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明細書 :新規エステル化合物及びその用途

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4017107号 (P4017107)
公開番号 特開2004-161654 (P2004-161654A)
登録日 平成19年9月28日(2007.9.28)
発行日 平成19年12月5日(2007.12.5)
公開日 平成16年6月10日(2004.6.10)
発明の名称または考案の名称 新規エステル化合物及びその用途
国際特許分類 C07C  69/533       (2006.01)
A01N  37/06        (2006.01)
A01P  19/00        (2006.01)
FI C07C 69/533
A01N 37/06
A01P 19/00
請求項の数または発明の数 2
全頁数 11
出願番号 特願2002-328482 (P2002-328482)
出願日 平成14年11月12日(2002.11.12)
審査請求日 平成14年11月12日(2002.11.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明者または考案者 【氏名】新井 朋徳
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
審査官 【審査官】小林 均
参考文献・文献 特開昭55-122739(JP,A)
特開昭57-21348(JP,A)
B. A. BIERL-LEONHARDT,Tetrahedron Letters,1981年,vol.22,p.389-392
調査した分野 C07C 69/533
A01N 37/06
CA(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次式(I):
【化1】
JP0004017107B2_000007t.gif
で示される2,2-ジメチル-3-(1-メチルエテニル)シクロブタンメチル 3-メチル-3-ブテネート。
【請求項2】
次式(I):
【化2】
JP0004017107B2_000008t.gif
で示される化合物を有効成分として含有するミカンヒメコナカイガラムシ用の性誘引剤。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規エステル化合物及び該化合物を有効成分として含有する性誘引剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ミカンヒメコナカイガラムシ(Pseudococcus cryptus)は、ハウスミカンなどの施設栽培で多大な被害を与えている、日本のカンキツで発生する最も重要な害虫である。ミカンヒメコナカイガラムシは葉と葉の重なりの間など目立たないところに潜む性質が強く、低密度時にはその存在を把握するのが困難である。このため、この害虫の防除は被害が発生してから行われることから手遅れになることが多く、効率的な発生予察の確立が緊急の課題となっている。
【0003】
一般的に、コナカイガラムシを含む多くのカイガラムシでは雌と雄とで成虫の形態が著しく異なる。雄成虫は翅があり飛翔できるが寿命は数時間から1日くらいと非常に短命であるのに対し、雌成虫は翅がなく移動能力は高くないが、雄に比べると長寿である。従って、雄は限られた期間の間に雌を見つけて交尾する必要があり、雌を効率よく探すために、カイガラムシの中には、性フェロモンを利用するものも存在する。近年カイガラムシ類でもフェロモンの解明が進み、その構造・成分が明らかになったものがある(例えば、ミカンコナカイガラムシ(Planococcus citri)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki)、Planococcus ficus、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、キマルカイガラムシ(Aonidiella citrina)、ナシマルカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、クワシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis pentagona)、Matsucoccus属5種等、非特許文献1~12参照)。
【0004】
一方、最近は昆虫の性フェロモンを利用した大量誘殺や雌雄間交信撹乱等の防除方法に関する薬剤や技術の研究が盛んに行なわれている。これらの方法では、性フェロモンを利用して雄成虫を一定の場所に誘引し捕殺したり、あるいは雌雄間の正常な配偶行動を人為的に撹乱して次世代密度を減少させることにより害虫防除を行うことができる。また、性フェロモンを用いて防除対象害虫の発生予察を行うこともできる。性フェロモンを利用した害虫防除は環境に優しい環境負荷低減技術の一つとして位置付けられており、今後さらに多くの害虫について開発されることが期待されている。
【0005】
このような状況において、本発明者は、ミカンヒメコナカイガラムシの生態、天敵に関する研究を行う中で、ミカンヒメコナカイガラムシにおいても性フェロモンが存在することを初めて見出した。
【0006】
【特許文献1】
特公昭61-036738号公報
【非特許文献1】
Bierl-Leonhardt B. A., D. S. Moreno, M. Schwarz, H. S. Forster, J. R. Plimmer and E. D. DeVilbiss (1980) Identification of the pheromone of the comstock mealybug. Life Science 27: 399-402.
【非特許文献2】
Bierl-Leonhardt B. A., D. S. Moreno, M. Schwarz, J. Fargerlund and J. R. Plimmer (1981) Isolation, identification and synthesis of the sex pheromone of the citrus mealybug, Planococcus citri (Risso). Tetrahedr. Lett. 22: 389-392.
【非特許文献3】
Dunkelblum E., Z. Mendel, F. Assael, M. Harel, L. Kerhoas and Einhorn (1993) Identification of the female sex pheromone of the Israeli pine base scale Matsucoccus josephi. Tetrahedr. Lett. 34:2805-2808.
【非特許文献4】
Einhorn J., P. Menassieu, C. Malosse and P. Ducrot (1990) Identification of the sex pheromone of the maritime pine scale Matsucoccus feytaudi. Tetrahedr. Lett. 31: 6633-6636.
【非特許文献5】
Gieselmann M. J., D. S. Moreno, J. Fargerlund, H. Tashiro and W. L. Roelofs (1979a) Identification of the sex pheromone of the yellow scale. J. Chem. Ecol. 5: 27-33.
【非特許文献6】
Gieselmann M. J., R. E. Rice, R. A. Jones and W. L. Roelofs (1979b) Sex pheromone of the San Jose scale. J. Chem. Ecol. 5:891-900.
【非特許文献7】
Heath R. R., J. R. McLaughlin, J. H. Tumlinson, T. R. Ashley and R. E. Doolittle (1979) Identification of the white peach scale sex pheromone: An illustration of micro techniques. J. Chem. Ecol. 5:941-953.
【非特許文献8】
Hinkens D. M., J. S. McElfresh and J. G. Millar (2001) Identification and synthesis of the sex pheromone of the vine mealybug, Planococcus ficus. Tetrahedr. Lett. 42: 1619-1621.
【非特許文献9】
Lanier G. N., Y. Qi, J. R. West, S. C. Park, F. X. Webstar and R. M. Silverstein (1989) Identification of the sex pheromone of three Matsucoccus pine bast scales. J. Chem. Ecol. 15: 1645-1659.
【非特許文献10】
Negishi T., M. Uchida, Y. Tamaki, K. Mori, T. Ishiwatari, S. Asano and K. Nakagawa (1980) Sex pheromone of the comstock mealybug, Pseudococcus comstocki Kuwana: Isolation and identification. Appl. Entomol. Zool. 15: 328-333.
【非特許文献11】
Roelofs W., M. Gieselmann, A. Carde, H. Tashiro, D. S. Moreno, C. A. Henrick and R. J. Anderson (1977) Sex pheromone of the California red scale, Aonidiella aurantii. Nature 267: 698-699.
【非特許文献12】
Roelofs W., M. Gieselmann, A. Carde, H. Tashiro, D. S. Moreno, C. A. Henrick and R. J. Anderson (1978) Identification of the California red scale sex pheromone. J. Chem. Ecol. 4: 211-224.
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規エステル化合物及び該化合物を有効成分として含有する性誘引剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前述した状況に鑑みて上記課題を解決するため、コナカイガラムシ類の性フェロモンについてミカンヒメコナカイガラムシを対象に性フェロモンの探索を行い鋭意検討を重ねた結果、その性フェロモンを単離し、構造を決定することに成功し、ミカンヒメコナカイガラムシ性フェロモンの特性ならびにフェロモン成分が2,2-ジメチル-3-(1-メチルエテニル)シクロブタンメチル 3-メチル-3-ブテネートであることを突き止め、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)次式(I):
【化3】
JP0004017107B2_000002t.gifで示される化合物。
【0010】
(2)前記式(I)で示される化合物を有効成分として含有する性誘引剤。
前記式(I)で示される化合物は、ミカンヒメコナカイガラムシより抽出・精製することにより得ることができる。
【0011】
ここで用いる抽出溶媒としては、一般には有機溶媒、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、アセトン等の水混和性溶媒及びエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、ペンタン、ヘキサン等の水と混和しない有機溶媒が挙げられる。得られた抽出液は濃縮後、精製することにより目的とするエステル化合物を効率よく得ることができる。
【0012】
精製は、シリカゲルクロマトグラフィー、逆相シリカゲルクロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、逆相吸着クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー等を適宜組み合わせることにより行うことができる。
【0013】
以上のようにして得られる前記エステル化合物は、ミカンヒメコナカイガラムシに対して性誘引性を示し、性誘引剤として用いることができる。
【0014】
本発明化合物の性誘引剤としての用法は、前記エステル化合物をそのままトラップに含有させてもよいが、通常は、例えば前記エステル化合物をペンタン、ヘキサン、ジエチルエーテル、アセトン、塩化メチレンなどの適当な有機溶媒に溶解して、ゴムキャップ、毛細管、プラスチック製カプセルなどに封入するか又は、活性炭、シリカゲルなどの不活性粉末又は粒状体に担持吸着させて利用する。性誘引剤としての本発明化合物の使用量及び使用方法に制限はないが、通常上記のように調製される性誘引剤中に本発明化合物をngオーダーで含有させ、これを例えば粘着物質を塗布したトラップ内に載置し、果樹園内に2~3樹毎に1個設置すればよい。これによりミカンヒメコナカイガラムシの雄成虫は本発明化合物に誘引され粘着物質を塗布されたトラップに捕獲される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
[実施例1]
(1) 単離操作
性フェロモンの抽出
ミカンヒメコナカイガラムシ未交尾雌成虫500~4000匹を接種したカボチャを5リットルの二口付きデシケーターに入れ、内部に貯まったフェロモンを1gの吸着剤(Tenax GC)で捕集した。捕集期間は約30日間とし、1日当たり捕集時間は7時間、空気の流量は1分あたり7リットルとした。吸着剤で捕集したフェロモンは、3日に1回の割合で40mLのペンタンで抽出した。また、捕集量を推定するため、3~4日ごとに死亡虫を除去するとともに未交尾雌成虫を補充した。集めた抽出液(400mL)は室温条件下で減圧濃縮し、該濃縮物(10mL)をミカンヒメコナカイガラムシ性フェロモン粗抽出物とした。
【0017】
性フェロモンの精製
次に、該性フェロモン粗抽出物を、ミカンヒメコナカイガラムシ雄成虫に対する性誘引活性を指標として、性フェロモンの精製を行った。先ず、再度減圧濃縮した性フェロモン粗抽出物(2mL)をフロリジル(7%含水, 100-200 mesh, Floridin Co.) 30gを充填したカラムを用いてクロマトグラフィーにより分画した。溶出にはジエチルエーテルとヘキサンの混合液を用い、ヘキサン50mL、5%エーテル/ヘキサン120mL、15%エーテル/ヘキサン150mL、25%エーテル/ヘキサン150mL、50%エーテル/ヘキサン150mLにより順次抽出した。続いて、最も誘引活性の高かった5%エーテル/ヘキサン画分(120mL)を減圧濃縮後10mLにし、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCという)(HEWLETT PACKARD SERIES 1050)で精製を行った。HPLCではシリカゲルカラム(Inertsil, 5μm, 4.6mm I.D.×250mm, GL Science Inc.)を用い、3%エーテル/ヘキサンの組成の溶媒で1mL/minの流速で溶出した。HPLCでは、保持時間7.5~8分の画分(0.5mL)の誘引活性が最も高く、この画分と次の画分(保持時間8~8.5分の画分(0.5mL))を合わせてガスクロマトグラフィー(以下、GCという)により分画した。GC装置はHEWLETT PACKARD 5890 SERIES IIで、カラムはFFAP(0.56mm I.D.×15m, 液層厚1μm, GL Science Inc.)を用いた。キャリアーガスはヘリウムを使い、流速は5mL/minとした。オーブンの温度は50℃で1分間保持し、その後220℃まで毎分5℃昇温する条件に設定した。GCでは保持時間20.5~21分の画分の誘引活性が最も高かった(下記表1参照)。以上の抽出・精製工程を反復実施することにより、精製性フェロモンとして(50万雌・日量/300mL)3mLが得られた。本明細書中で、「50万雌・日量」とは、50万匹の雌成虫が1日に放出するフェロモンに相当する量を意味する。
【0018】
【表1】
JP0004017107B2_000003t.gif【0019】
(2) 構造決定
フェロモンの構造分析
精製した誘引活性成分はガスクロマトグラフィー質量分析計(以下、GC-MSという)(GC-MSのMS装置は、二重収束質量分析計JEOL SX-102A、日本電子株式会社)を用い分子量・分子構造を分析した。GC-MSのGC装置はHEWLETT PACKARD 5890 SERIES IIで、カラムはFFAP(0.25mm I.D.×30m, 液層厚0.25μm, GL Science Inc.)、キャリアーガスはヘリウムで、流速は1mL/minとした。オーブンの温度は80℃で1分間保持し、その後210℃まで毎分7℃昇温する条件に設定した。イオン化電圧は70eV、イオン化電流は300μAであった。CIモードでの測定は反応ガスとしてイソブタンガスを用いて行った。
【0020】
単離した活性成分はGC-MSでの保持時間が14.73分であった。EIモードでの質量スペクトルはM/e; 69(100%)、236(8%)、168(26%)、136(22%)、100(32%)の特徴ピークを示した。CIモードの質量スペクトルから質量数は236と推定された。また、高分解能測定で質量数は236.1808と計算され、元素組成はC15H24O2と推定された。この単離した活性成分の水素添加産物の保持時間は13.35分であり、EIモードの質量スペクトルはM/e; 83(100%)、170(25%)、143(12%)、123(10%)、98(69%)の特徴ピークを示した。水素添加物はCIモードの質量スペクトルから質量数は240と推定され、2個の二重構造を持つと推定された。
【0021】
活性成分のアルコール部分の分析
さらに、単離した活性成分のアルコール部分の構造決定のため、該活性成分に対してアルカリによる加水分解とアセチル化を行った。単離した活性成分の一部(0.1mL)に0.5N KOH(2mL)を加え、一晩後、ヘキサン(4mL×3回)で抽出した。減圧濃縮したヘキサン画分(0.1mL)に無水酢酸(1mL)を加え一晩放置した後、ヘキサン(4mL×3回)で抽出した。
【0022】
単離した活性成分の加水分解産物をGC-MS分析したところ、中性・塩基性画分に保持時間が12.63分で、CIモードの質量スペクトルから質量数が154と推定される物質が検出された。この物質はEIモードの質量スペクトルとしてM/e; 71(100%)、139(12%)、123(9%)、121(27%)の特徴ピークを示した。従って、上記精製によって単離した活性成分は、分子量154のアルコールと分子量100の酸とのエステルと推定された。
【0023】
次に、単離した活性成分のアルコール部分をアセチル化し、GC-MS分析したところ、保持時間が10.63分で、EIモードの質量スペクトルとしてM/e; 68(100%)、196(1.6%)、128(20%)、121(19%)、86(9%)の特徴ピークを示した。CIモードの質量スペクトルから質量数は196であると推定された。この物質の質量スペクトルはミカンコナカイガラムシ(Planococcus citri)の性フェロモンのデータと良く一致した。さらに本物質は、ミカンコナカイガラムシ雄成虫に対する誘引性が認められ(下記表2参照)、誘引性はミカンコナカイガラムシ性フェロモン粗抽出物、ミカンコナカイガラムシ性フェロモンのアルコール部分をアセチル化した物とほぼ同じくらいであったことから(下記表3参照)、ミカンヒメコナカイガラムシから単離した活性成分のアルコール部分のアセチル化物はミカンコナカイガラムシの性フェロモンと非常によく似た構造をもつ物質で、単離したミカンヒメコナカイガラムシの活性成分のアルコール部分とミカンコナカイガラムシの性フェロモン物質のアルコール部分とは同一である可能性が強く示唆された。
【0024】
フェロモンの構造決定
単離した活性成分をGC-MSで解析したところ、図1のようなマススペクトルが得られた。また、活性成分をプロトンNMR装置(JEOL A600、1H NMR 600 MHz、日本電子株式会社)を用い、COSY、HOHAHA測定で構造解析を行ったところ、図2のようなNMRスペクトルが得られ、それぞれの水素は図3のようにアサインされた。以上の結果から、ミカンヒメコナカイガラムシ雄成虫に対する誘引性を有する性フェロモンの構造を次式(I)と決定した。
【0025】
【化4】
JP0004017107B2_000004t.gif【0026】
[実施例2]
性誘引活性
シャーレ内での誘引活性の生物検定
表1および表2に示した性誘引活性の生物検定は以下の通り実施した。先ず、直径90mmのシャーレ内に、1cm2の正方形のろ紙片2枚を置き、一方のろ紙に(表1および表2に示す)各供試溶液(表1における各画分および表2における粗抽出物はその原液100μL、ならびに、表2におけるアセチル化物はその原液10μL)を含浸させ処理区とし、他方のろ紙には溶媒のみ(100μL)を含浸させて対照区とした。溶媒はヘキサンを用いた。ろ紙を風乾させた後、ミカンヒメコナカイガラムシ(表1に示した生物検定において)またはミカンコナカイガラムシ(表2に示した生物検定において)雄成虫10~20匹をシャーレ内に放飼し蓋をして、約10~60分後、雄成虫の動きが収まった時にそれぞれのろ紙に誘引された雄成虫の割合から誘引性の有無を判断した。その結果を上記表および表2に示した。
【0027】
【表2】
JP0004017107B2_000005t.gif【0028】
フェロモントラップでの誘引活性の生物検定
表3に示した性誘引活性の生物検定は以下の通り実施した。先ず、表3に示す各種誘引物質(表3における粗性フェロモンはその原液100μL、およびアセチル化物はその原液10μL)を含浸させて風乾した1cm2の正方形のろ紙片をそれぞれ黄色粘着トラップ(高さ10cm×幅20cm)の中央に貼り付けた後、一辺が5m×6.5mのガラス室内に設置した。また溶媒のみ(100μL)を含浸させたものを対照とした。3つのトラップは高さ1.8mの位置に1.4m間隔をおいて一列に配置し、溶媒を含浸させ風乾したろ紙を貼り付けたトラップ(対照)を中央に設置した。対照の下には雄の羽化が間近な蛹のついたチリ紙を毎日設置して、ここから自然に羽化した雄成虫を試験に供試した。トラップは毎日午前中に交換し、トラップで捕獲された雄成虫数を調査した。その結果を表3に示した。
【0029】
【表3】
JP0004017107B2_000006t.gif【0030】
【発明の効果】
本発明により、ミカンヒメコナカイガラムシ雄成虫に対する誘引性を有し、性誘引剤として有用な新規エステル化合物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ミカンヒメコナカイガラムシ性フェロモンの活性成分のマススペクトルを示す図である。
【図2】ミカンヒメコナカイガラムシ性フェロモン活性成分の600 MHz 1H NMRスペクトルを示す図である。
【図3】 COSY解析およびHOHAHA解析によりアサインされた水素の配置を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2