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明細書 :細胞培養容器の培地交換用システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3572341号 (P3572341)
公開番号 特開2002-153256 (P2002-153256A)
登録日 平成16年7月9日(2004.7.9)
発行日 平成16年9月29日(2004.9.29)
公開日 平成14年5月28日(2002.5.28)
発明の名称または考案の名称 細胞培養容器の培地交換用システム
国際特許分類 C12M  1/00      
C12M  3/00      
FI C12M 1/00 C
C12M 1/00 G
C12M 3/00 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 10
出願番号 特願2000-354297 (P2000-354297)
出願日 平成12年11月21日(2000.11.21)
審査請求日 平成14年8月22日(2002.8.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503361400
【氏名又は名称】独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
【識別番号】000003285
【氏名又は名称】千代田化工建設株式会社
発明者または考案者 【氏名】安藤 登
【氏名】小川 重行
【氏名】永瀬 睦
個別代理人の代理人 【識別番号】100096862、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 千春
【識別番号】100096862、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 千春
審査官 【審査官】斎藤 真由美
参考文献・文献 実開平06-079300(JP,U)
特開昭52-125688(JP,A)
特開平05-038281(JP,A)
調査した分野 C12M 1/00-3/10
C12P 1/00-41/00
C12N 1/00-7/08
MEDLINE(STN)
BIOSIS/WPI(DIALOG)
特許請求の範囲 【請求項1】
培地が充填される空間部を有するとともに、上記空間部の相対向する位置に開口する培地注入孔および培地注出孔を有する細胞培養容器と、
新鮮な培地を蓄える培地収納手段およびこの培地収納手段に隣接して設けられた廃培地収納手段と、
上記培地収納手段と上記細胞培養容器とを連結する培地供給管および当該細胞培養容器と上記廃培地収納手段とを連結する培地排出管と、
これら培地供給管および培地排出管の端部に設けられて上記細胞培養容器の上記注入孔および上記注出孔のそれぞれに設けられた接続具に各々着脱自在に接続されるコネクタと、
少なくとも上記培地供給管に介装されて上記培地収納手段内の培地を上記細胞培養容器の上記空間部に供給する送液ポンプとを備えてなることを特徴とする細胞培養容器の培地交換用システム。
【請求項2】
上記送液ポンプは、2組の吸入口と吐出口とを有するペリスタルティックポンプであり、一方の上記吸入口および吐出口に上記培地供給管が接続され、他方の上記吸入口および吐出口に上記培地排出管が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養容器の培地交換用システム。
【請求項3】
上記細胞培養容器は、両面間に貫通して培地が充填される上記空間部が形成された板状の本体に、上記空間部を覆う酸素透過性を有する酸素供給手段としての膜材が設けられてなり、かつ上記本体には、上記培地供給管が接続されて上記空間部に上記培地を注入する上記注入孔と、上記培地排出管が接続されて上記空間部から上記培地を排出する上記注出孔とが穿設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の細胞培養容器の培地交換用システム。
【請求項4】
上記細胞培養容器の上記注入孔および上記注出孔は、それぞれ一端が上記空間部の相対向する端部に開口し、かつ他端が上記本体の同一側面に隣接して開口するように穿設されているとともに、上記培地供給管および培地排出管の接続端部には、一の操作によって同時に両方の当該接続端部を上記注入孔および排出孔に上記接続具を介して接続する上記コネクタが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の細胞培養容器の培地交換用システム。
【請求項5】
上記培地供給管には、ガス分離手段が介装されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の細胞培養容器の培地交換用システム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小重力下において動物細胞等の細胞を培養試験する際に、細胞培養容器内の0培地を交換するために使用される培地交換用システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、宇宙空間のような微小重力下で動物細胞の培養試験を行なう場合には、培地が満液状態とされた細胞培養容器単体で当該培養試験を行なうか、あるいは特開平7-8260号公報に見られるような、細胞培養容器に培地循環ポンプを介装した配管を接続し、培地を連続的に循環させながら培養する方法が知られている。
【0003】
ところで、一般に地上においてこの種の動物細胞の培養試験を行なう際には、静置状態で当該動物細胞を観察するとともに、適宜老廃成分が増加した内部の培地を新たなものと交換するフラスコ培養が行なわれており、宇宙空間においても同様の観察環境において培養試験を行なう要請がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、細胞培養容器に培地を循環させる方法によっては、常時培地が流動しているために、上述したような静置状態による細胞培養の観察を行うことができない。
また、細胞培養容器単体によって、培養試験を行なう方法にあっては、培地交換の必要が生じた場合には、手動によって当該培地交換を行なわなければならず、作業性に劣るという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、適宜細胞培養容器内の培地を交換することができ、地上でのフラスコ培養と実質同様な細胞の培養試験を行うことができるコンパクトで作業性に優れた細胞培養容器の培地交換用システムを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る細胞培養容器の培地交換用システムは、培地が充填される空間部を有するとともに、上記空間部の相対向する位置に開口する培地注入孔および培地注出孔を有する細胞培養容器と、新鮮な培地を蓄える培地収納手段およびこの培地収納手段に隣接して設けられた廃培地収納手段と、上記培地収納手段と上記細胞培養容器とを連結する培地供給管および当該細胞培養容器と上記廃培地収納手段とを連結する培地排出管と、これら培地供給管および培地排出管の端部に設けられて上記細胞培養容器の上記注入孔および上記注出孔のそれぞれに設けられた接続具に各々着脱自在に接続されるコネクタと、少なくとも上記培地供給管に介装されて上記培地収納手段内の培地を上記細胞培養容器の上記空間部に供給する送液ポンプとを備えてなることを特徴とするものである。
【0007】
ここで、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の送液ポンプが、2組の吸入口と吐出口とを有するペリスタルティックポンプであり、一方の吸入口および吐出口に上記培地供給管が接続され、他方の吸入口および吐出口に上記培地排出管が接続されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記細胞培養容器は、両面間に貫通して培地が充填される上記空間部が形成された板状の本体に、上記空間部を覆う酸素透過性を有する酸素供給手段としての膜材が設けられてなり、かつ上記本体には、上記培地供給管が接続されて上記空間部に上記培地を注入する上記注入孔と、上記培地排出管が接続されて上記空間部から上記培地を排出する上記注出孔とが穿設されていることを特徴とするものである。
ここで、上記細胞培養容器としては、各種形態のものが適用可能であるが、例えば、両面間に貫通して培地が充填される空間部が形成された板状の本体と、この本体の一方の面に配設されて空間部を塞ぐとともに空間部側の表面が細胞付着性を有する培養板と、上記本体の他方の面に配設されて空間部を覆う透明かつ酸素透過性を有する上記酸素供給手段としての膜材とを液密的に着脱自在に一体化したものが好適である。
【0009】
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、上記細胞培養容器の注入孔および注出孔は、それぞれ一端が上記空間部の相対向する端部に開口し、かつ他端が上記本体の同一側面に隣接して開口するように穿設されているとともに、上記培地供給管および培地排出管の接続端部には、一の操作によって同時に両方の当該接続端部を上記注入孔および排出孔に上記接続具を介して接続する上記コネクタが設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれかに記載の培地供給管には、ガス分離手段が介装されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項1~5のいずれかに記載の発明においては、細胞培養容器の培地注入孔および注出孔に、それぞれ培地供給管および培地排出管のコネクタを接続し、送液ポンプを作動させると、培地収納手段内の新鮮な培地が培地供給管から細胞培養容器内の空間部に供給されるとともに、当該空間部内の古い培地が、培地排出管から廃培地収納手段へと排出される一方向の培地の流れが形成されることにより培地交換が行なわれる。
【0011】
この際に、送液ポンプを作動させるという一の操作によって、培地交換を行うことができるために、作業性に優れるとともに、培地収納手段と廃培地収納手段とが隣接して配設されているために、培地交換によって重心の大きな移動が発生することがない。
しかも、培地供給管および培地排出管の端部に、細胞培養容器の培地注入孔および培地注出孔の接続具に各々着脱自在に接続されるコネクタを設けているので、地上等において、培養板の表面に細胞を付着させた細胞培養容器を準備し、これを宇宙空間に打ち上げて、宇宙船等の実験施設に設置されている上記培地交換用システムに搬入し、上記コネクタと接続することにより、種々の細胞に対する培養試験を行うことが可能になる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によれば、上記送液ポンプとして2組の吸入口と吐出口とを有するペリスタルティックポンプを用い、一方の吸入口および吐出口に上記培地供給管を接続し、他方の吸入口および吐出口に上記培地排出管を接続しているので、上述した一方向の培地の流れを円滑に形成することができる。
【0013】
なお、動物細胞の培養試験を行なう場合には、何等かの方法によって上記動物細胞に酸素を供給する必要があるが、周知のように宇宙空間のような微小重力下においては、気液が実質的に二層分離することが無いために、地上におけるような気液が二層分離した状態での静置観測による試験を行なうことができない。
そこで、本発明に使用される細胞培養容器としては、請求項3に記載の発明のように、細胞培養容器の本体に、空間部に酸素を供給する膜材等の酸素供給手段を設けることが好適である。
【0014】
上記細胞培養容器によれば、酸素供給手段としての膜材によって常時細胞を培養する空間部に酸素が供給されるため、前述した特開平7-8260号公報に見られるシステムのように、別途酸素供給用の設備を要することが無く、付帯設備の簡易化が図られる。また、例えば、上述した本体の一方の面に表面が細胞付着性を有する培養板を設け、他方の面に酸素供給手段として上記空間部を覆う透明かつ酸素透過性を有する膜材を配設したものを用いれば、地上等において、予め培養板の表面に細胞を付着させておき、これを本体および膜材と一体化させた後に、内部に培地を供給することが可能であるために、培地供給後に透明な膜材から空間部内の細胞を観察することにより、容易に地上でのフラスコを模擬した液体満液状態における静置試験を行なうことができる。
【0015】
さらに、請求項4に記載の発明においては、細胞培養容器における注入孔および注出孔の一端を、上記空間部の相対向する端部に開口するように穿設しているので、空間部の一方に開口する注入孔から新たな培地を注入することにより、当該空間部の他方に開口する注出孔から古い培地を円滑に排出することができる。加えて、注入孔および注出孔の接続端部を、本体の同一側面に開口するように形成し、かつこれらと接続するコネクタとして、一の操作によって同時に両方の接続端部に接続可能なものを用いているので、宇宙空間における狭い試験室内においても、培地を交換する際に、注入孔および注出孔に培地供給管および培地排出管を接続する作業が容易になる。
【0016】
また、請求項1~4のいずれかに記載の発明においては、上述したように培地交換が一方向の培地の流れ方向によって円滑に行なわれるために、細胞培養容器やコネクタ等の気密性が保持されている限り、システム内に気体が混入する虞はないが、請求項5に記載の発明のように、培地供給管にガス分離手段を介装しておけば、万一当該システム内に気体が混入した場合においても、上記ガス分離手段によって上記気体を除去することができ、システムの安定性を確保することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1~図3は、本発明に係る細胞培養容器の培地交換用システムの一実施形態を示すものである。
先ず、図2および図3に基づいて、この培地交換システムに好適に用いられる細胞培養容器の構成について説明すると、図中符号1が、フッ素樹脂やポリカーボネート、アセタール等の所定の強度と耐食性を有する合成樹脂によって長方形の板状に形成された本体である。
【0018】
この本体1の中央部には、上下面間に貫通する孔部が形成されており、この孔部に培地が充填される空間部2が形成されるようになっている。ここで、孔部は、その稜線が、長手方向の中央部において互いに平行になるとともに、両端部においてV字状に傾斜する6角形状に形成されている。さらに、この稜線部分には、上下面側にそれぞれ全周にわたって段部3a、3bが形成され、この段部3a、3bの外周側には、溝部4a、4bが形成されている。
【0019】
また、本体1には、一端が空間部2の長手方向一端2aに開口し、他端が本体の側面1aに開口する注入・注出孔5と、一端が空間部2の長手方向他端2bに開口し、本体1の側部に沿って延びて同様に本体の側面1aに開口する注入・注出孔6とが穿設されている。また、注入・注出孔5、6の側面1aにおける開口部分には、必要に応じて培地交換を行なう際に、後述する培地供給管25および培地排出管27を接続するための接続具5a、6aが嵌合されており、さらに側面1aにはビス18を介して金属性の取付板19が設けられている。なお、本実施形態においては、本体1の製作が容易となるように、注入・注出孔6は、本体1の上面に開口する溝状に形成されており、この開口は本体1の上面に配設された本体1と同平面形状のシリコンゴム製のガスケット7によって塞がれている。
【0020】
そして、本体1の下面側に形成された段部3bには、溝部4bに嵌合されたシリコンゴム製のガスケット8を介して培養板9が設けられている。この培養板9は、表面が細胞付着性を有するポリスチレン等の素材によって板状に形成されたもので、段部3bに係合して空間部2を塞ぐように、空間部2よりも僅かに大きな相似形の6角形状に形成されている。そしてさらに、この培養板9の下面側(外面側)には、下部支持板10が配置されている。
【0021】
この下部支持板10は、チタン、ステンレスあるいはアルミニウム等によって外形が本体1と同寸法に形成された板状部材で、その中央部には、本体1の空間部2と同形状の開口が形成されている。この開口には、培養板9と略同寸法の段部10aが形成されており、この段部10aによって、培養板9の外周部が支承されている。
他方、本体1の上面側には、段部3aの溝部4aに嵌合されたシリコンやバイトン等からなるガスケット11を介して膜材12が設けられている。そして、本体1の厚さ寸法は、培養板9と膜材12との間が5mm以下になるように設定されている。
【0022】
この膜材12は、例えばフッ素樹脂、シリコーン、ポリメチルペンテン等からなる透明であって、かつ酸素透過性を有する薄肉素材であり、培養板9と同形の6角形状に形成されることにより、空間部2の全面を覆うように配置されている。そして、段部3aには、この膜材12の外周部分を間に挟んで支持するための、ポリカーボネート等からなる6角形の枠状に形成された押え板13が配設され、この押え板13の上面に上部支持板14が設けられている。
この上部支持板14は、下部支持板10と同様のチタン、ステンレスあるいはアルミニウム等によって外形が本体1と同寸法に形成された板状部材で、その中央部には、本体1の空間部2と同形状の開口14aが形成されている。
【0023】
そして、以上のように積層状に配設された膜材12、本体1および培養板9は、上部支持板14と下部支持板10とによって挟持され、かつ互いの四角隅部に挿通された螺子15によって、着脱自在となるように一体化されている。この結果、培養板9および膜材12は、それぞれ上記角隅部において螺子15が挿通されること無く、螺子15の内方に位置するように配設されている。さらに、上部支持板14の上面および下部支持板10の下面の長手方向の両側部には、それぞれ対応する位置に凹部16が形成されており、これら凹部16間にクリップ17が弾性的に嵌め込まれることにより、空間部2内におけるより高い液密性が得られるようになっている。
【0024】
図1は、上記構成からなる細胞培養容器の培地を交換するための本実施形態に係るシステムであり、このシステムは、ガス透過フィルタ20aを有するキャニスタ20に組み込まれたラック21に複数組(図では上下に2組)取付けられている。
図1において、符号22は、新鮮な培地が充填された培地収納容器(培地収納手段)であり、この培地収納容器22に隣接して廃培地収納容器(廃培地収納手段)23が設けられている。そして、培地収納容器22には、コネクタ24を介して培地供給管25が着脱自在に接続され、廃培地収納容器23には、コネクタ26を介して培地排出管27が着脱自在に接続されている。
【0025】
また、これら培地供給管25および培地排出管27には、送液ポンプ28が介装されている。この送液ポンプ28は、2組の吸入口29a、29bと吐出口30a、30bとを有するペリスタルティックポンプであり、一方の吸入口29aおよび吐出口30aに培地供給管25が接続され、他方の吸入口29bおよび吐出口30bに培地排出管27が接続されている。
【0026】
さらに、これら培地供給管25および培地排出管27の先端部には、それぞれ細胞培養容器の注入・注出孔5、6に設けられた接続具5a、6aに、一の操作によって同時に各々の接続具5a、6aに着脱自在に接続可能なコネクタ31a、31bが取付けられている。また、培地供給管25には、このシステム内に気体が混入した場合に当該気体を除去するための、疎水膜と親水膜とによって構成されたガス分離器(ガス分離手段)32が介装されている。なお、このガス分離器32は省略することも可能である。なお、図中符号33は、細胞培養容器内の培地の性状を検出し、送液ポンプ28を発停させて空間2内の培地を自動的に交換するための制御回路が組み込まれた回路基板である。
【0027】
以上の構成からなる細胞培養容器の培地交換用システムによれば、細胞培養容器単体で、あるいは当該細胞培養容器の注入・注出孔5、6の接続具5a、6aに、それぞれコネクタ31a、31bを接続した状態で、透明な膜材12側から培養板9上に付着した動物細胞Aの培養状態を静置観察することができる。この際に、上記膜材12は、酸素透過性を有しているとともに、これら培養板9と膜材12との間が5mm以下になるように設定しているので、膜材12を通じて空間部2内の培養板9に付着した細胞Aに常時一様の酸素を供給することができる。この結果、従来の容器のように別途酸素供給用の設備が不要となるために、付帯設備の簡易化を図ることができる。
【0028】
そして、一定期間が経過して、空間2内の培地に老廃物が増加した場合には、その検知信号に基づいて回路基板33から送液ポンプ28を駆動する信号が送られて当該送液ポンプ28が作動する。この結果、培地収納容器22内の新鮮な培地が培地供給管25から注入・注出孔6へと送られ、空間2の一端2bから空間2内に流入するとともに、空間2の古い培地は、他端2aから注入・注出孔5を経て培地排出管27から廃培地収納容器23へと排出されて行く。
【0029】
このように、上記構成からなる細胞培養容器の培地交換用システムによれば、細胞培養容器の培地注入・注出孔5、6に、それぞれ培地供給管25および培地排出管27のコネクタ31a、31bを接続し、送液ポンプ28を作動させると、培地収納容器22内の新鮮な培地が培地供給管25から細胞培養容器内に供給され、細胞培養容器内の古い培地が培地排出管27から廃培地収納容器23へと排出される、一方向の培地の流れが形成されて培地交換が行なわれるために、送液ポンプ28を作動させるという一の操作によって、円滑に上記培地交換を行うことができ、よって作業性に優れるとともに、培地収納容器22と廃培地収納容器23とが隣接して配設されているために、培地交換によって重心の大きな移動が発生することがない。
【0030】
しかも、送液ポンプ28として2組の吸入口29a、29bと吐出口30a、30bとを有するペリスタルティックポンプを用い、一方の吸入口29aおよび吐出口30aに培地供給管25を接続し、他方の吸入口29bおよび吐出口30bに培地排出管27を接続しているので、上述した一方向の培地の流れを円滑に形成することができる。
【0031】
また、培地供給管25および培地排出管27の端部に、細胞培養容器の培地注入・注出孔5、6に各々着脱自在に接続されるコネクタ31a、31bを設けているので、地上等において培養板の表面に細胞を付着させた細胞培養容器を準備し、これを宇宙空間に打ち上げて、宇宙船等の実験施設に設置されている上記培地交換用システムに搬入し、コネクタ31a、31bと接続することにより、種々の細胞に対する培養試験を行うことが可能になる。
【0032】
この際に、注入・注出孔5、6の接続具5a、6aを、本体1の同一側面1aに開口するように形成し、かつこれらと接続するコネクタ31a、31bとして、一の操作によって同時に各々の接続具5a、6aに接続可能なものを用いているので、宇宙空間における狭い試験室内においても、培地を交換する際に、注入・注出孔5、6に培地供給管25および培地排出管27を接続する作業を容易に行うことができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1~5のいずれかに記載の細胞培養容器の培地交換用システムによれば、コネクタを細胞培養容器に接続して、送液ポンプを作動させることにより、一方向の培地の流れが形成され、細胞培養容器内の培地交換を行うことができるために作業性に優れるとともに、培地収納手段と廃培地収納手段とが隣接して配設されているために、培地交換によって重心の大きな移動が発生することがない。しかも、上記コネクタによって、地上等において培養板の表面に細胞を付着させた細胞培養容器を準備し、これを宇宙空間に打ち上げて、宇宙船等の実験施設に設置されている上記培地交換用システムに搬入し、上記コネクタと接続することにより、種々の細胞に対する培養試験を行うことができる。
【0034】
また、請求項2に記載の発明によれば、送液ポンプとして2組の吸入口と吐出口とを有するペリスタルティックポンプを用い、一方の吸入口および吐出口に上記培地供給管を接続し、他方の吸入口および吐出口に上記培地排出管を接続しているので、上述した一方向の培地の流れを円滑に形成することができ、請求項3に記載の発明によれば、酸素供給手段としての膜材によって常時細胞を培養する空間部に酸素が供給されるため、別途酸素供給用の設備を要することが無く、付帯設備の簡易化が図られる。
【0035】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、コネクタによる一の接続操作によって同時に両方の細胞培養容器の接続端部に接続することができ、よって宇宙空間における狭い試験室内においても、培地を交換する際に、注入孔および注出孔に培地供給管および培地排出管を接続する作業が容易になり、請求項5に記載の発明によれば、万一システム内に気体が混入した場合においても、ガス分離手段によって上記気体を除去することができ、システムの安定性を確保することができるといった効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る細胞培養容器の培地交換用システムの一実施形態を示す
【図2】図1の培地交換用システムに用いられる細胞培養容器を示す横断面図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 本体
1a 本体の一側面
2a、2b 空間部の一端
5、6 注入・注出孔
9 培養板
12 膜材
22 培地収納容器(培地収納手段)
23 廃培地収納容器(廃培地収納手段)
24、26、31a、31b コネクタ
25 培地供給管
27 培地排出管
28 送液ポンプ
29a、29b 吸入口
30a、30b 吐出口
32 ガス分離器(ガス分離手段)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2