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明細書 :入射光の測定方法及びそれを用いた分光機構を有するセンサー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4073831号 (P4073831)
公開番号 特開2005-010114 (P2005-010114A)
登録日 平成20年2月1日(2008.2.1)
発行日 平成20年4月9日(2008.4.9)
公開日 平成17年1月13日(2005.1.13)
発明の名称または考案の名称 入射光の測定方法及びそれを用いた分光機構を有するセンサー
国際特許分類 G01J   3/30        (2006.01)
H01L  31/10        (2006.01)
FI G01J 3/30
H01L 31/10 E
請求項の数または発明の数 9
全頁数 13
出願番号 特願2003-177425 (P2003-177425)
出願日 平成15年6月23日(2003.6.23)
審査請求日 平成18年4月20日(2006.4.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】澤田 和明
【氏名】石田 誠
【氏名】丸山 結城
【氏名】武藤 秀樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】▲高▼場 正光
参考文献・文献 特開平05-343661(JP,A)
特開平07-058324(JP,A)
特開平09-237887(JP,A)
特開2001-007323(JP,A)
M. S. Gusmao 他,“Field-effect transistors as tunable infrared detectors”,JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,1996年 5月 1日,Vol.79, No.5,pp.2752-2754
調査した分野 G01J 3/00-3/52
H01L27/14
H01L29/78
JSTPlus(JDream2)
Web of Science
特許請求の範囲 【請求項1】
入射光を透過するとともに、ゲート電圧が印加される電極膜(7)と、その下部に絶縁膜(4)を介して入射光により発生した電子を捕獲する第1の拡散層(2)と、該第1の拡散層(2)の一端側に形成され、該第1の拡散層(2)内に捕獲した電子を外部に取り出す第2の拡散層(3)と、該第2の拡散層(3)に接続され、かつ前記捕獲した電子を外部に取り出す第1の電極(5)と、前記第1の拡散層(2)に形成される第2の拡散層(3)とは対向する他端側に接続され、かつ第1の拡散層(2)の電位を確立する第2の電極(6)とを設け、前記第1の拡散層(2)に入射光が入ると、該入射光の強度は指数関数的に減衰することに基づいて、前記第1の拡散層(2)の表面からのある深さxにおける前記入射光の光強度(φ)を求め、これにより前記第1の拡散層(2)の全体の深さに対する前記第1の拡散層(2)の表面からの電子の捕獲される深さWまでに吸収される光強度(φ)の割合を求め、これらより前記第1の拡散層(2)の表面からの電子の捕獲される深さWまでに発生する電流(I)を測定することにより、入射光の強度を測定することを特徴とする入射光の測定方法。
【請求項2】
請求項1記載の入射光の測定方法において、前記入射光の種類に応じて前記ゲート電圧を変化させることを特徴とする入射光の測定方法。
【請求項3】
(a)半導体基板(1)と、
(b)該半導体基板(1)に形成される第1の拡散層(2)と、
(c)該第1の拡散層(2)の一端側に形成され、該第1の拡散層(2)内に捕獲した電子を外部に取り出す第2の拡散層(3)と、
(d)該第2の拡散層(3)に接続され、かつ前記捕獲した電子を外部に取り出す第1の電極(5)と、
(e)前記第1の拡散層(2)に形成される第2の拡散層(3)とは対向する他端側に接続され、かつ前記第1の拡散層(2)の電位を確立する第2の電極(6)と、
(f)前記第1の拡散層(2)上に絶縁膜(4)を介して形成される、入射光を透過するとともに、ゲート電圧が印加される電極膜(7)と、
(g)前記第1の拡散層(2)に入射光が入ると、該入射光の強度は指数関数的に減衰することに基づいて、前記第1の拡散層(2)の表面からのある深さxにおける前記入射光の光強度(φ)を求め、これにより前記第1の拡散層(2)の全体の深さに対する前記第1の拡散層(2)の表面からの電子の捕獲される深さWまでに吸収される前記入射光の光強度(φ)の割合を求め、これらより前記第1の拡散層(2)の表面からの電子の捕獲される深さWまでに発生する電流(I)を測定することにより、入射光の強度を測定する手段とを具備することを特徴とする分光センサー。
【請求項4】
請求項3記載の分光センサーにおいて、前記入射光の種類に応じて前記ゲート電圧を変化させる手段を具備することを特徴とする分光センサー。
【請求項5】
請求項3又は4記載の分光センサーにおいて、前記第1の拡散層(2)がp型拡散層、前記第2の拡散層(3)がn+ 拡散層、前記半導体基板(1)がn型半導体基板を含むことを特徴とする分光センサー。
【請求項6】
請求項3又は4記載の分光センサーにおいて、前記ゲート電圧が印加される電極膜(7)が、不純物が添加された多結晶シリコン膜であることを特徴とする分光センサー。
【請求項7】
請求項3又は4記載の分光センサーを用いて、1次元、または2次元に配置した分光センサーアレイを設け、該分光センサーアレイを一緒に作り込んだシフトレジスタで切り替えて信号を読み出し、前記電子を捕獲する深さを変化させて、そのときの信号を計測し、それらの信号から赤、緑、青の各波長の強度を計算し、カラー画像信号を出力することを特徴とするカラーフィルタなしカラーイメージセンサー。
【請求項8】
請求項記載のカラーフィルタなしカラーイメージセンサーにおいて、前記カラー画像信号の出力部に雑音除去回路を設けることを特徴とするカラーフィルタなしカラーイメージセンサー。
【請求項9】
請求項記載のカラーフィルタなしカラーイメージセンサーにおいて、前記電子を捕獲する深さを180分の1秒ごとに変化させることを特徴とするカラーフィルタなしカラーイメージセンサー。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入射光の測定方法及びそれを用いた分光センサーに係り、特に、半導体装置に入る光の波長とその強度を検出する入射光の測定方法及びそれを用いた分光機能を有するセンサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
単板式ビデオカメラに用いられているイメージセンサーは、カラー画像を得るために赤、緑、青のフィルタを各光検出素子(例えば、フォトダイオード)の上に取り付けるようにしている。
【0003】
また、三板式のビデオカメラにおいては、光学プリズムを用いて、入射光を赤、緑、青の3つの光に分け、それぞれの光を3つのイメージセンサーで検知するようにしていた。
【0004】
また、入射する光が、いかなる波長であるか、かつ、それらの波長の強度を知るためには、現在はグレーティングなどを用いて分光を行い、それぞれの光の強度分布をパワーメータなどで測定を行っていた。
【0005】
また、1つのフォトダイオードにより、赤、緑、青のカラー情報を取得する試みがある(下記特許文献1参照)。この提案は、シリコン基板に、0.2μm、0.6μm、2μmの深さを持つ3つの拡散層を、重ねるように配置して、それぞれの接合から得られる電流を検知するものであった。
【0006】
【特許文献1】
USP No.5,965,875号公報(第4欄-第5欄 図6)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した単板式のビデオカメラでは、カラー画像を得るためには3つの光検出素子が必要であるため、解像度が三分の一に低下する。また、このカラーフィルタによる光の吸収で感度の低下が起こっていた。
【0008】
また、三板式のビデオカメラでは、光学プリズムの存在により、カメラ自体が大きくなる。
【0009】
さらに、光の分光装置では、グレーティングなどを用いていたため装置の構成が大きくなる。
【0010】
上記特許文献1に示されるトリプル井戸構造を有する能動画素イメージングアレイによるカラー分離手法では、青色を検知する一番手前の接合でも、赤色を検知してしまうことになり、赤、緑、青のカラー情報の分解能は低い。さらに、どの波長がどのような強度で存在するか知ることができないといった問題があった。
【0011】
また、上記特許文献1の手法では、捕獲する電子の深さ(位置)を変化させることができない。
【0012】
本発明は、上記状況に鑑みて、入射光に対応した単一の電子の捕獲部を備えた、簡単な半導体構造を用いた入射光の測定方法及びそれを用いた分光機能を有するセンサーを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕入射光の測定方法において、入射光を透過するとともに、ゲート電圧が印加される電極膜(7)と、その下部に絶縁膜(4)を介して入射光により発生した電子を捕獲する第1の拡散層(2)と、この第1の拡散層(2)の一端側に形成され、この第1の拡散層(2)内に捕獲した電子を外部に取り出す第2の拡散層(3)と、この第2の拡散層(3)に接続され、かつ前記捕獲した電子を外部に取り出す第1の電極(5)と、前記第1の拡散層(2)に形成される第2の拡散層(3)とは対向する他端側に接続され、かつ第1の拡散層(2)の電位を確立する第2の電極(6)とを設け、前記第1の拡散層(2)に入射光が入ると、この入射光の強度は指数関数的に減衰することに基づいて、前記第1の拡散層(2)の表面からのある深さxにおける前記入射光の光強度(φ)を求め、これにより前記第1の拡散層(2)の全体の深さに対する前記第1の拡散層(2)の表面からの電子の捕獲される深さWまでに吸収される前記入射光の光強度(φ)の割合を求め、これらより前記第1の拡散層(2)の表面からの電子の捕獲される深さWまでに発生する電流(I)を測定することにより、入射光の強度を測定することを特徴とする。
【0014】
〔2〕上記〔1〕記載の入射光の測定方法において、前記入射光の種類に応じて前記ゲート電圧を変化させることを特徴とする。
【0015】
〔3〕分光センサーにおいて、半導体基板(1)と、この半導体基板(1)に形成される第1の拡散層(2)と、この第1の拡散層(2)の一端側に形成され、この第1の拡散層(2)内に捕獲した電子を外部に取り出す第2の拡散層(3)と、この第2の拡散層(3)に接続され、かつ前記捕獲した電子を外部に取り出す第1の電極(5)と、前記第1の拡散層(2)に形成される第2の拡散層(3)とは対向する他端側に接続され、かつ前記第1の拡散層(2)の電位を確立する第2の電極(6)と、前記第1の拡散層(2)上に絶縁膜(4)を介して形成される、入射光を透過するとともに、ゲート電圧が印加される電極膜(7)と、前記第1の拡散層(2)に入射光が入ると、該入射光の強度は指数関数的に減衰することに基づいて、前記第1の拡散層(2)の表面からのある深さxにおける前記入射光の光強度(φ)を求め、これにより前記第1の拡散層(2)の全体の深さに対する前記第1の拡散層(2)の表面からの電子の捕獲される深さWまでに吸収される前記入射光の光強度(φ)の割合を求め、これらより前記第1の拡散層(2)の表面からの電子の捕獲される深さWまでに発生する電流(I)を測定することにより、入射光の強度を測定する手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
上記〔3〕記載の分光センサーにおいて、前記入射光の種類に応じて前記ゲート電圧を変化させる手段を具備することを特徴とする。
【0017】
〕上記〔3〕又は〔4〕記載の分光センサーにおいて、前記第1の拡散層(2)がp型拡散層、前記第2の拡散層(3)がn+ 拡散層、前記半導体基板(1)がn型半導体基板を含むことを特徴とする。
【0018】
〕上記〔3〕又は〔4〕記載の分光センサーにおいて、前記ゲート電圧が印加される電極膜(7)が、不純物が添加された多結晶シリコン膜であることを特徴とする。
【0019】
カラーフィルタなしカラーイメージセンサーであって、上記〔3〕又は〔4〕記載の分光センサーを用いて、1次元、または2次元に配置した分光センサーアレイを設け、この分光センサーアレイを一緒に作り込んだシフトレジスタで切り替えて信号を読み出し、前記電子を捕獲する深さを変化させて、そのときの信号を計測し、それらの信号から赤、緑、青の各波長の強度を計算し、カラー画像信号を出力することを特徴とする。
【0020】
〕上記〔〕記載のカラーフィルタなしカラーイメージセンサーにおいて、前記カラー画像信号の出力部に雑音除去回路を設けることを特徴とする。
【0021】
〕上記〔〕記載のカラーフィルタなしカラーイメージセンサーにおいて、前記電子を捕獲する深さを180分の1秒ごとに変化させることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
まず、入射光の波長情報を得るための基本原理について説明する。
【0024】
半導体装置に照射された光は、半導体中に侵入して、吸収されながら減衰していく。この減衰していく度合いは、入射光の波長によって異なる。
【0025】
そこで、本発明では、光により発生する電子を収集可能な深さ(位置)を変化させて、それらの電流を測定できれば、以下の方法で、入射する光の波長情報が分かることに着目した(勿論、電子と同時にできる正孔を蓄えてもよい)。例えば、2つの波長(λ1とλ2)の光が、強度A1 とA2 で同時に入射したとする。表面から電子の捕獲位置W1 の距離までに発生した電子による電流を測定したら、電流I1 であった。
【0026】
次に、電子の捕獲位置W2 の距離までに発生した電子による電流を測定したら、電流I2 であったとする。このことは以下の式で表すことができる〔補足説明1参照〕。
【0027】
【数1】
JP0004073831B2_000002t.gif
【0028】
ここで、各パラメータは次の通りである。
【0029】
1 、A2 :入射光強度〔W/cm2
S:センサー面積〔cm2
1 、W2 :電子の捕獲位置〔cm〕
α1 、α2 :それぞれの波長の吸収係数〔cm-1
1 :電子の捕獲位置をW1 としたときの電流の実測値〔A〕
2 :電子の捕獲位置をW2 としたときの電流の実測値〔A〕
振動数ν1 =c/λ1
振動数ν2 =c/λ2
ここで、cは光速、Sは受光部の面積、hνは光のエネルギー、qは電子ボルトであり、入射光強度A1 、A2 以外は全て既知の値であるから、この2式から連立方程式を解くことにより、入射光強度A1 、A2 を求めることができる。
【0030】
例えば、
【0031】
【数2】
JP0004073831B2_000003t.gif
【0032】
と書ける。
【0033】
各パラメータは次の通りである。
【0034】
【数3】
JP0004073831B2_000004t.gif
【0035】
例えば、入射光を3つの波長に分離する場合は、式(1)に電子を捕獲する位置W3 の場合の電流I3 が増える。その後は、2波長の場合と同様に計算を行うことで、入ってきた光を3波長に分離できる。
【0036】
同様に100の波長で入ってくる入射光を分光する場合は、電子を捕獲する位置を100回変化させて測定すればよい。
〔補足説明1〕
単色光が入射している場合においては、半導体内の深さ(位置)Wまでに発生する電流を計算によって求めることができる。半導体に光が入射すると光強度は指数関数的に減衰する。よって、ある深さxにおける光強度Φは、
【0037】
【数4】
JP0004073831B2_000005t.gif
【0038】
ここで、Φ0 :入射光強度〔W/cm2
α:吸収係数〔cm-1
これより、深さWまでに吸収される割合を求めると、
【0039】
【数5】
JP0004073831B2_000006t.gif
【0040】
となる。
【0041】
これらより、深さWまでに発生する電流は次式で決まる。
【0042】
【数6】
JP0004073831B2_000007t.gif
【0043】
ここで、S:受光部の面積〔cm2
hν:光のエネルギー〔J〕
q:電子ボルト〔J〕
これらの式をそれぞれの波長に分けて表したのが式(1)である。
【0044】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0045】
図1は本発明の実施例を示す入射光の測定を行う分光センサーの一部断面を示す斜視図である。
【0046】
この図において、1はn型シリコン基板(n型基板)、2はn型シリコン基板1中に形成されるp型拡散層〔p型ウェル(p型well)〕、3はp型拡散層2の部位に形成されるn+ 拡散層、4はp型拡散層2上に形成されるシリコン酸化(SiO2 )膜、5はn+ 拡散層3に接続されるとともに、基準電圧が印加されるAl電極、6はp型拡散層2に接続されるとともに接地される電極、7はシリコン酸化膜4の上部に形成され、不純物が添加された多結晶シリコン膜(poly-Si)、8はその多結晶シリコン膜7に接続されるゲート電極であり、多結晶シリコン膜7はシリコン酸化膜4を介して光を透過できる電極として機能する。
【0047】
そこで、電子を捕獲するp型拡散層2の表面からの深さ(位置)を変化させるためには、例えば、n型シリコン基板1にp型拡散層2を設け、その上部に配置したシリコン酸化膜4を介して光を透過できる電極としての不純物が添加された多結晶シリコン膜(poly-Si)7が配置された構造にする。光を透過できる不純物が添加された多結晶シリコン膜7のすぐ横には、捕獲した電子を外部に取り出すためn+ 拡散層3が配置されている。p型拡散層2、n型シリコン基板1には、それらの電位を一定にするために配線を取り出すためのコンタクトが設けられている。
【0048】
図2~図8は図1に示す分光センサーの特性図であり、図2はVgが-1Vの場合、図3はVgが0Vの場合、図4はVgが1Vの場合、図5はVgが2Vの場合、図6はVgが3Vの場合、図7はVgが4Vの場合、図8はVgが5Vの場合をそれぞれ示している。なお、ここでVgはゲート電圧(ゲート電極8の電位)を示している。各図において、Z座標軸の0.0がp型拡散層の表面を、実線は電子を捕獲するp型拡散層の表面からの深さ(捕獲位置)Wを、Bはp-ウエル部分、Cは基板とのpn接合部分(図2において代表して示しているが、図3~図8においても同様である)を示している。
【0049】
例えば、それぞれの不純物の濃度としては、p型拡散層2が2×1015cm-3(接合深さ5μm)、n型シリコン基板1が1.5×1014cm-3、シリコン酸化膜4の膜厚が65nmのとき、ゲート電極8の電位を-1Vから5V(図2~図8)まで変化させる(n型シリコン基板1には5Vの印加電圧を付与)と、p型拡散層2の表面からの電子の捕獲される深さWは、0μmから2.3μmまで変化する。
【0050】
なお、ここでは、シリコン基板1には5Vを印加した場合のシミュレーション結果を示しているが、その基板への印加電圧は5Vに固定されるものではなく可変にすることができる。
【0051】
図9は本発明の実施例を示す基板への印加電圧が5VでVgが0Vの場合(図3に対応)のp型拡散層の深さを10μm(Z座標フルスケール)とした場合の分光センサーの特性図であり、図10は本発明の実施例を示す基板への印加電圧が10VでVgが0Vの場合のp型拡散層の深さを10μm(Z座標フルスケール)とした場合の分光センサーの特性図である。これらの図において、Z座標軸の0.0はp型拡散層の表面、10.0はp型拡散層の底面(シリコン基板面)を示している。図9と図10を対比すると、基板電圧の変化によって基板とpn接合部分C、p-ウェル部分B、p-ウェルの表面から電子の捕獲深さWも若干の影響を受ける(主に、基板とpn接合部分Cの下がり具合が大きくなる)が、大きな差は生じないので、本発明においては、基板電圧を一定にしてVgを変化させることによって、拡散層の表面からの電子の捕獲される深さWを変化させることによって分光センサーの機能を発揮させることができる。
【0052】
また、この構造を実際に製作したもの(写真)を図11、図12に示す。図11はその単体の分光センサーの平面図を示し、図12はその分光センサー(4×4)の全体の平面図を示している。
【0053】
本発明により実際に作製した素子において、実際に波長が分かっている2種類の発光ダイオード(青、赤)を用いて測定した結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
JP0004073831B2_000008t.gif
【0055】
この表1からも分かるように、実際に入射した光とその強度の絶対値はずれたが、信号の比は変わらなかった。光の反射を考慮すると正確に検出できる。
【0056】
〔測定方法の例〕
3種類の入射光が入射されるような場合は、
(1)入射光を透過するとともに、ゲート電圧が印加される不純物が添加された多結晶シリコン膜7に、例えば、ゲート電圧を1V印加して、そのときに流れる電流を読み取る。
【0057】
(2)次に、前記多結晶シリコン膜7にゲート電圧を2V印加して、そのときに流れる電流を読み取る。
【0058】
(3)次に、前記多結晶シリコン膜7にゲート電圧を5V印加して、そのときに流れる電流値を読み取る。
【0059】
(4)それらの電流値に基づいて、上記した式により、入射光の各波長の強度を計算する。
【0060】
上記したように、本発明の分光センサーによれば、従来までは、光の波長を分解するのにグレーティングなどの機械的な装置が必要であったが、本発明では、拡散層中の電子を捕獲する深さ(位置)を、複数回(例えば、100回)変化させて測定することで、入射してくる光の波長を100の分解能でプロットできる。これから光を波長に分けることが可能になり、グレーティングなどが必要ではなくなる。
【0061】
本発明は、さらに、次のような応用が考えられる。
【0062】
〔実施例1〕カラーフィルタなしカラーイメージセンサー
図13は本発明の応用例を示すカラーフィルタなしカラーイメージセンサーシステムの構成図である。
【0063】
この図において、11は分光センサーアレイと、12は垂直選択器(V.Scanner)、13は雑音除去回路〔カラム(Column)CDS〕、14は水平選択器(H.Scanner)、Vsig1は光信号出力1、Vsig2は光信号出力2、Vsig3は光信号出力3、VbN,VbPは低電流駆動用バイアスである。
【0064】
このように、本発明の分光センサーを、1次元、または2次元に配置し、それらの分光センサーアレイ11を一緒に作り込んだシフトレジスタで切り替えて信号を読み出す。それぞれの切り替え時のノイズを抑えるために、前記信号の出力部に雑音除去回路13も組み込む。例えば、180分の1秒ごとに、電子を捕獲する深さ(位置)を変化させて、そのときの信号を計測する。それらの信号から赤、緑、青の各波長の強度を計算し、カラー画像信号を出力する。
【0065】
〔実施例2〕蛍光センサー
一般にバイオ反応は蛍光反応を利用している。蛍光は一般に短波長の光(励起光)を照射することで、蛍光を起こさせて観察している。一般のイメージセンサーでは蛍光が励起光に隠れてしまうため、励起光を通さず蛍光のみを通すバンドパスフィルタを用いている。そのために装置が大型になってしまう。
【0066】
本発明の分光センサーを用いれば、励起光を除いて蛍光のみを、バンドパスフィルタなしで計測することができる。
【0067】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0068】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0069】
(A)入射光に対応した単一の電子の捕獲部を備えた、簡単な半導体構造を用いた、入射光の測定方法及びそれを用いた分光センサーを提供する。
【0070】
(B)分光センサーの応用として、カラーフィルタなしカラーイメージセンサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す入射光の測定を行う分光センサーの一部断面を示す斜視図である。
【図2】 Vgが-1Vの場合の分光センサーの特性図である。
【図3】 Vgが0Vの場合の分光センサーの特性図である。
【図4】 Vgが1Vの場合の分光センサーの特性図である。
【図5】 Vgが2Vの場合の分光センサーの特性図である。
【図6】 Vgが3Vの場合の分光センサーの特性図である。
【図7】 Vgが4Vの場合の分光センサーの特性図である。
【図8】 Vgが5Vの場合の分光センサーの特性図である。
【図9】 本発明の実施例を示す基板への印加電圧が5VでVgが0Vの場合(図3に対応)のp型拡散層の深さを10μm(Z座標フルスケール)とした場合の分光センサーの特性図である。
【図10】 本発明の実施例を示す基板への印加電圧が10VでVgが0Vの場合のp型拡散層の深さを10μm(Z座標フルスケール)とした場合の分光センサーの特性図である。
【図11】 本発明の単体の分光センサーの平面図である。
【図12】 本発明の分光センサー(4×4)の全体の平面図である。
【図13】 本発明の応用例を示すカラーフィルタなしカラーイメージセンサーシステムの構成図である。
【符号の説明】
1 n型シリコン基板(n型基板)
2 p型拡散層(p型ウェル:p-ウェル)
3 n+ 拡散層
4 シリコン酸化(SiO2 )膜
5 Al電極
6 接地される電極
7 不純物が添加された多結晶シリコン膜(poly-Si)
8 ゲート電極
11 分光センサーアレイ
12 垂直選択器(V.Scanner)
13 雑音除去回路〔カラム(Column)CDS〕
14 水平選択器(H.Scanner)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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