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明細書 :ポリアセン誘導体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4225827号 (P4225827)
公開番号 特開2004-331534 (P2004-331534A)
登録日 平成20年12月5日(2008.12.5)
発行日 平成21年2月18日(2009.2.18)
公開日 平成16年11月25日(2004.11.25)
発明の名称または考案の名称 ポリアセン誘導体及びその製造方法
国際特許分類 C07C  69/94        (2006.01)
C07C  67/317       (2006.01)
H01B   1/12        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 69/94
C07C 67/317
H01B 1/12 Z
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 23
全頁数 24
出願番号 特願2003-127071 (P2003-127071)
出願日 平成15年5月2日(2003.5.2)
審査請求日 平成17年7月4日(2005.7.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】高橋 保
【氏名】李 志平
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
審査官 【審査官】水島 英一郎
参考文献・文献 特開昭64-079263(JP,A)
特開平11-354277(JP,A)
米国特許第03201424(US,A)
国際公開第01/064611(WO,A1)
特開2000-026339(JP,A)
Photochemistry and Photobiology,Vol. 33, No. 2,149-153
Journal of the American Chemical Society,米国,1988年,110,6186-6192
Journal of the American Chemical Society,米国,2000年,122,12876-12877
Journal of the American Chemical Society,米国,1998年,120,1672-1680
調査した分野 C07C 69/94
C07C 67/317
H01B 1/12
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(Ia)で示されることを特徴とするポリアセン誘導体。
【化1】
JP0004225827B2_000021t.gif
[式中、R1、R2、R3、R45a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であり、
6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基であり、
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の1つ以上が水素原子以外の基である。
【請求項2】
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の2つ以上が水素原子以外の基である請求項に記載のポリアセン。
【請求項3】
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の3つ以上が水素原子以外の基である請求項に記載のポリアセン。
【請求項4】
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の4つ以上が水素原子以外の基である請求項に記載のポリアセン。
【請求項5】
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の5つ以上が水素原子以外の基である請求項に記載のポリアセン。
【請求項6】
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の6つ以上が水素原子以外の基である請求項に記載のポリアセン。
【請求項7】
1及びR2、R3及びR10、R4及びR9、R5a及びR8a、R5b及びR8b、R6及びR7、並びに、A1及びA2のいずれかの組合せが同一の置換基である請求項1~6の何れかに記載のポリアセン誘導体。
【請求項8】
下記式(Ia)で示されるポリアセン誘導体の製造方法であって、
【化2】
JP0004225827B2_000022t.gif
[式中、R1、R2、R3、R45a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10は、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であり、
6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基であり、
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の1つ以上が水素原子以外の基である。
下記式(IId)で示される炭化水素縮合環を
【化3】
JP0004225827B2_000023t.gif
[式中、R1、R2、R3、R45a、R5b、R6、R78a、R8b、R9、R10、A1及び2は、上記の意味を有する。
脱水素試薬の存在下、芳香族化することを特徴とするポリアセン誘導体の製造方法。
【請求項9】
前記脱水素試薬が、下記式(III)で示される化合物である請求項に記載のポリアセン誘導体の製造方法。
【化4】
JP0004225827B2_000024t.gif
[式中、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子又はシアノ基である。]
【請求項10】
前記脱水素試薬が、パラジウムを含む請求項に記載のポリアセン誘導体の製造方法。
【請求項11】
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の2つ以上が水素原子以外の基である請求項に記載のポリアセン誘導体の製造方法。
【請求項12】
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の3つ以上が水素原子以外の基である請求項に記載のポリアセン誘導体の製造方法。
【請求項13】
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の4つ以上が水素原子以外の基である請求項に記載のポリアセン誘導体の製造方法。
【請求項14】
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の5つ以上が水素原子以外の基である請求項に記載のポリアセン誘導体の製造方法。
【請求項15】
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の6つ以上が水素原子以外の基である請求項に記載のポリアセン誘導体の製造方法。
【請求項16】
1及びR2、R3及びR10、R4及びR9、R5a及びR8a、R5b及びR8b、R6及びR7、並びに、A1及びA2のいずれかの組合せが同一の置換基である請求項8~15の何れかに記載のポリアセン誘導体の製造方法。
【請求項17】
下記式(IId)で示されることを特徴とする炭化水素縮合環。
【化5】
JP0004225827B2_000025t.gif
[式中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であり、
6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基であり、
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の1つ以上が水素原子以外の基である。]
【請求項18】
1、R2、R4、R5b、R8b及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であり、
3、R5a、R8a及びR10は、水素原子であり、
6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシカルボニル基;又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基である、請求項17記載の炭化水素縮合環。
【請求項19】
1、R2、R5b及びR8bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1~C10炭化水素基であり、
4及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1~C10アルコキシ基又は置換基を有していてもよいC6~C10アリールオキシ基であり、
3、R5a、R8a及びR10は、水素原子であり、
6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1~C10アルコキシカルボニル基又はC6~C10アリールオキシカルボニル基である、請求項17記載の炭化水素縮合環。
【請求項20】
1、R2、R5b及びR8bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、
4及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であり、
3、R5a、R8a及びR10は、水素原子であり、
6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、又はプロポキシカルボニル基である、請求項17記載の炭化水素縮合環。
【請求項21】
請求項1~の何れかに記載のポリアセン誘導体、又は、請求項8~16の何れかに記載の製造方法で得られたポリアセン誘導体を含む電子材料。
【請求項22】
請求項1~の何れかに記載のポリアセン誘導体、又は、請求項8~16の何れかに記載の製造方法で得られたポリアセン誘導体と、その他の合成有機ポリマーとを含有する樹脂組成物。
【請求項23】
請求項1~の何れかに記載のポリアセン誘導体、又は、請求項8~16の何れかに記載の製造方法で得られたポリアセン誘導体を含む薄膜。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアセン誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機導電材料としてポリアセチレン、ポリピロール、ポリアリレンビニレン、ポリチエニレンビニレンなどの共役系高分子に電子供与性分子または電子受容性分子をドーピングすることによって導電材料が得られることが知られている。またテトラチアフルバレン、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレンなどの電子供与性分子とテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレンなどの電子受容性分子の組合せによる電荷移動錯体が導電性を示すことも知られている。これらの有機導電材料中には高い電導度を有するものもあるが薄膜を形成することが難しく、また、これらの導電材料は大気中で酸化しやすいため安定性に問題があった。
【0003】
また、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン等のポリアセンのような縮合多環芳香族化合物も導電性を示すので、電子材料として用いることが期待されている。また、ポリアセンは、縮合しているベンゼン環の数が増加するにつれて、理論的には、HOMOとLUMOのバンドギャップが減少するので、導電性が増大することが期待される。従って、ドーパントの濃度が小さくても、十分な導電性を示す可能性がある。
【0004】
しかし、ポリアセンのような縮合多環芳香族化合物は、一般に溶解度が限られているので、その合成方法も限られていた。また、縮合多環芳香族化合物の側鎖に、置換基を導入することにより溶解度が改善されることが期待される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本出願の出願人による出願(PCT/JP01/01479)には、縮合しているベンゼン環の数を順次、増加する合成方法が開示されている。この手法により、芳香族環の数が増大しても様々な置換基を導入することができるので、溶解度を向上させることができる。しかしながら、一方の末端のみを官能基化することができたにすぎず、応用範囲が狭いという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1態様では、下記式(I)で示されることを特徴とするポリアセン誘導体が提供される。
【化9】
JP0004225827B2_000002t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9及びR10は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基又は置換基を有していてもよいシリル基であり、R6及びR7の少なくともいずれか一方、並びに、A1及びA2の少なくともいずれか一方は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);トリシアノビニル基;ジシアノビニル基;カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基及びチオイソシアナト基からなる群より選ばれる電子吸引基であり、残りは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であり、
nは、1以上の整数である。]
【0007】
本発明の第2態様では、下記式(I)で示されるポリアセン誘導体の製造方法であって、
【化10】
JP0004225827B2_000003t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9及びR10は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基又は置換基を有していてもよいシリル基であり、R6及びR7の少なくともいずれか一方、並びに、A1及びA2の少なくともいずれか一方は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);トリシアノビニル基;ジシアノビニル基;カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基及びチオイソシアナト基からなる群より選ばれる電子吸引基であり、残りは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であり、nは、1以上の整数である。]下記式(II)で示される炭化水素縮合環を
【化11】
JP0004225827B2_000004t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1、A2及びnは、上記の意味を有する。下記式に示される結合は、単結合又は2重結合を示す。
【化12】
JP0004225827B2_000005t.gif但し、単結合の場合には、R5、R6、R7及びR8に直接結合している炭素原子には、更に水素原子が直接結合している。]脱水素試薬の存在下、芳香族化することを特徴とするポリアセン誘導体の製造方法が提供される。
【0008】
また、本発明の第2態様において、前記脱水素試薬が、下記式(III)で示される化合物であってもよい。
【化13】
JP0004225827B2_000006t.gif[式中、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子又はシアノ基である。]
【0009】
また、本発明の第2態様において、前記脱水素試薬が、パラジウムを含むものであってもよい。
【0010】
本発明の第1態様および第2態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9及びR10の1つ以上が、水素原子以外の基であることが好ましく、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9及びR10の2つ以上が、水素原子以外の基であることが更に好ましい。
【0011】
また、本発明の第1態様および第2態様において、nが1である場合には、少なくともR1、R2、R4及びR9が水素原子以外の基であるか、又は少なくともR3、R5、R8及びR10が水素原子以外の基であってもよい。
【0012】
また、本発明の第1態様および第2態様において、前記ポリアセン誘導体が、下記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体であって、
【化14】
JP0004225827B2_000007t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R9、R10、R6、R7、A1及びA2は、上記の意味を有する。R5a、R5b、R8a及びR8bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基又は置換基を有していてもよいシリル基である。]R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の1つ以上が水素原子以外の基であってもよい。
【0013】
この場合、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の2つ以上が水素原子以外の基であることが好ましく、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の3つ以上が水素原子以外の基であることがより好ましく、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の4つ以上が水素原子以外の基であることが更に好ましく、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の5つ以上が水素原子以外の基であることが更に好ましく、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の6つ以上が水素原子以外の基であることが更に好ましい。
【0014】
また、本発明の第1態様および第2態様において、R1及びR2、R3及びR10、R4及びR9、R5及びR8、R6及びR7、並びに、A1及びA2のいずれかの組合せが同一の置換基であることが好ましい。また、R1及びR2、R3及びR10、R4及びR9、R5a及びR8a、R5b及びR8b、R6及びR7、並びに、A1及びA2のいずれかの組合せが同一の置換基であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の第1態様および第2態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9及びR10の何れかが、置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であってもよい。また、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の何れかが、置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であってもよい。
【0016】
また、本発明の第1態様および第2態様において、R6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基であってもよい。
【0017】
また、本発明の第3態様では、下記式(IId)で示されることを特徴とする炭化水素縮合環が提供される。
【化15】
JP0004225827B2_000008t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基又は置換基を有していてもよいシリル基であり、R6及びR7の少なくともいずれか一方、並びに、A1及びA2の少なくともいずれか一方は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);トリシアノビニル基;ジシアノビニル基;カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基及びチオイソシアナト基からなる群より選ばれる電子吸引基であり、残りは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基である。]
【0018】
本発明の第3態様において、R1、R2、R4、R5b、R8b及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であり、R3、R5a、R8a及びR10は、水素原子であり、R6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシカルボニル基;又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基であることが好ましい。また、R1、R2、R5b及びR8bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1~C10炭化水素基であり、R4及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1~C10アルコキシ基又は置換基を有していてもよいC6~C10アリールオキシ基であり、R3、R5a、R8a及びR10は、水素原子であり、R6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1~C10アルコキシカルボニル基又はC6~C10アリールオキシカルボニル基であることが更に好ましい。また、R1、R2、R5b及びR8bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R4及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であり、R3、R5a、R8a及びR10は、水素原子であり、R6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、又はプロポキシカルボニル基であることがより好ましい。
本発明の第2態様において、上記式(II)で示される炭化水素縮合環が、本発明の第3態様にかかる炭化水素縮合環であってもよい。
【0019】
本発明の第4態様では、本発明の第1態様にかかるポリアセン誘導体、又は、本発明の第2態様で得られたポリアセン誘導体を含む電子材料が提供される。また、本発明の第1態様にかかるポリアセン誘導体、又は、本発明の第2態様で得られたポリアセン誘導体と、その他の合成有機ポリマーとを含有する樹脂組成物が提供される。
本発明の第5態様では、本発明の第1態様にかかるポリアセン誘導体、又は、本発明の第2態様で得られたポリアセン誘導体を含む薄膜が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
【0021】
本発明の第1態様では、下記式(I)で示されることを特徴とするポリアセン誘導体が提供される。
【化16】
JP0004225827B2_000009t.gif[式中、n、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1及びA2は、上記の意味を有する。]
【0022】
1、R2、R3、R4、R5、R8、R9及びR10は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基又は置換基を有していてもよいシリル基である。
【0023】
本明細書において、「C1~C40炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1~C40炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C1~C40炭化水素基」には、C1~C40アルキル基、C2~C40アルケニル基、C2~C40アルキニル基、C4~C40アルキルジエニル基、C6~C18アリール基、C6~C40アルキルアリール基、C6~C40アリールアルキル基、C4~C40シクロアルキル基、C4~C40シクロアルケニル基、(C3~C20シクロアルキル)C1~C20アルキル基などが含まれる。
【0024】
本明細書において、「C1~C40アルキル基」は、C1~C20アルキル基であることが好ましく、C1~C10アルキル基であることがより好ましく、C1~C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「C2~C40アルケニル基」は、C2~C20アルケニル基であることが好ましく、C2~C10アルケニル基であることがより好ましく、C2~C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチルアリル、2-ブテニル等を挙げることができる。
【0026】
本明細書において、「C2~C40アルキニル基」は、C2~C20アルキニル基であることが好ましく、C2~C10アルキニル基であることがより好ましく、C2~C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
【0027】
本明細書において、「C4~C40アルキルジエニル基」は、C4~C20アルキルジエニル基であることが好ましく、C4~C10アルキルジエニル基であることがより好ましく、C4~C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3-ブタジエニル等を挙げることができる。
【0028】
本明細書において、「C6~C18アリール基」は、C6~C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0029】
本明細書において、「C6~C40アルキルアリール基」は、C6~C20アルキルアリール基であることが好ましく、C6~C12アルキルアリール基であることがより好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0030】
本明細書において、「C6~C40アリールアルキル基」は、C6~C20アリールアルキル基であることが好ましく、C6~C12アリールアルキル基であることがより好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0031】
本明細書において、「C4~C40シクロアルキル基」は、C4~C20シクロアルキル基であることが好ましく、C4~C10シクロアルキル基であることがより好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0032】
本明細書において、「C4~C40シクロアルケニル基」は、C4~C20シクロアルケニル基であることが好ましく、C4~C10シクロアルケニル基であることがより好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0033】
本明細書において、「C1~C40アルコキシ基」は、C1~C20アルコキシ基であることが好ましく、C1~C10アルコキシ基であることがより好ましく、C1~C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0034】
本明細書において、「C6~C40アリールオキシ基」は、C6~C20アリールオキシ基であることが好ましく、C6~C10アリールオキシ基であることがより好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0035】
1、R2、R3、R4、R5、R8、R9及びR10で示される「C1~C40炭化水素基」、「C1~C40アルコキシ基」、「C6~C40アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
本明細書において、「置換基を有していてもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0037】
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0038】
上記式(I)は、両末端にそれぞれ少なくとも1つの電子吸引基を持つ。すなわち、上記式(I)中、R6及びR7の少なくともいずれか一方、並びに、A1及びA2の少なくともいずれか一方は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基;置換基を有していてもよいシリル基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);トリシアノビニル基;ジシアノビニル基;カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基;チオシアナト基及びチオイソシアナト基からなる群より選ばれる電子吸引基であり、残りは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基である。
【0039】
シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H)、イソシアノ基、イソシアナト基、チオシアナト基又はチオイソシアナト基は、たとえば、アルコキシカルボニル基から通常の有機化学の手法により変換することができる。また、カルバモイル基(-C(=O)NH2)、ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。)、ホルミル基(-C(=O)-H)などは、シアノ基、アルコキシカルボニル基と互いに変換することができる。
【0040】
本明細書において、「C1~C40アルコキシカルボニル基」は、C1~C20アルコキシカルボニル基であることが好ましく、C1~C10アルコキシカルボニル基であることがより好ましい。アルコキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル等を挙げることができる。
【0041】
本明細書において、「C6~C40アリールオキシカルボニル基」は、C6~C20アリールオキシカルボニル基であることが好ましく、C6~C12アリールオキシカルボニル基であることがより好ましい。アリールオキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル、フェニルフェノキシカルボニル等を挙げることができる。
【0042】
nは、1以上の整数である。nが1及び2の場合には、それぞれ、4環式及び、5環式、即ち、ナフタセン誘導体、及び、ペンタセン等誘導体となる。
【0043】
nは、200以下であってもよく、100以下であってもよく、80以下であってもよく、50以下であってもよく、30以下であってもよく、20以下であってもよく、15以下であってもよく、10以下であってもよい。例えば、下記に説明する製造方法を適用することにより、nの数は2つずつ増加していくので、このスキームを繰り返せばよい。そして、上述したように、置換基を適切に導入することにより、nの数が増大しても溶解度は維持することができるので、nの数を増加させていくことができる。
【0044】
nが1である場合には、上記式(I)中、少なくともR1、R2、R4及びR9が水素原子以外の基であるか、又は少なくともR3、R5、R8及びR10が水素原子以外の基であることが好ましい。
【0045】
本発明において、上記式(I)中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9及びR10の1つ以上が、水素原子以外の基であることが好ましく、2つ以上が、水素原子以外の基であることがより好ましい。上記式(I)で示されるポリアセン誘導体の置換基として水素原子が多く含まれるにつれて、収率が低下する場合があるからである。
【0046】
同様の理由から、nが2である場合、即ち、前記ポリアセン誘導体が、下記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体である場合において、
【化17】
JP0004225827B2_000010t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R9、R10、R6、R7、A1及びA2は、上記の意味を有する。R5a、R5b、R8a及びR8bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;水酸基又は置換基を有していてもよいシリル基である。]
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の1つ以上が水素原子以外の基であることが好ましく、2つ以上が水素原子以外の基であることがより好ましく、3以上が水素原子以外の基であることが更に好ましく、4つ以上が水素原子以外の基であることが更に好ましく、5つ以上が水素原子以外の基であることが更に好ましく、6つ以上が水素原子以外の基であることが更にまた好ましい。
【0047】
本発明において、上記式(I)中、R1及びR2、R3及びR10、R4及びR9、R5及びR8、R6及びR7、並びに、A1及びA2のいずれかの組合せが同一の置換基であることが好ましい。かかるポリアセン誘導体の合成が容易であり、収率が向上するからである。
【0048】
同様の理由により、上記式(Ia)中、R1及びR2、R3及びR10、R4及びR9、R5a及びR8a、R5b及びR8b、R6及びR7、並びに、A1及びA2のいずれかの組合せが同一の置換基であることが好ましい。
【0049】
本発明において、上記式(I)中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9及びR10の何れかが、置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であることが好ましく、置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基であることがより好ましく、置換基を有していてもよいC1~C10アルキル基;置換基を有していてもよいC1~C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C10アリールオキシ基であることが更に好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、フェニルオキシ、ナフチルオキシであることが更に好ましい。
【0050】
また、本発明において、上記式(I)が上記式(Ia)である場合は、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10の何れかが、置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であることが好ましく、置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基であることがより好ましく、置換基を有していてもよいC1~C10アルキル基;置換基を有していてもよいC1~C10アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C10アリールオキシ基であることが更に好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、フェニルオキシ、ナフチルオキシであることが更に好ましい。
また、本発明において、上記式(I)が上記式(Ia)である場合は、R1、R2、R4、R5b、R8b及びR9が、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であり、R3、R5a、R8a及びR10が水素原子であってもよい。この場合は、R1、R2、R5b及びR8bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1~C10炭化水素基であり、R4及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1~C10アルコキシ基又は置換基を有していてもよいC6~C10アリールオキシ基であることが好ましく、R1、R2、R5b及びR8bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R4及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であることが更に好ましい。
【0051】
本発明において、上記式(I)中、R6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC2~C40アルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基であることが好ましく、置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシカルボニル基であることがより好ましく、置換基を有していてもよいC1~C10アルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいC6~C10アリールオキシカルボニル基であることが更に好ましく、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル、フェニルフェノキシカルボニルであることが更に好ましい。
【0052】
本発明の第2態様では、本発明の第1態様にかかるポリアセン誘導体の製造方法の一例が提供され、即ち、下記式(II)で示される炭化水素縮合環を、脱水素試薬の存在下、芳香族化することを特徴とする下記式(I)で示されるポリアセン誘導体の製造方法が提供される。
【化18】
JP0004225827B2_000011t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1、A2及びnは、上記の意味を有する。
下記式に示される結合は、単結合又は2重結合を示す。
【化19】
JP0004225827B2_000012t.gif但し、単結合の場合には、R5、R6、R7及びR8に直接結合している炭素原子には、更に水素原子が直接結合している。]
【0053】
上記式(II)で示される炭化水素縮合環には、たとえば、結合の種類によって、下記式(IIa)、(IIb)及び(IIc)で示される炭化水素縮合環が含まれる。
【0054】
【化20】
JP0004225827B2_000013t.gif【化21】
JP0004225827B2_000014t.gif【化22】
JP0004225827B2_000015t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R5a、R5b、R6、R7、R8、R8a、R8b、R9、R10、A1、A2、及びnは上記の意味を有する。]
【0055】
nが奇数であり、上記式(II)で示される炭化水素縮合環が上記式(IIb)で示される炭化水素縮合環である場合、kは、(n+1)/2で示される整数であり、nが偶数であり、上記式(II)で示される炭化水素縮合環が上記式(IIc)で示される炭化水素縮合環である場合、mは、n/2で示される整数である。
【0056】
式(IIa)で示される炭化水素縮合環の場合には、一つの環が芳香族化されることになる。一方、式(IIb)及び式(IIc)で示される炭化水素縮合環の場合には、2以上の環が芳香族化されることになる。
【0057】
もっとも、上記式(II)で示される炭化水素縮合環には、繰り返し単位中の環が、芳香族環である場合と、芳香族環でない場合がランダムに繰り返される場合も含まれる。
【0058】
式(IIa)で示される炭化水素縮合環から式(I)で示されるポリアセン誘導体までの収率は、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9及びR10に水素原子が多く導入されている場合には、たとえば、これらのうち、4以上が水素原子である場合には、50%ぐらいである。一方、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9及びR10の2以上、特に4以上に水素原子以外の基が導入されている場合には、収率が向上する傾向にある。たとえば、収率は90%以上になることもあり、95%以上になることもある。
【0059】
また、上記の一般式(I)のポリアセン誘導体の製造方法において、前記脱水素試薬が、下記式(III)で示される化合物であることが好ましい。
【0060】
【化23】
JP0004225827B2_000016t.gif[式中、X1、X2、X3、及び、X4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子又はシアノ基である。]
【0061】
上記式(III)で示されるキノンは、上記式(II)で示される化合物と反応して、1,4-ジヒドロキシ-シクロヘキサン誘導体に変換する。
【0062】
上記式(III)で示されるキノンの場合には、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましく、塩素原子又は臭素原子がさらに好ましく、塩素原子がさらになお好ましい。
【0063】
たとえば、X1、X2、X3、及び、X4が全て塩素原子であってもよい。即ち、クロラニルであってもよい。あるいは、X1及びX2がシアノ基であり、X3及びX4が塩素原子であってもよい。即ち、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノキノンであってもよい。X1、X2、X3、及び、X4が全てシアノ基であってもよい。即ち、2,3,5,6-テトラシアノキノンであってもよい。
【0064】
上記式(III)で示されるキノンを用いた場合には、上記式(III)で示されるキノンが更に生成物のポリアセン誘導体とDiels-Alder反応をして、副生成物を生じる場合がある。所望より、カラムクロマトグラフィー等により、副生成物を除去する。
【0065】
上記式(III)で示されるキノンは、このような副生成物の生成を防止するために、上記式(II)で示される化合物の0.9~1.2当量用いることが好ましく、0.9~1.15当量用いることが更に好ましく、0.95~1.05当量用いることが更になお好ましい。
【0066】
溶媒としては、有機溶媒が好ましく、特に、ベンゼン等の芳香族化合物が好ましい。
【0067】
反応温度としては、-80~200℃が好ましく、0~100℃がさらに好ましく、10~80℃が更になお好ましい。所望により、光を遮断して反応を進行させてもよい。
【0068】
また、上記の一般式(I)のポリアセン誘導体の製造方法において、前記脱水素試薬が、パラジウムを含むことが好ましい。たとえば、活性炭のような炭素に担持されたパラジウム、いわゆるパラジウムカーボンとして市販されているものを好適に用いることができる。Pd/Cは、脱水素化に広く用いられている触媒であり、本発明においても従来と同様に用いることができる。反応温度は、たとえば、200~500℃である。もっとも、反応温度は、出発物質等の様々な条件に依存して、適宜、設定すればよい。
【0069】
炭化水素縮合環が5環式である場合には、たとえば、下記のようなスキームで得ることができる。
【化24】
JP0004225827B2_000017t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2は、上記の意味を有する。Mは、周期表の第3族~第5族又はランタニド系列の金属を示し;L1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なって、アニオン性配位子を示し、ただし、L1及びL2は、架橋されていてもよく;Y1及びY2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、脱離基である。]
【0070】
テトラアルキン(XI)に、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジアルキルのようなL12MY12で示される有機金属化合物を作用させ、ビスメタラシクロペンタジエン(XII)を生成させる。L12MY12で示される有機金属化合物からのメタラシクロペンタジエンの生成については、例えば、T. Takahashi et al. J. Org. Chem. 1995, 60, 4444 に記載されており、これと同一又は近似した条件で反応が進行する。
【0071】
溶媒は、脂肪族又は芳香族の溶媒が用いられ、好ましくは、極性溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシドが用いられる。あるいは、芳香族の溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素を用いてもよい。
【0072】
反応は好ましくは-80℃~300℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは0℃~150℃の温度範囲で行われる。圧力は0.1バール~2500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール~10バールの範囲内である。反応は継続的に又はバッチ式で、一段階又はそれより多段階で、溶液中、懸濁液中、気相中又は超臨界媒体中で行える。
【0073】
Mは、周期表の第3族~第5族又はランタニド系列の金属を示す。Mとしては、周期表第4族又はランタニド系列の金属が好ましく、周期表第4族の金属、即ち、チタン、ジルコニウム及びハフニウムが更に好ましい。
【0074】
1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なって、アニオン性配位子を示す。前記アニオン性配位子が、非局在化環状η5-配位系配位子、C1~C20アルコキシ基、C6~C20アリールオキシ基又はジアルキルアミド基であることが好ましい。
【0075】
1及びL2は、非局在化環状η5-配位系配位子であることが好ましい。非局在化環状η5-配位系配位子の例は、無置換のシクロペンタジエニル基、及び置換シクロペンタジエニル基である。この置換シクロペンタジエニル基は例えば、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、イソプロピルシクロペンタジエニル、n-ブチルシクロペンタジエニル、t-ブチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、ジエチルシクロペンタジエニル、ジイソプロピルシクロペンタジエニル、ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、インデニル基、2-メチルインデニル基、2-メチル-4-フェニルインデニル基、テトラヒドロインデニル基、ベンゾインデニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基及びオクタヒドロフルオレニル基である。
【0076】
非局在化環状η5-配位系配位子は、非局在化環状π系の1個以上の原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。水素の他に、周期表第14族の元素及び/又は周期表第15、16及び17族の元素のような1個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0077】
非局在化環状η5-配位系配位子、例えば、シクロペンタジエニル基は、中心金属と、環状であってもよい、一つの又は複数の架橋配位子により架橋されていてもよい。架橋配位子としては、例えば、CH2、CH2CH2、CH(CH3)CH2、CH(C49)C(CH32、C(CH32、(CH32Si、(CH32Ge、(CH32Sn、(C652Si、(C65)(CH3)Si、(C652Ge、(C652Sn、(CH24Si、CH2Si(CH32、o-C64又は2、2'-(C642が挙げられる。
【0078】
2以上の非局在化環状η5-配位系配位子、例えば、シクロペンタジエニル基は、互いに、環状であってもよい、一つの又は複数の架橋基により架橋されていてもよい。架橋基としては、例えば、CH2、CH2CH2、CH(CH3)CH2、CH(C49)C(CH32、C(CH32、(CH32Si、(CH32Ge、(CH32Sn、(C652Si、(C65)(CH3)Si、(C652Ge、(C652Sn、(CH24Si、CH2Si(CH32、o-C64又は2、2'-(C642が挙げられる。
メタラシクロペンタジエンは、二つ以上のメタラシクロペンタジエン部分(moiety)を有する化合物も含む。このような化合物は多核のメタロセンとして知られている。前記多核メタロセンは、いかなる置換様式及びいかなる架橋形態を有していてもよい。前記多核メタロセンの独立したメタロセン部分は、各々が同一種でも、異種でもよい。前記多核メタロセンの例は、例えばEP-A-632063、特開平4-80214号、特開平4-85310、EP-A-654476に記載されている。
【0079】
1及びY2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、脱離基である。脱離基としては、例えば、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン原子、n-ブチル基等のC1-C20アルキル基、フェニル基等のC6-C20アリール基等が含まれる。
【0080】
上記反応は、好ましくは-120℃~50℃、更に好ましくは、-120℃~0℃の温度範囲で行われる。
【0081】
次いで、本発明の一実施形態では、メタラシクロペンタジエン(XII)に2種類のアルキンを反応させ、ベンゼン環を形成し、炭化水素縮合環(XIV)を得る。典型的には、メタラシクロペンタジエン(XII)を単離することなく、反応混合物にアルキンを添加する。
【0082】
ジルコナシクロペンタジエンのようなメタラシクロペンタジエンと、アルキンとを、CuClの存在下で反応させ、ベンゼン環を形成することは、T. Takahashi et al., J.Am.Chem.Soc.1998, 120, 1672-1680に記載されている。これと同一又は近似する条件で反応を進行させることができる。
【0083】
CuClに限られず、金属化合物を用いても良い。金属化合物が、周期表第4~15族の金属化合物であることが好ましい。前記金属化合物が、CuClのような塩であってもいし、有機金属錯体であってもよい。
【0084】
塩としては、例えば、CuX、NiX2、PdX2、ZnX2 、CrX2 、CrX3、CoX2 、若しくは、BiX3(式中、Xは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を示す。)のような金属塩が用いられる。
【0085】
金属化合物は、有機金属錯体、特に、ニッケル錯体を用いてもよい。有機金属錯体としては、周期表3~11族の中心金属、好ましくは周期表6~11族の中心金属に、ホスフィン;ピリジン、ビピリジン等の芳香族アミン、ハロゲン原子等の配位子が配位しているものが好ましく用いられる。中心金属は、いわゆる4~6配位であることが好ましく、周期表10族の金属が更に好ましい。ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等、制限がない。有機金属錯体としては、例えば、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロニッケル、ジクロロ(2,2'-ビピリジン)ニッケル、PdCl2(2,2'- ビピリジン)が挙げられる。ジルコナシクロペンタジエンのようなメタラシクロペンタジエンと、アルキンとを、ニッケルホスフィン錯体の存在下で反応させ、ベンゼン環を形成することは、T.Takahashi et.al. J.Am.Chem.Soc.,Vol.121.,No.48,1999,11095に記載されている。
【0086】
反応は好ましくは-80℃~300℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは0℃~150℃の温度範囲で行われる。圧力は0.1バール~2500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール~10バールの範囲内である。反応は継続的に又はバッチ式で、一段階又はそれより多段階で、溶液中、懸濁液中、気相中又は超臨界媒体中で行える。
【0087】
溶媒は、脂肪族又は芳香族の溶媒が用いられ、好ましくは、極性溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシドが用いられる。
【0088】
反応は、金属化合物を溶媒中で安定化させるための安定化剤の存在下で行われることが好ましい。特に、金属化合物が金属塩であり、かつ、溶媒が有機溶媒のときに、安定化剤が、金属塩を有機溶媒中で安定化させる。安定化剤としては、N,N'-ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、ヘキサメチルホスホアミド等が挙げられる。
【0089】
次いで、上述した芳香族化反応により、炭化水素縮合環(XIV)を芳香族化し、ポリアセン誘導体(Ia)を得る。
【0090】
12MY12で示される有機金属化合物としては、たとえば、下記に掲げる化合物を用いることができる。
【0091】
ビス(シクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(ジイソプロピルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム;
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウム。
【0092】
なお、以下のジクロロ体については、ナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属のような強塩基で還元するか、又は、ジアルキル体に変換する。
ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(ジイソプロピルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム。
【0093】
本発明の第3態様では、下記式(IId)で示されることを特徴とする炭化水素縮合環が提供される。
【化25】
JP0004225827B2_000018t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9、R10、R6、R7、A1及びA2は、上記の意味を有する。]
【0094】
本発明の第3態様において、R1、R2、R4、R5b、R8b及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基であり、R3、R5a、R8a及びR10は、水素原子であり、R6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシカルボニル基;又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基であることが好ましい。
【0095】
本発明の第3態様において、また、R1、R2、R5b及びR8bは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1~C10炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又はプロピル基であることがより好ましい。
また、R4及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1~C10アルコキシ基又は置換基を有していてもよいC6~C10アリールオキシ基であることが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であることがより好ましい。
さらに、R6、R7、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、C1~C10アルコキシカルボニル基又はC6~C10アリールオキシカルボニル基であることが好ましく、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、又はプロポキシカルボニル基であることがより好ましい。
【0096】
本発明の第2態様にかかる製造方法において、上記式(II)で示される炭化水素縮合環が、本発明の第3態様にかかる炭化水素縮合環であってもよい。
【0097】
本発明の第4態様では、本発明の第1態様にかかるポリアセン誘導体、本発明の第2態様で得られたポリアセン誘導体を含む電子材料が提供される。また、本発明の第1態様にかかるポリアセン誘導体、本発明の第2態様で得られたポリアセン誘導体と、その他の合成有機ポリマーとを含有する樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第5態様では、本発明の第1態様にかかるポリアセン誘導体、又は、本発明の第2態様で得られたポリアセン誘導体を含む薄膜が提供される。
【0098】
導電材料の形状には、制限がなく、薄膜であってもよい。導電材料には、ドーパントが含まれていてもよい。たとえば、電子受容性分子を導入してもよい。この場合には、たとえば、真空蒸着法で薄膜を作製する場合、縮合多環芳香族化合物とともに電子受容性分子を基板上に供給して薄膜のドーピングを行うことができる。またスパッタリングで薄膜作製を行う場合、縮合多環芳香族化合物と電子受容性分子の2元ターゲットを用いてスパッタリングを行い、薄膜のドーピングを行うことができる。以上のようにしてドーピングを行い導電材料の組成はドーピングの条件によって変化させることが可能である。ドーパントとしては、たとえば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアリレンビニレン、ポリチエニレンビニレンなどの共役系高分子にドーパントとして用いられる電子供与性分子または電子受容性分子を好ましく用いることができる。
【0099】
導電材料が薄膜の場合には、膜厚は利用する目的により50オングストロームからミクロンオーダーまで作製が可能である。必要に応じて、薄膜上にドーパントの拡散・飛散防止、機械的強度増加のための保護層や他の材料の層を設けることができる。また、薄膜を応用した機能材料として、本発明の薄膜と他の材料の薄膜の多層膜を用いることもできる。
【0100】
導電材料の導電性は通常の方法である直流二端子法、直流四端子法により評価できる。この電導度は使用する目的に応じてドーパントの種類、含量によって変化させることができる。本発明の導電材料の電導度は、たとえば、1015S/cm以上である。
【0101】
本発明で提供される樹脂組成物は、例えば、ブレンドであってもよい。例えば、1重量%~99重量%のポリアセン誘導体と、99重量%~1重量%の合成有機ポリマーとを含有する樹脂組成物が提供される。また、10重量%~90重量%のポリアセン誘導体と、90重量%~10重量%の合成有機ポリマーとを含有する樹脂組成物も提供される。
【0102】
合成有機ポリマーには、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、エンジニアリングプラスチックス、導電性ポリマーなどが含まれる。また、合成有機ポリマーは、コポリマーであってもよい。熱可塑性ポリマーには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、エチレン-プロピレンコポリマー等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等が含まれる。熱硬化性ポリマーには、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂が含まれる。エンジニアリングプラスチックには、例えば、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン等が含まれる。合成有機ポリマーは、スチレン-ブタジエン等の合成ゴム、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂であってもよい。
【0103】
導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアリレンビニレン、ポリチエニレンビニレンなどの共役系高分子、若しくはそれらに電子供与性分子または電子受容性分子をドーピングしたものが挙げられる。さらに、導電性ポリマーとしては、テトラチアフルバレン、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレンなどの電子供与性分子、若しくは、それらとテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレンなどの電子受容性分子の組合せによる電荷移動錯体が挙げられる。
【0104】
この樹脂組成物には、更に、種々の添加剤が含まれていても良い。添加剤としては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、ドーパントなどが挙げられる。更に、樹脂組成物には、ガラスファイバー、カーボンファイバー、アラミド繊維、ボロン繊維、カーボンナノチューブ等の強化材が含まれていても良い。
【0105】
上記樹脂組成物は、当業者に公知の方法を用いて、繊維、フィルム又はシートといった薄膜の形態にすることができ、制限するわけではないが、この方法には、溶融紡糸、溶液からの紡糸、乾燥ジェット湿式紡糸、押出法、流延法、及び成形法がある。繊維、フィルム又はシートは、圧延成形、型押、二次成形又は当業者に公知の他の方法により更に加工される。
【0106】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0107】
参考例1
【化26】
JP0004225827B2_000019t.gifテトラメチル 5,7,12,14-テトラヒドロ-6,13-ジメトキシ-1,4,8,11-テトラプロピルペンタセン-2,3,9,10,-テトラカルボキシレート
Cp2ZrCl2 (702mg, 2.4mmol)及びn-BuLi (4.8 mmol)を反応させて得られたビス(η5-シクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウムのTHF溶液に、2,3,5,6-テトラ(2-ヘキシニル)-1,4-ジプロピルベンゼン(459mg, 1.0 mmol)を、-78℃にて加えた。反応混合物を3時間かけて室温まで昇温させた。続いて、反応混合物に、CuCl(440mg, 4.4mmol)、DMAD(ジメチル アセチレンジカルボキシレート,6.0mmol)及びDMPU(N,N'-ジメチルプロピレンウレア、8.0mmol)を0℃にて加えた。得られた混合物を同じ温度で48時間放置した。次いで、3N塩酸を添加して反応を終了させ、エーテルで抽出した。有機相を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濃縮した後、残渣について、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーをして、表題化合物(60%)を黄色固体として得た。
【0108】
実施例1
【化27】
JP0004225827B2_000020t.gifテトラメチル 6,13-ジメトキシ-1,4,8,11-テトラプロピルペンタセン-2,3,9,10-テトラカルボキシレート
参考例1で得られたテトラメチル 5,7,12,14-テトラヒドロ-6,13-ジメトキシ-1,4,8,11-テトラプロピルペンタセン-2,3,9,10,-テトラカルボキシレート(0.08 mmol, 60mg)のトルエン溶液(10 mL)に、p-クロラニル(0.24 mmol, 59 mg)を加え、反応混合物を36時間加熱還流した。続いて、トルエンを吸出した。窒素雰囲気下でカラムクロマトグラフィーを行い(EA/ヘキサン=1:60)、表題化合物を得た。深緑色固体(60%)。
【0109】
1H NMR (CDCl3) δ1.19(t, J = 7.4Hz, 12H), 1.90-2.10 (m, 8H), 3.20-3.35 (m, 8H), 3.95 (s, 12H), 4.36(s, 6H), 9.25 (s,4H); 13C NMR(CDCl3) δ15.20, 25.13, 33.02, 52.88, 64.37, 120.98, 124.06, 127.79, 130.29,138.61, 149.54, 169.88。
【0110】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリアセンの側鎖に置換基が導入されることで、溶解度が向上するのみならず、ポリアセンの両方の末端を官能基化することができたので、両末端を様々に修飾することが可能となり、導電材料、樹脂組成物として、あるいは薄膜等の各種形態を採用できる等、その応用範囲を広げることができる。