TOP > 国内特許検索 > 造影用X線管及びそれを用いたX線造影装置とX線造影方法 > 明細書

明細書 :造影用X線管及びそれを用いたX線造影装置とX線造影方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3972986号 (P3972986)
公開番号 特開2004-349083 (P2004-349083A)
登録日 平成19年6月22日(2007.6.22)
発行日 平成19年9月5日(2007.9.5)
公開日 平成16年12月9日(2004.12.9)
発明の名称または考案の名称 造影用X線管及びそれを用いたX線造影装置とX線造影方法
国際特許分類 H01J  35/08        (2006.01)
A61B   6/00        (2006.01)
G21K   5/02        (2006.01)
G21K   5/08        (2006.01)
FI H01J 35/08 B
A61B 6/00 300B
G21K 5/02 X
G21K 5/08 X
請求項の数または発明の数 7
全頁数 10
出願番号 特願2003-144054 (P2003-144054)
出願日 平成15年5月21日(2003.5.21)
審査請求日 平成15年5月21日(2003.5.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】佐藤 英一
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
審査官 【審査官】安田 明央
参考文献・文献 特開2001-008924(JP,A)
特開2002-313267(JP,A)
調査した分野 A61B 6/00-6/14
H05G 1/00-2/00
H01J 35/08
G21K 5/02
G21K 5/08
特許請求の範囲 【請求項1】
ヨウ素を造影剤としてドープした被写体を造影用X線源とX線撮像器とで挟んで高分解能被写体造影に用いる造影用X線管であって、
環状の炭素冷陰極と、セリウムからなる棒状の対陰極と、環状の炭素冷陰極と対陰極とを含む空間を満たす放電用の気体と、を有し、
気体放電により上記対陰極物質を蒸発させてプラズマを形成し、このプラズマから特性X線を発生させ、
上記特性X線により上記被写体を透過させ、その際得られる透過X線強度のコントラストの解像度が50μm未満となることを特徴とする、造影用X線管。
【請求項2】
前記造影用X線管は、前記炭素冷陰極と対陰極とを含む空間に前記気体を導入して使用する組立型であることを特徴とする、請求項に記載の造影用X線管。
【請求項3】
ヨウ素を造影剤としてドープした被写体を挟んで配置される造影用X線管とX線撮像器とからなるX線造影装置であって、
上記造影用X線管が、環状の炭素冷陰極と、セリウムからなる棒状の対陰極と、上記環状の炭素冷陰極と対陰極とを含む空間を満たす放電用の気体とを有し、気体放電により上記対陰極物質を蒸発させてプラズマを形成し、このプラズマからセリウムの特性X線を発生させるようになっており、
上記造影用X線管からの特性X線は上記被写体を透過し、
透過X線強度のコントラストにより上記被写体にドープされている造影剤を、50μm未満の解像度で造影できることを特徴とする、X線造影装置。
【請求項4】
前記造影用X線管は、陰極と対陰極を内包する真空容器を真空引きして使用する組立型であることを特徴とする、請求項に記載のX線造影装置。
【請求項5】
前記X線撮像器は、X線写真フィルムであることを特徴とする、請求項に記載のX線造影装置。
【請求項6】
ヨウ素を造影剤としてドープした被写体を挟んで配置される造影用X線管とX線撮像器とを用いたX線造影方法であって、
上記造影用X線管が、環状の炭素冷陰極と、セリウムからなる棒状の対陰極と、上記環状の炭素冷陰極と対陰極とを含む空間を満たす放電用の気体と、を有し、
気体放電により上記対陰極物質を蒸発させてプラズマを形成し、このプラズマからセリウムの特性X線を発生させるようになっており、
被写体に対して造影用X線管からの特性X線を透過させ、
透過X線強度のコントラストにより上記被写体にドープされている造影剤を、50μm未満の解像度で造影することを特徴とする、X線造影方法。
【請求項7】
前記X線撮像器は、X線写真フィルムであることを特徴とする、請求項に記載のX線造影方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療分野等において用いる造影用X線管及びそれを用いたX線造影装置とX線造影方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
血管造影用透過X線装置は、低コスト、利便性の高い病気診断装置として、臨床医療分野でなくてはならない医療用分析装置である。しかしながら、近年、医療技術の進歩と共に、高分解能の血管造影用X線装置が求められるようになってきている。例えば、狭心症の診断には微細な心臓の環動脈を観察することが必要であり、また、再生医療研究においては10μm以下といった高分解能の血管造影用X線装置が必要である。
非特許文献1に解説されているように、再生医療とは、従来は人工関節、輸血、皮膚移植、臓器移植等を意味するものであったが、近年、幹細胞を所望の臓器に分化させ、この臓器により難病を治療するという再生医療が注目されている。この再生医療における臓器は自分自身の細胞から再生される臓器であるため、従来の他人の臓器の移植のように拒絶反応の心配がない。このように幹細胞分化による再生医療は、遺伝子治療と共に将来のもっとも注目される医療技術であり、世界中で熾烈な研究開発競争が行われている。
【0003】
幹細胞分化による再生医療は、まだ研究の途についたばかりであり、治療に生かされるためには今後極めて膨大な研究開発を必要とする。特に分化の過程が十分に解明されておらず、この過程を解明するためには分化過程中の微細な血管の成長過程を観測することが必須である。
【0004】
しかしながら従来の透過X線による血管造影方法は、生体安全性の観点からヨウ素を血管造影剤に使用するが、使用するX線の波長を適切に選択できないために血管部分と血管以外の部分との透過X線の強度比、すなわちコントラストが十分でなく、特に組織の深部にある血管像は組織を透過するにつれてコントラストが低下し、人体においては、せいぜい100μm程度の分解能しか得られない。このため従来は、上記のような微細な血管像を観測する必要がある場合には、シンクロトロン放射光を用いざるを得なかった。
【0005】
しかしながら周知のように、シンクロトロン放射光は電子を高エネルギーに加速し、この電子の制動に伴う輻射光を利用するものであるので、適切な波長のX線を選択できるものの、巨大な設備と膨大なエネルギーを必要とし、コストが高くまた利便性が悪い。例えば、シンクロトロン放射光設備はコストが高いため、一つの設備を多目的に共同利用するが、このため一人に割り当てられるマシンタイムが短く、また電力の不足する夏季には全く稼動できない。このため再生医療の研究開発が遅延する原因になっている。
【0006】
【非特許文献1】
http://cont.trc-net.ne.jp/basics/01_02.html 2003/05/14
【特許文献1】
特願2001-110783号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記課題に鑑み本発明は透過X線による造影を高分解能で造影できる、低コスト且つ簡便なX線造影方法を提供することを一目的とする。またこの方法に必要な、低コスト、且つ利便性が高造影用X線管及びそれを用いたX線造影装置を提供することを他の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明造影用X線管は、ヨウ素を造影剤としてドープした被写体を造影用X線源とX線撮像器とで挟んで高分解能被写体造影に用いる造影用X線管であって、環状の炭素冷陰極と、セリウムからなる棒状の対陰極と、環状の炭素冷陰極と対陰極とを含む空間を満たす放電用の気体と、を有し、気体放電により上記対陰極物質を蒸発させてプラズマを形成し、このプラズマから特性X線を発生させ、上記特性X線により上記被写体を透過させ、その際得られる透過X線強度のコントラストの解像度が50μm未満となることを特徴とする。
このX線管によれば、セリウムのKα特性X線が極めて低コスト、且つ簡便に発生できる。セリウムのKα特性X線のフォトンエネルギーは、血管造影剤であるヨウ素のK吸収端エネルギーの近傍にあり、且つわずかに大きいので極めて良くヨウ素に吸収される。従って、本発明のX線管を、ヨウ素を造影剤とするX線透過血管造影法に用いれば、極めて微細な血管の造影が可能になる。
【0010】
また、本発明の造影用X線管は、気体放電を生起するために一定圧力の気体を必要とするが、陰極と対陰極とを内包する容器に一定圧力の気体を導入して使用する組立型であってもよい。
このX管によれば、電子の加速方向と反対方向にX線を取り出せるので、制動X線が少なくなり、X線の単色性が高く、且つ極めて強度の高いX線パルスが得られる。
【0011】
また、本発明は、ヨウ素を造影剤としてドープした被写体を挟んで配置される造影用X線管とX線撮像器とからなるX線造影装置であって、造影用X線管が、環状の炭素冷陰極と、セリウムからなる棒状の対陰極と、環状の炭素冷陰極と対陰極とを含む空間を満たす放電用の気体とを有し、気体放電により対陰極物質を蒸発させてプラズマを形成し、このプラズマからセリウムの特性X線を発生させるようになっており、造影用X線管からの特性X線は被写体を透過し、透過X線強度のコントラストにより被写体にドープされている造影剤を、50μm以下の解像度で造影できることを特徴とする。
【0012】
上記構成において、好ましくは、造影用X線管は、陰極と対陰極を内包する真空容器を真空引きして使用する組立型である。X線撮像器は、好ましくはX線写真フィルムである。
【0013】
また、本発明のX線造影方法は、ヨウ素を造影剤としてドープした被写体を挟んで配置される造影用X線管とX線撮像器とを用い、造影用X線源が、環状の炭素冷陰極と、セリウムからなる棒状の対陰極と、環状の炭素冷陰極と対陰極とを含む空間を満たす放電用の気体とを有し、気体放電により対陰極物質を蒸発させてプラズマを形成し、このプラズマからセリウムの特性X線を発生させるようになっており、被写体に対して造影用X線管からの特性X線を透過させ、透過X線強度のコントラストにより被写体にドープされている造影剤を、50μm以下の解像度で造影することを特徴とする。
【0014】
上記構成において、好ましくは、X線撮像器はX線写真フィルムである。
【0015】
上記のように、本発明造影用X線管及びそれを用いたX線造影装置とX線造影方法を用いれば、50μm以下といった微細な血管の造影が可能となり、臨床医療現場、あるいは再生医療等の研究分野において有用である。特に、再生医療の研究分野においては、装置が低コスト、且つ利便性が高いことから、装置のマシンタイム等の制約を受けずに多くの研究者が同時並列的に研究を進めることができ、もって再生医療研究の速度を速めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の高分解能血管造影方法を模式的に示す図である。本発明の高分解能血管造影方法は、従来の透過X線による血管造影方法と比べて、X線源にセリウムKα特性X線を使用することだけが異なり、他は同様である。すなわち図に示すように、本発明法は、血液中にヨウ素を造影剤としてドープした被写体1を挟んで、X線源2とX線写真フィルム等のX線撮像器3を配置し、透過X線強度のコントラストを利用して血管を造影するものである。
【0017】
図2は、ヨウ素のK吸収端近傍の質量吸収係数のX線フォトンエネルギー依存性を示す図である。一般に、単一原子からなる物質の質量吸収係数は、フォトンエネルギーの増加に対し、原子に特有なフォトンエネルギーで急激に立ち上がり(K殻電子の励起に対応する場合にK吸収端と呼ばれる)、その後指数関数的に減少する。従って、造影剤の吸収端エネルギーよりも大きく、且つ、できるだけ造影剤の吸収端に近いエネルギーを有するX線を使用すれば、造影剤に吸収されるX線の割合が高まり、血管部分と血管部分以外との透過X線のコントラストが高くなるため、高分解能の血管造影を得ることができる。
【0018】
図に示すように、セリウムKα特性X線(34.6keV)は、ヨウ素のK吸収端エネルギー(33.2keV)に極めて近いので、本発明の方法によれば、透過X線のコントラストが高くなる。
従来のタングステンを対陰極物質とした測定方法は図に示すように、タングステンKα特性X線(58.7keV)が、ヨウ素のK吸収端から離れているためにコントラストが小さい。また従来、モリブデンを対陰極物質としたX線源も使用されているが、モリブデンのKα線はヨウ素の吸収端よりエネルギーが低いためにほとんど吸収されず、もっぱら制動X線によるコントラスト像である。制動X線は波長が連続したX線源であるため十分なコントラストが得られない。
【0019】
次に、本発明の方法に用いる高分解能血管造影用X線管を説明する。
図3は、本発明の高分解能血管造影用X線管の主要部の構成を示す図である。図3(a)は、熱陰極と、熱陰極から発生する熱電子が加速されて衝突するセリウムからなる板状の対陰極とを有するX線管を示している。図3(b)は、環状熱陰極と、環状熱陰極から発生する熱電子が加速されて衝突するセリウムからなる棒状の対陰極とを有するX線管を示している。また、図3(c)は、環状の炭素冷陰極と、セリウムからなる棒状の対陰極と、放電用気体とを有するX線管であって、セリウムからなる棒状の対陰極物質を気体放電により蒸発させてプラズマを形成し、このプラズマから特性X線を発生させるプラズマX線管を示している。
【0020】
図3(a)において、X線管31は、熱陰極32と、フィラメントである熱陰極32から発生する熱電子が加速されて衝突するセリウムからなる板状の対陰極33とを有している。セリウムからなる対陰極33は、導電性が良く、且つ熱伝導性の良い金属ブロック34、あるいは水冷パイプを有する金属ブロック34に埋め込まれて固定されている。熱陰極32と金属ブロック34との間に高電圧を印加し、熱電子をセリウムのK吸収端以上のエネルギーに加速してセリウムKα特性X線を発生する。X線は熱電子の加速方向に対して横方向(35)に取り出す。このX線管31は、若干の制動X線も生じるが、必要とされる分解能が10μm程度であれば、血管造影に支障はない。
【0021】
図3(b)において、X線管36は、環状のフィラメントである環状熱陰極37と、環状熱陰極37から発生する熱電子が加速されて衝突するセリウムからなる棒状の対陰極38とを有している。熱陰極32と金属ブロック34との間に高電圧を印加し、熱電子をセリウムのK吸収端以上のエネルギーに加速してセリウムKα特性X線を発生する。
このX線管36は、熱電子の加速方向と反対方向(39)からX線を取り出すので、制動X線が少なくなり、単色性が高い。
【0022】
図3(c)において、プラズマX線管40は、環状の炭素冷陰極41と、セリウムからなる棒状の対陰極42と、炭素冷陰極41と対陰極42を含む空間に充填した気体放電用の気体とを有している。炭素冷陰極41と対陰極42との間にコンデンサを接続し、このコンデンサに電荷を蓄え、炭素冷陰極41の近傍で気体放電を起こすことにより、コンデンサに蓄えた電荷を瞬時に放電し、セリウムからなる棒状の対陰極42を蒸発させ、セリウムからなる弱電離プラズマを生起する。このプラズマに電子が衝突、及び制動されてX線が発生する。プラズマの長軸方向(符号43で示す)に沿って伝搬するセリウムのKα特性X線は誘導放出によって強度が強くなり、プラズマの長軸方向(43)に沿って伝搬する制動X線はプラズマに吸収されて強度が減衰する。このため、強度が極めて強く、且つ単色性に優れたセリウムKα特性X線パルスが発生する。プラズマをX線発生媒質とするこのタイプのX線管はプラズマX線管と呼ばれている(特許文献1参照)。
【0023】
次に、実施例1を説明する。
この実施例1は、本発明の方法及び本発明のX線管によって、高分解能な血管造影ができることを実証するものである。
ヨウ素のプラスチック被覆微少球またはセリウムのプラスチック被覆微少球を血管造影剤としたウサギの心臓の血管造影を比較した。X線源として図3(a)に示したX線管を用いた。
図4は、血管造影剤の異なるウサギの心臓の血管造影を示す透過X線写真である。(a)はヨウ素のプラスチック被覆微少球を用いた場合、(b)はセリウムのプラスチック被覆微少球を用いた場合を示している。
図4(a)から明らかなように、ヨウ素を造影剤とした場合には、セリウムKα特性X線がヨウ素に良く吸収されるために、細い冠状動脈を明瞭に造影することができる。なお、図の左下の白い線は分解能を確認するために、心臓に挿入した100μm径のタングステン線による造影である。
一方、図4(b)から明らかなように、セリウムを造影剤とした場合には、セリウムKα特性X線のフォトンエネルギーがセリウムの吸収端エネルギーより低く、セリウムKα特性X線がセリウムにほとんど吸収されないために、環状動脈はほとんど造影できない。
この実施例から、ヨウ素を造影剤とした場合には、セリウムKα特性X線を使用することによって極めてコントラストの高い血管造影ができることがわかる。
【0024】
次に、実施例2を説明する。
この実施例2は、本発明の方法及びX線管によって、生体深部の血管であっても鮮明に造影できることを実証するものである。
ヨウ素のプラスチック被覆微少球を血管造影剤として犬の心臓の血管造影を行い、生体のX線の吸収、散乱を模擬する媒質としてアクリル板(50mm厚)を使用した。他の実施条件は実施例1と同様である。
図5は生体中の血管の深さを模擬した犬の心臓の血管造影を示す透過X線写真である。図5(a)は摘出した犬の心臓を直接血管造影した場合、(b)は摘出した犬の心臓とX線撮像器との間に、厚さ50mmのアクリル板を挿入した場合を示している。
図5(a)から明らかなように、微細な冠状動脈が鮮明に造影できる。また、図5(b)から明らかなように、アクリル板を挿入しても微細な冠状動脈が鮮明に造影することができる。なお、図5の(a)及び(b)の左下の白い線は分解能を確認するために、心臓に挿入した100μm径のタングステン線による造影である。また右上の棒状の造影は、撮影に際し犬の心臓を固定するために用いた支持棒の造影である。
アクリル板を挿入しても、すなわち造影する血管が生体深部の血管であってもコントラストの減衰無しに造影できることがわかる。これはX線の波長が単色であるためである。
【0025】
次に、実施例3を説明する。
この実施例3は、本発明の方法及びX線管によれば、径が数十μm以下の血管造影が可能であることを実証するものである。
ウサギの下肢の微細血管を造影した。他の実施条件は実施例1と同様である。
図6はウサギの耳の微細血管の造影を示す透過X線写真である。図において、右上の白い線は50μm径のタングステン線の造影である。このタングステン線の造影と比較することにより、数十μm径以下の血管の造影が可能であることがわかる。
図7はウサギの下肢の微細血管の造影を示す透過X線写真である。図7(a)はウサギの下肢の微細血管の造影を示す図であり、(b)は(a)を拡大した図である。中央やや下の白い線は100μm径のタングステン線の造影である。このタングステン線の造影と比較することにより、数十μm径以下の血管の造影が可能であることがわかる。
【0026】
なお、上記実施例で用いたX線管は、図3(a)に示した構成のX線管であるが、図3(b)及び図3(c)に示した構成のX線管はさらにX線の単色性が高いので、これらのX線管を用いた場合にはさらに10μm以下の高解像度の造影が得られることは明かである。
【0027】
【発明の効果】
上記説明から理解されるように、本発明によれば、高分解能の血管造影ができる。従って、本発明は、微細な血管の観察を必要とする、臨床医療分野、あるいは再生医療等の医療研究分野に用いれば極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高分解能血管造影方法を模式的に示す図である。
【図2】ヨウ素のK吸収端近傍の質量吸収係数のX線フォトンエネルギー依存性を示す図である。
【図3】本発明の高分解能血管造影用X線管の主要部の構成を示す概略図である。
【図4】血管造影剤の異なるウサギの心臓の血管造影を示す透過X線写真である。
【図5】生体中の血管の深さを模擬した犬の心臓の血管造影を示す透過X線写真で、(a)は摘出した犬の心臓を直接血管造影したもの、(b)は摘出した犬の心臓とX線撮像器との間に、厚さ50mmのアクリル板を挿入した場合を示している。
【図6】ウサギの耳の微細血管の造影を示す透過X線写真である。
【図7】ウサギの下肢の微細血管の造影を示す透過X線写真である。
【符号の説明】
1 被写体
2 X線源
3 X線撮像器
31 X線管
32 熱陰極
33 セリウムからなる対陰極
34 金属ブロック
35 X線取出し方向
36 X線管
37 環状熱陰極
38 セリウムからなる棒状対陰極
39 X線取出し方向
40 X線管
41 環状の炭素冷陰極
42 セリウムからなる棒状対陰極
43 X線取出し方向
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6