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明細書 :ブタ胚の体外培養用培地及び培養方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3680130号 (P3680130)
公開番号 特開2003-024055 (P2003-024055A)
登録日 平成17年5月27日(2005.5.27)
発行日 平成17年8月10日(2005.8.10)
公開日 平成15年1月28日(2003.1.28)
発明の名称または考案の名称 ブタ胚の体外培養用培地及び培養方法
国際特許分類 C12N  5/06      
FI C12N 5/00 E
請求項の数または発明の数 6
全頁数 15
出願番号 特願2001-218477 (P2001-218477)
出願日 平成13年7月18日(2001.7.18)
審査請求日 平成13年7月18日(2001.7.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
発明者または考案者 【氏名】吉岡 耕治
【氏名】鈴木 千恵
【氏名】岩村 祥吉
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
審査官 【審査官】▲高▼ 美葉子
参考文献・文献 Reproduction Nutrition Development(1996),Vol.36,No.3,p.241-251
和歌山県畜産試験場試験研究報告(1995),No.6,p.22-29
調査した分野 C12N 5/00
A01K 67/02
BIOSIS/WPI(DIALOG)
JSTPlus(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
ピルビン酸又はその塩0.1~0.5mM、乳酸又はその塩12mM及びタウリン又はその前駆物質1~10mMを必須成分として含むブタ胚の体外培養用培地。
【請求項2】
無機イオン成分、エネルギー基質成分及びアミノ酸成分からなる群から選択された1又は2以上の成分をさらに含んでいる、請求項1記載の培地。
【請求項3】
無機イオン成分が97~119mMの塩化ナトリウム、4~11mMの塩化カリウム、0.3~0.4mMのリン酸二水素カリウム、0.3~0.5mMの硫酸マグネシウム、20~30mMの炭酸水素ナトリウムである、請求項2記載の培地。
【請求項4】
アミノ酸成分が0.1~2mMのグルタミン、0.02~0.2mMのグルタミンを除く必須アミノ酸、0.05~0.15mMの非必須アミノ酸である、請求項2記載の培地。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の培地中でブタ胚を培養することを特徴とするブタ胚の体外培養方法。
【請求項6】
胚が1細胞期胚である請求項5記載の方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブタ胚の体外培養用培地及び培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トランスジェニック動物やクローン技術などの発生工学における基盤技術の1つとして胚培養及び胚移植がある。ブタにおいては、受精直後の1細胞期胚を24~36時間体外培養し、得られた2~4細胞期胚を受胚ブタ(代理母)に移植することによって産子が得られている。また、1細胞期胚を96時間培養して得られた8細胞期胚を移植することによって産子が得られたという報告もある。さらに最近では、体外成熟又は体外受精により作出した胚を胚盤胞期まで成長させ、得られた胚盤胞を移植して産子が得られたという発表もあった。
【0003】
受精後の胚を胚盤胞期まで培養した場合、胚の初期発生の進行を培養において確認し、正常と判定された胚のみを選別して移植することができるので、不必要な移植を回避することができるとともに、個体生産の効率を高めることができるなど、有利な点がある。
【0004】
しかし、体外培養により胚盤胞期まで成長させた胚(以下、体外培養胚と称す)を移植した受胚ブタの受胎率は依然として低い。現在、ブタ胚の体外培養用培地としては、通常、NCSU-23培地が用いられているが、NCSU-23培地を用いて培養された体外培養胚は、体内発生した胚盤胞(以下、体内発生胚盤胞と称す)に比べ、胚の細胞数、とりわけ将来胎子になる内部細胞塊の細胞数と将来胎膜になる栄養膜外胚葉の細胞数の比が比べ著しく劣っていることが指摘されており、そのような体外培養による胚の品質の低さが受胎率に影響していると考えられる。
【0005】
また、マウス、ウシ等の他の動物の胚を培養するための種々の体外培養用培地、例えば、Whitten培地、TCM199培地等が報告されているが、これら培地をブタに適用した場合、4細胞期で発育が停止するといった問題がある。
従って、体内発生胚盤胞に劣らない体外培養胚を作出し、受胎率を高めることが可能なブタ胚の体外培養用培地が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ブタ1細胞期胚を培養したときに、体内発生胚盤胞に劣らない内部細胞塊と栄養膜外胚葉との細胞数の構成比を有する体外培養胚を高率に作出できる培地であって、体外培養胚を受胚ブタの子宮へ移植した場合に、受胎可能である体外培養用培地を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、ブタ体内での胚の発育の場となる卵管中の卵管液の無機イオン、エネルギー基質の濃度に着目し、さらにアミノ酸を添加した培地がブタ胚の体外培養用培地として優れていることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ピルビン酸若しくは乳酸又はこれらの塩、及びタウリン又はその前駆物質を必須成分として含むブタ胚の体外培養用培地である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明でいうブタ卵管液は、特に、排卵直後の卵管液を意味する。ブタ卵管液は、例えば、Iritani et al., (1974), Nichol et al., (1992)の文献に記載されているように当該技術分野では公知であり、その組成中の無機イオン、エネルギー基質、アミノ酸は表1に示すとおりである。
【0009】
【表1】
JP0003680130B2_000002t.gif【0010】
本発明のブタ胚の体外培養用培地は、ブタ卵管液の組成に基づき、ピルビン酸若しくは乳酸又はこれらの塩、及び、タウリン又はその前駆物質を必須成分とし、また、他のブタ卵管液に含有されている無機イオン、エネルギー基質、及びアミノ酸成分からなる群から選択された1又は2以上の成分をさらに含むことを特徴するものである。これら成分は表1の組成及び含有量に基づいて決定することができる。以下、各成分について具体的に説明する。
【0011】
1.無機イオン成分
本発明の培地組成として用いられる無機イオン成分は、上記のブタ卵管液組成に含有されている無機イオン成分を提供することができる電解質であればいずれの電解質も利用できる。例えば、ナトリウムイオンを提供する電解質としては、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピルビン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムが挙げられ、カリウムイオンを提供する電解質としては、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム等が挙げられる。また、マグネシウムイオンを提供する電解質としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等が、また、カルシウムイオンを提供する電解質としては、塩化カルシウム、乳酸カルシウム等が挙げられる。このうち、特に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、ピルビン酸ナトリウム、乳酸カルシウム等の使用が好ましい。
このうち、97~119 mMの塩化ナトリウム、4~11 mMの塩化カリウム、0.3~0.4 mMのリン酸二水素カリウム、0.3~0.5 mMの硫酸マグネシウム、20~30 mMの炭酸水素ナトリウムの使用が好ましい。
【0012】
2.エネルギー基質成分
本発明の培地に利用可能なエネルギー基質成分としては、ブタ胚を胚盤胞期胚まで成長させるエネルギーを供給し得る基質を用いることができる。具体的には、糖質、乳酸、ピルビン酸が挙げられる。糖質には、グルコース、マルトース、フルクトース、ソルビトール等が含まれる。また、アミノ酸であるグルタミンもエネルギー基質としても作用する。
【0013】
3.アミノ酸成分
本発明の培地に利用可能なアミノ酸成分としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、タウリン、ハイポタウリンが挙げられる。これらのアミノ酸は、表1の組成に基づいて、1種以上、好ましくは2種以上を選択して利用することができる。このうち、必須成分の特に好ましいアミノ酸は、タウリンあるいはその前駆物質であり、当該前駆物質にはハイポタウリン、システイン等が含まれる。アミノ酸の形態としては、遊離型アミノ酸、薬学的に許容され得る塩、ペプチド等の形態で用いることができる。また、上記アミノ酸を組み合わせて含む市販のアミノ酸溶液を利用してもよく、例えば、SigmaのBasal Medium Eagle Amino Acids Solution 50x、MEM Non-Essential Amino Acids Solution 100x 等がある。含有量としては、必須成分のタウリン又はその前駆物質は、1~10mMが好ましく、グルタミン、グルタミンを除く必須アミノ酸、非必須アミノ酸はそれぞれ0.1~2mM、0.02~0.2 mM、0.05~0.15 mMが好ましい。
【0014】
4.その他の成分
本発明の培地は、上記の成分の他、必要に応じて、ビタミン、微量金属元素、ホルモン、タンパク質、細胞増殖因子、抗生物質等を含んでいてもよい。ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、微量金属元素としては、鉄、亜鉛、マンガン、セレン、ホルモンとしては、インスリン、成長ホルモン、エストラジオール、インヒビン、タンパク質としては、血清アルブミン、胎子血清、細胞成長因子としては、インスリン様増殖因子、上皮増殖因子、トランスフォーミング増殖因子、アクチビン、抗生物質としては、ゲンタマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、ペニシリン等が挙げられる。
【0015】
5.培地の調整
本発明の培地成分の量は、胚の成長及び着床を妨げない範囲で、上記の表1に記載されている各成分量を目安として設定することができるが、本発明の培地は必須成分のピルビン酸若しくは乳酸又はこれらの塩、及び、タウリン又はその前駆物質を以下の濃度で調製する。
【0016】
ピルビン酸又はその塩 0.1~0.5 mM
乳酸又はその塩 1~10 mM
タウリン又はその前駆物質 1~10 mM
なお、必須成分は、前記の無機イオン成分、エネルギー基質成分、アミノ酸成分として例示した物質群から任意に選択した必須成分が含まれる物質によって所定の濃度に調製すればよいが、例えば、ピルビン酸はピルビン酸ナトリウム、乳酸は乳酸ナトリウム、乳酸カルシウムを用いることにより調製することができる。
参考として、上記の成分を含む本発明のブタ胚の体外培養用培地の一例とブタ卵管液における成分の比較表を表2に示す。
【0017】
【表2】
JP0003680130B2_000003t.gif【0018】
本発明の培地成分は、公知のバッファー、培地等と混合して利用することができる。利用可能なバッファーとしては、重炭酸バッファー、Hepesバッファー、リン酸バッファー、Trisバッファー等が挙げられ、このうち、重炭酸バッファー、Hepesバッファーが好ましい。また、培地としては、TCM199培地、NCSU培地等が挙げられる。
【0019】
本発明の培地は、当該技術分野における常法によって調整することができ、培地の形態は、通常、液体であるが、所望により、固形培地、半固形培地とすることもできる。
本発明の培地の浸透圧は、260~310 mOsmolesが好ましく、特に、285~295 mOsmolesが好ましい。浸透圧の調整は、塩化ナトリウム又は塩化カリウム濃度を変更することによって行う。
【0020】
また、本発明の培地のpHは、7.0~7.5が好ましく、特に、7.20~7.35が好ましい。培地のpHはpH調整剤によって調整することができ、例えば、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム等を利用することができる。
なお、本発明の培地は、ブタ胚(1細胞期胚)を体外で胚盤胞期まで成長させるのに好適な培地として利用できるが、その他、ブタ胚の胚盤胞期以前の胚、例えば、2~4細胞期胚、8細胞期胚等を得るための培地としても利用可能である。
【0021】
6.培養条件
本発明の方法で用いるブタ1細胞期胚は、当該技術分野における常法によって得ることができる。具体的には、自然発情あるいは過剰排卵処置を施した雌ブタに自然交配あるいは人工授精して得られる。また、卵巣から未成熟卵子を採取し、体外で成熟、受精しても得られる。
【0022】
得られたブタ1細胞期胚は、ウシ血清アルブミン又はポリビニルアルコールを1~4 mg/mlの割合で本発明の培地に添加し、5% CO2を含む空気、または5% CO2、5% O2及び90% N2の湿度飽和気相の環境下において、38.5~39.0℃で4~8日間培養することによって体外で胚盤胞期まで成長させることができる。培地の交換は必ずしも必要ないが、1日毎におこなっても差し支えない。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1] ウシ血清アルブミン含有ブタ胚体外培養培地におけるブタ1細胞期胚の培養
ブタ1細胞期胚は過排卵処置を施した三元交雑種未経産ブタより採取した。すなわち、春機発動前のブタにCG600(Intervet)を投与して春機発動を誘起した。黄体期にプロスタグランジンF2α(第一製薬)を投与して黄体を退行させた後、ウマ絨毛性性腺刺激ホルモン(三共)およびヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG;三共)を投与して過排卵処置を施した。hCG投与後27~28時間目に人工授精を行い、hCG投与後50~52時間目にブタをと殺して卵管を採取した。ブタ1細胞期胚は、卵管を20 mlのHepes緩衝修正タイロード液(TALP-Hepes;Bavister et al., 1983)で灌流して採取した。
【0024】
前記ブタ1細胞期胚は、TALP-Hepesで2回洗浄した後、表3に組成を示すウシ血清アルブミンを含有したブタ体外培養用培地PZD-3及び対照のNCSU-23培地の各体外発生用培地に移し、38.7℃、5% CO2を含む空気の湿度飽和気相からなるCO2インキュベーター、あるいは38.7℃、5% CO2、5% O2、90% N2の湿度飽和気相からなるマルチガスインキュベーター内で培養した。
【0025】
【表3】
JP0003680130B2_000004t.gif【0026】
胚の評価は以下のように行った。hCG投与後72時間目までに卵割した胚を1細胞期胚と見なした。hCG投与後6~8日目に培養胚を実体顕微鏡下で観察し、hCG投与後6日目に桑実胚および胚盤胞へ発育した胚の割合とhCG投与後7~8日目に胚盤胞および脱出胚盤胞へ発育した胚の割合を調べた。また、hCG投与後6日目に得られた桑実胚と胚盤胞およびhCG投与後8日目に得られた胚盤胞と脱出胚盤胞はMachaty et al.(1998)の方法に準じて分別染色を行い、蛍光顕微鏡下で内部細胞塊および栄養膜外胚葉の細胞数を計測した。対照として、過排卵処置・人工授精を施したhCG投与後6日目の体内発生胚をブタの子宮より灌流・採取し、内部細胞塊および栄養膜外胚葉の細胞数を計測した。
【0027】
その結果を表4に示す。ブタ1細胞期胚を、3 mg/ml ウシ血清アルブミンを含むブタ胚体外培養用培地PZD-3(PZD-3は表2を参照)でhCG投与後8日目まで培養した場合、hCG投与後6日目の胚盤胞への発育率と8日目の脱出胚盤胞への発育率、8日目の胚の総細胞数と内部細胞塊細胞数が、NCSU-23培地に比べ増加することが確認された。
【0028】
【表4】
JP0003680130B2_000005t.gif【0029】
[実施例2]ポリビニルアルコール含有ブタ胚体外培養用培地におけるブタ1細胞期胚の培養
実施例1と同様の手順で得られたブタ1細胞期胚を、実施例1で用いたPZD-3培地のウシ血清アルブミンを同量のポリビニルアルコールに変えたブタ胚体外培養用培地PZD-4(PZD-4は表2を参照)でhCG投与後6日目まで培養した。その培養ブタ胚を、供胚ブタと同様の過排卵処置を施して発情周期を同期化したhCG投与後5日目の受胚ブタの子宮内へ移植し、その後の受胎成績を調べた。
【0030】
その結果を表5に示す。ウシ血清アルブミンの代わりに同量のポリビニルアルコールを添加したブタ胚体外培養用培地においても、hCG投与後6日目の胚の総細胞数と内部細胞塊細胞数は、NCSU-23培地に比べ増加し、今回開発した培地で培養した胚の総細胞数と内部細胞塊細胞数の比は体内発育胚盤胞の結果と同等であった。
【0031】
【表5】
JP0003680130B2_000006t.gif【0032】
[実施例3]ブタ胚体外培養用培地で培養したブタ胚の移植後の体内発生能
実施例2のポリビニルアルコール含有ブタ胚体外培養用培地(PZD-4)で4日間培養した胚99個(うち胚盤胞58個)を6頭の受胚ブタへ移植したところ、5頭(83.3%)が妊娠し、これは体内発生胚を移植した場合の受胎率(83.3%)と同様であった。その結果を表6に示す。また、前記受胎ブタ5頭から合計33頭の産子が得られた(うち生存産子24頭)。受胚ブタ6頭における移植胚数あたりの産子数および生存産子数の割合は、それぞれ33%および24%で、体内発生胚を移植した場合と同様であった。また妊娠日数や生時体重も体外培養胚と体内発生胚で差は認められず、体外培養による悪影響は何ら認められなかった。
【0033】
【表6】
JP0003680130B2_000007t.gif【0034】
【発明の効果】
本発明により、ブタ胚の体外培養用培地が提供される。
本発明の培地は、ブタ1細胞期胚を体外で高率に胚盤胞期胚にまで発育させることができる。さらに、培養して得られた胚盤胞期胚の内部細胞塊の細胞数の総細胞数に対する割合は、体内発生胚盤胞の割合と同等であり、本発明の培地で培養した胚盤胞を受胚ブタに移植した場合にも受胎し、正常な産子を得ることができる。従って、本発明の培地を利用することにより、一定期間、ブタ胚を体外で正常に発生させることが可能となり、ブタ胚の発生のメカニズムを体外で培養して解析することができる。また、ウシ、ヒツジ、マウスなどに比べて遅れていたブタ胚の発生工学的手法を確立するための胚の体外操作用基礎培地として活用でき、トランスジェニックやクローン技術などの発生工学的手法の進展に寄与することができる。さらに、トランスジェニックブタを作出する際に、導入したマーカー遺伝子を体外培養中に検出することで、トランスジェニック作出にかかる費用を飛躍的に軽減することが可能となるとともに、屠場卵巣を用いたブタ胚の大量生産技術(体外成熟・体外受精・体外発生技術)の開発にもつながると期待される。