TOP > 国内特許検索 > 超音波による回転体の間隙計測方法及び装置 > 明細書

明細書 :超音波による回転体の間隙計測方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第2905871号 (P2905871)
公開番号 特開平10-185538 (P1998-185538A)
登録日 平成11年4月2日(1999.4.2)
発行日 平成11年6月14日(1999.6.14)
公開日 平成10年7月14日(1998.7.14)
発明の名称または考案の名称 超音波による回転体の間隙計測方法及び装置
国際特許分類 G01B 17/00      
FI G01B 17/00 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 4
出願番号 特願平08-355809 (P1996-355809)
出願日 平成8年12月25日(1996.12.25)
審査請求日 平成8年12月25日(1996.12.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】田頭 剛
【氏名】杉山 七契
個別代理人の代理人 、【弁理士】、【氏名又は名称】大城 重信 (外1名)
審査官 【審査官】白石 光男
参考文献・文献 特開 昭61-138108(JP,A)
特開 昭50-57470(JP,A)
実開 平2-113111(JP,U)
調査した分野 G01B 17/00
G01N 29/00
特許請求の範囲 【請求項1】
回転体との間隙を超音波の送受信により到達時間間隔として測定する方法であって、温度によって変化する音速を算出すると共に、間隔が無限大のときの超音波センサの計測データを励起共振波の減衰波形特性として演算装置内に記憶しておき、前記超音波センサの出力信号より前記減衰波形特性を減算することにより、前記超音波センサの出力中に重畳される励起共振波の影響を除去して正確な反射波形を得て、該反射波形から反射波の伝播時間を得、該伝播時間と上記算出された音速から間隙寸法を算出することを特徴とする回転体の間隙を計測する方法。

【請求項2】
回転体の半径方向、あるいは軸方向の間隙において、間隙方向に取り付けられ、トリガパルスに基づいて超音波パルスを発生するとともに反射波を受信する超音波センサと、該超音波センサの出力信号から超音波センサを励起した際の共振波の影響を除去する手段と、上記間隙部の温度を検出するセンサと、該検出温度より間隙部における音速を算出する手段と、前記超音波パルスの送受信の時間間隔と算出された前記音速とから、前記間隙寸法を算出する演算装置とを備えたことを特徴とする回転体の間隙計測装置。

【請求項3】
回転体の一部に基準位置を示す部材を設け、超音波センサとある回転角度離れた位置に当該部材の通過を検出する基準位置検出センサを配設すると共に、この基準位置センサの出力を遅延する手段とを備え、1回転につき1回その基準点が通過する際の信号を検出し、その信号を適宜の遅延をもたせてトリガパルスとすることにより、計測すべき回転体の回転部位を特定することができる請求項2に記載された回転体の間隙計測装置。

【請求項4】
超音波センサの出力を記憶する記憶手段と減算手段を演算装置内に備え、適宜の遅延時間を与えて回転体との間隙が十分に大きな部位を特定して、超音波パルスを発生した際の超音波センサの出力信号を記憶しておき、超音波センサの出力から超音波センサを励起した際の共振波の影響を減算除去する請求項3に記載された回転体の間隙計測装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】この発明は、回転体の間隙寸法を計測する方法及び装置に関するものである。

【10】
次に動作について説明する。回転体の回転方向基準位置が基準位置センサ4(例えば、回転翼の一つに磁石を取り付けておきその通過を検出する磁気センサ)により検出される。その信号は図2Aのような信号であるが、その信号はAD変換器8(例えば、ある閾値以上の信号に応動するワンショットマルチバイブレータ)を介して図2Bのようなディジタルのパルス信号とされ、演算装置7内で図2Cのように遅延(τ)される。遅延された信号はDA変換器9(例えば、信号がハイの時だけゲート出力するアナログ発振器)を介して図2Dのようなパルス幅の超音波振動周波数のアナログ信号に変換され、超音波センサ3のトリガパルスとなる。このパルスにより超音波センサ3を励起し、Dと同形の超音波が放出され、回転翼1に向かった超音波は翼端で反射される。反射波は同じ超音波センサ3で検出(図2Eの様な信号)され、増幅器6に入力されて増幅されることになる。しかし、この超音波センサ3の実際の振動はこの反射波の受信によるものの他に発信の際の励起に基づく超音波センサ自身の共振波が重畳されており、それに対応した電気信号(図2F)が増幅器6を介してAD変換器10に送られディジタル値とされる。反射波をこの励起共振波から区別して、正確な反射波の受信タイミングを割り出すことが困難である。そこで、図2Gのような励起共振波の減衰波形特性(間隙が無限大の時の超音波センサ3の計測データ)を演算装置7内に記憶しておき、超音波センサ3の出力信号よりこれを差し引くようにすれば励起共振波の影響を除去することができ、Eの反射波の受信に対応した図2Hのような信号を得ることが出来る。メモリからの励起共振波の減衰波形読み出しのタイミングはAD変換器10の出力に重畳された励起共振波信号と同期されるようにされ、減算器で減算される。この様に励起共振波の影響を除去することでトリガパルスから反射波までの経過時間の算出が容易になる。

【11】
一方、計測すべき間隙の近傍に設置された温度センサ5で温度が計測され、AD変換器11を介してディジタル化され、既知の作動流体の物性値を使い温度に対応した音速が計算される。ちなみに空気中の音速Vを考えると、
V=332m/sec+0.61t ‥‥(2)
で与えられ、圧力や密度によらず、温度tによって変化するので、温度センサ5によって計測された温度値より音速Vを計算する。そして経過時間は間隙の往復分に対応するので、計測すべき間隙Lは、演算器においてT(経過時間)×V(音速)÷2なる計算で求められる。

【12】
上記のトリガパルスの遅延時間(τ)を変えることにより、任意の回転翼の翼端間隙が計測されうる。また、回転翼がない時にトリガパルスが出るように遅延時間を調整すれば、上記の励起共振波の減衰波形特性(間隙が無限大の時の超音波センサ3の計測データ)が計測できるので、このデータを予めRAMに記憶しておけばよい。

【13】

【発明の効果】この発明は、超音波送受信方式の距離測定法を間隙計測に適応可能としたもので、金属あるいは非金属の回転体の半径方向間隙寸法あるいは軸方向間隙寸法を、非接触で、汚れた環境においても、容易に計測することができる計測装置であり、航空用ガスタービンエンジンをはじめ、産業用ガスタービン、スティームタービン等の運転時の翼端間隙計測、回転軸の軸方向変位の計測、等を可能にする。これにより、これらのエンジンの性能向上、安全性向上を図ることが可能となる。

【2】

【従来の技術】回転体の間隙量の計測手段として、渦電流式、放電式、静電容量式、光反射式、X線透過式といったものがある。また、間隙よりはるかに量の大きな距離の計測手段として超音波送受信方式のものもある。

【3】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の間隙計測装置は、渦電流式、放電式、静電容量式のように、回転体が金属でなければならないもの、光反射式のように汚れに弱いもの、X線透過式のように装置が大がかりなもの、など一長一短であり使用上の問題点があった。また、距離の計測装置として、超音波式のものは、計測範囲は数十メートル以上であり、回転体の間隙(数十ミリメートル以下)計測には適していない。この発明は、この問題点を解決するためになされたもので、金属あるいは非金属の回転半径方向間隙寸法あるいは軸方向間隙寸法を、非接触で、汚れた環境においても、容易に計測することができる計測方法及び装置を提供することを目的とする。

【4】

【課題を解決するための手段】この発明に係る回転体の間隙計測装置は、回転体の半径方向、あるいは軸方向の間隙において、間隙方向に取り付けられ、超音波パルスを発生するとともに反射波を受信する超音波センサと、該超音波センサの出力信号から超音波センサを励起した際の共振波の影響を除去する手段と、上記間隙部の温度を検出するセンサと、該検出温度より音速を算出する手段と、前記超音波パルスの送受信の時間間隔と算出された前記音速とから、前記間隙量を算出する演算装置とを備えたものである。

【5】

【発明の実施の形態】トリガパルスで超音波センサを励起させ超音波を発生させると、この超音波は間隙空間を音速で伝播し物体壁面で反射され、その反射波は同じ超音波センサ受信されて計測される。この超音波の発生から反射波の受信までの経過時間Tは、間隙寸法Lに比例し、音速Vに反比例する。従って、この経過時間および音速を計測すれば、
L=T・V/2 ‥‥‥ (1)
(1)式の関係で、間隙寸法が計測される。超音波センサは耐環境性はよく、高温で汚れた環境でも問題なく作動する。

【6】
さて、この測定法を回転体の間隙量計測に適用しようとする場合には、回転体の構造が半径方向あるいは軸方向に均等であるとは限らないという問題があり、もし、構造上凹凸があるものであればその対峙する壁面との間隙は回転にともない変化することとなる。従って、間隙量を計測するといってもそれが回転体凸部と壁面との間隙であるのか、回転体の特定部と壁面との間隙であるのか、あるいは回転体と壁面間の時間的に変化する間隙を求めるのかによってその計測法は異なってくる。また、音速にしても常に一定として扱えるものではなく、音波が伝播する媒質が何であるか(例えば空気)、更に温度、密度によっても変化するものである。したがって、本願発明は環境変化に対応した音速を計算し間隙を演算するものである。

【7】
本願発明では回転体の任意の特定点と壁面との間隙量を求めることを考える。その特定点は、回転体の何れかに基準点を決め1回転につき1回その基準点が通過する際の信号を検出する基準位置センサ配設し、その信号を適切な遅延をもたせて上記トリガパルスとすることにより、回転体の回転位置を特定することができる。それは基準位置センサと超音波センサの位置関係、回転体の回転速度そしてこの遅延時間により決定される。この遅延時間を変更することで回転体の適宜の位置の間隙を計測することができる。

【8】
また、超音波送受信法によって間隙計測を行った場合、反射波を受信する超音波センサ3の実際の振動はこの反射波の受信によるものの他に発信の際の励起に基づく超音波センサ自身の共振波が重畳されている。長い距離の計測であれば反射波の到達時間はそれだけ長くなり、励起共振波は十分に減衰しているのでこの共振波の重畳はさほど問題にはならなかったが、計測すべき間隙が狭い場合、反射波の到達時間が短いため、励振共振波の減衰が少なく反射波をこの励起共振波から区別して、正確な反射波の受信タイミングを割り出すことが困難になるという問題を生じる。そこで、本願発明は励起共振波の減衰波形特性を予め記憶しておき、超音波センサ3の出力信号からこれを差し引くようにして励起共振波の影響を除去するようにしている。間隙が無限大であれば反射波の受信はなく、超音波センサの出力は単純に励起共振波に対応するものとみなすことができるので、この励起共振波の減衰波形特性は間隙が無限大の時の超音波センサ3の計測データとして得ることができる。本発明はこの様に励起共振波の影響を除去することで反射波の受信タイミングを正確に割り出し、トリガパルスから反射波までの経過時間の算出を容易にするものである。

【9】

【実施例1】図1は、この発明の一実施例を示す構成図で、圧縮機あるいはタービンの回転翼端とケーシングとの間隙を計測する例である。図1において、1は回転翼、2はケーシング、3は超音波センサ、4は基準位置センサ、5は温度センサ、6は増幅器、7は演算装置であって、マイクロプロセサ、AD変換器およびDA変換器で構成されており、トリガ信号の遅延(可変)、経過時間の計測、温度変化に対応した音速の計算、励起共振波の影響除去処理を行い、間隙寸法を算出する。
図面
【図1】
0
【図2】
1