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明細書 :飛行船

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3362018号 (P3362018)
公開番号 特開2001-130493 (P2001-130493A)
登録日 平成14年10月18日(2002.10.18)
発行日 平成15年1月7日(2003.1.7)
公開日 平成13年5月15日(2001.5.15)
発明の名称または考案の名称 飛行船
国際特許分類 B64B  1/60      
B64B  1/70      
FI B64B 1/60
B64B 1/70
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願平11-320162 (P1999-320162)
出願日 平成11年11月10日(1999.11.10)
審査請求日 平成11年11月10日(1999.11.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501137577
【氏名又は名称】独立行政法人 航空宇宙技術研究所
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】横幕 良生
【氏名】江口 邦久
【氏名】鈴木 弘一
【氏名】松崎 義郎
【氏名】吉田 俊之
【氏名】大垣 正信
【氏名】佐々木 嘉隆
【氏名】前畑 貴芳
個別代理人の代理人 【識別番号】100075557、【弁理士】、【氏名又は名称】西教 圭一郎 (外2名)
審査官 【審査官】小山 卓志
参考文献・文献 特開 平6-199290(JP,A)
特開 平11-278393(JP,A)
特開 平2-185894(JP,A)
米国特許3972492(US,A)
調査した分野 B64B 1/60
B64B 1/70
特許請求の範囲 【請求項1】
骨格構造が可撓性を有する外皮によって覆われた擬似軟式構造の機体11を有する飛行船において、
空気が充満する外皮中に、浮揚ガスを収容するガス嚢が複数収容され、
前記外皮とガス嚢との間の空間の空気を排出、または外気を前記空間に吸引して機内圧力を調整する内圧調整手段を有し、
機体11の骨格構造21は、機体下部で機軸方向に延びて内胴を構成するキール構造23を有し、
複数の各ガス嚢は、機体11の機軸方向に沿って配置され、
各ガス嚢のうち、前後のガス嚢12a,12bの間の中間部の各ガス嚢12cは、吊下げ手段30によってそれぞれキール構造23に連結され、
各吊下げ手段30は、
中間部の各ガス嚢12cの上面を周方向に半周覆うネット31と、
中間部の各ガス嚢12cの前面および後面を覆って設けられ、ネット31の前後両端部に連結されるカーテン32と、
上方に放射状に広がり、カーテン32に連結される放射状ロープ33と、
放射状ロープ33の中心とキール構造23とを結合する結合ロープ34とを有することを特徴とする飛行船。

【請求項2】
骨格構造が可撓性を有する外皮によって覆われた擬似軟式構造の機体11を有する飛行船において、
空気が充満する外皮中に、浮揚ガスを収容するガス嚢が複数収容され、
前記外皮とガス嚢との間の空間の空気を排出、または外気を前記空間に吸引して機内圧力を調整することによって、内外差圧が30~70mmAq程度に保たれるように制御する内圧調整手段を有し、
機体11の骨格構造21は、
前胴を構成する機首構造22と、
機体下部で機軸方向に延びて内胴を構成し、前端部に機首構造22が連結されるキール構造23と、
後胴を構成し、キール構造23の後端部に連結される船尾構造24とで、構成され、
複数の各ガス嚢は、機体11の機軸方向に沿って配置され、
各ガス嚢のうち、最前部のガス嚢12aは、機首構造22内に収容され、
最後部のガス嚢12bは、船尾構造24内に収容され、
最前部のガス嚢12aと、最後部のガス嚢12bとの間の中間部の各ガス嚢12cは、吊下げ手段30によってそれぞれキール構造23に連結され、
各吊下げ手段30は、
中間部の各ガス嚢12cの上面を周方向に半周覆うネット31と、
中間部の各ガス嚢12cの前面および後面を覆って設けられ、ネット31の前後両端部に連結されるカーテン32と、
上方に放射状に広がり、カーテン32に連結される放射状ロープ33と、
放射状ロープ33の中心とキール構造23とを結合する結合ロープ34とを有し、
空気を吸排および保持する空気嚢が機体11の下部の前後にそれぞれ設けられ、これらの空気嚢によって機体11の前後の姿勢を調整することを特徴とする飛行船。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、飛行船に関し、特に高高度を飛行する飛行船に関する。

【10】

【課題を解決するための手段】本発明は、骨格構造が可撓性を有する外皮によって覆われた擬似軟式構造の機体11を有する飛行船において、空気が充満する外皮中に、浮揚ガスを収容するガス嚢が複数収容され、前記外皮とガス嚢との間の空間の空気を排出、または外気を前記空間に吸引して機内圧力を調整する内圧調整手段を有し、機体11の骨格構造21は、機体下部で機軸方向に延びて内胴を構成するキール構造23を有し、複数の各ガス嚢は、機体11の機軸方向に沿って配置され、各ガス嚢のうち、前後のガス嚢12a,12bの間の中間部の各ガス嚢12cは、吊下げ手段30によってそれぞれキール構造23に連結され、各吊下げ手段30は、中間部の各ガス嚢12cの上面を周方向に半周覆うネット31と、中間部の各ガス嚢12cの前面および後面を覆って設けられ、ネット31の前後両端部に連結されるカーテン32と、上方に放射状に広がり、カーテン32に連結される放射状ロープ33と、放射状ロープ33の中心とキール構造23とを結合する結合ロープ34とを有することを特徴とする飛行船である。

【11】
本発明に従えば、機体の外皮中に、浮揚ガスを収容するガス嚢が収納され、飛行船は二重膜構造となっており、また外皮とガス嚢との間の空気層は内圧調整手段によって調整される。したがって、地上付近では外皮中でガス嚢は収縮しており、内圧調整手段で外気を外皮内に吸引し、内外差圧を所定の圧力に保持している。飛行船が上昇し、外気圧が低下すると、これに伴ってガス嚢が膨張する。このとき内圧調整手段で外皮とガス嚢との間の空気を排出することによって、内外差圧を所定圧に保つことができる。

【12】
このように本発明では、浮揚ガスをガス嚢に収容し、二重膜構造とするとともに、外皮内の空気を吸排して機体内圧を調整することによって、従来の飛行船のように内圧調整のためにバロネットを使用する必要がなくなる。これによって、地上付近で機体の体積のほとんどを占めるようなバロネットを必要とせず、上空でバロネットが収縮した際、バロネット内の空気が不均一となって機体姿勢が安定しなくなるといった問題が防がれる。また、二重膜構造とすることで、ガス嚢が損傷した場合であっても浮揚ガスは外皮内に溜まり、すぐに飛行船が降下するといったことが防がれ、安全性が向上する。また、本発明の飛行船は、機体の骨格構造を外皮で覆う擬似軟式の飛行船であり、複数のガス嚢は、骨格構造のキール構造に機軸方向に沿って個別に結合される。したがって、飛行船が地上付近にあり、各ガス嚢が収縮している場合であっても、各ガス嚢は骨格構造に均一に浮力を伝達することができ、機体の姿勢が不安定になることが防がれる。また、機体中央に余剰浮力が集中することがないので、機体に大きな曲げモーメントが作用するといったことが防がれ、また、複数のガス嚢に分割されることにより、冗長性も増す。

【13】
本発明に従えば、ガス嚢が機体の機軸方向に複数設けられるので、機体には機軸方向全長にわたって均一に浮力が作用する。これによって、機体の姿勢が安定するとともに、前述した従来技術のように、機体中央に余剰浮力が集中することがないので、機体に大きな曲げモーメントが発生することが防がれる。また、複数のガス嚢に分割されることにより、冗長性も増す。

【14】
本発明に従えば、機体の内圧調整は、前述した内圧調整手段によって調整するので、機体の前後に配置されるバロネット(空気嚢)は、主に機体の姿勢制御に用いられる。したがって、バロネットの容積を小さくすることができ、従来の飛行船のように上空でバロネットに皺がよった状態で収縮するといったことが防がれる。

【15】


【16】
また本発明は、骨格構造が可撓性を有する外皮によって覆われた擬似軟式構造の機体11を有する飛行船において、空気が充満する外皮中に、浮揚ガスを収容するガス嚢が複数収容され、前記外皮とガス嚢との間の空間の空気を排出、または外気を前記空間に吸引して機内圧力を調整することによって、内外差圧が30~70mmAq程度に保たれるように制御する内圧調整手段を有し、機体11の骨格構造21は、前胴を構成する機首構造22と、機体下部で機軸方向に延びて内胴を構成し、前端部に機首構造22が連結されるキール構造23と、後胴を構成し、キール構造23の後端部に連結される船尾構造24とで、構成され、複数の各ガス嚢は、機体11の機軸方向に沿って配置され、各ガス嚢のうち、最前部のガス嚢12aは、機首構造22内に収容され、最後部のガス嚢12bは、船尾構造24内に収容され、最前部のガス嚢12aと、最後部のガス嚢12bとの間の中間部の各ガス嚢12cは、吊下げ手段30によってそれぞれキール構造23に連結され、各吊下げ手段30は、中間部の各ガス嚢12cの上面を周方向に半周覆うネット31と、中間部の各ガス嚢12cの前面および後面を覆って設けられ、ネット31の前後両端部に連結されるカーテン32と、上方に放射状に広がり、カーテン32に連結される放射状ロープ33と、放射状ロープ33の中心とキール構造23とを結合する結合ロープ34とを有し、空気を吸排および保持する空気嚢が機体11の下部の前後にそれぞれ設けられ、これらの空気嚢によって機体11の前後の姿勢を調整することを特徴とする飛行船である。

【17】

【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態である飛行船10の構成を示す断面図である。本実施形態の飛行船10は、たとえば通信電波の中継基地などとして利用される成層圏プラットフォーム飛行船システムに用いられる飛行船である。そのため、高度約20kmまで上昇し、そこで停留する。

【18】
図1に示すように、飛行船10は機体11内に複数のガス嚢12を収納し、機体11の下部にバロネット(空気嚢)13,14および内圧調整手段18が備えられる。内圧調整手段18は2機のブロア15,16と自然排気口17とを有し、機体11の外皮20とガス嚢12との間の空間の空気を吸排することによって機体11内の圧力を調整する。

【19】
バロネット13,14は、機体11の前後に設けられる。また、バロネット13,14には、バロネット13,14内の空気を吸排するブロア25,26が設けられ、これらによってバロネット13,14に保持する空気の量を調整することによって機体11の前後の姿勢(ピッチ角)を制御する。

【2】

【従来の技術】図9は、従来の飛行船1の構成を示す断面図である。飛行船1は、機体7の外皮2内に浮揚ガスとしてヘリウムガスを収容している。また、機体7の前後には、機体7の内圧および重量バランスを調整するため、空気を吸排、保持するバロネット(空気嚢)3,4が設けられる。各バロネット3,4には吸排気用のブロア5,6が取付けられる。

【20】
ガス嚢12には空気の比重よりも軽いヘリウムガスが収納される。また機体11の後部には推進装置19が設けられる。

【21】
図2は、飛行船10の機体11の構成を示す分解斜視図である。飛行船10の機体11は、骨格構造21と、この骨格構造21を覆う可撓性を有する外皮20とから構成され、疑似軟式構造である。骨格構造21は機首構造22、キール構造23および船尾構造24とで構成され、キール構造23は機体下部で機軸方向に延びて中胴を構成し、キール構造23の前端部に前胴を構成する機首構造22が一体に連結され、キール構造23の後端部に後胴を構成する船尾構造24が一体に連結される。この骨格構造21が各ガス嚢12に支持される。

【22】
ガス嚢12は、機体11の機軸方向に複数、本実施形態では7個配置され、最前部のガス嚢12aは略半球状であり、機首構造22内に収容され、最後部のガス嚢12bは略円錐状であり、船尾構造24内に収容され、骨格構造21の前後に直接浮力を伝達する。中間部の5つのガス嚢12cは樽状であり、それぞれ吊下げ手段30を介してキール構造23に連結され、骨格構造21に間接的に浮力を伝達する。

【23】
図3は吊下げ手段30の構成を示す斜視図である。吊下げ手段30は、樽状のガス嚢12cの上面を覆うネット31と、ネット31とキール構造23とを連結する一対のカテナリー35とから構成される。ネット31は、ガス嚢12の上面を周方向に半周覆い、ガス嚢12cの前面および後面を覆って設けられるカテナリー35を介してキール構造23に連結される。カテナリー35は、ネット31の前後両端部に連結される三日月状のカテナリーカーテン32と、上方に放射状に広がり、カテナリーカーテン32に連結されるカテナリーロープ33と、カテナリーロープ33の中心とキール構造23とを結合するキール結合ロープ34とから構成される。なお図4に各ガス嚢12を吊下げ手段30で吊下げた状態を示す。

【24】
このように、複数のガス嚢12がそれぞれ機軸方向にほぼ均一に配置され、前後部のガス嚢12a,12bは機首および船尾構造22,24に収容されて骨格構造21の前後に浮力を作用させ、中間部の各ガス嚢12cは、吊下げ手段30を介してキール構造23の全長にわたってほぼ均一に浮力を作用させる。このようにして、骨格構造21には機軸方向にわたって均一に各ガス嚢12a~12cから浮力が作用する。

【25】
このように骨格構造21は各ガス嚢12a~12cに支持されるので、飛行船10が地上付近にあり、ガス嚢12が収縮している場合であっても各ガス嚢12a~cはそれぞれ骨格構造21に均一に浮力を伝達することができる。したがって、図5に示すように、機体に作用する余剰浮力は機体11の機軸方向に均一に作用するので、下向き荷重と余剰浮力とがバランスし、姿勢が不安定となることが防がれ、また、従来の飛行船のように機体に曲げモーメントが作用することが防がれる。

【26】
図6は外皮20の断面図であり、図7はガス嚢12の断面図である。外皮20は、繊維基布層40の下面にウレタンゴム系の接着層41を介してアルミニウム43が蒸着され、また繊維基布層40の上面に同様にウレタンゴム系の接着層42を介してアルミニウム45が蒸着され、最上層が透明フィルム46と成る。このような構成によって外皮20は空気を漏らすことなく、軽量にかつ強固に形成することができる。

【27】
図7に示すようにガス嚢12は、ポリエチレンから成る保護層50の上にガスバリア層51が接着され、さらにその上にアルミニウム52が蒸着され、最上層がポリエチレンから成る保護層53となる。このようにガス嚢12が形成されることによって、ヘリウムガスを漏らすことなく軽量にかつ強固に形成することができる。

【28】
また、ガス嚢12は、外皮20内に収容されるので、ガス嚢12が損傷し、ヘリウムガスが漏れたとしても、漏れたヘリウムガスは外皮20内に溜まる。外皮20内の空気を排出する内圧調整手段18は機体11の下部に設けられるので、漏れ出したヘリウムガスは外皮20内で上部に溜まり、漏れ出したガスがすぐに機外に排出されるといったことが防がれ、安全性が向上する。また、このようなガス嚢12は複数設けられ、冗長性が増す。

【29】
図8は、飛行船10の上昇および降下方法を説明する図である。飛行船10が地上にある場合には、各ガス嚢12はそれぞれ収縮しており、外皮20とガス嚢12との間の空間には内圧調整手段18のブロア15,16によって空気が充填されている。この状態で、内圧調整手段18の自然排気口17を開けるとともに、ブロア15,16によって外皮20内の空気を排出して機内質量を減らすことによって余剰浮力が発生し、飛行船10は上昇し始める。

【3】
地上に比べて上空では気圧が低くなるため、飛行船1が上昇すると浮揚ガスであるヘリウムガスが膨張するので、外皮2中の内圧を一定に保持するために、バロネット3,4は、地上では外気を吸引して膨張し、上空では空気を排出して収縮させる。また、飛行船1の前後姿勢(ピッチ角)制御は前後のバロネット3,4に保持する空気の量を調整することによって行う。

【30】
内圧調整手段18によって内外差圧を30~70mmAq程度に保持されているので、飛行船10が上昇するとガス嚢12が膨張する。

【31】
予め定める高度である高度20km付近に達したところで内圧調整手段18のブロア15,16によって内圧を高め、またバロネット13,14に空気を取込むことにより余剰浮力を相殺して停留する。また停留時は内圧調整手段18によって内外差圧を30~70mmAq程度に制御する。

【32】
飛行船10を降下させる場合には、内圧調整手段18のブロア15,16により外気を取込んで外皮20内の圧力をガス嚢12内圧より少し大きくし、ガス嚢12を縮めて余剰浮力を減らす。また、内部に空気を取込むことにより機内質量が増加する。これらの作用により飛行船10は降下し始める。なおこのとき、内圧を外皮20の膜強度内に抑えるために、余剰ヘリウムガスを放出する場合もある。

【33】
降下中は飛行船10のピッチ角(迎角)がマイナス数度程度となるようにする。この制御はバロネット13,14によって行う。バロネット13,14は機体11の前後に設けられ、機体11の前部を下げる場合には、ブロア25によって前方のバロネット13に空気を取りこみ、ブロア26によって後方のバロネット14から空気を排出する。これによって、機体11の前方を重くして前部を下げることができる。逆に、前部を持ち上げる場合には、前方のバロネット13から空気を排出し、後方のバロネット14に空気を取りこむ。このように、本発明のバロネット13,14は主に機体11の姿勢制御に用いられ、従来のバロネットのように機体の内圧制御にはほとんど寄与しないので、バロネット13,14の容量を大きくする必要がなく、これによって上空でバロネット13,14に皺がよった状態で収縮するといったことが防がれる。また、降下中は内圧調整手段18によって内外差圧を70mmAq程度に保持する。

【34】
地上付近まで降下すると、内圧調整手段18で内外差圧を30mmAq程度にし、浮力を回復させて降下速度を低下させる。

【35】
また、内圧調整手段18のブロア15,16、バロネット13,14に設けられるブロア25,26および推進装置19の駆動電力は外皮20の上面に貼付けられる太陽電池および機体11に搭載される燃料電池から得られる。

【36】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、機体外皮中にガス嚢を収容し、二重膜構造とするとともに、外皮内の空気を吸排して機体内圧を調整することによって、従来の飛行船のように内圧調整のためにバロネットを使用する必要がなくなる。これによって、地上付近で機体の体積のほとんどを占めるようなバロネットを必要とせず、上空でバロネットが収縮した際、バロネット内の空気が不均一となって機体姿勢が安定しなくなるといった問題が防がれる。また、二重膜構造とすることで、ガス嚢が損傷した場合であっても浮揚ガスは外皮内に溜まり、すぐに飛行船が降下するといったことが防がれ、安全性が向上する。また、複数のガス嚢は、キール構造に機軸方向に沿って個別に連結されるので、機体には機軸方向全長にわたって均一に浮力が作用する。これによって、機体の姿勢が安定するとともに、前述した従来技術のように、機体中央に余剰浮力が集中することがないので、機体に大きな曲げモーメントが発生することが防がれる。また、複数のガス嚢を有することにより、冗長性も増す。

【37】
また、本発明によれば、機体の内圧調整は、前述した内圧調整手段によって調整するので、機体の前後に配置されるバロネット(空気嚢)は、主に機体の姿勢制御に用いられる。したがって、バロネットの容積を小さくすることができ、従来の飛行船のように上空でバロネットに皺がよった状態で収縮するといったことが防がれる。

【38】


【4】

【発明が解決しようとする課題】従来の飛行船の飛行高度は高くともせいぜい3000m程度であり、地上と上空とでは気圧差はそれほど大きくないので、地上で最大にバロネット3,4を膨張させたときの容量は、外皮2の容量の20~30%程度である。

【5】
しかしながら、飛行船を高度20km程度まで上昇させるとすると、上空での気圧は地上での気圧の1/20程度となるため、図10に示すように、地上ではヘリウムの容積は機体の1/20程度となり、バロネット3,4が機体のほとんどを占める。

【6】
容量の少ないヘリウムは図11に示すように、機体7の中央に集まり、浮力はこのヘリウムによる余剰浮力によってもたらされる。これに対して下向き荷重は機体7の長手方向全長にわたって下向きに発生する。このような浮力と荷重とのアンバランスによって機体7に大きな曲げモーメントが生じるといった問題を有する。

【7】
またこのように浮力が中心のみに作用することにより、機体7は姿勢が不安定となる。また外皮2内でヘリウムガスは移動可能であるので、姿勢が不安定になると図12に示すように、ヘリウムガスがノーズ部に移動したり、テール部に移動してしまう可能性がある。

【8】
また、飛行船1が上昇した場合には、ヘリウムガスが外皮膜2内で膨張し、これにともなってバロネット3,4は収縮するが、バロネット3,4は1/20の容積まで収縮するため、図13に示すように、機内でかなり皺がよった状態になる。このため搭載空気が均一な配置にならず、かつ配置状態が予測不能であるため、図14に示すように機体姿勢が安定しないといった問題を有する。このように、従来の飛行船では飛行高度に制限があり、飛行高度を拡大することは困難であった。

【9】
本発明の目的は、従来の飛行船よりも飛行高度を大きく拡大することができる飛行船を提供することである。
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図7】
5
【図9】
6
【図10】
7
【図2】
8
【図8】
9
【図11】
10
【図13】
11
【図12】
12
【図14】
13