TOP > 国内特許検索 > 昆虫細胞又は昆虫を用いた活性型ブタIL-18の生産方法 > 明細書

明細書 :昆虫細胞又は昆虫を用いた活性型ブタIL-18の生産方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3541216号 (P3541216)
公開番号 特開2001-169785 (P2001-169785A)
登録日 平成16年4月9日(2004.4.9)
発行日 平成16年7月7日(2004.7.7)
公開日 平成13年6月26日(2001.6.26)
発明の名称または考案の名称 昆虫細胞又は昆虫を用いた活性型ブタIL-18の生産方法
国際特許分類 C12N 15/09      
A01K 67/033     
C12N  5/10      
C12P 21/02      
C12N  9/64      
C12N 15/09      
C12R  1:93      
C12P 21/02      
C12R  1:93      
FI C12N 15/00 ZNAA
A01K 67/033 501
C12P 21/02 K
C12N 5/00 B
C12N 9/64 Z
C12N 15/00 ZNAA
C12R 1:93
C12P 21/02
C12R 1:93
請求項の数または発明の数 3
微生物の受託番号 FERM P-17499
FERM P-17500
全頁数 44
出願番号 特願2000-303931 (P2000-303931)
出願日 平成12年10月3日(2000.10.3)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用申請有り Cytokine,Vol.12,No.6(Jun.2000)p.566-572に発表
優先権出願番号 1999284829
優先日 平成11年10月5日(1999.10.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成12年10月3日(2000.10.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
発明者または考案者 【氏名】宗田 吉広
【氏名】森 康行
【氏名】下地 善弘
【氏名】新井 啓五
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
審査官 【審査官】三原 健治
参考文献・文献 Science,Vol.275 (1997),p.206-209
Nature,Vol.386(1997),p.619-623
Science,Vol.256 (1992),p.97-100
調査した分野 C12N 15/00-15/90
C12N 9/00- 9/99
SwissProt/PIR/GeneSeq
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
PubMed
特許請求の範囲 【請求項1】
ブタカスパーゼ-1とIL-18とを共発現することを特徴とする昆虫細胞又は昆虫であって、ブタカスパーゼ-1が、以下の(a)又は(b)に示すタンパク質である、上記昆虫細胞又は昆虫。
(a)配列番号2記載のアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつカスパーゼ活性を有するタンパク質
【請求項2】
請求項1記載の昆虫細胞又は昆虫を用いることを特徴とする、活性型IL-18の生産方法。
【請求項3】
活性型IL-18が活性型ブタIL-18である、請求項2記載の方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カスパーゼ活性を有するタンパク質(特にブタカスパーゼ-1及びブタカスパーゼ-3)、該タンパク質をコードするDNA、該DNAに相補的なRNA、該DNAを含む発現ベクター、該発現ベクターにより形質転換された形質転換体、並びに該タンパク質に反応する抗体に関する。
【0002】
【従来の技術】
カスパーゼ-1(Caspase-1)は、インターロイキン-1(IL-1)βの単球でのプロセシングに必要なシステインプロテアーゼとして見いだされ(N.A.Thornberry., et al., Nature, 356, 768-774)、インターロイキン-1β変換酵素(interleukin-1 beta converting enzyme(ICE))と呼ばれていた。その後、線虫のアポトーシスの実行遺伝子であるced-3とICE遺伝子の塩基配列が相同性を示すことが報告され、類似の構造を持つシステインプロテアーゼが次々に見いだされた。そこで、これらのシステインプロテアーゼの総称として「カスパーゼ(caspase)」という名が提唱された(E.S.Alnemri et al., Cell, 87, 171)。
【0003】
カスパーゼ-3(caspase-3)もced-3とICE遺伝子の塩基配列に相同性を示すシステインプロテアーゼをコードする遺伝子としてヒトで見いだされ(T.Alnemri., et al., J.Biol.Chem., 269, 30761-30764)、カスパーゼカスケードの比較的下流に位置する重要な分子として知られている。
【0004】
現在、種々の感染症、癌細胞あるいは化学物質によるプログラム細胞死(Programed cell death)において、カスパーゼカスケードはアポトーシスを起こすシグナル伝達の最も重要な経路と考えられている(D.W.Nicholson and N.A.Thornberry.,Trends Biochem. Sci., 22,299-306)。そのため、これらアポトーシス異常の関与する疾患の治療薬としてカスパーゼファミリーのプロテアーゼとそのインヒビターは大きなターゲットと考えられている(D.W.Nicholson, Nat.Biotechnol.,14,297-301)。
【0005】
カスパーゼファミリーのタンパク質は、約40kDaの不活性型前駆体として合成され、プロセシングを受けて、分子量約10-kDaの短鎖と分子量約20-kDaの長鎖のサブユニットの重合したヘテロ4量体タンパク質として活性型となる。最近の研究により、カスパーゼ-1はIL-βばかりでなく、主にマクロファージで産生されるIL-18を活性のない前駆体から活性型に変換する酵素であること(T.Ghayur., et al., Nature, 386, 619-623, Y.Gu., et al., Science, 275, 206-209)、及びカスパーゼ-3はIL-18を活性型から活性のない変性産物へと変換する役割も果たすことが明らかとなった(K.Akita et al., J.Biol.Chem.,272, 26595-26603)。そのため、IL-1βの関与する様々な炎症反応、及びIL-18の関与するTh1細胞の活性化を制御する因子としても、そのインヒビターとともに研究が進められている。
【0006】
これまでに、ヒト(D.P.Cerretti et al.,Science, 256, 97-100)、マウス(M.A.Nett et al., J.immunol., 149,3254-3259)、ラット(K.M.Keane et al.,Cytokine, 7, 105-110)、イヌ(F.Okano et al.,J.interferon cytokine Res.,19, 27-32)及びニワトリ(A.L.Johnson., et al., Gene, 219, 55-62)のカスパーゼ-1遺伝子、並びにヒト(T.Alnemri., et al., J.Biol.Chem., 269, 30761-30764)、マウス(Genbank公開データU19522)、ラット(Genbank公開データU84410)及びニワトリ(Genbank公開データAF083029)のカスパーゼ-3遺伝子の全塩基配列が明らかとなっているが、ブタをはじめとする家畜のカスパーゼファミリーに属する遺伝子の報告はなされておらず、ブタをはじめとする家畜におけるウィルス感染症・細菌感染症をはじめとするアポトーシスを呈する病態の解析・予防・治療方法の開発の妨げとなっている。
【0007】
また、本発明者らは、これまでにブタIL-18のcDNAをクローニングし、その前駆体蛋白質および活性型蛋白質をバキュロウィルス・昆虫細胞を用いた発現系により作製したことを報告している(Y.Muneta et al., Cytokine, 12, 566-572, 2000)。しかしながら、IL-18が分泌シグナルを持たないこと、昆虫細胞がIL-18の前駆体から活性型への成熟に必要とされるカスパーゼ-1を持たないこと、昆虫細胞がIL-18を活性型から変性産物へと分解する内在性のカスパーゼ-3様活性を持っていること等から、バキュロウィルス・昆虫細胞を用いた発現系により前駆体型ブタIL-18は効率よく培養上清中に分泌発現されるものの、活性型IL-18を効率よく分泌発現することはできなかった。
このような状況の下、ブタのカスパーゼファミリーに属する遺伝子の単離・同定が切望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、ブタのカスパーゼファミリーに属する遺伝子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、カスパーゼファミリーの遺伝子発現が1連のカスケードとして免疫学的な刺激後の短時間のうちに生じること(水野憲一、伊東 広、カスパーゼファミリーとアポトーシス、医学のあゆみ、187, 318-323)、及びカスパーゼファミリーのアミノ酸配列のN末端とC末端とがヒトやマウスなどの種間で高く保存されていることに着目し、ブタ肺胞マクロファージをリポポリサッカライドで短時間(例えば4時間)刺激して得られたTotal-RNAから合成したcDNAと、ヒト及びマウスのカスパーゼ-1とカスパーゼ-3のN末端とC末端のアミノ酸配列に基づいて合成した混合プライマーを用いてPCRを行なうことにより、ブタカスパーゼ-1遺伝子及びブタカスパーゼ-3遺伝子を単離・同定することに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)以下の(a)又は(b)に示すタンパク質。
(a)配列番号2記載のアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつカスパーゼ活性を有するタンパク質
(2)前記(1)記載のタンパク質をコードするDNA又はそれに相補的なDNA。
(3)前記(2)記載のDNAに相補的なRNA。
(4)前記(2)記載のDNAを含む発現ベクター。
(5)前記(4)記載の発現ベクターにより形質転換された形質転換体。
【0011】
(6)前記(1)記載のタンパク質に反応する抗体。
(7)以下の(c)又は(d)に示すタンパク質。
(c)配列番号4記載のアミノ酸配列からなるタンパク質
(d)配列番号4記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつカスパーゼ活性を有するタンパク質
(8)前記(7)記載のタンパク質をコードするDNA又はそれに相補的なDNA。
(9)前記(8)記載のDNAに相補的なRNA。
(10)前記(8)記載のDNAを含む発現ベクター。
【0012】
(11)前記(10)記載の発現ベクターにより形質転換された形質転換体。
(12)前記(7)記載のタンパク質に反応する抗体。
(13)前記(5)記載の形質転換体を用いることを特徴とする、ブタ活性型IL-18の生産方法。
(14)前記(11)記載の形質転換体を用いることを特徴とする、ブタ活性型IL-18の抑制方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第一(以下、「第一発明」という)は、以下の(a)又は(b)に示すタンパク質である:
(a)配列番号2記載のアミノ酸からなるタンパク質;
(b)配列番号2記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつカスパーゼ活性を有するタンパク質。
【0014】
本発明の第二(以下、「第二発明」という)は、以下の(c)又は(d)に示すタンパク質である:
(c)配列番号4記載のアミノ酸からなるタンパク質;
(d)配列番号4記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつカスパーゼ活性を有するタンパク質。
【0015】
ここで、第一発明及び第二発明において、「1又は複数個のアミノ酸」とは、欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質が、カスパーゼ活性を有する限り、その個数は特に限定されないが、通常は、本願の出願時において常用される技術、例えば、部位特異的変異誘発法(Nucleic Acids Res.10, 6487‐6500, 1982)によって生じさせることができる個数、好ましくは1又は数個を意味し、より好ましくは1~5個、さらに好ましくは1~3個のアミノ酸を意味する。
【0016】
また、第一発明及び第二発明において、「カスパーゼ活性を有するタンパク質」とは、システインプロテアーゼ活性を有し、かつP1(基質側の切断部位のアミノ酸残基)にアスパラギン酸を要求する基質特異性を有するタンパク質を意味する。
第一発明及び第二発明のタンパク質は、以下で詳述するように、それぞれのタンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターを適当な宿主に導入して発現させることにより得ることができる。
【0017】
本発明の第三(以下、「第三発明」という)は、上記(a)又は(b)に示すタンパク質をコードするDNA又はそれに相補的なDNAである。
第三発明のDNAは、上記(a)又は(b)に示すタンパク質をコードするDNA又はそれに相補的なDNAである限り、その塩基配列は限定されない。
第三発明のDNAの具体例としては、以下の(e)又は(f)に示すDNA又はそれに相補的なDNAを例示できる:
(e)配列番号1記載の塩基配列からなるDNA;
(f)配列番号1記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNAであって、かつカスパーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
【0018】
本発明の第四(以下、「第四発明」という)は、上記(c)又は(d)に示すタンパク質をコードするDNA又はそれに相補的なDNAである。
第四発明のDNAは、上記(c)又は(d)に示すタンパク質をコードするDNA又はそれに相補的なDNAである限り、その塩基配列は限定されない。
第四発明のDNAの具体例としては、以下の(g)又は(h)に示すDNA又はそれに相補的なDNAを例示できる:
(g)配列番号3記載の塩基配列からなるDNA;
(h)配列番号3記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNAであって、かつカスパーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
【0019】
ここで、「配列番号1又は3記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るDNA」とは、配列番号1又は3記載の塩基配列からなるDNAをプローブとしたコロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、サザンブロットハイブリダイゼーション法等により得られるDNAを意味し、具体的には、コロニー又はプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.5~1MのNaCl存在下42~68℃で(又は50%ホルムアミド存在下42℃で、又は水溶液中65~68℃で)ハイブリダイゼーションを行った後、0.1~2倍濃度のSSC(saline-sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成:150mM 塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用いて室温~68℃でフィルターを洗浄して得られるDNAを意味する。このようなDNAの具体例としては、配列番号1又は3記載の塩基配列と少なくとも90%以上の相同性を有するDNA、好ましくは95%以上の相同性を有するDNA、さらに好ましくは98%以上の相同性を有するDNAを例示できる。
【0020】
第三発明及び第四発明のDNAの取得方法は特に限定されない。
第三発明及び第四発明のDNAは、例えば、カスパーゼファミリーの遺伝子発現が1連のカスケードとして免疫学的な刺激後の短時間のうちに生じることを利用して取得することができる。すなわち、ブタの肺から採取した肺胞マクロファージをマイトジェンであるリポポリサッカライド(LPS)で刺激した後、該肺胞マクロファージから得られるmRNAを鋳型としてRT-PCRを行なうことにより、第三発明及び第四発明のDNAを得ることができる。
【0021】
具体的な手法は以下の通りである。
ブタの肺を採取し、公知の方法(例えば、D.L.Foss and M.P.Murtaugh, Vet.Immunol.Immunopathol., 57, 121-134)に記載の方法により肺胞マクロファージを分離する。この肺胞マクロファージをマイトジェンであるLPSで刺激して2~24時間培養後、公知の方法(例えば、P.Chomczynski and N.Sacci, Analytical Biochem., 162, 156-159(1987))によりTotal-RNAを得る。この際、使用するブタの性別、品種等は特に限定されない。得られたTotal-RNAを市販の合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて、公知の方法(例えば、J.sambrook et al., Molecular Cloning, 2nd Ed., Cold Spring Harbour Laboratory Press, pp.8.11-8.17)により逆転写反応させ、cDNAを合成する。
【0022】
得られたcDNAを鋳型とし、ブタカスパーゼ-1遺伝子の両末端にハイブリダイズし得るプライマーを用いてPCRを行なうことにより第三発明のDNAを増幅でき、ブタカスパーゼ-3遺伝子の両末端にハイブリダイズし得るプライマーを用いてPCRを行なうことにより第四発明のDNAを増幅できる。第三発明のDNAを増幅するためのPCR用プライマーは、配列番号1記載の塩基配列に基づいて設計でき、第四発明のDNAを増幅するためのPCR用プライマーは、配列番号3記載の塩基配列に基づいて設計できる。第三発明のDNAを増幅するためのPCR用プライマーの具体例としては、配列番号5及び6記載の塩基配列からなるプライマーセットを例示でき、第四発明のDNAを増幅するためのPCR用プライマーの具体例としては、配列番号7及び8記載の塩基配列からなるプライマーセットを例示できる。設計したプライマーは、その塩基配列に従って化学合成できる。PCRは常法に従って行なうことができる。
【0023】
得られたPCR産物は、例えば、市販のOriginal TA CloningR Kit(Invitrogen社製)を用いてプラスミドpCRR2.1(Invitrogen社製)中へサブクローニングし、このプラスミドを公知の方法(例えば、J.sambrook et al., Molecular Cloning, 2nd Ed., Cold Spring Harbour Laboratory Press, pp.1.21-1.52)に従って単離精製する。そして、サンガー法やマクサム・ギルバート法等の公知の方法を用いてPCR産物の塩基配列を決定できる。
【0024】
第三発明及び第四発明のDNAは常法に従って化学合成することにより取得することもできる。
第三発明及び第四発明のDNAはカスパーゼ活性を有するタンパク質の大量生産に利用できる。特に、第三発明のDNAはブタカスパーゼ-1の大量生産に利用でき、第四発明のDNAはブタカスパーゼ-3の大量生産に利用できる。
【0025】
第三発明及び第四発明のDNAを利用したカスパーゼ活性を有するタンパク質の生産は、第三発明又は第四発明のDNAを含む発現ベクターにより適当な宿主細胞を形質転換し、該形質転換体を適当な培地で培養して得られる培養物からカスパーゼ活性を有するタンパク質を精製することにより行うことができる。
【0026】
第三発明又は第四発明のDNAを含む発現ベクターは、第三発明又は第四発明のDNAの上流に適当なプロモーターを含み、その下流に適当なターミネーターを含む。発現ベクターとしては、例えば、pcDNA3.1、pVL1392、pQE30等を利用できる。発現ベクターを導入した形質転換体の検出を容易にするために、プロモーターの下流に適当なマーカー遺伝子やレポーター遺伝子を挿入しておいてもよい。マーカー遺伝子としては、例えば、テトラサイクリン、アンピシリン、カナマイシン、ネオマイシン、ハイグロマイシン、スペクチノマイシン等の抗生物質の耐性遺伝子を使用でき、レポーター遺伝子としては、β-グルクロニダーゼ(GUS)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ(LUX)等をコードする遺伝子を使用できる。
【0027】
宿主細胞としては、第三発明又は第四発明のDNAを含む発現ベクターと適合し、形質転換され得るものである限り特に限定されず、一般的に使用される天然細胞、人工的に樹立された組換え細胞などの種々の細胞を使用できる。このような宿主細胞としては、例えば、動物細胞(例えば、COS-7細胞、CHO細胞、NIH3T3細胞)、昆虫細胞(例えば、Sf9細胞、Sf21細胞、Tn5細胞)、細菌(例えば、大腸菌、枯草菌)、酵母等を使用できる。特に好ましい宿主細胞は、昆虫細胞である。あるいは、昆虫細胞に代えて、昆虫(例えば、カイコガ幼虫)を用いてもよい。
【0028】
発現ベクターの宿主細胞への導入は、公知の方法を用いて行なうことができる。例えば、プロトプラスト法、リチウム法、エレクトロポレーション法、塩化カルシウム法、又はこれらの変法を使用できる。
形質転換体の培養及び培養物からのカスパーゼ活性を有するタンパク質の精製は、常法に従って行なうことができる。形質転換体の培養は、例えば、RPMI培地、LB培地、Express FIVE培地等の培地を用いて室温~37℃で24~120時間行なえばよい。
【0029】
培養物からカスパーゼ活性を有するタンパク質を精製する方法としては、▲1▼天然型カスパーゼ及び種々の発現系を利用して発現させた組換えカスパーゼを含む細胞抽出液、あるいは培養上清から、例えば硫安塩析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、ハイドロフォービッククロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等の方法を組み合わせることにより精製する方法、▲2▼組換え型カスパーゼを発現させる際に、種々の精製用タグ(例えば、His、GST、T7、チオレドキシン等)を付加して発現させ、それぞれのアフィニティーカラムを利用したアフィニティークロマトグラフィーにより精製する方法、▲3▼カスパーゼに特異的なモノクローナル抗体あるいはポリクローナル抗体を用いて作製したイムノアフィニティーカラムを用いたイムノアフィニティークロマトグラフィーにより精製する方法を例示できる。
【0030】
タンパク質のカスパーゼ活性の測定は、例えば、次の方法(Kim et al., J.immunol., 161: 4122-4128(1998))により行なうことができる。形質転換体を含む培養物を400×gで10分間遠心分離し、上清を除去し、氷冷したPBSで洗浄する。細胞溶解用バッファー(例えば、100mM HEPES、5μg/mlアプロチニン、5μg/mlペプスタチンA、10μg/mlロイペプチン、0.5mM PMSF、pH 7.4)に再浮遊させた後、凍結・融解操作を3回繰り返して細胞を溶解する。細胞溶解液を12000×gで20分間遠心分離して上清を回収し、氷上に保つ。タンパク質濃度を測定した後、タンパク質200μgを含む緩衝液に400μMのカスパーゼ基質(例えば、MBL社製Caspase Substrates)を加え、反応用バッファー(例えば、100mM HEPES、5μg/mlアプロチニン、5μg/mlペプスタチンA、10μg/mlロイペプチン、0.5mM PMSF、20%グリセロール、20mM DTT、pH 7.4)で150μlとする。37℃で1時間反応させ、405nmの吸光度を測定する。これによって、タンパク質のカスパーゼ活性を測定することができる。この際、市販のキット(例えば、R&D systems Caspase Colorimetric Assay Kit)を利用してタンパク質のカスパーゼ活性を測定することもできる。また、カスパーゼ基質としては、蛍光標識されたものも市販されているので、蛍光標識されたカスパーゼ基質を利用し、蛍光の発生を蛍光プレートリーダーで検出することにより、タンパク質のカスパーゼ活性を測定することもできる。
【0031】
第三発明及び第四発明のDNAを利用してタンパク質を生産する際には、市販のTransient Mammalian Expression Vectors(In Vitrogen社製)、Baculovirus Expression and purification kit(Pharmingen社製)、ESP Yeast Protein Expression system(東洋紡社製)、pET Expression Sysytem(東洋紡社製)等を利用すると便利である。
【0032】
第三発明のDNAは、カスパーゼ活性を有するタンパク質(特にブタカスパーゼ-1)の生産に利用できる他、ブタカスパーゼ-1遺伝子の検出用プローブとして利用できる。さらに、第三発明のDNAの塩基配列に基づいて、ブタカスパーゼ-1遺伝子の検出用プローブや、ブタカスパーゼ-1遺伝子を増幅するためのPCR用プライマーを設計することができる。
【0033】
第四発明のDNAは、カスパーゼ活性を有するタンパク質(特にブタカスパーゼ-3)の生産に利用できる他、ブタカスパーゼ-3遺伝子の検出用プローブとして利用できる。さらに、第四発明のDNAの塩基配列に基づいて、ブタカスパーゼ-3遺伝子の検出用プローブや、ブタカスパーゼ-3遺伝子を増幅するためのPCR用プライマーを設計することができる。
【0034】
ブタカスパーゼ-1遺伝子及びブタカスパーゼ-3遺伝子の検出用プローブとしては、第三発明及び第四発明のDNAに相補的なRNAを利用することもできる。第三発明及び第四発明のDNAに相補的なRNAは、例えば、T7又はT3ファージのRNAポリメラーゼのプロモーターを有するベクター(例えば、pCRR2.1)に第三発明及び第四発明のDNAを組み込み、RNAポリメラーゼ作用させることにより得ることができる。得られたRNAは酵素的シグナル、蛍光シグナル、ラジオアイソトープ等でラベルすることにより、ブタカスパーゼ-1遺伝子及びブタカスパーゼ-3遺伝子の検出用プローブとして利用できる。
【0035】
第一発明及び第二発明のタンパク質、並びに第三発明及び第四発明のDNAは、ブタマクロファージ系の細胞におけるIL-1βとIL-18の活性化制御機構の研究、組換えブタIL-1β及びIL-18の効率的生産、及びブタにおける種々の病原体の感染防御抗原等によるワクチン開発の際のアジュバントとして利用できる他、ブタカスパーゼ-1及びカスパーゼ-3のインヒビターの研究や、ブタカスパーゼ-1及びブタカスパーゼ-3に対する抗体を作製するための免疫源として利用できる。
【0036】
本発明の第五(以下、「第五発明」という)は、上記(a)又は(b)に示すタンパク質に反応する抗体である。
本発明の第六(以下、「第六発明」という)は、上記(c)又は(d)に示すタンパク質に反応する抗体である。
【0037】
第五発明及び第六発明の抗体は、それぞれ上記(a)又は(b)に示すタンパク質及び上記(c)又は(d)に示すタンパク質に反応し得る限り、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよい。
【0038】
ポリクローナル抗体は、上記(a)又は(b)に示すタンパク質或いは上記(c)又は(d)に示すタンパク質を免疫原として用いて常法に従って調製できる。例えば、上記(a)又は(b)に示すタンパク質或いは上記(c)又は(d)に示すタンパク質で免疫した動物(例えば、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ等)の血清免疫グロブリンから抗原アフィニティカラムを用いて調製できる。
【0039】
モノクローナル抗体は、例えば、以下の工程により作製することができる。
(1)抗原の調製
(2)免疫及び抗体産生細胞の採取
(3)細胞融合
(4)ハイブリドーマの選択及びクローニング
(5)モノクローナル抗体の採取
【0040】
以下、各工程について説明する。
(1)抗原の調製
抗原としては、上記(a)又は(b)に示すタンパク質或いは上記(c)又は(d)に示すタンパク質を用いる。上記(a)又は(b)に示すタンパク質は、例えば、配列番号1に記載の塩基配列からなるDNAを利用して調製でき、抗原とする上記(c)又は(d)に示すタンパク質は、例えば、配列番号3記載の塩基配列からなるDNAを利用して調製できる。
【0041】
(2)免疫及び抗体産生細胞の採取
上記のようにして得られたタンパク質を免疫原として、アジュバンドとともに哺乳類、鳥類等に投与する。
ここで、アジュバンドとしては、市販のフロイント完全アジュバンド、フロイント不完全アジュバンド、BCG、ハンターズ、タイターマック、キーホールリンペットヘモシアニン含有オイル等が挙げられ、これらを単独で使用してもよいし、これらの2種以上を混合して使用してもよい。
【0042】
哺乳類としては、ウマ、サル、イヌ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス等を使用でき、鳥類としては、ハト、ニワトリ等を使用できるが、特にマウス、ラット等を使用するのが好ましい。
投与の方法としては、公知の何れの方法を使用してもよく、例えば、静脈内投与、皮下投与、又は腹腔内投与を使用できる。
【0043】
抗原の免疫量は1回にマウス1匹当たり、通常10~1000μg、好ましくは20~100μgである。免疫の間隔は、通常1~3週、好ましくは2週であり、免疫の回数は、通常1~3回、好ましくは2回である。
最終免疫日から2~5日後、好ましくは3日後に、抗体産生細胞を採集する。
採取する抗体産生細胞としては、リンパ節細胞、脾臓細胞等が挙げられるが、好ましくは脾臓細胞である。
【0044】
(3)細胞融合
抗体産生細胞と細胞融合させるミエローマ細胞としては、マウス、ラット、ヒト等の種々の動物に由来し、当業者が一般に入手可能である株化細胞を使用できる。使用する細胞株としては、薬剤抵抗性を有し、未融合の状態では選択培地(例えば HAT培地)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ選択培地で生存できる性質を有するものが好ましい。一般的には、8‐アザグアニン耐性株を使用できる。この細胞株は、ヒポキサンチン-グアニンホスフォリボシルトランスフェラーゼを欠損し(HGPRT-)、HAT培地で生育できない。
【0045】
このようなミエローマ細胞としては、P3X63Ag8U1、P3-X63Ag8、P3/NS1/1-Ag4-1、P3X63Ag8.653、Sp2/O-Ag14、Sp2/O/FO-2等のマウスミエローマ細胞株、210.RCY.Ag1.2.3等のラットミエローマ細胞株、SKO-007等のヒトミエローマ細胞株等を使用できる。
【0046】
細胞融合は、例えば、ミエローマ細胞と抗体産生細胞とを混合比1:5~1:10の割合で、RPMI1640培地等の培地中で融合促進剤存在下、室温で1~7分間細胞同士を接触させることによって行うことができる。この際、融合促進剤としては、平均分子量1000~5000のポリエチレングリコール、ポリビニールアルコール等を使用できる。また、センダイウイルス等の融合ウイルスを使用してもよい。
【0047】
(4)ハイブリドーマの選択、スクリーニング及びクローニング
細胞融合後、ハイブリドーマを選択する。
ハイブリドーマの選択方法は、通常の方法に従えばよく、特に限定されない。ハイブリドーマの選択は、例えば、ハイブリドーマを選択培地(例えばHAT培地)で培養することにより行なうことができる。この際の培養は、常法に従えばよく、特に限定されない。通常は37℃で7~14日間培養すればよい。
【0048】
目的のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングは、例えば、次の方法によって行なうことができる。マイクロプレートの各ウェルに上記(a)又は(b)に示すタンパク質或いは上記(c)又は(d)に示すタンパク質を吸着させた後、ブロックエース(大日本製薬)等でブロックする。該マイクロプレートの各ウェルにハイブリドーマの培養上清を加え、25~37℃で1~2時間放置する。これを生理的食塩水で洗浄した後、適当に希釈したアルカリフォスファターゼ結合ヤギ抗イムノグロブリンを加える。生理的食塩水で洗浄した後、ALPローゼ(シノテスト社)を用いてアルカリフォスファターゼの活性を測定し、アルカリフォスファターゼの呈色を有するウェルを、上記(a)又は(b)に示すタンパク質或いは上記(c)又は(d)に示すタンパク質に特異的な抗体を産生する細胞を含むウェルとする。これによって目的のハイブリドーマをスクリーニングすることができる。
【0049】
このウェルから目的とするハイブリドーマをクローニングする方法は、通常の方法に従えば良く、特に限定されない。ハイブリドーマのクローニングは、例えば、限界希釈法、軟寒天法、フィブリンゲル法、蛍光励起セルソーター法等により行なうことができる。
【0050】
(5)モノクローナル抗体の採取
取得したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法としては、通常の細胞培養法や腹水形成法等を用いることができる。
細胞培養法においては、例えば、ハイブリドーマを仔ウシ血清含有RPMI1640培地、MEM培地、E-RDF培地又は無血清培地等の動物細胞培地中で、通常の培養条件(例えば、37℃、5%C0 濃度)で3~7日間培養し、その培養上清から目的とするモノクローナル抗体を取得できる。
【0051】
腹水形成法においては、例えば、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種の動物の腹腔内にプリスタン(2,6,10,14‐テトラメチルペンタデカン)等の鉱物油を投与し、その後、ハイブリドーマ1×106~1×107個、好ましくは2×106個を腹腔内に投与する。投与した哺乳動物を1~2週間、好ましくは10日間、飼育した後、腹水又は血清を採取することにより目的とするモノクローナル抗体を取得できる。
【0052】
上記抗体の採取方法において、抗体の精製が必要とされる場合には、硫酸塩分析法、DEAE-セルロース等の陰イオン交換体を利用するイオン交換クロマトグラフィー、プロテインAセファロース等を用いるアフィニティークロマトグラフィー、分子量や構造によってふるい分ける分子ふるいクロマトグラフィー等の公知の方法を適宜に選択し、これらを単独で又は組み合わせて使用することにより精製を行うことができる。
【0053】
採取したモノクローナル抗体が目的とするモノクローナル抗体であることの確認は、例えば上記(a)又は(b)に示すタンパク質或いは上記(c)又は(d)に示すタンパク質を用いたウェスタンブロット法により行なうことができる。
【0054】
第五発明の抗体は、例えば、ブタカスパーゼ-1を含む試料からのブタカスパーゼ-1の分離及び精製、試料中に含まれるブタカスパーゼ-1の検出及び定量等に使用できる。
第六発明の抗体は、例えば、ブタカスパーゼ-3を含む試料からのブタカスパーゼ-3の分離及び精製、試料中に含まれるブタカスパーゼ-3の検出及び定量等に使用できる。
【0055】
本発明の第七(以下、「第七発明」という)は、上記(5)記載の形質転換体を用いることを特徴とする、ブタ活性型IL-18の生産方法である。
本発明の第八(以下、「第八発明」という)は、上記(11)記載の形質転換体を用いることを特徴とする、ブタ活性型IL-18の抑制方法である。
【0056】
上述のように、カスパーゼ-1はIL-18を活性型に変換する活性を有する。従って、ブタIL-18の発現系においてブタカスパーゼ-1を発現させる(すなわち、ブタIL-18とブタカスパーゼ-1を共発現させる)ことにより、ブタ活性型IL-18を効率よく生産することができる。また、カスパーゼ-3はIL-18を変性させる活性を有する。従って、ブタIL-18の発現系においてブタカスパーゼ-3を発現させる(すなわち、ブタIL-18とブタカスパーゼ-3を共発現させる)ことにより、ブタIL-18の活性を抑制することができる。
【0057】
第七発明又は第八発明において用いるブタIL-18の発現系は、当業者に公知のものであってよく、例えば、Y.Munetaら(Cytokine, 12, 566-572, 2000;ブタIL-18の配列:GenBank登録番号AB010003)に記載のものを用いることができる。
【0058】
上記共発現は、第三発明のDNA(ブタカスパーゼ-1)又は第四発明のDNA(ブタカスパーゼ-3)を用いて、当業者に公知の方法により行うことができる。形質転換用宿主として昆虫細胞又は昆虫を用いる場合には、例えば、前記DNAを昆虫細胞発現用ベクターにクローニングし、ブタカスパーゼ-1又はカスパーゼ-3を昆虫細胞中で発現する組換えバキュロウィルスを作製することができる。該組換えバキュロウイルスを、ブタ前駆体IL-18を分泌発現する組換えバキュロウィルス(Y.Munetaら, Cytokine, 12, 566-572, 2000)とともに昆虫細胞又は昆虫に感染させ、該昆虫細胞又は該昆虫を培養又は飼育することにより、上記共発現を行うことができる。ここで、ブタカスパーゼ-1を用いてブタ活性型IL-18を生産する場合には、ブタカスパーゼ-3のインヒビターを利用してもよい。
【0059】
【実施例】
以下、実施例により、本発明について具体的に説明する。ただし、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
〔実施例1〕ブタカスパーゼ-1遺伝子の単離・同定
(1)cDNAの合成
ブタのカスパーゼファミリー遺伝子が発現している細胞からmRNAを得るため、正常なブタから肺胞マクロファージ(AMφ)を採取し、リポポリサッカライド(LPS)により刺激した。すなわち、正常なブタの肺を無菌的に取り出し、肺内をHank’s balanced salt solution(Sigma社製)で洗浄することにより得られる肺胞洗浄液500mlを採取した後、この肺胞洗浄液を1000rpmで10分間遠心し、ブタAMφを回収した。回収したAMφを10% FCS、2mM L-グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウム、50U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン及び50μM β-メルカプトエタノールを含むRPMI1640培地(Sigma社製)に細胞濃度1×106/mlとなるように再浮遊させ、10μg/mlのLPSを加えて、4時間、37℃、5%炭酸ガス下で4時間培養した後、公知の方法(P.Chomczynski and N.Sacci, Analytical Biochem., 162,156-159,1987)によりTotal-RNAを精製した。このTotal-RNAの1μgを鋳型として、宝酒造社製の市販されているキット(Takara RNA PCR kit Ver2.1)により、添付のプロトコールに従ってcDNAを合成した。
【0060】
(2)PCRによるブタカスパーゼ-1遺伝子の増幅
Perkinermer社製のPCR reaction tubeに、10×PCRバッファー10μl、25mM dNTPミックス10μl、5U/μlのEx Taq DNAポリメラーゼ1μl、上記(1)で合成したcDNA 1μl、並びにヒト及びマウスのカスパーゼ-1のアミノ酸配列に基づいて化学合成したプライマー(センスプライマー:5’-gccatggcngayaargtnyt-3’(配列番号5)及びアンチセンスプライマー:5’-ytaatgtcctgggaasagrtaraa-3’(配列番号6))各2μlを加え、滅菌蒸留水で100μlとした。なお、各プライマーの塩基配列中、「n」で表される塩基は、「a」、「c」、「g」、「t」又は「u」を意味し、「r」で表される塩基は「g」又は「a」を意味し、「y」で表される塩基は「t」、「u」又は「c」を意味し、「s」で表される塩基は「g」又は「c」を意味する。
【0061】
ここで、センスプライマー(配列番号5)は、ヒトカスパーゼ-1遺伝子の塩基配列の-3~-1に存在する「gcc」と、ヒトカスパーゼ-1のアミノ酸配列の1~6に存在するアミノ酸に対応する全てのコドンを考慮して設計した混合プライマーである。また、アンチセンスプライマー(配列番号6)は、ヒトカスパーゼ-1のアミノ酸配列の398~405(405は終止コドンに対応)に存在するアミノ酸に基づいて設計した混合プライマーである。
この混合物について94℃で45秒間、48℃で45秒間、72℃で2分間のサイクルを35回繰り返してPCR反応を行ない、PCR産物を得た。
【0062】
(3)PCR産物のクローニング
上記(2)で得られたPCR産物を、TA-cloningキット(Invitorogen社製)にて、pCRR2.1ベクターへ組み込んだ後、大腸菌INVαF’株(Invitorogen社製)を形質転換し、形質転換体pcaspase-1TAを得た。
【0063】
(4)塩基配列の決定
PCR産物が組み込まれていたクローンを100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で100ml培養し、プラスミドDNAをWizardR Plus Midipreps DNA Purification System(Promega社製)で精製し、組み込まれたPCR産物の塩基配列をThermo Sequenase fluorescent labelled primer cycle sequencing kit(Amersham pharmacia biotech社製)により決定した。
なお、ブタカスパーゼ-1遺伝子(配列番号1)を組み込んだプラスミドpCRR2.1を導入した大腸菌INVαF’株は、工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-17499として寄託されている(寄託日:平成11年8月5日)。
【0064】
(5)カスパーゼ-1のアミノ酸配列の比較
以上の方法で決定されたブタカスパーゼ-1のcDNAの全塩基配列及び推定アミノ酸配列をそれぞれ配列番号1及び2に示す。
ブタカスパーゼ-1のアミノ酸配列を公知のヒト、マウス、ラット、イヌ及びニワトリのカスパーゼ-1のアミノ酸配列と比較した結果、それぞれ、72.5%、62.6%、64.1%、53.9%及び25.7%の相同性を示した。
【0065】
〔実施例2〕ブタカスパーゼ-3遺伝子の単離・同定
(1)PCRによるブタカスパーゼ-3遺伝子の増幅
Perkinermer社製のPCR reaction tubeに、10×PCRバッファー10μl、25mM dNTPミックス10μl、5U/μlのEx Taq DNAポリメラーゼ1μl、実施例1(1)で合成したcDNA 1μl、並びにヒト及びマウスのカスパーゼ-3のアミノ酸配列に基づいて化学合成したプライマー(5’-atggasaacanyraaamctcmgtgga-3’(配列番号7)及び5’-ytagtgataaaartasagttc-3’(配列番号8))各2μlを加え、滅菌蒸留水で100μlとした。なお、各プライマーの塩基配列中、「n」で表される塩基は、「a」、「c」、「g」、「t」又は「u」を意味し、「m」で表される塩基は「a」又は「c」を意味し、「r」で表される塩基は「g」又は「a」を意味し、「y」で表される塩基は「t」、「u」又は「c」を意味し、「s」で表される塩基は「g」又は「c」を意味する。
【0066】
ここで、センスプライマー(配列番号7)は、ヒトカスパーゼ-3のアミノ酸配列の1~9に存在するアミノ酸に基づいて設計した混合プライマーである。また、アンチセンスプライマー(配列番号8)は、ヒトカスパーゼ-3のアミノ酸配列の272~278(278は終止コドンに対応)に存在するアミノ酸に基づいて設計した混合プライマーである。
この混合物について94℃で45秒間、48℃で45秒間、72℃で2分間のサイクルを35回繰り返してPCR反応を行ない、PCR産物を得た。
【0067】
(2)PCR産物のクローニング
上記(1)で得られたPCR産物を、TA-cloningキット(Invitorogen社製)にて、pCRR2.1ベクターへ組み込んだ後、大腸菌INVαF’株(Invitorogen社製)を形質転換し、形質転換体pcaspase-3TAを得た。
【0068】
(3)塩基配列の決定
PCR産物が組み込まれていたクローンを100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で100ml培養し、プラスミドDNAをWizardR Plus Midipreps DNA Purification System(Promega社製)で精製し、組み込まれたPCR産物の塩基配列をThermo Sequenase fluorescent labelled primer cycle sequencing kit(Amersham pharmacia biotech社製)により決定した。
【0069】
(4)カスパーゼ-3のアミノ酸配列の比較
以上の方法で決定されたブタカスパーゼ-3のcDNAの全塩基配列と推定アミノ酸配列をそれぞれ配列番号3及び4に示す。ブタカスパーゼ-3の推定アミノ酸配列を公知のヒト、マウス、ラット、イヌ及びニワトリのカスパーゼ-3のアミノ酸配列と比較した結果、それぞれ88.4%、86.6%、87.7%及び55.5%の相同性を示した。
なお、ブタカスパーゼ-3遺伝子(配列番号3)を組み込んだプラスミドpCRR2.1を導入した大腸菌INVαF’株は、工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-17500として寄託されている(寄託日:平成11年8月5日)。
【0070】
〔実施例3〕ブタカスパーゼ-1およびカスパーゼ-3を発現する組換えバキュロウィルスの作製
(1)ブタカスパーゼ-1を発現する組換えバキュロウィルスの作製
PerkinErmer社製のPCR reaction tubeに、10×PCRバッファー10μl、25mM dNTPミックス10μl、5ユニット/μlのExTaqDNAポリメラーゼ1μl、実施例1(3)で得られたpcaspase-1TAを1μl、配列番号1に基づいて化学合成した、5’-GATCCGGCCGATGGCCGATAAGGT-3’(配列番号9)および5’-CTAGGAATTCTTAATGTCCTGGGA-3’(配列番号10)で表される塩基配列のプライマーを加え、滅菌蒸留水で100μlとした。常法によりこの混合物を94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で60秒間のサイクルを30回繰り返し、PCR反応させ、PCR産物を得た。このPCR産物とPharmingen社製プラスミドベクターpVL1392を制限酵素EagIおよびEcoRIで消化し、当分野において公知の方法によってライゲーションおよび大腸菌DH5α株へのトランスフォーメーションを行って形質転換体を得た。この形質転換体を100μg/mlアンピシリンを含むLB培地に接種して37℃で18時間培養した後、プラスミドDNA(pVL1392-casp-1)をWizard Plus Midipreps DNA Purification System(Promega社製)で精製し、組み込まれたPCR産物の塩基配列をThermo Sequenase fluorescent labelled primer cycle sequencing kit(Amersham pharmacia biotech社製)により決定した。
【0071】
この組換えプラスミドDNAを1μgと、BaculoGoldTM Linearized Baculovirus DNA(Pharmingen社製)0.25μgを市販の昆虫細胞培養用培地Sf900II(GiBco BRL社製)100μlで混和し(溶液A)、別にSf900II(GiBco BRL社製)100μlとLipofectin(GiBco BRL社製)10μlを混和した(溶液B)。溶液Aと溶液Bを混和した後、室温で15分間静置し、あらかじめ1×10個のSf21細胞を培養しておいた25cmフラスコに加えて、27℃で5時間培養した。上清を捨て、5mlのSf900IIを加えてさらに4日間27℃で培養し、上清を回収した。上清に含まれる組換えウィルス(AcpVL1392-casp-1)を、既知の方法(M.Brown and P. Faulkner, J.Gen. Virol., 36,361-364)によりプラーククローニングを行って精製組換えバキュロウィルスを得た。
【0072】
(2)ブタカスパーゼ-3を発現する組換えバキュロウィルスの作製
PerkinErmer社製のPCR reaction tubeに、10×PCRバッファー10μl、25mM dNTPミックス10μl、5ユニット/μlのExTaqDNAポリメラーゼ1μl、実施例2(2)で得られたpcaspase-3TA1μl、配列番号3に基づいて化学合成した、5’-GATCCTGCAGATGGAGAACAATAA-3’(配列番号11)および5’-CTAGTCTAGACTAGTGATAAAAGT-3’(配列番号12)で表される塩基配列のプライマーを加え、滅菌蒸留水で100μlとした。常法によりこの混合物を94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で60秒間のサイクルを30回繰り返し、PCR反応させ、PCR産物を得た。このPCR産物とPharmingen社製プラスミドベクターpVL1392を制限酵素PstIおよびXbaIで消化し、当分野において公知の方法によってライゲーションおよび大腸菌DH5α株へのトランスフォーメーションを行って形質転換体を得た。
【0073】
上記(1)と同様に、この形質転換体を培養し、プラスミドDNA(pVL1392-casp-3)を精製し、組み込まれたPCR産物の塩基配列を決定した。さらに、上記(1)と同様に、組換えウィルス(AcpVL1392-casp-3)を精製し、精製組換えバキュロウィルスを得た。
【0074】
(3)ブタ前駆体型IL-18を発現する組換えバキュロウィルスの作製
ブタ前駆体型IL-18を発現する組換えバキュロウィルス(AcpVL1392-IL18)を、Y munetaら(Cytokine, 12, 566-572, 2000)に従って作製した。すなわち、PerkinErmer社製のPCR reaction tubeに、10×PCRバッファー10μl、25mM dNTPミックス10μl、5ユニット/μlのExTaqDNAポリメラーゼ1μl、ブタ肺胞マクロファージ(LPS刺激)から得られたcDNA(配列番号13;GenBank Accession No.AB010003)を1μl、配列番号13に基づいて化学合成した、5’-GATCAGATCTATGGCTGCTGAACCGGAAGAC-3’(配列番号15)および5’-CTAGGAATTCCTAGTTCTTGTTTTGAACAGT-3’(配列番号16)で表される塩基配列のプライマーを加え、滅菌蒸留水で100μlとした。常法によりこの混合物を94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で60秒間のサイクルを30回繰り返し、PCR反応させ、PCR産物を得た。このPCR産物とPharmingen社製プラスミドベクターpVL1392を制限酵素BglIIおよびEcoRIで消化し、当分野において公知の方法によってライゲーションおよび大腸菌DH5α株へのトランスフォーメーションを行って形質転換体を得た。この形質転換体を100μg/mlアンピシリンを含むLB培地に接種して37℃で18時間培養した後、プラスミドDNA(pVL1392-IL18)をWizard Plus Midipreps DNA Purification System(Promega社製)で精製し、組み込まれたPCR産物の塩基配列をThermo Sequenasefluorescent labelled primer cycle sequencing kit(Amersham pharmacia biotech社製)により決定した。
【0075】
この組換えプラスミドDNAを1μgと、BaculoGoldTM Linearized Baculovirus DNA(Pharmingen社製)0.25μgを市販の昆虫細胞培養用培地Sf900II(GiBco BRL社製)100μlで混和し(溶液A)、別にSf900II(GiBco BRL社製)100μlとLipofectin(GiBco BRL社製)10μlを混和した(溶液B)。溶液Aと溶液Bを混和した後、室温で15分間静置し、あらかじめ1×10個のSf21細胞を培養しておいた25cmフラスコに加えて、27℃で5時間培養した。上清を捨て、5mlのSf900IIを加えてさらに4日間27℃で培養し、上清を回収した。上清に含まれる組換えウィルス(AcpVL1392-IL-18)を、既知の方法(M.Brown and P. Faulkner, J.Gen. Virol., 36,361-364)によりプラーククローニングを行って精製組換えバキュロウィルスを得た。
【0076】
〔実施例4〕ブタ前駆体型IL-18を発現する組換えバキュロウィルスとブタカスパーゼ-1を発現する組換えバキュロウィルスとの共発現による昆虫細胞でのブタ活性型IL-18の効率的生産
実施例3(1)で得たAcpVL1392-casp-1及び実施例3(3)で得たブタ前駆体型IL-18を発現する組換えバキュロウィルス(AcpVL1392-IL18, Y muneta et al., Cytokine,12, 566-572)を、あらかじめ市販の昆虫細胞培養用培地Express Five(GiBco BRL社製)中に5×10個のTn5細胞を培養しておいた75cmフラスコに細胞1個あたり10個の組換えウィルスが感染するように加えて、27℃で4日間培養し、細胞および培養上清中に発現、分泌された組換えブタIL-18を回収した。
【0077】
この細胞溶解液および培養上清中に発現、分泌されたブタIL-18の分子量を、公知の方法(Y muneta et al., Cytokine,12, 566-572)に従い、抗ブタIL-18モノクローナル抗体を用いたイムノブロットにより分析した結果を図1に示す。図1において、(A)は培養上清中に分泌されたブタIL-18のイムノブロット像であり、(B)は細胞溶解液中に発現されたブタIL-18のイムノブロット像である。レーンMは分子量マーカーを示し、レーン1は野生型バキュロウイルス感染昆虫細胞、レーン2はAcpVL1392-IL18感染昆虫細胞、レーン3はAcpVL1392-casp-1感染昆虫細胞、レーン4はAcpVL1392-IL18/AcpVL1392-casp-1感染昆虫細胞による結果を示す。白矢印はブタ前駆体型IL-18を示し、黒矢印はブタ活性型IL-18を示す。
図1によれば、培養上清及び細胞内のいずれにおいても、共発現によりブタ活性型IL-18の分子量である約18kDaにバンドが得られたことがわかる。
【0078】
また、培養上清中に分泌されたブタIL-18の分泌量を、公知の方法(Y muneta et al., J. Interferon Cytokine Res., 20, 331-336)に従い、ELISAで測定したところ、その発現量は4.45μg/mlであった。この発現量は前駆体型ブタIL-18の発現量とほぼ同等であり、既に報告されているバキュロウィルス由来の分泌シグナルを含む組換えバキュロウィルス(AcGP67B-IL18, Y Muneta et al., Cytokine,12, 566-572)の感染により昆虫細胞培養上清中に分泌される活性型ブタIL-18の分泌量の約10倍の分泌発現が可能であることが明らかとなった。結果を図2に示す。
【0079】
さらに、培養上清中に分泌されたブタIL-18の生物活性を公知の方法(Y muneta et al., Cytokine,12, 566-572)により測定した結果を図3に示す。図3に示すグラフにおいて、縦軸はブタ末梢血単核球により生産されたIFN-γの濃度を示す。
図3によれば、共発現により得られた活性型ブタIL-18の生物活性はAcGP67B-IL18感染により得られた活性型ブタIL-18より有意に高く、その生物活性は500ng/mlのヒト活性型IL-18(MBL社製)に相当することが明らかとなった。
【0080】
〔実施例5〕ブタカスパーゼ-1とブタ前駆体型IL-18の共発現による昆虫細胞でのブタ活性型IL-18の発現のブタカスパーゼ-1インヒビターによる抑制
実施例4と同様に、AcpVL1392-casp-1及びAcpVL1392-IL18をTn5細胞にMOI10で感染させ、27℃で4日間培養し、細胞を回収した。この際、培養液中に100μMの市販のカスパーゼ-1インヒビター(宝酒造社製)を加えた。この昆虫細胞内に発現したブタIL-18の分子量を、公知の方法(Y muneta et al., Cytokine,12, 566-572)に従い、抗ブタIL-18モノクローナル抗体を用いたイムノブロットにより分析した結果を図4に示す。図4において、レーンMは分子量マーカーを示し、レーン1は野生型バキュロウイルス感染昆虫細胞、レーン2はAcpVL1392-IL18感染昆虫細胞、レーン3はAcpVL1392-IL18/AcpVL1392-casp-1感染昆虫細胞、レーン4は100μMカスパーゼ-1インヒビター存在下でのAcpVL1392-IL18/AcpVL1392-casp-1感染昆虫細胞による結果を示す。矢印はブタ活性型IL-18を示す。
【0081】
図4によれば、共発現により出現するブタ活性型IL-18のバンドはカスパーゼ-1インヒビターの添加により完全に消失し、このブタ前駆体IL-18からブタ活性型IL-18への昆虫細胞内でのプロセッシングが、ブタカスパーゼ-1を発現する組換えバキュロウィルスを共感染したことによるカスパーゼ-1の活性に特異的なものであることが明らかとなった。
【0082】
〔実施例6〕ブタカスパーゼ-3とブタ前駆体型IL-18の共発現による昆虫細胞内でのブタIL-18の変性
実施例3(2)で得たAcpVL1392-casp-3を、実施例4と同様に、AcpVL1392-IL18とともにTn5細胞にMOI10で感染させ、27℃で4日間培養し、細胞を回収した。この昆虫細胞内に発現したブタIL-18の分子量を、公知の方法(Y muneta et al., Cytokine,12, 566-572)に従い、抗ブタIL-18モノクローナル抗体を用いたイムノブロットにより分析した結果を図5に示す。図5において、レーンMは分子量マーカーを示し、レーン1は野生型バキュロウイルス感染昆虫細胞、レーン2はAcpVL1392-IL18感染昆虫細胞、レーン3はAcpVL1392-IL18/AcpVL1392-casp-1感染昆虫細胞、レーン4はAcpVL1392-IL18/AcpVL1392-casp-3感染昆虫細胞による結果を示す。黒矢印はブタ活性型IL-18を示し、白矢印はブタIL-18の変性産物を示す。
【0083】
図5によれば、ブタカスパーゼ-3を発現する組換えウィルスとの共発現においては、ブタ前駆体IL-18から分子量約16kDaの変性産物が生じることが明らかとなった。昆虫細胞は内在性のカスパーゼ-3様活性を持つことが報告されており(M Ahmad et al., J. Biol. Chem., 272, 1421-1424)、本結果から、カスパーゼ-3に特異的なインヒビターを用いることにより、さらに昆虫細胞におけるブタIL-18の生産量が増加することが期待される。
【0084】
【発明の効果】
本発明により、カスパーゼ活性を有するタンパク質(特にブタカスパーゼ-1及びブタカスパーゼ-3)、それをコードするDNA、並びに該DNAに相補的なRNAが提供される。
本発明のDNAを用いれば、遺伝子工学的手法により容易にかつ大量にブタカスパーゼ(特にブタカスパーゼ-1及びブタカスパーゼ-3)を生産することが可能となる。
【0085】
また、本発明のDNA及びRNAはハイブリダイゼーションのプローブとして利用することができ、ブタマクロファージ系の細胞におけるIL-1βとIL-18の活性化制御機構の研究に利用できる。
さらに、本発明のDNAの塩基配列に基づいて、各種臓器や培養細胞におけるブタカスパーゼ-1及びブタカスパーゼ-3のmRNAの発現を調べるためのRT-PCRのプライマーを構築できる。
【0086】
さらに、本発明のタンパク質及びDNAは、ブタカスパーゼ-1及びブタカスパーゼ-3並びにそのインヒビターの利用によるブタのアポトーシスの関与する生体反応、例えば、繁殖領域における卵胞の閉鎖や黄体の退行あるいはウィルスや細菌感染症における炎症反応の人為的制御法に利用できる。
【0087】
さらに、本発明のタンパク質及びDNAは、ブタをはじめとする家畜における活性型のIL-1β及びIL-18組換えタンパクの効率的生産に利用できる。
さらに、本発明のタンパク質及びDNAは、ブタをはじめとする家畜における種々の病原体の感染防御抗原等によるワクチン開発の際のアジュバントとして利用できる。
【0088】
【配列表】
JP0003541216B2_000002t.gifJP0003541216B2_000003t.gifJP0003541216B2_000004t.gifJP0003541216B2_000005t.gifJP0003541216B2_000006t.gifJP0003541216B2_000007t.gifJP0003541216B2_000008t.gifJP0003541216B2_000009t.gifJP0003541216B2_000010t.gifJP0003541216B2_000011t.gifJP0003541216B2_000012t.gifJP0003541216B2_000013t.gifJP0003541216B2_000014t.gifJP0003541216B2_000015t.gifJP0003541216B2_000016t.gifJP0003541216B2_000017t.gifJP0003541216B2_000018t.gifJP0003541216B2_000019t.gifJP0003541216B2_000020t.gifJP0003541216B2_000021t.gifJP0003541216B2_000022t.gifJP0003541216B2_000023t.gifJP0003541216B2_000024t.gifJP0003541216B2_000025t.gif
【0089】
【配列表フリーテキスト】
(1)配列番号5:PCR用プライマー
(2)配列番号5:nはa,c,g,t又はuである(存在位置:9)
(3)配列番号5:yはt,u又はcである(存在位置:12)
(4)配列番号5:rはg又はaである(存在位置:15)
(5)配列番号5:nはa,c,g,t又はuである(存在位置:18)
(6)配列番号5:yはt,u又はcである(存在位置:19)
(7)配列番号6:PCR用プライマー
(8)配列番号6:yはt,u又はcである(存在位置:1)
(9)配列番号6:sはg又はcである(存在位置:16)
(10)配列番号6:rはg又はaである(存在位置:19)
(11)配列番号6:rはg又はaである(存在位置:22)
(12)配列番号7:PCR用プライマー
(13)配列番号7:sはg又はcである(存在位置:6)
(14)配列番号7:nはa,c,g,t又はuである(存在位置:11)
(15)配列番号7:yはt,u又はcである(存在位置:12)
(16)配列番号7:rはg又はaである(存在位置:13)
(17)配列番号7:mはa又はcである(存在位置:17)
(18)配列番号7:mはa又はcである(存在位置:21)
(19)配列番号8:PCR用プライマー
(20)配列番号8:yはt,u又はcである(存在位置:1)
(21)配列番号8:rはg又はaである(存在位置:13)
(22)配列番号8:sはg又はcである(存在位置:16)
(23)配列番号9:PCR用プライマー
(24)配列番号10:PCR用プライマー
(25)配列番号11:PCR用プライマー
(26)配列番号12:PCR用プライマー
(27)配列番号15:PCR用プライマー
(28)配列番号16:PCR用プライマー
【図面の簡単な説明】
【図1】ブタカスパーゼ-1及びブタ前駆体IL-18の共発現により、(A)培養上清中に分泌されたブタIL-18;及び(B)昆虫細胞内に発現されたブタIL-18;の分子量を、イムノブロットにより分析した結果を示す電気泳動写真である。
【図2】培養上清中に分泌されたブタIL-18の分泌量をELISAで測定した結果を示す図である。
【図3】培養上清中に分泌されたブタIL-18の生物活性を測定した結果を示す図である。
【図4】AcpVL1392-casp-1及びAcpVL1392-IL18のカスパーゼ-1インヒビター存在下での共発現により、昆虫細胞内に発現したブタIL-18の分子量を、イムノブロットにより分析した結果を示す電気泳動写真である。
【図5】AcpVL1392-casp-3及びAcpVL1392-IL18の共発現により、昆虫細胞内に発現したブタIL-18の分子量を、イムノブロットにより分析した結果を示す電気泳動写真である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4