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明細書 :粒径分布測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3302991号 (P3302991)
公開番号 特開2001-141639 (P2001-141639A)
登録日 平成14年5月10日(2002.5.10)
発行日 平成14年7月15日(2002.7.15)
公開日 平成13年5月25日(2001.5.25)
発明の名称または考案の名称 粒径分布測定装置
国際特許分類 G01N 15/02      
G01N 15/14      
FI G01N 15/02 A
G01N 15/02
G01N 15/14
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願平11-324973 (P1999-324973)
出願日 平成11年11月16日(1999.11.16)
審査請求日 平成11年11月16日(1999.11.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501137577
【氏名又は名称】独立行政法人 航空宇宙技術研究所
【識別番号】596162016
【氏名又は名称】東日コンピュータアプリケーションズ株式会社
発明者または考案者 【氏名】林 茂
【氏名】高橋 位
個別代理人の代理人 【識別番号】100087826、【弁理士】、【氏名又は名称】八木 秀人 (外1名)
審査官 【審査官】郡山 順
調査した分野 G01N 15/02
G01N 15/14
特許請求の範囲 【請求項1】
レーザ光源から出射されて平行光束とされたレーザ光を測定空間中の粒子群に照射させることにより発生した散乱光を、光電変換素子からなるセンサが同心円状に複数配列された受光センサで受光し、この散乱光の散乱角に対応する光強度分布信号を前記受光センサに接続された信号処理部で処理した後、解析部で粒径分布を算定する構成の粒径分布測定装置において、
前記センサ数以下の連続する粒径区分で構成され、最小粒径を下限、最大粒径を上限とする当初粒径区間を設定し、
前記粒径区分の確率密度が負にならない範囲で、その確率密度に対する予測散乱エネルギーベクトルと実測散乱エネルギーベクトルとが最も一致するように各粒径区分の確率密度を求めたときに、最大粒径区分と最小粒径区分のいずれか一方の確率密度が所定値を越えた場合には、
前記予測散乱エネルギーベクトルと実測散乱エネルギーベクトルとが最も一致する粒径区間を、最大粒径区分の確率密度が所定値を越える場合にはより大粒径側へ、最小粒径区分の確率密度が所定値を越える場合にはより小粒径側へ、1粒径区分ずつシフトさせることにより得られた新粒径区間に基づいて、前記粒子群の粒径分布を得る算定手順を前記解析部に予め記憶させたことを特徴とする粒径分布測定装置。

【請求項2】
レーザ光源から出射されて平行光束とされたレーザ光を測定空間中の粒子群に照射させることにより発生した散乱光を、光電変換素子からなるセンサが同心円状に複数配列された受光センサで受光し、この散乱光の散乱角に対応する光強度分布信号を前記受光センサに接続された信号処理部で処理した後、解析部で粒径分布を算定する構成の粒径分布測定装置において、
前記センサ数以下の連続する粒径区分で構成され、最小粒径を下限、最大粒径を上限とする当初粒径区間に基づいて実測散乱エネルギーを解析した結果、確率密度が現出した正の連続する粒径区分の数が所定数より小さい場合には、該粒径区分を含む粒径区間を前記センサ数以下の新たな粒径区分に細分化することにより、各センサが捉えた散乱エネルギーを各粒径区分の確率密度で表現した計算式で、各粒径区分の確率密度が負にならない範囲で理論エネルギーベクトルと実測散乱エネルギーベクトルとが最も一致するように細分化を繰り返して各粒径区分の確率密度を求める算定手順を予め解析部に記憶させたことを特徴とする粒径分布測定装置。

【請求項3】
前記当初粒径区間に基づいて実測散乱エネルギーを解析した結果、確率密度が現出した正の連続する粒径区分の数が所定数より小さい場合には、該粒径区分を含む粒径区間を前記センサ数以下の新たな粒径区分に細分化することにより、各センサが捉えた散乱エネルギーを各粒径区分の確率密度で表現した計算式で、各粒径区分の確率密度が負にならない範囲で理論エネルギーベクトルと実測散乱エネルギーベクトルとが最も一致するように細分化を繰り返して各粒径区分の確率密度を求める算定手順を予め解析部に記憶させたことを特徴とする請求項1記載の粒径分布測定装置。

【請求項4】
隣り合う粒径区分の境界の粒径が等比級数を形成するように構成されたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された粒径分布測定装置。

【請求項5】
隣り合う粒径区分の境界の粒径が等比級数を形成するように構成された粒径区分の前記細分化において、細分化された新たな粒径区分の境界の粒径も等比級数を形成するようにしたことを特徴とする請求項4記載の粒径分布測定装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、粒子群の粒径分布を測定するための粒径分布測定装置に関する。詳細には、粒径区間のシフトや粒径区分の細分化手順を記憶させた解析部を採用することによって、食品、薬品、セラミックスなどの原料粉体や燃料、塗料等の液滴群などの粒子群の粒径分布を高精度に測定できるようにした粒径分布測定装置に関する。

【10】
この積分方程式をW(D)について解くことが、粒径分布を決定することになるが、その解法には大別して二つある。まず、解法の一つは、W(D)として対数正規分布などの粒径分布関数を用い、そのパラメータ(通常、代表粒径と分布の広がりに関する2個のパラメータ)と粒子の量に関する定数Cを、E(Eiを要素とするベクトル)の実際の測定値と上記式1によって求められた予測値とがもっとも一致するように繰り返し計算により求める方法である(以下「解法I」という。)。

【11】
この解法Iは、確率分布が負の値になるということが絶対無く、非常に均一な単分散粒子に対して、高い粒径分解能が得られるという利点があり、以下に説明するもう一つの解法にはない特徴がある。

【12】
もう一つの解法は、式1を線形化し、最小二乗法的に解く方法である(以下「解法II」という。)。具体的には、粒径範囲を有限個の区分に分け、W(Dj)をj区分の確率密度(あるいはその粒径区分に入る粒子の総体積)とし、e(eiを要素とベクトル)を線形近似による誤差、散乱エネルギーの測定の誤差、散乱理論と実際の散乱現象との誤差の総和とすると、次式が得られる。

【13】

【数2】
JP0003302991B2_000003t.gifこの式を以下「式2」ということにする。或いは、
【数3】
JP0003302991B2_000004t.gifこの式を以下「式3」ということにする。ここで、kijは係数で、球形粒子の散乱理論路により与えられるi(D,θ)と積分公式を用いることによって予め計算される。

【14】
上記式3をそのまま解くと、上記式1の積分方程式の本質的な問題のためにほとんどの場合、W(Dj)のいくつかが負の値になってしまうので、W(D)の滑らかさを要求する適度な拘束のもとに式3を満たすW(Di)≧0を求める。尚、拘束の強さは、前述の測定誤差等を考慮して求められる。

【15】
このように、従来の粒径分布測定装置の解析部22には、予め上記した解法I又はIIが記憶され、粒径分布を算定している。

【16】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来の粒径分布測定装置の粒径分布算定手段には、次の技術的課題があった。まず、上記解法Iでは、測定対象の粒子群の粒径分布が、用いる分布関数のモデルによって正確に表されるかどうか、ということが課題となる。例えば、即ち、粒子群の粒径分布の表示に頻繁に使用される対数正規分布やロージンラムラー分布は、単一ピークの関数であるので、複数のピークを持つ粒子群には適用できない。これらの粒径分布関数を複数組み合わせるという手段も考えられるが、多変数の非線形最適化の問題になり、通常最適解の検索が非常に困難となる。

【17】
次に、上記解法IIでは、粒径分布の算定の際に、算定対象となる「粒径区間」を固定していることに起因する課題がある。即ち、測定粒子の粒径が、予め固定された粒径区間の範囲に余裕をもって入っている場合は問題が生じないが、測定粒子の大粒径側が粒径区間の上限を超えたり、測定粒子の小粒径側が粒径区間の下限を超えたりすることがある。

【18】
このような場合、上記解法IIでは粒径区間の最大粒径区分又は最小粒径区分を中心に頻度にしわ寄せが発生し、実際の粒径分布と誤差が生じてしまうという問題が起きてしまう。即ち、代表粒径は過小評価あるいは過大評価されてしまうことになる。

【19】
測定可能な最大及び最小粒径は、そのレンズの焦点距離に略比例するので、適切な焦点距離のレンズに取り替える手段を採用することによって、この問題は解決できるが、レンズの取り替え作業や光学調整が煩雑となるのに加え、焦点距離を変えることに伴う分解能の変化を回避したい。

【2】

【従来の技術】従来から、固体や液体の粒状物質から構成される粒子群を取り扱う種々の科学・産業分野では、その粒子群の基本的特性を表す粒径分布を、より高精度に測定する技術が求められている。

【20】
更に、粒径分布算定の際の分解能に関する技術的課題がある。具体的には、上記解法IIによれば、原理的には、複数(2,3程度)のピークを持った粒径分布の測定に適用できるという利点がある一方、設定された粒径区分の幅が固定されているため、粒径区分の幅よりも狭い範囲に分布する粒子群の粒径分布を高精度に測定できないという課題が存在する。

【21】
粒径の分解能を高めるには、当初から一定の粒径区間内の区分数を増加させておくという手段が考えられるが、センサー数や増幅器の数もそれに応じて増加させる必要があるため、コストアップの要因となってしまう。

【22】
また、粒径の分解能を高めると同時に粒径区間も広げようとすると、一般に「ゴースト」と呼ばれる現象を発生させてししまう。即ち、微小な粒子が全く含まれない粒子群を測定しているにもかかわらず、微小粒径側にも粒子がわずかであるが存在するという結果を出してしまう。

【23】
これは、最大粒径と最小粒径との比(ダイナミックレンジ)が非常に大きくなると、上記式3における係数kijの最大のものと最小のものとの比率が極端に大きくなって、わずかの誤差によって微小粒径側のW(Dj)が過度に影響を受けてしまうことに起因する。このことは、粒径区間は、必要最小限に止めるべきであり、粒径区分の個数もむやみに大きくしないことが、高精度の測定を可能にすることを示している。

【24】
そこで本発明は、上記解法IIの技術的課題を解決するため、粒径区間のシフトや粒径区分の細分化手順を記憶させた解析部を採用して、粒子群の粒径分布を高精度に測定できるようにした粒径分布測定装置を提供することを目的とする。

【25】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を採用する。請求項1では、レーザ光源から出射されて平行光束とされたレーザ光を測定空間中の粒子群に照射させることにより発生した散乱光を、光電変換素子からなるセンサが同心円状に複数配列された受光センサで受光し、この散乱光の散乱角に対応する光強度分布信号を前記受光センサに接続された信号処理部で処理した後、解析部で粒径分布を算定する構成の粒径分布測定装置において、次の手段を採用する。即ち、前記センサ数以下の連続する粒径区分で構成され、最小粒径を下限、最大粒径を上限とする当初粒径区間を設定し、前記粒径区分の確率密度が負にならない範囲で、その確率密度に対する予測散乱エネルギーベクトルと実測散乱エネルギーベクトルとが最も一致するように各粒径区分の確率密度を求めたときに、最大粒径区分と最小粒径区分のいずれか一方の確率密度が所定値を越えた場合には、前記予測散乱エネルギーベクトルと実測散乱エネルギーベクトルとが最も一致する粒径区間を、最大粒径区分の確率密度が所定値を越える場合にはより大粒径側へ、最小粒径区分の確率密度が所定値を越える場合にはより小粒径側へ、1粒径区分ずつシフトさせることにより得られた新粒径区間に基づいて、前記粒子群の粒径分布を得る算定手順を前記解析部に予め記憶させた。この手段によれば、測定粒子の大粒径側が粒径区間の上限を超えたり、測定粒子の小粒径側が粒径区間の下限を超えたりする場合でも、実際の粒径分布と誤差が生じてしまうことが無く、代表粒径が過小評価あるいは過大評価されてしまうことがなくなる。また、煩雑なレンズの取り替え作業や光学調整の必要がなく、焦点距離を変えることに伴う分解能の変化も回避できる。

【26】
請求項2にでは、請求項1と同様の構成の粒径分布測定装置において、次の手段を採用する。即ち、センサ数以下の連続する粒径区分で構成され、最小粒径を下限、最大粒径を上限とする当初粒径区間に基づいて実測散乱エネルギーを解析した結果、確率密度が現出した正の連続する粒径区分の数が所定数より小さい場合には、該粒径区分を含む粒径区間を前記センサ数以下の新たな粒径区分に細分化することにより、各センサが捉えた散乱エネルギーを各粒径区分の確率密度で表現した計算式で、各粒径区分の確率密度が負にならない範囲で理論エネルギーベクトルと実測散乱エネルギーベクトルとが最も一致するように細分化を繰り返して各粒径区分の確率密度を求める算定手順を予め解析部に記憶させた。この手段では、粒径分布算定の際の分解能を高めることができ、粒径区分の幅よりも狭い範囲に分布する粒子群の粒径分布を高精度に測定できる。また、予め一定の粒径区間内の区分数を増加させるという手段を採用していないため、センサー数や増幅器の数も増加させる必要がなく、コストアップとならない。更に、粒径の分解能を高めると同時に粒径区間も広げるという手段を採用していないため、「ゴースト」現象を発生させることがなく、高精度の測定が可能となる。

【27】
請求項3では、請求項1記載の当初粒径区間に基づいて実測散乱エネルギーを解析した結果、確率密度が現出した正の連続する粒径区分の数が所定数より小さい場合には、該粒径区分を含む粒径区間を前記センサ数以下の新たな粒径区分に細分化することにより、各センサが捉えた散乱エネルギーを各粒径区分の確率密度で表現した計算式で、各粒径区分の確率密度が負にならない範囲で理論エネルギーベクトルと実測散乱エネルギーベクトルとが最も一致するように細分化を繰り返して各粒径区分の確率密度を求める算定手順を予め解析部に記憶させた。

【28】
この請求項3に係る粒径分布測定装置では、請求項1記載の手段に加えて、請求項に2の手段を兼ね備えているので、測定粒子の大粒径側が粒径区間の上限を超えたり、測定粒子の小粒径側が粒径区間の下限を超えたりする場合でも、実際の粒径分布と誤差が生じてしまうことが無いだけでなく、粒径分布算定の際の分解能を高めることも可能となる。

【29】
請求項4では、請求項1から3のいずれかに記載された粒径分布測定装置を、隣り合う粒径区分の境界の粒径が等比級数を形成するように構成した。この手段では、測定対象となる粒子群が、広範囲に及ぶ粒径を備えた粒子から構成されている場合でも、その粒子群の粒径分布を、設計上幅が限られている、所定の粒径区間内でも、効率よく測定することができる。

【3】
この技術要請に対して、近年、粒子群をレーザ光束によって照射し、その散乱強度の角度依存性から粒径分布を推定する、一般にレーザ回析法と呼ばれる測定技術が普及している。

【30】
請求項5では、請求項4記載の粒径分布測定装置を、隣り合う粒径区分の境界の粒径が等比級数を形成するように構成された粒径区分の前記細分化において、細分化された新たな粒径区分の境界の粒径も等比級数を形成するようにした。この手段では、細分化された新たな粒径区分の境界の粒径が、当初の粒径区分と同様の等比級数を形成するようにしたので、その粒径分布の解析方法を当初と同一のアルゴリズムで行うことができるので便利である。

【31】
以上説明した請求項1から5に記載された本願発明に係る粒径分布測定装置は、粒径区間のシフトや粒径区分の細分化手順を記憶させた解析部を採用することによって、食品、薬品、セラミックスなどの原料粉体や燃料、塗料等の液滴群などの粒子群の粒径分布を高精度に測定できるという技術的意義を有する。

【32】

【発明の実施の形態】次に、本発明に係る粒径測定装置の実施形態について、好適な実施例に基づいて、添付図面を参照して説明する。本発明に係る粒径測定装置では、粒径の分布幅は最大でも100倍程度以下の粒子群の粒径測定を対象にしている。

【33】
工業的に製造される粒状物質は、粒径の制御が行われているのが普通で、その粒径分布の幅はそれほど大きくないか、あるいは文字通り単分散と言えるほどに良く揃っている。これらの粒状物質の粒径分布を高精度に、高い分解能で測定したいという要請が強い。

【34】
このとき、予め解析部に設定されている当初粒径区間の上限又は下限を越える粒子の存在を無視しないようにして測定精度を高めるとともに、粒径測定装置の所定箇所に設置された、図示しない受光センサのセンサ数を増やすことなく、粒径測定の分解能を向上させて、分布幅の非常に狭い粒子群の測定に対しても精密に測定できれば大変好適となる。

【35】
この技術的思想に基づいて、具体的に案出された本願発明の実施形態について説明する。

【36】
まず、第1実施例として、従来技術の説明で使用した図6と同様の基本構成を備えた粒径測定装置において、受光センサに配設されるセンサ(素子)の数と、解析部に予め設定された粒径区分Tの数を予め一致させておき、その粒径区分Tの集合からなる粒径区間Sを設定する。

【37】
最初の粒径区間(以下「当初粒径区間」という。)S1に基づく解析によって、最大粒径区分Tmaxあるいは最小粒径区分Tminのいずれかにおいて現出された確率密度(又は頻度)が、0あるいは所定値以下でない場合(所定値を越えた場合)には、当初粒径区間S1をシフトさせるようにする。

【38】
具体的には、図1(a)に示すように、最大粒径区分Tmaxの確率密度が、粒径区分Tの確率密度が負にならない範囲で、その確率密度に対する予測散乱エネルギーベクトルと実測散乱エネルギーベクトルとが最も一致するように各粒径区分Tの確率密度を求めたときに、0あるいは所定値以下でない場合(所定値を越えた場合)には、当初粒径区間S1を大粒径側に1区分だけシフトし、新粒径区間S2を設定する(図1(b)参照)。

【39】
この新粒径区間S2に基づいて、この新粒径区間S2と既設のセンサ(素子)の散乱エネルギーとの間に成り立つ関係を表す上記式2により、再び粒径分布を解析し、散乱エネルギーの予測値と実際の測定値とを比較して、その誤差を評価する。

【4】
このレーザ光回析法の基本構成を、図6に基づいて、簡易に説明する。まず、単色のレーザ光11を発振する光源10を備え、この光源10から発振されたレーザ光11を平行光束13とするためのコリメータ12が配置される。

【40】
この誤差が最も小さくなるまで、即ち、予測散乱エネルギーベクトルと実測散乱エネルギーベクトルとが最も一致するまで、粒径区分Sのシフトを繰り返すことによって(S1→S2→S3→)、粒子群の実際の粒径分布(の範囲)に適合した粒径分布測定を行うことができるようにする(図1(a)、(b)、(c)参照)。

【41】
一方、図2(a)に示すように、最小粒径区分Tminの確率密度(又は頻度)が、0あるいは所定値以下でない場合(所定値を越えた場合)には、当初粒径区間S1を小粒径側に1区分だけシフトし、新粒径区間S2を設定する(図2(b)参照)。

【42】
この新粒径区間S2に基づいて、この新粒径区間S2と既設のセンサ(素子)の散乱エネルギーとの間に成り立つ関係を表す上記式2により、粒径分布を解析し、散乱エネルギーの予測値と実際の測定値とを比較して誤差を評価する。

【43】
この誤差が最も小さくなるまで、粒径区分Sのシフトを繰り返すことによって(S1→S2→S3→)、粒子群の実際の粒径分布(の範囲)に適合した粒径分布測定を行う(図2(a)、(b)、(c)参照)。

【44】
尚、図3、図4は、それぞれ、大粒径側、小粒径側に粒径区間Sをシフトしたときの上記式3による解析(演算)の概念を、図1、図2に一致させて示したものであるので、参照されたい。

【45】
続いて、図5に基づいて、第2実施例について説明する。受光センサから送られてきた信号を、解析部で最初に解析した結果、連続する粒径区分Tのうち少ない数の区分T’(例えば、図3に示すような3区分k-1、k、k+1)内にしか粒子が存在しないことが判明した場合、図5に示すように、粒径区分Tを細分化(例えば、2分割)して、新らしい粒径区分(以下「新粒径区分」という。)tを再設定する。

【46】
この新粒径区分tと既設のセンサ(素子)の散乱エネルギーとの間に成り立つ関係を表す上記式2に基づいて解析し、散乱エネルギーの予測値と実際の測定値とを比較して、その誤差を評価する。

【47】
この誤差が最小になるまで、この細分化操作(手順)を繰り返すことによって、少ない数の粒径区分S’の範囲に分布する粒子群の粒径分布を、より正確に推定することが可能となる。

【48】
尚、上記式2又は式3の係数kijは、前もっていくつかの粒径区分の細かさについて計算し、二次元の配列として解析部のメモリーに保存して、必要に応じて適当な配列を読み込んで使用する。

【49】
上記第1実施例における粒径区間をシフトする構成と第2実施例の粒径区分を細分化する構成の両方を兼ね備える構成を採用することもでき、これを第3実施例とすることができる。

【5】
そして、所定の測定領域14に存在する粒子群15に照射された平行光束13の散乱光を受光して測定光を形成するためのレンズ16が配置されている。このレンズ16の焦点位置Fには、散乱光強度の角度依存性を検出するための光電変換素子が環状に形成された複数のセンサ18が同心円状に配列されている受光センサ部17が設けられている。

【50】
ここで、上記粒径分布測定装置において、隣り合う粒径区分Tの境界の粒径が等比級数を形成するように構成すれば、広範囲は粒径を備えた粒子の集合である粒子群の粒径分布を、幅が限られている所定の粒径区間S内で、効率よく測定することができるので、好適である。

【51】
また、第2、第3実施例のように、粒径区分Tを細分化するという解析手段を備えている粒径分布測定装置では、隣り合う粒径区分Tの境界の粒径が等比級数を形成するように構成するとともに、その粒径区分Tの細分化作業においても、細分化された新たな粒径区分の境界の粒径も等比級数を形成するようにすると便利である。例えば、当初の粒径区分Tの上限粒径と下限粒径の幾何平均を新たな粒径区分の境界とすることによって、細分化された新たな粒径区分を連続した等比級数で区分することができる。

【52】
その理由は、細分化された新たな粒径区分の境界の粒径が、当初の粒径区分と同様の等比級数を形成しているので、粒径分布の解析を当初と同一のアルゴリズムで行うことができるからである。

【53】
以上説明した、本願発明に係る粒径分布測定装置は、種々の粒径分布測定装置に適用できる粒径分布解析手段を備えたもので、例えば、流動層内部に測定部が配設されたインライン型の粒径分布装置にも適用できることは言うまでもない。また、種々の性状を備えた粒子群の粒径分布に的確に適合した測定が可能となるため、高精度かつ汎用性の高い粒径分布測定装置を提供することができる。

【54】

【発明の効果】本願発明に係る粒径分布測定装置によれば、測定範囲の上限あるいは下限の外側に粒径分布の裾が広がるような粒子群に対しても、その程度が小さければ、レンズやセンサを取り替えることなく、より高精度にその粒径分布を測定できる。

【55】
また、比較的分布幅の狭い粒子群や単分散の粒子群に対して、レンズやセンサーを取り替えること無く、粒径測定の分解能を高めることができるので、従来の方法では実際よりも広い分布として測定されがちな粒径分布の揃った粒子群や、液晶のスペーサ粒子に代表される粒径の極めて良く揃った粒子群の分布や粒径を高精度に測定することができる。

【6】
この受光センサ部17には、散乱光の散乱角に対応する光強度分布信号19を処理する信号処理部20が接続され、この信号処理部からの処理データ21に基づいて、解析部22で粒径分布を算定する。

【7】
ここで、解析部22に記憶される従来の粒径分布算定方法について説明する。まず、各センサ18が受ける散乱エネルギーは、単位時間に入射する散乱光強度のセンサの面積に亘る積分で表される。

【8】
例えば、i番目のセンサの散乱エネルギーEiは、粒子群15の体積基準粒径分納関数W(D)と粒径Dの単一粒子の散乱光のθ方向成分を表す散乱強度関数i(D,θ)の積を粒径については0から∞、角度についてはそのセンサの見込む散乱角の範囲[θi-,θi+]にわたる積分で表される。

【9】
即ち、積分方程式、
【数1】
JP0003302991B2_000002t.gifこの式を以下「式1」ということにする。尚、上記式1にあるCは、粒子群の量に比例する変数である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5