TOP > 国内特許検索 > 有機物のガス化方法 > 明細書

明細書 :有機物のガス化方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4304237号 (P4304237)
公開番号 特開2003-201486 (P2003-201486A)
登録日 平成21年5月15日(2009.5.15)
発行日 平成21年7月29日(2009.7.29)
公開日 平成15年7月18日(2003.7.18)
発明の名称または考案の名称 有機物のガス化方法
国際特許分類 C10L   3/06        (2006.01)
B01J   3/00        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
C01B   3/50        (2006.01)
C02F  11/08        (2006.01)
C08J  11/14        (2006.01)
C08J  11/16        (2006.01)
C01B   3/02        (2006.01)
FI C10L 3/00 ZABA
B01J 3/00 A
B09B 3/00 304Z
C01B 3/50
C02F 11/08
C08J 11/14
C08J 11/16
C01B 3/02 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 12
出願番号 特願2002-277949 (P2002-277949)
出願日 平成14年9月24日(2002.9.24)
優先権出願番号 2001290003
優先日 平成13年9月21日(2001.9.21)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成14年9月24日(2002.9.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】佐古 猛
【氏名】岡島 いづみ
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
審査官 【審査官】近藤 政克
参考文献・文献 特開2001-115174(JP,A)
特開平06-299169(JP,A)
化学工学会秋季大会研究発表講演要旨集,2001年 8月,34th,p.299
調査した分野 C10L 3/06
B01J 3/00
B09B 3/00
C01B 3/50
C02F 11/08
C08J 11/14
C08J 11/16
C01B 3/02
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
プラスチックを、反応圧力5~50MPa、反応温度500~800℃で水素活性化金属からなる金属触媒及び酸化剤の存在下において、亜臨界水又は超臨界水と接触させて水素とメタンの生成比を制御する有機物のガス化方法であって、
前記酸化剤を、乾燥状態の前記プラスチック100重量部当り5~100重量部含有させることを特徴とする有機物のガス化方法
【請求項2】
1.5~50MPaの条件下で200~500℃の温度に加熱して可溶化させた後、前記亜臨界水又は超臨界水と接触させることを特徴とする請求項1に記載の有機物のガス化方法。
【請求項3】
有機物と水を含む被処理原料をガス化する方法において、
該被処理原料を、1.5~50MPaの条件下で200~500℃の温度に加熱して可溶化させる可溶化工程、
該可溶化物を、反応圧力5~50MPa、反応温度500~800℃、前記有機物に対して20~100wt%の水溶性アルカリ性物質からなるアルカリ触媒の存在下で亜臨界水又は超臨界水と接触させて水素とメタンの生成比を制御する有機物のガス化工程、
該ガス化工程で得られたガス化生成物を冷却し、減圧した後、気液分離する気液分離工程、
該気液分離工程で得られたガスを、少なくとも水素とメタンと二酸化炭素ととに分離するガス分離工程、
該気液分離工程で得られた液体を、固液分離する固液分離工程、
を包含することを特徴とする有機物のガス化方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物を水素を含む有用ガスに変換させる有機物のガス化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃自動車、廃家電製品および廃電線などの処理工程から排出されるシュレッダーダストなどのプラスチック混合廃棄物、あるいは臭素化難燃プラスチックなどは、塩素や臭素などのハロゲン原子を含んでいるために、焼却処理過程でダイオキシン類の生成が懸念されることから、現在は大部分が埋立処理されている。また、ガラス繊維強化プラスチックや水酸化マグネシウムなどを含有する廃プラスチックは、焼却時に炉壁をいためたりするために、同様に埋立処理されている。しかし、近年、埋立地の確保が難しくなってきており、また、確保できたとしても、周囲の環境悪化を招く恐れがあるために、難処理廃プラスチックの安全で経済的な処理方法の碓立が急務とされている。これまでに廃プラスチックの様々なリサイクル法が検討されているが、ハロゲン原子を含んだプラスチックやガラス繊維などの添加物を含有するプラスチックおよびプラスチック混合廃棄物の経済的なリサイクル技術に関するものはほとんどない。
【0003】
プラスチック等の有機物質のガス化に関しては、すでにいくつかの関連特許がある。特開2001-19402号公報(特許文献1)では、超臨界水に酸化カルシウムや水酸化カルシウム等の二酸化炭素吸収剤多量を加えて石炭やプラスチックから水素を製造する方法が提案されている。しかし、この方法の場合、ガス化反応で副生する二酸化炭素を除去するために多量の非水溶性のCaOやCa(OH)等の二酸化炭素吸収剤を反応系に加えるので、反応効率が悪くなる上、ガス化生成物からその二酸化炭素吸収剤を高純度で分離回収し、再使用することに大きな困難を生じる等の問題がある。
また、特開2000-239672号公報(特許文献2)では、石炭等の炭素資源のガス化を3段階の反応で行う方法が記載されているが、この方法の場合、装置コストが高くなる等の問題を含むものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開2001-19402号公報
【特許文献2】
特開2000-239672号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プラスチックや食品廃棄物等の有機物を効率よくかつ簡易にガス化させる方法を提供することをその課題とする。
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下に示すガス化方法が提供される。
(1)プラスチックを、反応圧力5~50MPa、反応温度500~800℃で水素活性化金属からなる金属触媒及び酸化剤の存在下において、亜臨界水又は超臨界水と接触させて水素とメタンの生成比を制御する有機物のガス化方法であって、酸化剤を、乾燥状態のプラスチック100重量部当り5~100重量部含有させる有機物のガス化方法
(2)有機物と水を含む被処理原料をガス化する方法において、被処理原料を、1.5~50MPaの条件下で200~500℃の温度に加熱して可溶化させる可溶化工程、可溶化物を、反応圧力5~50MPa、反応温度500~800℃、有機物に対して20~100wt%の水溶性アルカリ性物質からなるアルカリ触媒の存在下で亜臨界水又は超臨界水と接触させて水素とメタンの生成比を制御する有機物のガス化工程、ガス化工程で得られたガス化生成物を冷却し、減圧した後、気液分離する気液分離工程、気液分離工程で得られたガスを、少なくとも水素とメタンと二酸化炭素ととに分離するガス分離工程、気液分離工程で得られた液体を、固液分離する固液分離工程、を包含することを特徴とする有機物のガス化方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の有機物には、常温で固体状を示す各種の有機物が包含される。このような有機物には、低分子有機化合物、高分子有機化合物(プラスチック、ゴム、多糖類等)、有機廃棄物(家畜糞尿、バガス、下水汚染の他、生ごみやビール粕、酒粕、しょう油粕、しょうちゅう粕等の食品廃棄物等)等が挙げられる。
有機物の形状は、粉末や塊状等の各種の形状であることができ、特に制約されない。
【0008】
プラスチック(樹脂)としては、従来公知の各種のものが挙げられる。このようなものには、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体、フェノキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド、ポリエステル、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂、グアナミン樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂、さらに、セルロースや蛋白質などの天然高分子が包含される。
これらのプラスチックは、難燃化剤や充填剤等の各種の添加剤を含有するものであることができる。本発明で用いるプラスチックは、好ましくは、廃棄プラスチックである。
プラスチックは、粉体の他、フィルム、板体、容器等の成形物であることができる。成形物の場合、これを粉砕して粉砕物の形状で被処理原料として用いることができる。その寸法はできるだけ小さい寸法であることが望ましいが、通常、20mm以下、好ましくは10mm以下である。その下限値は、特に制約されないが、通常、2mm程度である。
【0009】
本発明においては、被処理原料として用いる有機物を、水素活性化金属からなる金属触媒及び/又は水溶性アルカリ性物質からなるアルカリ触媒の存在下において、亜臨界水又は超臨界水と接触させる。
本発明で用いる水素化活性金属(触媒金属)としては、従来公知の各種の遷移金属が用いられる。このようなものには、Cu、Ti、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、Re等の金属が包含される。本発明では、特に、8族金属を好ましく用いることができる。
本発明で用いる触媒金属はそれ単独で用いることも可能であるが、通常は、担体に担持させた担持触媒として用いられる。担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、チタニア、マグネシア等の金属酸化物の他、ゼオライト、セピオライト、粘土等の多孔性無機物を挙げることができる。担体に担持させる方法としては、含浸法等の従来公知の各種の方法を用いることができる。
担体に触媒金属を担持させた触媒において、その触媒金属の含有量は、全触媒中、5~70重量%、好ましくは10~30重量%である。触媒金属の形態は、金属状態の他、酸化物や硫化物等であることができる。触媒の寸法は、0.2~3mm、好ましくは0.5~1mmである。
【0010】
本発明で用いる水溶性アルカリ性物質からなるアルカリ触媒において、該アルカリ性物質には、NaOH、NaCO、NaHCO、KOH、KCO、KHCO等を挙げることができる。
本発明では、このアルカリ触媒は、前記金属触媒と併用することができる。
【0011】
本発明においては、有機物は、水素を含むガスに変換される。この場合のガス化反応を示すと、以下の通りである。
CmHn + mH2
→ mCO + (n/2+m)H2 (1)
CO + H2O → CO2 + H2 (2)
CO + 3H2O → CH4 + H2O (3)
【0012】
亜臨界水又は超臨界水の使用割合は、有機物100重量部(乾燥物基準、以下同じ)当り、300~5000重量部、好ましくは500~2000重量部である。触媒の使用割合は、水素化活性金属からなる金属触媒の場合、触媒金属量で、有機物100重量部当り、5~100重量部、好ましくは10~60重量部である。アルカリ触媒の場合、有機物100重量部当り、5~100重量部、好ましくは10~80重量部である。
【0013】
本発明のガス化反応温度は400~1000℃、好ましくは500~800℃、反応圧力は水の亜臨界圧力以上(5MPa以上)、特に超臨界圧力以上(22.1MPa以上)である。その上限値は50MPa、好ましくは40MPaである。本発明では、反応圧力は、一般的には、5~50MPa、好ましくは10~40MPaである。反応時聞は1分~120分、好ましくは10分~30分である。本発明によれば、有機物は熱分解し、さらに亜臨界水又は超臨界水と反応して水素、メタン、二酸化炭素を主成分とするガスを生成する。本発明では、この時水素とメタンの生成比を制御することが可能である。水素の生成割合を上げるためには、反応温度が高いほど、また、水/有機物の仕込比が大きいほど有利である。また、本発明では分解・ガス化溶媒として亜臨界水又は超臨界水を使用しているので、反応時に有害なダイオキシン類が副生することを完全に抑制できる。生成ガスとして、水素、二酸化炭素の他、メタンなどの低級炭化水素などからなる混合ガスが得られる。この混合ガスは、これをアルカリ溶液中に流通することにより、二酸化炭素を吸収・除去し、水素、メタンなどの燃料あるいは化学原料として有用なガスを主成分とする混合ガスを得ることができる。
【0014】
本発明を実施する場合、亜臨界水又は超臨界水中には、有機物の分解を促進させるために、酸化剤を含有させることができる。酸化剤としては、空気、酸素、過酸化水素、オゾン等が挙げられる。酸化剤の使用量は、有機物(乾燥物)100重量部当り、5~100重量部、好ましくは10~50重量部である。
酸化剤として空気又は酸素を用いる場合、その反応器における酸素分圧は、1~20MPa、好ましくは1~10MPaである。
【0015】
本発明により有機物のガス化を行う場合、有機物は、これをあらかじめ亜臨界水~超臨界水条件に保持して可溶化した後、亜臨界水又は超臨界水に接触させるのが好ましい。この場合、有機物の可溶化は、具体的には、有機物を水の存在下で1.5~50MPa、好ましくは3~30MPaの圧力下で200~500℃、好ましくは300~400℃に加熱することにより実施することができる。水の使用割合は、有機物100重量部当り、100~5000重量部、好ましくは200~2000重量部の割合である。また、その水には、触媒、好ましくはアルカリ触媒を含有させるのが好ましい。
【0016】
次に、本発明の実施態様について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を実施する場合のフローシートの1つの例を示す。
このフローシートに従って有機物をガス化するには、被処理原料である有機物(廃プラスチック等)は、前処理装置1において、脱ハロゲン処理される。この脱ハロゲン処理は、従来公知の方法により実施することができる。例えば、被処理原料を、大気圧下、温度100~450℃、好ましくは200~400℃程度に加熱する。これにより、有機物中に含まれたハロゲン(塩素、臭素等)は、ハロゲン化水素として除去される。被処理原料がハロゲン含有量の少ないものである場合には、この前処理装置1は必要とされない。
【0017】
ハロゲンの除去された有機物は、亜臨界水又は超臨界水ガス化槽2において、ガス化される。このガス化槽2においては、水はその超臨界条件に保持されており、この亜臨界水又は超臨界水中には、触媒が含まれている。
このガス化槽2でプラスチックのガス化により生成したガスは、ガス分離塔3に導入される。このガス分離塔3は、CO2を選択的に分離する分離膜を有する分離装置であることができる。このガス分離塔3においては、水素やメタンからなるガスと、CO2とが分離される。
【0018】
ガス分離塔3は、CO2吸収剤を充填した充填塔であることができる。CO2吸収剤としては、酸化カルシウムや、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、シリカ/アルミナ等が挙げられる。
【0019】
亜臨界水又は超臨界水ガス化槽2においては、ガス化されなかった残渣(金属、ガラス等)が排出される。またこのガス化槽2においては、槽内の水を亜臨界又は超臨界圧以上に保持するために、その槽内の水の一部を抜出し、高圧ポンプにより加圧してガス化槽2に圧入させる。
【0020】
本発明によると、有機物を、水素、メタン、CO2等のガスに分解させることができる。プラスチック中に窒素原子が存在する場合には、窒素ガスやアンモニアガスが副生する。
【0021】
被処理原料がハロゲンを含有する場合には、ガス化槽2の亜臨界水又は超臨界水には、水溶性アルカリ(NaOH、Na2CO、NaHCO等)をあらかじめ添加しておき、ハロゲンをこのアルカリと反応させることによって除去することができる。この場合には、前処理装置1を省略することが可能である。
【0022】
次に、本発明を実施する場合のフローシートの他の例を図2に示す。
図2に示されたフローシートに従って有機物を連続ガス化するには、アルカリ触媒を含む水をそのタンク11からライン31及びポンプ15、ライン34、ライン35を通って亜臨界水又は超臨界水ガス化槽17に導入し、亜臨界又は超臨界条件に保持する。また、水とアルカリ触媒を含む有機物を、タンク12からライン32、亜~超臨界水可溶化槽13に導入させ、ここで有機物を可溶化させた後、ライン33、ポンプ16及びライン35を通って、超臨界ガス化槽17に導入する。
亜臨界水又は超臨界水は、ガス化槽17で作ってもよいが、あらかじめ別の装置で作り、これをガス化槽17に導入することもできる。
【0023】
亜臨界水又は超臨界水ガス化槽においては、有機物と亜臨界水又は超臨界水とが触媒の存在下で触媒反応して、有機物はガス化される。
【0024】
この有機物のガス化生成物は、触媒とともに、ライン36を通ってガス化槽17から排出させ、冷却器18、ライン37を通り、さらに背圧弁19を通って減圧されて気液分離器20に導入する。
【0025】
気液分離器20で分離されたガス(気体)は、これをガス分離塔21に送り、ここで、水素、メタン及び二酸化炭素(CO)に分離する。一方、気液分離器20で分離された液体は、ライン39を通って固液分離器22送り、ここでアルカリ触媒を含む水と残渣とに分離する。触媒を含む水は、タンク11に送り、再利用する。
【0026】
前記可溶化槽13においては、可溶化しないものを残渣として分離する。このような残渣には、金属、ガラス、砂等が包含される。
【0027】
気液分離器20において、その温度は、20~100℃、好ましくは25~60℃であり、その圧力は0.1~10MPa、好ましくは0.1~8MPaである。
【0028】
亜臨界水又は超臨界水ガス化槽17において、その温度は400~1000℃、好ましくは500~800℃であり、その圧力は5~50MPa、好ましくは10~40MPaである。
【0029】
亜~超臨界水可溶化槽13において、その温度は200~500℃、その圧力は1.5~50MPaである。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例では、廃自動車の処理工程から排出されたシュレッダーダスト、及びその主要構成成分であるポリエチレンと、前処理により脱塩化水素したポリ塩化ビニル(ポリエンと呼ぶ)等の有機物を使用した。
【0031】
参考例1
ポリエチレン0.05gとニッケル系触媒0.01gを分解・ガス化反応器に充填し、650℃、30MPaの超臨界水によりポリエチレンを分解・ガス化した。この時の反応時間は10分又は30分だった。実験結果を表1のNo.1、No.2に示す。表1からわかるように、ポリエチレンを超臨界水で処理すると100%分解し、水素、メタン、二酸化炭素が主成分の混合ガスが得られること、反応時間が10分の場合でもポリエチレンは100%分解し、ガスの生成量と組成は30分の場合とほぼ同じことから、短時間に完全にガス化することがわかった。
【0032】
【表1】
JP0004304237B2_000002t.gif【0033】
参考例2
前処理により脱塩化水素処理を行ったポリエン0.05gとニッケル系触媒又はアルカリ触媒(Na2CO3)0~0.05gを分解・ガス化反応器に充填し、650℃、30MPaの超臨界水によりガス化反応を行った。この時の反応時間は30分だった。実験結果を表2のNo.3~No.7に示す。No.3に示すように、触媒を添加しないと分解率は35%とかなり低く、ガス生成量も250ml/g-樹脂と少なかったが、触媒を加えると分解・ガス化が促進され、触媒量の増加とともに分解率・ガス生成量が増加した。また、触媒量が増加すると、生成ガス中の水素と二酸化炭素の生成量は増加したが、メタンの量は横ばいだった。
【0034】
実施例1
ポリエン0.05gとアルカリ触媒の炭酸ナトリウム0.02gを分解・ガス化反応器に充填し、650℃、30MPaの超臨界水によりガス化反応を行った。この時の反応時間は30分だった。実験結果を表2のNo.8に示す。ポリエンに対して同じ重量分率のニッケル触媒を加えた時と比較して、分解率は少し低い程度だったが、水素、メタン、二酸化炭素の生成量は大幅に減少した。これは低分子化の程度が小さいためにかなりの量の分解生成物が水溶性オリゴマーとして水中に残存し、ガス化されなかったためである。
【0035】
【表2】
JP0004304237B2_000003t.gif【0036】
実施例2
前処理により構成ポリマー中のポリ塩化ビニルの脱塩化水素を行ったシュレッダーダスト0.05gとニッケル触楳0.01gを分解・ガス化反応器に充填し、650~800℃、30MPaの超臨界水によりガス化反応を行った。この時の反応時間は30分だった。実験結果を表3のNo.9、No.10に示す。No.9に示すように、650℃の時の樹脂分解率は77%とかなり高い値が得られたが、単位樹脂重量当たりのガス生成量は少なかった。これは、実施例3のNo.8と同様に、相当量の分解生成物が水中に残存したためである。このために、反応温度を800℃まで上げて分解・ガス化を行った。その時の結果をNo.10に示す。反応温度の上昇により、プラスチックの低分子化・ガス化が促進され、高い分解率とガス生成量が得られた。
【0037】
実施例3
シュレッダーダストの処理条件を緩和するために、酸化剤を添加して分解・ガス化を行った。すなわち、脱塩素化したシュレッダーダスト0.05gとニッケル触媒0.01gを分解・ガス化反応器に充填し、酸化剤として空気を混合して、超臨界水によりガス化反応を行った。この時の反応温度は650℃、反応圧力は30MPa、反応時間は30分だった。実験結果を表3のNo.11に示す。酸化剤の添加により、シュレッダーダスト中のプラスチックの部分酸化反応が起こり、後続するガス化が大幅に促進された。その結果、No.10の800℃の時に匹敵するガス生成量が得られた。一方、酸化剤により生成ガス中の一部の水素とメタンの酸化が起こった結果、これらのガスの生成割合は少し下がり、逆に二酸化炭素の割合が増加した。
【0038】
【表3】
JP0004304237B2_000004t.gif【0039】
実施例4
ポリエンと各種触媒を分解・ガス化反応器に充填し、700℃、30MPaの超臨界水によりガス化を行った。このときの反応時間は30分だった。実験結果を表4に示す。水素生成量に関して、No.12のニッケル触媒と比較して、ナトリウムイオンを含む触媒では、No.13の水酸化ナトリウムの時に約80%、No.14と15の炭酸塩、炭酸水素塩では約50%の水素が生成した。一方カリウムイオンを含む触媒では、No.16の水酸化カリウムの時にはニッケル触媒を用いた時の約96%、No.17の炭酸塩では80%、No.18の炭酸水素塩では70%の水素が得られた。
【0040】
【表4】
JP0004304237B2_000005t.gif【0041】
実施例5
生ごみと各種触媒を分解・ガス化反応器に充填し、650℃、30MPaの超臨界水によりガス化を行った。このときの反応時間は30分だった。実験結果を表5に示す。No.19に示すようにニッケル触媒を用いた時が水素生成量が最も多かった。またNo.20と23のようなアルカリ触媒、No.21と24のような炭酸塩、No.22と25のような炭酸水素塩を用いると、ニッケル触媒の35~77%の水素を発生した。
【0042】
【表5】
JP0004304237B2_000006t.gif【0043】
実施例6
図2に示す違続式超臨界水ガス化フローシートに従って、触媒として安価なアルカリ、アルカリ炭酸塩又はアルカリ炭酸水素塩を用いて、ポリエチレンを超臨界水ガス化した。可溶化槽13の温度は350℃、圧力は飽和蒸気圧の16.5MPa、ガス化糟17の温度は700℃、圧力は30MPa、滞留時間30分だった。可溶化槽に仕込んだポリエチレンは100g、水は500g、触媒は20g、可溶化槽からの可溶化ポリエチレン+水+触媒混合液の供給速度は1.54g/分、超臨界水ガス化糟上部からの追加用の水の供給速度は1ml/分だった。この時の生成ガス量を表6のNo.26~No.31に示す。表6からわかるように、ポリエチレンを分解・ガス化すると水素、メタンを主成分とする混含ガスが得られること、KOH、K2CO3、NaOHの場合、ニッケル触蝶を用いた同一反応条件の水素生成量274ml/分に匹敵する水素が得られることがわかった。
【0044】
【表6】
JP0004304237B2_000007t.gif【0045】
実施例7
図2に示す連続式式超臨界水ガスフローシートに従って、触媒として水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムを用いてポリエチレンを超臨界水ガス化した。可溶化槽の温度は350℃、圧力は飽和蒸気圧の16.5MPa、ガス化糟の温度は700℃、圧力は30MPa、滞留時間30分だった。可溶化槽に仕込んだポリエチレンは100g、水は500g、触媒は20~100g、可溶化槽からの可溶化ポリエチレン+水+触媒混合液の供給速度は1.54g/分、超臨界水ガス化槽上部からの追加用の水の供給速度は1ml/分だった。水素生成量に対する触媒添加量の効果を表7のNo.32~No.37に示す。表7からわかるように、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムともに触媒量を増やすと水素生成量が大幅に増加することがわかった。
【0046】
【表7】
JP0004304237B2_000008t.gif【0047】
実施例8
図2に示す連続式超臨界水ガス化フローシートに従って、触媒として水酸化カリウムを用いてシュレッダーダストを超臨界水ガス化した。可溶化槽の温度は350℃、圧力は飽和蒸気庄の16.5MPa、ガス化槽の温度は700℃、圧力は30MPa、滞留時間は30分だった。可溶化槽に仕込んだシュレッダーダスストは100g、水は500g、触媒は100g、可溶化槽からの可溶化シュレッダーダスト+水+触媒混合液の供給速度は1.54g/分、超臨界水ガス化槽上部からの追加用の水の供給速度は1ml/分だった。この時のガス生成量は、シュレッダーダスト供給量0.256g/分に対して水素212ml/分、メタン65ml/分、二酸化炭素116ml/分、エタン9ml/分だった。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、有機物を水素を含むガスに効率よくかつ簡便に分解ガス化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する場合のフローシートの1例を示す。
【図2】本発明を実施する場合のフローシートの他の例を示す。
【符号の説明】
[図1]
1 前処理装置
2 超臨界水ガス化槽
3 ガス分離塔
[図2]
13 亜~臨界水可溶化槽
17 超臨界水ガス化槽
20 気液分離器
21 ガス分離塔
22 固液分離器
図面
【図1】
0
【図2】
1