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明細書 :太陽電池取付け構造およびその設置法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3574815号 (P3574815)
公開番号 特開2001-253392 (P2001-253392A)
登録日 平成16年7月16日(2004.7.16)
発行日 平成16年10月6日(2004.10.6)
公開日 平成13年9月18日(2001.9.18)
発明の名称または考案の名称 太陽電池取付け構造およびその設置法
国際特許分類 B64B  1/14      
H01L 31/04      
FI B64B 1/14
H01L 31/04 Q
請求項の数または発明の数 10
全頁数 12
出願番号 特願2000-063993 (P2000-063993)
出願日 平成12年3月8日(2000.3.8)
審査請求日 平成12年3月8日(2000.3.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503361400
【氏名又は名称】独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社アイ・エイチ・アイ・エアロスペース
発明者または考案者 【氏名】江口 邦久
【氏名】内藤 均
【氏名】三輪 三郎
【氏名】長谷川 和雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100075557、【弁理士】、【氏名又は名称】西教 圭一郎
【識別番号】100072235、【弁理士】、【氏名又は名称】杉山 毅至
【識別番号】100101638、【弁理士】、【氏名又は名称】廣瀬 峰太郎
【識別番号】100100479、【弁理士】、【氏名又は名称】竹内 三喜夫
審査官 【審査官】小山 卓志
参考文献・文献 特開昭61-086527(JP,A)
特開平06-163964(JP,A)
調査した分野 B64B 1/14
H01L 31/04
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の各太陽電池の周辺部に、第1挿通孔を有する第1フェルールがそれぞれ固定され、
被取付け体の外周面に、第2挿通孔を有する第2フェルールが、複数の第1フェルール間に配置されて固定され、
第1挿通孔と第2挿通孔とに、太陽電池の出力を導く索条が挿通されることを特徴とする太陽電池取付け構造。
【請求項2】
被取付け体の外周面側の太陽電池背面に、弾発性を有するシート体を固定して、太陽電池アセンブリを構成し、
この太陽電池アセンブリを、被取付け体に取付けることを特徴とする請求項1記載の太陽電池取付け構造。
【請求項3】
(a)複数の太陽電池アセンブリであって、各太陽電池アセンブリは、
太陽電池と、
被取付け体の外周面側の太陽電池背面に固定され、弾発性を有するシート体と、
太陽電池の周辺部に固定され、第1挿通孔を有する第1フェルールとを有する太陽電池アセンブリと、
(b)被取付け体の外周面に固定され、複数の第1フェルール間に配置され、第2挿通孔を有する第2フェルールと、
(c)第1挿通孔と第2挿通孔とに挿通され、太陽電池の出力を導く索条とを含むことを特徴とする太陽電池取付け構造。
【請求項4】
被取付け体に気体が充填された状態で、被取付け体の外周面上にシート体が弾発的に圧縮されて当接することを特徴とする請求項2または3記載の太陽電池取付け構造。
【請求項5】
被取付け体の外周面側のシート体背面に、金属箔が貼着されることを特徴とする請求項2~4のうちの1つに記載の太陽電池取付け構造。
【請求項6】
被取付け体は、飛行体であり、
飛行体には、太陽電池の電力によって駆動される推進機が設けられ、
飛行体の機首が空気の流れの上流に向かうように操舵手段が設けられることを特徴とする請求項1~5のうちの1つに記載の太陽電池取付け構造。
【請求項7】
複数の各太陽電池の周辺部に、第1挿通孔を有する第1フェルールをそれぞれ固定し、
被取付け体の外周面に、第2挿通孔を有する第2フェルールを、複数の第1フェルール間に配置されて固定し、
第1挿通孔と第2挿通孔とに、太陽電池の出力を導く索条を挿通することを特徴とする太陽電池の設置法。
【請求項8】
(a)複数の太陽電池アセンブリを準備し、各太陽電池アセンブリは、
太陽電池と、
被取付け体の外周面側の太陽電池背面に固定され、弾発性を有するシート体と、
太陽電池の周辺部に固定され、第1挿通孔を有する第1フェルールとを有し、
(b)被取付け体の外周面に、第2挿通孔を有する第2フェルールを、複数の第1フェルール間に配置して固定し、
(c)第1挿通孔と第2挿通孔とに、太陽電池の出力を導く索条を挿通することを特徴とする太陽電池の設置法。
【請求項9】
被取付け体に浮揚気体が充填された状態で、被取付け体の外周面上にシート体が弾発的に圧縮されて当接することを特徴とする請求項7または8記載の太陽電池の設置法。
【請求項10】
被取付け体の外周面側のシート背面に、金属箔が貼着されることを特徴とする請求項7,8,9のうちの1つに記載の太陽電池の設置法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被取付け体、たとえば飛行船、気球および飛行艇などのような飛行体および地上の柔軟構造体であるドームなどに搭載される太陽電池を、その被取付け体の外周面に取付けるための構造とその設置法に関する。
【0002】
【従来の技術】
飛行体の太陽電池取付け装置は、たとえば飛行船の推進機を駆動するために、太陽電池の電力を利用する構成において、必要になる。従来では、シリコンアモルファス半導体等から成る太陽電池を、飛行船の外周面に粘着テープで直接に固定し、または太陽電池を接着剤で飛行船の外周面に接着して固定する。このような構成では、太陽電池と飛行体外周面との剛性差が大きいため、飛行船は、内部に充填されたHeガスの熱による膨張、収縮などの変形に起因して、太陽電池が剥離しやすく、また太陽電池が飛行船の外周面の変形および熱膨張差によって損傷するおそれがある。
【0003】
太陽電池は、たとえば約6000~7000m である広い面積にわたって設けられ、したがってこのような広大な太陽電池を、接着剤で飛行船の外周面に接着すると、太陽電池の交換等のメンテナンスがきわめて困難な状況になる。
【0004】
従来ではまた、このような飛行船が、高度約20kmの成層圏で浮かべられて用いられるとき、約30~50m/secの高速度の気流に接触しても、飛行船の外周面から剥離しないようにするための工夫は、考慮されていない。
【0005】
典型的な先行技術は、特開平6-163964である。この先行技術では、飛行船体のほぼ全周を囲む太陽電池拡張モジュールを構成し、この太陽電池拡張モジュールは、多数の太陽電池モジュールが連結されて構成され、各太陽電池モジュールは、平らな細長い弾性体を井桁状に配置して構成された弾性支持体上に太陽電池ユニットを接着剤で固定して構成され、各弾性体の一方端部におす形コネクタを設け、他方の端部にめす形コネクタを設け、隣接する太陽電池モジュールを連結する。太陽電池拡張モジュールは、飛行船体の船首および船尾付近で飛行船体のエンベロープに固定して連結し、または連結部分を設けずに、エンベロープに腹巻き状に太陽電池モジュールをかぶせる。
【0006】
この先行技術は、多数の各太陽電池モジュールが個別的に飛行船体に取付けられておらず、したがって成層圏における高速度の気流に接触するとき、太陽電池拡張モジュールは、飛行船体の外周面から剥離して離脱するおそれがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、被取付け体の外周面に取付けられる太陽電池を、被取付け体の外周面の膨張、収縮などの変形に拘わらず、太陽電池を損傷しないようにし、軽量化することができ、高速度の気流によっても被取付け体の外周面から剥離することがないようにし、しかも太陽電池の交換可能な太陽電池取付け構造およびその設置法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の各太陽電池の周辺部に、第1挿通孔を有する第1フェルールがそれぞれ固定され、
被取付け体の外周面に、第2挿通孔を有する第2フェルールが、複数の第1フェルール間に配置されて固定され、
第1挿通孔と第2挿通孔とに、太陽電池の出力を導く索条が挿通されることを特徴とする太陽電池取付け構造である。
【0009】
本発明に従えば、気体が充填された被取付け体の外膜材の外周面に複数の太陽電池が配置されて取付けられる。各太陽電池の周辺部には、1または複数の第1フェルールが固定され、この第1フェルールの第1挿通孔に、索条が挿通され、被取付け体の外周面にもまた第2フェルールが固定され、索条はこの第2フェルールの第2挿通孔を挿通し、こうして太陽電池が被取付け体の外周面に取付けられる。索条は、第1フェルールの第1挿通孔と第2フェルールの第2挿通孔とを挿通し、これによって太陽電池を被取付け体の外周面に確実に取付けることができるようになる。こうして被取付け体の外周面が内部に充填された気体の膨張、収縮による変形が生じても、そのような変形によって、剛性の高い太陽電池が損傷または剥離するおそれをなくすことができる。太陽電池は、被取付け体の外周面に接着剤を用いて接着する構成ではなく、したがって接着剤を用いて太陽電池を被取付け体の外周面に接着して固定する先行技術に比べて、軽量化を図ることができる。また索条によって太陽電池の出力を導くので、この索条とは別に電線を用いる構成に比べて軽量化を図ることができる。
【0010】
さらに本発明に従えば、索条を第1および第2フェルールの第1および第2挿通孔から取外し、または索条を切断することによって、被取付け体である上空にある飛行体をたとえば地上におろした状態で、太陽電池を交換することができ、メンテナンスが優れている。
【0011】
本発明に従えば、太陽電池の周辺部に固定された第1フェルールと被取付け体の外周面に固定された第2フェルールとに索条が挿通するので、太陽電池を被取付け体の外周面にほぼぴったりと取付けることができるようになる。したがってたとえば飛行船では成層圏において高速度の気流が存在する環境下においても、太陽電池が飛行体の外周面から剥離して離脱するおそれはない。また、被取付け体が地上のドームである場合は、強風によって太陽電池がドームの外周面から剥離して離脱するおそれはない。
【0012】
第1フェルール間には1または複数の第2フェルールが配置されてもよく、また第2フェルール間に1または複数の第1フェルールが配置されてもよい。第1フェルールは、太陽電池が正方形または長方形である矩形であるとき、4つのすべての周辺部に配置されてもよく、または対向する一対の周辺部に取付けられてもよい。
【0013】
また本発明は、被取付け体の外周面側の太陽電池背面に、弾発性を有するシート体を固定して、太陽電池アセンブリを構成し、
この太陽電池アセンブリを、被取付け体に取付けることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、太陽電池の背面に弾発性を有するシート体、たとえば合成樹脂製板状スポンジなどが固定されて太陽電池アセンブリが構成され、この太陽電池アセンブリが被取付け体の外周面に取付けられるので、剛性の高い太陽電池が、被取付け体の外周面の変形によって損傷または剥離することを確実に防ぐことができるようになる。
【0015】
また比較的薄い太陽電池が、たとえば飛行体に取付けられる場合、成層圏において高速度の気流が流れる雰囲気下においても、太陽電池が気流によってばたつくおそれはなく、太陽電池アセンブリを飛行体の外周面にぴったりと取付けておくことが容易に可能になる。また太陽電池が高速度の気流などによってばたつくことがないので、太陽電池が損傷することもない。シート体はまた、後述のように断熱機能も達成する。このことは、地上ドームに関しても同様である。
【0016】
また本発明は、(a)複数の太陽電池アセンブリであって、各太陽電池アセンブリは、
太陽電池と、
被取付け体の外周面側の太陽電池背面に固定され、弾発性を有するシート体と、
太陽電池の周辺部に固定され、第1挿通孔を有する第1フェルールとを有する太陽電池アセンブリと、
(b)被取付け体の外周面に固定され、複数の第1フェルール間に配置され、第2挿通孔を有する第2フェルールと、
(c)第1挿通孔と第2挿通孔とに挿通され、太陽電池の出力を導く索条とを含むことを特徴とする太陽電池取付け構造である。
【0017】
本発明に従えば、複数の各太陽電池アセンブリは、太陽電池の背面に弾発性を有するシート体が固定され、この太陽電池に第1フェルールが固定されて、太陽電池アセンブリが構成され、第1フェルールに挿通する索条が、被取付け体の外周面に固定された第2フェルールに挿通して太陽電池アセンブリが被取付け体の外周面に取付けられる。こうして被取付け体の外周面が変形しても、剛性の高い太陽電池が損傷または剥離するおそれをなくすことができ、また接着剤を用いて太陽電池を被取付け体の外周面に接着する先行技術に比べて、本発明では接着剤を用いることはなく、したがって大幅な軽量化を図ることができる。また索条によって太陽電池の出力を導くので、この索条とは別に電線を用いる構成に比べて軽量化を図ることができる。さらに索条を第1および第2フェルールから取外し、または切断し、こうして太陽電池アセンブリを被取付け体の外周面から容易に取外すことができ、着脱が容易であり、こうしてメンテナンスが優れている。
【0018】
さらに本発明によれば、索条は、第1および第2フェルールの第1および第2挿通孔を挿通し、さらに太陽電池の背面に前述のように弾発性を有するシート体が固定されるので、たとえば飛行体に取付けられる場合、成層圏において高速度の気流が流れる雰囲気下においても、太陽電池アセンブリ、したがって太陽電池が気流によってばたつくことがなく、こうして太陽電池アセンブリが飛行体の外周面から剥離して離脱するおそれはない。
【0019】
また本発明は、被取付け体に気体が充填された状態で、被取付け体の外周面上にシート体が弾発的に圧縮されて当接することを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、被取付け体の外膜材によって形成された気密の内部空間に、Heガスなどの空気に比べて小さい比重を有する浮揚気体が充填された状態では、太陽電池または太陽電池アセンブリが飛行体の外周面に取付けられた状態において、シート体が弾発的に圧縮されてそのシート体が被取付け体の外周面上に当接し、こうして被取付け体の外周面上に太陽電池または太陽電池アセンブリがぴったりと取付けられることができる。したがってたとえば飛行体に取付けられる場合、成層圏における高速度の気流が流れる雰囲気下においても、太陽電池または太陽電池アセンブリと飛行体の外周面との間に気流が入り込むなどして太陽電池または太陽電池アセンブリがばたつくおそれはなくなる。
【0021】
また本発明は、被取付け体の外周面側のシート背面に、金属箔が貼着されることを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、シート体の背面には、アルミニウム箔などの金属箔が貼着され、これによって断熱性能が向上される。太陽電池の受光面は、一般的に黒く、またその太陽電池は薄く、したがって昼間、太陽熱が吸収され、温度が高くなるけれども、この金属箔の働きによって、またシート体の断熱機能によって、太陽熱が被取付け体の外周面内に伝導することを抑制し、浮揚気体の温度が上昇することが抑制され、浮揚気体の圧力が異常に高くなることが防がれる。また太陽電池に太陽光が照射されない夜間などにおいては、被取付け体の外周面からの熱の放散が、金属箔によって、さらにシート体によって抑制されることができる。これによって被取付け体に充填されている浮揚気体の温度が低下しすぎることが防がれ、浮揚気体の圧力が大きく低下することを防ぐことができる。こうして被取付け体に充填された浮揚気体の圧力をできるだけ一定に保ち、飛行体の安定した飛行状態および地上のドームの安定した形状、構造を達成することができるようになる。
【0023】
本発明は、被取付け体は、飛行体であり、
飛行体には、太陽電池の電力によって駆動される推進機が設けられ、
飛行体の機首が空気の流れの上流に向かうように操舵手段が設けられることを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、飛行体に設けられた推進機器は、太陽電池の電力によって駆動され、推進機器および操舵手段の働きによって、飛行体の機首が空気の流れの上流に向かうように操舵され、これによって空力抵抗をできるだけ小さくすることができる。
【0025】
また本発明は、複数の各太陽電池の周辺部に、第1挿通孔を有する第1フェルールをそれぞれ固定し、
被取付け体の外周面に、第2挿通孔を有する第2フェルールを、複数の第1フェルール間に配置されて固定し、
第1挿通孔と第2挿通孔とに、太陽電池の出力を導く索条を挿通することを特徴とする太陽電池の設置法である。
【0026】
また本発明は、(a)複数の太陽電池アセンブリを準備し、各太陽電池アセンブリは、
太陽電池と、
被取付け体の外周面側の太陽電池背面に固定され、弾発性を有するシート体と、
太陽電池の周辺部に固定され、第1挿通孔を有する第1フェルールとを有し、
(b)被取付け体の外周面に、第2挿通孔を有する第2フェルールを、複数の第1フェルール間に配置して固定し、
(c)第1挿通孔と第2挿通孔とに、太陽電池の出力を導く索条を挿通することを特徴とする太陽電池の設置法である。
【0027】
また本発明は、被取付け体に浮揚気体が充填された状態で、被取付け体の外周面上にシート体が弾発的に圧縮されて当接することを特徴とする。
【0028】
また本発明は、被取付け体の外周面側のシート背面に、金属箔が貼着されることを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、太陽電池を飛行体などの被取付け体の外周面に確実に取付けることでき、その被取付け体の外周面の変形が生じても、そのような変形によって剛性の高い太陽電池が損傷または剥離するおそれをなくすことができ、また太陽電池を交換することが容易であり、メンテナンスが優れている。また索条によって太陽電池の出力を導くので、この索条とは別に電線を用いる構成に比べて軽量化を図ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の飛行船1の太陽電池取付け構造2の一部の装着状態を示す断面図である。飛行船1の機体3は、気密性を有する可撓性のある外膜材4内にHeガスなどの浮揚気体5が充填されて構成される。外膜材4の厚みは、たとえば3mmであってもよい。この飛行船1の機体3の外周面上に、複数の太陽電池アセンブリ6が索条7を用いて装着される。
【0031】
図2は、太陽電池アセンブリ6の自然状態における断面図である。この太陽電池アセンブリ6は基本的に、矩形の比較的薄い太陽電池8のモジュールと、太陽電池8の受光面(図1および図2の上面)とは反対側の背面に接着剤などによって固定されるシート体9と、シート体9の背面に接着剤などによって貼着されるアルミニウム箔などの金属箔10と、太陽電池8に固定される第1フェルール11とを含む。シート体9は、たとえば熱可塑性合成樹脂などの合成樹脂材料から成り、たとえば発泡された構成であってもよく、スポンジ状であって、弾発性を有し、さらに断熱機能を達成する。シート体9の図2の自然状態における厚みtは、たとえば2~3cmであってもよく、約10cm未満であってもよい。
【0032】
太陽電池8の周辺部に外側方(図2の左方)に突出して固定される第1フェルール11は、取付け部13と取付け筒14とを含む。取付け部13は、一対の相互に固定された固定片15,16と、これらの固定片15,16に連なり取付け筒14を外囲する湾曲部17とを含む。湾曲部17の内周面には、取付け筒14が固定される。取付け筒14には、第1挿通孔18が形成される。第1挿通孔18の軸線は、太陽電池8に平行であり、その周辺部に沿って一直線状に延び、図2の紙面に垂直である。固定片15,16は、太陽電池8とシート体9との間に配置され、太陽電池8およびシート体9に固定される。固定片15,16は、太陽電池8に接触していなくてもよく、シート体9に固定されていてもよい。取付け部13は、金属などの材料から成り、剛性である。取付け筒14は、合成樹脂、繊維強化プラスチック(略称FRP)または金属などの材料から成り、剛性である。
【0033】
図3は第1フェルール11を飛行船1の機体3の外周面に取付けるための第2フェルール21の斜視図であり、図4は第2フェルール21の断面図である。第2フェルール21は、機体3の外膜材4に外方に突出して固定される基材22と、この基材22に固定される取付け部23と、取付け部23に固定される取付け筒24,25とを含む。取付け筒24,25は、第2挿通孔26,27を有する。これらの第2挿通孔26,27の軸線は、機体3の外周面に装着される太陽電池アセンブリ6の周辺部に平行に延び、図1、図2および図4の紙面に垂直である。取付け部23は、基材22に固定される固定片28,29,30と、これらの固定片28,29,30から立上がる立上がり部31,32;33,34と、これらの立上がり部31,32;33,34に連なり、取付け筒24を外囲して固定する湾曲部35,36とを含む。取付け部23は、飛行船1の外膜材4と同様な材料から成ってもよく、可撓性を有する。取付け筒24,25は、前述の取付け筒14と同様な材料から成り、剛性である。取付け部23は、たとえばテドラー(デュポン社製商品名)などのポリふっ化ビニル(略称PVF)であってもよく、またはポリエチレン、塩化ビニル、ポリアミド系樹脂などであってもよく、そのほかの材料から成ってもよく、さらに繊維強化プラスチックなどであってもよい。外膜材4は、テドラー(デュポン社製商品名)などから成ってもよい。
【0034】
図5は太陽電池アセンブリ6を第1および第2フェルール11,21と索条7とを用いて飛行船1の機体3の外膜材4外周面に取付けた状態を示す一部の平面図である。図1~図4に示される各構成要素に対応する部分には、英文字a,b,cを付して示す。図5の切断面線A-Aから見た断面は、前述の図1に示される。太陽電池アセンブリ6の太陽電池8は、たとえば正方形、長方形などの矩形であり、この実施の形態ではたとえば縦1m×横1mである。索条7は、第1フェルール11の第1挿通孔18と第2フェルール21の第2挿通孔26とに挿通する。この索条7の一端部には、挿通孔18,26の内径よりも大きい外径を有する留め金具38が固定される。索条7の他端部には、太陽電池アセンブリ6の第1フェルール11の第1挿通孔18と第2フェルール21の第2挿通孔26を挿通して連結した後、もう1つの留め金具39が取付けられる。留め金具39もまた、留め金具38と同様に、第1および第2挿通孔18,26の内径よりも大きい外径を有する。留め金具38,39は、飛行船1の機体3の外膜材4に連結されて、取外し可能に固定されてもよく、実施の他の形態では、外膜材4に連結されなくてもよい。
【0035】
索条7は、切断可能な材料から成ってもよく、たとえばナイロンなどの合成樹脂材料から成ってもよく、ワイヤロープなどである。これによってメンテナンス時に索条などを切断し、太陽電池アセンブリ6を容易に取外すことができるようになる。
【0036】
太陽電池アセンブリ6の第1フェルール11の長さL1は、第2フェルール21の長さL2未満(L1>L2)に構成され、第1フェルール11は、太陽電池8の4つの一直線状の周辺部に間隔をあけて配置されているけれども、本発明の実施の他の形態では、対向する2つの周辺部、たとえば図5の太陽電池8の図5の左右の周辺部または図5の上下の対向する周辺部に設けられてもよい。
【0037】
図6は、飛行船1の全体の構成を示す側面図である。飛行船1の機体3のほぼ上半分の外周面40には、前述のように本発明に従う太陽電池アセンブリ6が多数個、配置される。機体3の長さはたとえば約200mであり、外径は約50mφであってもよい。図5の左右方向は、図6の機体3の左右の軸線方向に一致する。
【0038】
機体3の下部には、推進機41,42が取付けられる。この推進機41,42は、モータを有し、太陽電池8からの電力によって駆動され、推進機41,42のプロペラが回転される。機体3にはまた、操舵手段43が設けられ、機体3の姿勢が制御される。操舵手段43はまた、操縦のための翼およびそのほかの構成を含んでもよい。飛行船1は、機体3の機首44が空気の流れの上流に向かうように、すなわち船尾45が下流に向かうように、操舵手段43が動作される。
【0039】
たとえば高度20kmの成層圏の定点に飛行船1を停留させ、通信、放送、地球環境監視などのために用いられる。成層圏における高速度の気流が、風速30m/secであって、その気流に抗して飛行船1が停留するために、モータを含む推進機41,42が、駆動される。この駆動源として、太陽エネルギが用いられる。
【0040】
この飛行船1は、高度20kmの成層圏に重力に抗して停留し、このために外膜材4内には、Heガスなどの浮揚気体5が前述のように充填される。この浮揚気体の充填によって外膜材4が膨張し、索条7によって外膜材4に取付けられている太陽電池アセンブリ2の弾発性を有するシート体9が圧縮され、装着状態における図1の厚みt1が、図2に示される自然状態の厚みtに比べて小さく変形し(t1<t)、こうして太陽電池アセンブリ2は、外膜材4の外周面にぴったりと弾発的に当接して装着されることができる。こうして成層圏における太陽電池アセンブリ6の気流によるばたつきを抑制することができる。金属箔10は、昼間における太陽電池8からの熱が外膜材4側に伝導されることを防いで反射し、また夜間に外膜材4側からの浮揚気体5などの熱が外部に放散されることを抑制する。
【0041】
索条7を電線とし、太陽電池8の出力を導くようにする。このようにすれば、索条7とは別に電線を用いる構成に比べて軽量化を図ることができる。
【0042】
本発明では、被取付け体は、飛行船、気球、飛行艇などの飛行体だけでなく、地上に設置される柔軟構造体であるドームおよびそのほかの構造に関連して広範囲に実施することができる。
【0043】
【発明の効果】
請求項1,7の本発明によれば、太陽電池の周辺部に固定された第1フェルールと被取付け体の外周面に固定された第2フェルールとに索条を挿通して太陽電池を被取付け体の外周面に固定するようにしたので、大面積にわたって太陽電池を容易に取付けることができ、多量の接着剤を用いることはなく、軽量化を図ることができ、また索条によって太陽電池の出力を導くので、この索条とは別に電線を用いる構成に比べて軽量化を図ることができる。
また索条を第1および第2フェルールから取外し、または索条を切断するなどして太陽電池の交換を容易に行うことができ、メンテナンスの容易化を図ることができる。太陽電池は、その周辺部の第1フェルールに索条が挿通され、第1および第2フェルールの第1および第2挿通孔に索条が挿通されるので、太陽電池のほぼ全面を被取付け体の外周面にぴったりと取付けることが容易に可能であり、したがって被取付け体である飛行体の船体またはドームなどの外周面に沿って流れる高速度の気流によって太陽電池が剥離してしまうおそれをなくすことができ、太陽電池を被取付け体に確実に取付けることができるようになり、太陽電池が気流、強風によってばたつくことはない。
【0044】
請求項2の本発明によれば、太陽電池の背面に弾発性を有するシート体が固定されて太陽電池アセンブリが構成され、この太陽電池アセンブリが被取付け体に取付けられるので、シート体の働きによって、比較的薄い太陽電池が、高速度の気流によってばたつくおそれがない。これによって太陽電池の損傷、剥離を防ぐことができ、太陽電池を被取付け体の外周面にぴったりと取付けることができるようになる。シート体はまた、断熱機能を発揮することができ、これによって受光面が黒い太陽電池の熱が被取付け体の外周面に伝導することを抑制し、また被取付け体の熱がたとえば夜間などにおいて外部に放散されることを抑制する。こうして被取付け体の外膜材内に充填される気体の温度をできるだけ安定に保ち、飛行体の安定した飛行状態および地上のドームの安定した形状、構造を達成することができる。
【0045】
請求項3,8の本発明によれば、太陽電池の背面に弾発性シート体を固定し、太陽電池の周辺部に第1フェルールを固定して複数の各太陽電池アセンブリを構成し、この太陽電池アセンブリの第1フェルールに、被取付け体の外周面に固定された第2フェルールとに、索条を挿通し、太陽電池アセンブリを被取付け体の外周面に固定するようにしたので、被取付け体の外周面に大面積にわたって複数の太陽電池アセンブリを着脱可能に容易に取付けることができるとともに、接着剤を用いることはないので軽量化を図ることができるとともに、メンテナンスの容易化を図ることができ、また索条によって太陽電池の出力を導くので、この索条とは別に電線を用いる構成に比べて軽量化を図ることができる。
また被取付け体である飛行体の船体またはドームなどの外周面に沿って流れる気流によって太陽電池アセンブリが剥離してしまうおそれはなく、太陽電池アセンブリを被取付け体の外周面に確実に取付けることができる。さらにシート体によって太陽電池からの太陽熱が飛行体の外周面に伝導することを抑制し、また被取付け体の外周面からの熱放散を抑制して断熱機能を達成し、被取付け体内の気体の温度の変化を抑制することもまた可能である。
【0046】
請求項4,9の本発明によれば、シート体が弾発的に圧縮されて被取付け体の外周面上に当接し、これによって太陽電池または太陽電池アセンブリが、たとえば高速度の気流の流れ、強風によってばたつくおそれはなく、太陽電池または太陽電池アセンブリを被取付け体の外周面にぴったりと装着することが容易に可能になる。
【0047】
請求項5,10の本発明によれば、シート体背面に金属箔を貼着し、これによって断熱効果を高めるようにしたので、太陽電池の受光面からの熱を被取付け体に伝導することを抑制し、また被取付け体からの熱放散を抑制し、こうして被取付け体に充填された気体の温度、したがって圧力をできるだけ一定に保ち、安定した形状を保つことができる。
【0048】
請求項6の本発明によれば、飛行体の推進機は、太陽電池の電力によって駆動され、操舵手段によって飛行体の機首を、空気の流れの上流に向かうようにし、これによって空力抵抗をできるだけ少なくして、飛行体をたとえば地球の上空の予め定める地点に、定点滞留することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の飛行船1の太陽電池取付け装置2の一部の装着状態を示す断面図である。
【図2】太陽電池アセンブリ6の自然状態における断面図である。
【図3】第1フェルール11を飛行船1の機体3の外周面に取付けるための第2フェルール21の斜視図である。
【図4】第2フェルール21の断面図である。
【図5】本発明の実施の他の形態である。
【図6】飛行船1の全体の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 飛行船
2 太陽電池取付け装置
3 機体
4 外膜材
5 浮揚気体
6 太陽電池アセンブリ
7 索条
8 太陽電池
9 シート体
10 金属箔
11 第1フェルール
18 第1挿通孔
21 第2フェルール
26,27 第2挿通孔
38,39 留め金具
40 外周面
41,42 推進機
43 操舵手段
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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