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明細書 :液晶光学計測装置及びそれを用いた光学計測測定システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3613578号 (P3613578)
公開番号 特開2003-215530 (P2003-215530A)
登録日 平成16年11月12日(2004.11.12)
発行日 平成17年1月26日(2005.1.26)
公開日 平成15年7月30日(2003.7.30)
発明の名称または考案の名称 液晶光学計測装置及びそれを用いた光学計測測定システム
国際特許分類 G02F  1/13      
G01J  3/447     
G01N 21/27      
G01N 21/21      
FI G02F 1/13 505
G01J 3/447
G01N 21/27 A
G01N 21/21 Z
請求項の数または発明の数 7
全頁数 10
出願番号 特願2002-012232 (P2002-012232)
出願日 平成14年1月21日(2002.1.21)
審査請求日 平成14年1月22日(2002.1.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503361400
【氏名又は名称】独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】新宮 博公
【氏名】本間 幸造
【氏名】黒崎 裕久
【氏名】鈴木 孝雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100092200、【弁理士】、【氏名又は名称】大城 重信
【識別番号】100110515、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 益男
【識別番号】100084607、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 文男
審査官 【審査官】井口 猶二
参考文献・文献 特開平06-273238(JP,A)
特開2000-152254(JP,A)
特開2001-264848(JP,A)
調査した分野 G02F 1/13 505
G01J 3/447
G01N 21/27
G01N 21/21
特許請求の範囲 【請求項1】
対物レンズ、液晶同調フィルタ、及びCCD検出素子を入射光の通過順に配置して成り、前記液晶同調フィルタと前記対物レンズ及び前記CCD検出素子との間にそれぞれリレーレンズを配置すると共に、前記液晶同調フィルタを前記入射光の光軸回りに回転可能としたことから成る液晶光学計測装置。
【請求項2】
前記液晶同調フィルタは、筐体に回転自在に支持された回転体に取り付けられており、前記筐体に配設された駆動源によって回転されることから成る請求項1に記載の液晶光学計測装置。
【請求項3】
前記回転体は内部に前記液晶同調フィルタを取り付けた歯車であり、前記駆動源はステッピングモータであり、前記ステッピングモータの出力軸に取り付けられている小歯車が前記歯車と噛み合い係合していることから成る請求項2に記載の液晶光学計測装置。
【請求項4】
前記対物レンズ及び前記CCD検出素子は、それぞれ、前記筐体の外部に配置されており、異機種と交換可能であることから成る請求項2に記載の液晶光学計測装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の前記液晶光学計測装置と、前記液晶光学計測装置の前記液晶同調フィルタの回転制御及び前記液晶光学計測装置からの画像データの取得制御を含む制御を行うパーソナルコンピュータとを備えたことから成る光学計測システム。
【請求項6】
前記CCD検出素子が検出した画像データは、前記パーソナルコンピュータの付属モニタ又は前記パーソナルコンピュータに接続される外部モニタによって観察可能であることから成る請求項5に記載の光学計測システム。
【請求項7】
前記CCD検出素子が検出した画像データは、前記パーソナルコンピュータの内部記憶装置又は前記パーソナルコンピュータに接続される外部記憶装置に記録されることから成る請求項5に記載の光学計測システム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、対象物からの反射光の分光偏光特性を利用して、対象物の認識や特徴を抽出する光学計測分野に属し、特に葉緑素(クロロフィル)等の分光偏光特性を観測することができる液晶光学計測装置及びそれを用いた光学計測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
地球環境問題に対して衛星や航空機、地上、海上などで各種観測が多方面でなされている。このような状況下で環境計測を行うための各種センサが使用されているが、光学センサの一つとして液晶同調フィルタ(Liquid Crys-tal Tunable Filter、以下この欄において、「LCTF」と略す)、対物レンズ及びCCD検出素子から成る光学センサがある。この光学センサは、直線偏光子の機能を有するLCTFを用いた光学センサであり、LCTFに印加される直流電圧によって透過光の波長を任意に選択可能にする性能を有している。この光学センサは、LCTFに印加する直流電圧を変化させることで透過光の波長について連続分光を行うことができるので、連続分光/偏光可能な放射計であり、LCTF分光偏光放射計と称されている。
【0003】
この光学センサは、その分光特性からして、特に可視城中心での観測、即ち太陽光の被反射対象物の観測に適している。太陽光の被反射対象物としては、湖水、海、河川、森林等の自然対象物が考えられ、特に、植物に含まれる葉緑素(クロロフィル)等からの光の分光特性の観測を満足するものである。葉緑素(クロロフィル)等の分光偏光特性を把握すれば、被反射対象物の分光偏光特性を測定することで、地上における植物の繁茂の程度及び分布、湖水や海洋における植物プランクトンの繁殖の程度及び分布を観測することが可能となり、植物相の観点から地球環境観測用として用いることができる。これらの自然対象物は、地上や海上に設置したり或いは車両や船舶に搭載して直接に観測することができるのは勿論のこと、光学センサを航空機や宇宙機に搭載することにより、短時間で且つ広範囲に観測することもできる。
【0004】
放射計の中心部分を構成するLCTFの原理を、図5に基づいて簡単に説明する。図5に示されるように、LCTF20は、構造的には、入力偏光子21と出力偏光子24との2枚の偏光子の間で複屈折結晶板22と液晶素子23とを前後を平行に挟んだサンドイッチ構造を用いている。LCTF20は、そのようなサンドイッチ構造を複数層にして重ね合わせたものであり、各層は液晶位相器(遅相器)の要素を挟んだ、互いに平行な直線偏光子から成っている。
【0005】
液晶同調フィルタLCTFは、透過波長を電子的に制御できるバンドパスフィルタであり、リオフィルタ(Lyot Filter)の設計に基づいている。図5において左からの入射光は、入力偏光子21を通り、次に偏光子の偏光軸に対して結晶軸が45度に設置された複屈折結晶板22でそれぞれ位相速度の異なった常光、異常光の2成分に等量に分割される。液晶素子23に加える電圧(V)により、液晶結晶軸の一方の屈折係数が変化するので、一方の光は他方に光に比較して遅延する。このように、結晶素子23は、液晶遅相器としての働きをする。結晶素子23を出た2つの成分は出力偏光子24で合成されるが、干渉により波長に関して周期的な透過特性となる。これらを1ステージとして、次々に複屈折結晶板22の厚さが前段の2倍になるステージを重ねることで、入射光の最終透過特性は狭帯域となる。
【0006】
LCTF20によっては、出力偏光子22が入力偏光子21に対して偏光軸が互いに垂直になるように配置されているので、類似の分光フィルタリングが生じる。こうした設計がされたLCTF20は、応用先を選択する際に、あるパスバンド形状を達成するため、又はバンド外光を除くために利用される。このようなLCTF20は、可動部分が無く、液晶素子23に印加する電圧を変えることで任意の波長に分光できるという特長を有している。
【0007】
図5に示すLCTF20を用いた従来型のLCTF分光計28は、図6に示されるブロック図のように左から対物レンズ(カメラレンズ)2、LCTF20及び受光部としてのCCDカメラ6から構成されている。対物レンズ2及びCCDカメラ6はカメラ筐体7の外部に配置され、LCTF20はカメラ筐体7の内部において固定配置されている。LCTF分光計28の動作原理としては、図の左側から入射した被写体(対象物)からの反射光が対物レンズ2で集光され、LCTF20で各波長に分光・偏光され、CCDカメラ6で受光され、最終的に結像される。このCCDカメラ6からの撮像画像を処理することによって対象物の特徴を抽出することができる。LCTF20にはドライバコントロール(図示せず)から各種電圧を与えられるが、その電圧を変えることにより選択される波長が変化する。従って、LCTF20は、選択波長を連続して高速可変でき、設定した分光光を出射する。
【0008】
しかしながら、従来型のLCTF分光計28では、図5に示すLCTF20がカメラ筐体7に固定されており、リレーレンズも用いられていない。また、LCTF20がカメラ筐体7に固定されたままであるので、透過する光の振動面(偏波面)が固定され、その結果、センサへの入射光束の中から所望の偏光を計測することができない。このような従来型の光学センサ(LCTF分光計28)を地球観測等に用いた場合、対象物からの太陽反射光に含まれる特定方向の偏光特性が観測されるのみであり、また、対象物の特徴抽出もある特定方向の偏光画像からなされるのみである。従って、多種方向の偏光画像から特徴抽出を行うことができず、抽出精度の向上に自ずと限界が生じていた。
【0009】
また、LCTF20では、その屈折特性からして、入射平行光線束に対して出力光を平行光線束にすることは可能であるが、一般に、入射光が平行光線束でなければ光学センサの対物レンズ2を透過した後の光は平行光線束であるとは限らない。従って、従来型の光学センサでは、LCTF20を透過後の光(非平行光線束)をカメラ筐体7内の任意の位置でCCD面に結像画像として捉えることが不可能である。その結果、従来型の光学センサでは、その出力(対象物の画像データ)の計測精度が低下し、対象物の特徴抽出の精度も低下するという不都合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、液晶同調フィルタと入出力偏光子とを用いた液晶光学計測装置において、液晶同調フィルタの偏光面を任意に変更可能にして多種方向の偏光成分を成分ごとに透過可能にし、更に、対物レンズ透過後の光を平行光線束にして対象物の特徴抽出の精度を向上すると共に、そうした液晶光学計測装置を用いつつ光学計測をし易くする光学計測システムを得る点で解決すべき課題がある。
【0011】
この発明の目的は、従来型のLCTF分光偏光放射計に代わり、上記の二つの問題点を同時に解決する、即ち、多種方向の偏光画像から特徴抽出を行うことを可能にして抽出精度を向上させることを図ると共に、センサ出力としてCCD面に得られる対象物の結像画像データの計測精度を高めて、対象物の特徴抽出の精度を向上させることができる液晶光学計測装置を提供すると共に、そうした液晶光学計測装置の制御とデータ取得について扱い易くした光学計測システムを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明による液晶光学計測装置は、対物レンズ、液晶同調フィルタ、及びCCD検出素子を入射光の通過順に配置して成り、前記液晶同調フィルタと前記対物レンズ及び前記CCD検出素子との間にそれぞれリレーレンズを配置すると共に、前記液晶同調フィルタを前記入射光の光軸回りに回転可能としたことから構成されている。
【0013】
このように構成された液晶光学計測装置によれば、対物レンズ、液晶同調フィルタ、CCD検出素子、並びに液晶同調フィルタの光軸方向前後にそれぞれ配設されたリレーレンズとから構成されるが、特に、対物レンズとCCD検出素子との間にリレーレンズを配置することにより、リレーレンズ間が液晶同調フィルタが挿入可能な平行光線束の区間となる。対物レンズからリレーレンズに入射した光は平行光となって液晶同調フィルタに入射され、その後、液晶同調フィルタを通過した光は再びリレーレンズを通してCCD検出素子に結像される。即ち、液晶同調フィルタを透過する入射光及び出力光の光軸は液晶同調フィルタの回転軸と平行になり、対物レンズの焦点距離が見かけ上長くなる。更に、液晶同調フィルタを入射光の光軸回りに回転可能とすることにより、入射光線束の中の任意の偏光を選択透過可能とすることができる。従って、入射光線束の中の任意の偏光を選択透過可能としつつ、CCD検出素子への結像が精度良く行われる。
【0014】
この液晶光学計測装置において、前記液晶同調フィルタは、筐体に回転自在に支持された回転体に取り付けられており、前記筐体に配設された駆動源によって前記液晶同調フィルタを回転することができる。駆動源を筐体に配設することによって、液晶光学計測装置を移動体に搭載するときに駆動源も同時に搭載され、取り扱いが容易になる。また、液晶同調フィルタを回転体に支持しているので、液晶同調フィルタを回転体に組み付けて回転体を回転することによって、液晶同調フィルタを回転させて、前記液晶同調フィルタを透過した光の偏波面を任意の角位置に設定することができる。
【0015】
この液晶光学計測装置において、前記回転体を内部に前記液晶同調フィルタを取り付けた歯車とし、前記駆動源をステッピングモータとし、前記ステッピングモータの出力軸に取り付けられている小歯車を前記歯車と噛み合い係合させることができる。駆動源をステッピングモータとし、小歯車から歯車へ回転を伝達することにより、液晶同調フィルタの角度調整を小刻みな等回転角度単位で且つ正確・確実に調整することができ、液晶同調フィルタを透過する光の偏波面を任意の角位置に設定することができる。なお、駆動源と回転体との間の駆動力の伝達は、タイミングベルトやチェーン等の無端帯による伝動、摩擦車等の摩擦伝動であてもよい。
【0016】
この液晶光学計測装置において、前記対物レンズ及び前記CCD検出素子を、それぞれ、前記筐体の外部に配置し、異機種と交換可能に構成することができる。対物レンズについては一般的なカメラレンズを使用して交換可能とし、CCD検出素子についても、CCDカメラのように取付け部をCマウント方式とすることで、画素数が異なる機種の素子と交換して取付けることが可能である。
【0017】
また、この発明による光学計測システムは、前記液晶光学計測装置と、前記液晶光学計測装置の前記液晶同調フィルタの回転制御及び前記液晶光学計測装置からの画像データの取得制御を含む制御を行うパーソナルコンピュータとを備えたことから成っている。
【0018】
光学計測システムを上記のように構成したので、液晶光学計測装置の液晶同調フィルタの回転及び液晶光学計測装置からの画像データの取得を含む制御がパーソナルコンピュータで行われ、システム構成が簡単になり且つ簡素な光学計測システムが得られる。従って、車両や船舶或いは航空機や宇宙機への搭載が容易になり、光学計測システムの取り扱いが簡単になる。パーソナルコンピュータに備えた制御ユニットによって液晶光学計測装置についての各種制御を行わせることができる。
【0019】
この光学計測システムにおいて、前記CCD検出素子が検出した画像データは、前記パーソナルコンピュータの付属モニタ又は前記パーソナルコンピュータに接続される外部モニタによって観察可能とすることができる。パーソナルコンピュータの付属モニタ又は外部モニタによって観察しつつ、液晶光学計測装置を制御することにより、分光偏光特性の良好なデータを取得することが可能になる。
【0020】
この光学計測システムにおいて、前記CCD検出素子が検出した画像データを、前記パーソナルコンピュータの内部記憶装置、又は前記パーソナルコンピュータに接続される外部記憶装置に記録することができる。液晶光学計測装置のCCD検出素子で検出した画像データは、画像取込みボードを経由して画像データ取得装置のメモリに一旦記憶され、その後、パーソナルコンピュータのハードディスクのような内部記憶装置又はビデオデッキ等の外部記憶装置において、初期設定された条件により連続/単体のファイルに随時ファイリングされる。ファイリングされたデータは、既存のソフトウエア等で処理される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、この発明による液晶光学計測装置の実施例を説明する。図1はこの発明による液晶光学計測装置の一実施例の概略を示すブロック図、図2はこの発明の液晶光学計測装置の一実施例を示す縦断面図、図3は図2に示す液晶光学計測装置の液晶同調フィルタの位置における横断面図である。図1~図3において、図5及び図6に示した構成要素と同様の機能を奏する要素については同じ符号を付すことにより、再度の詳細な説明を省略する。
【0022】
図1に示す液晶光学計測装置1は、他の画像型光学センサと比較して波長分解能が優れている点に特徴があるが、図6に示す従来の光学センサ(LCTF分光偏光放射計28)と比較して、液晶同調フィルタ(以下、この欄において「LCTF」と略す)20に回転機構25を装着したこと、及びLCTF20の光軸方向前後にリレーレンズ4,5を用いた点で相違している。LCTF20は、図5に示すLCTFと同じ構成であり、入力偏光子21、複屈折結晶板22、液晶素子23及び出力偏光子24で構成されている。LCTF20は、直線偏光子(1inear polarizer)を含んでおり、実用のLCTF20は、そうした構造を幾層にも重ねたものである。
【0023】
図2及び図3に示す液晶光学計測装置1は、入射する光の通過順に、対物レンズとしてのカメラレンズ2、フィールドレンズ3、前側リレーレンズ4、LCTF20、後側リレーレンズ5及びCCD検出素子としてのCCDカメラ6を同一光軸線上に配置して構成されている。フィールドレンズ3、前側リレーレンズ4、LCTF20及び後側リレーレンズ5は、装置の筐体としてのカメラ筐体7の内部に配置されており、カメラレンズ2とCCDカメラ6とはカメラ筐体7の外部に配置されている。フィールドレンズ3及び前側リレーレンズ4は、カメラレンズ2と共にカメラ筐体7の前壁8に保持されており、後側リレーレンズ5は、CCDカメラ6と共にカメラ筐体7の後壁9に保持されている。
【0024】
LCTF20の回転機構25は、後述するスパーギヤ10、ステッピングモータ12、出力ギヤ13を含んでいる。即ち、LCTF20は、カメラ筐体7の中央壁に回転自在に保持されたスパーギヤ10の内部に取り付けられており、スパーギヤ10の歯11はカメラ筐体7に設けられたステッピングモータ12の出力ギヤ13と噛み合っている。後述する制御ユニットからの制御信号によってステッピングモータ12が駆動されるので、LCTF20の回転位置を任意の角度に調節することができる。出力ギヤ13はスパーギヤ10と比較して小歯車であるので、回転角度はステッピングモータ12の設定刻み角度より更に微小な回転角度単位で、任意の角度まで変更することができる。
【0025】
カメラレンズ2の後に置かれる前側リレーレンズ4は、入射光を平行光としてLCTF20に入射する。LCTF20を透過した光も平行光となり、その後、後側リレーレンズ5を通して受光部としてのCCDカメラ6において結像面に精度良く結像される。ステッピングモータ12によってLCTF20の回転位置を変更することにより、LCTF20を透過する光の偏波面を任意の角位置に設定することができ、任意方向の偏光特性が計測可能である。カメラレンズ2は、一般的なカメラレンズを使用し交換可能であり、CCDカメラ6の取付け部もCマウント方式のため各種のCCDカメラを交換して取付けることが可能である。
【0026】
図4は、この発明による液晶光学計測装置を用いた光学計測システムの一実施例を示す概念図である。光学計測システム30は、液晶光学計測装置1を用いて被反射対象物の分光特性を計測するときに、液晶光学計測装置1を光学センサとして駆動制御する。光学計測システム30は、LCTF放射計である液晶光学計測装置1に制御装置を結びつけ、波長制御、画像データ取得の自動的に行う機能を有しており、CPUボード32、内部記憶装置を有するハードディスク(HDD)33、制御ユニット34、LCTF回転コントローラ35、画像取込みボード36等と共に構成されるパーソナルコンピュータ31を主体としたハードウエアシステムから成っている。パーソナルコンピュータ31には、付属モニタとしての液晶モニタ37、キーボード38、マウス39、外部モニタとしてのビデオモニタ40、外部記憶装置としてのビデオデッキ41等の周辺機器も接続されている。画像データ記録用の外部記憶装置としては、その他にFDD、ビデオカード、CD-RW、MO、リムーバブルHDD等が挙げられる。制御ユニット34には、液晶光学計測装置1及びこれら周辺機器を動作させるドライブ用のソフトウエアが予めインストールされている。
【0027】
制御ユニット34の機能として、第一に、液晶光学計測装置1の光学センサ本体のシリアルRS-232Cドライバを駆動する制御が挙げられる。制御ユニット34は、また、液晶素子23への印加電圧を変更することによるLCTF20の透過光の波長選択(分光)と、波長選択と同時にLCTF20に回転角度を指定し、LCTF回転コントローラ35からの駆動信号をLCTF回転機構25に送ってLCTF回転機構25を駆動することにより、波長に対して偏光面(透過光の偏波面)を連続的に変化させる機能を有する。光学計測システム30の作動としては、LCTF20の分光波長を掃引するための設定項目であるLCTF20にある回転角度と掃引開始波長(スタート波長)、掃引終了波長(エンド波長)、波長を変えるときの波長間隔(ステップ波長)、次の波長へ移るときの待ち時間(インターバル時間)等でスイープし、連続して指定信号を与え、それらに対応したデータがファイル名を付けてハードディスク33等の記録媒体に記録される。
【0028】
最後に、液晶光学計測装置1に備わるCCDカメラ6の受光面で計測した画像データは、画像取込みボード36でA/D変換され、その画像をビデオモニタで40でリアルタイムに映し出される。画像データは、また、画像データ取得装置のメモリに一旦記憶され、その後初期設定された条件によりパーソナルコンピュータ31の内部及び/又は外部記憶装置において、連続/単体のファイルに随時ファイリングされる。そのファイリングされたデータは、既存のソフトウエア等で処理される。
【0029】
液晶光学計測装置1は、太陽光の被反射対象物を地上、海上、航空機、宇宙機等から観測する分光偏光放射計として用いることができる。本発明による液晶光学計測装置1は、地上や海上に設置したり、或いはヘリコプターや航空機、宇宙機等の移動体に搭載することで地球環境リモートセンシング用光学センサとして用いることができる。特に、葉緑素の分光特性を観測するように設定することにより、陸上・海上・湖沼・河川等の各領域における植物の繁茂の程度や分布を詳細に観測して、地球環境の現状や変化を把握することができる。更に、この発明による液晶光学計測装置1によれば、リモートセンシングによる植物相の観測に限らず、反射光特性が分かっている対象物、例えば、印刷物や有価証券の各種判別、古文書や絵画等の鑑定や調査、産業分野における品質管理・分類、医療・生物分野の判別・調査等についても適用することができることは明らかである。
【0030】
液晶光学計測装置1にHe-Neレーザ光(波長632.8nm)を入射し、出力スペクトル画像の輝度を測定した結果が、図7にグラフとして示されている。波長分解能は輝度の最高値の半値における波長幅と定義されているので、図7に示す例では、波長分解能は10nmであるが、液晶光学計測装置1では、5~10nm程度である。一般に、波長分解能は短波長では高く、長波長では低い。また、LCTFの動作確認は、直線偏光を入力し、この偏光面からLCTFの偏光面との変位角を駆動信号によって変えていき、変位角ゼロのときにセンサ出力輝度が最大、±90°のときに最小になることで行われる。図8には、液晶光学計測装置の-90°から+90°の偏光角における出力輝度の一例がグラフとして示されている。これら各変位角における画像の輝度からフィルタ回転機構25は正常に作動していることが確認できる。
【0031】
対物レンズ2に入射する光の輝度[μW/cm2 ・sr・nm]をCCD出力によって求める際には、その出力輝度を測定し、その測定値にリレーレンズ、LCTF等の液晶光学計測装置1の構成部品の影響度を加味することが必要である。この影響度を調べる(分光キャリブレーション)には、安定したスペクトル照度特性を有する標準電極及び白色板の校正値、並びに両者を相互の距離を置いてセンサの入力輝度スペクトルを計算で求める。次に、波長毎のセンサ出力を計り、校正図を作成する。
【0032】
液晶光学計測装置1によれば、対象物の特徴が波長スペクトル別に画像データとして取得可能であることが確認された。対象物としてハナズオウ(花蘇芳)を例に取り、太陽光の下でその反射光を液晶光学計測装置1で観測したときのCCD出力として取得された画像データが図9に示されている。カラー写真で捉えると、花は赤色、葉の部分は緑色であるので、650nm以上では花の部位分が白く見えるが、全体として各波長別の特徴は鮮明であり、分光による相違が明確に観測された。例えば、550nmの波長では、若葉のみ見え、花は光を吸収しており、600nmでは花が見え始める。650nmでは花のみ見え、葉は光を吸収している。695nmでは花、葉ともに光を反射しており、715nmでは後方の植物(サザンカ)の葉も反射している。これらの波長別特徴から、本液晶光学計測装置1は画像データ取得機能が正常に働いていることが確認された。
【0033】
【発明の効果】
この発明による液晶光学計測装置は、以上のように、対物レンズの後側にリレーレンズを置き、以下光軸に沿って順に、液晶同調フィルタ、リレーレンズ、CCD検出素子を置き、且つ液晶同調フィルタには回転機構を配設しているので、対物レンズを通った入射光は、リレーレンズを通過した後、平行光線束となって液晶同調フィルタに入射され、その後再びリレーレンズを通して結像面のCCDカメラ受光部に結像される。また、液晶同調フィルタを任意角度に回転可能としたので、液晶同調フィルタを透過した光の偏波面が任意の角位置に設定できる。従って、液晶同調フィルタを透過後の平行光線束をCCD面に結像画像として捉えることができ、その結果、この発明による液晶光学計測装置は、その出力である対象物の画像データの計測精度を高め、対象物の特徴抽出の精度を向上することができる。また、対象物からの反射光に含まれる任意方向の偏光特性が観測され、対象物の特徴抽出も任意方向の偏光画像から高い抽出精度で得ることができる。更に、LCTF分光偏光放射計での葉緑素(クロロフィル)の反射光の分光特性を把握することにより、本液晶光学計測装置を地上や海上において据付けたり車両、船舶、航空機、宇宙機等の移動体に搭載することで、地上、海洋、河川等の植物相の繁茂の状態を観測することができる。
【0034】
この発明による液晶光学計測装置を用いた光学計測システムによれば、パーソナルコンピュータによって液晶光学計測装置を制御したり、液晶光学計測装置からの画像データの取得、加工等の制御が行えるので、液晶光学計測装置の取り扱いが簡単になると共に、システムとしても簡素に構成することができ、地上や海上においては据付け性が良好になるとともに、車両、船舶、航空機、宇宙機等の移動体への搭載性が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による液晶光学計測装置の基本原理を示すブロック図である。
【図2】この発明による液晶光学計測装置の一実施例を示す縦断面図である。
【図3】図2に示す液晶光学計測装置の横断面図である。
【図4】この発明による液晶光学計測装置を用いた光学計測システムの一実施例を示す概念図である。
【図5】入出力偏光素子及び液晶素子で構成される液晶同調フィルタの原理図である。
【図6】液晶光学計測装置の基本原理を示すブロック図である。
【図7】この発明による液晶光学計測装置にレーザ光を入射したときの出力スペクトル画像の輝度を測定結果の一例を示すグラフである。
【図8】この発明による液晶光学計測装置の-90°から+90°の偏光角における出力輝度の一例を示すグラフである。
【図9】この発明による液晶光学計測装置で観測したときの波長別のCCD出力画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 液晶光学計測装置 2 カメラレンズ(対物レンズ)
3 フィールドレンズ 4 前側リレーレンズ
5 後側リレーレンズ 6 CCDカメラ(CCD検出素子)
7 カメラ筐体 8 前壁
9 後壁 10 スパーギヤ
11 歯 12 ステッピングモータ
13 出力ギヤ
20 液晶同調フィルタ(LCTF) 21 入力偏光子
22 複屈折結晶板 23 液晶素子
24 出力偏光子 25 回転機構
30 光学計測システム 31 パーソナルコンピュ-タ
32 CPUボード 33 ハードディスク
34 制御ユニット 35 LCTF回転コントローラ
36 画像取込みボード 37 液晶モニタ
38 キーボード 39 マウス
40 ビデオモニタ 41 ビデオデッキ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
7
【図9】
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