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明細書 :高負荷旋回バーナアレー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第2863841号 (P2863841)
登録日 平成10年12月18日(1998.12.18)
発行日 平成11年3月3日(1999.3.3)
発明の名称または考案の名称 高負荷旋回バーナアレー
国際特許分類 F23C  5/08      
F23C 11/00      
F23D 14/02      
F23D 23/00      
FI F23C 5/08
F23C 11/00
F23D 14/02
F23D 23/00
請求項の数または発明の数 7
全頁数 5
出願番号 特願平10-013178 (P1998-013178)
出願日 平成10年1月8日(1998.1.8)
審査請求日 平成10年1月8日(1998.1.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】林 茂
個別代理人の代理人 、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 益男 (外2名)
審査官 【審査官】見目 省二
参考文献・文献 特公 昭49-14008(JP,B1)
実公 平1-25869(JP,Y2)
要約 【課題】 本発明は、煩雑な配管作業を行うことなしに空気通路、燃料通路、渦室を多数、密に二次元的に配列できるようにした、量産可能な高負荷バーナアレーを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、高負荷旋回バーナとして渦室、混合気噴出口、空気通路、燃料通路を精密鋳造や同様の手法によるセラミックスにより単一平板ブロック内部に、あるいは積層平板構造体の内部に空間として形成する。
特許請求の範囲 【請求項1】
円柱状の空間からなる渦室と、燃焼室につながる混合気噴出口と、該渦室の側壁面に接線方向から混合気が流入するスロットと、このスロットにつながる空気通路と、該スロットにつながる燃料通路とで構成される旋回予混合バーナが、内部に密に二次元配列され、側面あるいは裏面の燃料入口から基板内部に延びた通路が分岐して各旋回予混合バーナの燃料通路につながり、側面あるいは裏面の空気入口から内部に延びた空気通路が分岐して各旋回予混合バーナの空気通路につながる構造が平板ブロックの空間として構成されることを特徴とする高負荷旋回バーナアレー。

【請求項2】
燃焼室につながる混合気噴出口が配列された第1層平板と、これらの開口につながるように配置された渦室と、渦室につながるスロットと、該スロットへの空気供給口及び燃料供給口とが切り抜かれた第2層平板と、燃料入口と、該入口から分岐して上記燃料供給口につながる燃料通路と、上記空気供給口につながる空気通路とが、互いに連結しないように切り抜かれた第3層平板と、上記空気通路とつながる空気入口が配列された第4層平板とが積層されて積層体構造で構成されたことを特徴とする高負荷旋回バーナアレー。

【請求項3】
請求項2に記載の燃料及び空気の通路が切り抜かれた平板に代え、燃料通路を平板に平行な溝とし、空気供給口につながる空気通路が貫通穴で構成された平板を第3層として用いたことを特徴とする高負荷旋回バーナアレー。

【請求項4】
請求項2又は3に記載の第3層及び第4層平板に代え、側面に空気入口と、第2層の空気供給口につながる空気通路および第2層の燃料供給口につながる燃料通路で形成された平板を第3層として、該燃料通路につながる燃料入口が配列された平板を第4層として用いたことを特徴とする高負荷旋回バーナアレー。

【請求項5】
請求項2乃至4に記載の第1層と第2層平板に代え、混合気噴出口と渦室の側壁とを一体化して同一平板内に配列した平板を用いたことを特徴とする高負荷旋回バーナアレー。

【請求項6】
バーナアレーを複数のブロックに分けて構成し、それぞれの燃料入口に流量制御弁を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の高負荷旋回バーナアレー。

【請求項7】
混合気噴出口の通路面積が、渦室から出口に向け縮小したあと拡大する形状である請求項1乃至請求項6に記載の高負荷旋回バーナアレー。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】この発明は航空エンジンやガスタービンの燃焼器、各種燃焼装置の装置の高負荷化、小型化を実現するために、小さな旋回予混合バーナを多数同一基板内部に配列した高負荷旋回バーナアレーに関する。

【10】

【実施例2】図2は本発明の旋回バーナアレーを積層構造体で製造した実施例である。第4層平板26には打ち抜きや切り抜きといった適宜の機械加工によって空気取り入れ口として開口する空気入口12が二次元的に配列形成され、第3層平板25には第4層の空気入口12に続くよう位置決めされた空気通路13と、板側面に開口する燃料入口15とまず横方向に更に縦方向に櫛歯状にガスを導く燃料通路16とを適宜の加工によって形成し、第2層平板24には渦室17、空気供給口18及び燃料供給口19とスロット部20を1バーナ単位とするものを適宜の加工によって二次元的に配列形成し、第1層平板23には表面と裏面では広く厚み方向中央部が狭い構造の混合気噴出口21がやはり二次元的に配列される。

【11】
第4層の空気入口12から取り入れられた空気は第3層平板の空気通路13を通り、第2層平板の空気供給口18とスロット部20を経て渦室17に接線方向から供給される。燃料14は第3層平板の燃料入口15から入り、同じ第3層の燃料通路16を通って、第2層平板の各旋回バーナの燃料供給口19を経て供給されるが、渦室に供給される直前に通路内で空気流に対し垂直方向から供給され、空気と混合される。この混合気はスロット部20から渦室17に入り、旋回して第1層平板の混合気噴出口21から燃焼室27に噴出し燃焼させる。なお、空気入口と燃料入口は第3層第4層の平板において逆の位置関係に設けられてもよく、要は両流体が隔離されて供給され、渦室流入直前で混合されるようにされればよい。

【12】

【実施例3】バーナアレーを複数ブロックに分けて構成することもできる。そうすれば、燃料通路を複数の独立した経路とでき、それぞれのブロックの燃料入口において燃料流量をオンオフ、あるいは連続に制御する手段を設けることにより、各部ロック毎の燃料供給量を適宜調整制御することができる。その動作によってバーナの空燃比が燃焼及び排出の点から最適な範囲に調整制御することができるので、広い負荷範囲にわたって窒素酸化物NOXの低排出化を図ることができる。

【13】

【発明の効果】本発明は、渦室、混合気噴出口、空気通路、燃料通路をセラミックスや精密鋳造により単一平板ブロック内部に、あるいは積層構造の平板の内部に空間として形成することによって、煩雑で手間のかかる配管作業を省いて、バーナの微細化と高密化を可能にするものであるから、生産効率は飛躍的に高くなり、量産に適した高負荷旋回バーナを実現できるものである。これによって、燃焼器の単位時間、単位体積あたりの発熱量を高くすることができ、装置の小型化が図れるだけでなく、発熱量に対する装置壁面からの熱損失を小さくできるという利点がある。また、壁面の冷却が必要となるガスタービンやジェットエンジンなどの高温燃焼器では、このバーナアレーで燃焼室を形成すれば冷却空気量を削減することができ、その結果、高効率化、あるいは希薄化による窒素酸化物NOX の低排出化が可能になる。

【14】
更に、本発明のバーナは、燃料と空気が狭い通路を介して混合されるので、壁面の消炎作用によってこの空間には火炎は侵入できない、また、渦室においては壁面には混合気の旋回流が形成され、中心軸上は負圧になるので燃焼室から既燃ガスが引き込まれ、円錐状の逆流域が形成される。この高温ガスは混合気を加熱し、反応を進め、点火しやすくする効果がある。この領域には安定した逆流領域が存在するので、速い混合気流速でも火炎を安定に保持できる。また、壁面周囲は温度の低い空気や燃料の通路となっており、ここで熱交換が行われ混合気の予熱が促進されると共に、壁面の冷却がなされてその部分が焼損する危険性はない。さらに、渦室出口を絞ったあと広げることによって、出口部の旋回が強まり、既燃ガスとの混合が促進され、火炎が一層短くなると共に、出口部の速度が大きくなることで火炎が渦室に進入し難くなるという効果も生じる。

【15】
また、バーナを複数ブロックに分けて構成すれば、燃料通路を複数の独立した経路とでき、それぞれのブロックの燃料入口において燃料流量をオンオフ、あるいは連続に制御する手段を設けることにより、広い負荷範囲にわたって窒素酸化物NOXの低排出化を図ることができる。

【2】

【従来の技術】燃焼器の高負荷化、すなわち単位時間、単位体積あたりの発熱量を高くすることは、装置の小型化が図れるだけでなく、発熱量に対する装置壁面からの熱損失を小さくできるという利点があり、また、壁面の冷却が必要となるガスタービンやジェットエンジンなどの高温燃焼器では、冷却空気量を削減することができ、その結果、高効率化、あるいは希薄化による窒素酸化物NOX の低排出化が可能になる等の数々のメリットがある。さて、この燃焼装置の分野では乱流予混合燃焼が高負荷化の手段として有効なことはよく知られているところである。メタン空気の理論予混合気を例に挙げると、常温、常圧での層流燃焼速度は0.4m/s であるが、乱流燃焼速度は10m/sにもなる。ところでこの乱流火炎も、燃焼器で得られる乱流強度では、連続したしわ状の層流火炎からなっていることが明らかにされている。層流火炎の厚さは大気圧でも1mm 以下であって、この中で燃焼はほとんど完了しているから、この火炎の厚さを燃焼器長さとみれば、その空間発熱率は現在実用になっている乱流予混合燃焼装置よりも桁外れに大きい。このことから明らかなように、燃焼室内を層流火炎面で充満させることができれば燃焼器の空間発熱率を飛躍的に高めることができる。

【3】
熱発生率一定の条件で燃焼器の容積を小さくするためのもっとも簡単な方法は大きな火炎を多数の小さな火炎で置き換え、層流火炎として火炎長さを短くすることである。この方式によるものとして、特許第2113883号 には予混合気を多数の小さな孔から噴出させ非常に薄い反応帯を形成するバーナが開示されている。燃焼器の長さは、希釈領域も含めても通常の1/4程度に短縮され、NOXの生成も限界にまで抑制されている。しかし、予混合気を孔から噴出するバーナの本質的な問題点として、流速が小さすぎると逆火が起きるという問題がある。また、低NOX 排出をねらった希薄予混合気の燃焼では、特に混合気温度が低い場合に、保炎可能な混合気の噴出速度の限界が小さいという問題をもっている。

【4】

【発明が解決しようとする課題】これらの問題を解決するために、孔から予混合気が単純に噴出するバーナの代わりに、混合気に旋回を与えて噴出するバーナを用い、さらに燃料と空気の混合を個々のバーナにおいてその渦室のすぐ上流で行うことが考えられる。図4のイ・ロはその構造の一例で、イは略円錐状の渦室の接線方向から空気が吹き込まれて旋回流を起こし、その空気噴出口の近傍空気通路部の負圧を利用して燃料が供給されるもの、ロは固定羽根のガイドにより空気の旋回流を起こすもので、燃料は旋回流中心部に噴射されるようになっている。しかし、これらの形態のものを燃焼室壁に多数配置しようとすると、それぞれのバーナに燃料と空気の配管を接続しなければならないので製作作業には非常な手間がかかってしまう。例えば直径30mmのバーナを直径3mmのバーナで置き換えるためには、個数は100倍になり、その一つ一つに配管作業を施すことを考えると、この方式は実際的ではないことが容易に理解できよう。さらに、ロに代表される方式では小さい固定羽根の空気旋回器を製作することは容易ではなく、多数必要なだけにコストも非常に高くなる。この発明は、空気通路、燃料通路、渦室を多数、密に二次元的に配列できるようにした、量産可能な高負荷バーナアレーを提供することを目的とする。

【5】

【課題を解決するための手段】この発明では、渦室、混合気噴出口、空気通路、燃料通路をセラミックスモールド法や精密鋳造によりセラミックスあるいは金属の単一平板ブロック内部に、あるいは積層構造の平板の内部に、空間として形成することによってバーナの微細化と高密化を可能にし、しかも量産に適した高負荷旋回バーナを実現するものである。

【6】
本発明のバーナは、細い管を個々の小バーナに配管することなく、板状体の構造として渦室、混合気噴出口と共に空気通路と燃料通路をも一体的に形成するものであるから、煩雑で手間のかかる配管作業が省かれ、生産効率は飛躍的に高くなる。燃料と空気が狭い通路を介して混合されるので、壁面の消炎作用によってこの空間には火炎は侵入できない、また、渦室においては壁面には混合気の旋回流が形成され、中心軸上は負圧になるので燃焼室から既燃ガスが引き込まれ、円錐状の逆流域が形成される。この高温ガスは混合気を加熱し、反応を進め、点火しやすくする効果がある。この領域には安定した逆流領域が存在するので、速い混合気流速でも火炎を安定に保持できる。また、壁面周囲は一体構造の温度の低い空気と燃料の通路となっており、ここで熱交換が行われ混合気の予熱がなされると共に、壁面の冷却がなされてその部分が焼損する危険性はない。さらに、渦室出口を絞ったあと広げることによって、出口部の旋回が強まり、既燃ガスとの混合が促進され、火炎が一層短くなると共に、出口部の速度が大きくなることで火炎が渦室に進入し難くなるという効果も生じる。

【7】
平板ブロック一体型のものはブロック内に空間として形成される渦室、混合気噴出口、空気通路、燃料通路を中子とする精密鋳造や同様な手法(例えば、セラミックス材料より融点の低い材料で中子を作りセラミックス材料でそれを包むようにブロックを形成してから中子を溶解除去した後焼成する。)で作られるセラミックスによって量産化が可能で、安価に製造できることが期待される。積層構造のものは、セラミックス板を焼成前に機械加工し、接着して焼成することにより、また、金属の場合は金属板を機械加工のあと拡散接合することにより製作できる。また、通路を薄板にプレス成形したものを積層することによっても、同様のものが製造できる。

【8】
本発明によるバーナアレーを、燃料通路が複数の独立した経路に分かれるように複数のブロックに分割し、それぞれのブロックの燃料入口に燃料流量をオンオフ、あるいは連続的に制御し得る手段を設けるようにすれば、その制御動作によってバーナの空燃比が燃焼及び排出の点から最適な範囲に入るようにできるので、広い負荷範囲にわたって窒素酸化物NOXの低排出化が可能となる。

【9】

【実施例1】図1は本発明の旋回バーナアレーを精密鋳造によって製造した一実施例であるが、これは図4に示されたバーナと同様の燃料通路、空気通路、渦室そして混合気噴出口が個々の構造物としてではなく、平板ブロック内の空間として二次元的に複数配列して構成されるものである。図2は図1のAB間を展開して示した1バーナ単位の断面図である。空気11は平板ブロック22の裏面の複数の空気入口12から平板ブロック22の平面に垂直方向の空気通路13を進んだあと平面方向の通路を経て、渦室17に対し接線方向に流入するようにスロット部20から渦室に入る。一方燃料14は平板内部の平板に平行に配置された燃料通路16で分岐され、平板に垂直な燃料通路を経てそれぞれの旋回バーナに向けて分配され、スロット部20より上流で燃料供給口19から空気流中に噴射される。燃料と空気は混じりながらスロット部20より渦室17に入り、壁面に沿って旋回しながら混合気噴出口21から燃焼室25に噴出する。
図面
【図2】
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【図4】
1
【図1】
2
【図3】
3