TOP > 国内特許検索 > 骨髄細胞の遊走・分化・増殖評価モデル動物およびその利用法 > 明細書

明細書 :骨髄細胞の遊走・分化・増殖評価モデル動物およびその利用法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4997377号 (P4997377)
公開番号 特開2003-070377 (P2003-070377A)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
発行日 平成24年8月8日(2012.8.8)
公開日 平成15年3月11日(2003.3.11)
発明の名称または考案の名称 骨髄細胞の遊走・分化・増殖評価モデル動物およびその利用法
国際特許分類 A01K  67/027       (2006.01)
A61P   1/16        (2006.01)
A61P   1/18        (2006.01)
G01N  33/15        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
A61K  45/00        (2006.01)
FI A01K 67/027
A61P 1/16
A61P 1/18
G01N 33/15 Z
G01N 33/50 Z
A61K 45/00
請求項の数または発明の数 5
全頁数 7
出願番号 特願2001-271240 (P2001-271240)
出願日 平成13年9月7日(2001.9.7)
審査請求日 平成20年8月29日(2008.8.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】寺井 崇二
【氏名】沖田 極
個別代理人の代理人 【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
審査官 【審査官】太田 雄三
参考文献・文献 Nature Medicine,2000年11月,Vol. 6, No. 11,p. 1229-1234
HEPATOLOGY,2000年,Vol. 32,pp. 11-16
第43回日本消化器病学会大会抄録集,2001年 9月20日,p. A411, 消6-8
調査した分野 A01K 67/027
G01N 33/15
G01N 33/50
CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
PubMed
CiNii
特許請求の範囲 【請求項1】
遺伝子レベルで標識されている骨髄細胞を、同種同系の致死量放射線照射されていない持続性肝障害モデル動物の末梢血管から投与し、前記投与後も持続性肝障害を継続させることによって作製された、骨髄細胞の遊走・分化・増殖評価用持続性肝障害モデル非ヒト動物。
【請求項2】
動物が齧歯類である請求項1に記載の骨髄細胞の遊走・分化・増殖評価用持続性肝障害モデル非ヒト動物。
【請求項3】
動物がマウスである請求項1または2に記載の骨髄細胞の遊走・分化・増殖評価用持続性肝障害モデル非ヒト動物。
【請求項4】
骨髄細胞が蛍光タンパク質で標識されている請求項1から3のいずれかに記載の骨髄細胞の遊走・分化・増殖評価用持続性肝障害モデル非ヒト動物。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の骨髄細胞の遊走・分化・増殖評価用持続性肝障害モデル非ヒト動物を用いて、骨髄細胞の肝細胞、胆管細胞への遊走・分化・増殖に作用する薬物のスクリーニングを行うことを特徴とするスクリーニング方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨髄細胞の遊走・分化・増殖を、イン ビボ( in vivo )にて評価できるモデル動物およびその利用法に関する。特に本発明は、骨髄細胞からの肝細胞、胆管細胞、膵臓細胞、大腸・小腸細胞などへの遊走・分化・増殖を評価するイン ビボ評価モデルに関する。
【0002】
【0003】
【従来の技術】
ヒトや動物の体内には、幹細胞( stem cell )と呼ばれる未分化な細胞の存在が知られている。この幹細胞は細胞分化の能力を有しており、種々の分化細胞に発達して行く可能性を秘めている。一例として肝幹細胞を取り上げると、この肝幹細胞は肝臓細胞、胆管細胞、膵臓細胞および小腸細胞に分化する細胞と考えられており、将来の再生医療、再生医学のためのドナー細胞群として有用と考えられる。
【0004】
肝幹細胞は肝臓のへリング管( canals of Hering )および骨髄に存在すると考えられてきた。骨髄に肝幹細胞が存在するという根拠は、実験的に高度の肝障害を起こしてやると、骨髄から肝細胞を生じるという事実に基づいている。最近になって骨髄から誘導された細胞が肝細胞に分化することが示された。それは、放射線照射により雌のマウスの全骨髄を破壊し、次に同種・同系の雄のマウスより採取した骨髄細胞を、雌のマウスに移植してやると、その後、成熟肝細胞中に、移植された雄の染色体であるY染色体を持つ骨髄細胞に由来する細胞の存在が示されたという、実験事実によるものである( Theise ND et al.: Hepatology 2000; 31(1): 235-240 )。この結果は、骨髄細胞からの種々の臓器、器官、組織の再生を期待させるものである。そこで本発明者らは鋭意努力し、骨髄移植よりも簡便な方法で骨髄細胞の遊走・分化・増殖を行わせることが可能であり、より簡単な方法で骨髄細胞の遊走・分化・増殖をモニターできる分化評価モデル動物の開発に至った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
将来に、自己骨髄より分離した幹細胞を用いた組織再生療法の開発を行いたいと考え、骨髄細胞より臓器、器官、組織への分化評価モデル動物の開発を課題としている。特に、蛍光標識蛋白であるGFP( green fluorescent protein )を発現しているGFPトランスジェニック マウスを用いた、骨髄細胞より臓器、器官、組織への遊走・分化・増殖評価モデルの開発が課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
骨髄細胞の遊走・分化・増殖評価モデル動物の開発においては、用いる骨髄細胞が標識されていることが好ましい。骨髄細胞の標識方法としては公知の方法が利用でき、標識物質としては放射性同位元素、蛍光物質、蛍光タンパク質などが挙げられる。LacZ トランスジェニック マウスを用いると、X-gal染色による濃青色の発色で確認が可能である( Sasaki M et al.: Glia 2001; 35(1): 26-34 , Papayannopoulou T et al.: Blood 2000; 95(4): 1274-1282 )。特に、検出の容易さという点では蛍光標識が望ましい。好ましいのは蛍光タンパク質でラベルされたトランスジェニック動物である。特に、標識蛋白であるGFPを発現しているGFPトランスジェニック マウスの利用が好ましい。例えば、岡部ら( Okabe M et al.: FEBS Lett. 1997; 407(3): 313-319 )によるGFPトランスジェニック マウスは、クラゲ( Aequorea victoria )由来のGFP cDNAを、赤血球と体毛を除くほとんどの組織で発現している。このGFPトランスジェニック マウスから採取した骨髄細胞は、励起光を照射することにより緑色蛍光を放射する。従って、このGFPトランスジェニック マウスから採取した骨髄細胞を疾患モデル動物に投与することにより、骨髄細胞の遊走および増殖の有無を、対象とする組織に緑色蛍光を発する細胞が存在するか否か、経時的に緑色蛍光を発する細胞が増殖しているか否かにより、容易にモニターすることが可能となる。投与した骨髄細胞の分化の有無は、緑色蛍光を発する細胞に、分化の指標となるマーカーが存在しているか否かを調べることによって明らかにできる。
【0007】
動物から分離した標識骨髄細胞は、臓器、器官、組織の障害を起こした同種同系の動物に、末梢血管からの投与を行うことができる。マウスやラットなどの場合は、尾静脈より投与するのが良い。本発明における骨髄細胞からの遊走・分化・増殖評価モデル動物は、従来法のように骨髄を破壊した動物に正常な骨髄を移植するモデルに比べて、操作性、所要時間および結果の見やすさという点でメリットがある。また、持続性障害モデルを用いることにより、実際の病態に近い条件下で評価できるという利点もある。実際に、四塩化炭素(CCl4)の投与により持続性肝障害を起こしたマウスに投与した骨髄細胞が、肝臓へ遊走し、定着し、さらに肝細胞に分化することが、本発明により見出されている。本発明の評価モデル動物としてGFPトランスジェニック マウスを用いた場合には、分離した骨髄細胞はGFPを発現しており、このGFPによる蛍光を蛍光顕微鏡やセルソーターなどの機器類を用いて検出が可能である。また、特異的抗体を用いた免疫染色にて確認することにより、肝臓に存在するGFP陽性細胞は骨髄由来の細胞群であることの確認ができる。本発明においては、骨髄細胞投与後の時間経過を追うごとにGFP陽性細胞は増加しており、また肝細胞、胆管細胞への分化を確認した。この結果は、骨髄細胞の肝臓細胞、胆管細胞への分化を評価できることを示している。またこのモデルの解析を通じて、自己骨髄細胞を用いた肝臓再生療法の開発に役立つと考えられた。
【0008】
一方、肝幹細胞への分化は、既に報告されている肝幹細胞マーカー( Grisham JW & Thorgeirsson SS: Liver stem cells. In :Potten CS (Ed): Stem cells, Academic Press, London, 1997:233-282 , Orlic D et al.: Nature 2001; 410(6829):640-641 , Terai S et al.: Hepatology 2000; 32(2):357-366 )であるc-kit、CD34、コネキシン43( connexin43 )、HHM( human homologue of maid )で評価できる。また肝細胞への分化は、肝臓特異的転写因子HNF4( hepatic nuclear factor 4 )、アルブミン、α-フェトプロテイン( Grisham JW & Thorgeirsson SS: Liver stem cells. In :Potten CS (Ed): Stem cells, Academic Press, London, 1997:233-282 )の免疫染色により行うことができる。また、本発明の持続性肝障害モデルにおいては、骨髄細胞の胆管細胞への分化も起こることが知られている。骨髄細胞の胆管細胞への分化は、サイトケラチン17( cytokeratin17 )、サイトケラチン19( cytokeratin19 )、HEA125( human epithelial antigen 125 )を用いて評価することができる。
【0009】
膵臓障害モデルに関しては、コリン欠乏食に0.5% DL-エチオニン( DL-ethionine )を加えた食事を、3日間から1週間マウスに与えることにより、膵臓障害を引き起こすことができる( Virji MA et al.: Am. J. Pathol. 1985; 118(1): 162-167 )。また、膵臓障害の程度は、インシュリン、グルカゴンおよびアミラーゼにより評価することができる。この膵臓障害を起こしたマウスは、同種同系のGFPマウスから採取した骨髄細胞を末梢血管から投与し、膵臓におけるGFP陽性細胞の存在の有無および膵臓内分泌細胞、外分泌細胞への分化の有無を評価するのに用い得る。膵臓の外分泌細胞には、腺房細胞や腺房中心細胞が存在している。骨髄細胞から分化した腺房細胞や腺房中心細胞の有無は、マーカー(分泌酵素)として、アミラーゼ、カルボキシペプチダーゼ A、キモトリプシン、リパーゼ、エラスターゼ、PTF1 ( Krapp A : Genes & Development 1998; 12(23): 3752-3763 )などを用いることにより、検出可能である。膵臓の内分泌細胞としてはA 細胞、B細胞、D細胞およびPP細胞が存在している。骨髄細胞から分化した細胞の検出は、それぞれA細胞はグルカゴン、B細胞はインシュリン、D細胞はソマトスタチン、PP細胞は 膵ポリペプチド( pancreatic polypeptide )の分泌により検出可能である。また、膵内分泌細胞のマーカーとしてPDX-1も利用できる(Ferber S : Nature Medicine 2000; 6(5):568-572.)。
【0010】
腸炎モデルは、TNBS( 2,4,6-trinitrobezene sulfonic acid )2.5mgを50%エタノールに溶解し、直腸内に注入することにより作製できる ( Kitani A et al.: J. Exp. Med. 2000; 192(1): 41-52 )。同日に、同種同系のGFPトランスジェニック マウスから採取した骨髄細胞を、腸炎を起こしたマウスの尾静脈から投与して、大腸、小腸におけるGFP陽性細胞の存在の有無、および分化の有無を評価することができる。
【0011】
小腸および大腸では、陰窩に存在する幹細胞が応答して、円柱細胞、内分泌細胞、粘液細胞等へ分化する。円柱細胞は多糖類を分泌することを指標として、骨髄細胞からの円柱細胞への分化を検出できる。内分泌細胞への分化は、クロモグラニン、ソマトスタチン、グルカゴンなどの産生の有無により検出可能である。杯細胞(粘液細胞)への分化は、過ヨード酸シッフ反応による検出法とムチンの産生の有無による検出法が利用できる。また、パネート細胞は、リゾチームの産生を指標として検出可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を、実施例にもとづき図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0013】
【実施例1】
肝障害の持続性モデルは、四塩化炭素とコーンオイルの1:3溶液(V/V)を投与することによって作製した。正常マウス C57BL/6の腹腔内に、四塩化炭素/コーンオイル溶液を、マウスの体重1kg当り0.2mlの割合で投与した。週2回で4週間投与することにより(図1)、肝障害の持続性モデルを作製することができた。肝障害の指標である GPT値は 4,000(IU/l)前後、GOT値も 3,000-4,000(IU/l)前後であり、肝障害の発生を確認できた。
【0014】
【実施例2】
ほぼ全身に蛍光色素蛋白GFPを発現しているGFPトランスジェニック マウスC57BL/6 の両方の大腿骨を切除した。得られた大腿骨の両端を切断後、21G注射針を大腿骨切断部の一端に刺し、4-5回ほどピペッティングしながら、大腿骨がついた状態のままで10%の血清を含んだDMEM( Dulbecco's modified Eagle's medium )に浸し、DMEMごと濾し出した。50mlチューブに滅菌メッシュを装着し、濾しだした骨髄細胞溶液を濾過した後、1,300回転(500×G)で3分間遠心して上清を除いた。この操作を2回繰り返した後、DMEMを加えて全体を10mlとし、ニュートンリングを使用して、細胞数を測定した。細胞数は、溶液10mlあたりの細胞数で示した。
【0015】
【実施例3】
マウスの尾静脈から、31G針を用いて、実施例2で調製した細胞溶液の0.1ml(細胞数 1×105個以上)を、ゆっくりと注入した。この操作は、実施例1で作製した持続的肝障害群マウスおよび正常群マウス(C57BL/6)のそれぞれに行った(図1)。各群のマウスの匹数は、10匹ずつであった。投与後、それぞれの群において、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後にマウスを解剖し、肝臓およびその他の全臓器を摘出し、固定して保存した(図1)。
【0016】
臓器の固定は、灌流固定法により行った。マウスをジエチルエーテルで麻酔し、胸腹部を切開した後、心臓の右心房をハサミで切開した。次に左心房より23Gの翼状針を入れ、4%パラフォルムアルデヒド液(Muto製)で還流固定した。還流液は、約0.6ml/sの速度で、約100mlを注入した。固定終了後に、各臓器を摘出して50mlチューブに入れ、4%パラフォルムアルデヒド液を臓器が浸る程度に入れて、4℃で冷蔵保存した。翌日に、シュークロース溶液に臓器を浸し、2-3日間、臓器が底に沈むまで4℃で冷蔵保存した。その後、コンパウンド液(Tissue-Tek製)で臓器を台に固定し、液体二酸化炭素で組織凍結した後、クリオスタットを使用して切片化した。切片の厚さは20μm 、内部温度-18℃で切り出し、PBS溶液に浸した。
【0017】
【実施例4】
それぞれのマウスにおいて、投与後の期間と病態で、GFP骨髄細胞の遊走、定着、分化に差があるかどうかを、以下の方法で検証した。投与した骨髄由来の細胞は、GFPによる蛍光の局在を顕微鏡で観察すること、および抗GFP抗体を用いた免疫染色により検出した。その結果、1週間後、2週間後、3週間後、1ヶ月後と時間経過を追うごとにGFP陽性細胞数は増加した。
【0018】
図2の左側の写真は、肝障害群にGFP骨髄細胞を投与後、1週間目の肝臓切片におけるGFP陽性細胞の存在を示したものである。抗GFP抗体による免疫組織染色により黒く染まっている部分が、GFP陽性細胞群である。1週間後では、肝小葉の周囲にGFP陽性細胞の存在を確認できた。一方、1ヶ月後( 図2の右側の写真)では1週間後に比べGFP陽性細胞が増加しており、GFP陽性細胞の増殖が認められた。また、肝小葉内へのGFP陽性細胞の浸潤を確認できた。
【0019】
肝幹細胞への分化は、肝幹細胞マーカーであるc-kit、CD34、コネキシン43、HHMで評価した。また肝細胞への分化は、肝臓特異的転写因子 HNF4、アルブミン、α-フェトプロテインの染色により行った。胆管細胞への分化は、サイトケラチン17、サイトケラチン19、HEA125の染色を行った。その結果、骨髄細胞からの肝幹細胞および肝細胞、胆管細胞への分化を確認できた。
【0020】
以上の結果を総合すると、持続性肝障害マウスの尾静脈から投与されたGFP骨髄細胞が、肝臓内に遊走して定着し、さらに肝細胞、胆管細胞まで分化して増殖する能力を有することを示すことができた。
【0021】
【実施例5】
コリン欠乏食に0.5% DL-エチオニン( DL-ethionine )を加えた食事を、3日間から1週間、C57BL/6 マウスに与え膵臓障害を惹起した。膵臓障害の程度は、インシュリン、グルカゴンおよびアミラーゼにて評価した。この持続性膵臓障害を起こしたマウスに、同種同系のGFPトランスジェニック マウスから骨髄を採取し、尾静脈から投与した。膵臓でのGFP陽性細胞の存在の有無、また膵臓内分泌、外分泌細胞への分化の有無を評価した。骨髄細胞から分化した腺房細胞や腺房中心細胞の有無は、マーカー(分泌酵素)として、アミラーゼ、カルボキシペプチダーゼ A、キモトリプシン、リパーゼ、エラスターゼ、PTF1を用いた。膵臓の内分泌細胞であるA 細胞、B細胞、D細胞およびPP細胞に関しては、骨髄細胞から分化した細胞の検出は、それぞれA細胞はグルカゴン、B細胞はインシュリン、D細胞はソマトスタチン、PP細胞は膵ポリペプチドの分泌により検出した。また、膵内分泌細胞のマーカーとしてPDX-1も利用した。その結果、本実施例の持続性膵障害モデルは、骨髄からの遊走・分化・増殖評価モデルとして用い得ることが判明した。
【0022】
【発明の効果】
本発明のモデルでは、代表例である持続性肝障害モデルについて述べると、投与した骨髄細胞に由来するGFP陽性細胞の肝臓内への遊走と定着、また肝幹細胞、肝細胞、胆管細胞への分化と増殖が確認できた。このため、このモデルの解析を通じ、将来、骨髄細胞より肝細胞、胆管細胞への分化制御機構を明らかにするのに有用と考えられる。しかもこのモデルは、過去に報告されているモデルとは異なり、将来の治療の開発に最も直結するイン ビボ モデルである。さらにこのモデルの解析を通じ、どのようなシステムで骨髄細胞が肝細胞、胆管細胞へと分化するかを検討することが可能である。またフローサイトメーターなどを組み合わせることにより、骨髄細胞のうちのどの細胞が肝幹細胞であるかを同定できる。今後、このモデルにおける肝障害の程度の変化、また細胞外マトリックスの変化を目的にした系と組み合わせることにより、実際に臨床応用に即した治療法の開発に寄与すると考えられる。また本発明のモデルは、薬物のスクリーニング方法への応用が可能であり、新薬創製への寄与が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】四塩化炭素による持続性肝障害マウスの作製法と骨髄細胞の尾静脈よりの投与スケジュールなどの実験プロトコールを示した図である。
【図2】GFP骨髄細胞を持続性肝障害マウスの尾静脈から投与後、1週間後と1ヶ月後の肝臓切片におけるGFP陽性細胞の存在および増殖を示した図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1