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明細書 :多関節介護ロボット制御用の圧力分布センサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3511088号 (P3511088)
公開番号 特開2001-287189 (P2001-287189A)
登録日 平成16年1月16日(2004.1.16)
発行日 平成16年3月29日(2004.3.29)
公開日 平成13年10月16日(2001.10.16)
発明の名称または考案の名称 多関節介護ロボット制御用の圧力分布センサ
国際特許分類 B25J 19/02      
A61G 12/00      
G01L  5/00      
FI B25J 19/02
A61G 12/00
G01L 5/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2000-108346 (P2000-108346)
出願日 平成12年4月10日(2000.4.10)
審査請求日 平成13年5月23日(2001.5.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501137577
【氏名又は名称】独立行政法人航空宇宙技術研究所
発明者または考案者 【氏名】岡本 修
【氏名】中谷 輝臣
【氏名】上村 平八郎
【氏名】山口 功
【氏名】鈴木 誠三
【氏名】薮内 賀義
【氏名】上野 純一
【氏名】臼井 康起
【氏名】永野 裕章
【氏名】蓮佛 克彦
【氏名】伊崎 光晴
個別代理人の代理人 【識別番号】100110515、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 益男 (外2名)
審査官 【審査官】高田 元樹
参考文献・文献 特開 昭56-163624(JP,A)
特開 平4-40333(JP,A)
特開 平5-38689(JP,A)
特開 昭64-61626(JP,A)
特開 昭62-251902(JP,A)
実開 昭59-148291(JP,U)
実開 平4-115592(JP,U)
実開 昭55-131707(JP,U)
調査した分野 B25J 19/02
B25J 13/00
G05B 19/18
A61G 12/00
G01L 5/00 101
特許請求の範囲 【請求項1】
基材シート上に平行に配置された行電極と同じく基材シート上に糸巻き形態に配置された列電極を感圧抵抗素材を介在させて重ね合わせた感圧シートセンサを、両端部が傾斜角をもってカットされた円筒形状である関節ユニットを複数個直列につないだ多関節を腕とするものの外表面に巻きつけ、前記両電極の交点が前記関節ユニットの外表面全域に分布されるようにして圧力分布を検出できるようにしたことを特徴とする多関節介護ロボット制御用の圧力分布センサ。

【請求項2】
従動側アームが駆動側アームのアーム軸線に対しオフセット角γのオフセット回転関節で連接されている状態を検出すると共に、この情報を信号線で隣接する関節へ伝送する機能を備え、基準となる固定座標系が肩部側関節から順次伝達されるオフセット関節に用いられるものであって、隣接する複数の行電極を短絡接続すると共に、隣接する複数の列電極を短絡接続することによって信号出力端子の数を減少させて、情報処理の演算負担を軽減すると共に領域を代表する信頼性の高い信号検出を実現したことを特徴とする請求項1に記載の多関節介護ロボット制御用の圧力分布センサ。

【請求項3】
所定幅を蛇行する形状の行電極と同じく所定幅を蛇行する形状の列電極とを組合せて、信号出力端子の数を減少させて、情報処理の演算負担を軽減すると共に領域を代表する信頼性の高い信号検出を実現したことを特徴とする請求項1に記載の多関節介護ロボット制御用の圧力分布センサ。

【請求項4】
各関節ユニットは請求項1に記載の圧力分布センサとオフセット関節のオフセット角を検知するエンコーダと情報処理手段を備えると共に、各関節ユニットと中央の制御用CPUとはネットワーク接続されており、前記感圧シートセンサとエンコーダの出力信号および肩側関節の位置情報とから前記情報処理回路によって各関節ユニット毎にローカル演算処理を実行し、基準座標系の位置情報として中央のCPUに送信することで、応答性の早い制御を実現したことを特徴とする多関節介護ロボット制御システム。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、高齢者等の介護を補助するロボットに関し、特に多関節の腕等にかかる圧力分布を検出し、その駆動制御に使用するセンサとその周辺技術に関するものである。

【10】
そして従来の感圧マトリックスシートセンサの列電極を糸巻き形状に変形したもので実験したところ、介護ロボットは状況に対応してリアルタイムの駆動制御を必要とされるのであるが、多数の行電極と列電極の交差位置における検出値から演算処理して圧力分布を得、その接触情報に基づく各関節の適正駆動制御を実行するまでには相当の時間を要してしまい、求められるリアルタイム駆動ができないという問題に当面した。ところでこの接触情報は各関節を適正なオフセット角に駆動制御するための必要情報であるから、関節ユニット表面における細かい圧力分布を必ずしも必要とするものではない。そこで、複数ある行列電極の所定数おきにサンプリングして情報量を低減することを考えたのであるが、この場合、応答性の点では効果的であるが圧力情報が1電極交差点部分の検出信号に依存するため信頼性の点で不安があった。そこで本発明者は1点ではなく、この近傍領域の複数点の圧力信号からその領域の情報を得ることを考えた。それは複数の交差点の信号を演算処理するのではなく、サンプリングしなかった電極からの信号を捨ててしまわないで近傍の電極を短絡して電極群とする方法である。この構成によれば、n個の行電極とm個の列電極が短絡されていたとしてその電極間の抵抗値はn×m個の電極交差点部分の抵抗が並列接続されたものとなるから、所定エリア内に存在するn×m個の電極交差点部分の抵抗値に依存するものとなり、情報としての信頼性は高くなる。勿論n×m個の電極交差点部分の抵抗値を個々に検出して信号処理するわけではないので、演算負担は先のサンプリングの場合と同じである。この発明は特定エリアの圧力分布を得るに際し、位置分解能については必要とされるレベルまで粗くするが、その検出情報はその領域を代表できる信頼性の高いものとすることで、応答性の速さと信頼性の高い情報とを両立させた点にその技術的意義がある。なお、上記の要件を満たす構成としては電極を群とするのではなく、群の幅をもった1つの幅広電極とし複数交点の並列接続では無くその領域全体の圧力信号として検出する方法もあるが、この感圧シートセンサは円筒状の関節に巻きつけ使用するものであるため、可撓性の点で幅広電極ではなく線電極を用いる方が好適である。

【11】
次に本発明の介護ロボットの双腕を構成する多関節機構を図2に示し、詳述する。図中Aは多関節の結合関係と各関節ユニットが備えている接触情報を検出して信号処理して信号を送受信するシステムを概念的に示したものであり、図中左側が肩部方向で右側が手先方向であり、関節はアルミニウム等軽量硬質の素材で、傾斜角は例えば45度或は30度に形成する。ロボット本体の肩部を基部とし固定座標系で各関節の位置関係が把握管理される。各関節はネットワーク化されており、各関節にはサーボモータを中心とした駆動系の他、回転速度計やエンコーダそして前述の接触情報を得る感圧シートセンサといった計測手段と、関節データべ-スと起動用のROMやCPUといった情報処理手段、それに関節間の情報ネットワークをつかさどる通信手段とが備えられている。図2のAには駆動系を省略して感圧シートセンサP、エンコーダE、情報処理手段Iと通信手段の信号線Lのみを模式的に示してある。感圧シートセンサPによって得られる圧力分布情報はロボットの腕と被介護者との接触情報に相当するものであるから、各関節における相対位置情報のままでは不十分で、作動においてはロボット本体から見た絶対的位置情報が必要となる。すなわち各関節において得られた圧力分布情報は各関節における相対位置情報であるため、ロボット本体を基準とした固定座標系に変換して双腕全体として位置情報が把握されなければならない。ところで各関節にはエンコーダEが備えられており、図7において従動側アーム7が駆動側アーム6のアーム軸線に対し、オフセット角γのオフセット回転関節で連接されている状態を検出していると共に、この情報はスリップリング13を介した信号線で隣接する関節へ伝送されていて、基準となる固定座標系が肩部側関節から順次伝達されるように構成されている。すなわち、ロボット本体の固定座標系に対し最初の関節のエンコーダ情報からオフセット角γが与えられれば関節の長さ情報と端部の傾斜角は既知であるからこの関節の固定座標系に対する位置情報は変換して割出すことが出来る。この関節の固定座標系位置情報を基に次の関節も同様にその関節のエンコーダ情報から演算が可能であり、この座標変換を関節毎に順次手先側に実行することですべての関節の座標変換が可能である。したがって、個々の関節の感圧マトリックスシートセンサによって得られる圧力分布情報は相対位置情報であるが、すべての関節での検出情報を集約すれば基準固定座標系の位置情報すなわち絶対位置情報に変換することが可能である。

【12】
いま、各関節とロボットを制御する中央のコンピュータとのネットワークを図3に模式的に表す。図中Eiはi番目の関節のエンコーダ、Piはi番目の関節の感圧シートセンサを示し、全角表示のCPUは中央のコンピュータのものであり、半角表示のCPUiはi番目の関節のものを示す。まず、図3のAに示したように各関節の検出データをすべてを中央のコンピュータのCPUにデータ集めて前述の座標変換の演算処理を行おうとすると、CPUに負担がかかりすぎ求められるリアルタイム処理が難しいという問題が生じた。次に、図3のBに示したように中央のコンピュータにエンコーダからの情報を専用に処理するCPU-Eとシートセンサからの圧力分布情報を専用に処理するCPU-Pとを別に備えるシステムを考えた。これは先のデータをすべてを中央のコンピュータのCPUにデータ集めて演算処理を行うものに比し、演算速度は相当に改善されたのであるが、なお満足できるものではなかった。そこで、本発明では図3のCに示したように各関節毎のローカル処理で行い中央のCPUに負担を軽くするネットワークシステムを考えた。すなわち各関節はエンコーダを備えており、関節の長さ情報と端部の傾斜角は既知であるので、この情報に肩側関節の位置情報が与えられれば、その関節の位置情報を肩側関節と同じ座標系で演算把握することがローカルに出来ることに鑑み、最も肩側の関節からこの演算を実行し基準座標系での位置情報を順次手先側関節に送信して行けば、すべての関節でその関節の基準座標系での位置情報をローカルに演算把握することが出来る。関節自体の位置情報が分かれば感圧シートセンサから得られた圧力分布情報は基準座標系に演算して変換することが可能であることから、各関節内のCPUiにエンコーダ情報Eiと隣接する肩側関節の位置情報を入力して当該関節の圧力分布情報を基準座標系の情報に演算変換を実行するようにしたのである。このように本発明は各関節で得た特定座標系の圧力分布情報を基準の固定座標系へ座標変換する作業を各関節においてローカル処理してしまう構成によって、中央のコンピュータの負担を軽減し、求められるリアルタイムの駆動制御を可能にした点に技術的意義を有している。

【13】
図2のBは関節ユニットの断面図(図Cのb-b断面)であり、図2のCは中央の関節ユニットのクッション外皮Hを剥がした多関節の一部斜視図である。B,Cに図示されたように感圧マトリックスシートセンサPは金属等の剛性材質で作られた関節ユニットの全外表面を覆うように巻きつけられており、関節筒部の最も長い部分の軸方向に設けられたコネクタCに前記シートセンサPの信号出力端子Tが差込み接続される。該コネクタCは図示していないが関節内部に装着されているIC化された情報処理手段Iに切替回路を介して接続されており、更に該情報処理手段Iは信号が送受信されるべく信号線に接続されている。また、被介護者に直接触れるクッション外皮Hは優しい感触を出すためにポリウレタンフォーム等柔軟性があって熱伝導率の低い材料で形成する。

【14】

【実施例1】図4は本発明の感圧マトリックスシートセンサの1実施例を示し、図中Aは平面図であり、Bは分解断面図そしてCは断面図である。この実施例はポリエステルフィルムからなる行電極側基材シート1上に線状の行電極2が平行に多数本配置され更に隣接する複数の行電極2が直列に接続されるように銅などの導電性材料を印刷する。また、ポリエステルフィルムからなる列電極側基材シート5上には線状の列電極4が中央の直線電極を中心に左右対象に外に向かって徐々に中心部で深い凹形となるように糸巻き形状に多数本配置され更に隣接する複数の列電極4が直列に接続されるように導電性材料を印刷する。両電極基材シート1,5の電極2,4を印刷した面には全面に金属粉末をゴム質材に含有させた特殊インクで上塗り印刷し感圧抵抗素材3(高感度導電性エラストマー)を積層する。このように作られた両電極基材シートの圧力抵抗材料側が合わされるように重ねて糸巻き形状の感圧マトリックスシートセンサを製造した。本実施例では行電極列電極共に10本づつ配置し隣接する2本を直列に接続することでシート全体で5×5の領域に分割し圧力分布を得るようにした。信号出力端子Tはシートから突出して設けられ、関節への装着に際してはこの部分を折り曲げてコネクタCに挿し込むようにする。関節の制御用の情報としては5×5が適当と考えられるが、必ずしもこの数に限定されることはない。また電極数は関節の寸法等によりもっと多くする場合もあり、その場合にはさらに接続する電極数を増やせばよい。基本的に印刷技術を用いて製造されるので、電極の形状配置は基材シートに設計上如何様にでも作ることが可能である。

【15】

【実施例2】また、本発明者は情報量としては必要なだけに抑え、信頼性の高い情報を得る手段として図5に示したような行電極列電極を共に所定幅で蛇行する電極で構成したものを提案した。ただし、実際の感圧シートセンサは列電極を糸巻き形状配列にするのであるが、図5のAは簡単のため平行配列で図示してある。この実施例の特徴は図5のBに明示されたような電極形状に有り、これにより複数本の電極を繋ぐことなく1本の電極で所定幅の領域をカバーすることが出来る。この実施例も位置情報としては5×5の分解能をもち、特定行電極と特定列電極間の抵抗値は5×5の交点部分で並列接続された形態となっている。電極の蛇行幅を小さくすれば電極の数が多くなって位置分解能が高くなり、電極の蛇行ピッチを小さくすれば特定領域内の交点数が多くなり検出受圧信号の信頼性が高くなるという関係になる。この感圧シートセンサの製造は電極形状において相違するだけで、先の実施例と特に変わるところはない。

【16】

【発明の効果】本発明は、基材シート上に平行に配置された行電極と同じく基材シート上に糸巻き形態に配置された列電極を感圧抵抗素材を介在させて重ね合わせ、全体としても糸巻き形状である感圧シートセンサを、両端部が傾斜角をもってカットされた円筒形状である関節ユニットを複数個直列につないだ多関節を腕とするものの外表面に巻きつけ使用するようにしたので、前記両電極の交点が前記関節ユニットの外表面全域に分布されるようになって、多関節介護ロボット制御用の圧力分布センサとして不感領域のない圧力分布を検出できるものである。また、本発明は所定幅をカバーできる電極構造を行方向にも列方向にも採用した感圧マトリックスシートセンサとすることによって、信号出力端子の数を減少させ情報処理の演算負担を軽減すると共に、検出信号をその領域を代表できる信頼性の高いものとし、応答性の速さと信頼性の高い情報とを両立させることができた。

【17】
さらに、本発明の各関節ユニットは感圧シートセンサとエンコーダと情報処理手段を備えると共に、各関節ユニットと中央の制御用CPUとはネットワーク接続されており、前記感圧シートセンサとエンコーダの出力信号および肩側関節の位置情報とから前記情報処理回路によって各関節ユニット毎にローカル演算処理を実行し、基準座標系の位置情報としてから中央のCPUに送信することで中央の負担を軽減し、多関節介護ロボット全体の制御システムとして応答性の早い制御を実現することができた。

【2】

【従来の技術】高齢化社会を迎え、高齢者等の介護が益々その必要度を増している中で、介護をする人の肉体的な負担は重く、介護者自身が腰や膝や肩、腕等を痛めてしまう例が多発している。そのような状況に対応して介護補助具の研究開発が盛んに行われており、介護ロボットの開発にも期待が寄せられているが、これについては未だ実用段階にはない。工業用のロボットと異なり、生身の人間しかも身体的に弱い人を対象とするものであるため、その動作は単に安全確実なだけで無く介護を受ける人に安心感を与える繊細なもの、すなわち人に優しいことが要求されるため、介護ロボットの提供には機構的にも制御上も極めて厄介な問題を伴うことになる。

【3】
本出願人は先にオフセット関節と回転関節を一体化構造とした「多関節ロボットとその制御方法」を研究開発し、特願平11-319334号として特許出願した。この発明の多関節ロボットは、駆動側アームと従動側アームがアーム軸線に対して傾斜したオフセット回転軸線回りに回転駆動されるオフセット回転関節を複数個有する多関節ロボットにおいて、駆動側アーム又は従動側アームの何れか一方のアーム先端にモータで回転駆動される中空回転軸を所定のオフセット角度で傾斜して回転自在に設け、他方のアーム基端に前記中空軸から回転力を伝動されるロータ部材が固定され、前記中空回転軸と前記ロータ部材が高減速比伝動・トルク増加機構となっていることを特徴としたものであって、この構成によりより小型の駆動モータを採用してより強い回転トルクを伝えることができ、且つ高精度の位置決めができ、小型軽量でより高トルクのオフセット回転関節を得、該オフセット回転関節を多段に連接することによってペイロードが大きく可動範囲がひろく且つ複雑な精密な動きをする高機能な多関節ロボットを提供することができたものである。

【4】
この多関節ロボットにおけるオフセット回転関節の基本構成を図7に示す。この図は円筒状の手元アームを駆動側アーム6とし、手先アームを従動側アーム7としている場合であり、従動側アーム7が駆動側アーム6のアーム軸線に対し、オフセット角γのオフセット回転関節で連接されている状態を示している。駆動側アーム6のアーム本体6aの先端は軸線に直角な直角開口部となっており、従動側アームの基端がアーム軸線に対して傾斜角γの傾斜開口部となっており、直角開口部と傾斜開口部にオフセット回転関節組立体が設けられている。この実施形態におけるオフセット回転関節組立体は、モータユニット8、該モータユニット先端に固定された駆動側アーム先端部6b、該駆動側アーム先端部に固定された関節回転伝動機構部9が一体に組み立てられている。駆動側アーム先端部6bは、基端側が直角開口部で先端側が傾斜開口部に形成され、直角開口部にモータ軸先端を軸受けし、傾斜開口部には関節回転伝動機構部9が固定されている。モータユニット8は、アームと同径を有するモータケース10を有し、該モータケースの上下端を図示のように駆動側アーム6a及び駆動側アーム先端部6bと連結固定して一体化することによって、モータケース10自体が駆動側アームの一部を構成を構成している。モータユニット8は、前記モータケース10と一体型に形成されたモータ11、エンコーダE、スリップリング13、及び回転速度計(図示してない)からなり、モータ軸14がアーム軸線と同一軸線上又は平行線上に位置するように設けられている。このような構成において、モータ11が駆動すると、外歯傘歯車17、内歯傘歯車24を介して円筒軸21が所定の回転速度で回転する。その際、内歯傘歯車24を径大にすることによつて直径比に応じて減速することができ、小型のモータで大きなトルクを発生させることができる。さらに関節回転伝動機構部9内のハーモニツクギア機構により大きな減速比を得ることができ、小さなモータでより大きな回転トルクを得ることができる。この回転トルクにより駆動側アーム6に対し従動側アーム7を所望の角度で延在させることが出来る。

【5】
本発明者は、ペイロードが大きく可動範囲がひろく且つ複雑な精密な動きをする高機能な多関節ロボットを提供することができるこの「多関節ロボットとその制御方法」を、人に優しいことが要求されるため機構的にも制御上も極めて厄介な問題を伴う介護ロボットの腕に応用することを考えた。介護ロボットの腕となると単に作業をこなせばよいというものではなく、被介護者に苦痛や不快感を与えない動作ということが重要である。例えば、ベッドに寝ている人を抱き上げる動作を想定したとき、腕の特定個所に応力が集中したとすると腕はその部分で局所的に被介護者と強く接触していることとなり、その反作用として被介護者に強い力がかかり痛みを与えしまうことになる。したがってこの介護ロボットの腕は万遍なく体を支える形態に変形応動し応力が局所に集中しないようにすることが必要となる。すなわち介護ロボットにおいては時々刻々変化する被介護者との接触状態に適正に対応を取りつつ初期の目的の動作を実行することが求められるため、常時被介護者との接触状態を検知しその検出値に対応した制御をすることが必要となる。本出願人が開発した多関節ロボットを介護ロボットに応用しようとするとき、まず必要となるのがロボットと被介護者との接触状態を検知するセンサである。

【6】
従来、特定領域で受けている圧力分布を検出する手段として感圧シートセンサがある。これは図6に示したようなもので、一方のポリエステルフィルム等からなる行電極側基材シート1上に配置された行電極2と他方の列電極側基材シート5上に配置された列電極4を備え、その間に感圧抵抗素材3を介在させて重ね一枚のシート状に形成したものである。この感圧シートセンサの特定列電極と特定行電極間には感圧抵抗素材3が介在しているので、両電極間の抵抗値はその感圧抵抗素材3の特性により両電極が交差する部分にかかる応力に応じた値を示すことになる。従って各列電極と各行電極間の抵抗値を順次測定すれば各交差位置における圧力を検知することが出来るわけで、この感圧シートセンサがカバーしている特定領域の圧力の大きさと位置情報すなわち受圧分布を検出することができる。この感圧シートセンサはベッドにおける体圧分布、座席シートの面圧分布、椅子の座圧分布、足の裏の足圧測定等各種の圧力分布検出に適用されている。本発明者はこの感圧シートセンサを多関節ロボットに適用し介護ロボットの接触状態検知センサとすることを試みた。ところが多関節ロボットの各関節ユニットは単純な円筒形ではなく両端部はオフセット角をもってカットされた形状となっているため、従来のマトリックス電極の方形シートでは全面の圧力を検出することができない。また介護ロボットは状況に対応してリアルタイムの駆動制御を必要とされるが、多数の行電極と列電極の交差位置における検出値から演算処理して圧力分布を得、その接触情報に基づく各関節の適正駆動制御を実行するまでには相当の時間を要してしまい、求められるリアルタイム駆動ができないという問題に当面した。

【7】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題は上記の問題を解決すること、すなわち、ロボットの腕を構成している両端部がオフセット角をもってカットされた円筒形状である各関節ユニットの全面に亘って圧力分布が測定できる接触センサを提供することと、該センサからの検出値をもちいてロボットの腕のリアルタイムの駆動制御を可能にする技術を提供することである。

【8】

【課題を解決するための手段】平行に配置された行電極と糸巻き形態に配置された列電極を組み合わせた感圧シートセンサとすることによって、両端部が所定角の傾斜開口部とされた円筒形状である各関節ユニットの全面に亘り電極交点が分布されるようにすると共に、行電極列電極ともに所定幅内をカバーするように配置することによって、信号出力端子の数を少なくして演算処理の負担を軽減した。更に各関節毎のセンサ出力信号を各関節毎に備えた処理回路によってローカル処理を実行してから中央のCPUに送信することでトータルの演算処理速度を高くするようにした。

【9】

【発明の実施の形態】介護ロボットは図1に示すようなもので、基本的に人間の足に代わって台車がついた形態であり、両腕に7~8関節を継いだ多関節ロボットアームを適用したものである。多関節の双腕と座とロボットの胸部腹部を使ってAに図示したように被介護者を横抱きにする態様、Bに図示したように正面に向いて膝乗せする形態、更にこれをリクライニングしてゆったり寝かせた形態で運ぶ動作などを想定している。介護ロボットの場合、人に優しいことが重要であり、各種動作を実行する双腕と被介護者との接触状態が局部的ではなく体の形態にフィットするように駆動制御する必要がある。本発明者は圧力分布を検出する手段として一般に使用されている感圧マトリックスシートセンサをこの多関節ロボットに適用し、介護ロボットの接触状態検知センサとすることを試みたが、多関節ロボットの関節ユニットは単純な円筒形ではなく両端部が所定角の傾斜開口部とされた形状となっているため、方形のマトリックスシートセンサでは全面の圧力分布を検出することができなかった。円筒状の前記関節ユニットは筒部の最も長い部分を軸方向にカットし押し広げれば糸巻き形状となることから、シートセンサ自体を糸巻き形状とし、この糸巻き形状の領域内に両電極の交差点が偏り無く分布配置される感圧シートセンサを得ようと、行電極は平行に配置し列電極は中央の直線電極を中心に左右対象に外に向かって徐々に中心部で深い凹形となるように糸巻き形状に配置することを案出した。なお、ここでいう糸巻き形状とは図4からも明らかなように中央部分が内側に凹んだ形状を意味し、中央部分が外側に膨らんでいる樽型形状と相対する用語として用いられている。
図面
【図1】
0
【図5】
1
【図6】
2
【図2】
3
【図4】
4
【図7】
5
【図3】
6