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明細書 :予測力による拘束軌道作業の制御方法及びそのシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3323912号 (P3323912)
公開番号 特開2001-001283 (P2001-001283A)
登録日 平成14年7月5日(2002.7.5)
発行日 平成14年9月9日(2002.9.9)
公開日 平成13年1月9日(2001.1.9)
発明の名称または考案の名称 予測力による拘束軌道作業の制御方法及びそのシステム
国際特許分類 B25J 13/02      
B25J 19/22      
FI B25J 13/02
B25J 19/22
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願平11-174286 (P1999-174286)
出願日 平成11年6月21日(1999.6.21)
審査請求日 平成11年6月21日(1999.6.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501137577
【氏名又は名称】独立行政法人 航空宇宙技術研究所
発明者または考案者 【氏名】若林 幸子
【氏名】松本 甲太郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100110515、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 益男 (外2名)
審査官 【審査官】八木 誠
参考文献・文献 特開 平8-267381(JP,A)
特開 平8-300278(JP,A)
調査した分野 B25J 3/00 - 3/04
B25J 9/10 - 9/22
B25J 13/00 - 13/08
B25J 19/02 - 19/06
G05B 19/18 - 19/46
特許請求の範囲 【請求項1】
ロボットによる拘束軌道作業において、ロボットが操作対象に加える力の作用点の過去の変位履歴情報から現時点における作用点位置と軌道接線ベクトルとを推定すると共に、現在指令している印加力情報から現時点の軌道接線ベクトルと一致する方向のベクトル成分を所望量とし、直交するベクトル成分を減少させる操作を時々刻々更新しながら実行する拘束軌道作業における制御方法。

【請求項2】
ロボットによる拘束軌道作業を手動で実行するシステムであって、入力手段と、ロボットが操作対象に加える力の作用点の過去の変位履歴情報から現時点における作用点位置と軌道接線ベクトルとを推定する手段と、現在指令している印加力情報を基に現時点の軌道接線ベクトルと一致する方向のベクトル成分の所望量と、減少させるべき直交するベクトル成分量を演算する手段と、ディスプレイ手段とを備え、操作者が実行すべき入力操作を、入力装置の物理的な座標系に準じてディスプレイに直接画面表示することを特徴とする拘束軌道作業支援システム

【請求項3】
ロボットによる拘束軌道作業を自動で実行するシステムであって、ロボットが操作対象に加える力の作用点の過去の変位履歴情報から現時点における作用点位置と軌道接線ベクトルとを推定する手段と、現在指令している印加力情報から現時点の軌道接線ベクトルと一致する方向のベクトル成分を所望量とし、直交するベクトル成分を減少させる制御値を演算する手段とを備え、実時間で随時計算して自動的に作業を実行することを特徴とする拘束軌道作業操作システム。

【請求項4】
入力手段と指令生成機構とロボットからなるロボットの拘束軌道作業を実行するシステムであって、前記指令生成機構は、ロボットの作用点の過去の軌道情報と操作情報を加工して人間による直接入力の支援を行い入力値を指令値に変換する直接遠隔操作支援機構と、ロボットの作用点の過去の軌道情報と操作情報を加工して指令値の自動生成を行う指令自動生成機構と、両機構の指令を選択/合成する指令切替機構とから構成さ、該指令切替機構は該手動操作支援機構と該指令自動生成機構による指令を相互に切り替えまたは合成することで効率的に作業を行う操作システム。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、主にロボットによる拘束作業における制御方法及びそのシステムに関するものである。ここでいう拘束作業とは、各種作業例えば、展開構造物のような複雑な閉リンク機構を始めとし、押しつけ/挿入等に伴う移動方向の部分的な拘束等の単純な拘束作業を含む。また、軌道が不明または不正確な状況での作業も含まれる。本発明は、作業形態としては工場での部品組立等に見られるような教示等による定型繰り返し作業よりも、非定型作業において連続的に指令値を生成してロボットを操作し、操作結果が連続的にフィードバックされるシステムにおいてより有効に適用される。また、時間遅れを伴う遠隔地作業に適応可能であるため、特に宇宙ロボットによる展開構造物の展開に適用して有効な技術である。

【10】
本発明の手動遠隔操作支援
図1は、手動遠隔操作時の並進移動指令入力支援の原理である。図は構造物の動作軌道に沿った展開途中を表しており、ロボットは現在位置Pt(原点に対する位置ベクトル)にあり、現在の指令位置はPc(原点に対する位置ベクトル)にある。力制御のパラメータをfp(スカラー値)とすると、現在位置と指令位置の差分ベクトルがD(=Pc-Pt)であるならば、fp×D(=F)の力を、現在位置のロボット手先(作用点)が展開構造物に印加していることになる。ここで力制御のパラメータfpとは、例えば現在位置と指令位置の差分ベクトルDの大きさが1の時にかかる力の大ささを表し、方向によらないとする。今、現在位置までの作用点の軌道(軌跡:図中太い実線)は時々刻々の位置データの蓄積により既知であるので、現在位置での軌道接線方向ベクトルTは計算により求めることができる。白抜き矢印で示すように指令位置の差分ベクトルDが接線方向ベクトルTに重なるように指令位置Pcを移動させれば、力Fが軌道の接線方向を向き、力Fが展開方向のみに作用するようになる。つまり、軌道接線に直交するDの成分Dvは展開作業に寄与しない力に、軌道接線方向成分Dtは展開作業に寄与する力に対応しているので、Dvを減少させると共にDtを所望の大きさにすることで、印加力を作業に適正かつ有効に作用させることができるわけである。そこでこのDtを所望の大きさにしDvを減少(消去)させるように操作すればよいのであるが、本発明ではそのために操作者が実行する入力操作を画面上に指示マークの形で直接表示することで手動操作支援とする。表示は入力装置の物理的な座標系に即して表示され、例えば表示された指示マークが右に移動したら入力装置(この場合はジョイスティック)を右に倒すことで指令位置ベクトルDが現時点の軌道接線ベクトルTに重なるように指令位置Pcが移動され、力Fが軌道の接線方向を向き、Dtを所望の大きさにしDvを減少させて力Fが展開方向のみに有効に作用するようになる。上記の動作で、現在位置Pt、指令位置Pc、軌道接線ベクトルTは時間遅れがなければ最新の値を使用するのが適切である。宇宙作業のように信号の送受信に時間遅れを伴う場合も、遅れ量が比較的小さく操作速度が遅い場合は最新値を使用できる場合があるが、遅れ量が大きい場合は、比較するPtとPcの時間差を考慮し、また算出するTを調整することで現実に即した対応が可能である。そしてロボットの動作に伴い軌道が3次元的に変化していく場合も、目標とする軌道接線方向は随時更新され実行される。

【11】
本発明の機械操作の制御量演算
図2は、本発明の機械操作時に機械が位置指令の自動生成を行う際の原理説明図である。本発明では機械操作においても操作プログラムを設計値(モデル)に基づいて予め準備しておくものではなく、制御量を作用点の過去の変位履歴データを用いて機械自体が順次割出して作業を実行して行くものである。図2は図1と同様に展開途中を表しており、実際のロボットアームの作用点は現在位置Pt(原点に対する位置ベクトル)にあり、現在の指令位置はPc(原点に対する位置ベクトル)にある。力制御のパラメータをfp(スカラー値)とすると、現在位置と指令位置の差分ベクトルがD(=Pc-Pt)であるならば、fp×D(=F)の力を、現在位置のロボットの作用点が展開構造物に印加していることになる。ここで、現在位置において同じ大ささの力|F|を発生させ得る指令位置は現在位置を中心とした半径|D|の球面上に無数存在する。今、作用点の現在位置までの軌道(軌跡)は既知であるので、現在位置での軌道接線方向ベクトルTを求め、指令位置の差分ベクトルDが軌道接線方向ベクトルTに重なるように指令位置Pcを目標指令位置Pdに移動させれば、力Fが軌道の接線方向を向き、力Fが展開方向のみに効率よく作用するようになる。そこでまず、展開構造物に作用させたい力(実現したいF)をFd(Tに平行しPtを原点としたベクトル)とすると、実現すべき指令位置の差分ベクトルDは D'=Fd/fpとなり、目標指令位置はPd=Pt+D’=Pt+Fd/fpとなる。すなわちこの展開構造物に作用させたい力を適正に加えるべくPcからPdへの移動を実行すべく制御量が演算されるが、通常PcからPdへの移動は1つの指令では実行できず、分割して徐々にPdに近づいていく場合が多い。指令位置がPcからPdに移動した時点または移動途中で、現在位置Ptが移動することにより軌道接線方向Tが変化した場合は随時目標位置指令Pdを更新して指令入力を進める。

【12】
本発明における上記手動操作と機械操作の複合システムの構成
人間による直接遠隔操作は、動作軌道上の不連続点での入力や不具合発生時の対応に優れている反面、操作支援情報に従った単純な入力作業はプログラム制御の方が正確である。そこで、本発明では直接遠隔操作とプログラム制御を組み合わせることで両者の長所を生かしたシステムを構成する。具体的には、展開動作の開始は直接遠隔操作で行い、これにより軌道接線方向の初期値が与えられるのでその後はプログラム制御に引き継ぐ。更に、展開動作の完了時には再度直接遠隔操作に切り替え、停止動作を行う。また、その他の作業の不連続点(ラッチ等)においても直接遠隔操作に切り替え拘束軌道作業を実行できるし、必要に応じ直接遠隔操作によるオーバーライドを実行することも可能である。

【13】

【実施例1】本発明のシステム例を図3に示す。このシステムは、操作者1と、指令値の入力装置2と、指令生成機構3と、ロボット7と、ロボットの作業対象8と、それらをつなぐ通信手段とからなる。そしてこの指令生成機構3は、ロボットの作用点の過去の軌道情報と操作情報を加工して人間による直接入力の支援を行い入力値を指令値に変換する直接遠隔操作支援機構4と、ロボットの作用点の過去の軌道情報と操作情報を加工して指令値の自動生成を行う指令自動生成機構5と、両機構4、5の指令を選択/合成する指令切替機構6とから構成されている。以下、操作手順に従い説明する。
手動遠隔操作による作業
作業開始に当たって指令切替機構6は手動操作指令のみを受け取るよう設定される。手動遠隔操作支援機構4には、作業に応じた支援情報の初期値(T、D)を設定しておき、作業の開始時点では初期値による支援表示を行う。この初期値としての差分ベクトルDは理想的に現在軌道の接線T上にくるように設定されるのであるが、実際には初期条件に基づく誤差が存在しこのDは非軌道方向成分Dvを含んだものとなっているが、軌道方向成分Dtを持っていることで展開動作は可能である。操作者1は支援表示に従って入力装置2により入力を開始する。作用点の現在位置Ptが一定以上変位して現時点の軌道接線ベクトルTの算出が可能になった時点で、手動遠隔操作支援機構4は順次送信されてくる現在位置Pt情報に基づいて実時間での支援表示を開始する。図4Aに、支援表示画面の例を示す。この図は入力装置2として図4Bに示すようなジョイスティックを仮定した場合の支援表示の例である。図中上方部は従来と同じ作業現場のモニター画面であり、下方部に示す並進入力支援と回転入力支援画面が本発明の特徴というべき支援画面である。支援画面は入力装置の物理的な座標系に一致して指示マークの形態で表示される。ここでは支援情報として並進動作の表示としては力の解消方向(Dv)、操作方向(Dt)の2つを表示し、回転動作の表示についてはトルク解消方向1つを示しているが、これは例示でありこれに限られるものではない。また、この支援画面左下にはロボットの指先に取りつけられたカメラの映像とその上部画面には指先にかかる力を表示できるようにしている。これらは支援画面の一例であって、ジョイスティックの3次元入力を2次元平面に表すには様々な工夫が考えられる。入力値は手動遠隔操作支援機構4で操作指令値に変換され、指令切替機構6を介してロボット7に送信され、ロボット7が指令を実行し、操作対象8を動かす。ロボット7と操作対象8の動作結果は指令生成機構3にフィードバックされる。操作者は動作結果により作業の終了を確認した時点で入力を停止し、作業を終了する。

【14】
自動指令生成による作業
自動指令生成による作業は、初期状態が確定している定型動作を実行するのに適したもので、指令切替桟構6は機械操作指令のみを受け取るよう設定される。指令自動生成機構5には、目標印加力Fdと作業に応じた初期値(T、D)を設定しておき、作業の開始時点では初期値による目標指令位置Pdの生成を行う。この場合も実際には初期条件に基づく誤差が存在しDは非軌道方向成分Dvを含んだものとなるのが普通であるが、軌道方向成分Dtに対応する力で作業が進められる。作用点の現在位置Ptが一定以上変位して現時点の軌道接線ベクトルTの算出が可能になった時点で、指令自動生成機構5は順次送信されてくる現在位置Pt情報に基づいて実時間での目標指令位置の更新を開始する。手動による操作でなく時々刻々送られてくる情報に基づいて軌道方向成分Dtを所望量にして非軌道方向成分Dvを消去すべく制御量を演算して操作する自動制御であるから、連続動作に対しては精度のよい滑らかな作業が実行できる。

【15】
上記手動操作と自動制御の複合システム
本発明は上記手動操作と自動制御の特徴点を生かし、それらの短所を補完する複合システムを実現するものである。この実施例は作業開始時は、指令切替機構6は手動操作指令のみを受け取るよう設定されて手動遠隔操作支援機構4で操作されるが、手動遠隔操作支援機構4には、作業に応じた支援情報の初期値(T、D)を設定しておき、作業の開始時点では初期値による支援表示を行う。操作者1は支援情報に従って入力装置2により入力を開始する。現在位置Ptが一定以上移動して軌道接線ベクトルTの算出が可能になった時点で、指令切替機構6は手動操作指令と機械操作指令の両方を受け取るよう設定される。指令自動生成機構5には、目標印加力Fdが設定されており、指令自動生成機構5は時々刻々送信されてくる作用点の現在位置データから現時点の軌道接線ベクトルTを予測し、設定された目標印加力Fdが加えられるように実時間での目標指令位置の更新を開始する。作業の途中では必要に応じて手動操作指令によるオーバーライドが行われる。なお、指令切替機構6には手動操作に優先性を持たせておき、切り替えに当たっては他方の機構が実行している指令を初期データとして引き継ぐようにすることで切り替えはスムーズに行える。作業の終端に来たなら、指令切替機構6は手動操作指令のみを受け取るよう設定され、作業の停止を実行する。

【16】

【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、ロボットによる拘束軌道作業において、現在位置と現在の指令位置の差分ベクトルを理論的な力の印加量・印加方向である(予測力)と定義し、印加力の方向を軌道接線方向に合わせるように操作することによって、過大力の原因となる非接線方向の力を減少させ作業に寄与する操作力を増加させる操作方法を採用したことにより、機械操作においても多くの設計値(モデル)データを準備しておく必要がなく、しかも演算負荷も軽く非定型作業に対しても実際の状況に合わせた操作指令生成が実現できる。手動操作時における支援としては、操作者が実行すべき入力手段の必要な入力量と方向の指示を、常に入力装置の物理的な座標系と一致するように変換して画面表示するようにしたため、操作者は表示画像の指し示す方向に合わせて入力装置を動かすだけでよく、従来システムのようにモニター画面から状況を把握しながらの操作を要することなく容易に操作を行うことができる。また、本発明は手動操作と機械操作の長所を生かすべく、適宜切替可能に組み込んだシステムであるため、あらゆる非定型作業に対しても順応できる拘束軌道作業の制御方法及びそのシステムが実現できるものである。

【2】

【従来の技術】ロボットによる拘束作業を行う際の従来の操作支援方式及び制御方式には基本的に手動操作時の支援方式とプログラム操作時の制御方式の2方式が採用されている。手動操作は情報の変化に対応できる操作法として有効であるが操作技術の熟練が要求される上、正確で滑らかな作動は難しい。また制御方式は幾何学的な設計値(モデル)に基づいて作動させることが多いため、状況が安定しており型どうりの作業であれば正確で滑らかな作動が実行できる。そして、宇宙ロボット等には作業軌道から外れた方向の力が加わることで生じる過大力を防止する手段としてはコンプライアンス制御等の力制御による過大力緩和機構が採用されていることが多く、本件でもコンプライアンス制御を仮定している。ここで、従来の手動操作時の支援方式とプログラム操作時の制御方式について簡単に説明しておく。
1)手動操作時の支援システム
これはジョイスティツク等の入力装置を使用して人間が拘束作業を直接行う方式である。この場合、操作者は通常カメラ画像やグラフィックシミュレータによる模擬画像を支援画像として利用する。三次元情報を把握するため操作者は複数の視点から作業状況を確認しながら入力を行うのであるが、入力方向を直感的に理解しやすくするために、入力装置自体の動作方向と確認画面の1つにおけるロボットの移動方向を一致させるものであることが多い。
2)プログラム操作時の制御システム
この方式は拘束軌道動作指令の生成方法を予めプログラムしておき、それに基づいて制御するものである。工業用ロボットに代表される部品加工や組み立てといった定型作業については教示が基本であり、その設定プログラムに従って繰り返し実行される単純動作であるが、非定型作業においては、幾何学的な設計値(モデル)に基づき、設計軌道をなぞる指令値を連続的に生成/送信しつつ作業を進めるものとなっている。その際にモデル誤差を考慮し、モデル軌道の始点を調整する等の工夫がなされる場合もあるが、基本的には設計値をもとにした指令生成を行い、制御動作を実行している。

【3】

【発明が解決しようとする課題】上記したようなプログラム操作時の制御システムで拘束動作を実行しようとすると、モデル誤差が大きい場合の作業や非定型作業では、あらゆる状況に対応できるように設計値を準備することには限界があり、現実的でないという問題がある。ちなみに宇宙での作業においては、ロボットと作業対象の位置関係が通常設計値より数mm、数cmずれる場合が多いが、設計値の厳密な較正が困難であるため、設計値に基づく作業は不正確となり、移動できない方向の印加力成分が大きくなって過大力発生の原因となる。また、建設作業のような非定型作業において設計値を使用するには、作業環境モデルの随時更新が不可欠となり、これに対応可能とするためには膨大なデータベースを要することと演算負担を考えると実用的でないという問題がある。そこで、本発明はモデルデータを必要としないで、非定型作業一般に適応できる新たな操作法を提供することを目的課題としている。

【4】
また、手動操作時の支援システムにおいては、複雑な作業となると支援画像と入力装置の対応関係が単純にはならないため、操作者が支援画像から状況を把握して具体的に如何なる入力操作をすればよいかを迅速かつ的確に察知することが困難であるという問題がある。例えば宇宙空間における展開構造物の展開作業時のようにロボットの位置と姿勢が複雑に変化する場合、従来技術による手動操作支援では支援画像と入力装置の関係が常に複雑に変化するため、操作者がどのような操作を実行すればよいか画面上から直感的に理解することが難しく従来の支援方式では入力の支援として不十分である。そこで、本発明は実行すべき入力操作を視覚的に指示する画像を表示する新たな支援方式を提供することを目的課題としている。

【5】
手動操作にしてもプログラムに基づく自動制御システムにしても上記したような問題点を抱えており、これに対処できる実用的なシステムが求められている。従来のロボット作業においては、定型作業を自動的に行うことを想定した場合が多く、モデル誤差が大きい場合の作業や非定型作業における効率的な作業方式については十分な検討がなされていないのが現状であり、本発明は上記した両方式の長所を生かし異なる機能を用いてお互いの問題点を補償するように効率よく組み合わせた支援システム/制御システムの提供を目的課題とするものである。

【6】

【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的課題を達成するものであって、広く非定型作業に対応できる操作法として、ロボットが操作対象に加える力の作用点の過去の変位履歴情報から現時点における作用点位置と軌道接線ベクトルとを推定すると共に、ロボットが操作対象に加える力を作用点からのベクトルで表現したものである指令位置情報(予測力)を前記推定した現時点の軌道接線ベクトル上に移動させるように操作することが、過大力を抑えつつ軌道に沿った適正操作力を増すために必要な操作指令となることに基づき、現在の指令位置情報から現時点の軌道接線ベクトルと一致する方向のベクトル成分を所望量とし、直交するベルトル成分を減少させる操作を時々刻々更新しながら実行する方法を手動による直接操作においても機械操作の自動制御にも採用した。

【7】
本発明は手動操作時に必要な入力操作を視覚的に把握できる支援画像として、現在の指令位置情報から現時点の軌道接線ベクトルと一致する方向のベクトル成分を所望量とし、直交するベルトル成分を減少させるために入力装置で実行すべき操作を、現実の操作に対応させて該入力装置の座標系と一致させて指示マークを表示させる形を採用した。

【8】
更に本発明は作業の不連続点や不具合時は手動操作が実行でき、連続作業は機械操作で行えるように切替操作できる効率的なシステムを構成するものであって、自動指令生成による機械操作は、現時点の作用点位置と現在の指令位置の偏差で表されるベクトル値及びロボットの力制御パラメータから具体的な印加力が求められることに基づき、印加力が所定値を保ちつつ指令位置情報を前記現時点の軌道接線ベクトル上に移動させるように制御値(指令)を演算することによって、印加力を一定値に保ち続ける滑らかな軌道作業を実行させる指令を生成する。

【9】

【発明の実施の形態】本発明における拘束軌道作業の操作法は、軌道に沿った物体の移動は各時点の軌道接線方向の力が作用することで実現可能であることに鑑み、ロボットが操作対象に加える力を作用点からのベクトルで表現したものである現在の指令位置情報(これは現在ロボットに指令している印加力に相当し、本発明では予測力と呼ぶ。)から、現時点の軌道接線ベクトルと一致する方向のベクトル成分を所望量とし、直交するベルトル成分を消去させる操作を時々刻々更新しながら実行する点に特徴を有している。すなわち、従来の手動操作においては支援画面をモニターすることで操作者が作業の状況を把握し、その対応操作を入力装置に入力することで作業を進めるものであったが、本発明では現在の指令位置情報から現時点の軌道接線ベクトルと一致する方向のベクトル成分を所望量とし、直交するベルトル成分を減少させるために実行すべき入力操作を直接画面上に指示するような支援方式である点で大きな違いがある。機械操作においても従来のような設計値(モデル)に基づくプログラム制御ではなく、現在の指令位置情報から現時点の軌道接線ベクトルと一致する方向のベクトル成分を所望量とし、直交するベルトル成分を消去させる制御量を、時々刻々更新演算して制御を実行するものである点で異なるものである。以下に、人工衛星に設置された宇宙ロボットによる展開構造物の展開作業を例として本発明について詳述する。宇宙の展開構造物は主としてトラス(骨組み)構造のものが多く、折り畳まれた状態で打ち上げられ、目的地において軌道に沿って展開され構造物として設置される。展開軌道は軸周りの回動、摺動あるいはその組み合わせが一般的であるが、ここでは任意の3次元曲線を想定する。また、手動遠隔操作の入力装置としては、ここではジョイスティツクを想定するが、これに限定されるものではない。以下に手動遠隔操作支援、機械操作の制御量演算、手動操作と機械操作の複合システムに分節して説明する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3