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明細書 :3軸超電導加速度計

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3306508号 (P3306508)
公開番号 特開2001-108705 (P2001-108705A)
登録日 平成14年5月17日(2002.5.17)
発行日 平成14年7月24日(2002.7.24)
公開日 平成13年4月20日(2001.4.20)
発明の名称または考案の名称 3軸超電導加速度計
国際特許分類 G01P 15/105     
G01P 15/18      
FI G01P 15/08 ZAAC
G01P 15/00
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願平11-287000 (P1999-287000)
出願日 平成11年10月7日(1999.10.7)
審査請求日 平成11年10月7日(1999.10.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501137577
【氏名又は名称】独立行政法人 航空宇宙技術研究所
発明者または考案者 【氏名】円居 繁治
【氏名】鈴木 孝雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100092200、【弁理士】、【氏名又は名称】大城 重信 (外2名)
審査官 【審査官】北川 創
参考文献・文献 特開 平1-167675(JP,A)
特開 昭64-47957(JP,A)
特開 平1-134266(JP,A)
特開 平1-134267(JP,A)
特開 平1-100462(JP,A)
特開 昭63-317776(JP,A)
調査した分野 G01P 15/105
G01P 15/18
特許請求の範囲 【請求項1】
超電導体からなる慣性質量、磁界発生手段、磁束計測手段が磁気シールドされた慣性空間に配置されてなる超電導加速度計において、前記慣性質量が超電導球体で構成され、且つ前記磁界発生手段が前記超電導球体と同心球状に配置された複数個の永久磁石片で構成され、該永久磁石片の内面に緩衝材が設けられてなり、前記慣性質量をマイスナー効果により慣性空間に浮遊保持していることを特徴とする超電導加速度計。

【請求項2】
前記磁束計測手段が3軸に設けられ、且つ各一軸に対して2個対向配置されている請求項1に記載の超電導加速度計。

【請求項3】
前記慣性空間は、気体雰囲気又は真空雰囲気となっている請求項1又は2に記載の超電導加速度計。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、超電導加速度計、特に慣性質量が3軸自由度を有するようにした3軸超電導加速度計に関する。

【10】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る3軸超電導加速度計の構成を示す模式図である。本実施形態では、超電導体はすべて、希ガスである液体ヘリウムを使用することなく冷却できる高温超電導体、例えば液体窒素沸点温度で超電導現象を示すイットリウム系酸化物高温超電導体(YBCO)を採用したが、特にそれに限定されるものでなく、タリウム系酸化物高温超電導体等他の高温超電導体を採用しても良い。また、超電導体は、上記のように高温超電導体を採用するのが望ましいが、本発明では必ずしも高温超電導体に限らず、低温超電導体の採用も可能である。

【11】
図中1は、高温超電導体で形成された超電導磁気シールドであり、その外周部には断熱層2が設けられ、内部の慣性空間は気体又は真空状態に保持され、内部温度が95K以下に保たれるように適宜の冷却手段によって冷却されている。慣性質量3は、球形の超電導体で形成され、図示のように凹面状の複数の永久磁石片5の組合せで形成された球状空間内にマイスナー効果により浮遊保持されている。磁束発生手段である永久磁石片は、本実施形態では図2に示すように、中空球体を上下方向に3分割で輪切り状にし、中間部を更に縦方向に4分割して形成された、上下の凹面鏡状永久磁石片51が2個、中間部のバレル状磁石片52が4個の合計6個の永久磁石片からなり、それぞれが磁気シールド内に適宜の手段で変位しないように固定されされている。以下の説明では、凹面鏡状永久磁石片51とバレル状磁石片52を含めて、単に永久磁石片5とする。

【12】
前記各永久磁石片5には、後述するSQUID(超電導量子干渉素子)磁束計10に対向する位置に磁束通過孔6が形成されている。本実施形態では前記永久磁石片は、磁束密度が3000ガウスのネオジュウムを採用した。永久磁石片5の内面には、非作動時に慣性質量3が不用な動きで永久磁石片5に当たる衝撃で破損することを防止するために、各永久磁石片の内面には緩衝材7を設けてある。

【13】
また、磁気シールドで形成される慣性空間4内には、前記永久磁石片の磁束通過孔6に対向させて、SQUID(超電導量子干渉素子)磁束計10が1軸に対して1個又は2個(本実施形態では2個)づつ3軸に配置してある。該SQUID磁束計10は、従来公知のものを採用することができ、各磁束計が各永久磁石片5に対して一定の同一距離となるように、適宜の係止手段で筐体内に固定されている。

【14】
本実施形態の高温超電導加速度計は、以上のように構成され、超電導体の慣性質量3は、超電導体の基本的性質であるマイスナー効果により、その周囲に球状に配置された永久磁石片5によって形成される磁場が均一に反発されるので、通常は同心的に中央に浮遊している状態にある。その状態で加速度が作用すると加速度の作用方向に完全反磁性の性質をもつ慣性質量3が変位し、永久磁石片5との間隔が変化して磁束密度が変化する。その変化分をジョセフソン効果を利用した各SQUID磁束計10で計測することによって、3軸の加速度量を得ることができる。

【15】
上記作動において、特に本発明では、慣性質量3は、従来と違ってヒンジを使用しないでマイスナー効果により浮上させているので、ヒンジによる入力軸の反力(摩擦、弾性)がなく正確に加速度の変化に追従して変位する。しかも、磁気シールド内に液体窒素が充填されてないため、各構成要素が液体窒素中に浸漬されず、気体雰囲気中で動作させることができるので、液体の沸騰による気泡の発生等に影響されることがない。また、動特性に優れている。それらの好条件により、本発明の3軸超電導加速度計では、3軸方向の10-12gまでの微小加速度も高分解能で計測することが可能である。

【16】
従って、本発明で得られる3軸超電導加速度計は、先進慣性航法の関連要素技術としての重力傾斜計としても利用できる。重力傾斜計は、距離をおいて複数個の加速度計を配置して、その加速度量の差を検出し、重力分布を計測するものであり、その応用として慣性航法の高精度化はもとより、重力異常、地殻変動、地球の重力分布計測等がある。このような装置に内蔵される加速度計は、2点間の重力加速度の差異と同程度の極めて微小な出力(10-10g~10-13g程度)が精度良く検出可能であることが要求される。従来の加速度計の分解能は、10-7gが限界であったため、このような要求を満たすことができなかったが、本発明の高温超電導加速度計によればこのような高精度の要求を満たすことができ、重力傾斜計はもとより地震予知、資源探査、重力波検出にも有効である。

【17】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の3軸超電導加速度計は次のような格別な効果を奏するものである。
1)慣性質量はヒンジを使用しないで、マイスナー効果により浮上させているので、ヒンジが破損するおそれがなく、対衝撃性が大幅に向上した高温超電導加速度計を得ることができる。
2)ヒンジによる入力軸の反力(摩擦、弾性)がなく、しかも3軸任意の方向に変位可能であるので、慣性質量は正確に加速度の変化に追従して変位する。従って、高分解能の超電導加速度を得ることができる。
3)筐体内部を冷却するだけで、慣性質量は自動的に定位置に安定するオートセンタリング機能があるので、常に安定した初期条件で計測することができる。
4)ヒンジを有する支持具を使用しないので、X、Y、Z軸の一体型3軸構成が可能である。そのため装置の小型化が可能となる。
5)磁界発生手段はマイスナー効果発生用永久磁石を兼用するので、超電導コイルが不要である。そのため、高温超電導体使用に伴うコイル整形の困難さ、臨界磁場の低さの問題点を克服でき、液体窒素沸点温度で作動可能で且つ高分解能で加速度を計測できると共に、構成要素数が減少して故障率が低下する。
6)SQUID磁束計を1軸に2個対向配置する差動方式の構成が容易に取れるので、信号/雑音(S/N)比に優れている。
7)永久磁石片の内側に緩衝材を挿入しているので、非作動時に慣性質量が不用な動きによる衝撃が少なく破損を防止できる。
8)磁気シールド内に液体窒素が充填されていないので、各構成要素が液体窒素中に浸漬されず、気体雰囲気中で動作させることができる。そのため、動特性に優れた超電導加速度計を得ることができる。

【2】

【従来の技術】従来、加速度を検出するセンサとして動電型加速度計、圧電型加速度計、歪ゲージ型加速度計、サーボ型加速度計、静電支持型加速度計、超電導加速度計がある。その中で、超電導加速度計は、従来の高感度と言われているサーボ型加速度計と比べても極端に高い分解能を持つ加速度計であり、高精度の加速度検出が要求される例えば、慣性航法や重力分布計測等の分野への利用が期待されている。

【3】
従来提案されている超電導加速度計は、各構成要素に液体ヘリウムで冷却可能な低温超電導体(例えば、ニオブ、チタン、錫等、或いはこれらの合金系材料、化合物系材料等)を用いて、その特性であるゼロ抵抗(完全電導性)、完全反磁性(マイスナー効果)、ジョセフソン効果を利用して加速度計を構成したものであり、液体ヘリウム(4.2K以下)での冷却状態下で使用するものである。

【4】
超電導加速度計の原理の概要を図3に示す。慣性質量(プルーフ・マス)20は低温超電導体で作られ、液体ヘリウム26が充填されている超電導磁気シールド21内に、ヒンジ22を介して支持されて慣性空間に静止している。低温超電導体で作られた超電導コイル23には、永久電流が流れて周囲には磁場が発生している。ここで加速度が作用すると、完全反磁性の性質を持っプルーフ・マス20と超電導コイル23の間隔が変化して磁束密度が変化する。その変化分をジョセフソン効果を利用したSQUID(超電導量子干渉素子)磁束計25で計測して加速度量を得るようにしたものてある。

【5】
慣性質量20を懸垂している前記ヒンジ22は、一般に図4に示す断面形状をし、図においてY軸方向(入力軸方向)の運動のみ許し、他の軸方向の運動に対して高い剛性を与えるようになっている。しかも、入力軸方向の運動に対しても、ヒンジの弾性や摩擦抵抗等の反力が作用するので、加速度の変化に慣性質量の変位を完全に追従させるのは不可能である。従って、ヒンジを使用した従来の超電導加速度計において、加速度を高分解能で測定するためには少なくとも入力軸方向に対してはヒンジの抵抗を極力小さくすることが望ましい。一例として、従来のヒンジの最薄部分の厚さは、10μm、幅2.2mm、材質にベリリウム銅合金を使用している。そのため、ヒンジの耐衝撃は極めて低く、ヒンジを固定端からの距離により断面積が変化する片持ち梁であると考えると、上記の例で、例えば26グラムの振子を付けた場合、振子軸方向の耐Gは53gである。これでは、通常の取扱や輸送で遭遇する加速度環境に耐えることができず、ヒンジを薄くするにも限界がある。

【6】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の超電導加速度計は、慣性質量をヒンジを介して支持しているので、1軸方向にしか変位できない1軸構成であり、しかもヒンジを薄くするにも限界があるので、加速度分解能の向上に制限を受けている。また、ヒンジを極力薄く形成する必要上、取扱や輸送での耐衝撃性に弱く取扱が困難である等の問題点がある。

【7】
そこで、本発明は従来の超電導加速度計の上記問題点を解消しようとするものであり、ヒンジを介さずに慣性質量を支持することによって、ヒンジ使用による制限を受けることなくして、直角座標系における3軸方向に自由な変位ができて3軸方向の加速度を精密に計測可能とし、しかもヒンジ等による抵抗がなく超高分解能で微小加速度を測定でき、且つ耐衝撃性があり取扱の容易な3軸超電導加速度計を提供することを目的とする。

【8】

【課題を解決するための手段】本発明の超電導加速度計は、超電導体からなる慣性質量、磁界発生手段、磁束計測手段が磁気シールドされた慣性空間に配置されてなる超電導加速度計において、前記慣性質量をマイスナー効果により慣性空間に浮遊保持するという技術的手段を採用することによって、上記問題点を解決したものである。

【9】
前記慣性質量を超電導球体で構成し、且つ前記磁界発生手段を前記超電導球体と同心球状に配置された複数個の永久磁石片に構成することによって、オートセンタリング機能が生じ、慣性質量が自動的に定位置に安定して位置し、常に同一初期条件で計測が可能となる。また、前記永久磁石片の内面に緩衝材を設けることが非作動時の慣性質量の保護のために望ましい。前記磁束計測手段は、1軸に対して1個又は2個配置可能であるが、各軸に対して2個対向配置するのが望ましい。前記慣性空間は、気体雰囲気又は真空雰囲気とすることで、液体窒素等の冷却液の発泡によるノイズの発生のおそれがない。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3