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明細書 :バイオセンサー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3416726号 (P3416726)
公開番号 特開2001-091491 (P2001-091491A)
登録日 平成15年4月11日(2003.4.11)
発行日 平成15年6月16日(2003.6.16)
公開日 平成13年4月6日(2001.4.6)
発明の名称または考案の名称 バイオセンサー
国際特許分類 G01N 27/327     
G01N 27/333     
FI G01N 27/30 351
G01N 27/30
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願平11-268649 (P1999-268649)
出願日 平成11年9月22日(1999.9.22)
審査請求日 平成11年9月22日(1999.9.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501167644
【氏名又は名称】独立行政法人農業生物資源研究所
発明者または考案者 【氏名】玉田 靖
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔 (外2名)
審査官 【審査官】黒田 浩一
参考文献・文献 特開 平8-152422(JP,A)
特開 平8-152409(JP,A)
特開 平6-128792(JP,A)
特開 平5-48176(JP,A)
特開 平5-256814(JP,A)
特開 平4-7385(JP,A)
特開 平4-262583(JP,A)
特開 平3-163886(JP,A)
特開 昭64-57152(JP,A)
特開 昭63-111428(JP,A)
特開 平8-152423(JP,A)
特表 平8-505123(JP,A)
特表 平2-501860(JP,A)
調査した分野 G01N 27/327
G01N 27/333
特許請求の範囲 【請求項1】
支持体、該支持体上に固定化された刺激応答性ハイドロゲル、並びに該刺激応答性ハイドロゲルにより固定化された、感覚組織由来の生体分子及び膜電位を他のシグナルに変換し得るトランスデューサーを含むリポソームを含むことを特徴とするバイオセンサー。

【請求項2】
前記刺激応答性ハイドロゲルが、水素イオン濃度又は温度に応答して相転移するものである請求項1記載のバイオセンサー。

【請求項3】
前記感覚組織が昆虫由来の嗅覚組織又は味覚組織である請求項1記載のバイオセンサー。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明はバイオセンサーに関し、より詳細には、感覚組織の生体分子を利用したバイオセンサーに関する。

【0002】

【従来の技術】バイオセンサーは、生物学的な特異認識手段と、その認識シグナルを検出可能なシグナルに変換するためのトランスデューサーからなるデバイスと定義されている。生物学的な認識手段としては、基質と酵素の認識反応、抗原-抗体反応等における酵素、抗原、抗体等が古くからよく利用されており、また、近年、生物系において視覚、嗅覚又は味覚などの感覚認識反応カスケードに含まれるレセプターを利用することが開示されている。また、トランスデューサーとしては、古くから酸素電極や水素イオン電極のような電極が中心に用いられ、近年では、水晶発振子微量天秤、音響デバイス、表面プラズモン共鳴、フェルスター・エネルギー転移等の利用が試みられている。

【0003】
さらに、バイオセンサー構築のためのもう一つの重要な点は、上述の酵素、抗原、抗体、レセプター等の生物学的認識機能発現分子(以下「認識生体分子」という。)とトランスデューサーの有機的な結合を実現することである。そのための技術として、合成高分子系膜又は天然高分子系膜に認識生体分子を包埋するか、又は化学的に固定化し、これをトランスデューサーに物理吸着させるか、又は化学吸着させることにより認識生体分子を結合する各種の技術が古くから開発されている。また、近年、ラングミュアー・ブロジェット膜を利用した平面脂質膜を利用して認識生体分子をトランスデューサーに結合する技術が開示されている。

【0004】
上記のようなバイオセンサーは、その生物学的な特異認識機能により特異分子をセンシングすることができるため、食品分野における食品の分析や工程管理、工場廃液等の環境分析、ヒトや動物の診断、生化学的研究における分析等に広く利用されている。しかし、従来のバイオセンサーでは、認識生体分子として酵素や抗体・抗原を利用しているため、その利用認識範囲が制限される。従って、従来の技術では、生体が具備する特有の優れた感覚機能、すなわち、微量の刺激物質を特異的に識別検知する機能を利用したバイオセンサーを構築する事は困難である。近年、脂質二重膜とレセプターを利用する試みも開示されているが、膜調製等に複雑な技術が要求されるなど、不都合な点も指摘される。また、従来の固定膜を利用したバイオセンサーでは、使用により又は経時的に、認識生体分子の失活により機能に不都合が生じた場合、センサー部すべてを交換しなくてはならないため、経済的に不利である。

【0005】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れた生体感覚機能を利用でき、かつ高感度であるバイオセンサーを提供することにある。本発明のさらなる目的は、製造が容易であり、かつ経済的であるバイオセンサーを提供することにある。

【0006】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、感覚組織由来の生体分子をセンサー端子として使用することにより、優れた生体感覚機能を利用したバイオセンサーを製造することができることを見出した。さらに、刺激応答性ハイドロゲルによりセンサー端子を支持体に固定化することによりバイオセンサーの製造及びセンサー端子の交換を簡便に行うことができることを見出し、本発明をするに至った。

【0007】
すなわち、本発明は、支持体、該支持体上に固定化された刺激応答性ハイドロゲル、並びに該刺激応答性ハイドロゲルにより固定化された、感覚組織由来の生体分子及び膜電位を他のシグナルに変換し得るトランスデューサーを含むリポソームを含むことを特徴とするバイオセンサーを提供する。前記支持体は、好ましくは透明支持体、より好ましくは光ファイバーである。前記刺激応答性ハイドロゲルは、好ましくは水素イオン濃度又は温度に応答して相転移するものであり、より好ましくはN-イソプロピルアクリルアミド重合物である。前記感覚組織は昆虫由来のものであることが好ましく、また、嗅覚組織又は味覚組織であることが好ましい。感覚組織由来の前記生体分子は感覚組織抽出物であることが好ましく、該感覚組織抽出物は、好ましくは感覚組織を界面活性剤を含む緩衝液で抽出することにより得られる抽出液である。前記トランスデューサーは膜電位感受性蛍光色素であることが好ましい。

【0008】
さらに、本発明は、センサー端子及び刺激応答性ハイドロゲルを含むバイオセンサーを提供する。前記刺激応答性ハイドロゲルは、好ましくは水素イオン濃度又は温度に応答して相転移するものであり、より好ましくはN-イソプロピルアクリルアミド重合物である。さらに、本発明は、感覚組織由来の生体分子及び膜電位を他のシグナルに変換し得るトランスデューサーを含むリポソームを提供する。前記感覚組織は昆虫由来のものであることが好ましく、また、嗅覚組織又は味覚組織であることが好ましい。感覚組織由来の前記生体分子は感覚組織抽出物であることが好ましく、該感覚組織抽出物は、好ましくは感覚組織を界面活性剤を含む緩衝液で抽出することにより得られる抽出液である。前記トランスデューサーは膜電位感受性蛍光色素であることが好ましい。

【0009】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明のバイオセンサーは、感覚組織由来の生体分子をセンサー端子として含む。前記感覚組織は動物又は植物等のいずれの生物に由来するものでもよいが、好ましくは動物、より好ましくは昆虫に由来するものである。このような昆虫としては、例えば、センチニクバエ(Boettchersca periegrina)を挙げることができ、羽化後3~4日経過したものを用いることができる。また、前記感覚組織としては、視覚、嗅覚、味覚等に関わる組織を選択することができるが、化学受容系として嗅覚、味覚組織が好ましく、特に味覚組織が好ましい。 上記生体分子としては、例えば、感覚組織抽出物を用いることができる。該感覚組織抽出物は、組織抽出法として知られるいかなる方法によって調製してもよいが、好ましくは、感覚組織を界面活性剤を含む緩衝液で抽出することにより抽出液を調製する。前記緩衝液は好ましくはリン酸緩衝液であり、前記界面活性剤は好ましくはオクチルグリコシドである。また、この抽出操作は、通常0℃~37℃、好ましくは0℃~10℃で行い、用いる緩衝液のpHは、好ましくは6~8の中性領域とする。例えば、2%オクチルグリコシドを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中、4℃の温度で組織をホモジナイザーにより分散し、その後遠心処理により上清を集めることにより、感覚組織抽出物を調製することができる。

【0010】
また、上記生体分子をセンサー端子として使用する場合には、リポソームに封入して使用する。上記生体分子を含むリポソーム(以下「本発明のリポソーム」という。)の調製方法は、超音波法、液中乾燥法等の種々の既知の方法を用いることができるが、生体膜成分の再構成という観点からは、界面活性剤除去法が好ましい。界面活性剤除去法を用いる場合には、アゾレクチンのような脂質を含有する緩衝液に、感覚組織抽出物を添加したコール酸塩やオクチルグリコシド等の界面活性剤を含む緩衝溶液を混合し、十分攪拌した後に、界面活性剤を含まない緩衝液に対して透析することにより、感覚組織抽出物を含むリポソームを調製することができる。この場合、上記アゾレクチンの使用量は、最終濃度として10mg/ml~200mg/mlが適用できるが、好ましくは10mg/ml~40mg/mlを適用する。界面活性剤は用いる界面活性剤の種類により最適量が異なるが、上記コール酸塩を用いる場合には、好ましくは10mg/ml~400mg/ml、より好ましくは10mg/ml~80mg/mlである。上記緩衝液としては、感覚組織抽出液の活性を保持し、リポソームの形成を妨げないものであればいずれも用いることができるが、通常、リン酸緩衝液、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)緩衝液等を用いる。緩衝液のpHは、通常5~9、好ましくは6~8の中性領域が使用される。上記透析は、通常0℃~37℃、好ましくは0℃~10℃の温度で行う。さらに、本発明のリポソームには、必要に応じて、保存剤、安定剤等の添加物を含ませることができる。

【0011】
バイオセンサーに用いるトランスデューサーとしては、一般的には酸素電極や水素イオン電極のような電極が中心に用いられ、さらに、水晶発振子微量天秤、音響デバイス、表面プラズモン共鳴、フェルスター・エネルギー転移等もまた用いられる。本発明のバイオセンサーにおけるトランスデューサーとしては、膜電位を他のシグナルに変換することのできるものであればよく、特に限定されないが、蛍光色素を用いることが好ましく、これにより感覚組織由来生体分子からのシグナルを光学的に高感度かつ簡便に検出することが可能となる。上記蛍光色素としては、例えば、膜電位感受性蛍光色素が挙げられる。

【0012】
上記トランスデューサーのバイオセンサーへの組込みは、その機能を発揮できるいかなる方法によって行ってもよいが、特に、本発明のリポソーム中に含ませることが好ましい。トランスデューサーとして膜電位感受性蛍光色素を用いる場合には、例えば、上記のリポソーム調製において、感覚組織抽出液とともに膜電位感受性蛍光色素をアゾレクチン含有緩衝液中に添加することにより、本発明のリポソームを調製することができる。この場合の膜電位感受性蛍光色素の添加量は、リポソーム調製及び高感度検出のために適した量であればよいが、脂質溶液1mlあたり、好ましくは0.001mg~0.1mg、より好ましくは約0.01mgである。例えば、上記膜電位感受性蛍光色素としてDi-8-ANEPPS(フナコシ)を用いる場合には、脂質溶液1mlあたり0.005mg~0.05mg、好ましくは約0.01mgを用いることができる。

【0013】
本発明のリポソームは支持体上に固定化されるが、この固定化は刺激応答性ハイドロゲルを用いて行なう。刺激応答性のハイドロゲルとしては、例えば、溶液の水素イオン濃度に応答して相転移を示すもの、例えばアクリル酸重合物若しくはその共重合物、又は温度変化に応答して相転移を示すもの、例えばN-イソプロピルアクリルアミド重合物若しくはその共重合物を使用することができる。前記支持体は、当業者に公知のいかなる支持体であってもよいが、最終的に光学的検出方法によりシグナルを検出する場合には、光ファイバー等の透明支持体であることが好ましい。

【0014】
また、ハイドロゲルは、光ファイバー等の支持体に対して、物理吸着や化学的な結合により固定化され得るが、安定性の観点から化学的な結合による固定化が好ましい。化学的な結合方法は既知のいかなる方法を用いてもよい。例えば、光ファイバーのようなガラス表面を、末端にアミノ基、カルボン酸等の反応性官能基を有するシランカップリング剤、例えばアミノプロピルトリエトキシシランにより処理して、ガラス表面に反応性官能基を導入する。次いで、側鎖に酸クロリド、イソシアネート基等を有し、重合可能な不飽和二重結合をもつ化合物、例えばメタクリル酸クロリド、メタクロイルオキシエチルイソシアネート等を該ガラス表面に反応させて、該ガラス表面に重合開始点を導入する。さらに、このガラスを、ハイドロゲルを構成する単量体溶液中に浸せきして、アゾイソブチロニトリル、VA-44等の重合開始剤を添加することにより前記単量体をガラス表面にグラフト重合させて、ガラス表面にハイドロゲル層を化学的に固定化することができる。

【0015】
以上のようにして、本発明のリポソームをゾル状態のハイドロゲル中に混合し、pH変化や温度変化による該ハイドロゲルのゲル状態への相転移を行うことにより、支持体表面へ可逆的に固定化することができる。例えば、刺激応答性ハイドロゲルとしてポリN-イソプロピルアクリルアミドを用いる場合には、温度を変化させることにより32℃付近でゾル-ゲル転移が起こり、これを利用してリポソームの固定化と放出を自在に行なうことができる(図1)。従って、使用により又は経時的に機能的不都合が生じた場合、高価なセンサー部すべてを交換する必要はなく、ハイドロゲル層をゾル状態に転移させることにより簡便にリポソームのみを交換することができる。

【0016】
また、透明支持体として光ファイバーを用いる場合には、図2に示すようなバイオセンサーを構築することができる。このようなバイオセンサーにおいては、光ファイバーを通して励起光を蛍光色素を含有する本発明のリポソームに照射し、Na+イオンやグルコース等への刺激応答による蛍光強度変化を測定することができる。上述のような刺激応答性ハイドロゲルによる支持体表面への可逆的な固定化は、リポソーム以外のセンサー端子についても適用することができる。すなわち、本発明は、センサー端子及び刺激応答性ハイドロゲルを含むバイオセンサーをも提供するものである。前記センサー端子としては、リポソームに類似した粒状のセンサー端子であることが好ましい。

【0017】
このようなバイオセンサーにおいては、センサー端子をゾル状態のハイドロゲル中に混合し、pH変化や温度変化による該ハイドロゲルのゲル状態への相転移を行うことにより、支持体又はトランスデューサー表面へ可逆的に固定化することができる。従って、使用により又は経時的に機能的不都合が生じた場合、高価なセンサー部すべてを交換する必要はなく、ハイドロゲル層をゾル状態に転移させることにより簡便にセンサー端子のみを交換することができる。

【0018】
さらに、本発明のバイオセンサーには、必要に応じて、保存剤、安定剤等の添加物を含ませることができる。センサー端子として感覚組織由来生体分子を含む本発明のバイオセンサーは、塩化ナトリウム等のNa+イオン、グルコース、アミノ酸、脂質等を定量的に検出することができ、食品分析、環境分析、生物学的な基礎研究等におけるデバイスとして、又は医療用検査、診断、分析等におけるデバイスとして広く利用することができる。この場合において、分析の対象となる試料は液体であることが好ましい。固体試料について分析する場合には、適当な液体、例えば緩衝液で該固体試料を抽出処理し、その抽出液を本発明のバイオセンサーで分析することができる。気体試料について分析する場合には、そのままの状態で測定することができるが、適当な液体、例えば緩衝液中に該気体試料を通し、得られる溶液を本発明のバイオセンサーで分析することもできる。

【0019】
センサー端子として感覚組織由来生体分子を含む本発明のバイオセンサーによる分析を行うときの分析条件は、当業者であれば適切に設定することができる。例えば、通常は、20℃~40℃、好ましくは約37℃の温度で、pH6~8、好ましくは約7において分析することができる。分析時間は、通常数秒~数十秒であるが、分析時間を設定せずに、分析値を経時的に追跡することもできる。最終的なシグナルの検出は、当業者に公知の方法により行うことができる。例えば、トランスデューサーとして膜電位感受性蛍光色素を用いる場合には、感覚組織抽出物からのシグナルにより励起される蛍光強度を、公知の蛍光分光光度計によって測定することができる。この場合には、分析反応を蛍光検出装置中で行うことにより、経時的に測定値を得ることもできる。

【0020】

【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、これらの実施例は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
〔実施例1〕 生体感覚組織抽出物の調製
羽化後3~4日経過したセンチニクバエ(Boettchersca periegrina)の唇弁組織を実体顕微鏡下で採取した。この唇弁組織100mgを、2%の濃度でオクチルグリコシドを含むリン酸緩衝液(0.1M、pH7.4)2ml中、氷上でホモジナイザーを用いて分散させた。得られた分散液を15000rpm、4℃で20分間遠心分離して、上清を組織抽出液として得た。

【0021】
〔実施例2〕 リポソームの調製
アゾレクチンの2%コール酸塩を20mg/mlの濃度で含むMOPS緩衝液(100mM NaCl、10mM MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、0.1mM EDTA、pH7.4)2mlに、実施例1で得られた組織抽出液0.1mlを加え、さらに1mg/mlの濃度のDi-8-ANEPPS(フナコシ)エタノール溶液0.02mlを添加してよく混合した。次いで、4℃にてMOPS緩衝液に対して透析することにより、リポソーム溶液を調製した。

【0022】
〔実施例3〕 リポソームの刺激応答性
1mlのMOPS緩衝液に、実施例2で得られたリポソーム溶液0.1mlを添加し、蛍光分光光度計(日立製作所)内において25℃の一定温度下で10分間撹拌したのち、所定濃度のNaCl溶液又はグルコース溶液を添加し、蛍光強度変化を追跡した。得られた結果を表1にまとめる。また、ポリN-イソプロピルアクリルアミドゲルに、実施例2で得られたリポソーム溶液0.1mlを添加して、同様の反応を行った結果も表1に示した。

【0023】

【表1】
JP0003416726B2_000002t.gif【0024】表1に示す結果から、実施例1で得られる組織抽出物を含むバイオセンサーは、NaCl及びグルコースを味覚により検知することがわかる。

【0025】
〔実施例4〕 温度変化による粒子の固定化と放出
リポソームの固定化と放出挙動のモデル系として、ポリスチレン粒子を用いて、ポリN-イソプロピルアクリルアミド上での該粒子の固定化と放出挙動を、水晶発振子微量天秤を用いて調べた。まず、水晶発振子上にN-イソプロピルアクリルアミドをグラフト重合させた。これは、金蒸着された水晶発振子上へ、チオエタノールアミンによりアミノ基を導入し、さらにメタクリル酸クロリドを反応させることにより重合開始点を導入した後に、この水晶発振子をN-イソプロピルアクリルアミド水溶液中に入れ、過硫酸アンモニウムとTEMEDを用いて重合反応を進めることにより行った。次いで、これを平均粒径0.4μmのポリスチレン水懸濁液中に添加し、温度変化による重量変化を水晶発振子微量天秤により追跡した。その結果を図3に示した。図3から、約32℃付近で大きな重量変化が観察され、粒子の固定化と放出が温度により可逆的にコントロールできることがわかる。

【0026】

【発明の効果】本発明のバイオセンサーにより、生体のもつ嗅覚、味覚などの特異で多様な感覚機能を検知することが可能となる。また、本発明のバイオセンサーは、その製造が簡便であり、また、pHや温度という物理刺激に対する相転移を利用して、センサー端子を簡便に交換することができるので、経済的にも優れている。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2