TOP > 国内特許検索 > 構造物部材の表面傷検出方法 > 明細書

明細書 :構造物部材の表面傷検出方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第2963982号 (P2963982)
公開番号 特開平10-239246 (P1998-239246A)
登録日 平成11年8月13日(1999.8.13)
発行日 平成11年10月18日(1999.10.18)
公開日 平成10年9月11日(1998.9.11)
発明の名称または考案の名称 構造物部材の表面傷検出方法
国際特許分類 G01N 21/88      
FI G01N 21/88 J
請求項の数または発明の数 1
全頁数 5
出願番号 特願平09-057043 (P1997-057043)
出願日 平成9年2月25日(1997.2.25)
審査請求日 平成9年2月25日(1997.2.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391027413
【氏名又は名称】郵政省通信総合研究所長
発明者または考案者 【氏名】木村 真一
審査官 【審査官】樋口 宗彦
参考文献・文献 特開 平6-207909(JP,A)
特開 平8-261740(JP,A)
調査した分野 G01N 21/84 - 21/90
特許請求の範囲 【請求項1】
表面傷を検出する対象である対象体に対して光源の方向を固定し、カメラを対象とする面に対し正対させ、対象とする面と平行な面内で移動し複数の画像を取得し、各画像の相互相関計数を計算し、その最大値から画像相互の画素ずれを計算し、各画像それぞれに対しラプラシアンフィルターを施すことで輪郭抽出し、先に計測した各画像の画素ずれを補正し、すべての画像を合成し、高輝度の点を抑制し中程度の点を増強する関数フィルターを施すことにより、高周波ノイズに起因する雑音成分を抑制した対象体の表面画像を取得し、対象平面内に存在している傷の輪郭輝点として現れる対象体の表面画像に基づいて表面傷を検出するようにしたことを特徴とする構造物部材の表面傷検出方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は構造物部材の表面の傷を、対象体を撮像した数枚の画像を画像処理することにより検出する方法に関する。

【0002】

【従来の技術】宇宙ステーション等の大型宇宙構造物の自動点検では、点検を定常的に繰り返すので、事前に傷のない画像を取得しておき、光源の条件が事前に取得した画像と等しくなるよう人工照明で補正しながら画像を取得し、両者の差を取ることで傷の検出を行う方法が考案されている。

【0003】
金属鋼材やフィルム等の均質な部材表面の傷については対象体をカメラの前で移動させその過程で乱反射する光を検出することで傷を検出する方法が一般的に用いられている。

【0004】

【発明が解決しようとする課題】軌道上に存在する宇宙機にランデブーし、その表面の傷などを検出する場合を考える。まずこの場合、特殊な検査機器を用いる方法と画像を用いる方法の2つの方向性が考えられるが、宇宙システムの場合重量に対する制限が非常に厳しく、汎用的な器材であるCCDカメラにより得られる画像を用いる方が、設計上非常に有利である。また、多くの場合、軌道上システムの地上の間の通信回線には制限があるため、精細な画像を大量に取得し地上で解析することは難しく、軌道上での何等かの自動的な検出方法が必要となる。この時、対象体は平坦一様な部材で無く且つ対象体を自在に移動させることは不可能である。また、その対象体について事前に取得された画像も存在しない。そのため、先に説明した従来の画像を用いた傷の検出方法は共に使うことが出来ない。

【0005】
本発明は、宇宙機表面の傷の検出等の状況に代表されるような、対象体表面が平坦で一様な部材ではなく、対象体について事前に取得された画像も存在しないという状況下で、自動的に構造物表面の傷を画像処理により検出する方法を提案する。

【0006】

【課題を解決するための手段】構造物表面に存在する傷は、構造物表面とは異なる反射面を持つため、適切な方向から撮像しラプラシアンフィルター等を施せば、傷の輪郭を輝点として取り出すことができる。しかし、適切な撮像方向は傷によってそれぞれ異なり、また事前に予測することが出来ない。そこで、複数箇所において撮像した結果を画像合成することにより、全ての傷を検出する方法を考える。具体的には、光源の方向を対象体に対して固定し、カメラを対象とする面に対し正対させ、対象とする面と平行な面内で移動し複数の画像を取得し、各画像の相互相関係数を計算し、その最大値から画像相互の画素ずれを計算する。しかる後に各画像それぞれに対しラプラシアンフィルターを施すことで輪郭抽出し、先に計測した画素ずれを補正し、すべての画像を合成する。最後に高輝度の点を抑制し、中程度の点を増強する関数フィルターを施すことにより、高周波ノイズに起因する雑音成分を抑制する。以上の処理により、対象平面内に存在している全ての傷等の輪郭を輝点として得ることができる。以上の処理過程を模式的に図1に示す。

【0007】

【発明の実施の形態】次に、本発明に係わる構造物部材の表面の傷を、対象体を撮像した数枚の画像を画像処理することにより検出する方法の実施形態を詳細に説明する。

【0008】
ここでは、対象体としてはシャーシの底面に図2に示すような人為的にいくつかの傷を施したものを2種類用意した。対象体2では本検査方法の能力について確認するために、縦方向及び横方向に0.05mm、0.1mm、0.15mm及び0.2mm幅の傷と、0.5mm、0.7mm及び1.0mm径の貫通・非貫通穴をそれぞれ用意した。尚傷の大きさの計量については、Peak社製のスケールルーペ(No. 1983)を用いて確認した。撮像システムとしては、これらの対象体から300mm離れた位置にカメラ(SONY社製DCR-VX1000)を配置し、正対位置から上下それぞれ200mm上下させ計10枚の画像をSilicon Graphics Indigo2+Galileo Videoにより取得した。光源としては、100W昼光色電球を用い、図3に示すようにカメラと同じスタンドオフで上下方向・左右方向それぞれ250mm撮像の軸からずらした位置に配置した。また背景光の影響を避けるために、全体を遮光した。

【0009】
対象体1について、カメラを移動させつつ取得した画像シーケンスの内の3枚を図4に示す。図中(1)~(3)は原画像であり、(4)~(6)はラプラシアンフィルターと関数フィルターを通した結果である。(1)と(2)では1-1から1-3までの傷は十分検出できるが、1-4と1-5についてはこの撮像位置からは視認できない。逆に(3)では1-4と1-5は十分検出できるが、1-1は逆に十分なコントラストが得られない。これらの結果からも、多くの視点からの画像を統合することの必要性が確認できる。

【0010】
これらの画像を画像処理システムにより統合した解析結果が図5である。すべての傷が抽出され、且つ各傷の像についてもシャープにコントラスト高く抽出できていることがわかる。

【0011】
対象体2では、傷検出能力について調べるために、縦方向及び横方向の0.05mm、0.1mm、0.15mm及び0.2mmの傷と、0.5mm、0.7mm及び1.0mmの貫通・非貫通穴の計14個の傷を用意した。対象体1と同様に画像シーケンスを図6に、解析結果を図7に示した。解析結果から、貫通穴・非貫通穴はぞれぞれすべて検出できており、傷についても0.1mm以上のものについては全て検出することができた。0.05mmの傷は縦横いずれでも検出されず、この実験条件での検出限界は0.1mm程度であると考えられる。また、0.1mmの横方向の傷のコントラストが、縦方向のそれに比べてやや低く、この条件では縦方向に比べ横方向の傷に対して、検出能力が低いと考えられる。

【0012】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明による構造物部材の表面の傷を、対象体を撮像した数枚の画像を画像処理することにより検出する方法を用いることにより、対象体表面が平坦で一様な部材ではなく、対象体について事前に取得された画像も存在しないという状況下で、傷を自動検出する時に有効である。この方法は、宇宙機の遠隔操作による表面の傷の検出や、深海の構造物の表面傷の検査など、極限環境での表面の傷検査に対して特に有効である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6