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明細書 :アンテナ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3026171号 (P3026171)
公開番号 特開平10-242745 (P1998-242745A)
登録日 平成12年1月28日(2000.1.28)
発行日 平成12年3月27日(2000.3.27)
公開日 平成10年9月11日(1998.9.11)
発明の名称または考案の名称 アンテナ装置
国際特許分類 H01Q 13/08      
FI H01Q 13/08
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願平09-059954 (P1997-059954)
出願日 平成9年2月27日(1997.2.27)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用申請有り 1996年電子情報通信学会ソサエティ大会 B-54
審査請求日 平成9年2月27日(1997.2.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391027413
【氏名又は名称】郵政省通信総合研究所長
発明者または考案者 【氏名】田中 正人
審査官 【審査官】岸田 伸太郎
参考文献・文献 特開 平1-205603(JP,A)
特開 平5-129823(JP,A)
特開 平9-275317(JP,A)
特開 平9-294014(JP,A)
実開 平6-44331(JP,U)
竹内、等「パッチ給電形ショートバックファイアアンテナの特性」(電子情報通信学会春季全国大会(1989年)講演論文集 B-95)
調査した分野 H01Q 13/08
特許請求の範囲 【請求項1】
基板上に形成されたマイクロストリップアンテナ素子の周囲に、導電性部材からなるほゞ円筒状の部材を配設すると共に、円筒状の部材における筒の高さを送受信対象とする信号波の1/3波長付近とし、上記マイクロストリップアンテナ素子のグラウンド板に上記ほゞ円筒状の部材を接地したことを特徴とするアンテナ装置。

【請求項2】
上記基板はハニカム状の素材からなることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。

【請求項3】
上記マイクロストリップアンテナ素子の放射面前方に無給電素子を配設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、高利得で指向性やビーム幅を自在に設計でき、しかもアレー状アンテナの素子に最適なアンテナ装置に関するものである。

【0002】

【従来の技術】従来、マイクロ波やミリ波用のアンテナ装置として、図17に示すホーンアンテナ10及び図18に示すマイクロストリップアンテナが知られている。

【0003】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者のホーンアンテナ10では寸法が大きく、重量があり奥行きが長い。しかもアンテナの入出力端が導波管であり、後段が同軸系の場合は同軸/導波管変換器11が必要であるという問題を有していた。

【0004】
また、後者のマイクロストリップアンテナでは、ビーム幅や利得を変えるには使用する基板1の誘電率や厚さを変える必要があるが、高利得・狭ビーム幅を得るには、基板1の誘電率を低く、厚さを厚くする必要がある。しかし、このような基板の場合、不要な高次モードが励振され、アンテナパターンに非対称性を生じるという問題を有していた。

【0005】
本発明は、上記した問題点を克服し、高利得・狭ビーム幅のアンテナ装置を得ることを目的としている。

【0006】

【課題を解決するための手段】本発明は上記に鑑みて提案されたものであり、基板上に形成されたマイクロストリップアンテナ素子の周囲に、導電性部材からなるほゞ円筒状の部材を配設すると共に、上記マイクロストリップアンテナ素子のグラウンド板に上記ほゞ円筒状の部材を接地したアンテナ装置を提供するものである。

【0007】
本発明は、上記基板がハニカム状の素材からなるアンテナ装置を提供するものである。

【0008】
本発明は、上記マイクロストリップアンテナ素子の放射面前方に無給電素子を配設したアンテナ装置を提供するものである。

【0009】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の具体的な構成を図面に従い説明する。本発明のアンテナ装置は図1に示すように基板1と基板1上に形成されたマイクロストリップパッチ2と基板1の裏面に配設されたグラウンド板3とからなるマイクロストリップアンテナの周りに金属でできたシリンダ(例えば薄い銅板を使用した円筒状のもの)4を取り付けた構造とした。尚、シリンダ4はマイクロストリップアンテナのグラウンド板3に接地されている。

【0010】

【実施例】本発明の第1実施例として比誘電率が2.17、厚さ1.6mmの基板1を使用したマイクロストリップアンテナにシリンダ4を取り付けたシリンダ付きマイクロストリップアンテナを試作した。尚、本アンテナの構造は図1に示すとおりである。

【0011】
試作したアンテナの動作周波数は2.5GHzである。また、偏波は直線偏波である。アンテナへの給電は背面から1点で給電している。マイクロストリップパッチ2の直径は46mmである。シリンダ4は0.3mm厚の銅板で作製した。なお、シリンダ4の直径は116mm(約1波長)とした。

【0012】
図2にシリンダ4の高さを80mmまで変えたときのE面とH面のビーム幅の変化を示す。この図から、シリンダ4の高さが40mm(約3分の1波長)のときにビーム幅が一番狭くなっていることがわかる。更に、40mmより更に高くしてもビーム幅は狭くはならず、むしろ広くなることがわかった。

【0013】
図3にシリンダ4の高さを変えたときの利得の変化を示す。利得についてもシリンダ4の高さが40~50mm(約3分の1波長)のときに利得が一番高くなっていることがわかる。また、40~50mmより更に高くしても利得は高くはならず、むしろ低くなることがわかった。

【0014】
図4にシリンダ4がない場合、シリンダ4の高さが40mmの場合、シリンダ4の高さが70mmの場合のH面のアンテナパターンを示す。

【0015】
図5と図6にシリンダ径を変えたときのビーム幅と利得の変化を示す。図5の縦軸のビーム幅は、各シリンダ径においてシリンダ4の高さを変えてビーム幅が最小となったときのその最小ビーム幅であり、測定面はH面である。

【0016】
また、図6の縦軸の利得は、各シリンダ径においてシリンダ4の高さを変えて利得が最大となったときのその最大利得である。これらの図から、シリンダ径を大きくするとビーム幅が狭くなり、利得が高くなることがわかる。

【0017】
図7にシリンダ径が90mm、120mm、150 mmのときのH面のアンテナパターンを示す。

【0018】
図8にシリンダ付きマイクロストリップアンテナを2素子配列したときの素子間相互結合量S21の測定結果を示す。比較のためにシリンダ4のないマイクロストリップアンテナを用いた場合の相互結合の測定結果も示す。尚、シリンダ付きマイクロストリップアンテナはシリンダの直径を114mm、シリンダ4の高さを45mmとした。また、素子間隔は120mmであり、素子の偏波方向は図8に示すとおりである。更に、シリンダ4のないマイクロストリップアンテナの直径は116mmで素子間隔は120mmである。

【0019】
シリンダ付きマイクロストリップアンテナの素子間相相互結合量S21は-35dB以下であり、シリンダ4のない通常のマイクロストリップアンテナの場合に比べて相互結合は小さいことがわかる。

【0020】
本発明の第2実施例としてシリンダ付きマイクロストリップアンテナの広帯域化を検討する目的で、ハニカム基板1aに形成したマイクロストリップアンテナを用いたシリンダ付きマイクロストリップアンテナを試作した。

【0021】
ハニカム基板1aに形成したマイクロストリップアンテナの偏波を円偏波としており、広帯域化と同時に円偏波マイクロストリップアンテナへの適用性についても検討した。

【0022】
図9に供試アンテナの構造を示す。本実施例のアンテナの動作周波数は2.5GHz、偏波は2点給電による円偏波である。アンテナ部は、マイクロストリップパッチ2の直径が60mmで、比誘電率1.24、厚さ5mmのハニカム基板1aを用いている。尚、シリンダ4は0.2mmの銅板で作製した。

【0023】
シリンダ4の直径は約1波長の114mmとし、かつシリンダ4はマイクロストリップアンテナのグラウンド板3に接地されている。尚、シリンダ4の高さはビーム幅が最小となる45mmとした。

【0024】
図10、11にシリンダ付きハニカム基板マイクロストリップアンテナの利得、軸比の周波数特性の測定値を示す。比較のためにテフロン基板(比誘電率2.17、厚さ1.6mm)1を用いたシリンダ付きマイクロストリップアンテナの測定値も示している。シリンダ付きテフロン基板アンテナのシリンダ径はシリンダ付きハニカム基板アンテナと同じ114mmにしてあり、偏波はシリンダ付きハニカム基板マイクロストリップアンテナと同じで2点給電による円偏波である。尚、シリンダ4の高さはやはりビーム幅が最小で利得が最大となるとなる値(45mm)にしてある。

【0025】
図10の利得は円偏波の利得であり、測定値には2点給電による円偏波発生用ハイブリット回路の損失が含まれている。図10から利得に関してはシリンダ付きハニカム基板マイクロストリップアンテナのほうが広帯域であることがわかる。

【0026】
また、図11から2.4GHzから2.6GHzまでは軸比5dB以下の円偏波となっている。尚、軸比に関してはシリンダ付きテフロン基板アンテナに比べてシリンダ付きハニカム基板マイクロストリップアンテナのほうが劣っていることがわかる。

【0027】
これは、シリンダ4がない場合でも同じような傾向があり、ハニカム基板1aを用いたマイクロストリップアンテナ自体の問題である。すなわち、基板厚が厚いハニカム基板1aでは不要な高次モードが発生して2つの給電ピン間にカップリング(ピン間相互結合)が生じるためである。

【0028】
第3実施例では第2実施例と同様にシリンダ付きマイクロストリップアンテナの広帯域化と円偏波マイクロストリップアンテナへの適用性を検討する目的で、無給電素子8を装荷したマイクロストリップアンテナを用いたシリンダ付きマイクロストリップアンテナを試作した。

【0029】
図12に供試アンテナの構造を示す。アンテナの動作周波数は2.5GHz、偏波は2点給電による円偏波である。アンテナ部は、マイクロストリップパッチ2の直径が46mmで、比誘電率2.17、厚さ1.6mmの基板1を用いている。

【0030】
無給電素子8は、マイクロストリップパッチ2から10mm離して配置されている。無給電素子の直径は48.3mmで、比誘電率3.5、厚さ0.1mmの基板9を用いている。また、シリンダ4は0.2mmの銅板で作製した。シリンダ4の直径は約1波長の114mmとした。尚、シリンダ4はマイクロストリップアンテナのグラウンド板3に接地されている。そして、シリンダ4の高さはビーム幅が最小となる45mmとした。

【0031】
図13、14にシリンダ付き無給電素子装荷アンテナの利得、軸比の周波数特性の測定値を示す。比較のために無給電素子8を装荷していないシリンダ付きアンテナの測定値も示している。図13の利得は円偏波の利得であり、測定値には2点給電による円偏波発生用のハイブリット回路の損失が含まれている。これらの図から、シリンダ付き無給電素子装荷マイクロストリップアンテナが広帯域であることがわかる。

【0032】
次に、相互結合についての測定値を図15に示す。測定は7個のシリンダ付きマイクロストリップアンテナ素子を図15に示すように配列し、そのうちの1番目素子と6番目素子について2つの給電点のうちの上側にある給電点に関して素子間相互結合量S21を測定することにより行った。このとき、円偏波用ハイブリッドは外した状態であり、各給電点は直線偏波を発生するようになっている。

【0033】
また、1番目素子と6番目素子の測定用の給電点以外の給電点は全て50Ωで終端されている。更に1番目素子と6番目素子以外の素子の各給電点も全て50Ωで終端されている。比較のためにシリンダ4のない無給電素子装荷アンテナの測定値も示している。この図から、シリンダ4がある場合の方が相互結合が小さく、素子間相互結合量S21が-35dB以下となった。

【0034】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り、どのようにでも実施できる。

【0035】

【発明の効果】以上に示したように本発明に係るアンテナ装置にあっては、シリンダの高さや直径を変えて、ビーム幅を変化させることが可能であることから、反射鏡アンテナの1次放射器として利用できる。

【0036】
特に本発明のアンテナ装置は小型軽量、機械的に安定、円偏波化が容易であることから衛星搭載反射鏡アンテナの1次放射器に利用できる。また、本発明のアンテナ装置は10dB程度の利得があり、衛星通信用移動体局側のアンテナとして利用できる。更に、本発明のアンテナ装置はアレーにしたときの相互結合が小さいことからアレーアンテナの素子として利用できる等、多大な効果を奏する。
図面
【図8】
0
【図9】
1
【図16】
2
【図1】
3
【図2】
4
【図3】
5
【図4】
6
【図5】
7
【図6】
8
【図7】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図17】
12
【図10】
13
【図13】
14
【図14】
15
【図15】
16