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明細書 :アルキニルS,N-アセタール誘導体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3762994号 (P3762994)
公開番号 特開2004-256400 (P2004-256400A)
登録日 平成18年1月27日(2006.1.27)
発行日 平成18年4月5日(2006.4.5)
公開日 平成16年9月16日(2004.9.16)
発明の名称または考案の名称 アルキニルS,N-アセタール誘導体及びその製造方法
国際特許分類 C07C 323/27        (2006.01)
C07C 319/14        (2006.01)
C07C 323/29        (2006.01)
C07F   7/10        (2006.01)
FI C07C 323/27
C07C 319/14
C07C 323/29
C07F 7/10 P
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2003-046332 (P2003-046332)
出願日 平成15年2月24日(2003.2.24)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 第29回ヘテロ原子化学討論会講演要旨集(2002年12月12日)社団法人日本化学会発行第100-101頁に発表
審査請求日 平成15年10月7日(2003.10.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
発明者または考案者 【氏名】村井 利昭
【氏名】武藤 雄一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100068755、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 博宣
【識別番号】100105957、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 誠
審査官 【審査官】松本 直子
参考文献・文献 特開2003-12613(JP,A)
Chemical Abstracts,100:209959
Chem. Ber.,1989, 122(12),p.2311-17
調査した分野 C07C323/27
C07C319/14
C07C323/29
CAPLUS(STN)
CAOLD(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で示されるアルキニルS,N-アセタール誘導体。
【化1】
JP0003762994B2_000018t.gif
(式中、R1は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基又はアルキニル基を示し、R2及びR3はアルキル基又はアリル基を示すとともにR4はアルキル基を示す。)
【請求項2】
前記一般式(1)中のR1がアルキル基、アリール基、アルケニル基又はシリル基を示し、R2、R3及びR4がアルキル基を示す請求項1に記載のアルキニルS,N-アセタール誘導体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のアルキニルS,N-アセタール誘導体の製造方法であって、下記一般式(2)で示されるチオホルムアミドと下記一般式(3)で示されるアルキル化剤とを溶媒に加えた後、さらに下記一般式(4)で示されるアルキニル金属反応剤を加えることを特徴とするアルキニルS,N-アセタール誘導体の製造方法。
【化2】
JP0003762994B2_000019t.gif
(式中、R2及びR3はアルキル基又はアリル基を示す。)
【化3】
JP0003762994B2_000020t.gif
(式中、R4はアルキル基を示し、Xはパーフルオロアルキルスルホネートを示す。)
【化4】
JP0003762994B2_000021t.gif
(式中、R1は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基又はアルキニル基を示し、Mはアルカリ金属原子を示す)
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種合成原料として用いられたり、各種化学製品や医薬品等に用いられるプロパルギルアミンの原料となるアルキニルS,N-アセタール誘導体及びその製造方法に関するものである。より詳しくは、新規化合物であるアルキニルS,N-アセタール誘導体及びそれを容易に製造することができるとともに収率を向上させることができるアルキニルS,N-アセタール誘導体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルキニル基が結合されている炭素原子に水素原子や窒素原子等が結合されているプロパルギルアミンは生理活性等を有し、各種化学製品や医薬品等に用いられている。従来、プロパルギルアミンの原料は、アルキニル基が結合されている炭素原子にアミノ基やアルキル基等が結合されているプロパルギルアミン誘導体である(例えば特許文献1参照。)。このプロパルギルアミン誘導体は、酢酸2-プロピニルエステル等のエステル誘導体とアンモニアとを反応させることにより製造されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2003-12613号公報(第2~6頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来のプロパルギルアミン誘導体においては、エステル誘導体及びアンモニアの反応性は低く、これらのみでは反応を十分に進行させることができずプロパルギルアミン誘導体の収率は低い。このため、反応を銅触媒及び臭化テトラメチルアンモニウム等の相間移動触媒の存在下で行なう必要があり、プロパルギルアミン誘導体の製造が煩雑になるという問題があった。一方、イオウ原子を有する新規な共役電子系の設計、合成、構造並びに反応性の解明及び基盤化合物として応用できる系の確立が求められていた。この系により得られ新規化合物であるアルキニルS,N-アセタール誘導体は、基盤化合物として用いることにより従来とは異なる新しい生理活性等を有するプロパルギルアミンを開発することができる。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、新規化合物であるアルキニルS,N-アセタール誘導体及びそれを容易に製造することができるとともに収率を向上させることができるアルキニルS,N-アセタール誘導体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のアルキニルS,N-アセタール誘導体は、下記一般式(1)で示されるものである。
【0007】
【化5】
JP0003762994B2_000002t.gif(式中、R1は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基又はアルキニル基を示し、R2及びR3はアルキル基又はアリル基を示すとともにR4はアルキル基を示す。)
請求項2に記載の発明のアルキニルS,N-アセタール誘導体は、請求項1に記載の発明において、前記一般式(1)中のR1がアルキル基、アリール基、アルケニル基又はシリル基を示し、R2、R3及びR4がアルキル基を示すものである。
【0008】
請求項3に記載の発明のアルキニルアセタール誘導体の製造方法は、請求項1又は請求項2に記載のアルキニルS,N-アセタール誘導体の製造方法であって、下記一般式(2)で示されるチオホルムアミドと下記一般式(3)で示されるアルキル化剤とを溶媒に加えた後、さらに下記一般式(4)で示されるアルキニル金属反応剤を加えるものである。
【0009】
【化6】
JP0003762994B2_000003t.gif(式中、R2及びR3はアルキル基又はアリル基を示す。)
【0010】
【化7】
JP0003762994B2_000004t.gif(式中、R4はアルキル基を示し、Xはパーフルオロアルキルスルホネートを示す。)
【0011】
【化8】
JP0003762994B2_000005t.gif(式中、R1は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基又はアルキニル基を示し、Mはアルカリ金属原子を示す)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のアルキニルS,N-アセタール誘導体は下記一般式(1)で示され、アルキニル基が結合されている炭素原子に硫黄原子、窒素原子及び水素原子が結合されている多官能性化合物である。
【0013】
【化9】
JP0003762994B2_000006t.gif(式中、R1は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基又はアルキニル基を示し、R2及びR3はアルキル基又はアリル基を示すとともにR4はアルキル基を示す。)
上記一般式(1)において、アルキル基の具体例としてはメチル基やブチル基等が挙げられ、アリール基の具体例としてはフェニル基や4-クロロフェニル基等が挙げられる。アルケニル基の具体例としてはビニル基やアリル基等が挙げられ、シリル基の具体例としてはトリメチルシリル基等が挙げられる。アルキニル基の具体例としては、エチニル基やプロピニル基等が挙げられる。上記一般式(1)において、R1がアルキル基、アリール基、アルケニル基又はシリル基を示し、R2、R3及びR4がアルキル基を示すものが、空気中での安定性を向上させることができるために好ましい。
【0014】
アルキニルS,N-アセタール誘導体は、下記一般式(2)で示されるチオホルムアミドと下記一般式(3)で示されるアルキル化剤とを溶媒に加え、さらに下記一般式(4)で示されるアルキニル金属反応剤を加えることにより、下記反応式(5)に従って各成分が反応して製造される。この場合、チオホルムアミド、アルキル化剤及びアルキニル金属反応剤の割合は当量比で例えばチオホルムアミド:アルキル化剤:アルキニル金属反応剤=1:1:1であり、パーフルオロアルキルスルホネートのアルカリ金属塩が副生物として生成される。
【0015】
【化10】
JP0003762994B2_000007t.gif(式中、R2及びR3はアルキル基又はアリル基を示す。)
【0016】
【化11】
JP0003762994B2_000008t.gif(式中、R4はアルキル基を示し、Xはパーフルオロアルキルスルホネートを示す。)
【0017】
【化12】
JP0003762994B2_000009t.gif(式中、R1は水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、シリル基又はアルキニル基を示し、Mはアルカリ金属原子を示す)
【0018】
【化13】
JP0003762994B2_000010t.gif上記反応式(5)において、まず溶媒中でチオホルムアミドとアルキル化剤とが反応して反応中間体を生成し、この反応中間体とアルキニル金属反応剤とが反応して目的物であるアルキニルS,N-アセタール誘導体を生成する。
【0019】
ここで、溶媒にチオホルムアミドとアルキニル金属反応剤とを加えた後にアルキル化剤を加えると、チオホルムアミドとアルキニル金属反応剤とは反応せずにアルキル化剤を加えることによりチオホルムアミドとアルキル化剤とが反応するために、アルキニルS,N-アセタール誘導体の生成効率が低下する。一方、溶媒にアルキル化剤とアルキニル金属反応剤とを加えた後にチオホルムアミドを加えると、チオホルムアミドを加える前にアルキル化剤とアルキニル金属反応剤とが反応してしまい、チオホルムアミドとアルキル化剤とを反応させて反応中間体を生成することができない。このため、アルキニルS,N-アセタール誘導体を得ることができない。
【0020】
よって、溶媒にはまずチオホルムアミドとアルキル化剤とを加え、さらにアルキニル金属反応剤を加える必要がある。チオホルムアミド、アルキル化剤及びアルキニル金属反応剤の反応性は高く、触媒を用いることなく上記反応式(5)の反応を進行させることができ、例えば50~80%にまでアルキニルS,N-アセタール誘導体の収率を向上させることができる。
【0021】
上記一般式(3)において、パーフルオロアルキルスルホネートは下記一般式(6)で示され、下記式(7)で示されるトリフラートイオンがチオホルムアミドとの反応性が高いために好ましい。一方、上記一般式(4)において、Mは反応中間体との反応性が高いためにリチウム原子(Li)が好ましい。
【0022】
【化14】
JP0003762994B2_000011t.gif(式中、nは1~8の整数を示す。)
【0023】
【化15】
JP0003762994B2_000012t.gif反応に用いられる溶媒は一般的に有機合成化学で用いられる溶媒であれば問題なく用いられるが、ジエチルエーテル又はテトラヒドロフラン(THF)が各成分の反応を阻害しないために好ましい。
【0024】
アルキニルS,N-アセタール誘導体の製造効率、即ち上記反応式(5)の反応効率の向上には、反応温度及び反応時間が要因となっている。このため、反応温度は好ましくは0~30℃であり、反応時間は好ましくは15~60分である。反応温度が0℃未満では、反応温度が低いために反応の進行が遅くなり反応効率が低下するおそれがある。一方、30℃を超えると、例えばジエチルエーテルを溶媒としたときにジエチルエーテルが気化するおそれがある。反応時間が15分未満では、反応時間が短いために反応を十分に進行させることができず反応効率が低下するおそれがある。一方、60分を超えると、反応時間が長くなることによって反応効率が低下するおそれがある。
【0025】
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 本実施形態のアルキニルS,N-アセタール誘導体は新規化合物であり、アルキニル基が結合されている炭素原子には硫黄原子、窒素原子及び水素原子が結合されている。このアルキニルS,N-アセタール誘導体は、新規化合物であるとともに生理活性等を有し医薬品に用いられるプロパルギルアミンの原料として用いることができる。
【0026】
・ 上記一般式(1)において、R1はアルキル基、アリール基、アルケニル基又はシリル基を示し、R2、R3及びR4はアルキル基を示すのが好ましい。この場合、アルキニルS,N-アセタール誘導体の空気中での安定性を向上させることができる。
【0027】
・ アルキニルS,N-アセタール誘導体は、上記一般式(2)で示されるチオホルムアミドと上記一般式(3)で示されるアルキル化剤とを溶媒に加えた後、さらに上記一般式(4)で示されるアルキニル金属反応剤を加えることにより、上記反応式(5)に従って各成分が反応して製造される。チオホルムアミド、アルキル化剤及びアルキニル金属反応剤は反応性が高く、触媒を用いることなく反応を十分に進行させることができる。よって、アルキニルS,N-アセタール誘導体を容易に製造することができるとともに収率を向上させることができる。
【0028】
・上記一般式(3)においてXはトリフラートイオンを示し、上記一般式(4)においてMはリチウム原子を示すのが好ましい。この場合、チオホルムアミドとアルキル化剤との反応性を向上させることができるとともに、チオホルムアミド及びアルキル化剤の反応中間体とアルキニル金属反応剤との反応性を向上させることができる。よって、アルキニルS,N-アセタール誘導体の収率をより向上させることができる。
【0029】
・ 溶媒はジエチルエーテル又はTHFが好ましい。この場合、溶媒が各成分の反応を阻害することなく反応を進行させることができる。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
【0030】
・ 前記アルキニルS,N-アセタール誘導体を各種合成原料として用いても良い。このように構成した場合には、アルキニルS,N-アセタール誘導体は、アミン等の配位子の供給源として作用したり配位子を合成する基盤化合物として作用する。
【0031】
・ 前記アルキニルS,N-アセタール誘導体を製造するときに、チオホルムアミド及びアルキル化剤を溶媒に加えるとともに、別途アルキニル金属反応剤を溶媒に加える。次いで、チオホルムアミド及びアルキル化剤が加えられた溶媒に、アルキニル金属反応剤が加えられた溶媒を加えてもよい。
【0032】
【実施例】
次に、実施例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
減圧乾燥及びアルゴン置換した20mL二ッ口フラスコにジエチルエーテル3mLを入れた後、0℃下でフェニルアセチレン0.1098mL(1mmol)及びn-ブチルリチウム0.625mL(1mmol)を加えて15分間撹拌してリチウムアセチリドを得た。この反応溶液を溶液Aとする。一方、減圧乾燥及びアルゴン置換した50mL二ッ口フラスコにジエチルエーテル3mL及びN,N-ジメチルチオホルムアミド85.16μL(1mmol)を入れた後、トリフルオロメタンスルホン酸メチル113.2μL(1mmol)を加え、20℃で30秒間撹拌した。この反応溶液を溶液Bとする。
【0033】
次いで、溶液Bを0℃に冷却した後に溶液AをL字管を用いて加え、20℃で30分間撹拌した。そして、反応混合溶液を濾過した後、濾液を飽和炭酸水素ナトリウム用いた洗浄及び無水硫酸マグネシウムを用いた乾燥を行い、さらに濾過及び濃縮を行なって3-ジメチルアミノ-3-メチルチオ-1-フェニル-1-プロピンを暗赤色オイルとして得た。暗褐色オイルの収量は0.186gであった。
【0034】
この3-ジメチルアミノ-3-メチルチオ-1-フェニル-1-プロピンの核磁気共鳴スペクトルは以下の通りであった。
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)>
1H-NMR:δ2.29(s,3H,SMe),2.44(s,6H,NMe2),4.91(s,1H,CH),7.26-7.34(m,3H,Ar),7.45-7.50(m,2H,Ar).
13C-NMR:δ15.0(SMe),40.8(NMe2),64.5(CH),84.0,87.5(C≡C),122.5,128.4,131.8,132.0(Ar).
従って、3-ジメチルアミノ-3-メチルチオ-1-フェニル-1-プロピンは、以下の構造式(8)を有する化合物であることが確認された。
【0035】
【化16】
JP0003762994B2_000013t.gif(式中、Phはフェニル基を示し、Meはメチル基を示す。)
(実施例2)
減圧乾燥及びアルゴン置換した20mL二ッ口フラスコにジエチルエーテル3mLを入れた後、0℃下で1-オクチン0.1475mL(1mmol)及びn-ブチルリチウム0.625mL(1mmol)を加えて15分間撹拌してリチウムアセチリドを得た。この反応溶液を溶液Cとする。次いで、実施例1の溶液Bを0℃に冷却した後に溶液CをL字管を用いて加え、20℃で30分間撹拌した。そして、実施例1と同様にして1-ジメチルアミノ-1-メチルチオ-2-ノニンをオレンジ色オイルとして得た。オレンジ色オイルの収量は0.059gであった。
【0036】
この1-ジメチルアミノ-1-メチルチオ-2-ノニンの核磁気共鳴スペクトルは以下の通りであった。
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)>
1H-NMR:δ0.89(t,J=6.9Hz,3H,CH3),1.29(sextet,J=12.7Hz,2H,CH2),1.40(quint,J=7.0Hz,2H),1.53(quint,J=7.2Hz,2H,CH2),1.67(quint,J=7.4Hz,2H,CH2),2.21(s,3H,SMe),2.28(t,J=6.9Hz,2H,CH2),2.35(s,6H,NMe2),4.68(s,1H,CH).
13C-NMR:δ14.0(CH3),14.9(SMe),18.8(CH2),22.5(CH2),28.6(CH2),28.7(CH2),31.3(CH2),40.6(NMe2),64.4(CH),74.9,88.3(C≡C).
従って、1-ジメチルアミノ-1-メチルチオ-2-ノニンは、以下の構造式(9)を有する化合物であることが確認された。
【0037】
【化17】
JP0003762994B2_000014t.gif(式中、n-C6H13はノルマルヘキシル基を示し、Meはメチル基を示す。)
(実施例3)
減圧乾燥及びアルゴン置換した20mL二ッ口フラスコにジエチルエーテル3mLを入れた後、0℃下で2-メチル-1-ブチン-3-イン0.0951mL(1mmol)及びn-ブチルリチウム0.625mL(1mmol)を加えて15分間撹拌してリチウムアセチリドを得た。この反応溶液を溶液Dとする。次いで、実施例1の溶液Bを0℃に冷却した後、溶液DをL字管を用いて加え、20℃で30分間撹拌した。そして、実施例1と同様にして5-ジメチルアミノ-5-メチルチオ-2-メチル-1-ペンテン-3-インを暗赤色オイルとして得た。赤色オイルの収量は0.123gであった。
【0038】
この5-ジメチルアミノ-5-メチルチオ-2-メチル-1-ペンテン-3-インの核磁気共鳴スペクトルは以下の通りであった。
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)>
1H-NMR:δ1.91(s,3H,CH3),2.29(s,3H,SMe),2.38(s,6H,NMe2),4.8(s,1H,CH),5.25(s,1H,CH2),5.33(s,1H,CH2).
13C-NMR:δ14.9(SMe),23.5(CH3),40.6(NMe2),64.4(CH),88.6,83.0(C≡C),122.3,126.1(C=C).
従って、5-ジメチルアミノ-5-メチルチオ-2-メチル-1-ペンテン-3-インは、以下の構造式(10)を有する化合物であることが確認された。
【0039】
【化18】
JP0003762994B2_000015t.gif(式中、Meはメチル基を示す。)
(実施例4)
減圧乾燥及びアルゴン置換した20mL二ッ口フラスコにジエチルエーテル3mLを入れた後、0℃下で1-クロロ-2-エチニルベンゼン0.1366mL(1mmol)及びn-ブチルリチウム0.625mL(1mmol)を加えて15分間撹拌してリチウムアセチリドを得た。この反応溶液を溶液Eとする。次いで、実施例1の溶液Bを0℃に冷却した後、溶液EをL字管を用いて加え、20℃で30分間撹拌した。そして、実施例1と同様にして3-ジメチルアミノ-3-メチルチオ-1-p-クロロフェニル-1-プロピンを赤色オイルとして得た。赤色オイルの収量は0.184gであった。
【0040】
この3-ジメチルアミノ-3-メチルチオ-1-p-クロロフェニル-1-プロピンの核磁気共鳴スペクトルは以下の通りであった。
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)>
1H-NMR:δ2.28(s,3H,SMe),2.43(s,6H,NMe2),4.88(s,1H,CH),7.27-7.30(m,2H,Ar),7.37-7.42(m,2H,Ar).
13C-NMR:δ15.0(SMe),40.7(NMe2),64.5(CH),85.1,86.2(C≡C),120.9,128.6,133.1,134.4(Ar).
従って、3-ジメチルアミノ-3-メチルチオ-1-p-クロロフェニル-1-プロピンは、以下の構造式(11)を有する化合物であることが確認された。
【0041】
【化19】
JP0003762994B2_000016t.gif(式中、Meはメチル基を示す。)
(実施例5)
減圧乾燥及びアルゴン置換した20mL二ッ口フラスコにジエチルエーテル3mLを入れた後、0℃下でトリメチルシリルアセチレン0.1017mL(1mmol)及びn-ブチルリチウム0.625mL(1mmol)を加えて15分間撹拌してリチウムアセチリドを得た。この反応溶液を溶液Fとする。次いで、実施例1の溶液Bを0℃に冷却した後、溶液FをL字管を用いて加え、20℃で30分間撹拌した。そして、実施例1と同様にして3-ジメチルアミノ-3-メチルチオ-1-トリメチルシリル-1-プロピンを赤色オイルとして得た。赤色オイルの収量は0.164gであった。
【0042】
この3-ジメチルアミノ-3-メチルチオ-1-トリメチルシリル-1-プロピンの核磁気共鳴スペクトルは以下の通りであった。
<核磁気共鳴スペクトル(CDCl3溶媒TMS内部標準)>
1H-NMR:δ0.19(s,9H,SiMe3),2.22(s,3H,SMe),2.35(s,6H,NMe2),4.70(s,1H,CH).
13C-NMR:δ0.1(SiMe3),14.9(SMe),40.6(NMe2),64.4(CH),92.2,99.5(C≡C).
従って、3-ジメチルアミノ-3-メチルチオ-1-トリメチルシリル-1-プロピンは、以下の構造式(12)を有する化合物であることが確認された。
【0043】
【化20】
JP0003762994B2_000017t.gif(式中、Meはメチル基を示す。)
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0044】
(1)前記一般式(3)中のXがトリフラートイオンを示し、一般式(4)中のMがリチウム原子を示す請求項3に記載のアルキニルS,N-アセタール誘導体の製造方法。この構成によれば、アルキニルS,N-アセタール誘導体の収率を向上させることができる。
【0045】
(2)前記溶媒はジエチルエーテル又はテトラヒドロフランである請求項3又は上記(1)に記載のアルキニルS,N-アセタール誘導体の製造方法。この構成によれば、一般式(2)で示されるチオホルムアミド、一般式(3)で示されるアルキル化剤及び一般式(4)で示されるアルキニル金属反応剤の反応を溶媒が阻害することなく反応を進行させることができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明のアルキニルS,N-アセタール誘導体によれば、新規化合物であり、新しい生理活性等を有するプロパルギルアミンの原料に用いることができる。
【0047】
請求項2に記載の発明のアルキニルS,N-アセタール誘導体によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、空気中での安定性を向上させることができる。
請求項3に記載の発明のアルキニルS,N-アセタール誘導体の製造方法によれば、一般式(2)で示されるチオホルムアミドと一般式(3)で示されるアルキル化剤とを溶媒に加えた後、さらに一般式(4)で示されるアルキニル金属反応剤を加えるという簡単な操作で、アルキニルS,N-アセタール誘導体を容易に製造することができるとともに収率を向上させることができる。