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明細書 :液体微粒化ノズル

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3584289号 (P3584289)
公開番号 特開2003-214604 (P2003-214604A)
登録日 平成16年8月13日(2004.8.13)
発行日 平成16年11月4日(2004.11.4)
公開日 平成15年7月30日(2003.7.30)
発明の名称または考案の名称 液体微粒化ノズル
国際特許分類 F23D 11/10      
F02C  7/232     
F23D 11/38      
F23R  3/28      
FI F23D 11/10 B
F02C 7/232 B
F23D 11/38 A
F23R 3/28 B
請求項の数または発明の数 7
全頁数 10
出願番号 特願2002-011546 (P2002-011546)
出願日 平成14年1月21日(2002.1.21)
審査請求日 平成15年8月20日(2003.8.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503361400
【氏名又は名称】独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】林 茂
個別代理人の代理人 【識別番号】100092200、【弁理士】、【氏名又は名称】大城 重信
【識別番号】100110515、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 益男
【識別番号】100084607、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 文男
審査官 【審査官】久保 克彦
参考文献・文献 特表2001-527201(JP,A)
特開2001-280155(JP,A)
特開平06-094218(JP,A)
特開昭61-053424(JP,A)
特公昭40-016193(JP,B1)
実公昭39-028179(JP,Y1)
調査した分野 F23D 11/10
F02C 7/232
F23D 11/38
F23R 3/28
特許請求の範囲 【請求項1】
外側部材と、前記外側部材の内部に配置されると共に前記外側部材との間に先端側に向かって開口する環状空間を形成する内側部材とを備え、前記環状空間に噴出された液体が前記外側部材の先端から微粒化される液体微粒化ノズルにおいて、前記外側部材には径方向に対して傾斜し且つ前記環状空間に前記液体を噴出するための液体通路が形成されており、前記外側部材及び前記内側部材の少なくとも一方には噴出された前記液体の前記環状空間での流れ方向と同じ方向に気体を旋回させるため径方向に対して傾斜し且つ前記環状空間に開口する気体通路が形成されていることを特徴とする液体微粒化ノズル。
【請求項2】
前記気体通路は、前記外側部材の内壁面において周方向に接する状態に開口していることを特徴とする請求項1に記載の液体微粒化ノズル。
【請求項3】
前記液体通路は、前記外側部材の内壁面において周方向に接する状態に開口していることを特徴とする請求項1に記載の液体微粒化ノズル。
【請求項4】
前記液体通路と前記気体通路とは、前記環状空間に周方向に交互に開口していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の液体微粒化ノズル。
【請求項5】
前記気体通路は、前記液体微粒化ノズルの軸線方向で見て、前記液体通路が前記環状空間内に開口する位置と実質的に同じ位置かそれよりも基端側の位置において、前記環状空間内に開口していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の液体微粒化ノズル。
【請求項6】
前記外側部材は先端部が薄肉となった先細の外筒であり、前記内側部材は前記外筒と同軸に配置されると共に基端側で繋がっており前記環状空間の先端において前記液体を微粒化する気流が内部を流れる内筒であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の液体微粒化ノズル。
【請求項7】
前記外筒の外周部及び前記内筒の内周部の少なくとも一方に、前記外周部又は前記内周部に沿って流れる気流に旋回を与える旋回器が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の液体微粒化ノズル。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、液体を微粒化する液体微粒化ノズルに関するもので、特に空気等に気流によってジェットエンジン、ガスタービン等のエンジンに用いられる液体燃料の微粒化ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
液体を微粒化する手段の一つとして、最近のジェットエンジンや液体燃料焚きガスタービンに使用されるようになった、気流によって液体燃料を微粒化する気流式液体燃料微粒化ノズルがある。気流式液体燃料微粒化ノズルは燃焼室内に流入する気流によって液体燃料を微粒化するもので、液体燃料は、液膜状の形態で供給され、その薄い液膜が数十メートル/秒の速さの気流と接触することによってノズルの先端縁から自由空間に飛散することで微粒化される。液体燃料を液膜状に供給することにより、微粒化が促進される。
【0003】
図4は、代表的な液膜方式の気流式液体燃料微粒化ノズルの構造の一例を示す図であり、図4(a)はその縦断面図、同(b)は(a)のB4-B4断面図、同(c)は(a)のC4-C4断面図、同(d)は(a)のD4-D4断面図である。図4に示す気流式液体燃料微粒化ノズル(以下、「微粒化ノズル」と略す)30においては、先端部が次第に薄肉に形成された先細の外筒32と、外筒32内に同軸に延びる状態に配置された内筒33とを備え、外筒32の内壁面35と内筒33の外壁面36の間には、先端側に向かって開口する環状空間37が形成されている。環状空間37は、先端側ほど小径の円錐形状に形成されている。外筒32と内筒33とは、後端において筒状のノズル基部34に繋がっている。
【0004】
ノズル基部34の後端部には、微粒化すべき液体燃料LFの供給を受けるための配管40が接続されており、配管40を通じて供給された液体燃料LFは、ノズル基部34の内部に形成されている通路41を通って、同じくノズル基部34の内部に形成されている環状の液体溜まり42に流入する。液体溜まり42と環状空間37とは、特に図4(d)に示すように、互いに平行に形成された複数の螺旋通路43によって繋がっている。螺旋通路43から環状空間37に流入した液体燃料LFは、外筒32の内壁面35に沿って液膜FFを形成して流れ、外筒32の薄肉になった先端縁44から微粒化されて自由空間に流出する。
【0005】
液体燃料LFには螺旋通路43を通過させることによって旋回が与えられ、その旋回は外筒32の内壁面35上での液膜FFの伸展を促したり安定にする等の作用を奏する。微粒化ノズル30の液膜FFを形成する部分は、プレフィルマー(液膜形成部)45と呼ばれる。プレフィルマー45の外壁面(外筒32の外壁面)46及び内壁面(内筒33の内壁面)47に沿って、燃焼室に流入する空気が流れている(気流Ao,Ai)。プレフイルマー45の内外の通路を流れる気流Ao,Aiには、通常、微粒化された燃料粒子と空気との混合促進や燃焼室内の火炎の安定化のために旋回羽根48,49により旋回が与えられている。液膜FFは主としてそれと接触する気流、即ち内壁面47に沿って流れる気流Aiによって微粒化されるが、この内側の気流Aiの旋回は、液膜FFをプレフィルマー45上で安定化するのにも有効となっている。プレフィルマー45の外壁面46に沿って流れる気流Aoも、液が先端縁44から外壁面46に回り込むのを防ぎ、先端縁44から飛散する液体燃料粒子の粗大化を防ぐ作用を奏している。
【0006】
ところで、気流式の液体燃料微粒化ノズルでは、微粒化された燃料粒子による噴霧の性状をノズルの軸線周りに一様にすることが重要である。ノズルの軸線の周方向に燃料濃度の偏りがあると、燃料と空気との比率(空燃比)がノズルの軸線周りの位置に応じて異なることになるため、エンジン火炎の安定性が損なわれたり、燃焼室内の温度分布に偏りが生じ、その結果、局所的な不完全燃焼や高温燃焼が生じて、未燃焼成分や有害成分の発生が増加するという問題が生じる。
【0007】
図4に示すような微粒化ノズル30では、螺旋通路43あるいはそれに相当する液体通路が周方向に隔置して設けられているのために、プレフィルマー45上においても液膜FFの厚さは、螺旋通路43や液体通路に対応した周方向位置で厚くなりやすい傾向がある。螺旋通路43の数が少ないときやプレフィルマー45の軸方向長さが短い場合には、その傾向は特に顕著である。液体燃料が通過する環状空間37を非常に狭い環状とすることによってこの問題を緩和することが考えられるが、そうした対応を採る場合には、液体燃料に旋回を与えることができないという問題がある。また、螺旋通路43の断面積を小さくし、その代わりに螺旋通路43の数を増やすことによってこの問題を解決しようとすると、液体燃料中の固形析出物による通路の詰まりが生じやすいという別の問題が生じる。
【0008】
更に、燃料流量が少ないときには、重力により液体溜まり42の上下の圧力差のために下側に位置する螺旋通路43を通じての燃料の通過量が多くなる傾向があり、これに起因して微粒化ノズル30の燃料吐出量が周方向に偏るという問題も生じる。螺旋通路43の断面積を減らし、液体溜まり42内の燃料に重力によって生じる圧力差が無視できるような十分高い圧力をかけることで、こうした偏りを緩和できる場合もあるが、燃料圧力の高圧化は、上述の固形析出物による詰まりの問題や、燃料流量のターンダウン比(エンジンの最大燃料流量/最小燃料流量)の問題のために制約される場合が多い。
【0009】
微粒化によって形成される液滴の大きさを最も強く支配する因子は液膜の厚さであり、気流式の液体微粒化ノズルの開発においては、いかにして液膜を薄く且つ周方向に均一に形成するかに努力が傾注されてきた。局所的であっても液膜が厚くなるとそこで生成される液滴が粗大化し、液体燃料の場合には不完全燃焼や煙の発生に繋がることがある。このように、燃料濃度の偏りに起因したエンジン燃焼上のこうした不都合を回避するためには、液体燃料をノズル軸線について周方向にできるだけ一様に分散することが不可欠である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、気流式の液体微粒化ノズルにおいて、液体をノズルの周方向に可能な限り一様に分散させること、即ち、液膜をノズル軸線について周方向に可及的に一様な厚さに形成して、飛散する液滴の微粒化を一層促進させる点で解決すべき課題がある。液体燃料の場合、燃焼器に流入する空気を利用して液膜の均一化を行うことができれば、構造の簡単化が期待され好都合である。
【0011】
この発明の目的は、液膜を気流で飛散させることによる気流式の液体微粒化ノズルについての上記の課題を解決するために、液膜の厚さを薄くし且つ周方向の均一性を飛躍的に向上し、液滴の微粒化を一層促進した新規な液体微粒化ノズルを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明による液体微粒化ノズルは、外側部材と、前記外側部材の内部に配置されると共に前記外側部材との間に先端側に向かって開口する環状空間を形成する内側部材とを備え、前記環状空間に噴出された液体が前記外側部材の先端から微粒化される液体微粒化ノズルにおいて、前記外側部材には径方向に対して傾斜し且つ前記環状空間に前記液体を噴出するための液体通路が形成されており、前記外側部材及び前記内側部材の少なくとも一方には噴出された前記液体の前記環状空間での流れ方向と同じ方向に気体を旋回させるため径方向に対して傾斜し且つ前記環状空間に開口する気体通路が形成されていることを特徴としている。
【0013】
この液体微粒化ノズルによれば、外側部材に形成された液体通路を通って環状空間に流入する液体は、液体通路が径方向に対して傾斜して形成されているので、周方向に旋回する成分を有して環状空間内に噴出する。外側部材及び内側部材の少なくとも一方に環状空間に開口する状態に形成されている気体通路も径方向に傾斜して形成されているので、環状空間に流入する気体は環状空間内で旋回流を発生するが、その旋回流の方向は液体通路を通じて噴出された液体が環状空間で流れる方向と同じ方向であるので、環状空間内を流れる液体噴流は気体の旋回流によって外側部材の内壁上に液膜として効率的に伸展される。即ち、環状空間に流入する気体の強い旋回流が利用されるので、液体の環状空間内への流出に偏りがある場合でも、液膜が厚い部分は気体の旋回流によって液膜の薄い部分へと周方向に広がって流れ、液膜の厚さが周方向に均一化される。また、液体の流量が少なく液体溜まりに繋がる液体通路からの液体の流出に周方向に大きな偏りがある場合でも、液体は環状空間内の気体の旋回流によって周方向に広げられる。従って、伸展された液膜は外側部材の先端縁から小さい液滴で飛散し、微粒化が促進される。更に、この液体微粒化ノズルは、液体の吐出通路断面を小さくする必要がないので、重質油等の燃料において見られるような温度上昇によって固形析出物を生じ易い液体にも適用することが可能である。気体通路については、内外両部材のいずれか一方又は両方に形成することができるが、旋回流は旋回半径が小さくなるほど強くなること、及び液体微粒化ノズルの小型化等の観点からすれば、気体通路を外側部材に形成するのが好ましい。
【0014】
この液体微粒化ノズルにおいて、前記気体通路を前記外側部材の内壁面において周方向に接する状態に開口させることができる。気体通路をこのように構成することにより、気体通路を通った気体は、環状空間に対して接線方向に流入し、強い旋回流を効率的に形成することができる。この場合、気体通路の径方向に対する傾斜は直角となる。気体通路を環状空間に対して周方向に接する状態に開口させる形態として、気体通路を形成する壁面、例えば断面矩形となっている壁面の一部を、外側部材の内壁面に接する平面内に置くことができる。
【0015】
また、この液体微粒化ノズルにおいて、前記液体通路を前記外側部材の内壁面において周方向に接する状態に開口させることができる。液体通路をこのように構成することにより、液体通路を通った液体は、環状空間を形成している外側部材の内壁面に対して接線方向に流入することになり、外側部材の内壁面上に形成される液膜の厚さの均一性を向上させることができる。液体通路を環状空間に対して周方向に接する状態に開口させる形態として、液体通路を形成する壁面、例えば断面矩形となっている壁面の一部を、外側部材の内壁面に接する平面内に置くことができる。
【0016】
この液体微粒化ノズルにおいて、前記液体通路と前記気体通路とは、前記環状空間に周方向に交互に開口させることが好ましい。液体通路と気体通路とをこのように形成することによって、各液体通路を通って環状空間に噴出されたどの液体も、気体通路を通って環状空間に流入する気体の旋回流によって外側部材の内壁上に一層均一に広げられ、液膜の厚さを周方向に均一化させることができる。
【0017】
この液体微粒化ノズルにおいて、前記気体通路は、前記液体微粒化ノズルの軸線方向で見て、前記液体通路が前記環状空間内に開口する位置と実質的に同じ位置かそれよりも基端側の位置において、前記環状空間内に開口させることができる。気体を液体よりも先に噴出させて旋回流を形成し、その旋回流の中に液体を噴射するか、又は気体と液体とを液体微粒化ノズルのノズル軸線方向で見て実質的に同じ位置において噴出させることにより、外側部材の内壁上への液体の伸展を一層、均一化させることができる。
【0018】
この液体微粒化ノズルにおいて、前記外側部材は先端部が薄肉となった先細の外筒とし、前記内側部材は前記外筒と同軸に配置されると共に基端側で繋がっており前記環状空間の先端において前記液体を微粒化する気流が内部を流れる内筒とすることができる。環状空間に噴出された液体は、内筒内側を流れる気流によって外筒の先細の先端から微粒化されて飛散する。
【0019】
この液体微粒化ノズルにおいて、前記外筒の外周部及び前記内筒の内周部の少なくとも一方に、前記外周部又は前記内周部に沿って流れる気流に旋回を与える旋回器を設けることができる。旋回器を設けることにより、旋回が与えられた気体の流れは、液膜を形成するプレフィルマーの外側又は内側を流れる。プレフィルマーの内側を流れる旋回気流は、液膜状の液体を外筒の先端縁において飛散させるときに、液滴の一層の微粒化を促進し、プレフィルマーの外側を流れる旋回気流は、先端縁から飛散する液体粒子の粗大化を防ぐことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、この発明による液体微粒化ノズルの実施例について説明する。図1はこの発明による液体微粒化ノズルの一実施例を示す図であって、図1(a)はその縦断面図、同(b)は(a)のB1-B1断面図、同(c)は(a)のC1-C1断面図である。図1に示す液体微粒化ノズル1においては、先端部が先細に且つ次第に薄肉に形成された外側部材としての外筒2と、内側部材としての内筒3とが同軸に配置され、それらが基端側において筒状のノズル基部4に繋がっている。外筒2の内壁面5と内筒3の外壁面6の間には、環状空間7が形成されている。環状空間7は、基端側に位置する円筒状部分8と、円筒状部分8に滑らかに接続すると共に内側に傾斜し且つ先端側に向かって開口する円錐状部分9とから形成されている。外筒2と内筒3との先端が薄肉になった部分は、液膜を形成する部分であるプレフィルマー15を構成している。液体微粒化ノズル1においては、液体を液体燃料とし、気体を空気とすることができる。
【0021】
外筒2には、その壁部を貴通して環状空間7に至る複数の気体通路としての空気通路10が形成されている。各空気通路10は、平面で構成された断面が矩形の通路であり、環状空間7に開口するまで通路断面積が次第に減少していると共にノズル軸線Eを中心とする径方向に対して傾斜して形成されている。空気は、通路断面が狭くなっていく空気通路10を通ることにより、ノズル作用によって流速が高まった状態で環状空間7に流入し、各空気通路10が傾斜していることにより、環状空間7では、図1(c)に矢印で示すように旋回流Acを生じる。旋回流Acは、環状空間7を円筒状部分8から円錐状部分9へとノズル先端側に向かって流れていく。円錐状部分9が先細に形成されていることから、旋回流Acの流速はノズル先端側ほど強められる。空気通路10の径方向に対する傾斜角度を直角とすることにより、空気通路10を環状空間7に対して周方向の接線方向に開口させることができる。一例として、空気通路10を構成する通路壁面の一部(径方向外側の壁面)は、外筒2の内壁面5に接する平面P1内に置かれる。空気通路10を通って環状空間7に流入する空気は、環状空間7に対して接線方向に流入することになり、強い旋回流Acを効率的に形成することができる。
【0022】
ノズル基部4の後端部には、微粒化すべき液体燃料LFの供給を受けるための配管11が接続されており、配管11はノズル基部4の内部に形成された環状の液体溜まり12に繋がっている。液体溜まり12からは、特に図1(b)に示すように、外筒2において、複数(この例では6本)の通路13がノズル軸線に平行な方向に延びる状態に形成されており、更に各通路13の先端には、内方に向かって傾斜し環状空間7に繋がるスリット状の液体通路14が形成されている。空気通路10と液体通路14とは、外筒2において周方向に交互に配列されており、且つノズル軸線Eを中心として各空気通路10及び各液体通路14を結ぶ径方向に対して同じ方向を向いて傾斜している。液体通路14も、空気通路10と同様に、環状空間7に対して周方向の接線方向に開口している。即ち、一例として、液体通路14を形成する壁面の一部を外筒2の内壁面5に接する平面内に置くことができる。液体燃料LFは、環状の液体溜まり12に流入した後に、複数本の通路13を通り、スリット状の液体通路14から環状空間7に噴出される。液体燃料LFは、環状空間7内へは外筒2の内壁面5に対して接線方向に流入することになり、外筒2の内壁面5上に均一な厚さの液膜を形成し易くなる。なお、液体通路14と空気通路10とは、図示の例のように、径方向に対して同じ傾斜角度で且つ周方向に等角度間隔で隔置して開口しているのが好ましいが、必ずしもそれに限られない。
【0023】
空気通路10を通って環状空間7に流入した空気は、既に説明したとおり、環状空間7では旋回流Acを生じる。配管11を通じて供給された液体燃料LFは、液体溜まり12から通路13と各通路13に接続したスリット状の液体通路14とを通って環状空間7に噴出する。液体通路14と空気通路10とは、外筒2において周方向に交互に且つ同じ方向を向いて形成されているので、液体燃料LFは、ある程度の旋回成分を持って環状空間7に流入すると共に、同様の方向に向かって流れる旋回流Acによって外筒2の内壁面5上に伸展される。伸展された液体燃料LFは、環状空間7を形成する外筒2側の内壁面5に沿って液膜FFを形成し、プレフィルマー15上をその先端に向けて流れる。液膜FFを形成した液体燃料LFは、プレフィルマー15の先端側の開口において、内筒3の内側を流れる空気流Aiに接触し、空気流Aiによって、外筒2の薄肉になった先端縁16から自由空間に微粒化されて霧散される。
【0024】
この実施例によれば、環状空間7に旋回流として流入する空気流の強い旋回を利用できるので、主として燃料のような液体の旋回によって液膜を伸展する従来の液膜方式の気流微粒化燃料ノズルに比べて、液膜厚さの周方向の均一性を向上させることができる。特に、流体通路14に上下の位置に起因するような燃料の流出量に偏りがある場合でも、環状空間7における空気の旋回流Acがもたらす周方向の広げ作用によって、従来のものに比べ液膜の周方向厚さをより均質にできるという優れた効果を奏する。また、この液膜方式の液体微粒化燃料ノズルは、液膜厚さの周方向の不均一さに対する対策として液体の吐出通路断面を小さくするという必要がないので、燃焼温度の上昇により固形析出物を生じやすい重質油にも適用することができる。
【0025】
図2は、この発明による液体微粒化ノズルの別の実施例を示す図であって、図1と同様に、図2(a)はその縦断面図、同(b)は(a)のB2-B2断面図、同(c)は(a)のC2-C2断面図である。図2に示す液体微粒化ノズル1Aにおいて、図1に示す実施例と同じ機能を奏する部位には、同じ符号を付して再度の詳細な説明を省略する。液体微粒化ノズル1Aでは、プレフィルマー15の外側及び内側には、軸流形式の空気旋回器18又は19によって旋回が与えられた気流Ao,Aiが流れており、液膜FFはこれらの気流Ao,Aiによりプレフィルマー15の先端線16から自由空間に引き出されるが、その際に、気流Ao,Aiの旋回性によって一層の微粒化が図られる。空気旋回器18,19は、本実施例の軸流と異なる形式、たとえば遠心形式でもよい。
【0026】
図3は、この発明による液体微粒化ノズルの他の実施例を示す図であって、図2と同様に、図3(a)はその縦断面図、同(b)は(a)のB3-B3断面図、同(c)は(a)のC3-C3断面図である。図3に示す液体微粒化ノズル1Bにおいて、図2に示す実施例と同じ機能を奏する部位には同じ符号を付して再度の詳細な説明を省略する。図3に示す液体微粒化ノズル1Bでは、空気は、図2に示す例と同様に平面で構成された断面が矩形であり且つノズルの径方向に傾斜した空気通路10から環状空間7に流入する。液体燃料LFは、先ず軸方向の通路21を通って環状の液溜まり22に流入し、液溜まり22から、ノズル軸線Eを中心とする径方向に対して傾斜した液体通路24を通って環状空間7に流出する。液体通路24は、矩形断面スリット形状を有しており、一例としてその壁面の一部が外筒2の内壁面5に接する面P2内にあるように、環状空間7に周方向接線方向に開口している。空気通路10と液体通路24とは周方向に交互に配列されているが、空気通路10は液体溜まり22よりもノズル軸線方向で見て基端側に位置する点で、図1に示した実施例と異なる。従って、液体燃料LFは、空気通路10から環状空間7に流入した空気によって形成されている旋回流Acの中に噴出されるので、旋回流Acの伸展作用によって外筒2の内壁面5に一層均一に伸展される。なお、上記の各実施例において、空気通路10は外側部材である外筒2に形成した例を示したが、内側部材である内筒3に形成してもよいことは明らかである。
【0027】
【発明の効果】
この発明による液体微粒化ノズルにおいて、外側部材に形成された液体通路と内外両部材の少なくとも一方に形成された気体通路とを通ってそれぞれ環状空間に流入する液体と気体については、両通路が径方向に対して傾斜して形成されているので、液体は周方向に旋回する成分を有して環状空間内に噴出し、気体は環状空間内で同じ方向に旋回流を生じる。環状空間内を流れる液体噴流は気体の旋回流によって外側部材の内壁上に広げられるので、液体の環状空間内への噴出に偏りがある場合でも、液膜は周方向に伸展して流れる。従って、主として螺旋溝によって与えられる液体の旋回によって液膜を広げる従来の気流式液体微粒化ノズルと比較して、この発明による液体微粒化ノズルでは、液膜の厚さを周方向により一層均一化し、液体が外側部材の先端縁において飛散するときの液滴の微粒化を一層促進することができる。即ち、気体の旋回を利用して、液膜厚さの周方向の均一性を向上でき、その結果、粗大液滴の発生を抑制して周方向に一様な液体の噴霧を形成することができる。
【0028】
特に、液体をエンジンに微粒化して供給される液体燃料としたときに、吐出量の周方向の偏りに起因して燃料膜の厚さが微粒化ノズルの軸線の周方向で偏りが生じることなく、燃料膜厚が均一化し、液滴を一層小さくして微粒化を促進することができるので、燃焼室内の温度分布に偏りが抑制され、局所的な不完全燃焼や高温燃焼が回避される。その結果、未燃焼成分や有害成分の発生が増加するという問題を解消することができ、燃焼異常や有害物質の発生を少なくすることができる。更に、この発明による液体微粒化ノズルでは、液体燃料が流れる吐出通路断面を小さくする必要がないので、燃焼温度の上昇により固形析出物を生じやすい重質油にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による液体微粒化ノズルの一実施例の概要を示す断面図である。
【図2】この発明よる液体微粒化ノズルの別の実施例の概要を示す断面図である。
【図3】この発明よる液体微粒化ノズルの他の実施例の概要を示す断面図である。
【図4】従来の液体微粒化ノズルの概念図である
【符号の説明】
1,1A,1B 液体微粒化ノズル
2 外筒 3 内筒
5 内壁面 6 外壁面
7 環状空間 10 空気通路
12,22 液体溜まり 14,24 液体通路
15 プレフィルマー 18,19 空気旋回器
LF 液体燃料 E ノズル軸線
Ac 旋回空気流
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3