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明細書 :任意のペプチドを植物のタンパク顆粒で蓄積させる方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3940793号 (P3940793)
公開番号 特開2003-334080 (P2003-334080A)
登録日 平成19年4月13日(2007.4.13)
発行日 平成19年7月4日(2007.7.4)
公開日 平成15年11月25日(2003.11.25)
発明の名称または考案の名称 任意のペプチドを植物のタンパク顆粒で蓄積させる方法
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
A01H   1/00        (2006.01)
C12N   5/10        (2006.01)
C07K   7/06        (2006.01)
C07K   7/08        (2006.01)
A01H   5/00        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
A01H 1/00 A
C12N 5/00 C
C07K 7/06
C07K 7/08
A01H 5/00 A
請求項の数または発明の数 9
全頁数 23
出願番号 特願2002-139836 (P2002-139836)
出願日 平成14年5月15日(2002.5.15)
審査請求日 平成15年6月24日(2003.6.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501167644
【氏名又は名称】独立行政法人農業生物資源研究所
発明者または考案者 【氏名】川越 靖
【氏名】高岩 文雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100102978、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 初志
【識別番号】100108774、【弁理士】、【氏名又は名称】橋本 一憲
審査官 【審査官】▲高▼ 美葉子
参考文献・文献 Biotechnol Biochem.(1999),Vol.63,No.11,p.1851-1858
Plant Biotechnology(1999),Vol.16,No.2,p.103-113
日本植物組織培養学会植物組織培養シンポジウム講演要旨集(1994),Vol.4th,p.47-50
飯島記念食品科学振興財団年報(1997),Vol.1995,p.178-181
調査した分野 C12N 15/00
A01H 1/00
A01H 5/00
C07K 7/00
C12N 5/00
BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
CA(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)および(b)の工程を含む、任意のペプチドをイネの胚乳組織におけるタンパク顆粒Iへ蓄積させる方法。
(a)グロブリンプロモーターの3'下流側に、以下のDNAを有するベクターをイネ細胞に導入する工程
ダイズ種子貯蔵タンパク質グリシニンA1aB1bのシグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端側に、任意のペプチドのアミノ酸配列を有し、該任意のペプチドのアミノ酸配列のC末端側に、以下の(1)から(4)のいずれかに記載のアミノ酸配列を有する融合ペプチドをコードするDNA
(1)グロブリンのL72からS86のアミノ酸配列(配列番号:5に記載のアミノ酸配列)
(2)グロブリンのR68からQ111のアミノ酸配列(配列番号:7の48番目から91番目までに記載のアミノ酸配列)
(3)グロブリンのG21からQ111のアミノ酸配列(配列番号:7に記載のアミノ酸配列)
(4)グロブリンのG21からQ111の部分ペプチドであって、少なくとも配列番号:5に記載のアミノ酸配列を含むペプチドのアミノ酸配列
(b)該イネ細胞を植物体に再生させる工程
【請求項2】
以下の(1)から(4)のいずれかに記載のペプチドをコードするDNA。
(1)グロブリンのL72からS86のアミノ酸配列(配列番号:5に記載のアミノ酸配列)からなるペプチド
(2)グロブリンのR68からQ111のアミノ酸配列(配列番号:7の48番目から91番目までに記載のアミノ酸配列)からなるペプチド
(3)グロブリンのG21からQ111のアミノ酸配列(配列番号:7に記載のアミノ酸配列)からなるペプチド
(4)グロブリンのG21からQ111の部分ペプチドであって、少なくとも配列番号:5に記載のアミノ酸配列を含むペプチド
【請求項3】
ダイズ種子貯蔵タンパク質グリシニンA1aB1bのシグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端側に、任意のペプチドのアミノ酸配列を有し、該任意のペプチドのアミノ酸配列のC末端側に、以下の(1)から(4)のいずれかに記載のアミノ酸配列を有する融合ペプチドをコードするDNA。
(1)グロブリンのL72からS86のアミノ酸配列(配列番号:5に記載のアミノ酸配列)
(2)グロブリンのR68からQ111のアミノ酸配列(配列番号:7の48番目から91番目までに記載のアミノ酸配列)
(3)グロブリンのG21からQ111のアミノ酸配列(配列番号:7に記載のアミノ酸配列)
(4)グロブリンのG21からQ111の部分ペプチドであって、少なくとも配列番号:5に記載のアミノ酸配列を含むペプチドのアミノ酸配列
【請求項4】
請求項2または3に記載のDNAを含むベクター。
【請求項5】
請求項に記載のDNAを含むベクターが導入された形質転換イネ細胞。
【請求項6】
請求項に記載の形質転換イネ細胞を含む形質転換イネ
【請求項7】
請求項に記載の形質転換イネの子孫またはクローンである、形質転換イネ
【請求項8】
請求項6または7に記載の形質転換イネの繁殖材料。
【請求項9】
請求項1に記載の方法に用いるためのキットであって、下記(a)~(c)のいずれかを含むキット。
(a)ダイズ種子貯蔵タンパク質グリシニンA1aB1bのシグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端側に、任意のペプチドのアミノ酸配列を有し、該任意のペプチドのアミノ酸配列のC末端側に、以下の(1)から(4)のいずれかに記載のアミノ酸配列を有する融合ペプチドをコードするDNA
(1)グロブリンのL72からS86のアミノ酸配列(配列番号:5に記載のアミノ酸配列)
(2)グロブリンのR68からQ111のアミノ酸配列(配列番号:7の48番目から91番目までに記載のアミノ酸配列)
(3)グロブリンのG21からQ111のアミノ酸配列(配列番号:7に記載のアミノ酸配列)
(4)グロブリンのG21からQ111の部分ペプチドであって、少なくとも配列番号:5に記載のアミノ酸配列を含むペプチドのアミノ酸配列
(b)以下の(1)から(4)のいずれかに記載のペプチドをコードするDNA
(1)グロブリンのL72からS86のアミノ酸配列(配列番号:5に記載のアミノ酸配列)からなるペプチド
(2)グロブリンのR68からQ111のアミノ酸配列(配列番号:7の48番目から91番目までに記載のアミノ酸配列)からなるペプチド
(3)グロブリンのG21からQ111のアミノ酸配列(配列番号:7に記載のアミノ酸配列)からなるペプチド
(4)グロブリンのG21からQ111の部分ペプチドであって、少なくとも配列番号:5に記載のアミノ酸配列を含むペプチド
(c)(a)または(b)のDNAを含むベクター
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、任意のペプチドを植物の胚乳組織へ蓄積させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
外来遺伝子産物をイネ胚乳組織で、登熟過程で分解を受けずに高度に発現・蓄積させる方法は、以下の3つの方法論がこれまでの知見から考えられ、また実際に行われている。一つ目は所望のタンパク質又はペプチドをイネ又は他種の種子貯蔵タンパク質の可変部位に挿入することによって、貯蔵タンパク質の一部として液胞由来のタンパク顆粒II(PB-II)にターゲットさせる方法である。二つ目の方法は所望のタンパク質が元々液胞移行シグナルを持っていない場合、所望のタンパク質にシグナルペプチドをN末端に付加し、細胞壁アポプラストに分泌させる方法である。三つ目の方法は所望のタンパク質のN末端にシグナルペプチドを付加し、C末端にはKDEL(配列番号:17)又はHDEL(配列番号:18)等の既知の小胞体局在化シグナルを付加し、所望のタンパク質を小胞体に蓄積させる方法である。
【0003】
イネ胚乳には液胞由来でないタンパク顆粒PB-I が存在し、主にプロラミンが蓄積する。PB-I は直接小胞体から生成するため、液胞由来のタンパク顆粒PB-IIとはその生成過程が大きく異なる。プロラミンのPB-Iでの蓄積に関し、ワシントン州立大学のグループは、プロラミンのmRNA が3'の非翻訳領域を介してPB-I 上に輸送され、そこでプロラミンが翻訳されると報告している(Choi et al. Nature 2000, 407: 765-767)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、任意のペプチドを植物の胚乳組織へ蓄積させる方法を提供することにある。さらに、該方法に用いるためのキットを提供することをも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、液胞由来のタンパク顆粒II(PB-II)に蓄積するイネのグロブリンが液胞移行シグナルを有すると考え、該液胞移行シグナルの同定を試みた。具体的には、GFPのN末端にダイズ種子貯蔵タンパク質グリシニンA1aB1b のシグナルペプチドを付加し、またGFPのC末端にはグロブリンのシグナルペプチドを除く全長、又は一部を付加した。遺伝子発現のためのプロモーターはグロブリンのプロモーターを用い、アグロバクテリウムを介した方法でイネ種子由来のカルスに感染し、形質転換体を作出した。融合タンパク質の胚乳組織での細胞内局在は共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。
【0006】
検討の結果、グロブリンの21番目のグリシニン残基(G21)から111番目のグルタミン残基(Q111)をGFPのC末端に付加した融合タンパク質の細胞内局在は、驚くべきことに、液胞由来のタンパク顆粒II(PB-II)ではなく、液胞由来ではないタンパク顆粒I(PB-I)であった。さらに、G21から Q111 までを2つに分け、G21から R59まで、又はR68 からQ111までをGFPのC末端に付加し、上記と同様に形質転換体を作出し細胞内局在を観察した。その結果R68 からQ111までをGFPのC末端に付加した融合タンパク質がタンパク顆粒I(PB-I)に局在した。さらに、R68 からQ111までを再び2分割し、L72 からS86まで、又は A92から S104までをGFPのC末端に付加し、上記と同様に形質転換体を作出し細胞内局在を観察した。その結果、L72 からS86までの15アミノ酸残基をGFPのC末端に付加した融合タンパク質がタンパク顆粒I(PB-I)に局在した。
【0007】
また、該15アミノ酸残基の配列は、イネプロラミン遺伝子ファミリーで保存された領域(Matsukawa et al. Biosci. Biotechnol. Biochem. 1999, 63, 1851-1858)と高い相同性があることが判明した。特に2つの連続するシステイン残基とその前後のグルタミン残基(QCCQQ)(配列番号:14)が16.6 kDaプロラミン(λRP16)と13kDaプロラミン(pProl17、λRM7)で保存されている。10kDaプロラミン(λRP10)ではグルタミンがメチオニンに置換した配列QCCMQ(配列番号:15)となっている。トウモロコシの種子貯蔵タンパク質15kDaゼインとエンバクの種子貯蔵タンパク質アベニンにも類似の配列、それぞれ、QCCQQ(配列番号:14)およびQCCRQ(配列番号:16)が存在する。それらの共通配列としてQCCXQ(Xは任意のアミノ酸)(配列番号:1)を見いだした。上記知見は、この保存された共通配列QCCXQ(配列番号:1)を、任意のペプチドに付加することで、該ペプチドを植物の胚乳組織へ蓄積できることを示している。
【0008】
即ち、本発明は、任意のペプチドを植物の胚乳組織へ蓄積させる方法に関し、より具体的には、
〔1〕以下の(a)および(b)の工程を含む、任意のペプチドを植物の胚乳組織へ蓄積させる方法、
(a)配列番号:1~3のいずれかに記載のアミノ酸配列を少なくとも含み、植物の胚乳組織におけるタンパク顆粒Iに蓄積する活性を有するペプチドと任意のペプチドとの融合ペプチドをコードするDNAを含むベクターを植物細胞に導入する工程
(b)該植物細胞を植物体に再生させる工程
〕植物がイネである、〔1〕に記載の方法、
〔3〕 配列番号:1~3のいずれかに記載のアミノ酸配列を少なくとも含み、植物の胚乳組織におけるタンパク顆粒Iに蓄積する活性を有するペプチドをコードするDNA
〔4〕 植物がイネである、〔3〕に記載のDNA
〔5〕 配列番号:1~3のいずれかに記載のアミノ酸配列を少なくとも含み、植物の胚乳組織におけるタンパク顆粒Iに蓄積する活性を有するペプチドと任意のペプチドとの融合ペプチドをコードするDNA
〔6〕 植物がイネである、〔5〕に記載のDNA
〔7〕 〔3〕~〔6〕のいずれかに記載のDNAを含むベクター、
〔8〕 〔5〕または〔6〕に記載のDNAを含むベクターが導入された形質転換植物細胞、
〔9〕 〔8〕に記載の形質転換植物細胞を含む形質転換植物体、
〔10〕 〔9〕に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体、
〔11〕 〔9〕または〔10〕に記載の形質転換植物体の繁殖材料、
12〕〔1〕に記載の方法に用いるためのキットであって、下記(a)~(c)のいずれかを含むキット、
(a)(i)配列番号:1~3のいずれかに記載のアミノ酸配列を少なくとも含み、植物の胚乳組織におけるタンパク顆粒Iに蓄積する活性を有するペプチドと(ii)任意のペプチドとの融合ペプチドをコードするDNA
(b)(i)のペプチドをコードするDNA
(c)(a)または(b)のDNAを含むベクター
13〕植物がイネである、〔12〕に記載のキット、
を、提供するものである。
【0009】
なお、本発明において、「ペプチド」とは、アミノ酸同士がペプチド結合により結合した化合物を指す。従って、鎖長の長いペプチドである「ポリペプチド」や「タンパク質」もまた本発明の「ペプチド」に含まれる。
【0010】
本発明において、タンパク顆粒とは種子等の貯蔵組織に見られる脂質二重膜で囲まれたオルガネラを意味し、内部に主に貯蔵タンパク質を蓄積する。イネの胚乳には生成の起源の異なる2種類のタンパク顆粒が存在する。貯蔵タンパク質のグルテリンやグロブリンが蓄積するタンパク顆粒 (PB-II) は液胞から生成するのに対し、貯蔵タンパク質のプロラミンが蓄積するタンパク顆粒 (PB-I) は小胞体から直接生成する。PB-II の形状は不定形であるのに対し、PB-Iは球状顆粒であることが特徴である。
【0011】
本発明における「DNA」には、特に断りがない限り、その形態に制限はなく、ゲノムDNA、cDNAおよび化学合成DNAが含まれる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、任意のペプチドを植物の胚乳組織へ蓄積させる方法を提供する。本発明の方法においては、まず、(i)QCCXQ(配列番号:1)のアミノ酸配列を少なくとも含み、植物の胚乳組織におけるタンパク顆粒Iに蓄積する活性を有するペプチドと(ii)任意のペプチドとの融合ペプチドをコードするDNAを含むベクターを植物細胞に導入し、次いで、上記植物細胞を植物体に再生させる。
【0013】
本発明における上記(i)のペプチドは、QCCXQ(配列番号:1)のアミノ酸配列を少なくとも含み、かつ、植物の胚乳組織におけるタンパク顆粒Iに蓄積する活性を有する限り、QCCXQ(配列番号:1)以外のアミノ酸配列には特に制限はない。該ペプチドは、好ましくはQCC(Q/M/R)Q(配列番号:2)のアミノ酸配列を含み、より好ましくは(L/M)(R/Q)(M/Q/R)QCC(Q/M/R)Q(L/M/Q)(Q/R/M/A)X(V/M/I)(配列番号:3)のアミノ酸配列を含み、さらに好ましくはLRMQCCQQLQDV(配列番号:4)のアミノ酸配列を含み、さらに好ましくはLGLRMQCCQQLQDVS(配列番号:5)のアミノ酸配列を含む(ここで、(L/M)、(R/Q)、(M/Q/R)、(Q/M/R)、(L/M/Q)、(Q/R/M/A)および(V/M/I)は、それぞれ、記載されているアミノ酸残基のうち、どのアミノ酸残基でもよいことを意味している)。
【0014】
本発明のペプチドは、天然型蛋白質またはその一部であってもよく、また、これら天然型アミノ酸配列を改変したものであってもよい。アミノ酸を改変する場合において、基となるペプチドの活性を維持したい場合には、アミノ酸側鎖の性質が近似したアミノ酸へ改変することが好ましい。アミノ酸側鎖の性質としては、例えば、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ離(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。あるアミノ酸配列に対する1または複数個のアミノ酸残基の欠失、付加および/または他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列がその生物学的活性を維持することはすでに知られている(Mark, D. F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1984) 81, 5662-5666 、Zoller, M. J. & Smith, M. Nucleic Acids Research (1982) 10, 6487-6500 、Wang, A. et al., Science 224, 1431-1433 、Dalbadie-McFarland, G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1982) 79, 6409-6413 )。
【0015】
アミノ酸配列を改変する方法としては、例えば、部位特異的変異誘発法(Hashimoto-Gotoh, T. et al. (1995) Gene 152, 271-275、Zoller, MJ, and Smith, M.(1983) Methods Enzymol. 100, 468-500、Kramer, W. et al. (1984) Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456、Kramer W, and Fritz HJ(1987) Methods. Enzymol. 154, 350-367、Kunkel,TA(1985) Proc Natl Acad Sci USA. 82, 488-492、Kunkel (1988) Methods Enzymol. 85, 2763-2766)が挙げられる。
【0016】
このようにして調製されたペプチドが、実際に、植物の胚乳組織におけるタンパク顆粒Iに蓄積する活性を有するか否かは、実施例記載のように、GFPなどの標識となるタンパク質と該アミノ酸配列との融合タンパク質の細胞内局在を顕微鏡を用いて観察することで判断することができる。また、該活性のレベルは、標識となるタンパク質が、GFPなどの蛍光タンパク質であれば、その蛍光強度で測定することができる。
【0017】
本発明における上記(ii)のペプチドとしては、特に制限はない。植物の胚乳組織におけるタンパク顆粒Iに蓄積させたい所望のペプチドを本発明において用いることができる。ペプチドとしては、例えば、栄養価の高いアミノ酸組成を持つペプチド、ヒトや家畜等に対し生理的機能を持ったペプチド、食用ワクチン、抗体、酵素タンパク質等の付加価値の高いペプチドが挙げられる。これらのペプチドに加えて、ペプチド自体の付加価値はあまり高くない場合でも、タンパク顆粒 (PB-I) にターゲットさせることで、PB-I の物性を改変することが期待できるペプチドも例として挙げられる。即ちプロラミン以外のペプチドをPB-I で蓄積させることで、PB-I 内でのプロラミンタンパク質間の相互作用に影響を及ぼし、結晶化を阻害することが期待できる。このような特性を持ったペプチドとして、例えば保水性の高いペプチドや親水性のアミノ酸残基を多く含むペプチド等が挙げられる。
【0018】
本発明において(i)のペプチドと(ii)のペプチドとの融合ペプチドをコードするDNAは、(i)のペプチドをコードするDNAと(ii)のペプチドをコードするDNAとを結合させて作製することができる。また、該融合ペプチドをコードするDNAには、シグナルペプチドをコードするDNAを結合させる。シグナルペプチドとしては、特に制限はなく、例えば、ダイズ種子貯蔵タンパク質グリシニンA1aB1b のシグナルペプチドなどが挙げられる。
【0019】
これらDNAは生物(好ましくは植物)由来のゲノムDNAまたはmRNAからPCR法などを利用して調製してもよく、また、化学合成してもよい。これらDNAの結合は、通常の遺伝子工学的手法により行うことができる。これらDNAの結合様式に特に制限はないが、例えば、(ii)のペプチドのC末端に、(i)のペプチドが付加されるように、それぞれのペプチドをコードするDNAを結合させることができる。また、シグナルペプチドは、(ii)のペプチドのN末端に付加されるように、それぞれのペプチドをコードするDNAを結合させることができる。
【0020】
本発明において、上記融合ペプチドをコードするDNAを含むベクターの植物細胞への導入は、当業者においては、公知の方法、例えばアグロバクテリウム法、電気穿孔法(エレクトロポーレーション法)、パーティクルガン法、により実施することができる。
【0021】
上記アグロバクテリウム法を用いる場合、例えば、超迅速単子葉形質転換性(特許第3141084号)を用いることが可能である。また、例えばNagelらの方法(Microbiol. Lett., 1990, 67, 325.)が用いられる。この方法によれば、組み換えベクターをアグロバクテリウム細菌中に形質転換して、次いで形質転換されたアグロバクテリウムを、リーフディスク法等の公知の方法により植物細胞に導入する。上記ベクターは、例えば植物体に導入した後、上記融合ペプチドをコードするDNAが植物体中で発現するように、発現プロモーターを含む。一般に、該プロモーターの下流には上記融合ペプチドをコードするDNAが位置し、さらに該DNAの下流にはターミネーターが位置する。この目的に用いられる組み換えベクターは、植物への導入方法、または植物の種類に応じて、当業者によって適宜選択される。上記プロモーターとして、例えばイネのグロブリンプロモーター、カリフラワーモザイクウイルス由来のCaMV35S、トウモロコシのユビキチンプロモーター(特開平2-79983号公報)等を挙げることができる。
【0022】
また、上記ターミネーターは、カリフラワーモザイクウイルス由来のターミネーター、あるいはノパリン合成酵素遺伝子由来のターミネーター等を例示することができるが、植物体中で機能するプロモーターやターミネーターであれば、これらに限定されない。
【0023】
上記融合ペプチドをコードするDNAを含むベクターを導入する植物細胞としては、イネ、トウモロコシ、エンバク、コムギ、オオムギ等を含むイネ科植物に由来する植物細胞を例示することができるが、これらに制限されない。また、植物細胞の形態に特に制限はなく、例えば、葉、根、茎、花および種子中の胚盤等の植物細胞、カルス、懸濁培養細胞、外植片等が挙げることができる。
【0024】
上記融合ペプチドをコードするDNAを含むベクターの導入により形質転換した植物細胞を効率的に選択するために、上記組み換えベクターは、適当な選抜マーカー遺伝子を含む、もしくは選抜マーカー遺伝子を含むプラスミドベクターと共に植物細胞へ導入することが好ましい。この目的に使用する選抜マーカー遺伝子は、例えば抗生物質ハイグロマイシンに耐性であるハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、カナマイシンまたはゲンタマイシンに耐性であるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、および除草剤ホスフィノスリシンに耐性であるアセチルトランスフェラーゼ遺伝子等が挙げられる。
【0025】
組み換えベクターを導入した植物細胞は、導入された選抜マーカー遺伝子の種類に従って適当な選抜用薬剤を含む公知の選抜用培地に置床し培養する。これにより形質転換された植物培養細胞を得ることができる。
【0026】
植物体の再生は植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である(Toki. et al., Plant Physiol, 1995, 100, 1503-1507.)。例えばイネにおいては、形質転換植物体を作出する手法については、ポリエチレングリコールによりプロトプラストへDNAを導入し、植物体(インド型イネ品種が適している)を再生させる方法(Datta, S K. et al., In Gene Transfer To Plants (Potrykus I and Spangenberg Eds.), 1995, 66-74.)、電気パルスによりプロトプラストへDNAを導入し、植物体(日本型イネ品種が適している)を再生させる方法(Toki. et al., Plant Physiol, 1992, 100, 1503-1507.)、パーティクルガン法により細胞へDNAを直接導入し、植物体を再生させる方法(Christou, et al., Bio/technology, 1991, 9, 957-962.)およびアグロバクテリウムを介してDNAを導入し、植物体を再生させる方法(Hiei. et al., Plant J, 1994, 6, 271-282.)等、いくつかの技術が既に確立し、本願発明の技術分野において広く用いられている。本発明においては、これらの方法を好適に用いることができる。
【0027】
形質転換細胞から再生させた植物体は、次いで順化用培地で培養する。その後、順化した再生植物体を、通常の栽培条件で栽培すると、植物体が得られ、成熟して結実して種子を得ることができる。
【0028】
なお、このように再生され、かつ栽培した形質転換植物体中の導入された外来DNAまたは核酸の存在は、公知のPCR法やサザンハイブリダイゼーション法によって、または植物体中の核酸の塩基配列を解析することによって確認することができる。この場合、形質転換植物体からのDNAまたは核酸の抽出は、公知のJ.Sambrookらの方法(Molecular Cloning, 第2版, Cold SpringHarbor laboratory Press, 1989)に準じて実施することができる。
【0029】
再生させた植物体中に存在する上記融合ペプチドをコードするDNAを、PCR法を用いて解析する場合には、上記のように再生植物体から抽出した核酸を鋳型として増幅反応を行う。また、該核酸がDNAである場合には、該DNAの塩基配列に従って適当に選択された塩基配列をもつ合成したオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、これらを混合させた反応液中おいて増幅反応を行うこともできる。増幅反応においては、DNAの変性、アニーリング、伸張反応を数十回繰り返すと、上記融合ペプチドをコードするDNAを含むDNA断片の増幅生成物を得ることができる。増幅生成物を含む反応液を、例えばアガロース電気泳動にかけると、増幅された各種のDNA断片が分画されて、そのDNA断片が上記融合ペプチドをコードするDNAに対応することを確認することが可能である。
【0030】
一旦、染色体内に上記融合ペプチドをコードするDNAが導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖または無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料(例えば種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。
【0031】
また、形質転換植物体において、任意のペプチドが胚乳組織に蓄積しているか否かは、形質転換個体と非形質転換個体の種子の全タンパク質を抽出し、SDS-ポリアクリルゲル電気泳動法によって、タンパク質を分離し、両者を比較することによって、目的ペプチドの蓄積を確認することができる。また目的ペプチドに対する抗体を用いれば、ウェスターンブロット法やELISA法等で定量的な解析も可能となる。
【0032】
また、本発明は、本発明の方法を実施するために有用なキットを提供する。このキットには、例えば、(1)上記融合ペプチドをコードするDNA、(2)(i)のペプチドをコードするDNA、(3)(1)または(2)のDNAを含むベクター、を含むことができる。本発明のキットに含まれる他の構成物としては、例えば、ゲノムDNAライブラリー、cDNAライブラリー、ベクター、植物細胞、各種試薬などが例示できる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
イネ種子貯蔵タンパク質のグロブリンは液胞由来のタンパク顆粒II(PB-II)に蓄積する。このことは、グロブリンが液胞移行シグナルをタンパク質の特定の部位に持っていることを示唆する。本発明者らはグロブリンの液胞移行シグナルを同定することを課題として研究に着手した。レポータータンパク質としてGFPタンパク質sGFP(S65T) を用いた。このGFPのN末端にダイズ種子貯蔵タンパク質グリシニンA1aB1b のシグナルペプチドを付加し、またGFPのC末端にはグロブリンのシグナルペプチドを除く全長、又は一部を付加した。遺伝子発現のためのプロモーターはグロブリンのプロモーターを用い、アグロバクテリウムを介した方法(超迅速単子葉形質転換性(特許第3141084号))でイネ種子由来のカルスに感染し、形質転換体を作出した。融合タンパク質の胚乳組織での細胞内局在は共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。グロブリンの21番目のグリシニン残基(G21)から111番目のグルタミン残基(Q111)をGFPのC末端に付加した融合タンパク質の細胞内局在は、驚くべきことに、液胞由来のタンパク顆粒II(PB-II)ではなく、液胞由来ではないタンパク顆粒I(PB-I)であることが示唆された。すなわち、上記GFP融合タンパク質の細胞内局在は、タンパク顆粒I(PB-I)と考えられる、主に直径0.5から2.3 ミクロンの多数の球状顆粒であった。
【0034】
本発明者らは、上記GFP融合タンパク質がタンパク顆粒I(PB-I)に蓄積するための必要部位の同定に着手した。まずG21から Q111 までを2つに分け、G21から R59まで、又はR68 からQ111までをGFPのC末端に付加し、上記と同様に形質転換体を作出し細胞内局在を観察した。その結果R68 からQ111までをGFPのC末端に付加した融合タンパク質がタンパク顆粒I(PB-I)に局在した。更に必要な領域を絞り込むためにR68 からQ111までを再び2分割し、L72 からS86まで、又は A92から S104までをGFPのC末端に付加し、上記と同様に形質転換体を作出し細胞内局在を観察した。その結果、L72 からS86までの15アミノ酸残基をGFPのC末端に付加した融合タンパク質がタンパク顆粒I(PB-I)に局在した(図1および2)。
【0035】
この15アミノ酸残基の配列(LGLRMQCCQQLQDVS)(配列番号:5)は、相同タンパク質のひまわりの2SアルブミンSFA-8 の立体構造の情報を基にすると、78番目と79番目の2つの連続するシステイン残基はグロブリン分子内の他の2つのシステイン残基とジスルフィド結合を形成する。よって、78番目と79番目の2つのシステイン残基が小胞体のルーメンで他のタンパク質とジスルフィド結合するために、GFP融合タンパク質がタンパク顆粒I(PB-I)に局在すると推察した。この仮説を検証するためにC78と C79を含む4つのアミノ酸残基(R75, C78, C79, L82) をアラニンに置換した15アミノ酸残基(LGLAMQAAQQAQDVS)(配列番号:6)をGFPのC末端に付加し、上記と同様に形質転換体を作出し細胞内局在を観察した。この場合GFPはタンパク顆粒I(PB-I)には局在しないことが判明した。また、本実施例において、システイン残基が存在するだけではタンパク顆粒I(PB-I)に局在しないことも判明した。例えば、G21から R59までのアミノ酸配列にはC36とC48の2つのシステイン残基が存在するが、上述のようG21から R59までをGFPのC末端に付加してもGFP融合タンパク質はタンパク顆粒I(PB-I)での局在を示さなかった(図1)。このことから所望のタンパク質をタンパク顆粒I(PB-I)で蓄積させるためには、付加するアミノ酸配列がシステイン残基を含むことは必要条件であるが充分条件ではないことが分かる。即ちシステイン残基の前後のアミノ酸配列が重要である。
【0036】
また、15アミノ酸残基の配列(LGLRMQCCQQLQDVS)(配列番号:5)は、イネプロラミン遺伝子ファミリーで保存された領域(Matsukawa et al. Biosci. Biotechnol. Biochem. 1999, 63, 1851-1858)と高い相同性があることが判明した。特に2つの連続するシステイン残基とその前後のグルタミン残基(QCCQQ)(配列番号:14)が16.6 kDaプロラミン(λRP16)と13kDaプロラミン(pProl17、λRM7)で保存されている。10kDaプロラミン(λRP10)ではグルタミンがメチオニンに置換した配列QCCMQ(配列番号:15)となっている。トウモロコシの種子貯蔵タンパク質15kDaゼインとエンバクの種子貯蔵タンパク質アベニンにも類似の配列、それぞれ、QCCQQ(配列番号:14)およびQCCRQ(配列番号:16)が存在する。それらの共通配列としてQCCXQ(Xは任意のアミノ酸)(配列番号:1)を見いだした(図3)。この保存された共通配列がグロブリンのタンパク顆粒I(PB-I)での蓄積に必要であることが示唆された。
【0037】
また、上記タンパク質が全て種子貯蔵タンパク質であることを考慮に入れると、これらの遺伝子は進化的に起源を同じくする遺伝子群であることが推察できる。またプロラミン、ゼイン、アベニンは小胞体由来のタンパク顆粒(イネのPB-Iに相当)に輸送され蓄積するので、これらのタンパク質でも上記共通配列が、これらのタンパク質の輸送・蓄積で重要な役割を担っていると考えられる。
【0038】
[実施例2]
本発明者らは、共通配列の中の連続するシステイン残基が他のタンパク質とジスルフィド結合することを見出した(図4)。配列番号:5に記載の野性型、又は配列番号:6に記載の変異型の15アミノ酸残基を付加したGFP融合タンパク質は、通常用いられるタンパク質抽出緩衝液(50mM Tris-HCl、 pH6.8、8M 尿素、4% SDS、20% グリセロール、5% 2-メルカプトエタノール)(Iida, S., Amano, E. and Nishio, T. 1993 Theor. Appl. Genet. 87, 374-378)で、完熟種子から可溶化することができる。ところが、この抽出緩衝液から還元剤の2-メルカプトエタノールを除く抽出緩衝液では、野性型の15アミノ酸残基を付加したタンパク質を可溶化することはできなかった。一方、変異型の15アミノ酸残基を付加したGFP融合タンパク質は還元剤を含まない抽出緩衝液でも容易に可溶化された。これらの結果は共通配列中の二つのシステイン残基が他のタンパク質とジスルフィド結合によって架橋しているために、還元剤を含まない緩衝液では可溶化されないことを示している。これと関連して、システイン残基を含むプロラミンを可溶化するためには、タンパク質抽出緩衝液に還元剤の添加が必須であることが実証されている(Mitsukawa et al. Biosci. Biotechnol. Biochem. 1999, 63, 1851-1858)。
【0039】
以上をまとめると(1)野性型の15アミノ酸残基がプロラミンのアミノ酸配列と相同性が高い。(2)野性型の15アミノ酸残基を付加したGFP融合タンパク質の局在はPB-I である。(3)PB-Iの含有するタンパク質の殆どはプロラミンである。(4)野性型の15アミノ酸残基を付加したGFP融合タンパク質はジスルフィド結合によって他のタンパク質と架橋する。これらの事実を総合すると、共通配列中の連続するシステイン残基がプロラミンとジスルフィド結合するために、共通配列を含むGFP融合タンパク質はPB-I に輸送・蓄積されると推察することができる。
【0040】
【発明の効果】
イネ胚乳組織には PB-I とPB-IIの2つの異なるタンパク顆粒が存在し、どちらも外来ペプチドの蓄積可能なオルガネラとして利用可能である。外来タンパク質の PB-II への輸送・蓄積は、これまでにインゲンマメ種子貯蔵タンパク質ベータファゼオリン(Zheng, Z., Sumi, K., Tanaka, K., and Murai, N. 1995, Plant Physiol. 109, 777-786)やダイズ種子貯蔵タンパク質グリシニン(Katsube, T., Kurisaka, N., Ogawa, M., Maruyama, N., Ohtsuka, R., Utsumi, S., and Takaiwa, F. 1999, Plant Physiol. 120, 1063-1073)等で証明されている。一方、PB-I への外来ペプチドの輸送・蓄積は実証例がない。従って、本発明の効果は外来ペプチドを PB-I に輸送・蓄積させることが可能になった点にある。また、プロラミンが集積するPB-I はヒトや動物で消化性が非常に悪いことが知られている (Tanaka, Y., Hayashida, S., and Hongo, M. 1975, Agric. Biol. Chem. 39, 515-518)。これはプロラミンタンパク質同士の分子間相互作用による結晶化と密接な関連が推測されている。そのため外来ペプチドをPB-I に輸送・蓄積させることによって、プロラミン同士の相互作用を阻害することが可能となり、結果としてPB-I の物性が変わることが予想される。PB-I の物性の変化による利点としては、プロラミンの消化性が向上することによる栄養特性の改善、調理特性の改変、加工特性の改変等が考えられる。
【0041】
【配列表】
JP0003940793B2_000002t.gifJP0003940793B2_000003t.gifJP0003940793B2_000004t.gifJP0003940793B2_000005t.gifJP0003940793B2_000006t.gifJP0003940793B2_000007t.gifJP0003940793B2_000008t.gifJP0003940793B2_000009t.gifJP0003940793B2_000010t.gifJP0003940793B2_000011t.gif
【図面の簡単な説明】
【図1】 イネグロブリン、グリシン21からグルタミン111までの保存領域のアミノ酸配列と、実験に用いた6つのGFP融合タンパク質の模式図を示す。上から(G21-Q111), (G21-R59), (R68-Q111), (A92-S104), (L72-S86)の配列をそれぞれGFPのC末端に付加し、融合タンパク質の細胞内局在を解析した。また同様に、変異型配列である15アミノ酸残基をGFPのC末端に付加し、融合タンパク質の細胞内局在を解析した。これらの融合タンパク質のタンパク顆粒(PB-I)での蓄積の有無を(+)又は(-)で右側に示す。
イネグロブリン(アルファグロブリン)はN末端にシグナルペプチドを有する。グリシン21からグルタミン111までの領域と、グルタミン148から終止コドンまでの領域はコムギの種子貯蔵タンパク質グルテニンと相同性が高い保存領域である。この二つの保存領域に挟まれた領域はコムギグルテニンとの相同性が低いので可変領域とした。
【図2】 15アミノ酸残基 (L72-S86)をGFPのC末端に付加した融合タンパク質の模式図と該融合タンパク質の細胞内局在を示す写真である。
【図3】 グロブリンがPB-I へ輸送されるために必要な15アミノ酸残基と相同性の高いアミノ酸配列を示す図である。イネプロラミンは比較的大きなマルチジーンファミリーを構成するため、ここに示した遺伝子は一部の遺伝子である。プロラミン遺伝子の特徴の一つは共通配列で示した配列、又はこれと類似の配列を有することである。またトウモロコシ15kDa ゼインやエンバクアベニンも類似のアミノ酸配列を有する。
【図4】 野生型および変異型の15アミノ酸残基をGFPのC末端に付加した融合タンパク質の模式図とそれぞれのGFP融合タンパク質について可溶化を解析した結果を示す写真である。完熟種子から全タンパク質を5%の2-メルカプトエタノール(還元剤)を添加した緩衝液と添加しない緩衝液で抽出した。通常のSDS-PAGE法で抽出タンパク質を分離した後、抗GFP抗体を用いて、GFP融合タンパク質(野性型、変異型)のそれぞれの抽出緩衝液での可溶化を解析した。還元剤を含む抽出緩衝液では野性型と変異型の両方の融合タンパク質が可溶化されたが、還元剤を含まない抽出緩衝液では野性型のGFP融合タンパク質は可溶化されなかった。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2
【図4】
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