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明細書 :回転体の光学式すきまセンサ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3035606号 (P3035606)
公開番号 特開平11-173818 (P1999-173818A)
登録日 平成12年2月25日(2000.2.25)
発行日 平成12年4月24日(2000.4.24)
公開日 平成11年7月2日(1999.7.2)
発明の名称または考案の名称 回転体の光学式すきまセンサ
国際特許分類 G01B 11/14      
G01B 11/00      
FI G01B 11/14 Z
G01B 11/00
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願平09-354024 (P1997-354024)
出願日 平成9年12月9日(1997.12.9)
審査請求日 平成9年12月9日(1997.12.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】松田 幸雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100092200、【弁理士】、【氏名又は名称】大城 重信 (外1名)
審査官 【審査官】安井 麻美子
参考文献・文献 特開 昭61-286703(JP,A)
特開 昭62-165113(JP,A)
特開 平6-331328(JP,A)
調査した分野 G01B 11/00 - 11/30 102
特許請求の範囲 【請求項1】
回転体の円周方向のすきま寸法変化を測定する光学測定系には光ファイババンドルを用い光学路が軸心位置となるように、回転体の反射率を測定する光学測定系は光ビームを光学軸に対し傾斜をもって照射するようにし、後者光学系の出力を用いて前者光学系の出力から反射率のパラメータを消去演算する手段を備えたことを特徴とする回転体の光学式すきまセンサ。

【請求項2】
回転体の反射率を測定する光学測定系は光源からの光をビームスプリッタを介して検出する第1の受光手段と、回転体からの反射光を検出する第2の受光手段とを有し、第1の受光素子の検出値を用い第2の受光素子の検出値から光源の変動成分を除去して反射率を算出し、これを用いて寸法変化を測定する光学測定系の検出値に含まれる反射率成分を消去演算する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転体の光学式すきまセンサ。

【請求項3】
寸法変化を測定する光学測定系と反射率を測定する光学測定系の両光学系端部と前記回転体との間に、両光学系用の集光レンズを同軸状に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の回転体の光学式すきまセンサ。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】この発明は、金属あるいは非金属の回転体のすきま寸法を、非接触に、光学的手段によって計測する技術に関するものである。

【10】

【発明の実施の形態】本発明は、同じ回転体端面に対して、独立した2つの光学系が異なる種類の光を投射し、その反射光をそれぞれに受光検出するものであるため、全体装置が大型化せずしかもお互いの計測に影響が出ないように、2つの光学系の配置関係には工夫を要するところである。

【11】
図1はこの発明の光学式すきまセンサを具体的に実施した構成を示したもので、まず反射率計測用の光学系について説明する。1の光源Aから出た光ビームは、2のビームスプリッタにおいて一部は透過した後、3の対物レンズAにより偏向されて鋭角で回転体の端面11-1に至り、残りの一部は反射して6の受光素子Cに受光される。該端面11-1で反射された光ビームは、3の対物レンズでまた偏向されて4の光ファイバの端面からオプティカルロードとなる該ファイバを経て5の受光素子Aに至る。この光学系で用いられる光はビーム状であるので、空間伝搬距離による減衰は無視でき、またビームスプリッタ2や対物レンズA3及び光ファイバ4の光学的特性も回転体の移動には関係無く光学系が特定されれば変化しないのものであるから、この受光素子Aに導かれた受光出力は、回転体端面の反射率と光源の明るさのみに依存することになる。さらに、本発明では受光出力を上記2のビームスプリッタで分けられた光、すなわち6の受光素子Cの受光出力と比較演算する構成を有することで、光源の明るさによる影響を除去するようにしたので、すきま寸法の変化にも光源の明るさにも関係なく回転体端面11-1の反射率を測定・演算で求めることができるものである。

【12】
図1において、すきま計測用の光学系には光ファイババンドルが用いられる。この光ファイババンドルというのは、光投射用の光ファイバと受光用の光ファイバを多数本ランダムに束ねたものである。8の光源光Bは、7の光ファイババンドルの投射光用の光ファイバ7-1へ入射され、該ファイバの先端から9の対物レンズBで収束されて11の回転体端面(反射面)11-1へ投射される。該端面からの反射光は、再び9の対物レンズBを介して7の光ファイババンドル端面に集光され、その受光用光ファイバ7-2を通って10の受光素子Bに導かれる。

【13】
投射光用の光ファイバ7-1の端面から出た光はある角度をもって空間を進み9の対物レンズBに至る。その間に明るさは距離に応じた減衰をするが、その距離は回転体の移動とは無関係で一定である。この対物レンズBは光が余り広がらないように集光レンズとして機能するものであり、該レンズを介して回転体の端面11-1に光が投射される。このレンズと回転体端面との距離が回転体の回転によって変化することになるため、投射光はその距離に応じた減衰を受けて回転体端面11-1を照射する。該端面では同面の反射率に対応した光量の光が反射光として出射され、空間を伝搬して再び9の対物レンズBに戻ってくる。その間も又回転体の変位分を含んだ距離を伝搬することになるので、すきま、すなわちその回転体の端面と該レンズ間の距離に応じた減衰光量でそのレンズに入射されることになる。この光は該レンズの集光機能によって絞られて受光ファイバ7-2の端面に戻され、該ファイバを介して10の受光素子Bで受光される。

【14】
すきま計測用の光学系は以上のように作用するものであるが、光の伝搬経路の内、9の対物レンズBと回転体端面11-1間の経路の長さ以外は光学系が特定されれば変化する物理量の無いものであるから、この光学系の固有の光学特性は、個々の器差はあるとしても該光ファイババンドルの光学特性や7の光ファイババンドル端面と9の対物レンズB間での光量の減衰を含めて、総合的に把握することができるものである。

【15】
図2は以上のように2つの測定光学系で検出された各受光素子の出力から、目的のすきま計測値を演算出力する手段の構成を示したものである。図2において12は光源Aの明るさに対応する6の受光素子Cの出力と、反射光の強さに対応する5の受光素子の出力の比から回転体端面の反射率を演算する割算回路であり、13は12の演算回路と10の受光素子Bの出力から目的とするすきま寸法を求める演算回路である。

【16】
図1に示す本発明の実施例において、光学系の先端面すなわち9の対物レンズBから回転体の反射面11-1との距離dと、10の受光素子Bの出力Eとの間には、図3のような関係がある。図中で実線は強反射体、破線は弱反射体の場合である。これを式で書くと次のように表すことができる。
E = K・f(d)
ここにKは回転体の反射率、f(d)はすきま計測用の光学系全体の光学特性関数である。すなわち受光素子Bで検出される値Eは反射率Kに比例し、9の対物レンズBから回転体の反射面との距離dの関数で表される。このすきま計測用の光学系全体の光学特性関数は、光学系が特定されれば変化の無いものであるから、予め既知の距離dに対応するその光学系の受光素子の出力値Eを特性として把握することができる。例えばその特性をROM等にもっていれば、実際の計測に際してはその検出値Eともう一つの検出値であるKに基づいて目的の距離dの値をその特性から簡単に割り出すことができる。すなわち、図1の反射率計測用の光学系の1~6の構成及び図2の演算回路12で反射率Kを測定・演算するとともに、すきま計測用の光学系の7~10の構成で受光量Eを測定し、これらの値とすきま計測用の光学系の光学特性関数f(d)から目的とするすきま寸法を13の演算回路で求めることができる。

【17】

【発明の効果】この発明は、回転体が金属に限らず非金属であっても、非接触的に回転体のすきま寸法を光学的に計測することができるもので、汚れなどによる反射面の反射率変化に対しても、反射率を常にモニタし、補正演算することで正確な測定値を得ることが可能である。そのことによって、航空用ガスタービンをはじめ、産業用ガスタービンや圧縮機などの運転時のすきま寸法計測に使用することにより、これらの回転機械の安全性向上や性能向上に資することができる。

【18】
また、本発明は割算回路と乗算回路といった単純な演算処理で、正確な測定値を得ることができるため、装置の簡素化やコストダウンができるものである。さらに、すきま寸法変化を測定する光学系と反射率を測定する光学系の2つの光学系を同軸位置に配置すると共に、光ビームの投光受光経路をレンズを介して広がらないようにすることで、装置の小型化が実現できる。

【2】

【従来の技術】回転体と固定壁面間等の円周方向すきま寸法を計測する従来のすきまセンサは、測定原理として電磁気的現象を利用したものが主流であるが、この原理によるものでは非金属の回転体の計測は不可能である。-方、光学的手段によって回転体のすきま寸法を計測する方法も知られており、この光学センサ方式によるものであれば、金属に限らず非金属の回転体であっても原理的に計測は可能である。この光学的に回転体のすきま寸法を計測する方法としては、図4に示されたように光ビームを回転体にあて、その反射光が受光センサにより受光される位置がすきま寸法により変化することを利用した位置検出方式のものと、図5に示されたようにビームに絞らない投射光を回転体にあて、反射光の光量が距離すなわちすきま寸法により変化することを利用した減衰光量検出方式によるものがある。

【3】

【発明が解決しようとする課題】上記の光学的手段により回転体のすきま寸法を計測する方法の内、位置検出方式のものは原理上感度(変換効率)を良くするために、どうしても回転体に対する光の入射角度及び反射角度を大きくとることになってしまう。そのため必然的にセンサが大型化してしまうという問題を持っていた。また反射光の位置変化をCCD位置センサを用いディジタル検出するもの、受光素子の開口部に対するビームの相対位置に応じて変化する受光量をアナログ的に検出するものがある。このアナログタイプのものは1つの素子で受光する単純なものは変位検出感度が低くまた変位方向の判別が出来ないので、一般には変位方向に並んだ1対の素子を用いビームの変位に応じて一方の受光量が増えれば他方の受光量が減衰する差動原理を用いた感度の良い検出手段が採用される。しかしこれら従来の検出手段は、複雑な信号処理回路を必要とし、コスト的にも高くつくものとなっている。

【4】
また、減衰光量検出方式によるものは、センサを小型にすることが可能で信号処理も比較的容易であるが、反射光の光量はすきま寸法だけに依存しないで、回転体の表面反射率に大きく影響される。ちなみに受光量とすきま寸法との関係は図3に示されるように反射面の反射率の違いにより大きく違っており、受光素子より0.4mVの出力電圧を得られたとしても、回転体が強反射であればその距離は3cmであり、弱反射であれば1.6cm ということになるため、反射率が分からなければすきま寸法の計測はできないという基本的な問題をもっていた。

【5】

【課題を解決するための手段】この発明にかかる光学式すきまセンサは、上記の内、原理的には減衰光量方式をもとにしたもので、光源、受光素子、光ファイバ、レンズ、光学部品を構成部品として、回転体の円周方向のすきま寸法変化を検出する光学測定系と、回転体の反射率を検出する光学測定系と、両者の出力を演算する手段を組み合わせて、反射率変化の影響を受けない正確な計測を可能にするものである。

【6】

【作用】本発明にかかる光学式すきまセンサは、2つの光学系を備えており、その1つは、投射光用の光ファイバから光を回転体に投射し、その反射光を受光用の光ファイバで受けることによりすきま寸法に応じた光量信号を得るもので、もう1つは、ビーム光を回転体端面に投射し、その反射ビーム光を受けることによりその反射率に対応する光量検出信号を得るものである。

【7】
まず前者の作用を詳しく説明する。距離測定原理は光源からの光の強さは光源からの距離の2乗に反比例するという物理現象に基づくものである。本発明に於いて、光源よりの投射光は光学系を介しその端面より投射されるが、その光は有る広がりを伴って空間を伝搬し、すきま、すなわちその光学系の端面と回転体の端面間の距離の2乗に反比例した減衰光量で回転体の端面を照射する。そしてその回転体の端面ではその照射された光が入射光となり同面の反射率に対応した光量の光が反射光として出射される。そしてこの反射光はおなじくある角度の広がりを持って空間を伝搬するので、またすきま、すなわちその回転体の端面と受光用の光学系の端面間の距離の2乗に反比例した減衰光量でその光学系の端面で受光されることになる。ここで光源から光学系の投射側端面までと光学系の受光側端面から受光センサまでの光学系内の光学特性は、回転体の移動とは無関係であるので光学系が特定されればそれは一定であると看做ことができ、また光源の明るさも回転体とは無関係の物理量であるから、結局光センサの受光量は、すきま量及び回転体端面の反射率に対応して変化することになる。

【8】
後者の作用は、光がビームに絞られているため、すきま寸法すなわち伝搬距離の変化に対して回転体端面にあたる光スポットの光量は変化しないものと看做ことができる。そしてその回転体の端面ではその入射したビームの光量の同面の反射率に対応した反射光が出射されることになるが、その反射光はやはりビーム光線であるため、すきま寸法すなわち回転体端面と受光センサ間の距離によって減衰することはない。従って、この場合の受光量はすきま変化に関係なく、光源の明るさと回転体端面の反射率のみに依存することになる。本発明では受光側光ビームの強さ(光量)だけでなく、投射側光ビームの強さ(光量)をも検出し、その比を算出することにより、光源の明るさに無関係の回転体端面の反射率のみに依存する値を得ることができる。以上のように両者の測定方式とも、それぞれの出力は回転体の表面反射率に対応して変化する物理量であることが分かる。

【9】
いま、前者の光学系の光源の明るさは変化しないものと仮定すると、後者の光学系からは回転体の端面の反射率が得られ、これを用いて前者の光学系に於ける回転体の端面の反射率の変化分パラメータを消去することで、反射率の変化に影響されないすきま寸法のみに対応する値を得ることができる。もし、安定性の面でこの光源の明るさの変動が無視できないような場合には、後者の光学系と同様に光源の明るさをモニターする構成を加えて容易にその変動分を演算除去することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4