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明細書 :太陽電池取付け装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3371119号 (P3371119)
公開番号 特開2001-239996 (P2001-239996A)
登録日 平成14年11月22日(2002.11.22)
発行日 平成15年1月27日(2003.1.27)
公開日 平成13年9月4日(2001.9.4)
発明の名称または考案の名称 太陽電池取付け装置
国際特許分類 B64B  1/14      
H01L 31/042     
FI B64B 1/14
H01L 31/04
請求項の数または発明の数 7
全頁数 10
出願番号 特願2000-051965 (P2000-051965)
出願日 平成12年2月28日(2000.2.28)
審査請求日 平成12年2月28日(2000.2.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501137577
【氏名又は名称】独立行政法人 航空宇宙技術研究所
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】江口 邦久
【氏名】山田 浩之
個別代理人の代理人 【識別番号】100075557、【弁理士】、【氏名又は名称】西教 圭一郎 (外3名)
審査官 【審査官】小山 卓志
参考文献・文献 特開 平6-163964(JP,A)
特開 平5-193573(JP,A)
特開2001-199397(JP,A)
特開 平4-5198(JP,A)
実開 平5-19099(JP,U)
実開 昭58-180799(JP,U)
調査した分野 B64B 1/14
H01L 31/042
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)太陽電池の受光面を覆う透光性第1シートと、
太陽電池の背面を覆い、太陽電池の周縁部の外方で第1シートと気密に固定される第2シートとを有し、
内部空間に、太陽電池を収納する太陽電池アセンブリと、
(b)太陽電池アセンブリの周縁部に設けられる第1係止片と、
(c)被取付け体の外周面に固定され、第1係止片を覆う可撓性を有する取付け用シートと、
(d)被取付け体の外周面で取付け用シートに設けられ、第1係止片に着脱可能に係止する第2係止片とを含むことを特徴とする飛行体の太陽電池取付け装置。

【請求項2】
(a)太陽電池の受光面を覆う透光性第1シートと、
太陽電池の背面を覆い、太陽電池の周縁部の外方で第1シートと気密に固定される第2シートとを有し、
内部空間に、太陽電池を収納する太陽電池アセンブリと、
(b)太陽電池アセンブリの周縁部、被取付け体の外周面とは反対側に設けられ、太陽電池アセンブリの前記周縁部から内方に延び、可撓性を有する係止用シートと、
(c)係止用シートに設けられる第1係止片と、
(d)被取付け体の外周面に固定され、第1係止片を覆う可撓性を有する取付け用シートと、
(e)被取付け体の外周面で取付け用シートに設けられ、第1係止片に着脱可能に係止する第2係止片とを含むことを特徴とする太陽電池取付け装置。

【請求項3】
係止用シートと取付け用シートとを各開放端側から挟み、第1および第2係止片の長手方向に沿って移動操作することによって、第1および第2係止片を係止/離脱する係止部材を、さらに含むことを特徴とする請求項2記載の太陽電池取付け装置。

【請求項4】
第1および第2係止片のいずれか一方は、頂部が膨出した突条であり、
いずれか他方は、前記頂部が弾発的に嵌合して係止する係止溝を有し、
操作部材には、移動操作方向の一方端に、第1および第2係止片をそれぞれ案内する一対の第1案内用切欠きが形成され、
他方端に、係止した第1および第2係止片を案内する前記一対の第1案内用切欠きが合流して単一の第2案内用切欠きが形成されることを特徴とする請求項3記載の太陽電池取付け装置。

【請求項5】
取付け用シートの少なくとも被取付け体の外周面に固定されるシート部分は、伸縮しやすく、かつ撓んで変形しやすい材料から成ることを特徴とする請求項1~4のうちの1つに記載の太陽電池取付け装置。

【請求項6】
取付け用シートの外周面と、太陽電池アセンブリの第1シートの取付け用シート付近で取付け用シートから露出した表面とにわたって、粘着テープが貼着されることを特徴とする請求項1~5のうちの1つに記載の太陽電池取付け装置。

【請求項7】
被取付け体は飛行体であり、
第1および第2係止片は、飛行体の船尾側で周方向に分断された部分を有し、
この分断部分には、太陽電池に接続されるリード線が配置され、
飛行体には、太陽電池の電力によって駆動される推進機が設けられ、
飛行体の機首が空気の流れの上流に向かうように操舵手段が設けられることを特徴とする請求項1~6のうちの1つに記載の太陽電池取付け装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、被取付け体、たとえば飛行船、気球および飛行艇などのような飛行体および地上の柔軟構造体であるドームなどに搭載される太陽電池を、その被取付け体の外周面に取付けるための構造とその装置に関する。

【0002】

【従来の技術】太陽電池取付け装置は、たとえば飛行船の推進機を駆動するために、太陽電池の電力を利用する構成において、必要になる。従来では、アモルファス半導体から成る太陽電池を、飛行船の外周面に粘着テープで直接に固定し、または太陽電池を接着剤で飛行船の外周面に接着して固定する。このような構成では、太陽電池と飛行体外周面との剛性差が大きいため、飛行船は、内部に充填されたHeガスの熱による膨張、収縮などの変形に起因して、太陽電池が剥離しやすく、また太陽電池が飛行船の外周面の変形および熱膨張差によって損傷するおそれがある。

【0003】
太陽電池は、たとえば約6000~7000m2である広い面積にわたって太陽電池が設けられ、したがってこのような広大な太陽電池を、接着剤で飛行船の外周面に接着すると、太陽電池の交換等のメンテナンスがきわめて困難な状況になる。

【0004】
従来ではまた、このような飛行船が、高度約20kmの成層圏で浮かべられて用いられるとき、約30~50m/secの高速度の気流に接触しても、飛行船の外周面から剥離しないようにするための工夫は、考慮されていない。

【0005】
典型的な先行技術は、特開平6-163964である。この先行技術では、飛行船体のほぼ全周を囲む太陽電池拡張モジュールを構成し、この太陽電池拡張モジュールは、多数の太陽電池モジュールが連結されて構成され、各太陽電池モジュールは、平らな細長い弾性体を井桁状に配置して構成された弾性支持体上に太陽電池ユニットを接着剤で固定して構成され、各弾性体の一方端部におす形コネクタを設け、他方の端部にめす形コネクタを設け、隣接する太陽電池モジュールを連結する。太陽電池拡張モジュールは、飛行船体の船首および船尾付近で飛行船体のエンベロープに固定して連結し、または連結部分を設けずに、エンベロープに腹巻き状に太陽電池モジュールをかぶせる。

【0006】
この先行技術は、多数の各太陽電池モジュールが個別的に飛行船体に取付けられておらず、したがって成層圏における高速度の気流に接触するとき、太陽電池拡張モジュールは、飛行船体の外周面から剥離して離脱するおそれがあり、実用化は困難である。

【0007】
また、飛行船に限らず、地上のドームなど、空気が充填された柔軟な膜を有する構造物においても外周面に太陽電池を粘着する場合に同様の問題を有する。

【0008】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、被取付け体の外周面に取付けられる太陽電池を、被取付け体の外周面の膨張、収縮などの変形に拘わらず、太陽電池を損傷しないようにし、軽量化することができ、高速度の気流によっても被取付け体の外周面から剥離することがないようにし、しかも太陽電池の交換可能な太陽電池取付け装置を提供することである。

【0009】

【課題を解決するための手段】本発明は、(a)太陽電池の受光面を覆う透光性第1シートと、太陽電池の背面を覆い、太陽電池の周縁部の外方で第1シートと気密に固定される第2シートとを有し、内部空間に、太陽電池を収納する太陽電池アセンブリと、(b)太陽電池アセンブリの周縁部に設けられる第1係止片と、(c)被取付け体の外周面に固定され、第1係止片を覆う可撓性を有する取付け用シートと、(d)被取付け体の外周面で取付け用シートに設けられ、第1係止片に着脱可能に係止する第2係止片とを含むことを特徴とする飛行体の太陽電池取付け装置である。

【0010】
本発明に従えば、第1シートと第2シートとの間で太陽電池が介在されてサンドイッチ構造とされた太陽電池アセンブリを、被取付け体の外周面に、第1および第2係止片によって着脱可能に取付けることができる。第1係止片は、第1または第2シートの周縁部にたとえばほぼ全周囲にわたって設けられ、この第1係止片が、可撓性を有する取付け用シートにたとえばほぼ全周囲にわたって設けられた第2係止片に係止するので、被取付け体の外周面が内部に充填された気体の膨張、収縮による変形が生じても、そのような変形によって、剛性の高い太陽電池が損傷または剥離するおそれをなくすことができる。

【0011】
さらに第1および第2係止片の係止によって、太陽電池アセンブリが被取付け体の外周面に装着されるので、前述の接着剤を用いて太陽電池を被取付け体の外周面に接着する先行技術に比べて、大幅な軽量化を図ることができる。

【0012】
さらに本発明に従えば、第1および第2係止片は、着脱可能であり、したがって被取付け体である飛行体をたとえば地上におろした状態で、太陽電池アセンブリを交換することができ、メンテナンスが優れている。

【0013】
さらに本発明に従えば、太陽電池アセンブリの周縁部に設けられる第1係止片は、飛行体の外周面に固定された取付け用シートによって覆われるので、たとえば成層圏において高速度の気流が、第1および第2係止片に直接に作用することはなく、太陽電池アセンブリが飛行体の外周面から剥離して離脱するおそれはない。被取付け体が地上のドームなどの構造物であっても同様に、気流などによって太陽電池アセンブリが外周面から剥離して離脱することが防がれる。

【0014】
また本発明は、(a)太陽電池の受光面を覆う透光性第1シートと、太陽電池の背面を覆い、太陽電池の周縁部の外方で第1シートと気密に固定される第2シートとを有し、内部空間に、太陽電池を収納する太陽電池アセンブリと、(b)太陽電池アセンブリの周縁部、被取付け体の外周面とは反対側に設けられ、太陽電池アセンブリの前記周縁部から内方に延び、可撓性を有する係止用シートと、(c)係止用シートに設けられる第1係止片と、(d)被取付け体の外周面に固定され、第1係止片を覆う可撓性を有する取付け用シートと、(e)被取付け体の外周面で取付け用シートに設けられ、第1係止片に着脱可能に係止する第2係止片とを含むことを特徴とする太陽電池取付け装置である。

【0015】
本発明に従えば、剛性の高い太陽電池が、被取付け体の外周面の変形によって、損傷または剥離をなくすことができ、また接着剤を用いないのでメンテナンスが良好である。また被取付け体として飛行体を用いた場合、成層圏において高速度の気流によって太陽電池アセンブリが飛行体の外周面から剥離して脱落するおそれはない。

【0016】
しかも本発明に従えば、可撓性を有する係止用シートに設けられる第1係止片と、可撓性を有する取付け用シートに設けられる第2係止片とを着脱可能に係止するようにしたので、第1および第2係止片の相互の着脱操作が容易になる。

【0017】
また本発明は、係止用シートと取付け用シートとを各開放端側から挟み、第1および第2係止片の長手方向に沿って移動操作することによって、第1および第2係止片を係止/離脱する係止部材を、さらに含むことを特徴とする。

【0018】
本発明に従えば、操作部材を、第1および第2係止片の長手方向に沿って移動操作することによって、第1および第2係止片の係止および離脱を行うことができ、操作性が向上される。このことは特に被取付け体が大形であることに鑑み、操作性が良好であることは重要である。

【0019】
また本発明は、第1および第2係止片のいずれか一方は、頂部が膨出した突条であり、いずれか他方は、前記頂部が弾発的に嵌合して係止する係止溝を有し、操作部材には、移動操作方向の一方端に、第1および第2係止片をそれぞれ案内する一対の第1案内用切欠きが形成され、他方端に、係止した第1および第2係止片を案内する前記一対の第1案内用切欠きが合流して単一の第2案内用切欠きが形成されることを特徴とする。

【0020】
本発明に従えば、突条の膨出した頂部が係止溝に弾発的に嵌合して係止し、着脱が容易であるとともに、係止用シートと取付け用シートとを、操作部材の一対の第1案内用切欠きに案内し、この操作部材を、第1案内用切欠きが移動操作方向下流側に移動することによって、突条と係止溝とが嵌合して係止することがで自動的に可能になる。これとは逆に、第1案内用切欠きが移動操作方向上流側になるように操作部材を移動操作することによって、相互に嵌合して係止している突条と係止溝とを、離脱することが自動的に可能になる。

【0021】
また本発明は、取付け用シートの少なくとも被取付け体の外周面に固定されるシート部分は、伸縮しやすく、かつ撓んで変形しやすい材料から成ることを特徴とする。

【0022】
本発明に従えば、取付け用シートの被取付け体の外周面に固定されるシート部分は、被取付け体の機体を構成するシートと同様に伸縮しやすく、かつ撓んで変形しやすい材料、たとえば合成樹脂材料などから成る。したがって取付け用シートが、被取付け体の外周面から剥離するおそれをなくすことができる。上述のように伸縮しやすく撓んで変形しやすい材料は、取付け用シートの被取付け体外周面に固定されるシート部分だけであってもよいけれども、取付け用シートの全体を構成してもよい。

【0023】
また本発明は、取付け用シートの外周面と、太陽電池アセンブリの第1シートの取付け用シート付近で取付け用シートから露出した表面とにわたって、粘着テープが貼着されることを特徴とする。

【0024】
本発明に従えば、粘着テープによって、取付け用シートと第1シートとを、外方から貼着し、これによって高速度の気流が生じているたとえば成層圏などにおいても、第1および第2係止片の係止状態が確実に保たれる。これによって太陽電池アセンブリの被取付け体外周面からの剥離を確実に防ぐことができる。

【0025】
また本発明は、被取付け体は飛行体であり、第1および第2係止片は、飛行体の船尾側で周方向に分断された部分を有し、この分断部分には、太陽電池に接続されるリード線が配置され、飛行体には、太陽電池の電力によって駆動される推進機が設けられ、飛行体の機首が空気の流れの上流に向かうように操舵手段が設けられることを特徴とする。

【0026】
本発明に従えば、飛行体に設けられた推進機は、太陽電池の電力によって駆動され、推進機および操舵手段の働きによって、飛行体の機首が空気の流れの上流に向かうように操舵され、これによって空力抵抗をできるだけ小さくすることができる。

【0027】
太陽電池のリード線は、第1および第2係止片の周方向に分断された部分を経て、外部に取り出され、太陽電池からの電力がリード線を介して外部に供給される。さらに本発明に従えば、第1および第2係止片は周方向に分断されており、この分断された部分は飛行体の船尾側であるので、船首が気流の上流に向かう姿勢では、前記分断部分が高速度の気流に接触することを、できるだけ回避することができ、太陽電池アセンブリが飛行体から剥離することを抑制することができる。

【0028】

【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態の飛行船28(後述の図7参照)の太陽電池取付け装置1の一部の断面図であり、図2は飛行船28の太陽電池取付け装置1の平面図である。太陽電池アセンブリ2は、飛行船28の機体29の外周面3に、着脱可能な取付け手段4によって取付けられる。

【0029】
図3は、図1および図2に示される飛行船28の太陽電池取付け装置1の分解した状態を示す断面図である。太陽電池アセンブリ2は、偏平な矩形の太陽電池5を、第1シート6と第2シート7とで挟んでサンドイッチした構成を有する。太陽電池5は、図1および図3の上方に臨む受光面8を有し、この受光面8を覆う第1シート6は、透光性材料から成り、たとえば透明である。第2シート7は、第1シート6よりも小さい面積を有し、太陽電池5の下方で、第1シート6の太陽電池5側の表面(図1の下面)で、接続部9で気密に接続される。第1および第2シート6,7は、たとえば熱可塑性合成樹脂性であり、可撓性を有し、接続部9で熱溶着される。第2シート7は、第1シート6と同一材料から成ってもよいけれども、異なる材料から成ってもよく、太陽電池5の背面を覆う。こうして第1および第2シート6,7によって形成された気密の内部空間に、太陽電池5が収納される。

【0030】
太陽電池アセンブリ2の第1シート6の周縁部11は、取付け手段4によって、飛行船の機体29の外周面3に着脱可能に取付けられる。取付け手段4において、前記周縁部11には、飛行船28の外周面3とは反対側に臨んで外方に突出した突起である第1係止片13が一体的に形成される。第1係止片13は、その頂部13aが図1の左右に膨出し、連結部13bに連なる構成を有する。頂部13aの軸線に直角な断面は、たとえばほぼ円形であってもよい。取付け用シート14には、第1係止片13が弾発的に嵌合して係止する係止溝15を有する第2係止片16が設けられる。取付け用シート14は、飛行船の外周面3に一端部17aが固定部分39で固定された固定部17と、この固定部17に参照符18で示される接続部で溶着によって、または接着剤によって一体的に固定された被覆部19とを有する。固定部7と被覆部19とは、いずれも偏平に構成される。固定部7は、飛行船28の外周面3を構成する機体29である可撓性を有する膜と同様な材料から成ってもよく、伸縮しやすくかつ撓んで変形しやすい材料から成る。固定部17は、飛行船の外周面3に、前記固定部分39で、溶着によって、または接着剤を用いて固定される。被覆部19は、固定部17と同一材料から成ってもよいけれども、第2係止片16が第1係止片13に確実に嵌合するために充分な強度を有する材料、たとえば合成樹脂材料などから成ってもよい。第1および第2シート6,7は、可撓性を有し、たとえば0.1~0.5mmの厚みを有する。取付け用シート14の厚みは、たとえば0.1~0.5mmである。

【0031】
第1および第2シート6,7および取付け用シート14の固定部17および被覆部19は、たとえばテドラー(デュポン社製商品名)などのポリふっ化ビニル(略称PVF)などによって実現されてもよく、またはポリエチレン、塩化ビニル、ポリアミド系樹脂などによって実現されてもよく、前述のように固定部17と被覆部19とは、相互に異なる材料から成ってもよく、さらに繊維によって強化された合成樹脂材料から成ってもよい。

【0032】
飛行船の機体29を構成する膜の厚みは、たとえば3mmである。第1および第2シート6,7ならびに取付け用シート14の熱膨張率は、飛行船の機体29を構成する膜の熱膨張率と同様に、太陽電池5の熱膨張率に比べて充分大きいけれども、太陽電池5は、第1および第2シート6,7によって形成された収納空間内に、これらの第1および第2シート6,7と相互に変位可能に設けられているので、熱変形によって太陽電池5に応力が作用することが防がれる。したがって太陽電池5の破損を防ぐことができる。

【0033】
取付け用シート14の外周面と、太陽電池アセンブリ2の第1シート6の取付け用シート14から露出した表面とにわたって、粘着テープ21が貼着される。粘着テープ21は、可撓性を有する合成樹脂製フィルムの図1における下面に、粘着性を有する接着剤が塗布されて構成される。粘着テープ21は、太陽電池5の受光面8を覆わないように配置され、したがってその受光面8全体に、太陽光が確実に照射される。取付け用シート14は、太陽電池アセンブリ2の全周にわたって設けられる。取付け手段4は、太陽電池アセンブリ2のほぼ全周にわたって設けられる。太陽電池アセンブリ2は、飛行船28の外周面3に、前述の先行技術に関連して述べた接着剤を用いて接着されることはなく、太陽電池アセンブリ2は着脱交換可能であり、メンテナンスが容易である。

【0034】
図4は図2のセクションA4付近の一部の断面図であり、図5はセクションA4の平面図である。第1シート6の周縁部11には、1カ所に切欠き23が形成され、これによって第1係止片13が周方向に分断されている。また取付け用シート14の少なくとも被覆部19には、切欠き24が形成される。これらの切欠き23,24によって第1および第2係止片13,16の分断部分25が形成される。分断部分25には、可撓性を有するリード線26が配置される。リード線26の端部は、太陽電池5に接続される。

【0035】
図6は、分断部分25で周方向に分断された取付け手段4を示す簡略化した平面図である。分断部分25から、上述のように、リード線26が取り出される。

【0036】
これらの分断部分25によって、太陽電池アセンブリ2と飛行船の外周面3との間の空間27が外部と連通する。したがってこの空間27内に空気が封入されることはなく、太陽電池アセンブリ2は、前記外周面3に密着して配置されることができる。したがって太陽電池アセンブリ2が高速度の気流によって振動することなどが防がれ、太陽電池アセンブリ2が、前記表面3から離脱することを防ぐことができる。

【0037】
図7は、本発明の太陽電池取付け装置1が実施される飛行船28の全体の構成を示す斜視図である。飛行船28の機体29は、テドラー(デュポン社製商品名)などの合成樹脂材料製膜から成り、その機体29のほぼ上半分の外周面3には、前述のように本発明に従う太陽電池アセンブリ2が多数個、配置される。各太陽電池アセンブリ2は、たとえば横1m×縦1mの大きさであってもよい。機体29の長さは約230mであり、外径は約53mφであってもよい。機体29を構成する膜内には、Heガスなどの気体が充填され、浮力が発生される。

【0038】
機体29の下部には、推進機30,31が取付けられる。この推進機30,31は、モータを有し、太陽電池5からの電力によって駆動され、推進機30,31のプロペラが回転される。機体29にはまた、操舵手段32が設けられ、機体29の姿勢が制御される。操舵手段32は、たとえば前後バロネットの空気の移動および昇降舵を含むとともに、操縦のための翼が含まれる。この飛行船28は、機体29の機首33が空気の流れの上流に向かうように、したがって船尾34が下流に向かうように、操舵手段32が動作される。

【0039】
再び図2を参照して、太陽電池取付け装置1において、分断部分25が、船尾34側になるように、飛行船8の外周面3に配置される。参照符36は、機首33の方向を示し、参照符37は、機体29の上部である天頂方向を示す。分断部分25が船尾34側に配置され、これによって高速度の太陽電池アセンブリ2が、飛行船28の外周面3から剥離することができる。

【0040】
取付け手段4は、前述の実施例では、第1および第2係止片13,16を含む構成であったけれども、本発明の実施の他の形態では、そのほかの相互に係合/離脱が可能な構成であってもよく、また操作性を向上するために、操作片を、太陽電池アセンブリ2の周方向に移動することによって、相互に係合離脱が可能な構成を有していてもよく、さらにファスナなどの構成であってもよい。

【0041】
本発明の実施の他の形態では、飛行体の太陽電池に太陽光が照射されない時間帯では、飛行体に搭載された燃料電池からの電力を用いて、推進機を駆動することができ、このようにして太陽電池と燃料電池との出力を切換える手段を介して、推進機に電力を供給するように構成してもよい。

【0042】
図8は、本発明の実施の他の形態の一部の断面図である。この実施の形態は、前述の図1~図7の実施の形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。注目すべきはこの実施の形態では、係止用シート41が用いられる。この係止用シート41は、可撓性を有する材料から成り、たとえば前述の第1および第2シート6,7などと同様な材料から成ってもよい。係止用シート41は、太陽電池アセンブリ2の第1シート6の周縁部11で、飛行船28の機体29の外周面3とは反対側(図8の上方)に、固定部分42で固定されて設けられる。この係止用シート41は、太陽電池アセンブリ2の前記周縁部11から内方に、すなわち図8において固定部分42から左方に、延びる。本発明の実施の他の形態では、第1シート6が上述の固定部分42で屈曲されて、係止用シート41が形成されてもよい。係止用シート41には、第1係止片13が設けられる。

【0043】
図9は、図8に示される本発明の実施の他の形態の一部の斜視図である。操作部材43は、第1および第2係止片13,15を相互に係止および離脱するために用いられる。この係止部材43を、第1移動操作方向44に移動操作することによって、第1および第2係止片13,15を相互に係止することができる。操作部材43を、第1移動操作方向44とは逆方向の第2移動操作方向45に移動操作することによって、第1および第2係止片13,15を離脱することができる。

【0044】
図10は操作部材43の斜視図であり、図11は操作部材43の前記一方端46側から見た斜視図である。操作部材43は、たとえば合成樹脂などの材料から成り、立方体または直方体状の形状に構成されてもよい。操作部材43には、第1移動操作方向44の下流側(図9の右方、図10の左方)の一方端46に、一対の第1案内用切欠き48,49が形成される。一方の第1案内用切欠き48には、第1および第2係止片13,15が相互に離脱した状態における第1係止片13と、係止用シート41の第1係止片13よりも第1シート6の内方側の部分51とが嵌まり込む。

【0045】
図12は、操作部材43の他方端47から見た斜視図である。操作部材43には、他方端47に、単一の第2案内用切欠き54が形成される。他方の第1案内用切欠き49には、第2係止片15と、取付け用シート14の第2係止片45よりも太陽電池アセンブリ2の内方(図9の左方)の部分52とが嵌まり込む。操作部材43の第1および第2案内用切欠き48,49;54は、係止用シート41と取付け用シート14とを、それらの各開放端56,57側から挟む。一対の第2案内用切欠き48,49は、合流点55で合流し、単一の第2案内用切欠き54に連なる。操作部材43の前記一方端46は、移動操作方向44の下流側の端部であり、前記他方端47は移動操作方向45の下流側の端部である。

【0046】
操作部材43を、図9における第1移動操作方向44に移動操作することによって、一対の各第1案内用切欠き48,49に案内される第1および第2係止片13,15が、操作部材43の合流点55付近で嵌合して係止し、第2案内用切欠き54から、第1および第2係止片13,15が係止した状態となる。操作部材43を、第1移動操作方向44とは逆方向の第2移動操作方向45に移動することによって、係止状態にある第1および第2係止片13,15が嵌合状態を脱し、離脱される。こうして操作部材43を、太陽電池アセンブリ2の周縁部11に沿って移動操作することによって、第1および第2係止片13,15を自動的に係止および離脱することができ、操作性が向上される。操作部材43は、図5に関連して前述した分断部分25において、係止用シート41および取付け用シート14から図5の左方に取外すことができる。したがって第1および第2係止片13,16の係止状態とした後、分断部分25から操作部材43を取外すことができる。したがって操作部材43が設けられたままになることによって、高速度の気流の悪影響を受けることが確実に防がれる。

【0047】
本発明の実施の他の形態では、第1および第2係止片13,15の取付け場所が相互に逆であってもよく、すなわち第2係止片15が第1シート6または係止用シート41に形成され、第1係止片13が取付け用シート14に形成されてもよい。第1および第2係止片13,15は、そのほかの構成を有していてもよい。

【0048】
本発明は、飛行船だけでなく、気球、飛行艇およびそのほかの飛行体に関連して広範囲に実施することができる。

【0049】
上述した実施形態では、飛行船に太陽電池を取付ける場合の太陽電池取付け装置として説明したけれども、本発明はこのような形態に限らず、たとえば可撓性を有する柔軟な膜によって覆われ、空気が充填される地上のドーム構造物などの外周面に太陽電池を取付ける場合にも適用可能である。

【0050】

【発明の効果】請求項1の本発明によれば、太陽電池を第1および第2シートによってサンドイッチした太陽電池アセンブリを、第1および第2係止片によって着脱可能にして取付け用シートによって被取付け体の外周面に着脱可能に取付けることができるようになる。本発明によれば、前述の先行技術における大面積にわたって多量の接着剤を用いることはなく、またはメンテナンスの容易化を図ることができる。

【0051】
さらに本発明によれば、取付け用シートは、太陽電池アセンブリの第1係止片が設けられた周縁部付近を覆うので、被取付け体の外周面に沿って流れる気流によって、太陽電池アセンブリが剥離してしまうおそれをなくし、太陽電池アセンブリを、被取付け体に確実に取付けることができるようになる。

【0052】
また本発明によれば、第1および第2係止片は着脱可能であり、太陽電池アセンブリの交換が容易であり、メンテナンスが容易になる。

【0053】
請求項2の本発明によれば、第1係止片が可撓性係止用シートに設けられ、第2係止片が取付け用シートに設けられ、これによって第1および第2係止片の相互の係止および離脱を容易に行うことができる。

【0054】
請求項3の本発明によれば、操作部材を、第1および第2係止片の長手方向に沿って移動操作することによって、第1および第2係止片の係止および離脱を自動的に行うことができ、操作性が良好であり、このことは特に被取付け体が大形である場合も重要である。

【0055】
請求項4の本発明によれば、突条の膨出した頂部が係止溝に弾発的に嵌合して係止し、操作部材を移動操作方向に前後に移動することによって、係止および離脱をすることが容易に可能であり、構成が簡単であるとともに操作性が良好である。

【0056】
請求項5の本発明によれば、取付け用シートは、少なくとも被取付け体の外周面に固定されるシート部分が、被取付け体を構成する膜であるシートと同様に伸縮しやすく、かつ撓んで変形しやすい材料から成るので、被取付け体の外周面から剥離するおそれをなくすことができ、取付け用シートを、被取付け体の外周面に確実に固定しておくことができる。

【0057】
請求項6の本発明によれば、粘着テープを用いて、取付け用シートの外周面と、第1シートとにわたって、粘着テープを貼着し、これによって高速度の気流による第1および第2係止片の係止が外れてしまうおそれがなくなり、太陽電池アセンブリが被取付け体の外周面から剥離することを防ぐことができる。

【0058】
請求項7の本発明によれば、飛行体の推進機は、太陽電池の電力によって駆動され、操舵手段によって飛行体の機首を、空気の流れの上流に向かうようにし、これによって空力抵抗をできるだけ少なくして、飛行体をたとえば地球の上空の予め定める地点に、定点滞留することができ、この太陽電池に接続されるリード線は、第1および第2係止片の分断された部分から外部に取り出される。このような分断部分は、飛行体の船尾側に配置されるので、高速度の気流によって第1および第2係止片が離脱するおそれをできるだけなくすことができる。さらにこのような分断された部分の働きによって、太陽電池と飛行体の外周面との間の空間27の不所望な空気を外部に排出し、太陽電池アセンブリを飛行体の外周面にぴったりと沿わせて、取付けることができるようになる。
図面
【図11】
0
【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図10】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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