタンパク質の生産
上記ガレクチン遺伝子を挿入したpRSET Cベクターを用いて、タンパク質発現用宿主大腸菌BL21(DE3)pLysS株(Invitrogen)を形質転換した。すなわち、大腸菌コンピテントセルとプラスミドを混和後、氷上で30分、42℃で1分、37℃で2分の温度処理を行い、SOC培地に浮遊して37℃で1時間インキュベートした。その後50μg/mlアンピシリンを添加したLB寒天培地上に播種し、形質転換させた大腸菌コロニーを得た。

【0068】
50μg/mlアンピシリン、34μg/mlクロラムフェニコールを添加したLB培地で形質転換した大腸菌を37℃で培養し、培養液のタンパク質濃度が0.6OD(600nm)に達した時点で最終濃度1mMのIPTGを添加した。IPTGを添加して4時間後に3mlの培養液を5,000×g、10分間、4℃で遠心し大腸菌を沈殿させた。ペレットを3mlのMEPBS(58mM Na2HPO4, 18mM KH2PO4, 75mM NaCl, 2mM EDTA, 4mM 2-βメルカプトエタノール, 1mM PMSF(phenylmethylsulphonyl fluoride))に再浮遊し、菌体を超音波破砕した。菌体破砕液を20,000×g、30分間、4℃で遠心し、上清をラクトースアガロース(SIGMA)をつめた2mlカラムに添加し、ラクトース結合性のタンパク質を吸着させた。カラムをMEPBSで3回洗浄後、カラム内のラクトースアガロースを可溶化用緩衝液(lysis buffer)(100mM NaCl, 50mM Na2HPO4, 10mM Tris-HCl, 8M Urea, pH 8.0)に浮遊させ、続いて試料用緩衝液(2ME+)(WAKO)を添加した。

【0069】
ラクトース結合性のタンパク質をSDS-PAGE電気泳動に供試し、目的のタンパク質の検出を行った(図3)。図3において、各レーンは以下の通りである。
レーン1:宿主大腸菌BL21株可溶化物
レーン2:ガレクチン組み換え宿主大腸菌BL21株可溶化物
レーン3:ラクトースアフィニティカラムを用いて精製されたガレクチン

【0070】
レーン2においては、レーン1に認められないガレクチン分子(予想サイズ約38kDa)のバンドが認められた。レーン3においては、ガレクチンと考えられるタンパク質がラクトースカラムによって精製されたこと(すなわち、本発明のタンパク質がラクトースに結合したこと)を示している。なお、他のタンパク質の遺伝子をpRSET Cベクターに組み込み、同様な方法により発現させたタンパク質をラクトースアフィニティにより精製した場合には、ラクトース結合性のタンパク質が得られなかった。

【0071】

【発明の効果】本発明により、ニジマスガレクチン、該ガレクチンをコードする遺伝子が提供される。本発明の遺伝子は、魚類免疫機構を解明するための研究用試薬又は魚病の診断用試薬として有用である。

【0072】

【配列表】
SEQUENCE LISTING
<110> Director General,National Research Institute of Aquaculture,Fisher
ies Agency,Ministry of Agriculture,Forestory and Fisheries
<120> A gene encoding Galectin
<130> P98-0427
<140>
<141>
<160> 9
<170> PatentIn Ver. 2.0
<210> 1
<211> 1565
<212> DNA
<213> Oncorhynchus mykiss
<220>
<221> CDS
<222> (69)..(1091)
<400> 1
ttctcgtact gagaagagag tgttgagcaa ctgagaagac gtttcgattt actgtgagat 60
ttggagaa atg gca ttt tac aac cag gaa cct ttt tat aat ccg agt ctc 110
Met Ala Phe Tyr Asn Gln Glu Pro Phe Tyr Asn Pro Ser Leu
1 5 10
cct ttc acc ggc tca atc caa ggt ggg ctt cag gag ggg aag acc atc 158
Pro Phe Thr Gly Ser Ile Gln Gly Gly Leu Gln Glu Gly Lys Thr Ile
15 20 25 30
act atc act ggg aga gtt cac cat ggg gca gac agg ttc cat gtg aat 206
Thr Ile Thr Gly Arg Val His His Gly Ala Asp Arg Phe His Val Asn
35 40 45
ttg cag tgt ggt tct agg gca ggg gca gac att gcc ctt cac ttc aat 254
Leu Gln Cys Gly Ser Arg Ala Gly Ala Asp Ile Ala Leu His Phe Asn
50 55 60
cca cgc tat gac agt cac cct gga tat gtg gtg acc aac acc ttg cag 302
Pro Arg Tyr Asp Ser His Pro Gly Tyr Val Val Thr Asn Thr Leu Gln
65 70 75
caa tcc aaa tgg ggg aca gag gag cgg aag cag cat tcc ccc ttc caa 350
Gln Ser Lys Trp Gly Thr Glu Glu Arg Lys Gln His Ser Pro Phe Gln
80 85 90
cgt ggc tcc agc ttc agc ctc gag ata act gtc cag agg gac ttc ttc 398
Arg Gly Ser Ser Phe Ser Leu Glu Ile Thr Val Gln Arg Asp Phe Phe
95 100 105 110
cag ttg aaa gtg aat ggg aac cat ttc atg acc ttc aag cac cga atc 446
Gln Leu Lys Val Asn Gly Asn His Phe Met Thr Phe Lys His Arg Ile
115 120 125
ccg ttt tac tca gtg gac acc atc tca gcc gat ggg aaa gtg gag ttg 494
Pro Phe Tyr Ser Val Asp Thr Ile Ser Ala Asp Gly Lys Val Glu Leu
130 135 140
acc tcc atc gtc ttc cag aac cct gcg ccc acc att cct gca cag cca 542
Thr Ser Ile Val Phe Gln Asn Pro Ala Pro Thr Ile Pro Ala Gln Pro
145 150 155
gga ttt ccg gca caa cct gga ttc cct tct tat ccg gga ttt ccg gcc 590
Gly Phe Pro Ala Gln Pro Gly Phe Pro Ser Tyr Pro Gly Phe Pro Ala
160 165 170
caa cca gga ttc cct tct tat ccg gga ttt ccg gca caa cca gga ttc 638
Gln Pro Gly Phe Pro Ser Tyr Pro Gly Phe Pro Ala Gln Pro Gly Phe
175 180 185 190
cct tct tgt ccg gga ttt ccg gga caa cca gga ttc cct tat cca gga 686
Pro Ser Cys Pro Gly Phe Pro Gly Gln Pro Gly Phe Pro Tyr Pro Gly
195 200 205
ttt ccc gca caa cca gct gtt cca tac aag aac atg atc aat gga gga 734
Phe Pro Ala Gln Pro Ala Val Pro Tyr Lys Asn Met Ile Asn Gly Gly
210 215 220
ctc tac cct gga cgc acc atc aac atc cag gga gtg gtt aac ccc aat 782
Leu Tyr Pro Gly Arg Thr Ile Asn Ile Gln Gly Val Val Asn Pro Asn
225 230 235
gcc aat agg ttc cac att aac cta ctg ttc aac tct ggg att gcg ctg 830
Ala Asn Arg Phe His Ile Asn Leu Leu Phe Asn Ser Gly Ile Ala Leu
240 245 250
cac ttc aac ccc cga ttt gac gag acc cta gtg gta cgc aac agc aag 878
His Phe Asn Pro Arg Phe Asp Glu Thr Leu Val Val Arg Asn Ser Lys
255 260 265 270
ctg aga gac cag tgg gga aag gag gag cgc tct ggt gga atg ccc ttc 926
Leu Arg Asp Gln Trp Gly Lys Glu Glu Arg Ser Gly Gly Met Pro Phe
275 280 285
cac agg ggc cag gcc ttc acg ctg tct att acc tgt gat gcg cag tgc 974
His Arg Gly Gln Ala Phe Thr Leu Ser Ile Thr Cys Asp Ala Gln Cys
290 295 300
tac aag ata gtg gtc aac ggg aat cag acg agc acc tac aaa cac cgc 1022
Tyr Lys Ile Val Val Asn Gly Asn Gln Thr Ser Thr Tyr Lys His Arg
305 310 315
cac acc ctc ctc cag cag gtc aac atc ctg gag gtg gat gga gac ctc 1070
His Thr Leu Leu Gln Gln Val Asn Ile Leu Glu Val Asp Gly Asp Leu
320 325 330
agt ttg acc tct gtg atg gtt tagtgctgtg ggtcacaact gtctttggtg 1121
Ser Leu Thr Ser Val Met Val
335 340
acctagccac ttgtttcatc tgacccaaac catttgtatt ttttgatctc ttcttgctat 1181
gataaaaatg acatgaactt tgttttttta ctgctttcac tgcctgttag attatctcac 1241
ttgcaaatgt attatcagtc agtgctgtgc catcaacttc gaggatgaga aatgtattcc 1301
tgtttgttat aaatcacagt agaaagccat cagaaatcat attgattgct ttagccatca 1361
tttttgtagc gctagacata ttcttaaatc attattattt ttttgtgata taatgccaga 1421
cctgatgtta cctatcatga gaagtaccct gaggacatta attctgataa ttccatatgc 1481
ctgataattc catatgtagc cttgttcatc accagagtct ctatgctcgt ttctataaaa 1541
gtctgaagat atatacaaaa aaaa 1565
<210> 2
<211> 341
<212> PRT
<213> Oncorhynchus mykiss
<400> 2
Met Ala Phe Tyr Asn Gln Glu Pro Phe Tyr Asn Pro Ser Leu Pro Phe
1 5 10 15
Thr Gly Ser Ile Gln Gly Gly Leu Gln Glu Gly Lys Thr Ile Thr Ile
20 25 30
Thr Gly Arg Val His His Gly Ala Asp Arg Phe His Val Asn Leu Gln
35 40 45
Cys Gly Ser Arg Ala Gly Ala Asp Ile Ala Leu His Phe Asn Pro Arg
50 55 60
Tyr Asp Ser His Pro Gly Tyr Val Val Thr Asn Thr Leu Gln Gln Ser
65 70 75 80
Lys Trp Gly Thr Glu Glu Arg Lys Gln His Ser Pro Phe Gln Arg Gly
85 90 95
Ser Ser Phe Ser Leu Glu Ile Thr Val Gln Arg Asp Phe Phe Gln Leu
100 105 110
Lys Val Asn Gly Asn His Phe Met Thr Phe Lys His Arg Ile Pro Phe
115 120 125
Tyr Ser Val Asp Thr Ile Ser Ala Asp Gly Lys Val Glu Leu Thr Ser
130 135 140
Ile Val Phe Gln Asn Pro Ala Pro Thr Ile Pro Ala Gln Pro Gly Phe
145 150 155 160
Pro Ala Gln Pro Gly Phe Pro Ser Tyr Pro Gly Phe Pro Ala Gln Pro
165 170 175
Gly Phe Pro Ser Tyr Pro Gly Phe Pro Ala Gln Pro Gly Phe Pro Ser
180 185 190
Cys Pro Gly Phe Pro Gly Gln Pro Gly Phe Pro Tyr Pro Gly Phe Pro
195 200 205
Ala Gln Pro Ala Val Pro Tyr Lys Asn Met Ile Asn Gly Gly Leu Tyr
210 215 220
Pro Gly Arg Thr Ile Asn Ile Gln Gly Val Val Asn Pro Asn Ala Asn
225 230 235 240
Arg Phe His Ile Asn Leu Leu Phe Asn Ser Gly Ile Ala Leu His Phe
245 250 255
Asn Pro Arg Phe Asp Glu Thr Leu Val Val Arg Asn Ser Lys Leu Arg
260 265 270
Asp Gln Trp Gly Lys Glu Glu Arg Ser Gly Gly Met Pro Phe His Arg
275 280 285
Gly Gln Ala Phe Thr Leu Ser Ile Thr Cys Asp Ala Gln Cys Tyr Lys
290 295 300
Ile Val Val Asn Gly Asn Gln Thr Ser Thr Tyr Lys His Arg His Thr
305 310 315 320
Leu Leu Gln Gln Val Asn Ile Leu Glu Val Asp Gly Asp Leu Ser Leu
325 330 335
Thr Ser Val Met Val
340
<210> 3
<211> 1565
<212> RNA
<213> Oncorhynchus mykiss
<220>
<221> CDS
<222> (69)..(1091)
<400> 3
uucucguacu gagaagagag uguugagcaa cugagaagac guuucgauuu acugugagau 60
uuggagaa aug gca uuu uac aac cag gaa ccu uuu uau aau ccg agu cuc 110
Met Ala Phe Tyr Asn Gln Glu Pro Phe Tyr Asn Pro Ser Leu
1 5 10
ccu uuc acc ggc uca auc caa ggu ggg cuu cag gag ggg aag acc auc 158
Pro Phe Thr Gly Ser Ile Gln Gly Gly Leu Gln Glu Gly Lys Thr Ile
15 20 25 30
acu auc acu ggg aga guu cac cau ggg gca gac agg uuc cau gug aau 206
Thr Ile Thr Gly Arg Val His His Gly Ala Asp Arg Phe His Val Asn
35 40 45
uug cag ugu ggu ucu agg gca ggg gca gac auu gcc cuu cac uuc aau 254
Leu Gln Cys Gly Ser Arg Ala Gly Ala Asp Ile Ala Leu His Phe Asn
50 55 60
cca cgc uau gac agu cac ccu gga uau gug gug acc aac acc uug cag 302
Pro Arg Tyr Asp Ser His Pro Gly Tyr Val Val Thr Asn Thr Leu Gln
65 70 75
caa ucc aaa ugg ggg aca gag gag cgg aag cag cau ucc ccc uuc caa 350
Gln Ser Lys Trp Gly Thr Glu Glu Arg Lys Gln His Ser Pro Phe Gln
80 85 90
cgu ggc ucc agc uuc agc cuc gag aua acu guc cag agg gac uuc uuc 398
Arg Gly Ser Ser Phe Ser Leu Glu Ile Thr Val Gln Arg Asp Phe Phe
95 100 105 110
cag uug aaa gug aau ggg aac cau uuc aug acc uuc aag cac cga auc 446
Gln Leu Lys Val Asn Gly Asn His Phe Met Thr Phe Lys His Arg Ile
115 120 125
ccg uuu uac uca gug gac acc auc uca gcc gau ggg aaa gug gag uug 494
Pro Phe Tyr Ser Val Asp Thr Ile Ser Ala Asp Gly Lys Val Glu Leu
130 135 140
acc ucc auc guc uuc cag aac ccu gcg ccc acc auu ccu gca cag cca 542
Thr Ser Ile Val Phe Gln Asn Pro Ala Pro Thr Ile Pro Ala Gln Pro
145 150 155
gga uuu ccg gca caa ccu gga uuc ccu ucu uau ccg gga uuu ccg gcc 590
Gly Phe Pro Ala Gln Pro Gly Phe Pro Ser Tyr Pro Gly Phe Pro Ala
160 165 170
caa cca gga uuc ccu ucu uau ccg gga uuu ccg gca caa cca gga uuc 638
Gln Pro Gly Phe Pro Ser Tyr Pro Gly Phe Pro Ala Gln Pro Gly Phe
175 180 185 190
ccu ucu ugu ccg gga uuu ccg gga caa cca gga uuc ccu uau cca gga 686
Pro Ser Cys Pro Gly Phe Pro Gly Gln Pro Gly Phe Pro Tyr Pro Gly
195 200 205
uuu ccc gca caa cca gcu guu cca uac aag aac aug auc aau gga gga 734
Phe Pro Ala Gln Pro Ala Val Pro Tyr Lys Asn Met Ile Asn Gly Gly
210 215 220
cuc uac ccu gga cgc acc auc aac auc cag gga gug guu aac ccc aau 782
Leu Tyr Pro Gly Arg Thr Ile Asn Ile Gln Gly Val Val Asn Pro Asn
225 230 235
gcc aau agg uuc cac auu aac cua cug uuc aac ucu ggg auu gcg cug 830
Ala Asn Arg Phe His Ile Asn Leu Leu Phe Asn Ser Gly Ile Ala Leu
240 245 250
cac uuc aac ccc cga uuu gac gag acc cua gug gua cgc aac agc aag 878
His Phe Asn Pro Arg Phe Asp Glu Thr Leu Val Val Arg Asn Ser Lys
255 260 265 270
cug aga gac cag ugg gga aag gag gag cgc ucu ggu gga aug ccc uuc 926
Leu Arg Asp Gln Trp Gly Lys Glu Glu Arg Ser Gly Gly Met Pro Phe
275 280 285
cac agg ggc cag gcc uuc acg cug ucu auu acc ugu gau gcg cag ugc 974
His Arg Gly Gln Ala Phe Thr Leu Ser Ile Thr Cys Asp Ala Gln Cys
290 295 300
uac aag aua gug guc aac ggg aau cag acg agc acc uac aaa cac cgc 1022
Tyr Lys Ile Val Val Asn Gly Asn Gln Thr Ser Thr Tyr Lys His Arg
305 310 315
cac acc cuc cuc cag cag guc aac auc cug gag gug gau gga gac cuc 1070
His Thr Leu Leu Gln Gln Val Asn Ile Leu Glu Val Asp Gly Asp Leu
320 325 330
agu uug acc ucu gug aug guu uagugcugug ggucacaacu gucuuuggug 1121
Ser Leu Thr Ser Val Met Val
335 340
accuagccac uuguuucauc ugacccaaac cauuuguauu uuuugaucuc uucuugcuau 1181
gauaaaaaug acaugaacuu uguuuuuuua cugcuuucac ugccuguuag auuaucucac 1241
uugcaaaugu auuaucaguc agugcugugc caucaacuuc gaggaugaga aauguauucc 1301
uguuuguuau aaaucacagu agaaagccau cagaaaucau auugauugcu uuagccauca 1361
uuuuuguagc gcuagacaua uucuuaaauc auuauuauuu uuuugugaua uaaugccaga 1421
ccugauguua ccuaucauga gaaguacccu gaggacauua auucugauaa uuccauaugc 1481
cugauaauuc cauauguagc cuuguucauc accagagucu cuaugcucgu uucuauaaaa 1541
gucugaagau auauacaaaa aaaa 1565
<210> 4
<211> 7
<212> PRT
<213> Oncorhynchus mykiss
<400> 4
Trp Gly Thr Glu Glu Arg Lys
1 5
<210> 5
<211> 7
<212> PRT
<213> Oncorhynchus mykiss
<400> 5
Trp Gly Lys Glu Glu Arg Ser
1 5
<210> 6
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Oligonucleotide designed based on the sequence of SEQ ID NO 2.
<400> 6
tccatgtgaa tttgcagtgt ggt 23
<210> 7
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Oligonucleotide designed based on the sequence of SEQ ID NO 2.
<400> 7
caactccact ttcccatcgg c 21
<210> 8
<211> 32
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic DNA
<400> 8
cgggatccaa atggcatttt acaaccagga ac 32
<210> 9
<211> 33
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic DNA
<400> 9
cccaagcttc taaaccatca cagaggtcaa act 33

【0073】

【配列表フリーテキスト】配列番号6:配列番号2の配列に基づいて設計したオリゴヌクレオチド。
配列番号7:配列番号2の配列に基づいて設計したオリゴヌクレオチド。
配列番号8:合成DNA。
配列番号9:合成DNA。
図面
【図2】
0
【図3】
1
【図1】
2