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明細書 :超電導加速度計

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3360091号 (P3360091)
公開番号 特開2002-071706 (P2002-071706A)
登録日 平成14年10月18日(2002.10.18)
発行日 平成14年12月24日(2002.12.24)
公開日 平成14年3月12日(2002.3.12)
発明の名称または考案の名称 超電導加速度計
国際特許分類 G01P 15/105     
G01P 15/08      
H01L 29/84      
H01L 39/00      
H01L 39/22      
FI H01L 29/84 Z
H01L 39/00
H01L 39/22
G01P 15/08
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願2000-265178 (P2000-265178)
出願日 平成12年9月1日(2000.9.1)
審査請求日 平成12年12月1日(2000.12.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501137577
【氏名又は名称】独立行政法人 航空宇宙技術研究所
発明者または考案者 【氏名】円居 繁治
個別代理人の代理人 【識別番号】100092200、【弁理士】、【氏名又は名称】大城 重信 (外2名)
審査官 【審査官】北川 創
参考文献・文献 特開 平1-209378(JP,A)
調査した分野 G01P 15/105
G01P 15/08
H01L 29/84
H01L 39/00 ZAA
H01L 39/22 ZAA
特許請求の範囲 【請求項1】
磁気的にシールドされた空間内に、揺動可能に懸架された慣性質量、これに隣接して配設された磁界発生手段、および該慣性質量と磁界発生手段との間隔の変化による磁束の変化を計測する磁束計からなる加速度計であって、
上記空間は気体雰囲気であり、該空間を囲む磁気シールドおよび慣性質量は超電導材料性であり、該磁気シールドをその超電導状態への転移の臨界温度以下に冷却することを特徴とする超電導加速度計

【請求項2】
請求項1の超電導加速度計において、超電導磁気シールドおよび慣性質量はその超電導状態への転移の臨界温度が液体窒素沸点以上の高温超電導材であることを特徴とする超電導加速度計

【請求項3】
請求項1または請求項2の超電導加速度計において、上記磁界発生手段が永久磁石であることを特徴とする超電導加速度計
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【産業上の利用分野】本発明は先進慣性航法に用いられる加速度計、特に超電導加速度計の改良に関する。

【10】
図2に、本発明の超電導加速度計の特性の1例を示す。図2Aは、図1の超電導加速度計の周囲を液体窒素冷媒で-196℃に冷却したとき、加速度計内部温度の時間による変化を示す。約10分で高温超電導体の臨界温度に達し、以後、液体窒素温度に漸近する。図2Bは、この超電導加速度計を用いて得られた外乱によるノイズ得性を示す。この外乱量は1×10-5gであるが、この中には地面振動などの他の外乱要因も含まれている。実験実証によって、図3に示す従来方式の超電導加速度計に比べて1/100以下にノイズが減少したことが確認された。

【11】
上記慣性質量、磁気シールドは、イットリウム系酸化物高温超電導材料、タリウム系酸化物高温超電導材料など、公知の各種の材料を用いることが出来るが、冷却槽の管理の容易さ、冷却能力などの点から見て、液体窒素温度以上で超電導体となる材料を用いることが望ましい。また、本実施の態様においては、磁場発生手段として永久磁石を用いたが、超電導コイルを用い、その永久電流によっても良いことは云うまでもない。

【12】

【発明の効果】上記のように、本発明の超電導加速度計は、
磁気シールドを全体として冷却するだけであるから、冷却系統の構成が簡単となる。
磁気シールド内の構造が簡単であり、加速度計の小型化が容易である。
慣性質量は直接冷媒に接触せず、その沸騰によって測定精度が影響される恐れがない。
慣性質量は、気体雰囲気中に懸架されており、液体雰囲気中に懸架されるのに比べて、周波数応答特性の向上が期待される。という効果を奏する。
また、高温超電導材料を使用することにより、冷媒として液体窒素を用いることが出来、冷却系統の一層の低コスト化を図ることが出来る。
磁場発生手段として永久磁石を用いれば、加速度計の構造の簡単化、低コスト化に有利である。
など、極めて実用性の高い超電導加速度計とすることが出来る。

【2】

【従来の技術】加速度計は、変位測定、重量測定などのように日常的な使用の機会は少ないとは言え、運動体、機械、構造物の動きや振動を検出するセンサーとして欠くことの出来ないものである。特に、運動体の動きの計測および制御のためには、加速度をそのまま利用する場合だけでなく、1回積分して速度、2回積分して変位の計測に用いられるなど、広く利用されている。高精度の加速度検出が要求される例えば慣性航法の高精度化や、重力異常、地殻変動、地球の重力分布計測等の分野への応用のためには、極めて微小な加速度(10-10g~10-13g程度)が制度良く検出可能であることが要求されるにもかかわらず、従来型の加速度計は10-6gが限界である。

【3】
各種の加速度計のうち、超電導加速度計は他の加速度計に比して格段に高い分解能を持ち、10-12gの高分解能が期待出来、このような高分解能加速度計は、慣性航法、重力傾斜計は勿論、地震予知、資源探査、重力波検出にも有用な存在になるものと期待されている。しかし、超電導素材にニオブ、チタン、錫の合金などを用い、冷却剤として液体ヘリウムを用いる低温超電導加速度計は、冷却装置が複雑で大きく、小型・軽量化出来ないという問題があった。

【4】
図3に従来の一体型超電導加速度計の構造の模式図を示す。超電導材料製の慣性質量30は、液体ヘリウム36が充填されている超電導磁気シールド31内に、ヒンジ32で支持されて慣性空間に静止している。同様に超電導材料で作られた超電導コイル33には、永久電流が流れ、磁場が発生している。加速度が作用すると、完全反磁性の性質を持つ慣性質量30と超電導コイル33の間隔が変化して磁束密度が変化し、その変化をジョセフソン効果を利用したSQUID磁束計35で計測し、加速度量を得るものである。

【5】
このような構造の超電導加速度計は、各構成要素が超電導現象、すなわち慣性質量30が完全反磁性、超電導コイル33がゼロ抵抗、磁束計35がジョセフソン効果を利用するものであるため、磁気シールド31内に液体ヘリウムを冷却媒体として充填し、その中に各構成要素を浸漬することにより、超電導転移温度以下に冷却していた。しかし、磁気シールド外周が断熱構造であっても、完全断熱でない限り、液体ヘリウムは常時沸騰しており、たえず対流が発生し、慣性空間内に静止していなければならない慣性質量30が対流の影響で揺らぐことにより、それが計測される加速度のノイズ成分として出力される。図4は計測されたノイズ成分の1例を示し、ノイズは約10-3gにも及ぶことが判る。このような問題点は、超電導材料を高温超電導材とし、冷却媒体を液体窒素としても同じである。

【6】
これに対して、本発明者は、先に、上記の欠点を含まない新構造の超電導加速度計を提案した(特願平11-180153号)。その構造の1例の模式図を図5に示す。ここでは、超電導材料として高温超電導材料を使用し、冷却媒体57としては液体窒素を使用している。超電導磁気シールド51内に、慣性質量50を収納する第1冷却槽58と永久磁石54およびSQUID磁束計55を収納する第2冷却槽59がそれぞれ分離独立して設けられる。第1冷却槽58はヒンジ52を有する連結片で懸架され、慣性質量50はその内部に定置され、冷却媒体である液体窒素の対流による揺らぎの影響を受けない構造とされている。また、磁界発生手段は超電導コイルに変えて永久磁石54を使用することにより、高温超電導材料の加工の難しさの影響を避けている。

【7】

【発明が解決しようとする課題】上記提案の超電導加速度計は、冷却媒体の対流によるノイズの発生を防ぎ、高温超電導材料の使用に適した構造を持ち、液体窒素は液体ヘリウムに比べて温度管理が容易なだけでなく、気化潜熱も60倍におよび冷却能力が高いなど、多くの利点を有しながらも、加速度計自体の構造が複雑になるのを避けることが出来ず、慣性質量50と永久磁石54の距離に制限が生じるなどの制約も生じていた。また、第1、第2の冷却槽は磁気シールドとすることは出来ないので、磁気シールド51を超電導材製とすれば、そのための冷却構造が必要になるという問題もある。本発明は、上記従来の超電導加速度計と上記提案の超電導加速度計の長所を併せ持ち、構造が簡単でノイズ出力が小さい、高い分解能を実現できる超電導加速度計を得ようとするものである。

【8】

【課題を解決するための手段】本発明の超電導加速度計は、磁気的にシールドされた空間内に、揺動可能に懸架された慣性質量、これに隣接して配設された磁界発生手段、および該慣性質量と磁界発生手段との間隔の変化による磁束の変化を計測する磁束計からなる加速度計であって、上記空間は気体雰囲気であり、該空間を囲む磁気シールドおよび慣性質量は超電導材料製とし、該磁気シールドをその超電導状態への転移の臨界温度以下に冷却することによって、上記目的を達成したものである。このとき、超電導磁気シールドおよび慣性質量はその超電導状態への転移の臨界温度が液体窒素沸点以上の高温超電導材であることが望ましく、磁界発生手段は永久磁石とすることが出来る。

【9】

【発明の実施の形態】より具体的には、図1にその模式図を示す本発明の超電導加速度計においては、高温超電導材料製の慣性質量10は、気体雰囲気の高温超電導磁気シールド11内に、ヒンジ12で支持されて慣性空間に静止している。14は永久磁石であり、磁場を発生させる。15は高温超電導材料によるSQUID磁束計であり、ジョセフソン効果を利用して磁束密度の変化を計測する。本発明においては、高温超電導磁気シールド11は、その外側を液体窒素17によってその全体が冷却され、磁気シールド11、慣性質量10、SQUID磁束計15がすべて超電導状態に保持される。加速度が作用すると、完全反磁性の性質を持つ慣性質量10と永久磁石14の間隔が変化して磁束密度が変化し、その変化の計測から加速度量を得るものであることは、図3、図5の超電導加速度計と同様である。
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図2】
2
【図4】
3
【図5】
4