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明細書 :ターボジェットエンジン及び該ターボジェットエンジンを備えた複合エンジン

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3005676号 (P3005676)
公開番号 特開2000-008955 (P2000-008955A)
登録日 平成11年11月26日(1999.11.26)
発行日 平成12年1月31日(2000.1.31)
公開日 平成12年1月11日(2000.1.11)
発明の名称または考案の名称 ターボジェットエンジン及び該ターボジェットエンジンを備えた複合エンジン
国際特許分類 F02K  3/06      
F02C  9/28      
F02K  7/16      
F02K  9/74      
FI F02K 3/06
F02C 9/28
F02K 7/16
F02K 9/74
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願平10-196457 (P1998-196457)
出願日 平成10年6月29日(1998.6.29)
審査請求日 平成10年6月29日(1998.6.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】田口 秀之
【氏名】柳 良二
個別代理人の代理人 【識別番号】100092200、【弁理士】、【氏名又は名称】大城 重信 (外2名)
審査官 【審査官】田澤 英昭
参考文献・文献 特開 平2-108838(JP,A)
特開 昭61-70158(JP,A)
特開 昭60-67753(JP,A)
特開 平8-93505(JP,A)
実開 昭59-114431(JP,U)
調査した分野 F02K 3/06
F02C 9/28
F02K 7/16 - 7/18
F02K 9/74
F02K 9/78
F02C 7/143
F02C 7/224
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも空気取入口を開状態と閉状態に切換可能及び飛行状態に応じてエンジン性能が最適となる開位置に開くことができるインテーク切替ドア縮機、該圧縮機に流入する空気を燃料タンクから供給される極低温燃料の冷熱により冷却する入口空気冷却器、燃焼器、前記入口空気冷却器に用いた極低温燃料を前記燃焼器に供給する燃料管路、閉状態で前記燃焼器の入口に燃焼ガスの逆流を防ぐ遮断弁、タービン、酸化剤噴射機、排気ダクト、該排気ダクトからの排気ガスのノズルを開閉切替及び飛行状態に応じてエンジン性能が最適となる開位置に開くことができるノズル切替ドアを有し、前記インテーク切替ドアと前記ノズル切替ドア、前記酸化剤噴射器、及び前記遮断弁を制御することで、高推力のターボジェットエンジン又は高圧力のロケットエンジンとして切替作動させることができることを特徴とするターボジェットエンジン。

【請求項2】
少なくともインテーク切替ドア、入口空気冷却器、圧縮機、遮断弁、燃焼器、タービン、酸化剤噴射器、排気ダクト、ノズル切替ドアを備えてなるターボジェットエンジンを複数個間隔をおいて配列し、該ターボジェットエンジンの外壁間にラムジェット用燃料噴射器を設けて前記外壁間空間部にラムジェットエンジンを形成してなり、前記インテーク切替ドア、前記ノズル切替ドア及び前記遮断弁を開閉制御し、且つ前記燃焼器又はラムジエット用燃料噴射器への燃料供給制御及び前記酸化剤噴射器への酸化剤供給制御することにより、ターボジェット推進、ラムジェット推進又はロケット推進の何れかの推進機構に切替可能になっていることを特徴とする複合エンジン。

【請求項3】
前記ターボジェット推進機構が、前記燃焼器に理論混合比以下の燃料を供給して燃焼させて高比推力を得る機構と、前記排気ダクト部分に高圧力で燃料が過剰の排気ガスを供給して前記酸化剤噴射器により酸化剤を供給し、燃焼させることにより高圧力の推進を得る機構とに切り替え可能となっている請求項記載の複合エンジン。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、宇宙往還機、高速航空機、および打ち上げロケット等に適用できる推進用エンジン、特に高圧力推力が得られるターボジェットエンジン、及び該ターボジェットエンジンを備えた宇宙往還用に好適な複合エンジンに関する。

【10】
即ち、上記問題点を解決する本発明のターボジェットエンジンは、少なくとも空気取入口を開状態と閉状態に切換可能及び飛行状態に応じてエンジン性能が最適となる開位置に開くことができるインテーク切替ドア、圧縮機、該圧縮機に流入する空気を燃料タンクから供給される極低温燃料の冷熱により冷却する入口空気冷却器、燃焼器、前記入口空気冷却器に用いた極低温燃料を前記燃焼器に供給する燃料管路、閉状態で前記燃焼器の入口に燃焼ガスの逆流を防ぐ遮断弁、タービン、酸化剤噴射機、排気ダクト、該排気ダクトからの排気ガスのノズルを開閉切替及び飛行状態に応じてエンジン性能が最適となる開位置に開くことができるノズル切替ドアを有し、前記インテーク切替ドアと前記ノズル切替ドア、前記酸化剤噴射器、及び前記遮断弁を制御することで、高推力のターボジェットエンジン又は高圧力のロケットエンジンとして切替作動させることができることを特徴とするものである。

【11】
本発明の宇宙往還機用複合エンジンは、複数形式の比推力の高いエンジンの作動を最小限の重量増加で実現するため、上記のロケットエンジンと兼用の高推力のターボジェットエンジンを複数採用し、該ターボジェットエンジン間の空間部をラムジェットエンジンとして作動させることによって、単位推力当たりの推進系重量と表面積を低減し、且つ離着陸時の滑走路での動力飛行を可能にすることができたものである。

【12】
即ち、本発明の宇宙往還用複合エンジンは、少なくともインテーク切替ドア、入口空気冷却器、圧縮機、遮断弁、燃焼器、タービン、酸化剤噴射器、排気ダクト、ノズル切替ドアを備えてなるターボジェットエンジンを複数個間隔をおいて配列し、該ターボジェットエンジンの外壁間にラムジェット用燃料噴射器を設けて前記外壁間空間部にラムジェットエンジンを形成してなり、前記インテーク切替ドア、前記ノズル切替ドア及び前記遮断弁を開閉制御し、且つ前記燃焼器又はラムジェット用燃料噴射器への燃料供給制御及び前記酸化剤噴射器への酸化剤供給制御することにより、ターボジェット推進、ラムジェット推進又はロケット推進の何れかの推進機構に切替可能になっていることを特徴とするものである。

【13】
前記ターボジェット推進機構は、前記燃焼器に理論混合比以下の燃料を供給して燃焼させて高比推力を得る機構と、前記排気ダクト部分に高圧力で燃料が過剰の排気ガスを供給して前記酸化剤噴射器により酸化剤を供給し、燃焼させることにより高圧力の推進を得る機構とに切り替え可能となっている。

【14】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明のターボジェットエンジンの実施形態を示し、図2はそのエンジン系統図を示している。図中、1は入口空気冷却器、2は圧縮機、3は燃焼器、4はタービン、5は酸化剤噴射器、6は排気ダクト、7はインテーク切替ドア、9は遮断弁、10はノズル切替ドアである。前記インテーク切替ドア7は、空気取入口を開状態と閉状態に切替可能及び飛行状態に応じてエンジン性能が最適となる開位置に開くことができるようになっている。また、同様にノズル切替ドア10も飛行形態に応じて、排気ダクト6からの排気ガスのノズルを開閉切替及び飛行状態に応じてエンジン性能が最適となる開位置に開くことができるようになっている。排気ダクト6は、該排気ダクト部分をロケットエンジンとして作動させることができるように、高圧力用に設計されている。

【15】
なお、図1に示すターボジェットエンジンでは、排気ダクト部をロケットエンジンとして機能させることによってロケットエンジンと兼用できるようにしてあるが、ロケットエンジンと兼用せずに、単に高比推力のターボジェットエンジン及び高推力のターボジェットエンジンとしてのみ使用する場合は、遮断弁9は不要である。

【16】
図2に示すターボジェットエンジン系統図では、実線矢印は気流又は排気ガスの流れ方向を示し、破線矢印は燃料又は酸化剤の流れを示している。上記ターボジェットエンジンは、図2のエンジン系統図に示すように、極低温燃料(例えば液体水素)が充填されている燃料タンク20から燃料ポンプ21により入口空気冷却器1に供給し、該入口空気冷却器1を循環した燃料を管路28を介してすべて燃焼器3に供給する。また、ターボジェットエンジンを高推力で作動させる場合、及びロケットエンジンとして作動させる場合は、酸化剤(例えば液体酸素)が貯留されている酸化剤タンク30から酸化剤ポンプ31により排気ダクト6の入口側に設けてある酸化剤噴射器5に酸化剤を供給するようになっている。

【17】
本実施形態のターボジェットエンジンは以上のように構成され、ターボジェットエンジンとして作動させるときは、インテーク切替ドア7とノズル切替ドア10は飛行状態に合わせて、エンジン性能が最適になる位置に開けておく。ターボジェットエンジン作動状態では、燃料タンクから空気に対して理論混合比以上の過剰の極低温燃料を入口空気冷却器1に供給し、極低温燃料の冷熱により空気を冷却する。流入する空気を冷却することにより、圧縮機2における空気圧縮仕事を大きく下げるとともに、空気の密度が上がって、同じ大きさの圧縮機2に、多くの重量流量の空気が供給できるようになり、ガスタービンの効率と動作性能を向上させることができる。また、空気冷却に用いた過剰の極低温燃料は、すべて管路28を通って燃焼器3に供給し、タービン4に流入する燃焼ガス流量を増加させる。すると、小さなタービン膨張比でも、空気圧縮を行うのに十分な動力を取ることができる。これにより、排気ダクト6内の排気ガスの圧力が上がり、空気流量が増えた効果と合わせて、ターボジェットエンジンの推力を向上させることができる。

【18】
その際、排気ダクト6には、高圧力で燃料が過剰の排気ガスが供給されるため、ここに酸化剤タンク30から酸化剤噴射器5を通して酸化剤を供給し燃焼させることで、高圧力のロケットエンジンと同様の作動ができるようになる。それにより、推進系の単位重量当たりの推力を飛躍的に向上させることができ、エンジンの小型化を図ることができる。且つマッハ6程度までの高速航空機用エンジンとして採用可能なターボジェットエンジンが得られる。なお、離着陸時の低速動力飛行をする場合は、理論混合比以下の燃料を入口空気冷却器1を通して燃焼器3に供給して燃焼させることで、高比推力の作動をすることができる。その際は、排気ダクトへの酸化剤の供給は行わない。

【19】
上記ターボジェットエンジンをロケットエンジンとして作動させる場合は、燃焼器3の入口に設けられた遮蔽弁9を閉にして燃焼ガスが逆流しないようにする。燃料は、ターボジェットエンジンと同様に、燃焼器3に供給し、タービン4を通過して排気ダクト6に供給される。酸化剤は酸化剤噴射器5を通して排気ダクト6に供給される。そのとき、インテーク切替ドア7はターボジェットエンジン側に閉じ、ノズル切替ドア10はロケットエンジンの燃焼ガスを排出するために開く。

【2】

【従来の技術】従来、高速航空機及び宇宙往還機の推進用エンジンとしては、ターボジェットエンジン(ターボファンエンジン等を含む、以下単にターボジェットエンジンという)、ラムジェットエンジン(スクラムジェットエンジン等を含む、以下単にラムジェットエンジンという)、ロケットエンジンとその派生型、及びこれらのエンジンの複合型がある。

【20】
次に、以上のように構成されたターボジェットエンジンを採用して構成された宇宙往還用複合エンジンの実施形態を図3により説明する。図3は、宇宙往還機13の推進系としての宇宙往還用複合エンジンの概念図を示している。本発明の宇宙往還用複合エンジンは、上記のようにロケットエンジンと複合したターボジェットエンジンを小型化できるので、複数のターボジェットエンジンの外壁間の空間をラムジェットエンジンとして使用することができ、且つ飛行領域全体の平均比推力をあげて、推進系の小型化と表面積の減少を図ることができたものである。図3に示す例では、前記実施形態に示す同じ原理に基づくターボジェットエンジン14が上下に2列配列したエンジンを1組として、それを図5に示すように横方向に間隔をおいて5組配列してあり、該横方向間隔の空間16がラムジェットエンジン15を構成している。なお、同図において、図1に示すターボジェットエンジンの構成部材と同様な部材については、同じ符号を付し詳細な説明を省略する。

【21】
次に、上記に示す宇宙往還機用複合エンジンの要部を図4~図6により詳細に説明する。図4はターボジェットエンジン作動状態、図5はラムジェットエンジン作動状態(仮想線はターボジェットエンジン作動状態)、図6はロケットエンジン作動状態をそれぞれ示している。宇宙往還機用複合エンジンの要部が、図1のターボジェットエンジンと相違しているところは、ラムジェット用燃料噴射を有していることである。

【22】
上記複合エンジンの燃料及び酸化剤系統は、その概略図が図4に示されており、極低温燃料(液体水素)が充填されている燃料タンク20から燃料ポンプ21により所定位置に所定流量の燃料を供給する。本実施形態では、燃料ポンプから下流側が第1~第3の3つの燃料管路22~24に分岐され、それぞれにバルブ24~26が設けられ、飛行状態に応じて燃料管路を切替制御できるようになっている。第1燃料管路22は、ポンプ21から入口空気冷却器1に供給し、該入口空気冷却器1を循環した燃料をすべて燃焼器3に供給する管路からなる。また、第2燃料管路23は、ポンプから直接ラムジェット用燃料噴射器8に燃料を供給する管路である。また、第3燃料管路24は、ポンプから直接燃焼器3の燃料噴射器に燃料を供給する管路である。なお、本実施形態では、ロケット推進機構を作動させる場合は、バルブ27のみを開いて第3燃料管路により直接燃焼器に燃料を供給するようにしてあるが、第3燃料管路を設けずに、ロケット推進機構を作動させる場合も、第1燃料管路により燃焼器に燃料を供給するようにしても良い。また、図示されていないが、前記ポンプ及び各バルブは、燃料制御ユニットによって制御され、それぞれの飛行状態に応じて、ポンプによる燃料流量及びバルブの開閉制御等が行われる。

【23】
酸化剤系統は、酸化剤(例えば液体酸素)が貯留されている酸化剤タンク30から酸化剤ポンプ31、バルブ32を介して酸化剤管路33を介して排気ダクト入口側に設けてある酸化剤噴射器5に酸化剤を供給するようになっている。酸化剤は、ターボジェット推進機構による高推力飛行の場合と、ロケットエンジン機構作動時に酸化剤噴射器に供給される。

【24】
本実施形態の宇宙往還用機複合エンジンは、以上のように構成され、起動から略マッハ6に達するまでは、ターボジェットエンジン作動で飛行し、略マッハ6~12の間はスクラムジェットエンジン作動状態で、マッハ12以上及び宇宙空間ではロケット作動状態で飛行する。ターボジェットエンジンとして作動させるときは、インテーク切替ドア7とノズル切替ドア10は飛行状態に合わせて、エンジン性能が最適になる位置に開けておく。このときは、ラムジェット用燃料噴射器8は使用せず、遮蔽弁9は取り入れた空気通過させるために開にし、先に説明したと同様にしてターボジェット推進を行う。

【25】
飛行速度が上がると、ターボジェットエンジンよりも、ラムジェットエンジンの比推力が高くなる。そのため、本実施形態では、マッハ6~マッハ12の速度域ではラムジェットエンジン作動状態に切り替える。このときは、図2に示すように、インテーク切替ドア7とノズル切替ドア10をターボジェットエンジン側に閉じ、且つバルブ26のみ開状態にする。それにより、複数のターボジェットエンジンの外壁間の空間に設けられたラムジェット用燃料噴射器8から燃料が噴射され、その空間をラムジェットエンジンとして使用する。

【26】
さらに、空気の無い宇宙空間を飛行する場合は、ロケットエンジン作動状態に切り替える。ロケットエンジン作動状態では、図6に示すように、インテーク切替ドア7はターボジェットエンジン側に閉じ、ノズル切替ドア10はロケットエンジンの燃焼ガスを排出するために開くと共に、燃焼器の入口に設けられた遮蔽弁9を閉にして燃焼ガスが逆流しないようにする。燃料系統は弁25、26は閉じて、弁27を開き燃焼器に燃料を供給すると共に、酸化剤タンク30から酸化剤を酸化剤噴射器により排気ダクトに噴射することで高圧力のロケットエンジンとして作動する。

【27】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のターボジェットエンジンは、単位重量当たりの推力をロケットエンジン並みに増加させることができ、小型化できると共に高推力を得ることができる。従って、本発明のターボジェットエンジン及びそれを採用した複合エンジンは、大きな重量増加を伴わずに、地上から宇宙空間まで良好な比推力を発揮することができる。それ故本発明のエンジンを、宇宙往還機、高速航空機、及び打ち上げロケット等に採用することによって、従来より搭載重量を増加させることができる。

【28】
また、離着陸時の低速動力飛行をする場合に、高比推力の作動ができるため、宇宙往還機等において安全な有人飛行を実現することができる。

【3】
従来推進用エンジンのうち、単独で宇宙空間まで作動できるのはロケットエンジンだけである。しかし、ロケットエンジンは、大気中では他形式のエンジンに比べて比推力が低いので燃料効率が悪く、燃料と酸化剤の消費重量が過大となる欠点がある。一方、大気中の空気を吸い込んで作動するターボジェットエンジン及びラムジェットエンジンは、大気中を飛行するときには、ロケットエンジンと比べて高い比推力を発揮するが、宇宙空間では使用不能である。従って、離着陸から宇宙空間までの飛行領域全体の平均比推力を上げて、燃料と酸化剤の消費重量を減らすためには、上記複数形式のエンジンを搭載して、各エンジンの作動最適領域で各エンジンを作動させることが有効であるが、各エンジンをそのまま搭載すると、推進系の重量が過大及びエンジン収納部の容積増加となってしまい、結局搭載重量があまり増やせなくなる問題点がある。

【4】
そのため、従来複数形式のエンジン構成要素の全部あるいは一部を共有化することによって推進系の重量過大及び容積増加を防止するようにした複合エンジンが提案されている。従来提案されている複合エジンとしては、例えば、中央胴部内にロケットエンジンを配置し、その周囲の環形気流管をターボジェットエンジン及びラムジェットエンジンとして共用するようにしたターボジェット・ラムジェット・ロケット推進複合エンジン(米国特許5052176)、あるいは、スクラムジェットエンジンにロケットエンジン機能を付与し、離陸時及び大気圏外飛行時にも使用できるようにした多機能のスクラムジェットエンジン(特開平7-4314号)、又は空気液化ロケットエンジン(LACE)とスクラムジェットエンジンの2種類のエンジンを複合させたもの(特開平7-34969号)等がある。

【5】
一方、大気中でマッハ4程度までの高速推進用エンジンとしてはターボジェットエンジンが知られているが、従来のターボジェットエンジンは、ロケットエンジンと比べて比推力は高いが、作動圧力が低いため高圧力のロケットエンジンと同等の推力を得る為には、エンジン自体を大型化する必要があり、推進系の重量が過大となり、高推力を要する高速航空機への適用は困難である。

【6】

【発明が解決しようとする課題】従来提案されている宇宙往還機用複合エンジンは、それぞれの速度域と高度域で、ターボジェット推進、ラムジェット推進及びロケット推進に切り替え機能するものであり、離着陸及びマッハ4程度までの低速度域の推進系としては、ロケットエンジン又はターボジェットエンジンの何れかによっている。しかしながら、ロケットエンジンの場合、前述のように大気中では他形式のエンジンに比べて低い比推力で作動させることになり燃料効率が悪く、燃料と酸化剤の消費重量が過大となり、搭載重量があまり増やせないという問題点がある。さらに、ロケットエンジンの場合、離着陸時に低速動力飛行できる距離が短くなるため、飛行場での離着陸が困難であるという問題点があり、有人飛行を考慮すると望ましくない。一方、ターボジェットエンジンは、作動圧力が低いため、高圧力のロケットエンジンと同等の推力を生成するためには、大型で重量の大きいエンジンを必要し、複合エンジンの重量及び表面積を大きくさせるという問題点がある。

【7】
そこで本発明は、ターボジェットエンジンの単位重量当たりの推力をロケットエンジン並みに増加させさせることにより、小型の高推力のターボジェットエンジンを得ることを第1の目的とし、該小型化された高推力のターボジェットエンジンを宇宙往還機用の複合推進用エンジンに適用して、飛行領域全体の平均比推力を上げることにより、推進系の重量及び設置容積を減少させて、搭載重量を増大することができ、且つ飛行場での離着陸が可能となる宇宙往還機用に好適な複合エンジンを得ることを第2の目的とするものである。

【8】

【課題を解決するための手段】本発明では、ターボジェットエンジンの単位重量あたりの推力をロケットエンジン並みに増加させるために、空気に対して理論混合比以上の過剰の極低温燃料を供給し、その燃料の冷熱を利用した入口空気冷却を行うことにより、空気圧縮仕事を大きく下げるとともに、過剰の燃料をすべて燃焼器に供給することでタービンに流入する燃焼ガス流量を増加させ、小さなタービン膨脹比で空気圧縮を行うことにより、排気ガスの圧力を向上させ、高推力のターボジェットエンジンを得ることができた。即ち、本発明のターボジェットエンジンは、圧縮機に流入する空気を燃料タンクから供給される極低温燃料の冷熱により冷却する入口空気冷却器、該入口空気冷却器に用いた極低温燃料を燃焼器に供給する燃料管路を備え、前記入口空気冷却器により前記圧縮機への流入空気の冷却を行うと共に、該入口冷却器に用いた極低温燃料を燃焼器に供給して、タービンに流入する燃焼ガス流量を増加させ、小さなタービン膨脹比で空気圧縮を行うことにより、排気ガスの圧力を上げて推力を向上させた。

【9】
前記タービンから流出する排気ガスに酸化剤を噴射する酸化剤噴射器を備え、前記入口空気冷却器に理論混合比以上の過剰な極低温燃料を供給し、該過剰の燃料を燃焼器に供給することによって得られる高圧力で燃料が過剰な排気ガスに、酸化剤を供給して排気ダクト内で燃焼させることで、ロケットエンジンと同様の高圧力推力を得ることができる。一方、前記入口冷却器に、理論混合比以下の燃料を供給して、該理論混合比以下の希薄燃料を燃焼器に供給して燃焼させることで、高比推力で作動させることができる。そして、空気取入口を開状態と閉状態に切換可能及び飛行状態に応じてエンジン性能が最適となる開位置に開くことができるインテーク切替ドアと、排気ダクトからの排気ガスのノズルを開閉切替及び飛行状態に応じてエンジン性能が最適となる開位置に開くことができるノズル切替ドアとを設け、且つ前記燃焼器の入口に燃焼ガスの逆流を防ぐ遮断弁を設け、該遮断弁により燃焼器入口を遮断して燃料と酸化剤を排気ダクト部分に供給することで、排気ダクト部分を高圧力推進のロケットエンジンとして作動させることができ、ロケットエンジン機能を有するターボジェットエンジンを得ることができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図5】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図6】
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