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明細書 :電磁探査装置およびその方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3740539号 (P3740539)
公開番号 特開2004-294297 (P2004-294297A)
登録日 平成17年11月18日(2005.11.18)
発行日 平成18年2月1日(2006.2.1)
公開日 平成16年10月21日(2004.10.21)
発明の名称または考案の名称 電磁探査装置およびその方法
国際特許分類 G01V   3/12        (2006.01)
FI G01V 3/12 C
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2003-087942 (P2003-087942)
出願日 平成15年3月27日(2003.3.27)
審査請求日 平成15年3月27日(2003.3.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301035976
【氏名又は名称】独立行政法人農業工学研究所
発明者または考案者 【氏名】中里 裕臣
【氏名】竹内 睦雄
【氏名】奥山 武彦
【氏名】黒田 清一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100086852、【弁理士】、【氏名又は名称】相川 守
審査官 【審査官】▲高▼見 重雄
参考文献・文献 特開昭60-067875(JP,A)
特開平1-265187(JP,A)
特許第3041415(JP,B2)
調査した分野 G01V 3/00-3/40
JICSTファイル(JOIS)
特許請求の範囲 【請求項1】
受信器に電気的に接続された受信アンテナを測定点に配置し、この受信アンテナにより送信源から発信された電磁波による地下情報を含まない一次磁場と発信された電磁波により地中に生じる二次磁場との各成分をそれぞれ測定して地下の比抵抗を解析する電磁探査装置において、
受信アンテナを、互いに直交する3方向に延びる受信部を有する3成分アンテナにより構成するとともに、受信器を、上記3成分アンテナの各受信部に誘導される電気信号に基づいて3方向の各成分について所定の周波数信号の処理を行い、直交する各2成分間の磁場強度比と位相差とを測定して出力するように構成するとともに、3成分アンテナに3成分アンテナの姿勢を検知し検知信号を送出する姿勢検知手段を設け、解析時、姿勢検知手段からの検知信号に基づいて測定された値を水平面および北を基準とする座標上の値に補正することにより、3成分アンテナを任意の姿勢に設置して測定することを特徴とする電磁探査装置。
【請求項2】
姿勢検知手段を、コンパス軸に対し3成分アンテナの一受信部の方位角、ピッチ角およびロール角を測定する3軸電子コンパスにより構成し、解析時、受信器より出力された値から一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とをアンテナ軸を基準とする座標上に求め、これら求められた値を3軸電子コンパスより出力された3成分アンテナの姿勢データに基づいて、水平面および北を基準とする座標上の値に補正することを特徴とする請求項に記載の電磁探査装置。
【請求項3】
受信側に測定地点の位置情報を入力する位置測定手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁探査装置。
【請求項4】
受信器に電気的に接続された受信アンテナを測定点に配置し、この受信アンテナにより送信源から発信された電磁波による地下情報を含まない一次磁場と発信された電磁波により地中に生じる二次磁場との各成分をそれぞれ測定して測定場所の地下の比抵抗を求めた後、受信器側を測定線に応じて移動させ、この移動と測定とを繰り返しつつ地下の比抵抗を解析する電磁探査方法において、
受信アンテナを、互いに直交する3方向に延びる受信部を有する3成分アンテナにより構成するとともに、受信器を、上記3成分アンテナの各受信部に誘導される電気信号に基づいて3方向の各成分について所定の周波数信号の処理を行い、直交する各2成分間の磁場強度比と位相差とを測定して出力するように構成し、これら磁場強度比と位相差とに基づいて一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とを求め、地下の比抵抗を解析するとともに、3成分アンテナに3成分アンテナの姿勢を検知し検知信号を送出する姿勢検知手段を設け、解析時、一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とをアンテナ軸を基準とする座標上に求め、これら求められた値を姿勢検知手段から出力された検知信号に基づいて水平面および北を基準とする座標上の値に補正して解析することを特徴とする電磁探査方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は地下構造を探査する電磁探査装置とその方法に関し、特に通信用のVLF波を利用し、受信器の移動のみで探査を行うVLF-EM法による電磁探査に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、面積数km2に及ぶ大規模地すべりや、豪雨時の多発的な斜面崩壊など比較的広い範囲に及ぶ地質条件に起因する地盤災害や、重金属や揮発性有機化合物等の汚染物質による地質汚染が増加しており、広域の地下構造を効率よく解明するための調査法が求められている。従来、このような地下構造の調査法として、信号源に潜水艦通信用の超長波であるVLF波(VLF:Very Low Frequency)を受動的に利用するVLF法電磁探査が知られている。VLF法は利用できる電磁波の周波数が限定されるため、深度方向の比抵抗変化に対する探査精度は低いが、受信器のみで測定が可能であることから、送信源を用意する他の電磁探査法に比べて作業性及びコストの面で優れており、特に複数の受信器を使用することで広域を効率よく探査できる特徴がある。VLF法にはアンテナにより磁場のみを測定するVLF-EM法(VLF-EM:Very Low Frequency - Electromagnetic、VLF-電磁法)と、アンテナと1対の電極により磁場と電場を測定するVLF-MT法(VLF-MT:Very Low Frequency - Magnetotelluric、VLF-地磁気地電流法)とがあるが、VLF-EM法は大地と非接触で探査可能であることから特に探査能率が優れている。
【0003】
従来のVLF-EM法は、図5に示すように、送信源2から所定の距離を置いて配置された受信器4と、この受信器4に電気的に接続された受信アンテナ3とを備えた電磁探査装置1を用いて地下の比抵抗を解析するようになっている。送信源2は所定の周波数の電磁波(VLF波)を発信するようになっている。受信アンテナ3は、互いに直交する受信部3A、3Bを有する直交2成分アンテナである。この従来のVLF-EM法では、まず、受信アンテナ3が送信源2に対して最大結合となるように、直交2成分アンテナ3の一次磁場測定用アンテナ3Aを水平に、かつ、測定点と信号源2とを結ぶ線L1の直交方向Dcに合致するよう方位を調整するとともに、二次磁場測定用アンテナ3Bを鉛直方向Dvに保持する。そして、それぞれのアンテナ3A、3Bについて利用電波の周波数の同相・離相成分を測定し、一次磁場強度で正規化した二次磁場強度を求めるようになっている。二次磁場強度は地盤の比抵抗によって変化することから、一次磁場と二次磁場の強度比の場所による変化から、相対的な比抵抗の大きさを探査することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特許3041415号公報(第3-5頁、図1、図3参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成にかかるVLF-EM法(超長波を用いた電磁探査法)では、受信アンテナ3を移動した後、測定のたびに所定の姿勢に調整する必要があり、作業能率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、アンテナの姿勢調整の手間を省き効率よく探査データの収集を行うことができる電磁探査装置およびその方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電磁探査装置は、受信器に電気的に接続された受信アンテナを測定点に配置し、この受信アンテナにより送信源から発信された電磁波による地下情報を含まない一次磁場と発信された電磁波により地中に生じる二次磁場との各成分をそれぞれ測定して地下の比抵抗を解析する電磁探査装置において、受信アンテナを、互いに直交する3方向に延びる受信部を有する3成分アンテナにより構成するとともに、受信器を、上記3成分アンテナの各受信部に誘導される電気信号に基づいて3方向の各成分について所定の周波数信号の処理を行い、直交する各2成分間の磁場強度比と位相差とを測定して出力するように構成するとともに、3成分アンテナに3成分アンテナの姿勢を検知し検知信号を送出する姿勢検知手段を設け、解析時、姿勢検知手段からの検知信号に基づいて測定された値を水平面および北を基準とする座標上の値に補正することにより、3成分アンテナを任意の姿勢に設置して測定するようにしたものである。
【0008】
本発明に係る電磁探査装置では、受信器に電気的に接続された受信アンテナを測定点に配置し、この受信アンテナにより送信源から発信された電磁波による地下情報を含まない一次磁場と発信された電磁波により地中に生じる二次磁場との各成分をそれぞれ測定して地下の比抵抗を解析する電磁探査装置において、受信アンテナを、互いに直交する3方向に延びる受信部を有する3成分アンテナにより構成するとともに、受信器を、上記3成分アンテナの各受信部に誘導される電気信号に基づいて3方向の各成分について所定の周波数信号の処理を行い、直交する各2成分間の磁場強度比と位相差とを測定して出力するように構成するとともに、3成分アンテナに3成分アンテナの姿勢を検知し検知信号を送出する姿勢検知手段を設け、解析時、姿勢検知手段からの検知信号に基づいて測定された値を水平面および北を基準とする座標上の値に補正することにより、3成分アンテナを任意の姿勢に設置して測定するようにしたことにより、一次磁場が平面波と仮定できるほど離れた場所にある送信源に対し、ある地点に3成分アンテナを設置して測定する際、任意の方向に置かれた3成分アンテナの異なる2成分間の磁場強度比と位相差から各3成分平面に投影された楕円の形状に基づいて空間的な楕円の形状が求められる。これら受信器の出力値から求められたアンテナ軸を基準とする座標上の、一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とに対し、3成分アンテナの姿勢に関するデータを取得し、この姿勢に関するデータにより楕円率と水平面における楕円の長軸の方位および伏角を求めるようになっている。このため、測定時、受信アンテナの姿勢を調整する必要がなく、作業が効率化される。また、受信器から出力される測定データに対し、姿勢検知手段からの検知信号に基づいて3成分アンテナの姿勢のずれを自動的に補正することができ、測定ごとに受信アンテナの姿勢を結合調整する必要がない。
【0011】
さらに、請求項に係る電磁探査装置は、姿勢検知手段を、コンパス軸に対し3成分アンテナの一受信部の方位角、ピッチ角およびロール角を測定する3軸電子コンパスにより構成し、解析時、受信器より出力された値から一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とをアンテナ軸を基準とする座標上に求め、これら求められた値を3軸電子コンパスより出力された3成分アンテナの姿勢データに基づいて、水平面および北を基準とする座標上の値に補正するようにしたものである。
【0012】
請求項に係る電磁探査装置では、姿勢検知手段を、コンパス軸に対し3成分アンテナの一受信部の方位角、ピッチ角およびロール角を測定する3軸電子コンパスにより構成し、解析時、受信器より出力された値から一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とをアンテナ軸を基準とする座標上に求め、これら求められた値を3軸電子コンパスより出力された3成分アンテナの姿勢データに基づいて、水平面および北を基準とする座標上の値に補正するようにしたので、3成分アンテナがどのような姿勢であっても、アンテナ軸を基準とする座標上の、一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とに対し、コンパス軸に対する3成分アンテナの姿勢のずれが検知され、アンテナ軸を基準とする座標上に求められた楕円の長軸の方向を北(方位角0°)からの方位角と水平面に対する伏角とに補正することができる。
【0013】
請求項に係る電磁探査装置は、受信側に測定地点の位置情報を入力する位置測定手段を設けたものである。
【0014】
請求項に係る電磁探査装置では、受信側に測定地点の位置情報を入力する位置測定手段を設けたので、測定地点ごとに測定場所の位置を測る必要がなく、作業が効率化される。また、測定場所の位置情報を得ることができるので、自在に移動して測定地点を任意に決めることができ、解析の精密度を増大させることができる。
【0015】
本発明に係る電磁探査方法は、受信器に電気的に接続された受信アンテナを測定点に配置し、この受信アンテナにより送信源から発信された電磁波による地下情報を含まない一次磁場と発信された電磁波により地中に生じる二次磁場との各成分をそれぞれ測定して測定場所の地下の比抵抗を求めた後、受信器側を測定線に応じて移動させ、この移動と測定とを繰り返しつつ地下の比抵抗を解析する電磁探査方法において、受信アンテナを、互いに直交する3方向に延びる受信部を有する3成分アンテナにより構成するとともに、受信器を、上記3成分アンテナの各受信部に誘導される電気信号に基づいて3方向の各成分について所定の周波数信号の処理を行い、直交する各2成分間の磁場強度比と位相差とを測定して出力するように構成し、これら磁場強度比と位相差とに基づいて一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とを求め、地下の比抵抗を解析するとともに、3成分アンテナに3成分アンテナの姿勢を検知し検知信号を送出する姿勢検知手段を設け、解析時、一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とをアンテナ軸を基準とする座標上に求め、これら求められた値を姿勢検知手段から出力された検知信号に基づいて水平面および北を基準とする座標上の値に補正して解析するようにしたものである。
【0016】
本発明に係る電磁探査方法では、受信器に電気的に接続された受信アンテナを測定点に配置し、この受信アンテナにより送信源から発信された電磁波による地下情報を含まない一次磁場と発信された電磁波により地中に生じる二次磁場との各成分をそれぞれ測定して測定場所の地下の比抵抗を求めた後、受信器側を測定線に応じて移動させ、この移動と測定とを繰り返しつつ地下の比抵抗を解析する電磁探査方法において、受信アンテナを、互いに直交する3方向に延びる受信部を有する3成分アンテナにより構成するとともに、受信器を、上記3成分アンテナの各受信部に誘導される電気信号に基づいて3方向の各成分について所定の周波数信号の処理を行い、直交する各2成分間の磁場強度比と位相差とを測定して出力するように構成し、これら磁場強度比と位相差とに基づいて一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とを求め、地下の比抵抗を解析するとともに、3成分アンテナに3成分アンテナの姿勢を検知し検知信号を送出する姿勢検知手段を設け、解析時、一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とをアンテナ軸を基準とする座標上に求め、これら求められた値を姿勢検知手段から出力された検知信号に基づいて水平面および北を基準とする座標上の値に補正して解析するようにしたことにより、一次磁場が平面波と仮定できるほど離れた場所にある送信源に対し、ある測定地点まで移動して3成分アンテナを設置するたびに、任意の方向に置かれた3成分アンテナの異なる2成分間の磁場強度比と位相差から各3成分平面に投影された楕円の形状に基づいて空間的な楕円の形状が求められる。これら受信器の出力値から求められたアンテナ軸を基準とする座標上の、一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とに対し、3成分アンテナの姿勢に関するデータを取得し、この姿勢に関するデータにより楕円率と水平面における楕円の長軸の方位および伏角が求められる。このため、測定時、受信アンテナがどのような姿勢であっても、受信アンテナの姿勢のずれを補正すれば測定ごとに受信アンテナの姿勢を調整する必要がなく、作業が迅速化される。また、受信器から出力される測定データに対し、姿勢検知手段からの検知信号に基づいて3成分アンテナの姿勢のずれを自動的に補正することができ、測定ごとに受信アンテナの姿勢を結合調整する必要がない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る電磁探査装置を示す概念図、図2は図1の電磁探査装置と従来の電磁探査装置とを比較して示す説明図である。本実施の形態に係る電磁探査装置10は、図1および図2に示すように、測定点に配置され送信源2からの電磁波を受信する受信器11を備えている。送信源2は送信局で、所定の周波数の電磁波(本実施の形態の場合、潜水艦通信用の超長波(VLF波)15~30kHz)を発信するようになっている。送信源2は、一次磁場が平面波と仮定できるほど受信器11から充分に離れている必要がある。
【0020】
この電磁探査装置10の受信器11には、図1に示すように、受信アンテナ12がケーブル16を介して電気的に接続されるとともに、小型電子計算機14が電気的に接続される。受信アンテナ12には、3軸電子コンパス(姿勢検知手段)13が装着される。3軸電子コンパス13は小型電子計算機14と電気的に接続される。3軸電子コンパス13は、受信アンテナ12の姿勢を検知して検知信号を小型電子計算機14に送出するようになっている。また、小型電子計算機14には、GPS受信器(位置測定手段)15が電気的に接続される。GPS受信器15は受信した位置情報を小型電子計算機14に送出するようになっている。これら受信器11、受信アンテナ12、小型電子計算機14およびGPS受信器15は持ち運びできるようになっている。受信アンテナ12は、受信器11から分離され、受信器11の電磁誘導の影響を排除する位置まで延ばしてケーブル16を介し受信器11と接続される
【0021】
受信アンテナ12は、図1ないし図3に示すように、軸アンテナ(受信部)20X、20Y、20Zを有する3成分アンテナにより構成される。以下、受信アンテナ12を3成分アンテナと称す。軸アンテナ20X、20Y、20Zは、互いに軸心が直交するX,Y,Zの3方向に設けられた3軸により構成され、これら3個の受信軸20X、20Y、20Zは非金属のケース21に収められるようになっている。互いに直交するX,Y,Z方向とは、例えば、X方向が水平方向に向いていると、Y方向が鉛直方向に、Z方向がこれら水平方向Xと鉛直方向Yとに対して直交する直交方向にそれぞれ向くことになる方向をいう。受信アンテナ12は、測定地点で任意の姿勢で配置されるようになっている。なお、図2において、Dcは一次磁場(水平磁場)(図5における測定点と送信源2を結ぶ線L1の直交方向に対応する。)を、Dvは二次磁場(鉛直磁場)(図5の鉛直方向に対応する。)を、Cmは合成磁場(楕円形)をそれぞれ示す。
【0022】
受信器11は、各軸アンテナ20X、20Y、20Zに誘導される電気信号からそれぞれの成分について、所定の周波数信号の抽出および増幅を行い、異なる2成分X-Y,Y-Z、Z-X間の磁場強度比及び位相差を測定し、測定データを小型電子計算機14に出力するようになっている。
【0023】
3軸電子コンパス13は、3成分アンテナ12のうち、1つの軸アンテナ20Xの方向と電子コンパスの軸の方向とが一致するように装着される。この軸アンテナ20Xは、上述のように3成分アンテナ12のうちの1つの軸アンテナであるので、測定時、空間に対し(送信源2に対しても)任意の方向に向けられることになる。3軸電子コンパス13は、この軸アンテナ20Xの方向を3成分アンテナ12のX軸方向として、3成分アンテナ12のX軸方向(任意の方向)の方位角、ピッチ角、ロール角を測定し、この測定データを小型電子計算機14に出力するようになっている。すなわち、3軸電子コンパス13により3成分アンテナ12のX軸方向(軸アンテナ20Xの方向)の北からの方位角と水平面に対する角度が小型電子計算機14に出力されると、3成分アンテナ12からみた分極楕円の長軸について北(方位角0°)からの方位角と水平面からの伏角が計算されるようになっている。小型電子計算機14は、受信器11の測定データおよび3軸電子コンパス13の測定データに基づいて、空間的な楕円の長軸の方位角・伏角及び楕円率が計算されるようになっている。
【0024】
楕円パラメータを計測して地下の比抵抗を解析する方法については、特許3041415号公報に記載され、すでに公知になっている。この解析方法では、受信アンテナを、送信源に対し一次磁場測定用のアンテナを水平方向にかつ測定点と送信源を結ぶ線の直交方向に配置するとともに、二次磁場測定用のアンテナを鉛直方向に配置して最大結合の姿勢に位置させる。この受信アンテナに、一次磁場と二次磁場との合成磁場の直交2成分を検出させ、受信器によりこれら検出された2成分を測定し合成磁場のベクトルにより導かれる楕円体パラメータに基づいて合成磁場の直交2成分間の磁場強度比と位相差とから楕円率と伏角とを求め、この楕円率と伏角の比に基づいて送受信側間の距離と発信された電磁波の周波数とから地下の比抵抗を解析するようにしたものである。
【0025】
ところで、小型電子計算機14により楕円体パラメータに基づいて合成磁場の楕円の形状を求めると、その結果から空間的に分布する合成磁場の楕円のアンテナ軸を基準とする座標系における方位角、伏角及び楕円率を求める。次に、3軸電子コンパス13から出力された測定データに基づいて、3成分アンテナ12のX軸方向(軸アンテナ20Xの軸方向)の方位角、ピッチ角、ロール角のデータを元に座標変換を行い、合成磁場の楕円の長軸の水平面における北からの方位角、水平面に対する伏角を求め、楕円率とともに測定値として記録を行う。こうして3軸電子コンパス13から出力された3成分アンテナ12の姿勢のずれの測定データは、小型電子計算機14によりデータ処理され、3成分アンテナ12の姿勢のずれを補正して解析されるようになっている。
【0026】
GPS受信器15は探査地点の位置情報を小型電子計算機14に出力するようになっている。
【0027】
次に、本発明に係る電磁探査方法について上記構成に係る電磁探査装置の作用に基づいて説明する。図2に示すように、まず初めに、受信器11に電気的に接続された3成分アンテナ12を測定点に配置する。送信源2からは所定の周波数の電磁波が発信されている。3成分アンテナ12は、送信源2から発信された電磁波を大地からの電磁応答信号として受信し、地下情報を含まない一次磁場と送信源2から発信された電磁波により地中に生じる二次磁場との合成磁場の直交2成分を検出する。受信器11は、軸アンテナ20X、20Y、20Zに誘導される電気信号からそれぞれの成分について所定の周波数信号の抽出及び増幅を行い、3成分アンテナ12の異なる2成分X-Y,Y-Z、Z-X間の磁場強度比及び位相差を測定し、測定データを小型電子計算機14に出力する。小型電子計算機14は、受信器11からのX-Y,Y-Z、Z-Xの各成分間の磁場強度比及び位相差から各平面に投影される一次磁場と二次磁場の楕円の形状を求める。
【0028】
特許3041415号公報には、磁場強度比及び位相差から合成磁場の楕円の形状を求める方法が記載されている。小型電子計算機14により3成分アンテナ12により検出された成分の測定値から誘導される楕円体パラメータを求める。楕円体パラメータの求め方は、電磁波が大地を通過するとき、一次磁場の変化を打ち消すように、二次磁場が発生する。このため、空間的に任意の2方向の成分を考えたとき、2つの成分の位相が一致しないため、合成磁場のベクトルは楕円の軌跡を描くことを利用するものである。特許3041415号公報に記載されているように、ある角速度の電磁波について、受信点での直交2方向の磁場の強さを測定すると、座標系上で楕円の方程式が得られ、楕円分極と楕円体パラメータとを示すグラフとして表される。座標系上の楕円について短軸と長軸の比を楕円率といい、長軸からの傾きを伏角という。これらが楕円体パラメータである。そして、楕円率と伏角は磁場の直交2成分の振幅比と位相差を測定することにより求められる。
【0029】
ところで、小型電子計算機14により楕円体パラメータに基づいて合成磁場の楕円の形状を求めると、その結果から空間的に分布する合成磁場の楕円のアンテナ軸を基準とする座標系における方位角、伏角及び楕円率を求める。次に、3軸電子コンパス13からの3成分アンテナ12のX軸方向(軸アンテナ20Xの軸方向)の方位角、ピッチ角、ロール角のデータを元に座標変換を行い、合成磁場の楕円の長軸の水平面における北からの方位角、水平面に対する伏角を求め、楕円率とともに測定値として記録を行う。
【0030】
このように、この3軸電子コンパス13から出力された3成分アンテナ12の姿勢のずれの測定データは、小型電子計算機14によりデータ処理され、3成分アンテナ12の姿勢のずれを補正して解析される。このため、測定時、3成分アンテナ12がどのような姿勢であっても、正確に解析されるので、結合調整の必要がない。従って、従来必要であった送信源方向に対する受信アンテナの姿勢調整の過程が不要となり、測定作業ごとにアンテナの姿勢を調整する必要がなく、3成分アンテナ12を任意の姿勢で置いて測定作業をすることができ、作業効率が向上する。
【0031】
また、測定時、同時にGPS受信器15により探査地点の位置情報を小型電子計算機14に出力して記録するようにしているので、測定地点の特定作業を容易に行うことができる。このように、測定時、GPS受信器15から位置情報データを入力することにより、予め測定線を設定したり測定位置を確認する過程が省略可能であり、広域的な調査を効率的に行うことができる。
【0032】
こうして本発明に係る電磁探査方法では、解析時、まず、任意の方向に置かれた3成分アンテナ12の異なる2成分間(X-Y、Y-Z、Z-X)の磁場強度比と位相差から各3成分平面に投影された楕円の形状に基づいて空間的な楕円の形状が求められる。これら受信器11の出力値から求められたアンテナ軸を基準とする座標上の、一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とが、3軸電子コンパス13からの検知信号に基づいて3成分アンテナ12の姿勢のずれを補正して常に水平面および北を基準とする座標に変換される。このため、測定時、受信アンテナ12がどのような姿勢であっても、測定ごとに受信アンテナ12の姿勢を調整する必要がなく、作業が迅速化される。
【0033】
【実施例】
次に、上記構成に係る電磁探査装置を用いて実験を行った一実施例を示す。図4の(A)は兵庫県吉川町の地すべり地において同一測線について行った比抵抗法電気探査の結果を示すグラフ、図4の(B)および(C)はそれぞれ本発明による電磁探査装置を用いて行ったVLF-EM法探査の結果と、従来の2成分アンテナ装置を用いて行ったVLF-EM法探査の結果とを比較したグラフである。電磁法において、一次磁場と二次磁場の合成磁場の伏角と楕円率は、一次磁場と二次磁場の強度比の同相成分と離相成分とそれぞれ等価であることが公知であり、地盤の比抵抗変化は伏角及び同相成分比の変化に現れることが知られている。図4の(B)および(C)では、VLF-EM法による比抵抗変化部を強調するため、伏角及び同相成分比とともにそれらの微分フィルタ出力を併記した。フィルタ出力では正のピークが低比抵抗部、負のピークが高比抵抗部に相当する。図4の(A)ないし(C)の比較では、比抵抗法電気探査の表層の低比抵抗部と高比抵抗部の位置とVLF-EM法の正のピークと負のピークの位置が一致しており、本願発明に係る装置の比抵抗探査における有効性と、従来装置に対する同等性が示された。本願発明に係る装置では1測定点あたりの探査時間は1分以内であり、アンテナ12の位置調整が不要である分、従来装置に比べ探査能率に優れている。
【0034】
なお、上記実施の形態では、3成分アンテナの姿勢を検知する姿勢検知手段を設けているが、これに限られるものではなく、アンテナの姿勢に関するデータさえ得られればよく、たとえ姿勢検知手段(3軸電子コンパス)がなくとも、アンテナの姿勢を特定の姿勢(特定の角度)に保つことができ、測定時、その姿勢データを小型電子計算機14に出力するようにしてもよい。また、上記実施の形態では、姿勢検知手段を3軸電子コンパスにより構成しているがこれに限られるものではなく、任意の方向に設置される受信アンテナの、北を0°とする方位角、水平面に対する角度および鉛直面に対する角度を計測し、その計測データを小型電子計算機に出力するものであればよい。さらに、GPS受信器15により位置情報を小型電子計算機14に入力するようにしているが、これに限られるものではなく、他の手段により位置情報を入力するようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明に係る電磁探査装置では、受信器に電気的に接続された受信アンテナを測定点に配置し、この受信アンテナにより送信源から発信された電磁波による地下情報を含まない一次磁場と発信された電磁波により地中に生じる二次磁場との各成分をそれぞれ測定して地下の比抵抗を解析する電磁探査装置において、受信アンテナを、互いに直交する3方向に延びる受信部を有する3成分アンテナにより構成するとともに、受信器を、上記3成分アンテナの各受信部に誘導される電気信号に基づいて3方向の各成分について所定の周波数信号の処理を行い、直交する各2成分間の磁場強度比と位相差とを測定して出力するように構成するとともに、3成分アンテナに3成分アンテナの姿勢を検知し検知信号を送出する姿勢検知手段を設け、解析時、姿勢検知手段からの検知信号に基づいて測定された値を水平面および北を基準とする座標上の値に補正することにより、3成分アンテナを任意の姿勢に設置して測定するように構成したので、受信アンテナの姿勢を調整する作業過程が不要となり、測定作業が効率化される。また、楕円の長軸の方位角が記録されることで、方位の安定性から受動的に受信している通信用電波の安定性が評価できる効果がある。
【0036】
また、本発明に係る電磁探査方法では、受信器に電気的に接続された受信アンテナを測定点に配置し、この受信アンテナにより送信源から発信された電磁波による地下情報を含まない一次磁場と発信された電磁波により地中に生じる二次磁場との各成分をそれぞれ測定して測定場所の地下の比抵抗を求めた後、受信器側を測定線に応じて移動させ、この移動と測定とを繰り返しつつ地下の比抵抗を解析する電磁探査方法において、受信アンテナを、互いに直交する3方向に延びる受信部を有する3成分アンテナにより構成するとともに、受信器を、上記3成分アンテナの各受信部に誘導される電気信号に基づいて3方向の各成分について所定の周波数信号の処理を行い、直交する各2成分間の磁場強度比と位相差とを測定して出力するように構成し、これら磁場強度比と位相差とに基づいて一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とを求め、地下の比抵抗を解析するとともに、3成分アンテナに3成分アンテナの姿勢を検知し検知信号を送出する姿勢検知手段を設け、解析時、一次磁場と二次磁場の合成磁場の楕円率と伏角とをアンテナ軸を基準とする座標上に求め、これら求められた値を姿勢検知手段から出力された検知信号に基づいて水平面および北を基準とする座標上の値に補正して解析するようにしたので、測定ごとに受信アンテナの姿勢を調整する必要がなく、受信アンテナを任意の方向に配置して測定することができるので、測定作業が効率化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電磁探査装置の一実施の形態を示す概念図である。
【図2】図1の電磁探査装置の受信アンテナと従来の装置の受信アンテナとを比較して示す概念図である。
【図3】図1の電磁探査装置の受信アンテナの3成分を示す説明図である。
【図4】(A)ないし(C)のうち、(A)は兵庫県吉川町の地すべり地において同一測線について行った比抵抗法電気探査の結果を示すグラフ、(B)および(C)はそれぞれ、本発明による電磁探査装置を用いて行ったVLF-EM法探査の結果と、従来の2成分アンテナ装置を用いて行ったVLF-EM法探査の結果とを比較したグラフである。
【図5】従来の電磁探査装置を示す概念図である。
【符号の説明】
2 送信源
10 電磁探査装置
11 受信器
12 3成分アンテナ(受信アンテナ)
13 3軸電子コンパス(姿勢検知手段)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4