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明細書 :光励起リングレ—ザ—ジャイロ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3041425号 (P3041425)
登録日 平成12年3月10日(2000.3.10)
発行日 平成12年5月15日(2000.5.15)
発明の名称または考案の名称 光励起リングレ—ザ—ジャイロ
国際特許分類 G01C 19/66      
H01S  3/083     
FI G01C 19/66
H01S 3/083
請求項の数または発明の数 5
全頁数 5
出願番号 特願平11-077550 (P1999-077550)
出願日 平成11年3月23日(1999.3.23)
審査請求日 平成11年5月12日(1999.5.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】滝沢 実
個別代理人の代理人 【識別番号】100092200、【弁理士】、【氏名又は名称】大城 重信 (外2名)
審査官 【審査官】有家 秀郎
参考文献・文献 特開 昭63-177483(JP,A)
特開 平4-132284(JP,A)
特開 昭63-312686(JP,A)
特開 平8-18131(JP,A)
調査した分野 G01C 19/64 - 19/72
H01S 3/083
要約 【課題】 角速度検出部のレーザー発振効率を高めると共に小型化ができ、且つ厳しい電磁干渉環境下に設置しても、電磁干渉を全く受けず、耐電磁干渉処置を必要としない耐電磁干渉性にすぐれた光励起リングレーザージャイロを得る。
【解決手段】 固体レーザー素子自身にリング共振器5におけるミラー機能をもたせて構成したリングレーザー装置と光学式角速度情報取出装置7とで角速度検出部1を構成し、且つ該角速度検出部1と光励起エネルギー/光信号伝送部3を純光学部品で構成し、角速度検出部1を電気系で構成される励起光源/信号処理部2と、光ファイバーを介して接続することにより、電気的に分離した。
特許請求の範囲 【請求項1】
光励起する固体レーザー素子を有するリング共振器を備えた光励起リングレーザー装置と、該光励起リングレーザー装置から出力される角速度情報を取り出す光学式角速度情報取出装置とで角速度検出部を構成し、前記光励起リングレーザー装置のリング共振器が、固体レーザー素子と全反射ミラーの機能を兼ね備えた固体レーザー素子/全反射ミラー、一部透過ミラー、全反射ミラーで構成されてなり、リングレーザーのサニャック効果を利用して角速度を検出するようにしたことを特徴とする光励起リングレーザージャイロ。

【請求項2】
前記固体レーザー素子は、前記リング共振器の外部から該固体レーザー素子の外面に垂直な光軸をもつ光によって励起されるようになっている請求項記載の光励起リングレーザージャイロ。

【請求項3】
前記光学式角速度情報取出装置は、複数個の全反射ミラーと光線干渉器とで構成されている請求項1又は2記載の光励起リングレーザージャイロ。

【請求項4】
角速度検出部、励起光源/信号処理部、励起エネルギー/信号伝送部からなり、
前記角速度検出部は、固体レーザー素子と全反射ミラーの機能を兼ね備えた固体レーザー素子/全反射ミラー、一部透過ミラー、全反射ミラーで構成されているリング共振器の外部から、前記固体レーザー素子/全反射ミラーの外面に垂直な光軸をもつ光によって励起されるようにした光励起リングレーザー装置を有してなり、
前記角速度検出部及び前記励起エネルギー/信号伝送部を純光学部品で構成し、電気系で構成される励起光源/信号処理部と前記角速度検出部を光ファイバーを介して接続することにより、
前記角速度検出部を励起光源/信号処理部及び電源部と電気的に分離したことを特徴とする光励起リングレーザージャイロ。

【請求項5】
前記角速度検出部は、前記光励起リングレーザー装置と、該光励起リングレーザー装置から出力される角速度情報を取り出す光学式角速度情報取出装置とを基盤に一体に設けて構成されている請求項4記載の光励起リングレーザージャイロ。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、航空機やロケットあるいは自動車や自動走行ロボット等の姿勢制御や飛行・走行制御システムにおける角速度・姿勢角度センサーとして使用されるリングレーザージャイロ、特に光励起リングレーザージャイロに関する。

【10】
前記角速度検出部を、光励起リングレーザー装置と、該リングレーザー装置から出力される角速度情報を取り出す光学式角速度情報取出装置を基盤に一体に設けて構成することによって、より小型に構成することができると共に、電気系で構成される励起光源/信号処理部及び電源部と遠く離れて設置することができる。さらに、前記光励起リングレーザー装置のリング共振器を、リング共振器ミラーを兼ねる固体レーザー素子と、複数の一部透過ミラー及びと全反射ミラーとで構成することによって、上記第1の目的と第2の目的を同時に達成することができる。

【11】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1に本発明による1軸型リングレーザージャイロの実施例を示す。本実施形態のリングレーザージャイロは、角速度検出部1、励起光源/信号処理部2、及び励起エネルギー/信号伝送部3からなり、前記角速度検出部1及び励起エネルギー/信号伝送部3を純光学部品で構成して、光ファイバーによる励起エネルギー/信号伝送部を介して電気系で構成される励起光源/信号処理部2と接続してある。

【12】
前記角速度検出部1は、一部透過ミラーM1と全反射ミラーM2および全反射ミラーと固体レーザー素子の機能を兼ね備えた全反射ミラー/固体レーザー素子M3で構成したリング共振器5、及び二つの全反射ミラーM4、M5と光線干渉器BSで構成した光学式角速度情報取出装置7とで構成され、純光学式角速度検出部となっている。前記全反射ミラー/固体レーザー素子M3は、Nd:YVO4やNd:YAG等の固体レーザー素子を平板状に形成し、その外部端面にはレーザー発振光を略100%反射させる反射膜を蒸着させ、同時に光ファイバーを介して伝送される半導体レーザーによる励起光を略100%透過させるための反射防止膜を蒸着して構成されている。図中、FLは、励起光源部10から光ファイバーを介して伝送される励起光を全反射ミラー/固体レーザー素子M3に集光させるためのレンズ系であり、前記リング共振器の外部に設けられている。

【13】
角度検出部を構成する前記レンズ系FL、リング共振器5、光学式角速度情報取出装置7は、後述する光励起エネルギー/光信号伝送部3を構成する光コネクタOCと共に、基盤6に一体に設けられ、励起光源/信号処理部2と離れて角速度検出位置に取り付けらるようになっている。

【14】
励起光源/信号処理部2は、半導体レーザー等の励起光源部10と、角速度検出部1からの角速度信号を電気信号に変換処理し、計測された角速度/姿勢角を算出して出力する信号処理部11とからなり、それらは別体に構成しても良いが、ユニットで一体に設けるのがコンパクトとなり望ましい。また、励起エネルギー/信号伝送部である光励起エネルギー/光信号伝送部3は、光ファイバーOFと光コネクタOCから構成され、角速度検出部への励起光伝送用及び角速度検出部からの光信号伝送用に別々に設けられている。

【15】
上記実施形態における光学式角速度検出部の機能は、励起光源部10から出力される励起用光エネルギーを光励起エネルギー/光信号伝送部3及びレンズ系FLを介して固体レーザー素子M3に照射することによりリングレーザー発振を実現し、リング共振器面(M1~M3で囲まれた三角形平面)の垂直軸まわりの角速度に起因するサニャック効果により、リングレーザーの右回り光CWと左回り光CCWの発振周波数に差が生じることを利用して角速度を検知し、角速度信号を光信号として出力し、該光信号は光励起エネルギー/光信号伝送部3を介して信号処理部11に伝送される。そして、信号処理部11により角速度光信号を電気信号に変換処理し、演算処理して角速度・姿勢角計測量を出力する。

【16】
本発明における角速度検出の原理は、次式に基づくものである。
Δf=(4A/Lλ)Ω
ここに、Δf :レーザー光線CWとCCWのビート周波数
A :ミラーM1~M3によるリング光路が囲む面積
L :リング光路長
λ :リングレーザー発振波長
Ω :Aに垂直の入力軸まわりの角速度(入力角速度)
従って、本リングレーザージャイロはΔfを測定することにより、Aに垂直の入力軸IAまわりの角速度Ωを求めることができる。

【17】

【発明の効果】以上のように、本発明の光励起リングレーザージャイロによれば、次のような格別な効果を奏する。
(1)固体レーザー素子の固体励起作用距離を固体レーザー素子の厚さ以上に長くすることができて、光励起効率を高めることができると共に、集光レンズ系を小さくして装置を小型化できて、角速度検出部のレーザー発振効率を高めることができる光励起リングレーザージャイロを得ることができる。
(2)固体レーザー素子自身にリング共振器におけるミラー機能をもたせているため、従来のものに比べミラーを一枚へらすことができ、材料のコストを低減できる。
(3)光励起角速度検出部は非電磁干渉性のため、厳しい電磁環境下に設置しても全く電磁干渉を受けること無く、角速度を検出することができる。
(4)光励起角速度検出部に対しては耐電磁干渉処置が不要のため、設計製作費の低械や小型/軽量化が可能である。
(5)ソリッドステートに製作でき、真空技術が不要のため、高信頼性/長寿命化に有利である。

【2】

【従来の技術】航空機や自動車等の姿勢制御や飛行・走行制御システムには従来電気で駆動される機械式ジャイロや光技術を応用したリングレーザージャイロ又は光ファイバージャイロ等が使用されている。図2は従来のリングレーザージャイロの構成・原理を示している。従来のリングレーザージャイロは、一つの一部透過ミラーM1(出力ミラー)と二つ以上の全反射ミラーM2、M3(図2では2個)で構成するリング共振器20とガスレーザー活性物質を封入したレーザー発振管24とでリングレーザー部(角速度検出部)21構成し、該リングレーザー部21から出力される光情報から角速度情報を造る光出力読出部22およびリングレーザー駆動電源と出力読出部から出力される光信号を処理し、角速度・姿勢角度計測量を出力する電源・信号処理部23から構成されている。そして、リングレーザージャイロは図2に示すようにリングレーザー部21、光出力読出部および電源・信号処理部23が一体構造となっている。

【3】
上記構成において、リングレーザー部21は、レーザー発振管24に電源・信号処理部23から直流の高電圧を印加することによりリングレーザーを発振し、該リングレーザー出力を光出力読出部22で光/電気信号変換し、電源・信号処理部23で演算処理して角速度・姿勢角計測量を出力する。

【4】

【発明が解決しようとする課題】従来のリングレーザージャイロは、前記のようにリングレーザー部、光出力読出部および電源・信号処理部が一体構造となっており、角速度検出部を電気的に駆動するため、厳しい電磁環境下で使用する場合には、十分な耐電磁干渉処置が必要である等の問題点がある。従って、耐電磁干渉処置のための設計製作コストの上昇と装置の大型化・重量化をもたらす欠点がある。

【5】
また、従来のリングレーザージャイロにおけるレーザー発振管に代えて光励起する固体レーザー素子を採用した光励起リング共振器を採用した場合、従来の光励起方式は、レーザー発振に必要な光エネルギー密度を得るために、固体レーザー素子の中心部に焦点を結ぶように反射ミラーの外部から光を集光する方式であるため、レーザー発振に必要な光エネルギー密度を備えた励起光の固体励起作用距離は固体レーザー素子の厚さ以内に制限されると共に、励起光をリング共振器の外部から固体レーザー素子に集光させるためには焦点距離の長い、且つ口径の大きいレンズ系を使用しなければならず、装置が大型となる等の問題がある。

【6】
そこで、本発明は、固体レーザー素子の固体励起作用距離を固体レーザー素子の厚さ以上に長くすることができて、光励起効率を高めることができると共に、集光レンズ系を小さくして装置を小型化できて、角速度検出部のレーザー発振効率を高めることができる光励起リングレーザージャイロを得ることを第1の目的とし、さらに厳しい電磁干渉環境下に設置しても、電磁干渉を全く受けず、耐電磁干渉処置を必要としない耐電磁干渉性にすぐれた光励起リングレーザージャイロを得ることを第2の目的とする。

【7】

【課題を解決するための手段】本発明の第1の目的を達成する光励起リングレーザージャイロは、光励起する固体レーザー素子を有するリング共振器を備えた光励起リングレーザー装置と、該光励起リングレーザー装置から出力される角速度情報を取り出す光学式角速度情報取出装置とで角速度検出部を構成し、前記光励起リングレーザー装置のリング共振器が、固体レーザー素子と全反射ミラーの機能を兼ね備えた固体レーザー素子/全反射ミラー、一部透過ミラー、全反射ミラーで構成されてなり、リングレーザーのサニャック効果を利用して角速度を検出するようにしたことを特徴とするものである。

【8】
前記リング共振器の固体レーザー素子は、前記リング共振器の外部から前記固体レーザー素子の外面に垂直な光軸をもつ光によって励起されるようにすることによって、固体レーザー素子の固体励起作用距離を固体レーザー素子の厚さ以上に長くすることができ、光励起効率をより高めることができると共に、集光レンズ系を小さくして装置を小型化でき、角速度検出部のレーザー発振効率を高めることができる光励起リングレーザージャイロを得ることができる。

【9】
また、前記第2の目的を達成する本発明による光励起リングレーザージャイロは、角速度検出部、励起光源/信号処理部、励起エネルギー/信号伝送部からなり、前記角速度検出部は、固体レーザー素子と全反射ミラーの機能を兼ね備えた固体レーザー素子/全反射ミラー、一部透過ミラー、全反射ミラーで構成されているリング共振器の外部から、前記固体レーザー素子/全反射ミラーの外面に垂直な光軸をもつ光によって励起されるようにした光励起リングレーザー装置を有してなり、前記角速度検出部及び前記励起エネルギー/信号伝送部を純光学部品で構成し、電気系で構成される励起光源/信号処理部と前記角速度検出部を光ファイバーを介して接続することにより、前記角速度検出部を励起光源/信号処理部及び電源部と電気的に分離したことを特徴とするものである。それにより、光励起角速度検出部および励起エネルギー/信号伝送部は光学部品の非電磁干渉性を利用して製作されるので、これらを厳しい電磁環境下で使用しても、角速度検出に関して全く電磁干渉を無視することができ、信号/雑音比の良好な角速度信号を得ることができる。
図面
【図1】
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【図2】
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