TOP > 国内特許検索 > アルカリ土類珪酸塩によるCO2の固定化方法 > 明細書

明細書 :アルカリ土類珪酸塩によるCO2の固定化方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3094093号 (P3094093)
公開番号 特開平10-249153 (P1998-249153A)
登録日 平成12年8月4日(2000.8.4)
発行日 平成12年10月3日(2000.10.3)
公開日 平成10年9月22日(1998.9.22)
発明の名称または考案の名称 アルカリ土類珪酸塩によるCO2の固定化方法
国際特許分類 B01D 53/62      
B01J 20/10      
C01B 33/18      
FI B01D 53/34 135Z
B01J 20/10
C01B 33/18
請求項の数または発明の数 7
全頁数 5
出願番号 特願平09-074568 (P1997-074568)
出願日 平成9年3月11日(1997.3.11)
審査請求日 平成9年3月11日(1997.3.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591030983
【氏名又は名称】科学技術庁無機材質研究所長
発明者または考案者 【氏名】池上 隆康
【氏名】守吉 佑介
審査官 【審査官】小川 慶子
参考文献・文献 特開 昭51-129425(JP,A)
特開 平3-72914(JP,A)
調査した分野 B01D 53/62
B01J 20/10
C01B 33/18
特許請求の範囲 【請求項1】
珪酸カルシウムおよび珪酸マグネシウムのうちの少なくとも1種を含む粉末を水に懸濁させ、懸濁水にCO2 またはCO2 含有ガスを吹き込みCO2 水に溶解し流動状態で反応させ、珪酸カルシウムのカルシウムおよび/または珪酸マグネシウムのマグネシウムを徐々に溶解し、珪石分を珪酸の水和物(SiO2 ・n2 O)として水中に分散させることを特徴とするアルカリ土類珪酸塩によるCO2 の固定化方法。

【請求項2】
粉末の粒度が50メッシュ以下である請求項1記載のアルカリ土類珪酸塩によるCO2 の固定化方法。

【請求項3】
粉末が少なくとも沈降しない程度に強く液体を流動させる請求項1記載のアルカリ土類珪酸塩によるCO2 の固定化方法。

【請求項4】
珪酸カルシウムもしくは珪酸マグネシウム含有物を予備加熱処理する請求項1記載のアルカリ土類珪酸塩によるCO2 の固定化方法。

【請求項5】
懸濁の温度を30℃以上にする請求項1記載のアルカリ土類珪酸塩によるCO2 の固定化方法。

【請求項6】
懸濁水に、酸性あるいはアルカリ性を発現する化学物質を加えて、CO2 またはCO2 含有ガスを吹き込む請求項1記載のアルカリ土類珪酸塩によるC2 の固定化方法。

【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一に記載のアルカリ土類珪酸塩によるCO2 の固定化方法を用いてCO2 を固定化した際に生じる水中に分散した(SiO2 ・nH2 O)からなるコロイド状の沈殿物から、水分を除去して微細な球状のシリカ(SiO2 )を製造取得することを特徴とする微細球状シリカの製造方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【01】

【発明の属する技術分野】この発明は、アルカリ土類珪酸塩によるCO2 の固定化方法に関するものである。さらに詳しくは、地球温暖化の要因の一つであるCO2 の固定、さらには微細な球状シリカの製造にも有用なアルカリ土類珪酸塩によるCO2 の固定化方法に関するものである。

【02】

【従来の技術とその課題】近年、CO2 は地球温暖化の要因の一つであると考えられるようになってきており、大気中のCO2 の除去、固定化は人類が環境問題として取り組むべき最大の課題となっている。現在候補にあげられている有力なCO2 の固定化方法としては、CO2 とH2を反応させてメタノール等の有機物を合成する方法、人工的な光合成にCO2 を用いる方法、CO2 の濃度を上げて深海に吹き込み液化して投棄する方法、枯渇した油田やガス田等の地中にCO2 を圧入し貯蔵する方法等が考えられている。

【03】
しかしながら、これらのいずれの方法も処理コストが高く、経済的に負担が大きくなること、及び深海投棄ではCO2 が環境に与える影響が危惧されているため、実用化に問題を残している。また、技術的に容易な方法として炭酸塩として固定化する方法も検討されている。この方法の一つとして、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物に吸収させる方法がある。しかしながら、そのような水酸化物を合成するには多量のエネルギーが必要で、そのエネルギーを得るために逆にCO2 を発生させる欠点があった。さらに他の方法として、カルシウムやマグネシウムを成分とする珪酸塩鉱物にユーリー(Urey)の反応を利用して吸収させる方法が候補としてあげられている。これらの反応式を以下に示す。

【04】

【化1】
JP0003094093B2_000002t.gif
【0005】
【化2】
JP0003094093B2_000003t.gif
しかしながら、この反応は地球科学的研究から提案されたものであり、岩石の生成反応は数百年のオーダーで進むので、その実用化には技術的なブレイクスルーが必要と考えられてきた。ただ、上記の反応によるCO2 の固定は、別の観点からも注目される。それと言うのも、反応によって、シリカ(SiO2 )が生成するからである。

【06】
シリカは、従来から使用されているセラミックス原料としてのみでなく、近年になり化学的耐久性、耐熱性、低熱膨張性、圧電性、光学的性質などに注目され、新しい材料として用いられるようになってきている。このようなシリカについては、たとえば従来より、微細なシリカの製造法として、ケイ砂と炭酸ナトリウムとを1200~1300℃で溶解し珪酸ナトリウムを作り、この珪酸ナトリウムを硫酸塩等の鉱酸を加える方法や、珪酸ナトリウムにアルカリ土類金属塩を加えた後に鉱酸を加える方法、珪酸ナトリウムと鉱酸の反応生成ゲルに有機溶剤を加えてオルガノゲルを作った後に熱分解する方法、酸性白土に鉱酸を加えて製造する方法等が工業的に採用されている。また、最近では高純度品を製造する方法として、四塩化珪素に水素と酸素の存在下で熱分解する方法、金属アルコキシドを熱分解する方法などが発案されている。

【07】
しかしながら、これらの従来の製造方法では、工程数が極めて多く、それだけコストが高くなるという欠点があった。また、これらの方法で製造したシリカは、微粒子が複雑に凝集した二次粒子を形成していて、捏和性、分散性に劣る欠点があった。そこで、この発明では、以上のとおりの従来技術の限界や欠点を解消し、地球温暖化の要因の一つであると考えられるCO2 を固定化することを可能とすると共に、有用な産業資源としてのシリカを、安価にかつ大量に微細球状シリカとして製造することのできる新しい方法を提供することを目的としている。

【08】
この発明は、上記の課題を解決するものとして、珪酸カルシウムおよび珪酸マグネシウムのうちの少なくとも1種を含む粉末を水に懸濁させ、懸濁水にCO2またはCO2 含有ガスを吹き込みCO2 を水に溶解流動状態で反応させ、珪酸カルシウムのカルシウムおよび/または珪酸マグネシウムのマグネシウムを徐々に溶解し、珪石分を珪酸の水和物(SiO2 ・nH2 O)として水中に分散させることを特徴とするアルカリ土類珪酸塩によるCO2 の固定化方法を提供する。

【09】
さらに、この発明は、上記のアルカリ土類珪酸塩によるCO2 の固定化にともなって、微細な球状のシリカを製造する方法をも提供する。

【10】

【発明の実施の形態】この発明によって固定化の対象となるCO2 については、特にその由来や供給源に制限はなく、工業生産や化石燃料の消費に伴って排出されるCO2 ないしCO2 含有ガスも対象となる。この発明において規定するところの珪酸カルシウムは、酸化カルシウムと二酸化珪素(シリカ)が結合した組成の化合物の総称で、その割合は種々である。また、酸化カルシウムと二酸化珪素を主成分として水酸基等の他の化学種が結合した化学物質であっても、この発明の特徴を発現する化学物質であれば、特に制限はない。天然には珪灰石(CaSiO3 )と珪酸二カルシウム(CaSiO4 )が発見されている。工業的に利用されているのは殆ど珪灰石であり、陶磁器原料、タイル素地、電気磁器、溶接棒の溶剤等に使用されている。しかしながら、資源としての利用率はまだ低く、用途開発が望まれている。また天然鉱物以外は、セメントや鉄鋼鉱蓮、軽量気泡コンクリート中に含まれる珪酸二カルシウム、珪酸三カルシウム、トバモライトなどを用いることができる。

【11】
また、この発明において規定するところの珪酸マグネシウムとは、酸化マグネシウムと二酸化珪素が結合した組成の化合物の総称で、その割合は種々である。また、酸化マグネシウムと二酸化珪素を主成分として水酸基等の他の化学種が結合した化学物質であっても、この発明の特徴を発現する化学物質であれば、特に制限はない。天然にはかんらん石、蛇紋石、滑石、緑泥石、石綿(アスベスト)、海緑石として豊富に産する。工業的には石綿が広く使用されているものの、近年になって石綿の発癌性が問題となって、使用が控えられているばかりでなく、過去に使用した石綿廃棄物の無害化処理が問題となっている。この発明では、石綿を含んだ建設廃材への適用も可能である。この発明においては、これら珪酸カルシウム又は珪酸マグネシウムのいずれかの一方、あるいは両方の混合物、あるいは固溶体を含有する物質を用いることができる。

【12】
さらに、この発明においては、これらの珪酸カルシウム及び珪酸マグネシウムの少なくとも1種を含む物質の粉末の粒度は、CO2 との反応速度を速めるために、できるだけ微粉にして、表面積を大きくしたほうが良く、50メッシュ以下であることが好ましい。もちろん、細かいほど好ましいが、粒度を細かくするほど粉砕に要するエネルギーは急激に多くなるので、実用的には粉砕に要するエネルギーを勘案して決める必要がある。また、懸濁液を流動状態にすることで反応速度を非常に促進できる。流動速度は速いほど好ましく、少なくとも粉末が沈降しない程度に強く液体を流動させることが望ましい。さらに、必要に応じて珪酸カルシウム又は珪酸マグネシウム含有物を予備加熱処理することによっても反応を促進することができる。

【13】
そして、この発明においては、懸濁水には、酸性あるいはアルカリ性を発現する化学物質を添加した後にCO2 またはCO2 含有ガスを吹き込むことがその態様の一つとして示される。その際に、懸濁水で酸性を発現する化学物質には、塩酸、硝酸、硫酸などの鉱酸、さらには有機酸等に代表される酸がある。これらの物質は、水溶液中のカルシウムイオンあるいはマグネシウムイオンの溶解量を増大させる。一般に、イオン濃度が大きいほどイオン同志の衝突の確率は大きくなり、反応速度は速くなる。この原理によって、酸性を発現する化学物質は、珪酸カルシウムまたは珪酸マグネシウムを含む物質とCO2 との反応を促進する。このため、上記の作用がある化学物質であればその種類に特に制限はない。また、その濃度は水への飽和溶液の濃度を上限とする。下限は特に制限はないが、濃度が低いと反応速度が遅くなるので、0.1%以上が好ましい。珪酸マグネシウムを含む系では反応速度が遅いので、0.5%以上が好ましい。排ガスには一般にCO2 ばかりでなく、亜硫酸ガス、塩素ガス、窒素酸化物などが混在している。それらは、水に溶解すると酸性を発現するので好ましく作用する。さらに、そのようなガスを珪酸カルシウムまたは珪酸マグネシウムを含む物質が分散した水に吹き込む場合には、酸性を発現する化学物質を特に加えなくてもよい。

【14】
懸濁水においてアルカリ性を発現する化学物質には、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が代表的なものとして例示される。アンモニアも塩基性を発現する化学物質であるが、高温では水溶液から揮発して消失するので好ましくない。これらの物質は、水溶液中のシリカの溶解度を増大し、珪酸カルシウムまたは珪酸マグネシウムを含む物質とCO2 との反応を促進するために用いる。その濃度は水への飽和溶液の濃度を上限とする。下限は特に制限はないが、濃度が低いと反応速度が遅くなるので、0.1%以上が好ましい。

【15】
この発明における珪酸カルシウムないし珪酸マグネシウムの少なくとも一種を含む物質とCO2 の反応は、前記のとおりのユーリー(Urey)の反応に従うものである。この反応は、粉末を微細化したり、酸性あるいはアルカリ性を発現する化学物質を反応系に加えることで室温付近でも十分に進む。しかしながら、反応速度は温度が高くなるほど速いので、懸濁液の温度は好ましくは30℃以上である。通常工場から排出されるCO2 含有の排ガスは100~200℃であるので、そのような排ガスを利用する場合は懸濁液を特に温める必要はない。一方、高温の排ガスを連続的に吹き込むと、懸濁液の蒸発を伴うので適宜水を補給するか、冷却システムで液化還流させることが望ましい。

【16】
以下、実施例を示し、この例に沿って、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この出願の説明は、以下の実施例に限定されるものではない。

【17】

【実施例】
実施例1
100メッシュ以下の粒度に粉砕したウァラストナイト(CaSiO3 、珪灰石)10.0gを秤量し三角フラスコに入れ、蒸留水200mlを加えて懸濁させ、80℃の恒温槽に設置し、80℃に加温したCO2 を1分間に165mlの速度で160分間吹き込み反応させた。反応終了後、懸濁液を濾過し、濾別したコロイド状の沈殿物から水を乾燥除去しシリカを得た。得られたシリカを電子顕微鏡で観察した。

【18】
添付した図面の図1は、この発明によって生成したシリカ(粒径0.1~0.5μm)の顕微鏡写真である。図1に示したように、直径が0.1~0.5μmのほぼ真球の微細粒子であった。また、濾液の水分を110℃の乾燥器中で十分に蒸発させることにより残った固形物に対して粉末X線回折法による組成分析を行った。その結果、回折ピークの位置は炭酸カルシウムの回折線の位置と一致した。また、固形物の重量測定結果から、出発物質中のカルシウムは全て炭酸カルシウムとして回収できた。
実施例2
100メッシュ以下の粒度に粉砕したウァラストナイト10.0gを秤量し三角フラスコに入れ蒸留水200mlを加えて懸濁させ、石灰焼成炉の排ガス(CO2 濃度11.5%、温度160℃)を1分間に200mlの速度で300分間吹き込み反応させた。反応途中、随時水を補給しながら反応を行い、反応終了後、懸濁液を濾過し、濾別したコロイド状の沈殿物から水を乾燥除去してシリカを得た。得られたシリカを電子顕微鏡観察と粉末X線回折法による組成分析を行ったところ、直径が0.1~0.5μmの微細球状シリカ粒子の生成と未反応のウァラストナイトが確認された。
比較例1
100メッシュ以下の粒度に粉砕したウァラストナイト10.0gを秤量し三角フラスコに入れ蒸留水200mlを加えて懸濁させ、0.1規定の塩酸100mlを添加し70℃で1時間反応させた。反応終了後、懸濁液を濾過し、濾別したコロイド状の沈殿物から水を乾燥除去しシリカを得た。得られたシリカを電子顕微鏡で観察したところ、シリカは複雑な形状をした不定形であった。
実施例3
100メッシュ以下の粒度に粉砕したセピオライト(Mg5 Si8 15・6H2 O)10.0gを秤量し三角フラスコに入れ蒸留水200mlを加えて懸濁させ、80℃の恒温槽に設置し、80℃に加温したCO2 を1分間に165mlの速度で160分間吹き込み反応させた。反応終了後、粒径保持能が10μmの濾紙を用いて懸濁液を濾過する。濾紙に残った沈殿物を粉末X線回折法により組成を調べたところ、MgCO3 ・5H2 Oであった。また、濾紙を通過したコロイド状の沈殿を粒径保持能力が0.1μmの濾紙で再び濾過し、濾紙に残った沈殿物に含まれる水を乾燥除去して得られたシリカを電子顕微鏡で観察した。

【19】
添付した図面の図2は、この発明によって生成したシリカの顕微鏡写真である。図2に示したように、得られたシリカは直径が0.05~0.3μmのほぼ真球の微細粒子であった。
実施例4
100メッシュ以下の粒度に粉砕したセピオライト100.0gを秤量しガス洗浄瓶に入れ、蒸留水2000mlと1規定の塩酸10mlを加えて懸濁させた、80℃の恒温槽に設置し、80℃に加温したCO2 を1分間に165mlの速度で160分間吹き込み反応させた。反応終了後、実施例3の方法でMgCO3・5H2 Oと珪酸の水和物にそれぞれ濾別した。後者の珪酸の水和物に含まれる水を乾燥除去してシリカを得た。当該シリカを電子顕微鏡で観察したところ、直径が0.1~0.8μmの微細球状粒子であった。

【20】
実施例3と同じ反応温度、反応時間であったにも関わらず、多量のセピオライトを分解できた。
実施例5
100メッシュ以下の粒度に粉砕したセピオライト100.0gを秤量しガス洗浄瓶に入れ、蒸留水2000mlと1規定の水酸化ナトリウム20mlを加えて懸濁させ、80℃の恒温槽に設置し、80℃に加温したCO2 を1分間に165mlの速度で160分間吹き込み反応させた。反応終了後、実施例3の方法でMgCO3 ・5H2 Oと珪酸の水和物にそれぞれ濾別した。後者の珪酸の水和物に含まれる水を乾燥除去してシリカを得た。得られたシリカを電子顕微鏡で観察したところ、直径が0.2~1.0μmの微細球状粒子であった。

【21】
実施例3と同じ反応温度、反応時間であったにも関わらず、多量のセピオライトを分解できた。
実施例6
100メッシュ以下にボールミルで粉砕したアスベスト10gを秤量し、ガス洗浄瓶に入れ、蒸留水200mlを加えて懸濁させる。それを70℃の恒温水槽に設置し、70℃に制御した1%SO2 含有のCO2 を1分間に100mlの速度で30分間吹き込み反応させた後、実施例3の方法でMgCO3 ・H2 Oと珪酸の水和物にそれぞれ瀘別した。後者の珪酸の水和物に含まれる水を乾燥除去したところ、0.1~1.0μmの球状シリカが得られた。

【22】
以上のように、この発明の方法で球状シリカが製造できるのは、CO2 を吹き込み懸濁液を流動状態にしてCO2 と珪酸カルシウムおよび珪酸マグネシウムの中の少なくとも一種を含む物質と反応させたことによる。これは、CO2 が水に溶解すると弱酸性を発現する性質を効果的に利用したことによる。すなわち、CO2 は水に溶解し珪酸カルシウムまたは珪酸マグネシウムを含む物質に穏和に作用する。その結果、カルシウムまたはマグネシウムを徐々に溶解し、珪石分は主に珪酸の水和物(SiO2 ・nH2 O)となって水中に分散する。反応は流動状態で進むので、分散した微細な非晶質の珪酸の水和物は互いにランダムな方向から衝突して合体する。この衝突はどの方向でも等しい割合で起こるので、分散粒子は球状に成長する。水の毛細管力から分かるように、凸面には表面張力の作用でその面の曲率半径に反比例する圧縮力が発生する。すでに成長した球状粒子に衝突し付着した新たに生成した微細珪酸の水和物は、球状粒子の表面に曲率半径の極めて小さい凸面を発生させる。この凸面には、非常に大きな圧縮力が働く。この力を解放させるように該凸面部の物質は周囲の曲率半径が大きい所へ移動し、該凸面の曲率半径は付着した球状粒子の曲率半径まで大きくなり表面は滑らかになる。

【23】

【発明の効果】以上詳しく説明したように、この発明によって、地球上に豊富に存在する珪酸カルシウム及び珪酸マグネシウムの少なくとも1種を含む物質(単体、混合物あるいは固溶体)から、地球温暖化の原因となっているCO2 を効率良く固定化すると同時に、安価に大量の微細球状シリカを得ることができる。

【24】
さらにまた、この発明は、アスベスト(クリソタイル、Mg3 Si2 5 (OH)4 )の無害化処理にも応用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1