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明細書 :チゼルプラウ・施肥・播種装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第2896506号 (P2896506)
公開番号 特開平10-286003 (P1998-286003A)
登録日 平成11年3月12日(1999.3.12)
発行日 平成11年5月31日(1999.5.31)
公開日 平成10年10月27日(1998.10.27)
発明の名称または考案の名称 チゼルプラウ・施肥・播種装置
国際特許分類 A01B 49/06      
A01C  7/20      
FI A01B 49/06
A01C 7/20
請求項の数または発明の数 1
全頁数 4
出願番号 特願平09-097629 (P1997-097629)
出願日 平成9年4月15日(1997.4.15)
審査請求日 平成9年4月16日(1997.4.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591075364
【氏名又は名称】農林水産省北海道農業試験場長
発明者または考案者 【氏名】平岡 博幸
【氏名】大下 泰生
【氏名】湯川 智行
【氏名】栗崎 弘利
【氏名】渡辺 治郎
【氏名】菅野 輝雄
【氏名】竹下 定男
個別代理人の代理人 、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 信淳
審査官 【審査官】西田 秀彦
参考文献・文献 特開 平5-276804(JP,A)
特公 昭40-4011(JP,B1)
調査した分野 A01B 49/00 - 49/06
A01C 7/20
特許請求の範囲 【請求項1】
所定幅にわたって圃場に施肥する施肥機構と、所定幅にわたって圃場に播種する播種機構とを前後に有する施肥・播種装置において、
上記施肥機構及び播種機構のそれぞれ下方前側に圃場を耕うんする多数のチゼル爪を配設し、これらチゼル爪の後方に上記播種機構から繰り出される種子を分散して圃場に散播する種子分散板を設け、この種子分散板の後方に上記チゼル爪により耕うんされた土壌表面を砕土すると共に、種子と土壌を混和し覆土する砕土・覆土ローラを設けたことを特徴とするチゼルプラウ・施肥・播種装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【01】

【発明の属する技術分野】本発明は、春の融雪期や、初冬の根雪前における湿潤で凍結した土壌条件で高能率に耕うんしながら施肥し、播種すると共に砕土・覆土を一工程で行うチゼルプラウ・施肥・播種装置に関するものである。

【02】

【従来の技術】従来、春播き小麦は春季の融雪後に圃場を耕うんして播種していた。しかし、融雪期は圃場が湿潤で乾燥しづらく、積雪量や融雪期の天候によっては播種が大幅に遅れることが頻繁にある。そのため、小麦が登熟不良になりやすく収量や品質が極めて不安定であり、春播き小麦は作付面積が低水準にとどまっている。そこで、播種を前年の根雪前に行うことにより栽培期間を長くし、登熟を促進して収量と品質の向上を目的とした根雪前播種方法が案出された。

【03】

【発明が解決しようとする課題】しかし、根雪前においては圃場が湿潤であり、従来のロータリ耕うん作業機で耕うん・砕土作業を行おうとしても、湿潤土壌が耕うん・砕土爪に付着して土壌を練ってしまうため、耕うん・砕土作業が困難で、また作業速度も遅く、実用的な播種方法ではなかった。

【04】
そこで本発明は、湿潤な土壌条件でも小麦の播種に適した耕うん・砕土性(土塊径2cm以下の小径土壌の重量割合が50%以上)と覆土(数cm以下)を行うことができるチゼルプラウ・施肥・播種装置を提供することを目的とする。

【05】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、所定幅にわたって圃場に施肥する施肥機構と、所定幅にわたって圃場に播種する播種機構とを前後に有する施肥・播種装置において、上記施肥機構及び播種機構のそれぞれ下方前側に圃場を耕うんする多数のチゼル爪を配設し、これらチゼル爪の後方に上記播種機構から繰り出される種子を分散して圃場に散播する種子分散板を設け、この種子分散板の後方に上記チゼル爪により耕うんされた土壌表面を砕土すると共に、種子と土壌を混和し覆土する砕土・覆土ローラを設けたことを特徴としている。

【06】

【作用】上記の構成により本発明のチゼルプラウ・施肥・播種装置は、施肥機構及び播種機構の前側に配置された多数のチゼル爪により圃場を簡易耕起し、施肥機構により肥料を所定量繰り出し地表面に散布・施用し、施肥機構後方の播種機構により種子を所定量繰り出して種子分散板により均-に分散して地表面に散播し、播種機構の後方に配置された砕土・覆土ローラにより表層の土塊を砕土すると共に、砕かれた土と種子を混和して覆土する一連の作業を、一行程で、しかも高速で行う。

【07】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。

【08】
図1において、符号1は農用トラクタで、このトラクタ1の後部に図示しない3点リンクヒッチを介して本発明に係るチゼルプラウ・施肥・播種装置2を連結している。このチゼルプラウ・施肥・播種装置2は、図2に詳細に示すように、前部に上記トラクタ1の3点リンクヒッチに連結されるロアリンクヒッチピン3及びトップマスト4を有する本体フレーム5に、耕うん部6、施肥部7、播種部8、砕土・覆土部9等を装着している。

【09】
上記耕うん部6は、施肥部7及び播種部8の下方前側に、左右方向に4本の施肥用チゼル爪10及び5本の播種用チゼル爪11を前後に設けている。これらチゼル爪10及び11は、前後方向には重ならず、左右方向に適当な間隔(この実施例では25cm)を有して配置され、卜ラクタ1により牽引されることによりチゼル爪10及び11が土壌を引っかくようにして深さ約20cmまで耕うんするようになっている。

【10】
上記施肥部7は、肥料ホッパ12、肥料繰出ローラ部13、肥料導管14などを備え、肥料繰出ローラ部13に、接地駆動輪15からの回転動力をチェン伝動系16を介して受け、肥料ホッパ12に収容された粉状または粒状肥料を一定量ずつ繰り出して肥料導管14より排出し、上記施肥用チゼル爪10及び播種用チゼル爪11により耕うんされた土壌表面に散布する。

【11】
上記播種部8は、種子ホッパ17、種子繰出ローラ部18、種子導管19、種子分散板20などを備え、種子繰出ローラ部18に上記肥料繰出ローラ部13からチェン伝動系21を介して動力を受け、種子ホッパ17に収容された種子(小麦)を一定量ずつ繰り出して種子導管19より種子分散板20上に落下させる。種子分散板20は平面板体の上面に多数の釘20aがランダムに打たれたものであり、種子は釘20aに当たることにより適度に分散され、上記播種用チゼル爪11により耕うんされた土壌表面に均-に落下する。また、種子分散板20を取り外すことにより条播種も可能である。

【12】
上記砕土・覆土部9は、本体フレーム5の後端部に、先端部が上下回動可能に支持された左右一対の支持アーム22の後端部に、かご型の砕土・覆土用ローラ23を軸支したものである。また、この砕土・覆土用ローラ23の上側の支持アーム22,22間に重錘24が設けられており、砕土・覆土用ローラ23に荷重を負荷している。そして、機体の進行により砕土・覆土用ローラ23が転動し、大きな土塊は砕土され、砕かれた土壌は小麦種子と混和して適度な覆土となり、その覆土深さはほぼ1~2cmとなる。なお、土壌の種類や水分に応じて重錘24の重量を増減させての荷重を調整し、砕土・覆土用ローラ23の砕土性を適正に維持することが可能である。

【13】
このような構成のチゼルプラウ・施肥・播種装置2においては、農用トラクタ1に装着されて、根雪前の圃場に導入されて作業を行う。トラクタ1により牽引されてチゼルプラウ・施肥・播種装置2が移動すると、施肥用チゼル爪10及び播種用チゼル爪11によって圃場が簡易耕起され、その上に施肥部7及び播種部8により施肥・播種が行われる。播種部8の種子導管19から繰り出された種子は、種子分散板20により均-に分散して地表面に散播し、砕土・覆土ローラ23により表層の土塊を砕土すると共に、砕かれた土と種子を混和して覆土する。

【14】
表1は本発明によるチゼルプラウ・施肥・播種装置2の試作機の砕土性を市販のチゼルプラウ及びロータリ耕うん作業機と比較したものである。
【表1】
JP0002896506B2_000002t.gif【0015】1)市販のチゼルプラウは土壌を大きく掘り起こすため耕起した土塊が大きく、小麦の播種床の評価指標となる砕土率(土塊径2cm以下の小径土壌の重量割合、小麦では50%以上が望ましい)は41.2%と低かった。
2)ロータリ耕うん作業機では2cm以下の小土塊の分布割合は54.3%であった。ただし、ロータリ耕うん作業機は湿潤な土壌では土壌を練るため、土壌が塑性化して団子状になり、作業を継続すると土壌が機体に付着して走行困難となった。

【16】
3)試作機はチゼル爪10,11で土壌を引っかいて耕起した後、砕土・覆土ローラ23により大きい土塊を破砕するため砕土率は57.8%となり、ロータリ耕うん作業機よりも砕土性は良好となった。
4)試作機は作業速度が約0.84m/sと、ロータリ耕うん作業機の作業速度0.42m/sに比べて2倍以上であり、高速作業が可能である。さらに、本試作機で耕うんした土壌の孔隙率は、ロータリ耕うん作業機を使用した場台に比べて高く、通気性や排水性も良好と判断される。

【17】
図3は、各作業機の土壌含水比に対する砕土率の関係を示したものである。含水比40~70%dbの範囲内において、
1)市販のチゼルプラウはロータリ耕うん作業機と比べて砕土率が低く、砕土性が劣っている。
2)試作機は、調査点数が少ないものの、砕土・覆土ローラ23の効果によりロータリ耕うん作業機並の砕土性があると推察される。従って、本試作機を使用することにより、根雪前の湿潤な土壌条件においても能率良く作業を行うことが可能と判断される。

【18】
本試作機の特徴は、チゼル爪10,11により圃場を荒く耕うんして表面に均一に小麦等を散播しておき、重錘24により荷重を負荷したかご型の砕土・覆土ローラ23により大きい土塊を砕きこの土により小麦等を覆土するところにある。この方式により高速で作業を行っても適度な砕土と覆土が可能で、小麦等に適した播種床を形成することができる。

【19】
また、チゼル爪10,11による耕うん方式はロータリ耕うん方式に比べて播種床の空隙率が高くなり、排水が良好となるため、積雪期および融雪期に小麦等が湿害を受けにくくなる。さらに、本試作機は1回の作業により、耕うん・施肥・播種・砕土・覆土を同時に行うため、高能率的であり、初冬の根雪前や春の融雪期のような天候が不安定で作業適期が限られた時期に迅速に作業を行うことができる。

【20】

【発明の効果】以上説明したように本発明のチゼルプラウ・施肥・播種装置によれば、上記の構成によって根雪前のような湿潤な土壌条件においても高能率に耕うん・施肥・播種作業を行うことができる。これまで、春播き小麦の根雪前播種方法は、慣行の春播種方法に比べて収量や品質が向上することが明らかになっていたにもかかわらず、従来のロータリ耕うん作業機を使用した作業方法では湿潤な土壌に対する適応性が低く、根雪前播種方法を普及させることができなかったのに対し、本発明の装置を用いた春播小麦の根雪前播種方法においては、これまでの諸問題を解決し、実用的な作業方法として確立されたことにより、一般農家へ普及させることが容易になった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2