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明細書 :凍結乾燥物、その製造方法および装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3621072号 (P3621072)
公開番号 特開2002-325565 (P2002-325565A)
登録日 平成16年11月26日(2004.11.26)
発行日 平成17年2月16日(2005.2.16)
公開日 平成14年11月12日(2002.11.12)
発明の名称または考案の名称 凍結乾燥物、その製造方法および装置
国際特許分類 A23L  3/44      
A61K  9/19      
F26B  3/30      
F26B  5/06      
FI A23L 3/44
A61K 9/19
F26B 3/30
F26B 5/06
請求項の数または発明の数 15
全頁数 11
出願番号 特願2002-050602 (P2002-050602)
出願日 平成14年2月27日(2002.2.27)
優先権出願番号 2001057345
優先日 平成13年3月1日(2001.3.1)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成14年3月19日(2002.3.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】502283800
【氏名又は名称】有限会社つくば食料科学研究所
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
発明者または考案者 【氏名】堀金 彰
個別代理人の代理人 【識別番号】100067839、【弁理士】、【氏名又は名称】柳原 成
審査官 【審査官】村上 騎見高
参考文献・文献 特開平11-151080(JP,A)
特開平06-165657(JP,A)
特開平11-313654(JP,A)
特開昭49-012053(JP,A)
特開昭62-158475(JP,A)
特開昭60-089671(JP,A)
特開昭47-004944(JP,A)
特開昭50-045364(JP,A)
特公昭50-013342(JP,B1)
調査した分野 A23L 3/36 - 3/54
特許請求の範囲 【請求項1】
ドライアイスを含む冷媒を被処理物と混合し、発生する炭酸ガスで気相を置換するとともに凍結し、
被処理物とドライアイスが混合状態で存在している凍結物を収容する通気性の被処理物容器を、
凍結乾燥装置内の回転ケージ内に収容し、
真空条件下で加熱装置により被処理物を加熱し、
被処理物中のドライアイスおよび水分を昇華させ、
ドライアイスの昇華に伴って被処理物同士を分離状態として、ケージの回転により被処理物容器内の被処理物の重なりを防止しながら、均一に加熱して乾燥させ、
ドライアイスの昇華の状態に応じて加熱条件を変えて凍結乾燥を行い、
凍結乾燥物を得る凍結乾燥物の製造方法。
【請求項2】
被処理物同士が接着していない状態で被処理物容器に収容する請求項1記載の方法。
【請求項3】
加熱装置が加熱ランプである請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
冷媒がドライアイスである請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
冷媒と混合された状態で被処理物を被処理容器に収容する請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ドライアイスの昇華の終了前後で加熱条件を変えて凍結乾燥を行う請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ドライアイスの昇華の状態に応じて真空引の条件を変えて凍結乾燥を行う請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ドライアイスの昇華がほぼ終了した時点で、加熱を弱設定に切り替えて凍結乾燥を行う請求項6記載の方法。
【請求項9】
密閉室を有する装置本体と、
ドライアイスを含む冷媒を被処理物と混合し、発生する炭酸ガスで気相を置換するとともに凍結した被処理物とドライアイスが混合状態で存在している凍結物を収容する通気性の被処理物容器を収容して回転するように密閉室内に設けられた回転ケージと、
ドライアイスの昇華に伴って被処理物同士を分離状態として、被処理物容器内の被処理物の重なりを防止しながら、均一に加熱して乾燥させるように回転ケージを回転させる回転手段と、
被処理物を加熱するように本体に設けられた加熱装置と、
ドライアイスの昇華の状態に応じて加熱装置の加熱条件を変えるように制御する制御装置と、
密閉室に接続されかつ冷却部を備えたコールドトラップと、
コールドトラップを通して密閉室を減圧する真空発生装置と
を含む凍結乾燥装置。
【請求項10】
回転ケージを回転させる動力伝達がマグネットカップリングにより行われるように構成された請求項9記載の装置。
【請求項11】
加熱装置が加熱ランプである請求項9または10記載の装置。
【請求項12】
制御装置は、ドライアイスの昇華がほぼ終了した時点で、加熱装置を弱設定に切り替えるように構成された請求項9ないし11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
真空発生装置は、ドライアイスの昇華の状態に応じて真空引の条件を変更できるように構成された請求項9ないし12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法により製造された凍結乾燥物。
【請求項15】
請求項14記載の凍結乾燥物を含む食品または医薬品。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はドライアイス等の冷媒により冷却されて凍結した被処理物から冷媒および水分を除去して得られる凍結乾燥物、その製造方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドライアイスにより冷却して凍結させた被処理物からドライアイスおよび氷を除去し、凍結乾燥物を得る方法が提案されている。例えば特許第3005657号は、ドライアイスと生の生物素材、薬物、食品、工業原料等の被処理物を加圧しながら混合させて凍結状態で破砕した被処理物を真空条件下に凍結乾燥する方法が提案されている。
【0003】
このように被処理物をドライアイスと混合し、発生する炭酸ガスで気相を置換するとともに実質的に瞬時に凍結させ、凍結物を真空乾燥することにより、簡単な装置と操作によって酸素、酵素および熱等による変質を受けることなく、処理前の品質、性状等を保持したまま被処理物を凍結乾燥させることができる。そして得られる凍結乾燥物は酸素および熱等による変質を受けることなく、処理前の品質、性状等を保持したままの不活性な凍結乾燥物であり、そのまま保存、運搬、使用でき、変質のない状態で使用することができる。
【0004】
このような方法に用いられる従来の凍結乾燥装置は、排気マニホールドと開口部に接続する開閉自在な密閉扉体とを備えた密閉室の内部に、多段状の複数の加熱棚板を設けたものであり、被処理物を開口部より各棚板上に設置し、この状態で密閉室を真空にした後、前記棚板を加熱して、被処理物を凍結乾燥するとともに、被処理物から昇華した水分を排気マニホールドに接続したコールドトラップに導いて水分を凝集させて被処理物を凍結乾燥するようにされている。
【0005】
しかし、このような従来型の凍結乾燥装置は、密閉室内の複数の加熱棚板により棚板間の空間体積が狭く全体の体積も減少し、被処理物の形状および量が限定され大量処理が困難である。また、被処理物が密閉室内の棚板上の狭い空間に設置されるため熱の伝達が不均一で、部分的な加熱により被処理物の加熱面に近い部分が変質する場合があり製品の均一化が困難である。そしてイチゴのスライスなどの凍結物は、凍結物同士が積層状態で重なる場合、複数の被処理物の接触面が付着して接着状態となり、表面積が減少して乾燥効率が著しく低下する場合がある。また排気マニホールドに接続する真空ポンプは、従来、ロータリーポンプが用いられているが、ドライアイスと混合状態で被処理物が凍結されている場合は、ドライアイスから昇華した大量の二酸化炭素ガスが放出されるため密閉室の減圧が困難で、被処理物の真空乾燥効率が低下し、効率的な凍結乾燥が困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ドライアイスを含む冷媒により凍結された被処理物から冷媒および水分を効率よく除去して凍結乾燥物を調製する際、ドライアイスの昇華により生成する大量の二酸化炭素ガスを効率よく除去することができ、また被処理物を回転させながら乾燥することにより被処理物相互の接着を防止でき、凍結物の乾燥時間を短縮できるとともに、凍結物を均一に加熱できるため高品質な凍結乾燥物を得ることが可能な凍結乾燥物の製造方法および装置、ならびにこれにより得られる凍結乾燥物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の凍結乾燥物、その製造方法および装置である。
(1) ドライアイスを含む冷媒を被処理物と混合し、発生する炭酸ガスで気相を置換するとともに凍結し、
被処理物とドライアイスが混合状態で存在している凍結物を収容する通気性の被処理物容器を、
凍結乾燥装置内の回転ケージ内に収容し、
真空条件下で加熱装置により被処理物を加熱し、
被処理物中のドライアイスおよび水分を昇華させ、
ドライアイスの昇華に伴って被処理物同士を分離状態として、ケージの回転により被処理物容器内の被処理物の重なりを防止しながら、均一に加熱して乾燥させ、
ドライアイスの昇華の状態に応じて加熱条件を変えて凍結乾燥を行い、
凍結乾燥物を得る凍結乾燥物の製造方法。
(2) 被処理物同士が接着していない状態で被処理物容器に収容する上記(1)記載の方法。
(3) 加熱装置が加熱ランプである上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 冷媒がドライアイスである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 冷媒と混合された状態で被処理物を被処理容器に収容する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
(6) ドライアイスの昇華の終了前後で加熱条件を変えて凍結乾燥を行う上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の方法。
(7) ドライアイスの昇華の状態に応じて真空引の条件を変えて凍結乾燥を行う上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の方法。
(8) ドライアイスの昇華がほぼ終了した時点で、加熱を弱設定に切り替えて凍結乾燥を行う上記(6)記載の方法。
(9) 密閉室を有する装置本体と、
ドライアイスを含む冷媒を被処理物と混合し、発生する炭酸ガスで気相を置換するとともに凍結した被処理物とドライアイスが混合状態で存在している凍結物を収容する通気性の被処理物容器を収容して回転するように密閉室内に設けられた回転ケージと、
ドライアイスの昇華に伴って被処理物同士を分離状態として、被処理物容器内の被処理物の重なりを防止しながら、均一に加熱して乾燥させるように回転ケージを回転させる回転手段と、
被処理物を加熱するように本体に設けられた加熱装置と、
ドライアイスの昇華の状態に応じて加熱装置の加熱条件を変えるように制御する制御装置と、
密閉室に接続されかつ冷却部を備えたコールドトラップと、
コールドトラップを通して密閉室を減圧する真空発生装置と
を含む凍結乾燥装置。
(10) 回転ケージを回転させる動力伝達がマグネットカップリングにより行われるように構成された上記(9)記載の装置。
(11) 加熱装置が加熱ランプである上記(9)または(10)記載の装置。
(12) 制御装置は、ドライアイスの昇華がほぼ終了した時点で、加熱装置を弱設定に切り替えるように構成された上記(9)ないし(11)のいずれかに記載の装置。
(13) 真空発生装置は、ドライアイスの昇華の状態に応じて真空引の条件を変更できるように構成された上記(9)ないし(12)のいずれかに記載の装置。
(14) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の方法により製造された凍結乾燥物。
(15) 上記(14)記載の凍結乾燥物を含む食品または医薬品。
【0008】
本発明において凍結乾燥の対象となる被処理物は通常の凍結乾燥の対象となる物、例えば有機物、無機物およびそれらの混合物などがすべて対象となる。特に生物体、有機物、食品、薬物、生物試料、飼料、工業原料などの変質しやすい物が適しており、酸素、熱、酵素等により変質しやすい官能基等を有する有機物を含む物があげられる。これらの被処理物は塊状、液状、ゼリー状、スラリー状など、任意の形態のものが含まれ、破砕状物、粉状物等であってもよい。そしてこれらは含水状態のものが被処理物として典型的であるが、乾燥物であっても、水または含水物と混合して均質化する場合などには適用可能である。
【0009】
本発明で使用する冷媒としては、ドライアイスを含む冷媒であって、前記被処理物を凍結させることができるものが制限なく使用できる。具体的なものとしては、ドライアイス、ドライアイスとアセトンまたはエチルアルコールとの混合物などがあげられる。これらの中では、ドライアイスが好ましい。
【0010】
以下の説明は、冷媒として好ましく使用できるドライアイスを用いた場合について説明するが、ドライアイスだけに限定されず、他のドライアイスを含む冷媒もドライアイスと同様に使用できる。
【0011】
ドライアイスは固体の二酸化炭素を押し固めたものでり、大気圧下では-78.5℃で昇華して炭酸ガスとなる。このようなドライアイスとしては、一般に冷却剤等として市販されているものが使用できる。このドライアイスは混合破砕装置により圧力を加えると容易に破砕できるので、任意の形状、大きさのものを用いることができるが、例えば粒径1~5cm程度のものが好ましい。ドライアイスの使用量は被処理物の種類、含水率、性状等により変わるが、被処理物1重量部に対して0.01~100重量部、好ましくは0.1~10重量部程度とすることができる。
【0012】
本発明では上記の被処理物をドライアイス等の冷媒により冷却して凍結した凍結物を凍結乾燥装置において凍結乾燥する。凍結に際しては、例えば被処理物をドライアイスと混合し、発生する炭酸ガスで気相を置換するとともに実質的に瞬時に凍結させることができるが、被処理物とドライアイスとを混合破砕装置において混合破砕し、このとき発生する炭酸ガスにより気相を置換して酸素を追出すと同時に、被処理物を凍結させて凍結物を生成するのが好ましい。この場合、ドライアイスは混合破砕装置により容易に破砕されて被処理物と微細な粒子で混合され、この時吸熱により発生する炭酸ガスが空気と置換して不活性雰囲気を形成するとともに、被処理物を実質的に瞬時に凍結させることができる。このような凍結物は被処理物とドライアイスが混合状態で存在している。本発明ではこのような被処理物とドライアイスとの混合物を被処理物容器に収容して凍結乾燥させるのが好ましい。被処理物とドライアイスとの混合物を使用した場合、加熱装置により加熱すると、ドライアイスの昇華に伴って被処理物同士が分離状態となり、この状態で回転、反転しながら凍結乾燥されるので、乾燥効率が高くなる。
【0013】
本発明では、ドライアイス等の冷媒により冷却されて凍結された被処理物を、冷媒が気化したガス、水分が自由に通過できる布、不織布、紙等の通気性材からなる袋等の可撓性の被処理物容器に収容して凍結乾燥装置で凍結乾燥を行う。
【0014】
凍結乾燥装置は、密閉室を有する装置本体を備え、冷媒と接触して凍結した被処理物を収容する通気性の被処理物容器を収容して被処理物を回転、反転等により移動させるように密閉室内に回転ケージを設け、被処理物を加熱するように装置本体に加熱装置を設け、冷却部を備えたコールドトラップを通して密閉室を減圧する真空発生装置を設けた構造とする。
【0015】
凍結乾燥装置の密閉室を有する本体は、回転ケージを回転しながら加熱および減圧できる構造であればよく、その形状等は限定されない。
回転ケージは被処理物容器を収容し、密閉室内で回転するように構成されるが、加熱装置から放射される熱で加熱されるため、ステンレス、プラスチック等を原料とする放射熱を通過し易い網、パンチング板等の材料によりケージ(かご)状に形成されるのが好ましい。回転ケージは、加熱装置の放射熱を被処理物容器に収容された被処理物に均一に照射するため、モーターにより1~10rpmの低速で回転または反転するものが好ましい。回転ケージは、例えばモーターの動力をマグネチックカップリング(磁気結合)により伝達して回転するように構成されたマグネット駆動型のケージとすることもできるし、また密閉室と回転ケージとの間に回転ローラを設け、この回転ローラにモーターの動力を直接伝えて回転するように構成することもできる。
【0016】
加熱装置は回転ケージを外部から加熱するように密閉室の内部および/または外部に設置されるのが好ましい。加熱装置により被処理物を加熱すると、被処理物と混在しているドライアイスも昇華するので、加熱装置はドライアイスの昇華の状態で加熱条件を変更できるように構成するのが好ましい。この場合、ドライアイスの昇華の終了前は30~100℃、好ましくは60~80℃を保持し、昇華の終了後は20~80℃、好ましくは20~40℃を維持するように加熱を行うことにより、ドライアイスの昇華に適した温度と氷の昇華に通した温度を切換え、効率よくドライアイスと水分の除去を行うことができる。ドライアイスの昇華が終了したかどうかは、被処理物容器の温度変化、密閉室の圧力変化、あるいは排気中の二酸化炭素濃度の変化等を検出して判定することができる。
【0017】
上記の加熱装置は、被処理物容器内部に被処理物と混在するドライアイスを効率良く除去するため、加熱ランプまたは二酸化炭素の吸収領域に高い分光放射特性を有する遠赤外線セラミックスヒータ等で加熱してドライアイスを昇華させ、ドライアイスの消失に伴う二酸化炭素ガスの変化あるいは被処理物の温度上昇をCO2ガスセンサー、熱電対、サーミスタ、サーモグラフィー等で検知した後、ヒーター出力を低下させて被処理物の熱変性を防ぎながら乾燥ができるようなシーケンスを備えた制御装置で制御するのが好ましい。加熱ランプを使用した場合、輻射熱による急速加熱と反射による全面加熱ができる点において優れている。加熱ランプを使用する場合、密閉室の内面はステンレス等、鏡面反射できるもので構成するのが好ましい。
【0018】
真空発生装置はドライアイスの昇華の終了前後で真空引の条件を変更できるように構成するのが好ましい。凍結乾燥のために密閉室内の圧力を0.1~1000Pa、好ましくは0.1~100Pa、さらに好ましくは0.1~10Paに維持するのが好ましいが、ドライアイスの昇華終了前では二酸化炭素が大量に発生するので、ガス排出容量の大きい真空ポンプにより大量のガスを排出し、ドライアイスの昇華終了後は高真空度を保つ真空ポンプにより高真空度に維持するようにすることができる。この場合、真空発生装置としては、加熱によりドライアイスより昇華する大量の二酸化炭素ガスを排出するためのメカニカルブースターポンプ等の高排気量真空ポンプと、通常のロータリー型真空ポンプとを組み合わせた装置を備え、これらを制御装置で制御することが好ましい。
【0019】
上記の凍結乾燥装置による凍結乾燥は、冷媒により冷却されて凍結した被処理物を収容する被処理物容器を、凍結乾燥装置内の回転ケージ内に収容して回転ケージ内の被処理物を回転、反転等により移動させながら回転させ、真空装置により減圧することにより、真空状態を維持し、加熱装置により被処理物を加熱して被処理物中に含まれる水分を加熱により昇華させて凍結乾燥することにより凍結乾燥物を得る。
【0020】
上記の方法では凍結物を通気性の被処理物容器に収容し、回転ケージに収容して回転させながら真空乾燥を行うため、大量の被処理物を収容することができ、ドライアイスと混合状態で凍結された被処理物からドライアイスの昇華により生成する大量の二酸化炭素ガスおよび凍結物中の水分を効率良く除去し、凍結乾燥の効率化を図ることができる。また、被処理物を回転させながら乾燥することにより被処理物相互の接着による表面積の減少を防止でき、凍結物の乾燥時間が短縮されるとともに、凍結物を均一に加熱できるため不均一な加熱による品質低下を防止して高品質な凍結乾燥物を調製できる。
【0021】
ドライアイスの昇華の終了前後で加熱装置の加熱条件を変えることにより、昇華を効率化し、かつ被処理物の変質を防止できる温度で凍結乾燥を行うことができる。またドライアイスの昇華の状態に応じて真空引の条件を変えることにより、昇華する炭酸ガスおよび水分の排出に適した条件で真空引することができ、効率よく凍結乾燥を行うことができる。
【0024】
上記のようにして得られた凍結乾燥物は、被処理物に応じてそのまま、または他の乾燥物などと混合し、例えば食品、医薬品、生物試料、飼料、工業原料などの乾燥物として保存、運搬される。また再度水分を加えて復元させ、例えば食品、医薬品、生物試料、飼料、工業原料などとして利用することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、ドライアイスを含む冷媒を被処理物と混合し、発生する炭酸ガスで気相を置換するとともに凍結し、被処理物とドライアイスが混合状態で存在している凍結物を収容した通気性の被処理物容器を、密閉室内の回転ケージに収容して加熱し、被処理物中のドライアイスおよび水分を昇華させ、ドライアイスの昇華に伴って被処理物同士を分離状態として、ケージの回転により被処理物容器内の被処理物の重なりを防止しながら、均一に加熱して乾燥させて凍結乾燥を行うようにしたので、凍結した被処理物からドライアイスの昇華により生成する大量の二酸化炭素ガスと凍結物からの水分を効率よく除去することができ、また被処理物を回転させながら乾燥することにより被処理物相互の接着を防止でき、凍結物の乾燥時間を短縮できるとともに、凍結物を均一に加熱できるため高品質な凍結乾燥物を得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面により説明する。
図1は実施形態の凍結乾燥装置の正面図、図2は装置本体の一部を切欠いた斜視図である。
装置本体1は円筒状に形成され、内部に密閉室2が形成されている。密閉室2内には回転ケージ3が被処理物容器4を収容した状態で回転するように、回転ローラ5を介して回転可能に設けられている。また装置本体1の内壁には回転ケージ3を通して被処理物容器4内の凍結物を加熱できるように、加熱装置6が設けられている。装置本体1は支持台7により支持されており、一方の端部に密閉扉8を有し、他方の端部に回転ケージ3を回転させる電動機9を有している。電動機9の動力はマグネットカップリングを介して回転ケージ3に伝えると真空漏れを防止できて好ましい。この場合、密閉室2の外側に駆動マグネット(図示せず)、密閉室2内に従動マグネット(図示せず)を設け、電動機9の動力により駆動マグネットが回転し、この駆動マグネットの回転に追従して従動マグネットが回転するように、駆動マグネットと従動マグネットとでマグネットカップリングを形成し、従動マグネットの回転により回転ケージが回転するように構成することができる。また電動機9は密閉室2と回転ケージ3との間に設けた回転ローラ5に直接動力を伝えて回転ケージ3を回転させてもよい。
【0027】
装置本体1の端部には、ドライアイスおよび凍結物から昇華した二酸化炭素ガスおよび水分を排気するための排気口10が設けられ、バルブV1を備えた導管11、およびバルブV2、V3を備えた導管12a、12bを介してコールドトラップ13a、13bが連結している。コールドトラップ13a、13b内には、冷却管15a、15bが設けられ、冷凍機16で冷却された水分捕集用の冷媒が循環して密閉室2から排出された水分を氷結捕集できるようになっている。コールドトラップ13a、13bにはバルブV4、V5を有する導管14a、14bを介してメカニカルブースター型真空ポンプ17aおよび油回転真空ポンプ17bが直列に接続されており、上記密閉室2内の最終真空度を好ましくは約0.1~10Pa程度の真空に保てるように構成されている。
【0028】
加熱装置6としては、通常のもので良く、輻射熱型でも伝導熱型でも対流型でもよいが輻射熱型の装置が好ましい。図2では加熱装置6として複数のセラミックスヒータが密閉室2の内壁に設けられ、回転ケージ3の回転に伴って内部に収容された被処理物容器4内部の凍結物およびドライアイスに均一に遠赤外線等により照射されるようになっている。加熱装置6としては、遠赤外線セラミックヒータに代えて平板状ヒーターを設置してもよい。
【0029】
20は制御装置であって、排気口10付近に設けたCOガスセンサー24、温度検知装置21aあるいは装置本体1に設けた温度検知窓23から放射温度計21b等の温度信号により、加熱装置6の電源装置22を制御するように構成されている。
【0030】
次に上記の装置で凍結乾燥を行う方法について説明する。まず、冷凍機16のスイッチを入れ、コールドトラップ13a、13bの温度が-40℃以下に到達した時点で、ドライアイスで凍結した被処理物の凍結物を被処理物容器4に入れ、開口部4aを閉じた後、回転ケージ3に収容する。そして密閉扉8を閉めた後、真空ポンプ17a、17bを稼働し、真空度が約50Paに到達した時点で加熱装置6を動作させながら回転ケージを1~10rpmで回転させて放射熱を均一に照射する。加熱によるドライアイスの昇華に伴って、被処理物は移動しやすくなり、回転ケージの回転により被処理物同士の接着は防止される。ドライアイスの昇華終了前では昇華により発生した大量の二酸化炭素は主としてメカニカルブースター17aにより効率よく排気される。排気口10付近に設けた温度検知装置21aでドライアイスの昇華状態を監視し、ドライアイスの昇華がほぼ終了して約20℃の急激な温度上昇を検知した時点で、制御装置20から制御信号を電源装置22に送り、加熱装置6による加熱を弱設定に切り替えて品質の劣化を防止する。ドライアイスの昇華終了後は水分のみの昇華となるので主として油回転の真空ポンプ17bにより高効率で排気され、高真空度を維持する。凍結物から昇華した水分はコールドトラップ13a、13bに氷結捕集され、凍結物の乾燥が進行し、乾燥が終了した被処理物は被処理物容器4に製品として貯蔵される。
【0031】
上記の装置では、密閉室2内部に回転ケージ3および昇華潜熱を供給するための加熱装置6が設置されており、ドライアイスと被処理物の凍結物を収容する通気性の高い被処理物容器4を回転ケージ3に収容して緩やかに回転させることにより、ケージの回転により被処理物容器4内部の被処理物の重なりを防止でき、乾燥効果を高めるとともに加熱装置6からの放射熱が均一に照射され部分的な加熱による品質の劣化を防止できる。このように密閉室2内部の回転ケージ3を回転させることにより、乾燥効率を高めるとともに材料の品質低下を防ぐことができる。被処理物は、乾燥した時点で密閉室2から取り出され乾燥状態で蓄えられる。
【0032】
図3は他の実施形態の凍結乾燥装置の正面図であり、被処理物を加熱する装置としてハロゲンランプなどの加熱ランプを使用した場合の例である。図3では、加熱ランプ25は密閉室2の外側に設けられ、装置本体1の一部に設けられた透明な耐熱強化ガラス製の加熱窓26を通して密閉室2内の被処理物に光を照射して加熱するように構成されている。また密閉室2の内面は加熱ランプ25から照射される光を鏡面反射するようにステンレスで構成される。制御装置20は加熱ランプ25を制御するように構成され、ドライアイスの昇華がほぼ終了した温度上昇を検知した時点で、制御装置20から制御信号を加熱ランプ25に送り加熱を弱設定に切り替える。加熱ランプ25は1個または2個以上設けることができる。加熱ランプ25を設けた場合、図2に示した密閉室2内の加熱装置6は省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の凍結乾燥装置の正面図である。
【図2】装置本体の一部を切欠いた斜視図である。
【図3】他の実施形態の凍結乾燥装置の正面図である。
【符号の説明】
1 装置本体
2 密閉室
3 回転ケージ
4 被処理物容器
5 回転ローラ
6 加熱装置
7 支持台
8 密閉扉
9 電動機
10 排気口
11、12a、12b、14a、14b 導管
13a、13b コールドトラップ
15a、15b 冷却管
16 冷凍機
17a、17b 真空ポンプ
20 制御装置
21a 温度検知装置
21b 放射温度計
22 電源装置
23 温度検知窓
24 COガスセンサー
25 加熱ランプ
26 加熱窓
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2