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明細書 :天体観測画像中の天体の識別方式

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3475330号 (P3475330)
公開番号 特開2002-310616 (P2002-310616A)
登録日 平成15年9月26日(2003.9.26)
発行日 平成15年12月8日(2003.12.8)
公開日 平成14年10月23日(2002.10.23)
発明の名称または考案の名称 天体観測画像中の天体の識別方式
国際特許分類 G01C  1/00      
G06T  1/00      
G06T  7/60      
FI G01C 1/00 E
G06T 1/00
G06T 7/60
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2001-114866 (P2001-114866)
出願日 平成13年4月13日(2001.4.13)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用申請有り 2000年10月15日~17日 日本航空宇宙学会主催の「第44回宇宙科学技術連合講演会」において文書をもって発表
審査請求日 平成13年4月13日(2001.4.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501137577
【氏名又は名称】独立行政法人航空宇宙技術研究所
【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
【識別番号】000142894
【氏名又は名称】株式会社五藤光学研究所
発明者または考案者 【氏名】磯部 俊夫
【氏名】中島 厚
【氏名】木村 武雄
【氏名】柳沢 俊史
【氏名】二見 広志
【氏名】鈴木 雅晴
【氏名】高橋 由昭
個別代理人の代理人 【識別番号】100084607、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 文男 (外2名)
審査官 【審査官】岡田 卓弥
参考文献・文献 特開2002-220098(JP,A)
特開2002-139319(JP,A)
特開 平5-312566(JP,A)
調査した分野 G01B 11/00 - 11/30
G01C 1/00 - 1/14
G02B 23/00 - 23/22
G06T 1/00
G06T 7/60
特許請求の範囲 【請求項1】
連続撮影された天体観測画像から、運動状態の異なる天体群を識別する方式であって、
恒星追尾モードで連続撮影した画像を得る手段と、得られたそれぞれの画像から天体の像を抽出する手段と、該抽出した天体の像の重心位置、面積、形状などの特徴を抽出する手段と、抽出された特徴、画像番号、累積カウンタをリストとして登録する手段と、既にリストに登録されていると判断されたデータに対しては、リスト中の累積カウンタに1を加算する手段と、を含むことを特徴とする天体観測画像中の天体の識別方式

【請求項2】
主として累積カウンタの値から天体を恒星とその他の天体とを識別することを特徴とする請求項1の天体観測画像中の天体の識別方式

【請求項3】
主として抽出した天体の像の特徴から、恒星以外の天体を識別することを特徴とする請求項1の天体観測画像中の天体の識別方式
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【産業上の利用分野】この発明は、光学装置を用いて、主として人工衛星、スペースデブリ、彗星等の恒星以外の天体と恒星とを判別するための方式に関する。

【10】
以上の操作を連続して撮影した全画像に対して行う。処理が終了した後、リストの累積カウンタの値により、当該天体が恒星であるかどうかが判断できる。恒星に該当する項では、累積カウンタの値は処理した画像枚数の数と一致し、a/bがほぼ1の値をもつ。しかし実際は、暗い恒星や観測中に雲や霧が発生するなどの原因で、全画面に撮影されないこともある。恒星以外の運動する天体では、累積カウンタの値は1になる。また、運動天体は、ある画像番号N0で観測画像に表われ、画像視野を横切ってある画像番号N1以降は消えて行く。従って、リスト上には、画像番号N0から連続してN1-1まで、面積sとa/bの値がほぼ等しいデータが登録される。このデータの重心位置のデータから特定の運動天体を識別することが出来る。

【11】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の天体観測画像中の天体の識別方式をより詳細に説明する。実施の1例として、恒星追尾可能な天体望遠鏡に640×512画素のCCDカメラを付け、静止軌道帯の静止衛星あるいはスペースデブリを検出する実施例について説明する。観測は次の手順で行う。
観測時間、露出時間、撮影間隔を設定
望遠鏡を静止軌道内の目的方向に向ける。
望遠鏡を恒星追尾モードで駆動し、観測を開始する。

【12】
例えば、4秒間隔で40分間撮影すると、600枚の観測画像が得られる。この観測データは撮影画像ごとに一つのファイルとしてパソコンに格納される。このファイルのヘッダには、撮影時間、露出時間などの情報が書き込まれる。このとき、露出時間を2秒とすれば、露出時間中に望遠鏡は赤緯方向に約30秒角移動する。すなわち、スペースデブリが観測されるとすると、スペースデブリの像は30秒角に相当する線として観測されることになる。本実施例における画像の視野は18分角×14分角である。

【13】
図2にスペースデブリが撮影されている画像の1例を示す。点状の恒星の像と共にスペースデブリが線状の像になっているのが判る。なお、この画像では、x軸方向が赤緯方向、y軸方向が赤経方向となっており、画面の右側が北の方向となっている。スペースデブリがこの画面を通過するのに約1分の時間を必要とする。従って、一つのスペースデブリはほぼ15枚の連続した画像に撮影されることになる。あるスペースデブリが撮影されている15枚の画像を合成した画像を図3に示す。

【14】
これらの画像から、静止衛星、スペースデブリを識別するための大略の手順は以下のようになる。
観測画像データから天体の像を抽出する。
既に抽出してある天体の像と今抽出した天体の像を比較し、天体の像の形状、位置を考慮して、既に抽出済みの恒星かどうかを判断する。
恒星とみなされなかった天体の像の中から天体の像の形状、位置を考慮してスペースデブリの候補を抽出する。

【15】
以下、実際に観測した600枚の画像を処理し、恒星と判定した天体の像のデータの1例を表1に示す。表中、座標x,yはCCDの左下の画素を原点とし、右上の画素の座標を(639,511)とする座標である。面積は1画素の面積が1となる。ただし、天体の像の領域は周囲の画素の値に影響されるため、1よりも小さくなることもある。天体の像の光度は、面積に反映され、面積が大きいほど明るいと言える。画像番号1は、その星像が最初に表われた画像番号、画像番号2は最後に表われた画像番号を示し、累計数は、その画像が表われた画像の累計を示す。

【16】

【表1】
JP0003475330B2_000002t.gif全部で11個が恒星として判別されているが、全画像から抽出されたのは面積の大きい5個のみである(累計数600のもの)。最も面積が小さなものは、全画像600枚中32画像からしか抽出されていない。しかし、32画像の同じ位置から抽出されていることから、この位置に恒星があると考えざるを得ない。

【17】
リストの中から恒星を取り除いて残った天体の像の中から静止衛星、スペースデブリを抽出する。連続した15画像の中にある、赤緯方向にほぼ毎秒15秒角の移動速度で移動している、面積と縦横比a/bが類似している、という条件を満たすものが静止衛星、スペースデブリとみなすことが出来る。このような条件で静止衛星、スペースデブリとして抽出した1例を表2に示す。
【表2】
JP0003475330B2_000003t.gifこの例では、各画像間(時間間隔4秒)の平均移動距離が34.5画素である。1画素当たりの視野角はおおよそ1.7秒角であり、34.5画素は58.7秒角となる。従って、ほぼ、静止衛星、スペースデブリの移動速度である毎秒15秒角となっている。

【18】

【発明の効果】通信衛星、気象衛星など静止衛星軌道帯の利用が盛んに行われており、それに伴いスペースデブリも指数関数的に増加し、運用衛星とスペースデブリの衝突の確率が増大している。今後の宇宙開発にとって、常時、静止衛星軌道帯のスペースデブリ観測が必要になる。このような情勢下において、本発明によれば多数の画像データから自動的に恒星、スペースデブリなど、同じ運動をする天体のグループを抽出することが出来、より効率のよいスペースデブリ観測のが可能となる。

【2】

【従来の技術】近年、未知の天体あるいは人工物体を検出、もしくは既知の天体あるいは人工物体の運動を監視することの必要性、特に人工衛星、宇宙のごみであるスペースデブリあるいは地球に異常接近する小惑星等の天体を検出し、監視することの必要性に対する認識が高まってきた。未知の高軌道・静止軌道上のスペースデブリや小惑星を検出するためには、天球の広い範囲を走査観測しなければならない。この走査観測では、望遠鏡を恒星追尾モードで駆動するのが一般的である。恒星追尾モードでは、恒星は点像として撮影され、その他の天体はある程度恒星との相対運動が大きければ線状の像として撮影される。しかし、相対運動が小さいときは、形状による恒星との識別が困難になる。

【3】
上記のように恒星追尾モードでの観測では、恒星以外の天体は線状の像となる。この線の長さは恒星運動との相対運動の大きさおよび露出時間に比例する。しかし、あまり線状の長さが長くなると、後の処理がやっかいになるため、比較的短い露出時間の撮影を行い、数多くの観測画像から恒星とそれ以外の天体とを識別することが望ましい。ただ、相対運動の小さい小惑星などではほぼ点状の像になり、その形状からは判断出来ず、時間をおいて撮影された2枚の画像を重ね合わせて恒星との識別を行なわなければならない。

【4】

【発明が解決しようとする課題】このような従来法により未知の高軌道・静止軌道のスペースデブリや小惑星等を検出するためには、天球の広い範囲を常時観測し、観測データから恒星とその他の天体の識別を行わなければならない。さらに、恒星追尾モードで撮影した画像では、恒星は同一の位置に撮影されているはずであるが、望遠鏡の駆動精度、大気のシーイングなどの原因で、2枚の画像に写っている恒星の位置、濃度が完全に一致せず、各画像間で抽出したパラメータは一致しない。このため、2枚の画像の濃度の差の絶対値を求める方法によっては、恒星像は残渣が残り、完全に取り除くことは出来ないという問題がある。そのため、恒星とその他の天体の識別を自動化するのは難しく、殆どが人間の判断力に頼って行われている。しかし、上記のように大量の観測データを処理しなければならず、上記の人手に頼る方法では事実上、不可能である。本発明の目的は、観測した大量の観測画像から自動的に恒星とその他の天体の分離処理を行うことが可能な画像処理方法を実現することにある。

【5】

【課題を解決するための手段】本発明の天体観測画像中の天体の識別方式は、連続撮影された天体観測画像から、運動状態の異なる天体群を識別する方式、特に、主として恒星と恒星以外の他の天体を識別する方式であって、恒星追尾モードで連続撮影した画像を得る手段と、得られたそれぞれの画像から天体の像を抽出する手段と、該抽出した天体の像の重心位置、面積、形状などの特徴を抽出する手段と、抽出された特徴、画像番号、累積カウンタをリストとして登録する手段と、既にリストに登録されていると判断されたデータに対しては、リスト中の累積カウンタに1を加算する手段と、を含むことを特徴とする。そして、主として累積カウンタの値から天体を恒星とその他の天体と識別し、抽出した天体の像の特徴、主としてその重心位置、形状などからスペースデブリ等の恒星以外の天体を識別する。

【6】

【発明の実施の形態】未知の高軌道・静止軌道上のスペースデブリや小惑星を検出するためには、天球の広い範囲を走査観測する必要があり、望遠鏡を恒星追尾モードで駆動するのが一般的である。本発明の天体の識別方式においても、望遠鏡を恒星追尾モードで駆動しながら連続撮影で観測データを得る。観測したデータは撮影順に処理を行っていく。

【7】
まず、画像から天体像を抽出する。天体の像の抽出法としては、例えば、観測画像において、バックグラウンドの平均濃度を求め、このバックグラウンドに対してある基準の明るさ以上の連続した領域は無条件に天体の像と仮定する。そして、この領域から次の量を計算し、天体の像のパラメータとする。
領域の面積s
領域の重心の位置(x,y)
領域を内接する長方形の2辺の長さa,bの比 a/b
図1に天体の像とみなされた領域とこれらのパラメータの関係を示す。必要に応じ、例えばそのスペクトル、像の傾斜角等、その他のパラメータも利用出来ることは言うまでもない。

【8】
抽出した天体のパラメータは、リストに登録される。このリストの各項には、領域の面積s、領域の重心の位置(x,y)、比a/bと、これらを抽出した画像の番号を記載する項目欄をもち、また、累積カウンタももつ。累積カウンタの初期値は0である。抽出された天体のパラメータをリストに登録するとき、リスト内にある既存のデータとの照合を行う。この照合は、適当な値ds、dx、dy、d(a/b)に対して、各項目について
|s-s’|≦ds
|x-x’|≦dx
|y-y’|≦dy
|a/b-a’/b’|≦d(a/b)
の条件を満たすとき、登録するデータとリストのデータは同じものとする。上式中、s,x,y,a/bは抽出されたパラメータ、s’,x’,y’,a’/b’はリスト内の既存のデータを表す。

【9】
この照合でリストの登録データと同一であると判定されたときは、リスト内の当該データを現在登録しようとしているデータで置き換え、累積カウンタに+1を加える。登録しようとするデータがリストに登録されていないと判断されたときは、リストに当該データの項を新しく作り、累積カウンタの値を1にする。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2