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明細書 :軌道上非協力物体の姿勢制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3172770号 (P3172770)
公開番号 特開2001-114199 (P2001-114199A)
登録日 平成13年3月30日(2001.3.30)
発行日 平成13年6月4日(2001.6.4)
公開日 平成13年4月24日(2001.4.24)
発明の名称または考案の名称 軌道上非協力物体の姿勢制御方法
国際特許分類 B64G  1/24      
G05D  1/08      
FI B64G 1/24 Z
G05D 1/08
請求項の数または発明の数 2
全頁数 4
出願番号 特願平11-297984 (P1999-297984)
出願日 平成11年10月20日(1999.10.20)
審査請求日 平成11年10月22日(1999.10.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】本橋 聡美
【氏名】松本 甲太郎
【氏名】狼 嘉彰
個別代理人の代理人 【識別番号】100092200、【弁理士】、【氏名又は名称】大城 重信 (外2名)
審査官 【審査官】小山 卓志
参考文献・文献 国際公開90/1447(WO,A1)
調査した分野 B64G 1/24
G05D 1/08
特許請求の範囲 【請求項1】
宇宙空間軌道上で自由運動を行っている非協力物体の姿勢制御方法であって、該非協力物体に他の衛星から投射物を投射することにより、衝撃を与えて姿勢運動を制御することを特徴とする軌道上非協力物体の姿勢制御方法。

【請求項2】
前記投射物がテザーによりつながれて、衝突後回収され、再投射できるようにした請求項1記載の軌道上非協力物体の姿勢制御方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、宇宙空間軌道上でタンブリングやニューテーションのような複雑な自由運動を行っていて捕獲が困難な非協力物体の姿勢制御方法に関する。

【10】
また、ニューテーションだけでなく、タンブリング運動を行っている時にも、主回転運動方向でない回転を止めるような衝撃を与えるという点で同じであり、タンブリングを行っている物体を静止することも可能である。

【11】

【実験例】無重力及び摩擦がないという宇宙空間と同じ環境を地上で模擬することは非常に難しいが、実験は、模擬衛星を三軸のジンバル機構(6個のボールベアリング)により保持して、重力によるモーメントがかからないようにして、できる限り無重力空間と同じ条件をパッシブに模擬し、略無重力状態でニューテーションを行うようして、力を加えてその反応調べる実験装置により行うことができる。

【12】
ここでは、数値シミュレーションにより本発明の有効性の確認を行った。数値シミュレーションでは、重さ450Kg、慣性モーメントIx=115.2Kgm2、Iy=112.2Kgm2、Iz=133.7Kgm2の模擬衛星を採用し、角速度をスピン軸回り30deg/s、直交成分15deg/sでニューテーション運動させた。それに、重さ0.5kgの物体を相対速度3m/sでぶっつけて衝撃をくわえた。それを約10回繰り返し与えた。そのときのニューテーション角の変化を図3に示す。また、そのときの主回転方向軸の軌跡を図4に示す。なお、図3にaは投射物により衝撃を与えた場合、bは衝撃を与えない場合のそれぞれのニューテーション角の変化線図である。また、図3において実線は衝撃を与えた場合、破線は衝撃を与えない場合のスピン軸の一端の軌跡を示している。

【13】
以上のように、自由運動をしている物体に衝撃を繰り返し与えることにより、徐々にニューテーション角を減らしてシングルスピンにすることができる。シングルスピンするために必要なトルクは力学的に簡単に計算され、上記の例では、シングルスピンにするまでの必要回数は11回と計算される。以上のような、数値シミュレーションにより非協力物体に外部から機械的な衝撃を与えるという単純な方法で自由運動を行っている物体の姿勢制御が可能であることが確認された。

【14】

【発明の効果】以上のように、本発明の軌道上の非協力物体の姿勢制御方法によれば、網やテザーなどの大掛かりなシステムを必要としないで、自由運動をしている非協力物体をシングルスピン運動にさせることができる。また、単に非協力物体に投射物を投射して衝撃を与えるだけであるので、非協力物体の姿勢運動が厳密に判っている必要がなく、タイミング・大きさ・方向誤差等の影響をあまり受けない。さらに、ロボットアームが巻き込まれ損傷を受ける等の危険が少ないため安全である、等の顕著な効果がある。

【2】

【従来の技術】宇宙空間軌道上で複雑な自由運動を行っている非協力な不具合衛星の回収・修理やスペースデブリの軌道外投棄のためには、まずその自由運動を行っている物体の捕獲が必要となる。これらの物体は、姿勢制御が不可能であり、シングルスピンだけでなく、ニューテーションあるいはタンブリングを起こしているので、捕獲衛星からロボットアームで捕獲することは困難である。そこで、従来このような自由運動を行っている非協力物体の捕獲を容易にするために、その角運動量を減衰させさせる方法が種々検討されている。従来提案されている方法として、綱<HAN>・</HAN>テザー等を非協力物体に巻き付けることによりそれ自体の運動量を減衰させる方法、又は例えば、捕獲衛星のスピン軸を非協力物体のスピン軸に一致させ、ロボットアーム等で運動に追従し、相対速度をなくして捕獲する方法(例えば、特開平6-127495号公報)などが提案されている。

【3】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、綱<HAN>・</HAN>テザーを用いる方法では、そのために綱<HAN>・</HAN>テザーやその駆動部分などの装置、技術を必要とし、全体が大掛かりなシステムとなる問題点がある。一方、ロボットアームなどで非協力物体の運動に追従する方法は、非協力物体の運動を外部から推定し、その運動に追従する必要があるが、推定、追従制御が困難である問題点がある。

【4】
そこで、本発明は、今後の宇宙環境安全等に必要な故障衛星の修理やデブリの軌道外投棄にとって重要となる上記問題点を解決しようとするものであり、その目的とするところは、網やテザー等の大掛かりなシステムによらずに、簡単な方法で非協力物体の角運動量を減衰させることができる軌道上の非協力物体の姿勢制御方法を得ることにある。

【5】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の解決策として、非協力物体の運動を完全に静止させることができないものの、シングルスピンにすることができればロボットアームで捕獲することは現実的に可能であるとの見識から研究した結果、まずニューテーション、タンブリングしている物体に適切なタイミングでロボットアーム若しくは何か物体を投射することにより衝撃を何回か与えることにより、徐々にニューテーションを止め、シングルスピンにすることを知得し、本発明に到達したものである。

【6】
即ち、上記問題を解決する本発明の軌道上非協力物体の姿勢制御方法は、該非協力物体に他の衛星から投射物を投射することにより、衝撃を与えて姿勢運動を制御することを特徴とするものである。前記投射物は、デブリを作らないために、テザーによりつながれていて、衝突後回収され再投射できるようにする。

【7】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明による軌道上非協力物体の姿勢制御方法を説明するための模式図である。図において、1は自由運動を行っている故障衛星等の非協力物体である。該非協力物体1に、投射物投射装置を有する回収衛星等の他の衛星が接近し、適切なタイミングで非協力物体の角運動量を減らすような向きに投射物2を投射することにより、衝撃を与える。このとき、投射物2はデブリを作らないためにテザー3などにより、衝突後回収され、再び投射できるようになっている。これを繰り返して衝撃を何回か与えることにより、非協力物体のニューテーションを徐々に止め、シングルスピンにすることができる。図1において、(a)は非協力物体がニューテーションしている状態、(b)は衝撃を与えてニューテーション角が小さくなった状態、(c)はシングルスピン状態になりロボットアーム4で捕獲可能になった状態をそれぞれ示している。

【8】
図2は非協力物体3がニューテーション運動を起こしている場合に、投射物により衝撃を与えることによってニューテーション角を減衰させることができるこの発明の原理を示している。ニューテーションを行っている非協力物体1は、主回転方向角度速度Ω1だけでなく、その直交成分角速度Ω2を持っており、その結果角運動量ベクトルHは図示に示す方向となり、主回転方向と一致していない。しかしながら、適切な方向から力Fを加えると、その力によるトルクTは、直交成分角速度Ω2を減らす方向に働き、角運動量ベクトルHは図にH’で示すように主回転軸方向に移動する。その結果、ニューテーション角θは、図示のようにθ’に減少する。これを繰り返すことにより、ニューテーション角θを0にする、即ちシングルスピンにすることができる。

【9】
以上は、自由運動物体が円筒状で衝撃の際、摩擦力がないと過程した場合であり、自由運動物体が円筒状でない場合、もしくは衝撃の摩擦力を考慮した場合には、さらにシングルスピンを止めることにより運動を静止させることができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3