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明細書 :符号判定誤り軽減方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第2990260号 (P2990260)
公開番号 特開平10-224418 (P1998-224418A)
登録日 平成11年10月15日(1999.10.15)
発行日 平成11年12月13日(1999.12.13)
公開日 平成10年8月21日(1998.8.21)
発明の名称または考案の名称 符号判定誤り軽減方法
国際特許分類 H04L 27/22      
H04B 14/04      
H04L  1/00      
FI H04L 27/22 A
H04B 14/04
H04L 1/00
請求項の数または発明の数 1
全頁数 7
出願番号 特願平09-034406 (P1997-034406)
出願日 平成9年2月3日(1997.2.3)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用申請有り 電子情報通信学会技術研究報告「無線通信システム」第96巻第212号(平成8年8月8日)第33頁~第39頁に発表
特許法第30条第1項適用申請有り 電子情報通信学会1996年通信ソサイエティ大会講演論文集1(平成8年9月20日)第405頁に発表
審査請求日 平成9年2月3日(1997.2.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391027413
【氏名又は名称】郵政省通信総合研究所長
発明者または考案者 【氏名】神尾 享秀
【氏名】古川 博史
【氏名】笹岡 秀一
審査官 【審査官】内田 正和
参考文献・文献 特開 平9-260940(JP,A)
特開 平10-41732(JP,A)
特開 平3-179852(JP,A)
調査した分野 H04L 27/22
H04B 14/04
H04L 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
基地局と移動局間、あるいは、移動局間で帯域制限を施した位相変調信号を用いて無線通信を行うディジタル移動無線通信システムにおいて、CMA(Constant Modulus Algorithm)による制御を行って出力信号を得る場合に、
受信信号を用いてCMAによる制御を行い出力信号を得る手段と、
上記出力信号から符号判定時点を抽出する手段と、
上記符号判定時点での受信信号と、上記CMA制御により収束したウェイト値を初期値として用いて、再度CMAによる制御を行い出力信号を得る手段を備え、
位相変調信号に帯域制限を施すことによって生ずる包絡線変動の影響による符号判定誤りを軽減することを特徴とする符号判定誤り軽減方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明はディジタル移動無線通信システムおける符号判定誤り軽減方法に関するものである。

【0002】

【従来の技術】CMAは、J. R. Treichler and B. G. Agree:"A New Approach to MultipathCorrection of Constant Modulus Signals",IEEE Trans.,ASSP-31,pp. 459-472(1983)に記載されているように、信号の包絡線が一定であるという情報を用いて、各入力信号にウェイトを乗じ、それらを合成して出力信号を得るアルゴリズムである。位相変調信号は、帯域制限を施すことにより、その包絡線は大きく変動する。

【0003】

【発明が解決しようとする課題】したがって、上記包絡線変動を生じた信号においてCMAを用いて出力信号を得る場合に、そのウェイトは包絡線変動の影響を含んで変化する。この変化が、符号判定時点のデータに及ぶことで出力信号は歪んでしまい、下記の文献に記載されているように符号の判定誤りが生じるという問題を生じていた。
M. G. Larimore and J. R. Treichler, "Data equalization based on theconstant modulus adaptive filter", Proc. ICASSP, 4, pp. 949-952(1986-04)

【0004】

【課題を解決するための手段】本発明では、帯域制限を施した位相変調信号においてCMAを用いて出力信号を得る場合に、位相変調信号に帯域制限を施すことによって生ずる包絡線変動の影響を軽減させるために、最初に、受信信号を用いて、CMAによる制御を行い、出力信号を得る。上記の出力信号は伝搬路による歪みを軽減しているので、出力信号から符号判定時点を抽出する。

【0005】
次に、上記の時点での受信信号と上記のCMA制御により収束したウェイト値を初期値として、再度、CMAによる制御を行い出力信号を得る。以上により、位相変調信号を帯域制限することによって生じた包絡線変動の影響を軽減し、符号の判定誤りを少なくすることができる。

【0006】

【発明の実施の形態】先ず、本発明の原理を説明する。帯域制限を施す前の位相変調信号は定包絡線であるが、帯域制限することにより包絡線に変動を生ずる。一方、CMAは定包絡線という情報によって信号を復元するアルゴリズムである。したがって、帯域制限された位相変調信号にCMAを適用すると、復元信号の符号判定点値は包絡線変動の影響により歪みを生じ、これにより、符号判定誤りを起こす可能性が大きくなる。

【0007】
これに対して、帯域制限された位相変調信号においても、符号判定時点の受信信号は定包絡線性が保たれているので、このデータを用いてCMAによる制御を行うと包絡線変動の影響によるウェイトの変化は小さい。しかしながら、符号判定時点のデータのみを用いるとアルゴリズムの収束のために多くのシンボルを必要とする。また、伝搬路による歪みを受けた信号からは符号判定時点の抽出は困難である。そこで、サンプリングによって得られたデータのすべてを用いたCMAの実施により、アルゴリズムを収束させ、出力信号を得る。

【0008】
この出力信号は伝搬路において受けた歪みを補正しているので、符号判定時点が容易に抽出される。さらに、この符号判定時点のデータと、最初のCMAによる制御で収束したウェイト値を初期値として用いて、再度CMAによる制御を行う。これにより、位相変調信号に帯域制限を施すことによって生ずる包絡線の変動による符号判定時点の出力信号の歪みを軽減でき、符号の判定誤りを少なくすることができる。

【0009】
本発明は帯域制限した位相変調信号においてCMAを用いて出力信号を得るシステムに適用できる。これらの中で、アダプティブアレーアンテナを用いた場合における実施形態を説明する。先ず、本発明に係る位相変調信号へのCMA適用による符号判定誤り軽減方法の実施例を添付図面に基づいて説明する。そして、送信側及び受信側における信号の処理工程の概要を図1乃至図3により説明する。

【0010】
送信側において、送信したい情報系列を符号化し、さらに、シンボル化する。これをシンボル化後の情報系列aと呼ぶ。受信側において、送信された信号系列を受信し、標本化を行い、帯域制限を施す。これを受信信号系列bと呼ぶ。受信信号系列bを用いてCMAによる制御を行い、出力信号系列cを得る。出力信号系列cを復号する。これを復号信号系列dと呼ぶ。出力信号系列cから符号判定時点を抽出する。

【0011】
さらに、この符号判定時点における受信信号系列bのデータと、先のCMA制御で収束したウェイト値を初期ウェイト値として用いて、再度CMAによる制御を行い、出力信号系列eを得る。出力信号系列eを復号する。これを復号信号系列fと呼ぶ。復号信号系列dは位相変調信号に帯域制限を施すことによって生ずる包絡線変動の影響を受けて符号の判定誤りが起きているが、復号信号系列fは包絡線変動に影響を受けないので符号の判定誤りは生じない。

【0012】

【実施例】次に、本発明により位相変調信号の帯域制限による包絡線変動の影響を軽減するディジタル移動無線通信方式を具現化する送信局と受信局の第1実施例を図4、図5に基づいて説明する。尚、実施例で用いる変調方式は、π/4シフト差動符号化QPSKである。

【0013】
まず、図4の送信側において、伝送したい情報系列1を符号化部2により符号化し、信号点配置部3によりシンボル化する。さらに、このシンボル化した送信信号系列4を、送信側ルートナイキストフィルタ部5を通して帯域制限を行い、送信側局部発信器部6、直交変調部7により高周波信号に変換し、送信側空中線8により出力する。

【0014】
図5の受信側では、受信空中線9、10、11、12より受信した高周波信号を、送信側とほぼ同じ周波数をもつ受信側局部発信器部13、14、15、16の出力信号を用いて、準同期検波部17、18、19、20により準同期検波する。さらに受信側ルートナイキストフィルタ部21、22、23、24により帯域制限する。

【0015】
この受信信号系列25、26、27、28から、CMA制御部29における制御により出力信号系列30を得る。さらに、出力信号系列30から、符号判定時点抽出部32において符号判定時点33を抽出する。符号判定時点33での受信信号系列25、26、27、28と、CMA制御部29における制御により収束したウェイト値31をウェイト初期値として用いて、再度、CMA制御部34における制御により出力信号系列35を得て、復調部36において復調し、出力する。

【0016】
図6に、希望波が移動体の進行方向前方から移動体に到来した場合の計算機シミュレーションによる本実施例における静特性時のビット誤り率特性を示す。横軸はEb/N0(1ビットあたりの電力対雑音電力密度比)であり、縦軸はBER(ビット誤り率)である。この計算機シミュレーションでは、384ビットのデータにヘッダとしてプリアンブル75ビット、ユニークワード31ビットをつけたバーストを1000回送信し、BERを測定した。尚、伝送速度は、256ksymbol/secとし、1シンボル当たりのサンプル数を16としてシミュレーションを行った。

【0017】
その結果、図6に認められるように、第1実施例の特性(図中●印)は、最初のCMAによる制御しか行わない場合の出力信号系列35を復号した場合の特性(図中▲印)に比べて優れていることがわかる。

【0018】
次に、本発明により位相変調信号の帯域制限よる包絡線変動の影響を軽減することで遅延波の影響をさらに押さえる第2実施例を示す。なお、送受信局の構成は、上記第1実施例と同様であるので説明を省略する。

【0019】
図7は、希望波は移動体の進行方向前方から、遅延波が後方から移動体に到来するとした場合の計算機シミュレーションによる本実施例における動特性時のビット誤り率特性を示す。尚、横軸はEb/N0(1ビットあたりの電力対雑音電力密度比)であり、縦軸はBER(ビット誤り率)である。

【0020】
この計算機シミュレーションでは、384ビットのデータにヘッダとしてプリアンブル75ビット、ユニークワード31ビットをつけたバーストを1000回送信し、BERを測定した。そして、最大ドップラー周波数は5Hzとし、伝送速度は256ksymbol/sec、1シンボル当たりのサンプル数を16としてシミュレーションを行った。

【0021】
その結果、図7に認められるように、第2実施例の特性(図中●印)は、最初のCMAによる制御しか行わない場合の出力信号系列35を復号した場合の特性(図中▲印)に比べて優れていることがわかる。

【0022】
次に、本発明により位相変調信号の帯域制限よる包絡線変動の影響を軽減することで同一チャネル干渉波の影響をさらに押さえる第3実施例を図面に基づいて説明する。

【0023】
尚、送信局の構成は、上記第1実施例と同様であるので説明を省略する。受信局側においては同一チャネル干渉を低減する方法として本願出願人が既に出願している特願平8-211908号に記載の方式を用いる。また、受信局の構成についても上記第1実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。したがって、第3実施例では図8の復調信号系列37以降を説明する。

【0024】
先ず、出力信号系列35を復調部36における処理により復調信号系列37を得て、信号判定部38において希望信号系列か否かの判別を行い、信号制御部39における判断で、希望信号系列であれば出力する。一方、希望信号系列でなければ、制御信号40を干渉波除去部41、42、43、44に送出し、干渉波の除去を行う。

【0025】
干渉波除去部41、42、43、44において、受信信号系列25、26、27、28から出力信号系列35となった信号系列が除去され、信号処理部49と同様な処理を行う信号処理部50に送られる信号系列45、46、47、48を生成する。尚、アダプティブアレーアンテナはアンテナ素子数-1の到来する信号系列を除去する自由度をもっているので、以下、上記と同様な処理を信号処理部50、51、52において行い、希望信号系列を得ることができる。

【0026】
図9は、希望波は移動体の進行方向前方から、同一チャネル干渉波が後方から移動体に到来するとした場合の計算機シミュレーションによる本実施例における静特性時のビット誤り率特性を示す。横軸はC/I(希望波電力対同一チャネル干渉波電力比)であり、縦軸はBER(ビット誤り率)である。

【0027】
この計算機シミュレーションでは、384ビットのデータにヘッダとしてプリアンブル75ビット、ユニークワード31ビットをつけたバーストを1000回送信し、BERを測定した。そして、伝送速度は、256ksymbol/secとし、1シンボル当たりのサンプル数を16としてシミュレーションを行った。

【0028】
その結果、図9に認められるように、本発明と特願平8-211908号(干渉波の除去方法)に記載の方式とを組み合わせた第3実施例の特性(図中●印)は、干渉波の除去方法のみの場合の特性(図中▲印)に比べて優れていることがわかる。

【0029】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の符号判定誤り軽減方法によれば、帯域制限を施した位相変調信号においてCMAを用いて出力信号を得る場合に、位相変調信号を帯域制限しても包絡線変動の影響を受けず、定包絡線性が保たれている符号判定時点での受信信号と収束したウェイト値を用いて出力信号を得るため、上記の包絡線変動の影響を大幅に軽減した出力信号を得ることができ、受信特性の向上が図れる。

【0030】
これにより、ディジタル移動無線通信システムにおいて、帯域制限することによって包絡線が変動する位相変調信号にCMAを適用する場合の受信特性の劣化を最小にすることが可能となる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図6】
4
【図7】
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【図9】
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【図5】
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【図8】
8